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松宮園生です。
「あなたの毎日の生活習慣を入力してください。
管理栄養士があなたの食事をアドバイスします」
最近、インターネットを使ったこういうサービスを
どきどき見かけるようになりました。
以前からあるにはあったのですが、このところ増えた
ように思います。
先日、僕のところにもある会社からメールが来まして
「松宮先生。当社の自慢の新サービスです。
最新のアメリカ栄養学を使い、管理栄養士の佐久間象子さん(←誰?)が監修しています。
ログインIDとパスワードを差し上げますので、お試しに無料でやってみていただけませんか。本来は有料ですが、今月いっぱい無料お試し期間です」
もらったログインIDは
「doburoku」
パスワードは
「gyakugire」
でした。
サイトにアクセスしてログインすると、まずは生活習慣の入力です。
こんな質問に答えていくわけです。
「年齢と性別をお答えください」
ニューハーフの人とかは、どうするんだろうな?
「身長は何キロメートルですか」
は? キロメートルで計算するの?
「体重は何トンですか」
キログラムじゃなくて、トンかよ。
とにかく、身長・体重を入れるということは、BMIを自動計算するということだな。
「BMIを入力してください」
自分で計算するんかい!
「では、あなたの日々の食事について質問します。朝食は週に何回食べていますか。ジュースやゼリーなどで済ませた場合は0.4回としてカウントしてください」
なんじゃその質問は!
ややこしいぞ!
0.5でもややこしいのに、0.4かよ!
計算メンドーなので、週2回って答えとこう。
「食事はじゅうぶん規則的ですか」
あんまり規則的じゃないけど、21世紀の働くオニイサンとしては平均的かなあ。
はい、って答えておこう。
「腹8分目ですか」
決めれるわけ、ねーだろが!
そういうときもあるし、そうじゃなくて満腹のときもあんだよ!
…はい、にしとこう。
「食材はできるだけ有機野菜や全粒粉などにこだわり、農薬を恐れていますか」
なんじゃそのヘンな日本語は!
有機野菜や全粒粉にこだわってるけど、農薬を恐れていない場合はどう答えりゃいいんだよ!
「朝食の主食はご飯ですかパンですか、半々くらいですか」
半々くらいかなあ。
「ご飯は玄米ですか、白米ですか」
玄米を食え、って言いたいんだろ。
「甘い缶コーヒーや缶ジュースのような、糖分の多い飲みものを週3本以上飲んでいますか」
3という数字にどんな意味があるのか分からないけど、いいえ、にしとこう。
今は寒いから飲まないけど、夏になると缶ジュースはけっこう飲むかもな。
「揚げものや油の使用量の多い料理は週2回以下ですか」
だからその2とか3とかは何の意味があるんだよ?
数えたことなんてねえよ。
うざいので、何となく適当にはい、にしとこうか。
「お菓子類のような甘いものを食べるのは、週に4回以下程度ですか」
なんだよその、「以下程度」つうのはよ!
以下ってこと?
程度ってこと?
妙な日本語はやめてほしいな。
…こんなことでムカついていてはいけませんね。
いいえ、にしておきます。
「今日は飲みすぎたなと思うことが月に2回以上ありますか」
ふつか酔いの頻度を聞いてるわけだな。
月に2回くらいは、あるかもな。
「手のひらサイズの小鉢または小皿に換算して、毎日5鉢(5皿)の野菜を食べていますか」
なんじゃそりゃ!
そんな複雑な日本語はやめてくれよ!
ファイブ・ア・デイみたいなことを言いたいんだろうけどさ。
「毎日200グラム以上の果物を食べていますか。ただし可食部のほかに種や皮もカウントします」
200グラムあるかどうか、毎日測れっつうんかい!
「味の濃い味噌汁を残さず最後まで飲むことが癖になっていますか」
ねえ、それって癖なの?
味の濃い薄いはどやって決めればいいんだよ?
「麺類を食べるか麺類以外のものを食べるかという選択肢が与えられた場合、7割以上の確率で麺類を選びますか」
法律の条文じゃないんだからよ、もっと分かりやすい日本語にできねーの?
確率なんて分かるかっつーの!
…ま、たいがい麺類を選んでいるけどさ。
「濃いめの乳製品を摂取したあと、しっかり日光浴をしなきゃ、と思っていますか」
はあ?
そんなん、意識したことなんかあるかい!
そりゃ、カルシウムをとったら日光浴してビタミンDをとりなさいとは言われるけれども…。
「トーストを食べるとき、ついついマーガリンをたっぷり塗ることが癖になっていますか」
だからよ、それって癖かい!
「大豆・豆腐・豆製品を1日に1回以上程度食べますか。味噌や醤油はカウントしないでください」
だからその「以上程度」ってなんだよ!
以上ってこと?
程度ってこと?
と、ブツブツ文句を言っているうちに、質問が終わりました。
全体的にほんと、不自然な日本語が多い。
やってるほうが恥ずかしいぞ。
画面の下にはこう書いてありました。
「質問は以上です。下のバナーをクリックしてください」
下のバナーにはこう書いてありました。
「食事アドバイスへ、レッツゴー」
クリックすると、エラーメッセージが出ました。
「あなたのBMIの計算は間違っています。正しい数値を入力してください」
テメーが自動計算しろよ!
◆◆◆
こんな判定が出ました。
BMIはギリギリ普通です。食事に気をつけ、これ以上太らないようにしましょう。
朝食の回数が少ないですね。いけません。朝食を週に5回以上摂るようにしましょう。
規則的な食事の心がけは立派です。その調子、その調子(←死語)。
腹8分目を心がけるようにしましょう。
有機や全粒粉にこだわっているのは立派です。今後は地産地消にもこだわるようにしましょう。
朝食にパンも勿論よいですが、日本人はご飯をもっと食べましょう。
白米より玄米のほうが栄養があります。よく噛んで食べましょう。
糖分の多い飲みものは意外に糖分が多いです。今後も気をつけましょう。
揚げものや油の使用料の多い料理は控えめにしているようですね。その調子、その調子。
お菓子類のような甘いものは控えめにしましょう。
お酒はほどほどにしましょう。適量であれば、体によいとされています。
野菜はしっかり摂れているようです。その調子、その調子。
果物は足りないようです。季節のフルーツをおいしく食べましょう。
塩分に気をつけて、味噌汁は薄味のものを飲むようにしましょう。
炭水化物の摂りすぎはよくありません。麺類ばかり食べず、バランス良い食事を心がけましょう。
乳製品を摂ると同時に、日光を浴びましょう。ただし日焼けには気をつけましょう。
マーガリンにはトランス脂肪酸が入っています。なるべく控えましょう。
大豆食品はしっかり摂れているようです。その調子、その調子。
「そのまんまじゃん」
僕はあきれてつぶやきました。
書いてあることはいちいちごもっともなんだけど。
もしかしてこれ、質問の答え方と関係なしに、ほぼ同じようなコメントが出るんじゃ…。
画面の下のほうに、こう書かれていました。
「そんなあなたのためのお勧め商品です。果物少なめのあなたは、積極的にビタミンCを摂取しましょう」
で、ビタミンCのサプリメントの写真が掲載されています。
クリックしたら、買えるようになっているみたいでした。
いろんなサービスを経験している目の肥えた21世紀の人たちが、こんな昭和型サービス、買うのかなあ?
松宮園生です。
ご存じザイオン共和国のモーフィアス大統領は、
食育至上主義にもとづく圧政を敷いています。
(どんな圧政か知りたい人はここをクリック)
そのモーフィアス大統領から、
「ぜひ我が国の食育ぶりを見にきてほしい」
と招待を受けました。
最初は断るつもりでいました。
だって、独裁者だからいつ機嫌を悪くするか
予想できないし、機嫌が悪くなって
「ビタミン責め」
「マクロビ責め」
とか
「家族団らんの刑」
とかに処せられたらどうしよう…。
(ん? それって怖いの?)
しかし断ったら、やつは僕を暗殺しようとするかもしれません。
マツミヤを滅ぼすのに、プロの暗殺者なんかいりません。
たとえば普段から僕は食育カルタみたいな昭和グッズを茶化して笑っていますので、真面目な食育おばちゃんや食育ママゴンの反感を買っているに違いありません。
そんなとき、
「マツミヤを始末した者には100万ショクイク」
なんて、賞金首にされちゃったら、食育おばちゃんや食育ママゴンがこぞって僕を狙いはじめるでしょう。
巨大な食育カルタでざっくりと切られたらもう…。
行くべきか断るべきか。
悩んだ末、じっと死を待つより敵地に行って散ろう。
そう決心したのでした。
◆◆◆
なんだけど。
モーフィアスのやつ(ちなみに彼は日本食育大学に留学してて、僕の教え子です)、招待すると言っときながら、飛行機はエコノミークラスのチケットしかくれませんでした。
ケチです。
しかたなく乗りこんだニュートリ・エアライン(栄養航空)22便がロサンゼルスを飛び立って10時間後、機内アナウンスがありました。
「皆様、お早うございます。よくお休みになられたでしょうか? 当機はあと1時間でザイオン共和国のエプロンシアター空港に到着いたします。ただいまの現地時間は午前8時17分、天候は晴れ、気温は摂氏20度でございます。入国書類をまだお書きになっていない方は、乗務員にお申し出ください」
そっか。
入国書類を書くのか。
そりゃそうだよな。
機内で配られた入国書類は、こんな書類でした。
↓
<進め食育はばたけ食育 ザイオン共和国へようこそ!>
あなたの入国を歓迎します。
以下の質問に正確にお答えください。
この書類は入国審査官にお渡しください。
名前:
国籍:
居住国:
あなたの居住国の食料自給率:
航空機の便名:
機内食でいただきます・ごちそうさまを完璧に言いましたか?
*はい
*いいえ
機内食は残しましたか?
*はい
*いいえ
サイオン共和国での希望抑留期間:( )年
あなたのセンス
*昭和
*平成
ザイオン共和国への入国目的(以下のうち、当てはまるものを○で囲んでください):
*メタボ撲滅
*援農
*レシピ提案
*食育教室
*三角食べ
*食育正教会への入信
*その他( )
ザイオン共和国に持ちこむ予定の物品で、以下に当てはまるものがあれば申告してください。
*箸
*食育カルタ
*食育紙芝居
*食育イベント企画書
*食育教本(食育白書、オールジャパン食育大辞典を含む)
*「メタ坊」のマスコット人形
過去3か月以内に以下の国に居住または滞在していた場合は、申告してください。
*肥満大国アメリカ
*パラドックス国フランス
*スローフード国家イタリア
*フードマイレージ国家ジャパン
*食品安全疑問国チャイナ
*大東亜食育帝国
以下の食習慣に当てはまる場合は、申告してください。
*箸の使い方が下手だ
*嫌いな野菜がある
*ラーメンの汁は最後まで飲む
*週に1度以上、ハンバーガーを食べる
*週に1度以上、牛丼を食べる
*個食である
以下のうち、正しいものには○を、間違っているものには×をつけなさい。
( )フィトケミカルは7大栄養素の一種である
( )食育白書はこれまで3回、発行されている
( )トランス脂肪酸は体に良いと注目されている
( )トレーサビリティーは紅茶の一種である
( )ショウサンタイチッソを漢字で書くと、硝酸態窒素である
( )日本食育大学のキャンパスは東京にある
私は、「進め食育はばたけ食育」の精神にのっとり、虚偽の申告をせず、正直に申告したことを誓います。
名前:
日付:
署名:
ご協力ありがとうございました。
ザイオン共和国 食育法務省 入国管理局
◆◆◆
入国書類を書きながら、招待を受けたことをひどく後悔して涙ぐむ僕なのでありました。
(次号はたぶんないと思います)
松宮園生です。
以前ろくに相手にされずにすごすごと帰って来たにも関わらず、
性懲りもなく再びベジタリアンの合コンに出掛けたときのこと。
前回同様、僕は下級ベジタリアンということで、下っ端として
末席を汚しておりました。
(前回出掛けたときの話はここをクリック)
「聞いて聞いて。ベランダ菜園始めたの。すっごく楽しいよ」
と、ある女の子が言いました。
それを受けて皆が話しだします。
「いいなあ。わたしもやりたいけど、ベランダ散らかってるし」
「オレんちはベランダなんかないよ」
「なんか最近、家庭菜園する人、増えてない?」
「増えてる気がする」
「そうなんだ?」
「絶対増えてるよ。新聞とかで読んだな、確か」
「オレの姉貴がさ、結婚あきらめたとか言って、自給自足のために市民農園で野菜作り始めたんだ」
「なんで。結婚あきらめる前にオレに相談してよ」
「でも姉貴、顔はオレに似てるけど?」
「あ、だったらパス」
「お前ね」
ベタな会話でした。
「で、ベランダで何を作ってるんですか」
と、ずっと静かにしていた下級ベジタリアンの僕がおずおずと質問すると、さっきの女の子が嫌な顔もせずに答えました。
「いろいろね。トマトとか、パセリとか、落花生とか」
「自分で料理して全部食べてんの?」と、彼女の隣に座っている男の子が言いました。「それとも売ったりとかしてんの」
「売るほどたくさんはないから」女の子は答えました。「ところでトマトって男か女か知ってる?」
「は、トマト? 男も女もないんじゃないの。オシベとかメシベとかはあるけど」
「トマトは女だと思う」彼女は言いました。「そうとしか思えない出来事があって」
「へー」
「聞きたい?」
ここで「聞きたくない」とは言えません。
全員が「聞きたい」という意味でうなずきました。
彼女は話し始めます。
「うちのトマトがなかなか赤くならないから悩んでたんだけど、こないだ詳しい人に聞いたら、庭いじりするときは裸になりなさいって言われたの」
「え、裸? どゆこと? 意味わかんねえ」
と言いつつ、裸という言葉に反応する男性陣。
彼女は続けます。
「その詳しい人というのは男の人なんだけど、彼はいつも裸になって庭いじりするって言うの。そうするとトマトが恥ずかしがって赤くなるんだって」
一瞬、しんとなりました。
「マジメな話なんだから」焦った彼女はムキになって言いました。「ホントにその人はそう言ったのよ。真剣な顔で。あれは絶対、冗談で言ったんじゃないと思う」
「冗談としか思えないね」
「だってその人の作ったトマト、真っ赤なんだよ」
「そうかもしれないけど、裸とは関係ないんじゃ…」
「だって見にいったら、その人、ホントに素っ裸で庭いじりしてたよ」
「だからってトマトが恥ずかしがるとかは嘘に決まってる。…ていうか、見にいったんかい」
「でもね」負けずに彼女は続けました。「それで、自分も裸でベランダいじりすることにしたの」
あっけにとられる女性陣。
想像がふくらみ、唾を飲む男性陣。
「とにかく聞いて」彼女は言いました。「全裸でベランダに出るようにしたのよ。だって赤いトマトを作りたかったし、他に方法もなかったし」
「ふうん。で、どうだったの」
「トマトは全然赤くならなかった」
「そりゃ、そうだろ」
「違うのよ。そうじゃないの。トマトが赤くならなかったのは、トマトが女だったからだと思う」
「はあ? 意味ぜんぜんわかんねえ」
「トマトは女だったから、わたしの裸を見ても何の変化もしなかったのよ」
「…」
「トマトは女だった」彼女は断固とした口調で言いました。「だってその代わり、キュウリがすごく大きく育っちゃって」
松宮園生です。
(前編のあらすじ)
アメリカでは、「ヘルシーカンパニー」になるために、
多くの会社が「ワークサイト・ヘルス・プロモーション」に
取り組んでいます。
そのための専門家は「ヘルカンさん」と呼ばれています。
ワークサイト・ヘルス・プロモーションというのは、
* 会社が
* 社員のために
* お金を使って
* 健康増進プログラムを実行する
ことです。
◆◆◆
前回も書きましたが、
「職場は仕事をするところだろーが。健康になる場所じゃねえ。健康増進活動やりたかったら、放課後か週末にだな、各自で好きなだけやればいいじゃん。会社はそんなこと、面倒見ねえよ。幼稚園じゃねえんだから。そんな金あったら、給料よこせ」
という個人優先の考え方もあります。
僕の友人で、強烈にこの考えを主張している男がいました(友人です。ぼ、僕ではありません)。
この男(友人です)は、勤めていた会社に「残業手当」とか「結婚手当」とか「出産手当」とかが制度としてあったのですが、それが我慢ならなかったようです。
「残業手当? アホぬかせ。昼間だらだら仕事してるだけやんか!」
「結婚手当? 結婚と仕事に何の関係があんねん。仕事に燃えすぎて、出会いに恵まれんで結婚できんかった人はどうすんねん。結婚手当出すなら、『独身見舞金』も出せや」
「出産手当? なんやそれ。そんなん、本人たちが×××に××しただけの話やん。仕事と関係あらへん」
「手当なんかいらん。仕事したぶんの給料よこせ。なにが手当や。いい加減にさらし!」
酔うと必ずわめくのです。
↓
そんなある日のこと。
その日もこの男(僕じゃないってば)は場末の居酒屋でくだをまき、あいも変わらず手当がどうの、結婚がどうのとブツクサブツクサほざいていました。
せっかく旨い酒を飲みにきた他の客が、ドン引きしています。
見るに見かねた居酒屋のおばちゃんが、松…じゃなかった、この男の肩をパチンと叩いていいました。
「なに言うてんねん、あんた。要するに自分がモテなくて結婚できなくて手当がもらえそうにないから、文句言うとるだけやんか。モテないのは自分のせいちゃうの」
松…じゃなかった、この男(友人です!)は黙りこんでしまいました。
話を戻します。
会社が社員のためにお金を使い、社員がヘルシーになれる仕事環境を作ってあげることをワークサイト・ヘルス・プロモーションと言いうわけですが、1991年にロバート・ローゼン博士が
「ヘルシーカンパニー」
という本を出したのも影響し、アメリカの会社ではこのワークサイト・ヘルス・プロモーションが盛んに行われています。
ワークサイト・ヘルス・プロモーションの専門家もアメリカには大勢います。
詳しくは前回を参照してください。
ただし。
いくら社員に健康になってほしいからと言って、大事なお金をやみくもに使うわけにはいきません。
社員の健康増進のために、いくら使うのか。
どのように使うのか(何を買うのか)。
難しい問題です。
とくにアメリカは昔から株主が強い国でありまして。
会社運営(経営)の下手くそな社長さんは、株主からクビにされたり、訴訟されたりします。
ですので、会社の社長さんは、株主のご機嫌を損ねないように必死で頑張るのです。
ワークサイト・ヘルス・プロモーションで社員の健康増進に会社が協力するのも大事なのですが、株主が納得することも重視されています。
で、あるとき株主総会でワークサイト・ヘルス・プロモーションがやり玉にあがったとしましょう。
こういう質疑応答がなされます。
株主「社長さん。わが社はワークサイト・ヘルス・プロモーションにお金をいくら使ってるんですか?」
社長「株主様。わが社は50万ドル(だいたい5000万円)使っております」
株主「50万ドルも! なぜそんなに使うのですか?」
社長「いやその、社員が喜ぶからと思ってなんとなく…」
株主「具体的には、何に使ったのですか?」
社長「ええと、社員食堂を改善して、社内にスポーツジムを作りました」
株主「なぜ、社員食堂を改善したのですか?」
社長「いやその、社員が喜ぶかと思ってなんとなく…」
株主「なぜスポーツジムを作ったのですか?」
社長「いやその、社員に運動不足の解消になるかと思ってなんとなく…」
株主「社長さん。われわれ株主は、50万ドル使ったことを責めているのではありません。会社のために有効に使っていただければよいのです。有効ならもっと使ってもよろしい」
社長「はあ」
株主「で、ワークサイト・ヘルス・プロモーションに使った50万ドルは、会社のために有効でしたか?」
社長「いやあの、たぶん有効だったとは思うんですが、よく分かりません…」
株主「ふーん。『たぶん』とか『なんとなく』というセリフが多いですね。50万ドルものお金を、あなたは『なんとなく』使うのですか?」
社長「いやあの、その、はらほれひれはれ(←死語)」
株主「ビジネスに50万ドル使うとき、あなたは『なんとなく』使いますか?」
社長「いえ、あの、それは真剣に検討して使いますが…」
株主「ワークサイト・ヘルス・プロモーションをスタートするとき、事前に真剣に検討しましたか?」
社長「いやあの、ええ、まあ、そのつもりですが…」
株主「じゃあ教えてください。どういう検討のしかたをしたんですか?」
社長「そ、それはその…」
株主「検討してませんね。で、50万ドル使ってみて、どうなんですか。来年はもっと使うつもりですか。それとも来年は減らすつもりですか?」
社長「いやその、よく分かりません。部下に聞かないと…」
株主「あなたは社長でしょ。株主の大切なお金を預かり、給料をもらって会社運営をしているわけですよね。あなたは会社のお金を『よく分からずに』『なんとなく』使っているのですか?」
社長「ご、ごめんなさーい」
株主「社長。あなたを解任します」
↑
と、こういうことも起きるわけです。
つまり、ワークサイト・ヘルス・プロモーションを実行する会社の社長さんは、厳しい株主の前で、
* なぜこの金額を使ったのか
* なぜこの使い方をしたのか
* その結果、どのように会社のためになったのか
* 来年は予算を増額すべきなのか減額すべきなのか
を、理路整然と、納得がいくように分かりやすく説明しなくてはならないのです。
さて、社長さんはバカではありませんので、株主からこういう質問が出るだろうことはたいがい予想しています。
あらかじめ回答を用意しておこうと考えます。
そこで、上に書いたのと同じ質問を、ワークサイト・ヘルス・プロモーションを管轄している部長さんにぶつけるわけです。
社長「おい部長。なんでわが社はワークサイト・ヘルス・プロモーションに50万ドルを使う必要があったのか、説明しろ」
部長「それがその、なんとなくそのくらい使わないといけない気がしまして…」
社長「なんとなく、だと? ばかもん。それでも部長か。で、どうなんだ。来年はもっと使うべきなのか、減らすべきなのか」
部長「それは…。社長に決めていただこうと思ってたんですが…」
社長「ばかもん。ワシに判断できるわけがないだろ。50万ドル使って、会社の業績は変わったのか」
部長「いやその、業績につなげるようなことは考えていませんでしたので…」
社長「それじゃあ、株主総会でワシは吊るしあげを食らうぞ。部長。おまえはクヒだ」
↑
と、こういうことにもなるわけです。
さて、こうなることを恐れた部長さんは、社長室に呼ばれる前に、あらかじめ部下の社員に同じ質問をぶつけます。
部長「おい松宮君。なんでわが社はワークサイト・ヘルス・プロモーションに50万ドル使うことにしたんだっけ?」
社員「えっと、社員食堂の専門会社と、スポーツジムの会社に見積もりをもらって、それを足し算したら50万ドルでした」
部長「えっ。じゃあ、相手の会社の言いなりか?」
社員「ええまあ、そうです。だって高いのか安いのか分からなかったんですもん」
部長「ううむ。で、どうなんだ。50万ドル使ってみて、社内は何か変わったか?」
社員「さあ、どうでしょうか。調べてみますか?」
部長「至急、調べてくれ」
社員「調べ方はどうしたらいいですか? てゆーか、何を調べますか? 部長。教えてください」
部長「そんなもの、オレも知らん。何か考えろ。で、来年はいくらの予算を申請したらいいんだ?」
社員「そんなの、平社員の僕に分かるわけないじゃないですか。部長が決めてくださいよ」
部長「なんでもかんでもオレにかぶせるな。自分で考えろ」
社員「そんなの、分かりませーん!」
部長「松宮、おまえは左遷だ」
社員「いいんですか、部長。僕を左遷したら、この仕事の続きは誰がやるんですか。部長が自分でやるんですか」
部長「(ハンカチの端をくわえて)きーっ!」
↑
中間管理職の悲哀でした。
日本でも社員の健康増進のためにいろいろな工夫をする会社はありますが、
* なぜこの金額を使ったのか
* なぜこの使い方をしたのか
* その結果、どのように会社のためになったのか
* 来年は予算を増額すべきなのか減額すべきなのか
こうしたことをキチンと説明できる状態で実行している会社は、はたしていくつあるでしょうか?
大事なお金を使うわけですから、
「よく分からないけど、なんとなく社員のためになりそうだから、いいじゃん」
では、ダメなのです。
アメリカのワークサイト・ヘルス・プロモーション業界は、早くからこの問題に直面していました。
「どういうふうに、いくら使ったら、どのように会社のためになるのか」
というテーマの実験や研究が、数多く行われました。
この実験や研究については、次号でお話します。
(以下次号)
松宮園生です。
大学の図書館で
「日本食育大学で学ぶ者の心得」
と書かれた詩を見つけましたので、紹介します。
「日本食育大学で学ぶ者の心得」
ハンバーガーにも負けず
牛丼にも負けず
コーラにもアイスクリームにも酒のあとのラーメンにも負けぬ
強靭な意志を持ち
深夜番組など無視して早く寝て
ジイサンバアサンよりも早く起き
朝ごはんは欠かさず食べ
夜ごはんはほどほどに
おやつは食べないか食べるとしたら旬の果物を食べ
いつも静かに笑っている
塩分控えめ
炭水化物控えめ
脂質控えめ
水溶性ビタミンたっぷり
脂溶性ビタミン適量
食品成分表とにらめっこしながら毎日栄養計算をし
適量って何だ?と疑問に思いながらも酒は適量飲み
あらゆることを
昭和のセンスで考え
よく噛みゆっくり食べ
結婚記念日は忘れても「いただきます」「ごちそうさま」は決して忘れず
「家族団らん家での料理」と書いたTシャツを着
「有機食材を使った簡単レシピ」という言葉が大好きで
曲ったキュウリもまっすぐなキュウリも一緒といいながらまっすぐなキュウリを選び
青虫のついた有機キャベツを見ると怒り狂って農家に文句の電話をかける
東にピーマン嫌いの子どもがいれば
行って紙芝居を使って食は命だと言い含め
西に疲れたサラリーマンがいれば
行ってワークライフバランスという呪文を唱え
南に生活習慣病予備軍がいれば
行って恐がらなくてもいいと言い
北に偽装表示食品があれば
つまらないからやめろと言い
農家を訪問して地産地消を力説し
環境保護団体にでかけてエコな食卓を力説し
食育推進会議にでかけて食育の大切さを力説し
力説する相手が違っていることに気がついていない。
お腹回りに一喜一憂し
メタボ対策は毎日欠かさず1万歩
BMIを日々計算し、
週末は食育カルタを作るために標語を考え
晴れた日曜は子どもたちを引率してイモ掘り大会
みんなに食育ヲタクと呼ばれ
合コンには行かず
残業もせず
なのに給料はたんと貰う
そういうものに
わたしはなりたい
(なれません)