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食育の仕事をしてみたい人、必見!
人気「野菜ソムリエ」と「プロダクション・チーフ」が
食育の世界にご案内します。
◆◆◆
チーフの松宮園生です。
「流しの料理人」というのがアメリカにもいました。
あちこち旅をしながら、旅先で料理を作って生活費や旅費を稼ぐわけです。
もっとも、そういう人がたくさんいるかどうかは、よく分かりません。
たまたまそういう人と仲良くなっただけなのですが…。
僕が知り合ったのはラザフォードという男です。
ファーストネームはボブだったかトムだったか忘れましたが、なんかそういう平凡な名前です。
平凡なファーストネームだったので忘れてしまいましたが、ラザフォードという姓のほうは、同じ名前の科学者がいた、というのを高校時代に習ったような気がしていたので、いまでも覚えています。
(どーでもよいことですね)
知り合ってからだいぶ日数がたち、接することもなくなって友好関係が自然消滅していたころ、
不意にこの男からメールが来ました。
「アラスカにいるんだけど、ヒマだから遊びにキタマエ。夏は気候がいいけど観光客でごったがえすから、夏が終わったら来るよろし」
そんな意味のメールでした。
ヒマだから来いといわれても、アラスカなんてそんなカンタンに行けるわけじゃないですよね。
アラスカはここです(↓)。左上の部分です。
ちょっと詳細図(↓)。左上の部分です。
アメリカ本土とは離れています。あいだにカナダがあります。
飛び地ですね。
そんなところにぶらっと行くわけにはいきません。
しかし一方で、僕の頭の中をこういう言葉が走り回りました。
「大自然」
「とれたてのシルバーサーモン」
「オーロラ」
「エスキモー」
「ホエール(クジラ)ウォッチング」
「死ぬまでに一度は行っておこう」 (←殺し文句)
こういう計算もしました。
「ラザフォードの家に泊まれば宿泊はタダだ。それにラザフォードはホモじゃないから大丈夫だ」
(マジメな話、ホモ・セクシュアルかどうかを事前に確認しておくことは、けっこう大事です)
調べてみると、夏の行楽シーズンをはずせば、旅費もずいぶん安くなることが分かりました。
夏と冬では、旅費が5倍くらい違うのです。
秋はその中間くらいの費用です。
ちょっと驚きました。
というわけで大決心をしまして、ガンバって休暇を獲得し、メールをもらった数ヵ月後に僕はアラスカに行きました。
時は10月。
この時期、ラザフォードのいるところは雨がしょっちゅう降るそうで、そこそこ寒い(*)ということもあり、厚手の防水服を着てこい、という話でした。
なお、「とれたてのシルバーサーモン」はあきらめろと言われました。もうシーズンは終わったそうです。
かるく夢が1つ、崩れていきました…。
さて、アラスカに行くにはまずシアトルに入ります。
シアトルはイチローのいるところです。
アメリカ本土の西北部、ワシントン州です。
ここでアラスカ行きの飛行機に乗る。
アラスカ航空という航空会社があって、そのジェット機に乗ります。
ジェット機はカナダの上空を飛び、アラスカに向かうわけです。
このアラスカ航空のジェット機に乗りこんだとき、
機内で僕はある出来事に遭遇したのですが、少々強烈な出来事でした。
「アメリカン・メタボ」第1号に遭遇したのです。
その遭遇の様子を、次回(その2)に書きます。
今回は食育の話になっていませんが、次回は食育の話になります。
(*)アメリカ人の「寒い」とか「暑い」とかは信用できません。
11月ごろになるとよく分かります。
皮のコートを着た人が歩いているかと思えば、半そで半ズボンの人も歩いています。
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チーフの松宮園生です。
まず最初に、食事中の方は食事をまず済ませてください。それから読んでください。
◆◆◆
世界最大の食品・飲料会社、といえばネスレです。
1866年に設立された会社だそうです。
1866年って、江戸時代最後の年です。
和風にいうと、ネスレは江戸生まれの老舗というわけです。
年間の売上は10兆円くらいで、利益は6000億円くらいのようです。
10兆円っていうと、韓国の国家予算とだいたい同じです。
6000億円っていうと、松坂投手50人分の契約料です。
こう書くと、高いのか安いのか分からなくなりますね。
ネスレの本社はスイスにあります。
スイスって、なんか陰謀っぽい感じしますよね。
たとえば世界の権力者はみんなスイス銀行に口座持ってるし。
ゴルゴ13だって、暗殺の報酬はスイス銀行に振り込まれてるし。
むかし(戦前)の国際連盟の本部はスイスにあったし。
日本で知られているブランドでいうと、これ(↓)全部ネスレです。
コーヒーの「ネスカフェ」
コーヒーミルクの「クレマトップ」
おなじく「ブライト」
ココアみたいな飲み物の「ミロ」
ミネラルウォーターの「ヴィッテル」
おなじく「ペリエ」
おなじく「サンペレグリ?ノ」
おなじく「コントレックス」
チョコレートの「キットカット」
スパゲティの「ブイトーニ」
「ネスレヨーグルト」
たんとありますが、これ全部ネスレです。
他にも、ネスレはこんな会社の株主でもあります。
美容・化粧品の世界企業ロレアル社
アイスクリームの巨大企業ドライヤーズ社
さて、ネスレは
こんなふうにデカくて、
100年以上もつづく老舗で、
本社も陰謀うずまきそうなスイスにある
にも関わらず、とりあえず陰謀のネタになるようなことがあまり見当たりません。
ネスレって笑えねぇな。(←いや、本来はいいことなんだけど)
◆◆◆
笑えないならしょうがねえ。
チイタッタ先生から聞いた話でも書くか。
◆◆◆
内科医チイタッタ先生は、かつてネスレ社と契約していました。
そのチイタッタ先生のところに、若いネスレ社員が青ざめた顔でやってきたそうです。
ネスレ社員が言いました。
「先生。僕って異常なんでしょうか?」
「何があったんですか?」
「胃腸がおかしいんです。このあいだニンジンスティックを食べたんですけど、トイレにいったらニンジンスティックがそのまま出てきました」
「ふむ。それで?」
「リンゴを食べたんですけど、そしたらリンゴがそのまま出てきました」
「ふむ。それで?」
「ドライヤーズ(アイスクリーム)を食べたんですけど、そしたらドライヤーズがそのまま出てきたんですよ! 心配でなりません。僕は何を食べたらいいでしょうか?」
チイタッタ先生は穏やかに言いました。「何も心配いりません。ウ○コを食べなさい」
松宮園生です。
(前回までのあらすじ)
日本人の常識が通用しない国キューバに、
マンゴーを求めて潜入した2人。
もがきつづける彼らに、果物会社から連絡が入った…。
◆◆◆
日本で買ったガイドブックはなかなか秀逸でした。
「この国の人は自分たちの国のことをほとんど知らない」
「誰に何を聞いたら何がわかるのか、がわからない」
ということはガイドブックにちゃんと書いてあったのです。
読んどいてよかったです。読まずに来てたら神経症になってたかも。
ハバナの繁華街を歩いていると、道行く人々がさかんに声をかけてきます。
「チノ!」「チノ!」
と叫ぶのです。
ガイドブックにはこのことも書いてありました。
それによると、
* 「チノ」とは中国人のこと。
* 彼らキューバ人は東洋人を全員チノだと思っている。
* チノを見ると声をかけずにいられない。意味なく「チノ!」と叫ぶ。
* 声をかけたからといって、とくに用があるわけではない。我々チノは手をふって挨拶すればよい。
だそうです。
◆◆◆
100回くらいチノチノチノチノ言われたころ、オニイサンと僕(と通訳の人)は目的の果物輸出会社にたどり着きました。
果物会社の社長は流暢な英語を話すアメリカ人でした。
アメリカはキューバと敵対しています。
そのため、キューバで社長をしているこの人物は、もう母国に帰れないそうです。入国が許されないらしいのです。
彼はそういう人生を選んだのでした。
挨拶もそこそこにその果物社長の口からでた言葉は、われわれの期待を裏切るものでした。
「キューバへようこそ。しかしマンゴーの輸出はたぶんもう無理だ。あきらめたほうがいい」
「それを言うためにおれたちを呼びつけたのか?」といきり立つオニイサン。「何とかならんのかよ。ここまで来るのにいくらかかったと思う?」
「おれだって困っている」果物社長は言いました。「あんたよりおれのほうが深刻だよ。死活問題だからな。何ヵ月もかけて八方手を尽くした。それでもダメだった」
「ふざけんじゃねえ」とオニイサンが叫ぼうとしたとき、絶妙のタイミングで社長秘書が飲み物を運んできました。その美貌に目を奪われたオニイサン。
そのすきに、果物社長は話題を変えてしまいました。
「これ、なんだと思う? 今日はこの話をしたかったんだ」
美人秘書が運んできたのは飲み物だと思ったのですが、よく見るとハチミツ入りのボトルでした。
「オーガニックのハチミツだよ。ウチの商品だ。なめてみるかい」
果物社長が合図をすると、美人秘書がスプーンを差し出しました。
2時間後。果物会社からの帰り道。
通行人がチノチノチノチノ、チノチノチノチノ言ってます。
オニイサンはすっかりハチミツが気に入り、あれから商談に入ってしまったのです。
そしてとうとう、帰り際にコンテナ1個分の注文を出してしまいました。
「いいんですか、カンタンに注文しちゃって」
「いいんだよ」オニイサンは上機嫌で答えました。「マンゴーはあきらめよう。でもあのコは美人だったから、あのハチミツはきっと儲かるぞ」
ハチミツが儲かるかどうかということと、秘書が美人かどうかということは、関係ないんじゃないかなあ。
僕は心のなかでそうつぶやきました。
結局、マンゴーの件はどうにもならないままでした。
輸出禁止を解除してもらうことは、できませんでした。
われわれの旅は、徒労に終わったのです。
まあでも、マンゴーの失敗を、ハチミツで取り返すことができるんだったら、オニイサンとしては、それはそれでいいのでしょう。
◆◆◆
マンゴーの旅はこれで終わりです。
その日、オニイサンの頭のなかはハチミツのことでいっぱいのようでした。
僕はといえば、果物会社からの帰り、ヘミングウェイが通ったと言われるバーに偶然通りかかり、通訳と一緒にマルガリータを飲みまくりました。
アルコールの回りが早く、明るいうちからデキアガッテしまいました。
そのあいだにも、何人もの通行人が店のなかをわざわざのぞきこみ、飲んでいるわれわれに向かってチノチノチノチノチノチノチノチノ、チノチノチノチノチノチノチノチノ言ってます。
詳しく書きませんでしたが、通訳の人はなかなかのナイスガイで、われわれのあいだには友情が芽生えていました。
バーカウンターで通訳がしみじみと言いました。
「あした帰国便ネ。さみしくなるネ。元気でネ」
「あんたも元気でね」
「キューバの感想はどう?」
「そうだね…。楽しいとこだけど、分かりにくいとこだな」
「分かりにくいネ? あんたがた同じ共産主義の国でも、分かりにくいのか?」
「は? 同じ共産主義…? それって中国のことだろ。オレは日本人だよ」
「えっ? あんたチノじゃなかったのか?」
通訳はこの瞬間まで、オニイサンと僕のことを中国人だと思っていたのでした。
(あんた、ずっと日本語の通訳してたやんけ…)
(ヘミングウェイ農業 終わり)
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松宮園生です。
(前回までのあらすじ)
美味しいマンゴーを生み出す有機農業国キューバ。
しかしキューバ政府はマンゴーを日本向けに輸出するのを禁止してしまった。
いったい誰が、何のために禁止令を出したのか?
その謎をさぐるべく、オニイサンと僕は常夏のカリブ海に飛び立った。
しかし、やっとの思いで政府高官に会えたというのに、なんだかよく分からない状況はいっこうに改善する気配をみせなかった…。
◆◆◆
さんさんと降りそそぐ陽光。
「軍隊のエライ人」ホセ・なんとか氏は、とうとうなにも情報をくれないまま去っていきました。
誰が禁止令を出したのかが分からないだけでなく、そもそも誰が農業大臣なのかも、さっぱり分からないままです。
おまけに、せっかく手に入れた有機栽培マンゴーはまだ口に入っていません。
(なぜ口に入っていないかは前回 その3をご覧ください)
「態勢をたてなおそう。とりあえず作戦会議だ」
オニイサンがそうつぶやいたので、われわれはホテルに帰りました。
ホテルに戻ると、思いがけないことに、数人の色黒の男女がロビーでわれわれを待っていました。
通訳の話によると、日本にあるキューバ大使館から、ここに来るようにという指示があったそうです。
混乱を避けるために、整理します。
「キューバにある日本大使館」
「日本にあるキューバ大使館」
は違うものです。
「キューバにある日本大使館」
これは日本政府の出先機関です。大使は日本人です。
日本人の大使の紹介で、オニイサンと僕は「軍隊のエライ人」ホセ・なんとか氏に会ったわけです。
「日本にあるキューバ大使館」
これはキューバ政府の出先機関です。東京にあります。大使はキューバ人です。
で、ホテルでわれわれを待ち伏せしていた連中は、後者すなわち「日本にあるキューバ大使館」、すなわち東京にあるキューバ政府の出先機関に指示されて、やってきたのでした。
色黒の彼らが何者で何をしにきたのかというと…
マンゴージュースを作っているメーカーの役員でした。
マンゴージュースを作り、瓶詰めにして各国に輸出しているようです。
で、売れ行きがよいので増産したい。コールドチェーンの増設にカネがかかるので、資金を出してくれないかという話でした。
コールドチェーンというのは、生産現場(工場)から消費現場(お店)までのあいだ、マンゴージュースを同じ低温状態に保つためのいろいろな工夫のことをいいます。
その増設のため、30万ドル(約3600万円)ほしいそうです。
「日本にあるキューバ大使館」に相談したら、ちょうどいい2人組の「カモ」が来るから陳情したらどうだ、と言われたらしい。
そんなカネ、どこにあんだよ。
それに「カモ」ってなんだよ。つーか、そこまで正直に答えんでよろしい。
陳情団にお引取りいただくのに2時間もかかりました。
おカネがない。たったそれだけのことを納得してもらうのに、2時間です。
でもこの2時間で、こういうことが分かりました。
(1) この連中も、自分の国の農業大臣が誰かを知らない
(2) マンゴーの日本向け輸出が禁止になっているのを知らない
(3) ジュースには輸出禁止令が出ていないらしい
(4) この連中は、われわれのことをチノ(中国人)だと思っている
(5) ヘミングウェイって、誰?
ああ、たしかにここはキューバです。
南国のキューバなんだ。
オニイサンと僕は、しみじみそう思いました。
カリブの海が砂浜をやさしく洗うように、われわれの焦る気持ちも洗われていきました。
その日の午後、われわれは仕事をしないで過ごすことに決めました。
前の晩に食べることができなかったマンゴーを、ホテルのレストランに持っていきました。
すると、お店のほうで食べやすいようにカットしてくれました。
気持ちに余裕ができたとたん、マンゴーを口にすることができたのです。
美味でした。溶けるような味わいです。
その後、元気のよみがえったオニイサンは美女をもとめてプールに行きました。
通訳と僕は、レストランに残りました。
専属の楽団が脳天気な音楽を奏でるのを聞きながら、マルガリータのおかわりをしました。
アルコールが回ってうとうとしかけたころ、通訳の携帯電話が鳴りました。
マンゴーを日本に輸出していたキューバ人の会社から、
「明日、ミーティングをしたい」
という要請の電話でした。
(問題の核心に迫れるかも…)
がぜん、目が覚めました。
気持ちに余裕ができたとたん、チャンスがめぐってきたのでした。
(次回 その5 に続く。次回は完結編だと思います)
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松宮園生です。
前回(その2)では、
農業人口を増やしたいと政府が望んでおり、
農業をやってみたい人はけっこうたくさんいる。
にも関わらず、実際に農業を始める人は少なく、農業人口は今も減り続けている。
という矛盾について書きました。
農業したいと思っている状態と、農業を実際に始める状態とのあいだには
「見えないダム」
があるようです。
◆◆◆
今回のテーマは、「ダム決壊作戦」です。
ダムを決壊させるには方法が2つあります。
ひとつは、
「ダムじたいに穴をあける」
ことです。
「そのうち農業をしたいナ?」と漠然と考えているサラリーマンが、
本当に農業を始めようと思ったら、どんな壁にぶつかるか?
壁はいくつもあるはずです。
これをひとつひとつ検証し、打ち破ることを考えるわけです。
たとえば、前々回(その1)で、就農センターで体よく追い払われた経験を書きましたが、あれもその壁のひとつです。
僕はなぜ就農センターであんな目にあったのでしょうか?
農業についてまったく何も知らない素人の状態で僕は就農センターを訪問したわけですが、
「就農センターは、何も知らないド素人が予習もしないで相談に来るところ」だと思っていたら、実際はそうではなかった。
就農センターから見たら、予習もしないで相談にくる”若造”は、
「農業を甘く見ている」
ということになるわけです。
(まあじっさい、農業を甘く見ている”若造”はけっこう大勢いまして、僕みたいな「バウムクーヘン野郎」もきっとそうなんだろうな…)
「ちゃんと予習してから来い。農業をなめんな」
たしかに、そりゃそうです。
でも、ぢゃあ予習ってどうやったらいいのか?
農業したいね?と漠然と思っているおそらく数千万人という人は、予習のしかたが分からないから次に進んでいないんだと思います。
だからここに「穴」をあける必要があります。
あけるべき穴はほかにもたくさんあるはず。
ひとつひとつ検証し、打ち破っていかなければならないと思っています。
今回はここまで。
ダムを決壊させるもうひとつの方法については、次回(その4)で。
ひきつづき、「ダム決壊作戦」です。
追伸。
写真はファーマーズ・マーケットの様子です。
僕がこういう趣味の持ち主だということではありませんので、念のため。
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