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松宮園生です。
(前回のあらすじ)
「筆のような野球のような場所」を目指して旅立つ
サプリメント職人マツオ。
テケテケ村を狙うステマグさんという魔法使いから、
村を守れるのか?
◆◆◆
成田空港からアメリカに飛んだマツオですが、そもそもアメリカのどこに飛んだのでしょう?
テケテケ村の長老はああ見えてなかなかテキトーな人物でありまして、マツオにはただ一言、
「アメリカに行くのじゃ」
としか言いませんでした。
マツオの父親もテキトーな男で、
「ま、とりあえず行け」
でおしまいです。
「アメリカって空港だらけよ。アンタどの空港に行きたいの?
それを決めないと航空券だって買えないわよ。バカじゃん」
姉のタケコ(自称 村の小悪魔)がマツオにそう教えてくれたのは、マツオが旅支度(←死語か?)を終えたころでした。
どの空港に行くのか…。
たいへん難しい問題が、マツオのまえに立ちはだかっていました。
◆◆◆
このシリーズでは、サプリメントの作り方について適宜、説明していきます。
サプリメントは一般的に
錠剤になっているもの(タブレット)
カプセルに入っているもの
に分かれます。
ほかには例えば
顆粒になっているもの
などがありますが、主流はタブレットとカプセルです。
<タブレットについて>
タブレットは、栄養成分を固めたものです。
クッキーを焼くのに型どりさえあればいろんな形に焼くことができるのと同様、タブレットもさまざまな形に固めることができます。
三角形に固めたもの。
コンベイトウみたいに宇宙の星の形になっているもの。
などがありますが、クスリっぽい形になっているものが主流です(写真)。
栄養成分を固めてタブレットにすることを「打錠」といいます。
マツオは来る日も来る日もこの打錠に励んでいたわけです。
子供のころ、消しゴムのカスをペタンペタン固めて遊んだことはありませんか?
何が楽しくてあんなことに夢中になったのかは別として、ようするにアレも打錠みたいなものです。
かつてはクスリっぽい形のタブレットを作ることは薬事法という法律により禁じられていました。
サプリメントは薬品でない(法律上は食品扱い)ので、薬品にそっくりの形状はケシカラン。
薬品に誤解されないような形状でなければならぬ。
という理由でした。
いまはその規制が撤廃され、どんな形状のタブレットにしてもよい、ということになっています。
<カプセルについて>
カプセルにはハードカプセルとソフトカプセルがあります。
ハードカプセルは、こんな感じ。
カプセルのなかに、顆粒状になった栄養成分が閉じ込められています。
栄養成分を固める必要がないので、打錠も不要です。
ソフトカプセルは、こんな感じ(写真はちょっと、カラフルすぎるけど)。
液体になった栄養成分を、膜でおおったような形になっています。
酸化しやすい栄養成分を、酸素に触れさせないためによく使われます。
たとえば
ビタミンE
コエンザイムQ10
はきわめて酸化しやすいため、たいがいソフトカプセルになっています。
まじめな話は今回はこのへんにしておきましょう。
◆◆◆
で、結局マツオはどこの空港に向かえばいいのか?
長老にきいても首をかしげるばかりで答がかえってきません。
父親にいたっては、
「鼻の向くほうに行けばよい」
なんて、まるで生前の植木等さんみたいなことを言います。
使えない長老と父親をまえにマツオが途方に暮れている(←死語)ところに、
「魔法使いステマグさん」を探るために長老が雇っている忍者が、中間報告のために村に帰ってきました。
忍者の話では、
「ステマグさん」という名前は、どうやら正式名称ではなく、もっと長い名前を縮めたものらしい。
たいへん便利な魔法使いだといううわさもある。
性別不詳。年齢不詳。
テケテケ村を攻撃しようと計画していることは間違いないらしいが、なぜなのかは不明。
この計画には、アメリカの殿様(茂さん)も加担している。
アメリカにはサプリメントの聖地が2ヶ所ある。
ひとつは「刈穂の国」といい、太平洋を越えたすぐのところにある。
正確には、「刈穂の国」の南半分がサプリメントの聖地といわれている。
「刈穂の国」の殿様はテルミナテルという名前らしい。
もうひとつの聖地は地名も分からない。
「刈穂の国」よりはるかに遠いところにあるらしい。
誰が殿様なのかもよくわからない。
以上が、忍者からの報告でした。
この報告を聞いてマツオは、
「テルミナテルという殿様がいる「刈穂の国」の南半分にある空港に行こう」
と決心したのでした。
彼はその場で旅行代理店に電話をし、
「テルミナテルという殿様がいる「刈穂の国」の南半分にある空港まで行きたい。大人1枚。格安チケット頼みます」
と舌をかまずに言いました。
電話のむこうで旅行代理店の人が
「は?」
とつぶやいたのは言うまでもありません。
しかしマツオは同じことばを繰り返しました。
何時間も押し問答が続いたあげく、旅行代理店もようやく理解したようです。
数日後、マツオの手元にユナイテッド航空ロサンゼルス行きのチケット(エコノミークラス)が送られてきたのでした。
(つづく)
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◆◆◆
チーフの松宮園生です。
(前回までのあらすじ)
バナナ会社の買収をたくらむテケテケ商事。
しかしそれを阻止するつもりなのか、メキマンが動き出した…
◆◆◆
テケテケ社長が買収したがっているその会社の名前は、キトキト物産という名前でした。
「物産」という名前がついているので、バナナのほかにもいろんな商品を扱っているようでしたが、主力商品はバナナでした。
大昔、「子連れ狼」という話があって、映画だかテレビだかでやっていたそうですが、その主題歌をたしか橋幸夫が歌っていたとのこと。
キトキト物産にはそのころ社歌というものがあり、社歌のメロディーは「子連れ狼」とそっくりだったそうです。
どっちがどっちを真似したのか分かりませんが、そのことでテレビ局とキトキト物産は大喧嘩をしたといいます。
社歌で喧嘩するなんて、子供じゃあるまいしねぇ…。
業界では有名な話です。
僕は聞いたことないので知らないのですが、興味のあるかたは「子連れ狼」のメロディーを聴いてみてください。
さて、
「シークレット・バナナ事業部ゴクヒ調査課 課長」
に任命され、キトキト物産の実態調査を始めることになった僕ですが、
そもそも何を調査するのでしょうか?
何を調べるのか、調べることのリストを作る必要があります。
社長の趣味を調べればいいのでしょうか?
社員のあいだで流行っているお店を調べればいいのでしょうか?
売上とか、そんなものを調べればいいのでしょうか?
女子社員のスカートの長さの平均を調べればいいのでしょうか?
「本当ですか?」という人と「マジですか?」という人の比率を調べればいいのでしょうか?
となりのデスクに座っている地味な室長さん(どこかの商社出身)に質問したら、
「そうですねー。売上とかそういう数字も大事ですしねー。スカートの長さもなかなかねー」
と悲しそうにいい、張子の虎のように首をふりながら男子トイレに行ってしまいました。
使えねぇ、この人。
キトキト物産は全国に数か所、支店があり、支店ごとに「ムロ」があることが分かっています。
とりあえず観光も兼ねて視察にいくか。
そう決めた僕は、北から順番に
「キトキト物産支店めぐり」
を始めたのでした。
◆◆◆
バナナは青いまま輸入し、国内の「ムロ」でエチレンガス漬けにし、黄色くしてから出荷する、ということを前回書きました。
このエチレンガスですが、これは植物ホルモンでもあります。
植物を成長させ、成熟させ、老化させる働きがあります。
ムロを経営しようと思ったら、エチレンガスが大量に必要になります。
エチレンガスって、どこに売っているかご存知ですか?
答はしごくアタリマエに「ガス会社」なんですが、当時の僕はまだ答を知らなかったので、これもとなりのデスクに座っている地味な室長さん(どこかの商社出身)に質問しました。
すると室長さん、
「そうですねー。コンビニには売ってないですよねー。薬局かなー」
とのったり悲しそうにいい、張子の虎のように首をふりながら男子トイレに行ってしまいました。
やっぱり使えねぇ、この人。
男子トイレばっかり行ってないで、たまには女子トイレにも行け。
そのムロですが、世の中にはいろんな会社がありまして、ムロメーカーという、ムロを専門に作っているメーカーがあります。
正しく言うと、バナナの入った段ボール箱を並べる棚とか、エチレンガスを充満させたりガス抜きをしたりする器械とか、エチレンガスの濃度を調整する機械とか、濃度や温度を管理するコンピューターシステムとか、そういうものを作っています。
そういう設備をこっそり偵察するため、僕はキトキト物産の支店めぐり=全国行脚(あんぎゃ)をしたのであります。
これをすることで、
キトキト物産は年間どれくらいのバナナを「加工」しているのか
キトキト物産は設備投資にどれくらいのお金を使っているのか
が、なんとなく分かります。
(青いバナナを黄色バナナに変えることを「加工」といいます)
また、支店の建物を見たり働いている人たちの様子を遠くからでも見れば、だいたい何人の人が働いているかがわかります。
全体で何人の人が働いているかがわかれば、その会社の人件費の総額なんかも大雑把に計算できます。
つまり、支店めぐりをすると、いろんなことが想像できるようになるのです。
キトキト物産の支店は、北から苫小牧、千葉、静岡、神戸、松山にあったので、この順番に出張しました。
◆◆◆
苫小牧と千葉の視察を終え、場末の居酒屋で酒を飲んでいたら、テケテケ社長から携帯メールがきました。
(お約束ですね)
こういう内容です。
「松宮くん、お元気ですか。僕は元気です。
メキマンが明日、日本に上陸するそうだ。ヤバい。とってもヤバい。バナナ調査を止めないと、攻撃すると言ってる。
どうしようか。相談したいのでただちに本社に帰ってきてくれ」
翌日、僕はテケテケ商事に出社しました。
こころなしか、社内がガランとしています。
室長(どこかの商社出身)の姿もみえません。
社長の執務室に行くと、憔悴した顔の社長が待っていました。
「メキマンはもうすぐ横浜に上陸する」と、社長は静かに言いました。
「社員の数が少ないようですけど」
「逃げた。室長も病気だと称して出てこない」
「どうするのですか。バナナの調査、止めますか」
「続けてくれ。これは絶対にやりとげたいんだ」
そのとき、ドアが開いて社長の秘書が入ってきました。
「社長」彼女は青い顔で言いました。「横浜から伝令です。メキマンが入国審査をパスしたそうです」
ついに、メキマンが上陸したのでした。
(以下次号)
松宮園生です。
むかしむかし。
××県のすみっこにテケテケ村という村がありました。
1億円の「ふるさと創生資金」をもらってサプリメントづくりを始めて以来、サプリメント村とも呼ばれています。
20世紀のおわりごろ、全国の市町村に規模の大小を問わず国からそれぞれ1億円のお金が配られました。
使いみち自由の、1億円です。
これを「ふるさと創生資金」といいます。
思わぬお金を手にした市町村の多くは、なにをしたらいいのかよく分からなかったみたいで、
金塊を購入したところ
宝くじを買ってあっという間に半分以上スッたところ
みたいなところもあったりしました。
(これ実話です)
テケテケ村は、その1億円でサプリメントづくりを始めたのでした。
◆◆◆
テケテケ村いちばんのサプリ職人の長男として生まれたマツオ少年は、衛生に厳しい親父のもとで、全身を消毒し、白衣を着、帽子をかぶり、マスクをかけ、滅菌された部屋でペッタン、ペッタンと「打錠」の修行にあけくれる毎日でした。
「打錠」というのは、さまざまな成分を混ぜあわせたものを、杵(きね)で固め、ひと粒の錠剤を作ることです。
業界では「打つ」といいます。
「今日のマグネシウム、うまく打てたよ」
てな使い方をします。
打錠するまえに、いろんな成分を混ぜあわせる工程がありますが、このとき熱が発生します。
打錠するとさらに熱が発生します。
この熱は商売の敵です。
熱で有効成分の栄養素が部分的に破壊されてしまうのです。
栄養素の破壊を防ぐため、いかに熱を抑えて打錠できるか。
サプリ職人の腕の良し悪しはここで決まります。
成分の混ぜあわせかた、原料の選び方、打錠の技術。
この3つがキーポイントです。
マツオ少年の親父は村一番のサプリ職人です。
でも、どんな腕の良い職人も、発生する熱をじゅうぶんに抑えることはできませんでした。
熱の問題は、長いことテケテケ村の頭痛の種だったのです。
そんなある日。
親父とマツオ少年は村の長老に呼び出されました。
長老はマツオ少年にお茶をだしながらいいました。
「マツオよ。海のむこうにアメリカっちゅう国があるんじゃが、聞いたことはあるかな?」
「はい。坂本竜馬先生から聞きました。茂さんという名前の殿様が治めているデッカイ国ですね」
「そうか。よく勉強しちょるの」
それから、長老はこんどは親父に向かっていいました。
「あんたの息子をアメリカにやりたいんじゃが。熱を出さない打錠技術があるそうじゃ。その技術を持ち帰ってほしいのじゃ」
親父が目を見張りました。「ありえない」
「あるらしいのじゃ」長老はいいました。「じゃが正確な場所がわからん。筆のような野球のような場所じゃと聞いとる」
筆のような野球のような場所…。
「それと、もうひとつじゃが…」と、長老はつづけました。「アメリカにはステマグさんという恐ろしい魔法使いがおるそうじゃ。わがテケテケ村を攻撃しようと計画しちょるらしいが、どうやって防いでいいか分からん。それも調べてきてほしいのじゃ」
筆のような野球のような場所…。
ステマグさんという恐ろしい魔法使い…。
さっぱり何のことやら分かりませんでしたが、
「まあこれも修行だ。行ってこい」
という親父の一言で、話は決まりました。
数日後、マツオ少年は
「筆のような野球のような土地」
を目指して成田空港を飛び立ったのでありました。
(以下次号)
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◆◆◆
チーフの松宮園生です。
(前回のあらすじ)
バナナ会社の極秘調査を命じられた僕。
しかしそこには、調査を阻もうとするメキマンの影が…。
◆◆◆
社長のパソコンの画面には、
「テケテケ社長よ。バナナから手を引け。さもないと、メキマンが来る」
という言葉が浮かびあがっています。
社長と僕は顔を見合わせました。
こんなところにメキマンが。
入社以来ひそかにメキマンの正体を探っていた僕にとって、この出来事は驚きでした。
「メキマンが来る…」
社長は小声でぶつぶつ言いながら、パソコンの画面に目を戻しました。
「社長」僕はいいました。「僕のパソコンにもメキマンって書いてあるんです。メキマンって何ですか?」
すると社長の顔色がさっと変わりました。
耳たぶまで真っ赤になったのです。
彼はモジモジしながら足元に目をおろし、「き、きみのパソコンもそうなのかい」と、蚊の鳴くような声でいいました。
「メキマンってなんですか? 教えてください」
「さ、さあ…。おれにもよく分からん…」
「社長、ご存知なんじゃないんですか?」
「い、いや、知らんよ…」
「じゃあ、なにが危険だとおっしゃるんですか? なんでこのメールを僕に見せるんですか?」
「あ、いや」社長はさらにモジモジしながらいいました。「きみなら分かるかと思って…」
煮え切らない社長のようすに首をかしげながら、僕は部屋を出ました。
手には社長からもらった「シークレット・バナナ事業部 ゴクヒ調査課 課長」の辞令を握っています。
メキマンがなんであれ、これからバナナ会社の調査をしなくてはなりません。
◆◆◆
バナナは完熟した状態で輸入することを禁じられています。
主に「地中海ミバエ」と呼ばれる害虫を防ぐためです。
そのため輸入するバナナはまだ熟してない青いうちに収穫したものが、コンテナで日本に運ばれてきます。
「青バナナ」とよくいいます。
「緑バナナ」という場合もあります。
ここでは青バナナで統一しましょう。
未熟なバナナには、地中海ミバエはまだ卵を産んでいないのです。
しかし青バナナの状態では未熟のため食べてもらえない(売れない)ため、バナナ業者は青バナナを日本国内で黄色くします。
なにもせずに放っておけば勝手に熟してどうせそのうち黄色くなりますが、それだと時間もかかるし、痛んだりする危険もあります。
そこで、輸入された青バナナにある「儀式」をとりおこない、強制的に数日のうちに黄色くしてしまいます。
どんな「儀式」かというと、バナナをエチレンガスに「漬けこむ」のです。
エチレンガスは、成熟ホルモンの一種で、バナナが熟するのを早めます。
これを
「バナナの追熟」とか「バナナの加工」とかいいます。
バナナをエチレンガスに「漬けこむ」密閉された部屋のことを「ムロ」といいます。
いまやバナナは大量に輸入されてきますし、そのすべてをエチレンガスに漬けこむわけですから、「ムロ」も数多く建設されました。
ムロビジネスはわりと最近まで活況だったのです。
僕が調査をすることになっている会社は、ムロビジネスをしている会社でした。
◆◆◆
翌日、僕はふたたび社長の執務室をノックしました。
調査をするにもお金がかかります。
自分で現場に出張したりすることもありますし、調査会社に依頼するようなこともあります。
だいたいいくらくらいお金がかかるのか、その予算を作ったので、社長に見せようと思ったわけです。
テケテケ社長はパソコンのむこうで青い顔をしていました。
「どうしたんですか?」
「またメールが来たよ」社長は小さな声でいいました。「見るかい?」
社長のパソコンをのぞきこむと、今度はこう書いてありました。
「メキマンは出発した。いま船の上だ。そっちに向かっている」
(以下、次号)
松宮園生です。
唐突ですが、ひとりでアメリカ旅行をする予定の男性の方に、
ワンポイントアドバイスです。
もし誰かファッションセンスのよいハンサムな男性から
What is your sexual orientation?
と聞かれたら、これはホモなのかそうじゃないのかという意味です。
このとき、頬を染めてモジモジしてはいけません。
大声で、
I am HETERO! (ヘテロ)
としっかり答えるようにしてください。
この言葉、忘れないように。
忘れても死ぬことはないと思いますが、いろいろ人生が変わります。
◆◆◆
では本題へ。
前回、サプリメントの歴史について書きますと予告していましたが、そのまえにチイタッタ先生のことをもう少し詳しく説明します。
ポルトベロー・マッシュルームのソテーをこよなく愛するチータッタ先生は、ああ見えてなかなか偉い先生です。
かつてはアメリカの代替医療学会の会長をしていました。
チータッタ先生はボストン郊外のクリニックで週に2回、患者を受けつけていました。
残りの日は、本を書いていました。
たまに、講演会に呼ばれてスピーチとかしていたようです。
チータッタ先生の専門は「メガビタミン療法」と呼ばれるもので、その名のとおり大量の栄養素を患者に投与します。
いわゆるクスリは使いません。
栄養素といえども大量の投与は危険な場合も少なくないので、そこはチータッタ先生も医者のはしくれ、問診や検査をしながら丁寧にやっています。
このやり方を採用している医師はアメリカには数万人います。
メガビタミン療法では治らない病気もあります。
骨折したのに風邪薬を飲んでも治らないのと同じです。
治せない患者の場合、その病気の専門家を紹介することにしています。
よく
「中国の幻の山でとれたナントカ草は万能薬だ。すべてこれがあれば治る」
と主張する謎の学者とかがいて、風邪だろうが水虫だろうがガンだろうがすべてこのナントカ草で治そうとします。
健康食品の世界に多いタイプですね。
さすがにチイタッタ先生にはそんなこだわりはありません。
自分の方法で治せない患者には、その道の専門家を紹介するわけです。
まあ、医者としてごく普通に振る舞っているわけです。
◆◆◆
チイタッタ先生には2つ、特性というか特徴というか趣味というか性癖というか、まあそんなところがありまして
(1) レストランに行くとヤカマシイ
(2) ときどきちょっと強引
そんな人でした。
一緒に食事をしにレストランに入ると、いつもヤカマシイのです。
ウェイターをつかまえて、根掘り葉掘り質問するのです。
こんなことを聞きます。
「食材は何か」
「それはどこ産のものか。旬なのか」
「栽培方法はどうなっている」
「有機なのか。だったら認証マークを見せろ」
「料理方法はどんなだ」
「調味料は何を使っている」
「その調味料は有機か。だったら証拠を見せろ」
「食器の洗剤は何を使っている。それはエコか。エコだったら証拠を見せろ」
「その食器は有機かエコかどっちだ」
「調理器具は有機か」
「コックはエコか」
「このテーブルはエコか」
「あんた(ウェイター)は有機か」
「むこうに座っているあの客は有機か」
その結果、答が気に入らない場合、ちょっと困ったことになります。
さすがに椅子を蹴って立ち去るようなことはしませんが、「自分で持ってきた水」しか飲まなくなります。
「松宮、オマエは食え。遠慮するな」
なんて言ってくれますけど、その状況で自分だけ食べるような心臓は持っておりません。
そのやかましさが健康オタクとかベジタリアンのあいだで少々有名になりました。
チイタッタ先生の尋問をクリアした飲食店は
「チイタッタ・サーティファイド・レストラン(チイタッタ先生に認められた店)」
ということで格が上がるという現象がおきています。
今回はここまで。
次回以降は、
「サプリメントの歴史」
「チイタッタ先生の戦国ライバルたち」
「チイタッタ先生のところに修行にきた日本人の悲劇」
をテキトーな順番で書きます。
(追伸)
大事なことを言い忘れました。チイタッタ先生はヘテロです。
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