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松宮園生です。
僕自身がベジタリアンというわけではないけど、
ベジタリアンには興味があるので
ときどきそういう話を書きます。
西暦2000年(今から7年前)の時点で、
アメリカにいるベジタリアンの数は
570万人と推定されていました。
あれからベジタリアンの数も増えているように
見えますので、今頃は600万人とか700万人
とかいるんじゃないかと思ってます。
ただし一言でベジタリアンといっても、
* 厳密に植物性のものにこだわる人
* キホン植物性だけど、たまには肉を食べたりする人
などいろいろいまして、分類するといくつかの「階級」に分かれます。
(詳しい話はここをクリック)
いずれにしてもベジタリアンの数はアメリカに数百万人いるわけで、それだけたんといますと、
「ベジタリアン文化」
みたいなものも形成されちゃいます。
たとえば
* 商業ベースに載るようなベジタリアン雑誌が発行される
* ベジタリアン専門の出会い系サイトが生まれる
* ベジタリアン専門店が流行る
ようなことが起きています。
「VegNews」
というメジャーなベジタリアン雑誌があります。
「ベジニュース」と発音するのか「ベグニュース」と発音するのか知りませんけど、だいたい全米で10万部くらい発行しているようです。
この雑誌は年に1度
「ベジタリアン賞」
というものを発表しています。
毎年やってまして、受賞するとそこそこ名誉です。
今年(2007年)の受賞はこうなっています。
レストラン賞:「スパイラルディナー & ベーカリー」(テキサス州フォートワース)
商品賞:「ナソダ」(完全オーガニックのドレッシング)
パティシエ賞:ハンナ・タイさん
ビール賞:「メイトビザ」
料理本賞:「The Joy of Vegan Baking」
ブログ賞:エコラッツィー
ショップ賞:「ザ・センシュアル・ビーガン」
セレブ賞:レオナルド・ディカプリオさん
レオナルド・ディカプリオを除けば、日本にはなじみのない人や物ばかりですけど、もし皆さんのなかに遠からずアメリカに旅行とかする予定がある人がいたら、
* 「たまには美味しいベジタリアン料理店でも行ってみたい」と思ったら、上記の「スパイラルディナー & ベーカリー」に行ってみるとか(遠いか)
* 「料理好きの友達への土産に気の利いたものを買いたいな」と思ったら、上記の「ナソダ」ドレッシングを買ってみるとか、
* 「家の本棚に英語の料理本でも飾りたい」と思ったら、上記の料理本を買ってみるとか、
ま、よかったらそんな感じでどうぞ。
注目はベスト・ショップ賞の「ザ・センシュアル・ビーガン」で、ベジタリアン専門の(=動物性を一切使っていない)コンドームとか、そのテのものを売ってます。
東京は原宿の「コンドマニア」をご存じの方がいたら、あれのベジタリアン版だと思ってください。
今回はこんなところで。
松宮園生です。
(前回までのあらすじ)
ザイオン共和国で起きた、モーフィアスによる
「食育革命」
の影響を受け、日本にも
「日本あかるい食育党」
が誕生しました。
と想像してみてください。
(ザイオン共和国およびモーフィアスについてはここをクリック)
「日本あかるい食育党」の党首(なぜかちょっとメタボ)の選挙演説を聞いてみましょう。
◆◆◆
有権者のみなさあん。
わたくし、このたび衆議院選挙に立候補いたしました、「日本あかるい食育党」総裁、佐久間象子です。
わたくし、
* 管理栄養士
* 栄養教諭
* フードコーディネーター
なんですよ。
それから
* 食育必死講座1級
* 食育プリーチャー
* 食育推進士試験ムラサキ合格(←?)
* 炭水化物のソムリエ
* 日本カルパッチョ協会認定カルパッチョ講師
でもあるんですよ。
だからというわけじゃありませんが、わたくし、食育ならだれにも負けません。
(思いっきり「だから」って言ってるよ、この人)
みなさん。
日本は食育の国だって知ってましたか?
え、知らない?
ああなるほど、知らないんですね。
じつは日本は食育の国なんですよ。
だから食育が大事。
言われてみれば、そう思うでしょう。(←思うの?)
そのことを知らない人が多すぎる。
年金問題なんて食育の問題に比べたら、そんなのもう。
食育の大切さ、ひろく国民のみなさまに知らせなきゃ。
そう思って立候補したんですよ。
(年金問題を見下してるよ、この人)
日本は朝ごはんの国だって知ってましたか?
日本は朝ごはんの国なのです。
だから朝ごはんを食べないと、日本は日本でなくなるんですよ。(←そうなの?)
石油の値段が上がってる?
なにを言ってるんですか。
そんなの、地産地消しないからダメなんですよ。
国産の食べものを食べればフードマイレージが減って環境負荷も減って石油なんかに頼らなくったって何とかなります。
石油の値段が上がっても日本は大丈夫なんですよ。
でも朝ごはんを食べないで日本は大丈夫なんでしょうか?
(ずいぶんぶっ飛んだ質問です。返事に困りますね)
朝ごはんを食べるときは、家族団らんで、箸を上手に使い、いただきます・ごちそうさまを言うんです。
それが日本です。
知ってましたか?
家族団らんです。
個食はいけません。
命をいただくからいただきますなんですよ。
それに比べたら、防衛省の事務次官がああしたのこうしたの、大したことないじゃありませんか。
(そんなの比べろって言われても…)
みなさん。
食育って大事なんです。
それを広く伝えたい。
ニンジンにはリコピンがあるんです。
トマトにはナスニンがあるんです。
ナスにはビタミンC。
レモンにはカプサイシン。
トウガラシにはアリシン。
タマネギにはベータカロチン。
知ってましたか?
食育を勉強したら、こういうことが言えるようになるんです。
そしたら、凶悪な犯罪も減るんです。
素晴らしいとは思いませんか?
(野菜と栄養素の組合せ、1個ずつずれてるよ)
みなさん。
そして有機農業を大事にしましょう。
子どもたちをつれて有機農場に行きましょう。
命に触れて。
取れたての有機ピーマンのおいしさを伝えましょう。
知ってましたか?
それが日本です。
日本はお米の国です。
アイガモで作ったお米はおいしいんですよ。
お米のレシピはお任せください。
当選したあかつきには、国民のためにレシピを提供することをお約束いたします。
(欲しくありません)
日本あかるい食育党はこれからも国民の皆さんに食育の大切さを説いてまいります。
日本あかるい食育党。
わたくし、総裁の佐久間象子です。
佐久間象子。
佐久間象子。
みなさんの1票が、わたくしの食育活動の源泉でございます。
佐久間象子。
佐久間象子。
佐久間象子です。
佐久間象子を男にしてください。(←医者いけば?)
なにとぞ、なにとぞ。
皆さんの清き1票をお願いいたしまあす。
◆◆◆
<選挙結果 ★…当選>
★赤島幸雄(自民 新) 155,745票
★大池薔薇子(民主 新) 149,970票
葉竹乃木夫(無所属 新) 26,022票
小判ゆかり(無所属 新) 9,914票
(中略)
佐久間象子(食育 新) 6票
この結果に怒り狂った佐久間象子は、ますます食育に傾倒し、
「アーケイディア食育原理主義教団」
に入信、各地で
「学校給食の献立に異議あり!」
というビラをまくなど、「食育テロ」を起こすようになります。
人々は苦笑いをしながら、触らぬ神にたたりなしという呪文を唱えつづけましたとさ。
◆◆◆
<エピローグ>
佐久間象子の獲得した6票のなかに松宮園生が含まれているのではないかという疑惑があがっています。
本人は強く否定していますが、警察による取り調べが淡々と進められています。
松宮園生です。
サンクスギビング(感謝祭)・ホリデーと
呼ばれる連休が明けました。
アメリカもこれからクリスマスの準備に
入ります。
サンクスギビングからクリスマスまでの
約1ヶ月は
「ホリデーシーズン」
と呼ばれています。
家々はクリスマスのイルミネーションに
飾られます。
住宅街によっては街ぐるみでイルミネーション
を派手にしている場合があり、それを見物に
来る人々でさながらちょっとした観光地
みたいになっています。
ふだん人と別れるときの挨拶は
「Have a nice day.(よい1日を)」
だったり
「Have a good week end(よい週末を)」
だったりしますが、この時期はそれが、
「メリークリスマス」とか
「Happy Holidays.(楽しい連休を)」
とかに替わります。
昨年の今頃ですが、クライアント企業がクリスマスパーティーをするというので、余興(←死語)として日本のクイズダービーもどきを企画してあげたら結構ウケました。
(クイズダービー、昭和のクイズ番組ですけど、みなさんご存じですか?)
で、今年も何かそこそこ大掛かりな余興を企画してくれと言われています。
さて何にしようかな。
気前のいいことに、今年は企画料(小遣い程度だけど)をくれるそうです。
◆◆◆
この時期は(日本もそうだけど)ホームパーティーが開かれることが多かったりしますね。
アメリカのヘルシー系の料理雑誌なんかを本屋で立読みすると、今年は
「ストレスフリー(ストレスのない)パーティー食」
というテーマの記事が目立ちます。
ふうん、今年はそういうパーティーが流行りなんだ。
日頃ストレスを抱えているゲストの方々のために、ヒーリング効果のある食事を出してあげたりするのかな。
最初はそう思いました。
ところが読んでみると違ってた。
こういうことでした。
↓
「ホームパーティーなんて、実は面倒くさいのよね。料理作るのもヤ。ベジタリアンの人がいたらどうしようとか、考えなくちゃいけないし。後片付けもヤだし。ケータリングで済ませたいけど、そんなことしたらダンナがヤな顔するし…。ああ、考えただけで胃が痛い」
そう考える21世紀型ストレス主婦。
「今年も女房はパーティやりたいんだろうな。金がかかるからヤだなあ。胃がイテテテテ」
そう悩む21世紀型ストレス男性。
要は、けっこうみんな、パーティ開くのがストレスだと思ってるみたいです。
そんな本心はあんまり社交的でない人たちのための、
「準備・後片付けにストレスを感じず、かつ来客をがっかりさせないパーティ料理メニュー」
の提案記事でした。
つまり、ゲストじゃなくてホスト(ホステス)のためのストレスフリー食なのでした。
いろんなストレスがあるんだね。
ストレスも複雑化しています。
◆◆◆
会社がクリスマス・パーティを開く。
自社の社員だけじゃなく、その家族や友人、取引先の人々(+その家族や友人)も招いて賑やかにやる。
そういうパーティもアメリカではよくやってます。
「パーティ」と呼ばずに「レセプション」と呼ぶのが普通みたいです。
招かれた人たち(取引先の人々)は事前に招待状を受け取りますが、そこにも「パーティ」という言葉はなく、「レセプション」と書かれています。
その招待状の最後によく
「R.S.V.P」
と書かれています。
何これ?
ブランデーの名前?
最初は何のことか分からず困りましたが、
「出欠の返事をください」
という意味だそうです。
もともとフランス語のようなのですが、英語圏でも使われています。
さて、昨年そういう「レセプション」に出かけたときのこと。
年配の女性が立ち話をしていました。
久しぶりに会ったらしく、お互いの近況などを話していたようです。
その後、配偶者はどうしているかという話になりました。
「リックは先週亡くなったのよ」片方の女性が言いました。「夕食を作っている途中に、とつぜん心臓麻痺で倒れちゃって…」
「まあお気の毒。そうだったの…。それでどうしたの?」
「しかたがないじゃない。自分で作ったわよ」
松宮園生です。
過去に何度か、
「食育体温計」
と称して
「アナタの食育萌え度合」
を診察させていただきました。
今回はその番外編です。
普段から疑問に思っているけど、そいえばいまだに知らないなあ。
そういうのを並べてみました。
だれか知ってたら教えてください。
疑問1。
■桃太郎を運んできた桃って、何という品種の桃?
(解説)
あんなに先の尖った桃は見たことないし、僕の知っている桃は水に浮きません。
疑問2。
■映画でみるガイジンって、恋人とか夫婦なのにときどき細長ーいテーブルの向こう側とこっち側に座って食事してるよね。
なんであんなに離れて座るの?
(解説)
相手に暗殺されるのを恐れてるのでしょうか?
でも、だとしたら暗殺してくる恐れがある相手と、なぜ食事するの?
疑問3。
■「千年のあいだ火を絶やしていない鍋」って、どこにあるの?
(解説)
中国のどっかにあるって聞いたけど、具体的にどこなのかを知ってる人に会ったことがありません。
疑問4。
■トルコ料理って、世界3大料理のひとつって言われるけど…。
a: 3大料理って誰が決めたの?
b: トルコ料理って、なんかあまり文化的な奥行きがそんなに感じられないんだけど、ホントに世界的に評価が高いの?
(解説)
べつにトルコ料理をけなしているわけではなくて、3大料理あつかいするほど凄い理由が分からないのです。
疑問5。
■牛乳、飲め・飲むなで論争してたと思うけど、その後どうなったの?
(解説)
たしか公開質問状とか、出てたよね?
「飲むな派」がはげしく「飲め派」を攻撃してて、「飲め派」が公開質問状を出して反撃したとこまでは知ってる。
その後のことが分からない。
早く勝負がついてほしいなあ。
疑問6。
■イチロー選手、野菜食べないってホント?
(解説)
こないだ、シアトルのテレビ解説者がそんなこと言ってた。
野菜食べなくても大リーガーになれるって「食育原理主義」の人たちが聞いたら、ショックだろうなあ。
疑問7。
■やっぱしさあ、ウコンって、ネーミングといい色といい形といい、ビミョーに間違った想像しそうですよね。
名前、変えたほうがいいと思うよ。
(解説)
誰にむかって言ってるの?
つーか、疑問になってねえ!
松宮園生です。
(前回のあらすじ)
流しの料理人ラザフォードから、大量のフラックス
シードを2回も送りつけられた僕。
1回目はすぐに転売したのでよかったのですが、
2回目のは転売禁止になっていました。
そのため、アパートがフラックスシードの袋で
足の踏み場もないほどでした。
◆◆◆
フラックスシードは、アマニ(亜麻仁)ともいいます。
* フラックス=亜麻
* シード=仁(=種のこと)
です。
地中海地方原産の植物で、ヨーロッパでは「健康によい食べもの」として広く普及しているそうです。
日本人にはあまりなじみがありません。
日本人はゴマをよく食べますね。
じつはフラックスシードは、ゴマとよく似ています。
どちらも種を食用としています。
ゴマにはゴマ油があるように、フラックスシードにはフラックスシード・オイル(亜麻仁油)があります。
ゴマが日本人や中国人に愛されているように、フラックスシードはヨーロッパ人に愛されています。
おいしさ度・健康度も同じくらいの感じです。
たとえば
* 日本人ひとりあたりゴマを食べる量
* ドイツ人ひとりあたりフラックスシードを食べる量
この両者はほぼ同じだそうです。
カナダにサスカチュワン州というところがありまして。
ここがフラックスシードの最大の生産地らしく、サスカチュワン州の企業は何とかして日本人にゴマの代わりにフラックスシードを買ってほしいと思っています。
僕も相談を受けています、
しかし日本人に
「ゴマを捨ててフラックスシードを食え」
といっても難しいだろうなあ。
さて、アパートに送られてきた1トン分のフラックスシード。
25kg入りの袋が、40個もあります。
これをどうしようか。
ビールのつまみに食べました(旨い)。
シリアルに混ぜて食べました(ヘルシい)。
パンにまぶして食べました(旨い)。
しかし「在庫」はまだまだあります。
知り合いの日本人に配りました(わりと好評)。
浮気農家のジョン・ソイビーンに「何とかしろ」と袋を押しつけました(こいつは商売になるなら何でもします)。
でも「在庫」はまだまだあるのでした。
誰か買って。
または大量に食べに来て。
◆◆◆
そもそもなぜラザフォードがフラックスシードを送ってきたのかというと、こんないきさつがありました。
去年のある金曜日。
新しいクライアント(日本に食品を輸出したい会社)をラザフォードが紹介してくれるというので、いそいそと出かけた僕。
クライアントのオフィスまで2時間の長距離ドライブです。
僕のクルマ(ビューイック)で出かけました。
ラザフォードと僕は、交代で運転することにしました。
クライアントとの好意的な面談を終えた帰り道。
ラザフォードが運転する番でした。
エバレットというところにさしかかったところで、
「知り合いに挨拶をしたい。ちょっと寄っていいか。10分で済む」
とラザフォード。
「どうぞ」
僕が答えると、ラザフォードはハンドルを右に切ってフリーウェイを下り、エバレットの市街地に入っていきました。
彼がクルマ(ビューイック)を停めたのは街外れの製材所です。
「ここの社長が意外にグルメでね」ラザフォードは言いました。「ときどき仕事をくれるんだよ。お前も来るか? 紹介しよう」
ラザフォードと僕はクルマを降り、工場のほうに歩き出しました。
数歩と歩かないうちに、事件は起きました。
ガシャン!
背後で大きな音がしたのです。
振り返ってびっくり。
なんと僕の身長より直径の大きなタイヤを持つペイローダー(工事現場などで使われる、運搬用の大型機械)が、ビューイックに背後から激突していました。
もうすこし正確にいうと、ビューイックの後ろ半分が巨大なペイローダーの下敷きになっていました。
(オスのアフリカ象が、小柄なメスの鹿と交尾しようとして失敗し、鹿が圧死しかけている…)
自分のクルマが潰れているというのに、僕はそんなけしからん想像をしてしまったのでした。
ケガ人は誰もいませんでした。
ペイローダーも無事でした。
破壊されたのはビューイックのみ、ただし修理不可能です。
とりあえず僕は保険会社を呼び、あらわれた担当者に事故処理をやってもらいました。
保険金でクルマを買うことができるというので、そっちのほうもひと安心です。
ただ、保険金の額の問題で、前と同じビューイックを買うことはできませんでした。
格落ちの小型車になってしまいました。
つまり実質は、お金を損したわけです。
↑
ラザフォードはこの点を申し訳ないと思ったようです。
「あそこにクルマを停めたおれにも大いに問題がある」ラザフォードは殊勝にも言いました。「前方不注意なペイローダーが一番悪いんだが」
で、だいぶたってからですがお詫びにフラックスシードを送ってきたのでした。
(なぜそれがお詫びになるかは、前回をお読みください)
◆◆◆
書いてて思い出したのですが、その日はもうひとつ事件がありました。
名づけて「スピード事件」。
「クルマ大破事件」が起きるほんの2時間前のことです。
ラザフォードと僕は交代で運転をしていましたが、そのときもラザフォードの番でした。
何のきっかけだったか、ラザフォードが資産運用の話をし始めまして、そのうちぷりぷり怒りだしました。
前の年に購入した投資信託の成績が不満だというのです。
彼はFRB(連邦準備銀行)の金利政策が間違ってるとか、ブッシュ政権の経済運営スタッフは阿呆だらけだとか、アメリカにはろくなファンドマネージャーがおらんとか、いろいろまくしたてました。
(投資信託の成績が良ければ、逆に褒めちぎっていたに違いありません)
「言いたいことは言い終わったかい」僕は助手席で答えました。「じゃあ悪いけど、次はスピードメーターを見てくれ」
助手席の僕からはスピードメーターが見えなかったのですが、周りの景色が異常な速さで遠ざかっていくのを見れば、スピードを出しすぎているのは明らかでした。
案の定、後方から点滅するライトが迫ってきました。
パトカーです。
ラザフォードは「ちっ」と舌を鳴らし、さらにアクセルを踏みました。
スピードを上げてパトカーを振り切ろうとしたのです。
「おいおい、それはヤバいよ」
僕は大声を出しましたが、ラザフォードはますますスピードを上げました。
「やめろってば!」
ようやく、ラザフォードは我にかえった様子でブレーキをかけました。
「ついついカッとなっちまった」
ラザフォードはばつが悪そうにつぶやきました。
クルマを寄せ、おとなしく待っていると、警官がやってきました。
「何で止められたか分かってるかあんた」と警官。
「たぶんね」とラザフォード。
「免許証、見せてもらおうか」
黙って免許証を差し出すラザフォード。
警官は言いました。
「おれは明日から休暇でね。今日もそろそろ切り上げて帰ろうと思ってたんだ。それなのにスピード違反なんかしやがって。おまけに逃げようとしただろ、あんた」
「…」
「おれだって意地悪で取り締まりをしているわけじゃない。できればやりたくないんだ。帰りたいんだ。違反切符を切ったり書類を書いたりするのにどれだけ手間がかかるか、あんた考えたことあるか」
引き続きラザフォードが黙っていると、警官は続けました。「というわけでおれも早く帰りたい。あんたの言い訳しだいでは、見逃してやってもいい。どんな理由でスピードを出したのか言ってみな。今まで聞いたこともないような言い訳を言うことができたら、合格だ」
そう言われて、ラザフォードは少しのあいだ考えました。
それから、こう言いました。
「先週、女房が警官と駆け落ちしちまって。さっきは、てっきりあんたがその警官で、彼女を返しに来たんじゃないかと思ったんだ…」
「よい週末を」
警官は言い、パトカーは去っていきました。