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食育の世界で活躍してみたい人、必見!
人気「野菜ソムリエ」と「プロダクション・チーフ」が
食育の世界にご案内します。
◆◆◆
チーフの松宮園生です。
(前回のあらすじ)
広告代理店に勤める姉から
「サラリーマン部長さんに自分を認めさせる3つの魔法」
を教わったA子さん。
今では企業スポンサーがつき、お金の心配もなく、イキイキと食育活動をしています。
3つの魔法とは何だったのか?
そのひとつは
「雑誌 WEDGE を読め」
というものでした。
◆◆◆
2つめは何でしょう?
リビングでくつろぐ姉妹の会話を聞いてみましょう。
「人を動かす秘訣は、やっぱりサプライズなんじゃない?」
姉は言いました。
「いろんなサプライズがあるけど、たとえばさ、食育に関係のあるサプライズがいいんじゃないの?」
「食育に関係のあるサプライズ…」
「そう。サラリーマンがピクピクするような」
「ブレゼントとか、持っていくってこと?」
「サプライズはブレゼントだけとは限らないんじゃない?
ま、全粒粉のクッキーでも焼いて『皆さんでどうぞ』というのは喜ばれるかもね。
ピクピクするかどうかは分かんないけど」
そのとき、姉の携帯が鳴り、姉はリビングがら出て行きました。
しばらくして姉は戻ってきて言いました。
「急に打合わせが入ったから行くよ」
青い顔をしています。
仕事上、なにか良くないことが起きたようです。
妹のA子さんが知るかぎり、姉がこんな表情をするのは、2年前にメキマンが来日したとき以来でした。
バタバタと着替えを始めた姉を、A子さんはあわてて呼び止めました。
「ちょっとお姉ちゃん。サプライズの答、教えてよ」
「あ、そうだったね」姉も早口で言いました。「CSR」
「え? いま何て言ったの?」
「CSR」
そう言い残し、姉はピューと家を飛び出していきました。
「まるでどら猫を追うサザエさんみたい」
と、ひとり残されたA子さんはつぶやきました。
「CSR」
姉は確かにそう言い残しました。
なんのことでしょう?
こんなアルファベット3文字のどこが、サプライズなのでしょうか?
「聞き違いかなあ。ひょっとしたらCSRじゃなくてCSAなのかも」
と思ったりもします。
CSAというのは、農業関係の言葉です。
A子さんは、悪名高い
「松宮園生の、売れる食育講師 養成講座 基礎コース」
に泣く泣く通っていたことがあり、そのときにこの言葉を習ったのです。
(CSAについての説明はコチラ)
とはいえ、CSAがサラリーマン部長のサプライズになるとは、ちょっと思えません。
「CSRってなんなのよー!」
叫ぶA子さん。
イライラしてリビングを歩き回ります。
そのとき、忘れものにようやく気づいた愉快な姉が、はき忘れた靴と、持ち忘れた財布を取りに帰ってきましたが、A子さんはまったく気づきませんでした。
(以下次号)
食育の世界で活躍してみたい人、必見!
人気「野菜ソムリエ」と「プロダクション・チーフ」が
食育の世界にご案内します。
◆◆◆
チーフの松宮園生です。
(前回のあらすじ)
使えない室長までもが逃げ去ったテケテケ商事。使えない人がいなくなったんなら返ってよかったじゃん、と思うヒマもなく、メキマンの影が忍び寄る…
◆◆◆
バナナは「大量生産・大量消費」型の果物です。
レモンやグレープフルーツも同様です。
バナナは、海外の産地(台湾とかフィリピンとか中南米とか)から運ばれるときは、巨大なコンテナ船でやってきます。
コンテナ船はどのくらい大きいかというと、
船体の重さは3万トン。
長さ120メートル。
高層ビルが横倒しになった感じです。
意味不明ですが、この船のBMIを計算してみましょう。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)ですので、
30,000,000÷120÷120=2083
つまり、この船は BMI が2083。
メチャクチャ肥満です。
ひょっとしたら確実にメタボです。
この巨大なメタボ船は、多いときは 1000個ちかいコンテナを運んでいます。
1個1個のコンテナは学校の教室3つ分くらいの大きさで、そのなかに箱詰めバナナが満載されています。
気が遠くなるような数のバナナが、巨大なコンテナ船のなかに積み込まれているわけです。
船を荷物で満載することを、貿易用語で「満船」といいます。
満船となったバナナ船が何隻も何隻も、次々と日本にやってきます。
横浜とか神戸とか名古屋とか、大きな港の埠頭あたりに遊びにいくと、こういう巨大なバナナ船が荷おろしをしているところを見れることがあります。
あの船がバナナでいっぱいになっているかと思うと、日本人の胃袋の闇というか、大きさを実感しますね。
まさに食料自給率40パーセントの国です。
◆◆◆
メキマン上陸。
おおぜいの社員が逃げてしまったテケテケ商事ですが、忠誠心の強い数名の社員は逃げずに居残りました。
メキマン上陸の知らせを受け、テケテケ社長はただちに居残った社員を集めて作戦会議をしました。
作戦会議で決まったことは以下です。
社員はふだんどおりの仕事を続けること。
松宮(僕)はキトキト物産の調査を続けること。社員に知られているので、もはやゴクヒ調査ではなくなったが、肩書は相変わらず「ゴクヒ調査課長」のまま変えないこと。
テケテケ社長はウルトラ警備隊またはガッチャマンに救援を求めること。
有意義な会議でしたが、残念なことがひとつありました。
「メキマンの正体を教えてください。人間ですか? 怪獣かなにかですか? なぜ我々をねらっているのですか?」
僕のこの質問に、誰も答えてくれませんでした。
みんな、頬を染めて下を向き、もじもじそわそわするばかり。
というわけで、僕はフラストレーションを抱えつつ、次の行楽地、静岡に移動しました。
出がけに社長の執務室をのぞくと、テケテケ社長はウルトラ警備隊やガッチャマンの電話番号を調べるためにタウンページと格闘していました。
我々は無言で固い握手を交わし、それぞれの任務にとりかかったのでありました。
◆◆◆
最新の情報によると、横浜に上陸したメキマンは時速500メートルというゆっくりした速さで東京に向かっているようでした。
ゆっくりとはいえ、本気になったカタツムリより、かなり早いスピードです。
時速500メートルということは、電車に乗ったわけではないらしい。
このスピードだと、メキマンが東京に到着するより先に僕の調査は完了します。
よっしゃ。
何がよっしゃなのか分からないけど、ガッツポーズ(←死語?)をする僕。
メキマンもそれを察したのか、なんと僕の携帯に牽制メールを打ってきました。
差出人:メキマン
件名:はじめましてメキマンです
本文:いつもお世話になりありがとうございます。例の件ですが、その後の状況はいかがでしょうか? そろそろ調査を中止していただきたく、ご検討よろしくお願いいたします。
なかなか礼儀をわきまえた文面です。
そのとき僕はすでに静岡・神戸の視察を終え、最後の訪問先、松山にむかう急行列車に乗っていました。
メキマンが東京に着くのが早いか。
僕がキトキト物産松山支店の偵察を終えるのが早いか。
「まあ、勝てそうだな…」
時計をみてつぶやく松宮。
僕は後ろに流れる景色を見ながら少し考えました。
それから決心して、メキマンに返事メールを書きました。
(以下次号)
松宮園生です。
(前回までのあらすじ)
マツオがアメリカにいくのはいいけど、アメリカのどこに行くのか。
そんなことも分からず すったもんだしたテケテケ村。
忍者の曖昧な報告を旅行代理店の人が上手に解釈し、やっとカリフォルニア州ロサンゼルスに行くことが決まりました。
◆◆◆
その忍者の苦労話をします。
彼はテケテケ村を襲ってくるというウワサの「魔法使いステマグさん」の情報を求めて東京に出かけ、何人ものガイジンに声をかけました。
彼はアメリカ人を見たことがなかったので、会ってみたらインド人だったり、中国人だったり、バルタン星人だったりと、失敗を繰り返しました。
最近は危ない事件が多いため、ガイジン女性は日本人男性から不用意に声をかけられることをたいへん警戒しています。
(まじめな話、日本もアメリカも物騒ですね)
そこで忍者は、気をつかって男性ばかり声をかけましたが、それはそれで気持ち悪がられたようです。
それでも根性で声をかけ続けた結果、1人のアメリカ人に会うことができました。
その人はエド・ジョージという名前でしたので、忍者はその人を江戸譲二と呼ぶことにしました。
(同じやんけ)
日本語ができない江戸譲二と、英語のできない忍者。
2人のやりとりは困難をきわめました。
が、最後に江戸譲二は
「ニンジャのコスプレをしているこの男は、どうやらサプリメントを輸入したいらしいぞ」
というところまで漕ぎつけました。
輸入したいというのは間違っていますが、サプリメントのことで話しかけてきた、というところは正しい理解でした。
忍者にとって幸いだったのは、江戸譲二が昔「GNC」で働いた経験のある、サプリメントおたくだったことです。
江戸譲二は言いました。
「サプリメントを輸入したいんデスネ? それだったらカリフォルニアに行くといいデース」
「刈穂?」
「イエース。カリフォルニアデース」
「刈穂の国かあ、ニンニン」
忍者は広げた手帳に
「刈穂の国、ニンニン」
と元気よく書きました。
これが、「刈穂の国」の由来です。
お疲れさまです、忍者さん。
いまだったらオヤジのダジャレだけど、あんたの時代は真剣だったんだよね。
◆◆◆
江戸譲二が昔つとめていた「GNC」とは、世界で1番おおきなサプリメント専門チェーンです。
詳しくは「食の世界のスーパーパワー」シリーズにて書きます。
今回は薬事法について説明します。
薬事法というのはたいへんヤヤコシイ法律でござんして。
爆発的に理解不能なのですが、かいつまんで脚色して書きます。
これを書いておかないと、サプリメントの話が進まんのですわい(←ジジイか)。
人間が口に入れるものは
「食べもの」
「クスリ」
に分かれます。
食べものとクスリはどう違うのでしょう?
漠然と何とな?くどこか絶対に違う、という感じはしますよね?
でもその違いを正確に言葉で言いなさい、と言われたら困ります。
「医食同源ていうんだし、区別する必要ないじゃん」
そういう意見もあります。
でも日本を含め先進国は、法律により食べものとクスリを分けて管理する道を選びました。
その中心にある法律が薬事法です。
去年でしたか、冥王星は惑星なのかそうじゃないのか、で大暴れしましたね(←誰が?)。
アレは惑星の定義(=惑星とは何か)が学者によってバラバラな解釈だったために起きた騒ぎです。
同じように、クスリの定義もぼんやりとしています。
惑星のほうは今回の騒ぎをきっかけに定義が決まりました。
しかしクスリは今でも定義がぼんやりとしています。
例えば「葛(くず)」という植物、ありますよね。
春だったか秋だったかの七草のひとつです。
葛(くず)の葉っぱは法律ではクスリでしょうか、食品でしょうか?
それを自分で判断するにはどうしたらいいんでしょうか?
答を言うと、葛(くず)の葉っぱはクスリではありません。
食品になります。
なぜ分かったの?
どこに書いてあるの?
この世には「日本薬局方」というヘンな名前のものが存在してまして。
ここには、
「日本政府(=厚生省)は何をクスリとみなすのか」
をひとつひとつ細かく書いてあります。
つまり、超おおざっぱに言うと、「日本薬局方」とはクスリの一覧表です。
クスリとは何かをシンプルに定義づけできないため、
何がクスリになるのか
どんな製造法だったらクスリになるのか
をひとつひとつ吟味して一覧表にし、
「この表に載っているものはクスリだよん、載っていないものはクスリじゃないよん」
というふうに決めちゃったわけです。
したがって、薬事法にはこう書いてあります。
「クスリか食品かに迷ったら、日本薬局方を見なはれ。ほなさいなら」
葛(くず)の葉っぱはこの一覧表に載っていないので、クスリじゃないのです。
葛(くず)の根っこはどうでしょうか?
葛(くず)の根っこはクスリとして扱われます。
日本薬局方に、葛(くず)の根っこが記載されているのです。
葛根湯(かっこんとう)というクスリ、売ってますよね?
アレですアレ。
つまり葛(くず)という植物は、
葉っぱはクスリではないが、
根っこはクスリである。
なぜそうなのかは考えなくてよろしい。
とにかくそうなのだ。日本薬局方によってそう決めてある。
というふうに法律で具体的に定められているわけです。
(長くなりました。お疲れさまでした。以下次号にします)
健康をキーワードに活動している方は是非のぞいてみてください。
「21世紀の健康サービスがわかるオンラインストア」
http://astore.amazon.co.jp/21health-22
松宮園生です。
クルマを走らせ500マイル(800キロ)のドイナカに来ています。
写真のような雰囲気のところです。
ガラガラヘビもいます。
泊まっているボーテル(ボロボロのモーテル)はネットのアクセスが
いまどきダイヤルアップしかありません。
(↑江戸か)
(↑ダイヤルアップは江戸じゃねーだろ)
何しにこんなところに来ているかというと…
◆◆◆
アイダホ州というところがあります。
超ドイナカです。
「アイダホ・ポテト」
って、聞いたことあります?
アイダホ州は、ジャガイモの産地として有名なところです。
他には大豆も作ってます。
昨今の「日本食ブーム」で豆腐に使う大豆がよく売れているので、ほくほく顔(←死語)をしています。
ホントに一番ほくほく顔(←死語)をしているのは、農家さんではなくてカーギルだと思いますが、それを言うと陰謀に巻き込まれてしまうので、言わないことにします。
(カーギルと陰謀の関係については、ここをクリックしてください)
アイダホ州とワシントン州の境目で大豆を作っている農家さん(ほくほく度:7)からこんな電話相談を受けました。
「ジョン・ソイビーンというケチな野郎でござるが」と電話の声の主は言いました。「おれのこと、覚えているかね?」
「は?」
「むかしケンタッキーにいたんだけどね。あんたの取材を受けたことがあるよ」
「なぬ!(←死反応)。ひょっとするとあんたはあのジョンか?」
「そのジョンでござる」
「で相談でござるが」ジョンは言いました。「あんた日本人でござるな。トウモロコシ買ってくれないかな?」
「さっき昼メシを食べたばかりだよ」僕は言いました。
「食べてほしいのではござらん。そんなことのために電話するわけがないだろ」
「あはは。そりゃそうだ。これは一本取られたね」
なにを一本取られたのかさっぱりわかりませんが、和気あいあいとした会話は続きます。
◆◆◆
要するに、こういう話でした。
日本でも新聞やテレビで報道されていると思いますが、一昨年から石油の価格が高騰しています。
ということはガソリンの価格もすごい値上がりしています。
ひょっとしたら皆さんのなかにも、
「いままでハイオク入れてたけど、レギュラーにしよ」
「なるべく電車に乗ろう」
なんてドライバーの方がいらっしゃるかもしれません。
石油が値上がりしている理由は主に2つです。
1) 中東の産出国が石油の生産量を上手にコントロールしていること
2) 中国あたりが急激に経済発展をし、急激に石油を買い始めたこと
理由はどうあれ、クルマ社会であるアメリカでは、石油の値上がりは大問題です。
「石油に代わる燃料を探せ」
ということで、いろいろ大騒ぎしまして、目をつけられたのが
「バイオエタノール」
でした。
バイオエタノールとは、植物から作るエタノール(エチルアルコール)です。
ガソリンと混ぜて使います。
なかでもトウモロコシが向いているというので、アメリカでは食料ではなく燃料向けのトウモロコシが高値で飛ぶように売れました。
これを横目で見ていたジョンは、
「おれもトウモロコシを作るでござる。大豆もまあまあ儲かったでござるが、トウモロコシはもっと儲かるぞ。ムフフ」
と考えました。
彼は最初、アメリカ国内向けにトウモロコシを出荷しようと思ったそうですが、
「石油が値上がりすると、日本はもっと困るに違いない。トウモロコシを欲しがるに違いござらん」
と考え、日本向けに輸出することを思いつきました。
で、手軽なところで僕に電話してきた、と、こういうわけです。
◆◆◆
ジョン・ソイビーンの農場は飛行機で飛ぶような距離でしたが、いろいろ事情があって僕はクルマを走らせました。
早朝に出発し、荒野を休みなしで走り、ジョンが予約してくれたボーテル(ボロボロのモーテル)に着いたのは夜の9時。
マジで疲れました。
ボーテルにチェックインすると、ジョンからのメモ書きがありました。
読みにくい字で、こう書かれていました。
「ワイフに浮気がバレたでござる。ちょっと仕事どころではござらん。数日そこで待っていてくれ。かたじけない」
またかよ…
その場に茫然と立ちすくむ松宮でありました。
(以下次号)
農業や田舎暮らしに興味のある方は是非のぞいてみてください。
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◆◆◆
チーフの松宮園生です。
(前回までのあらすじ)
流しの料理人ラザフォードの呼びだしでアラスカに向かった僕。
メタボ女性に阻まれながらも、タクアン航空のパイロット、これまたメタボ体型のスケタロー社長が操縦する小型飛行機でようやくメトラカトラ島に到着します。
◆◆◆
メトラカトラ島はもともとは無人島で、住民というのはいません。
ただし、栂(ツガ)や杉やヒノキやトウヒなどの針葉樹が生い茂っているために、輸出用の森林伐採がさかんに行われているところで、木こりのキャンプというものがありました。
ラザフォードが
「キャンプまで来い」
と言ったのは、木こりのキャンプだったのです。
スケタロー氏は波打ち際に作られた着水用の桟橋に、プロペラ機を横づけしました。
その音を聞きつけ、口髭をたくわえた小柄なラザフォードが、のたのたとやってきました。
「久しぶりだなー。よく来たね」ラザフォードは言いました。「まあとにかく何か食おう。食いものはすべてに優先する。あんたも来いよ、スケタロー」
さっそくメシの話でした。
「食いものはすべてに優先する」、なんてセリフ、なんだか暗殺された食通政治家の、いまわの一言みたいです。
木こりのキャンプはプレハブで、桟橋に隣接したかたちで設営されていました。
まんなかに事務所棟と食堂があり、周囲に宿泊棟があります。
木こりの人たちは、4人くらいでひとつの部屋をあてがわれ、そこで寝起きしているようでした。
来客用の部屋もあり、僕はそこに泊まるようです。
木こりたちは全員、現場に出払っているらしく、キャンプはがらんとしています。
ラザフォード、スケタロー、マツミヤの3人は食堂に入りました。
なんともいえないいい匂いが充満しています。
「サンドイッチ食おう」ラザフォードがいいました。「木こりたちは弁当にこのサンドイッチを持っていったから、ここにあるのは残りもんだがね」
食堂の中心に大きなテーブルがあり、そこにサンドイッチの食材が並んでいました。
全粒粉の大麦パン
カリブ風ジャーク・ハムと呼ばれるスパイシーなハム
ワラワラオニオンと呼ばれる、甘味の強い玉ねぎ
ロメインレタス
ランドレイク社製のスライスチーズ
刻みハラペーニョ
大玉のトマトのスライス
パイナップルを刻んで少し焼いたもの
ワカモレ
それぞれが別々の大皿に盛られています。木こりたちはそれを好きなように好きなだけ大麦パンにはさみ、お好みでチリペッパーソースをかけたり、黒コショウをふりかけたりして、弁当として持っていくわけです。
3人はそれぞれ自分流にサンドイッチを作りました。スケタローは辛いのが苦手のようで、ハラペーニョを入れませんでしたが、僕は辛いのが大好きなので食材を全部、大麦パンではさみました。
いやー、その美味だったこと。
さすがラザフォード、食材の仕込みに工夫が凝らされています。
食材の選び方はもとより、ワラワラオニオンの切り方の絶妙さ、パイナップルの焼き具合、ワカモレの濃さ、どれをとっても何でも鑑定団風にいうと「いい仕事してますねえ」。
チリペッパーソースもラザフォードの自作です。これが辛くてうま味がある。
アラスカは林業がさかんです。
木こりの仕事は報酬が高い仕事のひとつで、高い報酬をもらう代わり、彼らはメトラカトラ島のような離れ小島で半年間、キャンプ生活をします。
楽しみはあまりありません。
男ばかりのキャンプです。しかしヘテロしか許されません。
争いを防ぐためにキャンプでは酒を飲むことが厳しく禁じられています。
ギャンブルも原則禁止です(多少のカードゲームは許されています)。
離島ですのでテレビもありません。買い物をする場所もありません。
自然が美しいのと、読書をする時間がたっぷりあるくらいでしょうか。
そういう娯楽のないところですので、キャンプの食事がうまいかまずいかは大問題です。
食事のまずいキャンプでは、木こりの仕事の効率も落ちます。やめる木こりもいます。
食事がおいしいキャンプでは、木こりも気持ちよく働きます。なかなかやめません。
サンドイッチひとつといえども、手を抜けないのです。
そういうわけで、アラスカの林業会社は、腕のいいコックに高い報酬を払ってキャンプに招聘(しょうへい)しています。
ラザフォードは、そうやって招聘されたわけです。
(次号予告)
ラザフォードが「体にやさしく美味」な料理を作っているおかげで、メトラカトラ島にはメタボはいません。
しかしアラスカはもともと「メタボ州」と呼ばれるほど、肥満の目立つところです。
なぜそうなのか。次回はその謎を探っていきます。