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松宮園生です。
メタボ警察の片棒をかつぎ、メタボな人を追いかけて捕まえては
メタボ刑務所に送り込む、食育ロボットのアンドリュー。
天才科学者ロバート・シトピッチャン教授が開発した人間型ロボットです。
その食育ロボットですが、それがアナタ、驚きましたよ。
アンドリューのやつ、ブログを書いてやがったのです。
こんなブログです。
◆◆◆
ブログの題名: 「愛ロボット」
<アンドリューさんのプロフィール>
わたしはアンドリュー。
正式には「アンドリュー77型 製造番号14」であります。
日本食育大学のロバート・シトピッチャン教授によって開発された食育ロボットです。
* 身長: 170センチ
* 体重: 89チログラム。数字だけ見ると肥満でありますが、メタル製ですので身長のわりに重いのであります。
* 職業: 食育
* 好物: 交流電気(とくに50ヘルツ)
* 趣味: 罰を与えること
* 得意技: 徹夜
* 苦手なこと: 暗算
* 貯金: 883円
* その他: ロボットではありますが、合体とか巨大化とかはお断りいたします。
(チログラム?)
<アンドリューさんの最新日記>
「うららかな食育日和」(3月11日)
今日はいい天気。
「こんな日は、お外で食育したい」と思い、
わたしはアースカラーのダウンジャケットを羽織って太陽の下へ。
わくわく気分で、縄張りを巡回しましたあ。
(服、着るのかよ)
(縄張り? 巡回? ←猫か)
むかうは近くの公園。
いつのまにか桜が…。
春色の空に、白紅色の花びらが顔をチラチラさせていて愛らしいのであります。
池のほとりでデジカメをバシャリ。
最近、アンドリューの心に美意識が芽生え始めましたよ。
親子がお弁当を食べています。
ちょっと拝見。
おやおや、コンビニ弁当をお弁当箱に詰め替えただけじゃないですか。
ダメダメ、そんなことじゃあ。
若い母親に愛のロケットパンチをお見舞いするアンドリューなのです。
でもロケットパンチをしたあとは、落ちた拳(こぶし)を拾いにいかなくちゃいけません。
遠くに飛んでいった拳(こぶし)を探すのに30分もかかっちゃいました。
やっと発見し、ついていた血のりをぬぐってから、装着。
それから池のまわりを1周。
遠くで救急車のサイレンの音。
池の散策を堪能したあと、看板に惹かれてオーガニック・コーヒー屋さんへ。
「本当にオーガニックなの?」
「有機JAS認証を見せてください」
「トレーサビリティはしっかりしているの?」
「フェアトレードって知ってますか?」
さんざん追及するアンドリュー。
バイトの店員が泣きだし、マスターが怒り出します。
ちょっとやりすぎちゃったかな。
でも食育は大切なんです。
くじけませんよ。
ところで、実を言うとわたしはコーヒーを飲むことができません。
頼んだコーヒーはそのまま手をつけず、電源コンセントを借りて自分をチャージしながら、読書を楽しみました。
帰る途中で、デパチカ探訪です。
電卓をたたきながら、並んでいる食品やお惣菜の自給率をチェック。
わたしは、メニューを見ただけで食材の自給率がだいたい分かるんです。
このデパチカの平均自給率は22パーセントでした。
ちょっと低すぎますね。
隣のデパートは、28パーセントでしたよ。
わたしは「責任者を呼べ」と大声をだし、あたりは騒然となります。
やってきた責任者に、愛のスペシウム光線をお見舞いするアンドリューなのです。
スペシウム光線はロケットパンチと違い、出しっぱなしで済むので助かります。
何かを拾わなくてもいいので…。
担架で運ばれる責任者。
その哀れな姿を尻目に、わたしは「完全地産地消! あらゆる材料が国産でできた鍋焼きうどんセット」を購入。
ルンルン気分(←死語)でお家に帰りました。
自分では食べないんですけど、こういう「食育商品」を見つけると仕事の励みになります。
どうせ仕事をするなら、イヤイヤじゃなく、ハッピに。
自分がハッピになる工夫をしていきたいのであります。
(ハッピじゃなくてハッピーだろ)
そんなこんなで、いい天気の中、ゴッキゲン(←死語)な1日を過ごしました。
◆◆◆
こんなブログでした。
よくある「わたしの生活ってステキでしょ」系の文体なのに、内容がコワイ…。
松宮園生です。
<ファッショナブルな食育>
ファッション誌には、よくこういうのが記載されていますね。
↓
ジャケット(タケオ・キクチ) 72,000円
シャツ(コム・デ・ギャルソン) 22,000円
ネクタイ(ドルチェ & ガッバーナ) 12,500円
さて。
ファッション系のブランド各社が、農作物を作り始めたとしましょう。
料理雑誌の書き方がこんなふうに変わったりして。
↓
「マッシュルームのリゾット オレゴン風」
マッシュルーム(コムサ・デ・モード) 250円
シイタケ(カルバン・クライン) 200円
タマネギ(メンズ・ビギ) 120円
長粒米(トゥモローランド) 120円
参考商品:パルメザンチーズ(福助)
<非ファッショナブルでキケンな食育>
夜の繁華街の路上で、こんな会話が交わされたりして。
「そこのイケメンのお兄さん」
「え? おれのこと?」
「そう、あ・ん・た。最近、メタボ対策してる?」
「メタボ対策? そういえば、このところご無沙汰だなあ」
「でしょー。だってお腹、出てるし」
「そんなに出てるかなあ」
「しっかり出てるよ。それ、ヤバい。彼女、逃げちゃうよ」
「いやー、参ったなあ」
「いただきますって、ちゃんと言ってる?」
「うーん、そういえば、このところ言ってないかなあ」
「でしょー。だって顔色、よくないし」
「いただきますを言わなかったら、顔色悪くなるわけ?」
「決まってるじゃない。学校で教わったでしょ」
「そっかー、言われてみればそんな気もする。参ったなあ」
「農作業してる?」
「は? おれ農家じゃないけど」
「農家じゃなくたって、農作業はやんなきゃ。援農ボランティアとか、市民農園とか、あるでしょ」
「うーん」
「農作業しないと、自給率、下がっちゃう…」
「それって、おれの問題というより、国の問題じゃね?」
「なに言ってんの。そんなことじゃ、農業の活性化は進まないわよ」
「そうかもねー」
「だからさ、たまには楽しく食育でも、どう?」
「食育ねえ…」
「安くしとくわよ」
「どうしようかなあ」
「たまには、いいじゃない。思い切り弾(はじ)けちゃいなよ」
「食育って、弾(はじ)けるものなの?」
「そうよ。ね? だから一緒に食育しましょうよ」
「そっかー。そうだなあ。たまには、食育もいいかなあ」
「そうこなくっちゃ。ではご案内します。…お一人様、ご案内でえす」
松宮園生です。
アメリカに
「ナチュロパシー」
と呼ばれる分野があります。
世界各地に伝わっている健康法や治療法、食事療法なんかを総合的に研究しています。
ナチュロパシー専門の大学もいくつかあります。
こうした大学で6年間かけてしっかり学び、州政府が実施する試験に合格すると
「ナチュロパシック・ドクター」
として認定され、開業することができます。
いわゆる医者(メディカル・ドクター)とは違うのですが、治療みたいなことをすることが許されています。
メディカル・ドクターで食の世界に詳しい人は少ないです。
しかしナチュロパシック・ドクターは大学で食の勉強もしっかりやりますので、
「食にやたら詳しい医療技術者」
というイメージがあるようです。
◆◆◆
友人のヨロオネ先生はナチュロパシック・ドクターです。
シアトルにある「バスティーア大学」を卒業し、試験にうかって開業しました。
(バスティーア大学は全米でも有数のナチュロパシー大学です)
ヨロオネ先生はケイン・コスギにちょっと似ててまあまあの男前です。
さすがに身体能力はケインほど高くはないと思うけど。
マジメ系で、礼儀正しいイメージもなんとなく似てます。
彼は人気のあるナチュロパシック・ドクターです。
人気の秘密は何だと思うかと聞いたところ、
「ナチュロパシック・ドクターといえども、大事なのは知識やスキルじゃなくて、人間。人間を理解する力ですよ」
というのがヨロオネ先生の答でした。
人間を理解?
たとえばこんなことがあったそうです…。
◆◆◆
春もうららなある日。
若いきれいな女性がヨロオネ・クリニックにやってきました。
「サンドラ・ジョーンズといいます」診察室で、彼女は上目づかいにモジモジしながら言いました。「先生あのね、太ももの内側が赤く腫れて痛いんです」
「そうですか」
ヨロオネ先生は警戒しながら応えました。
ここで気軽に「どれどれ拝見」というわけにはいかないのです。
セクハラと思われないような対応をしなければなりません。
ヨロオネ先生は落ち着いて言いました。
「患部を私に見せて治療を受けますか? それとも見せずに治療を受けますか?」
「見せるのはとっても恥ずかしいんですけど」とサンドラ。「先生にだったらいいわ、あたし…」
スカートに手をかけたサンドラを、ヨロオネ先生はあわてて押し止めました。
「ちょっと待ってください」
先生はアシスタントの女性を呼び、立ち会うよう指示しました。
女性アシスタント同席のもと、ヨロオネ先生はサンドラの内股を診察しました。
サンドラの腿(もも)の内側にたしかに腫れ=炎症箇所があります。
きわどい位置に、全部で2箇所。
左右の腿にひとつずつです。
ヨロオネ先生は5秒で診察を終え、サンドラにスカートをはくように言いました。
◆◆◆
「さて松宮さん。ここでクエスチョンです」
と、ヨロオネ先生。
ここでクエスチョンです、って、「世界・ふしぎ発見」かよ!
中途半端なツッコミには耳もかさず、ヨロオネ先生は続けました。「あなただったら、サンドラにどんなアドバイスをしますか?」
僕は首をかしげました。「いやさっぱり分かりません。ていうか僕はドクターじゃないし」
「ドクターかどうかは実は関係ないんです」と、ヨロオネ先生。「ここで人間を理解する力がものを言うんです」
どゆこと?
続きを読んでみましょう。
◆◆◆
ヨロオネ先生が処方箋を書いているあいだ、サンドラは口をとがらせて文句をたれます。
「先生。たった5秒しか診てくださらないなんて、ひどいわ。5秒で何が分かるんですか。あたしが嫌いなの?」
その質問は黙殺されました。
「もう、先生ったら」
ほどなく、患部に塗るための混合ハーブの処方箋を、ヨロオネ先生はサンドラに渡しました。
「ミス・ジョーンズ」先生はようやく口を開きました。「私の推理ですが、ひょっとして、あなたの彼氏はハーレー・ダビッドソンに乗って、皮ジャンを愛用するタイプじゃありませんか?」
サンドラの目は驚きで丸くなりました。
「そ、その通りです。どうして分かったの…?」
「やはりそうでしたか…」
ため息をつくヨロオネ先生。
「では、その彼氏に私からの伝言を届けてもらえませんか?」
「伝言?」
「はい。伝言の内容はこうです。『おたくのピアスは本物のゴールドじゃないぜ』」
★★★
★★★
松宮園生です。
アメリカにはナチュロパシック・ドクターという専門家がいます。
食育と東洋医学を足したような領域のお医者さんです。
シアトルにバスティーア大学という有名な大学があります。
ナチュロパシック・ドクターになりたい人が通う大学です。
日本人留学生もちらほらいます。
友人の1人、ドクター・ヨロオネが2年前、念願のナチュロパシック・ドクターの
ライセンス試験に合格し、昨年クリニックを開業しました。
ナチュロパシック・ドクターのところに来るのは、
「病気を治したいが、西洋医学には頼りたくない人」
「病気ではないが、専門家の力を借りて病気予防をしたい人」
こんな人たちです。
ある日。
ヨロオネ先生の診察室に、派手な格好の年配の女性がやってきました。
「今日はどうしましたか、ミセス・メープル?」患者に安心してもらうため、優しく話すヨロオネ先生。
「オナラがでるのよ、先生」と、ミセス・メープル。「オナラが出るんです」
「人間なら誰でもオナラくらいしますよ」
「わたしの場合は、1分に1度、オナラがでるのよ。1分に1度ですよ。昨日の朝からずっとこんな感じで」
「そうでしたか。それはお困りでしょう」
「ホントですよ。理由は分からないんですが、音も匂いもしないのがせめてもの救いですわ。これで音や匂いがしようものなら、恥ずかしくて外出できませんもの」
「はあ」
「なんとかしてください先生。オナラが出続けるなんて情けなくて、情けなくて」
「分かりました」ヨロオネ先生は何種類かの薬草を混ぜ合わせる処方箋を書き、ミセス・メープルに渡しました。「バスティーア大学の付属薬局にこれを渡してください。ハーブのサプリメントを処方しておきました。3日たったらまた来てください」
ヨロオネ先生は、ハーブを使って治療をするのが得意なのでした。
3日後、ミセス・メープルが眉をつりあげて診察室に入ってきました。
「先生。先生の処方したハーブのサプリメントを飲みましたよ。そしたら症状が悪化したじゃないですか」
「悪化しましたか?」
「そうですよ。オナラは相変わらず続いてます。1分に1度、出てます」ミセス・メープルはメガネの奥からヨロオネ先生をにらみつけました。「悪化したように見えるのは好転反応です、なんて怪しいことを言うんじゃないでしょうね」
「どう悪化したんですか?」
「音が出るようになったんですよ、今朝から。昨日まで音がしなかったのに。音が出るんですよ。どうしてくれるんですか。医療ミスですか」
「そうですか。それは良かった」
「なんですって?」
「ミセス・メープル。これであなたの耳は治りました」ヨロオネ先生は言いました。「次はあなたの鼻を治すハーブを処方しておきましょう」
★★★
★★★
松宮園生です。
数年前のこと。
カリフォルニアのド田舎を鼻歌運転中、ドライブスルーの
サンドイッチ・ショップを発見し、急に食欲が湧いて車を
寄せました。
「ハーイ。お元気?」
「オレ元気。あんたは」
「元気よ。ご注文をお伺いします」
「(メニューを見ながら)シーフード・サンドイッチとコーヒーをお願いします」
「まず魚を選んでください」
「魚を選ぶの?」
「そうです。どの魚にしますか」
「どの魚って…。選択肢は?」
「ツナまたはハリバットです」
「じゃあツナ」
「すみません、ツナは品切れで」
「なんだよ。だったら初めから選ぶ必要ねえじゃん」
「ほんとにハリバットでいいのですか」
「だってツナはねーんだろ!」
(ハリバット: 白身魚の一種。デカイ。無理やり日本語でいうと、「オヒョウ」だそうです)
「ハリバットには天然ものと養殖ものがありますが」
「えっ、そうなの?」
「価格は同じです」
「じゃあ、天然もの」
「太平洋ものと、大西洋ものと、カリブ海ものがありますが」
「どう違うの?」
「産地が違います」
「そりゃそーだろ! 産地なんてオレ的にはどうでもいいんだけど。適当に決めて」
「そうはいきません。お客様に決めていただかないと」
「じゃあ、太平洋もの」
「すみません、太平洋ものは品切れで」
「じゃあ大西洋もの」
「それも品切れです」
「カリブ海ものしかねえじゃんか!」
「それも品切れです」
「ねーのかよ!」
「1マス戻りましょう。養殖ものならあります」
「1マス戻るって、あんた双六(すごろく)じゃねえんだから」
「養殖ものでよろしいですか?」
「それしかねーんだろ。で、養殖ものもまた細かい選択肢があったりすんの?」
「養殖ものは1種類しかありません」
「ほっ、よかった。じゃ、それで頼みます」
「味つけはどうしますか」
「味つけ?」
「タイ風味と、ケイジャン風味と、テリヤキ風味がありますが」
「ケイジャン風味がいいなあ」
「辛さを指定してください」
「辛さを指定?」
「1ヒー、2ヒー、3ヒーと3段階あります」
「そんな単位があるんかい! しかもそれ、なんか日本語っぽくねえか?」
(ケイジャン: アメリカ南部の料理の一種。スパイシーなのが特徴)
「辛さはどうしますか」
「じゃあ、2ヒーで」
「分かりました。ハリバットのケイジャン風味、辛さは2ヒーですね。野菜はどうしますか。レタスとタマネギとトマトがありますが」
「全部入れてください」
「地産地消ものと遠方もの、どうしますか」
「地産地消もので」
「レタスは遺伝子組換えです。プラス25セントで、遺伝子組換えでないものにできますが」
「遺伝子組換えでいいです。個人的にはこだわらないので」
「いいんですか? 遺伝子組換えですよ。不安じゃありませんか」
「そう言われたら怖くなるだろ!」
「不安に打ち勝って、遺伝子組換えのレタスを選択されるわけですね」
「だかろその言い方、やめろって」
「タマネギは、プラス25セントで、ワラワラ・オニオンに替えることができますけど?」
「あ、ワラワラは好きだな。ワラワラがいいです」
「ワラワラだと、地産地消じゃなくなりますけど?」
「(うるせーと思いながら)ワラワラにします」
「ワラワラ・オニオンは生のものと、焼いたものがありますが」
「へえ、焼いたものもあるんだ。じゃあ焼いてください」
「焼き方はどうしますか? レア、ミディアム、ウェルダン…」
「肉かい!」
(ワラワラ・オニオン: ワシントン州ワラワラで生産されるタマネギ。甘く、生でも食べやすい)
「で、焼き方はどうすんのよ」
「あんたがイライラすんなよ。…じゃ、レアにしてください」
「トマトは、プラス25セントでオーガニックにすることができますが」
「オーガニックで」
「皮は剥きますか。それとも皮つきにしますか」
「そんな細かいことまで聞くの? じゃあ皮つきで」
「了解しました」
「ねえ、お姉さん。こんな細かい質問いつまで続くの」
「サンドイッチに関しては終わりました」お姉さんは明るく答えます。「はい、ではここまでのご注文を整理させていただきます。シーフード・サンドイッチ。
魚はツナがなかったのでしかたなくハリバット。天然ものがなかったので養殖もの。ケイジャン風味の2ヒー。レタスは不安だけど遺伝子組換え。タマネギは地
産地消じゃないにも関わらずワラワラ・オニオンをレア焼きで。トマトはオーガニックの皮つき。これで間違いありませんか?」
「間違いないと思うよ。なんか余計な修飾語がいろいろついてるけど」
「ではコーヒーに移ります。すごく熱いのと、ほどよく熱いのと、ぬるいのがあります」
「熱さも指定するわけ?」
「指定してください」
「じゃあ、すごく熱いのをお願いします」
「すごく熱いのをご指定の場合は、『こぼれて火傷をしても訴えない』という書面にサインをいただくことになっています」
「ええ? そういう事件が昔あったのは知ってるけどさ、書面にサインなんてメンドクサイのはやめよーよ!」
「書面は規則ですから」
「じゃあ、すごく熱いのは撤回! ほどよく熱いのにする」
「分かりました。ほどよく熱いのですね。その場合、書面にサインはいりません。…次は豆を選んでいただきます。ナイジェリアの豆とジャマイカの豆がありますけど」
「どう違うの」
「ナイジェリアのほうが人気がありますけど、ジャマイカのほうがフードマイレージは小さく済みます」
「そう言われたら環境に配慮せざるを得ないよね。フードマイレージの小さいジャマイカものにします」
「環境に配慮? さっきは地産地消じゃないのにワラワラ・オニオンを選びましたね。なのに今回はジャマイカを選ぶのですか」
「いいじゃんよ。放っといてくれ」
「分かりました。ジャマイカの豆ですが、航空便で運ばれてきたものと、船便で運ばれてきたものとがありますが」
「それって違うの?」
「お客様の好みですね」
「好みって言われても。じゃあ、なんとなくだけど、航空便」
「アメリカ航空と、ノースウェスト航空と、ユナイテッド航空がありますが」
「その違い、意味あるんかい!」
長時間に渡るやりとりでヘトヘトになった僕。
サンドイッチとコーヒーを受け取ったときは食欲もだいぶ失せていました。
◆◆◆
こういう例は極端だとしても、アメリカの飲食店で注文するときに、いろいろ細かく尋ねられて
「いいからそっちで決めてくれよ!」
と叫びたくなった経験のある方、多いんじゃないかなと思います。
「適当にみつくろって」
という発想がアメリカ人にはないので、こういう状態になるわけです。
ところが、日本食がアメリカ人のあいだで市民権を得るようになった昨今、少しばかり様子が変わってきました。
寿司バーなどのメニューに普通に載っている
* OMAKASE (おまかせ)
という言葉が、英語として普及しつつあるようなのです。
* TSUNAMI (津波)
* TERIYAKI (照り焼き)
が英語化したのと同様です。
ウィキペディアの英語版で、OMAKASE と入れてみたら、ちゃんと説明が出てきました。
アメリカ人も、いちいち細かく自分で指定しなくちゃいけない注文の仕方に、ウンザリしているのかもしれませんね。
ちなみに、KAROSHI (過労死)も、日本語発ですが、英語になりつつある言葉のようです。
★★★
★★★