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マツミヤ倶楽部

2008.01.07 10:08

魔のレシピ学 その5

松宮園生です。

前回までのあらすじ)
畑の隣にレストランを作ってさ、自分の畑でとれた
作物をそこで美味しく料理して出せたらいいよね。
そんな夢を持つ若い農家はけっこう大勢いる
んじゃないかな。
ただしそうするためには農家にレシピを考える
力がほしい。
料理技術じゃなくてレシピ開発力だ。
料理技術じゃない。ダイコンのかつらむきは下手でもいい。
しかしレシピ開発力はほしい。
自分の畑でとれたダイコンをどうやったら一番美味しく食べられるのか、を考える能力は必要だ。
「レシピ開発力」を身につけるにはどうしたらいいか、そういう講座を作りたいよね。
…農業コンサルタントの葉竹乃木夫さんからそんなことを言われ、レシピ開発力ゼロの松宮園生が素人調査を始めました。

そうはいっても。

◆◆◆

独立する前の僕は、テケテケ商事という食品の貿易会社に勤めていました。
(テケテケ商事の社内の地味な雰囲気を知りたい方はこちら→「食品業界のヒーロー?」2007年4月26日)
そのテケテケ商事の後輩社員にこんなヤツがいました。
↓↓↓

「松宮さん、ちょっと相談が」
「おう、なんでえ」
「おれ、農業やりたいんスけど」
「おう、いいじゃねえか。やりねえ、やりねえ」

「いや、そういう意味じゃなくて。会社で農業をやらせてほしいんス」
「会社でか」
「個人で商売するんじゃなくて、会社でビジネスとしてやりたいんス」
「商売じゃのうて、ビジネスとしてやりてえとな。ふうむ。こいつ、大きく出おったな」

「貿易会社が農業するのはヘンですか」
「うんにゃ。んなこたあ、ねえだろ。貿易会社つっても、食に関係してるわけだしなあ」
「ああよかった、そう言っていただいて」
「それにしても、おめえ、バブル崩壊したあとの不景気で世の中が縮こまっているとき(※)によお、新しいことに挑戦したいっつうその心意気、じつに感心感心。しかもそれが農業っつうんだから、感無量だねえ」
「松宮さん、泣いてるんスか」
「ばーろー。泣くもんけえ。タマネギが目にしみたのよ」
「タマネギ? どこにあるんスか」
「るせえ。やかましいわ。…それよりおめえ、農業してえっつう話は分かったがよう、会社でやりてえなら、新しくそういう部署を作らにゃなるめえよ。いまはそんな部署は社内にねえしなあ」

「ですよねえ。どうしたらいいですか」
「そりゃおめえ、こうすんだよ。まずは事業計画つうものをこしらえるだろ。次にそれをな、役員会議でプレゼンするわけよ」
「役員会議」
「そのときに、新しい部署を作ってもらうように働きかけるのよ」
「なるほど」
「それで社長がウンと言ったら、すかさず新しい部署のリーダーにあめえが立候補しやがれ。そしたら、そのチームはおめえのもんだい」

「分かりました。じゃあさっそく事業計画を作らなきゃ」
「そうよ。やりねえ、やりねえ。だが真剣に作れよ。生半可な計画書じゃ役員会議にさえ出せねえぞ」
「じゃあ、よろしくお願いします。待ってますから」
「よっしゃ分かった。…じゃなくて、ナヌ?(←死語) 待ってますって、どういうこった」

「いやその。おれには事業計画なんて作れませんし。ここはひとつ、松宮さんに作っていただこうと…」
「ばーろー。なに言ってやんでえ。おめえのビジネスなんだからおめえが自分で作りやがれ」
「とほほ、やはりそうですか」
「たりめーだろ。作りかたは教えてやっからよ」
「あ、ありがとうございます」

「ときに腹が減ったな。まだ12時にゃあなっていねえが、ちょっくら早飯どうだい? 店(飲食店)がOLで混まねえうちによう」
「おれはいいっス。サプリと、売れ残ったニュートリション・バーを食べますんで」
「ナヌ? 大事な昼メシなのにそんなんでいいのか? ま、会社の売れ残り商品を食べるっつうのは、テケテケ商事ならではのことではあるが」
「おれ、いままで隠してたんですけど…」
「なんでえ」
「あんまし食べるものに興味ないんすよ。昼メシが楽しみ、とかいうのも全然なくて。スミマセン」

「食べるものに興味ないんか」
「農業にはすっごく興味あるんすけどね。それ系のボランティア活動なんかにも参加してるんですが」
「農業には興味あるが、食べものには興味ねえ、とな?」
「体を維持するのに食べなきゃいけないんで、仕方なく食べます。だからサプリとニュートリション・バーでじゅうぶんなんですよ」
「ふーん」
「美味しいものを食べたい、という欲望とかは持ってないんです」
「ふーん」
「面白くないやつでしょ、スミマセン。これカミングアウトすると、怒る人がいたりするんで、なるべく言わないようにしてるんですが…」

「ま、テケテケ商事は食の会社だからなあ。社員からそういうセリフが出るのは残念ではある」
「スミマセン。でもそれが本音なんです。だから今の部署の仕事にも興味湧かなくて。農業の部署がほしいというのもそれが理由のひとつなんですが」
「ふーん。てことは、料理にも興味はねえってことかい」
「料理にも興味ないっス」
「味覚障害か?」
「そんなわけでもないんスけど…。味は分かるんス。味のいいものを食べたら、そのときはウマイと思いますし、まずいものを食べたら、まずいと感じます」
「ふーん」
「でもいつもウマイものを食べたいとは思わないし、自分で作りたいとも思わないス」
「ふーん」
「でも松宮さん、おれみたいな人間、けっこういますよ」
「ふーん、そうかい」

会話はそこで途切れました。
何となく白けたというか。

(※)この会話は、今から8年ほど前に交わされたものです。

◆◆◆

この後輩社員との会話は今でも記憶に残っています。

農業をやりたいと言いながら、食そのものには興味が薄い。
自然とのふれあいとか、ゆっくり流れる時間とか、汗を流してもの作りをすることとか、そういう方面に憧れたりするけど、食そのものには関心が薄い。
こういうタイプって、多いのかな、少ないのかな…?

農家さん向けにレシピ開発力養成講座とか開いても、受けに来るのかな…?
不安が募る松宮なのでありました。

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2008.01.05 12:13

目指せ食育講師 その3

松宮園生です。

(前回・前々回についてはここをクリック)
「目指せ食育講師 その1」(2007年9月4日)
「目指せ食育講師 その2」(2007年9月22日)

◆◆◆

松宮園生はエラソーに日本食育大学の准教授をやって
エラソーに能書きたれてますが、
自分で子ども向け食育教室を開いたことは一度もねェす。
こういうのを、
「バウムクーヘン野郎」
といいます。

日本食育大学出版から出ている
「オールジャパン食育大辞典 2007年版」
によると、
「バウムクーヘン野郎」
はこう説明されています。
↓↓↓
(引用はじめ)
農業を始める決心もついていないのに農業のことを嗅ぎまわり、耳年増になっている人。
バウムクーヘンが中心部に何もなく、外側(周辺部)が豊かな状態になっているところから来た言葉。
2003年に農業コンサルタントの葉竹乃木夫という人物(1955?)が松宮園生(P.882を参照)を皮肉ったのが語源とされる。
なぜ「ドーナツ野郎」と言わないのかについては、まだ解明されていない。
というか、誰も解明しようとしていない。
(引用おわり)

ここに書いてあるように、もともとは「農業の耳年増」を意味する言葉でした。
でも最近はいろんな使われ方がされています。
(例)
* グルメなんだけど、料理できない
* 環境問題に詳しいんだけど、自分ではゴミの分別をしない
* 「野菜は有機にかぎるわよね」といいながら、買ってきたキャベツに青虫がいたら卒倒する
* 「男は外見でもないし経済力でもないわよ、中身が大事」といいながら、結局金持ちと結婚する

これ全部、「バウムクーヘン野郎」扱いです。

あ、最後の例は違うかもしれませんね。
それに彼女、きっとこういう弁解をするでしょう。
「あら、彼は立派な人よ。わたしは彼の内面に魅かれたの。たまたま金持ちだっただけ」
はい、そうですか。

キレないうちに話を戻します。
子ども向け食育教室を開いた経験がないのを日頃から気にしている松宮准教授。
「バウムクーヘン野郎」からの脱却を目指し、練習をはじめました。

練習?

そうです。練習です。
日本食育大学には、
「食育教室シミュレーション・ゲーム」
という教材があります。
あの食育ロボット「アンドリュー77」の生みの親、天才ロバート・シトピッチャン教授が開発したものです。
松宮准教授はその教材DVDをこっそり持ち出し、誰も見ていないところで練習していたのでした。

食育ロボット「アンドリュー77」についてはここをクリック。
「食育ロボ発進! 前編」(2007年11月23日)
「食育ロボ発進! 後編」(2007年12月3日)

◆◆◆

その「食育教室シミュレーション・ゲーム」のワンシーン。
レベル4まで何とかクリアし、レベル5に進みました。
レベル5は上級編です。
難易度の高い「クジラ」をテーマにした教室に、いよいよ挑戦する松宮准教授。
対象は、小学校5年生です。
松宮准教授と児童との会話が始まりました。

松宮 「クジラを食べたことある人、手をあげて」
児童 「はーい」(大勢が手をあげます)
松宮 「クジラの肉、好き?」

好き、という声と、嫌い、という声が混ざります。

松宮 「みんなは日本人だよね。日本人はクジラを食べます。でもね、世界にはクジラを食べるのに反対している人もいます」
児童 「先生」
松宮 「はい、内田君」
児童 「クジラは人間を食べないんですか」
松宮 「クジラはプランクトンを食べてます。肉食じゃないので、人間を食べることはありません」
児童 「それはシロナガスクジラでしょ。マッコウクジラは肉食じゃん。大王イカとか食べてるよ」

松宮 (知ったかぶりしやがってこのガキ、と思いながら顔は笑って)「内田君、クジラに詳しいね」
児童 「僕の機嫌はとらなくていいからさ、質問に答えてよ」
松宮 (チョークをボキボキ折りながら)「あのね、マッコウクジラはたしかに肉食だけど、人間は食べないよ。だって、人間はふだん陸にいるし、クジラはふだん海にいるからね」
児童 「でも人間はクジラを食べるんだろ? クジラも人間を食べるかもしれないじゃん」
松宮 (怒りをこらえて)「クジラを捕まえようとした漁師が海に落ちたりして、たまたまその漁師をクジラが飲みこむことはあったかもしれないね。それはでも、食べたというのとは違うと思うよ」

児童 「先生」
松宮 「なんですか、学級委員の中島さん」
児童 「わたし、内田君は先生をからかって喜んでるだけだと思います。無視して先に進めてください」
松宮 「そ、そうですね。では授業を進めます。世界にはクジラを食べるのに反対している人もいます」
児童 「先生」
松宮 「なんですか、内田君」
児童 「クジラは人間を食べるよ」
松宮 「内田君さ、その話はあとでいいかな?」
児童 「だって山根君のお父さん、マッコウクジラに食べられたんだ」

静まり返る教室。

松宮 「や、山根君。本当なの?」
児童 「先生」
松宮 「はい、中島さん?」
児童 「山根君はいません」
松宮 「今日は欠席ですか」
児童 「ていうか、このクラスには山根って人、いませんけど」

松宮 (赤面して)「あ、そうでしたね。…内田君、山根君ってだれですか?」
児童 「4年3組の山根君です。僕の親友です。山根君のお父さんはクジラに食べられたんだよ。飲みこんだんじゃなくて、ムシャムシャと食べたんだ」
児童 「先生。内田君の言ってることは嘘だと思います」
児童 「嘘じゃないよ中島さん。本当なんだってば」
児童 「証拠でもあんの、内田君?」
児童 「ないけどさ…」

松宮 「内田君。この話はまた今度にしようよ。先生、授業を進めていいかな」
児童 「でも本当なんだ。山根君のお父さん、クジラに食べられたんだ。おれ、いつか天国に行ったら、山根君のお父さんに確認して先生に知らせるよ」
松宮 「天国って、内田君、ずいぶん先の話なのに、もう天国のことを考えているんだね。ま、天国に行きたいんだったら、悪い人にならないように気をつけないとね」
児童 「うん、気をつけるよ」

児童 「先生」
松宮 「はい、中島さん?」
児童 「内田君が天国に行ったとしても、相手はそうじゃない場合もあると思います」
松宮 「それはそうですね。…内田君、山根君のお父さんは天国に行ったと思う?」
児童 「えっと、あ、そいえば、もしかしたらちょっと大酒飲みだったから、天国には行けてないかなあ」
児童 「相手が地獄に行ってたら、残念だけど会えないわね」
児童 「うん。会えないかもしれない」
児童 「そのときはどうするの?」

児童 (ニッコリ笑って)「うん。そのときは松宮先生に確認してもらうから」
松宮 「えっ、僕?」
児童 「先生、よろしくお願いします」
児童 (立ちあがり)「学級委員のわたしからも、お願いします」
児童全員 (大声で)「よろしくお願いしまーす」

画面が真っ暗になり、「 GAME OVER 」という言葉が大きく浮き上がりました。

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2008.01.04 11:40

成りあがりトラクター その2

松宮園生です。

題名の「成りあがりトラクター」というのは、
2年前に立ちあげた農業ホームページの
名前です。
1年ほどやって止めてしまいました。
どんなサイトで、どんな理由で止めたのかは
別の機会に書くとして、この名前、なんとなく
愛着があるので使ってみました。
深い意味はございません。

「成りあがりトラクター その1」←2007年10月10日 はここをクリック)

◆◆◆

ところで。
日米ともに個人個人ではさまざまな人がいてバラエティに富んでて、
「日本人はこうだ」
「メリケン(=アメリカ人のこと。松宮用語です)はこうだ」
なんて決めつけるのは難しい。

しかし平均的日本人と平均的メリケンとを比べると、こと
「商売っ気があるかないか」
という点では平均的メリケンのほうが商売っ気があるように思います。
どちらが正しいとか勝っているという意味ではなく、単に経済活動に対する構え方が違う。

■平均的日本人

精神的な豊かさを大切にする国民性でしょうか、経済活動をケイベツする傾向があります。
「稼ぐ」とか「金儲け」とかの言葉にネガティブなイメージがあるのがそれを象徴しています。
ちょっと極端な言い方をすると、
「稼いだ=なにか正当ではない手段で不労所得を得た」
「金儲けをした=自分が利益を得た=代わりに誰かが不幸になった」
ようなイメージがつきまとっています。

平均的日本人は「不労所得」をよしとしないところがあり、真面目にコツコツ働くことが美徳と思われたりします。
日本の貿易黒字が大きいのはその表れです。

「誰かを不幸にしないと自分が利益を得られない」
これは「ゼロ・サム・ゲーム」と呼ばれます。
一方の利益(プラス)と他方の損失(マイナス)を足すとゼロになる状況が「ゼロ・サム・ゲーム」です。
平均的日本人は、経済=ゼロ・サム・ゲーム だと無意識に感じているような気がします。

日本の義務教育では「お金の稼ぎ方」を学ばせてくれません。
なぜなら、お金を稼ぐことは決して「人として立派なこと」ではないと考えられているからです。
ところが、社会人になったら急に「お金を稼げ」と会社や上司から言われ尻を叩かれるので参りますね。
僕自身、そのギャップに戸惑った1人です。(←ただ学生時代に遊んでただけだろ)

■平均的メリケン

「不労所得」というと、たとえば不動産を貸して賃貸収入を得たり、株式相場や商品相場で利益をあげたり、特許権収入や著作権収入を得ることを言いますが、平均的メリケンはこの「不労所得」に対する抵抗がありません。
アメリカの貿易収支は巨額の赤字なのに、資本収支が巨額のプラスになっているのはその表れです。

「金儲け」を英語にすると money-making (マネーメイキング)になります。
使い方にもよりますが、普通、この言葉にはネガティブなイメージはあまりありません。
商品やサービスを提供し、相手に満足してもらい、その正当な対価としてお金を受け取る、くらいの意味です。

「相手が満足し、自分が対価を受け取る」
これは「ゼロ・サム・ゲーム」ではありません。
両者とも、なにかを得ているからです。
平均的メリケンは、経済=ゼロ・サム・ゲーム だと思っていません。
ですので、物質的豊かさを求めることに何の罪悪感も持っていません。

他の国は分かりませんが、英米では早くから「お金の稼ぎ方」を学びます。
で、日本みたいな新人研修をしなくても、ごく自然にビジネスマンになってゆきます。
医者なんかもお金の稼ぎ方がしっかり身についてて、このブログによく登場するチイタッタ先生も、人気のある医者であると同時にしっかりビジネスマンです。

「ルールを守ってお金を稼ぐこと」は善とされています。
「お金の話をすること」は職業にかかわらず善とされています。
多くの場合、成功した事業家は社会の尊敬を受けます。

くりかえしになりますが、どちらが正しいとか勝っているという意味ではなく、単に経済活動に対する構え方が違うわけです。

◆◆◆

お金(経済活動)に対する両国の構え方の違いは、農業をみているとよく分かります。
例えば産地直売所(英語でいうとファーマーズ・マーケット)。

■日本の産地直売所
(といっても産地直売所にも優劣いろいろありますので、平均的な話をします)

僕の知るかぎり、多くの産地直売所は本質的にはただの「商品置場」です。
倉庫みたいなものです。
農家さんは並べたいものをテキトーに並べ、隣近所と価格競争をしながら、顧客が買いにくるのを待っています。

「直売だから、きっと商品の品質がいいに違いない」
なんとなくそう思っている顧客を、ただ無造作に待っているわけです。

とはいえ、「努力して大きく稼ごう」とは思っていません。
その証拠に、高く売ろうとはせず、あっさり値下げします。
値下げしてなにが悪いの? と言われそうですが、いえ、べつに悪くはありません。
農家さんも、安く販売してお客さんが喜んで、まあいっかと思って家に帰るのですから。

「自分は利益を度外視してこの作物を作っている。食べてくれる人たちに喜んでほしいから」
みたいなセリフもよく聞きます。

で、あとで「産直は儲からねえ」とブツブツ文句を言う。
世間や政治に文句を言う。

■アメリカのファーマーズ・マーケット
(これも平均的な話をします)

アメリカのファーマーズ・マーケットは多くの場合「ビジネス」です。
* 商品の魅力を表現するにはどうディスプレイしたらよいか
* より多くの人に来てもらうにはどうPRしたらよいか
つまり「マーケティング」を真剣にやっています。

会場のたたずまいなんかも懸命に工夫しています。
セールストークも練習しています。
出店農家が協力して共同プロモーションなんかもよくやってます。
アンケートなども何度も行い、顧客がなにを望んでいるのかを調べています。
楽しさを演出するイベントもいろいろ企画しています。

「自分は利益を度外視してこの作物を作っている。食べてくれる人たちに喜んでほしいから」
なんて考え方はまったくありません。
「食べてくれる人が喜んでくれたなら、利益を得るのは当然」
と思っています。
てゆうかむしろ、
「利益は、食べてくれる人が喜んだ証拠」
だと考えています。

「良いものを安く」とは考えていません。
「良いものは高く」と考えています。←ここが日本と大きく違うところです。
これも、日米どちらが正しいとか勝っているという意味ではなく、単に経済活動に対する構え方が違うわけです。

アメリカのファーマーズ・マーケットについては以下をクリック
「農業コンチネンタル その1 入門編」 (2007年4月28日)

◆◆◆

とはいえ、なんとなく「メリケン礼賛」みたいな文章になってしまいましたね。
あー恥ずかし。
いえ、決してメリケン農業のほうがいいというわけではないのですが、こと「商売」という意味ではメリケンのほうが徹底しています。
それだけの話です。

逆に、メリケン農業にはなくて日本の農業にあるものがあります。
「熱意」というやつです。
メリケン農家さんはビジネスマンですので、農業をビジネスとしてやっています。
日本は必ずしもそうではありません。

日本の農家さんにとって農業は人生哲学みたいなところがあって、
* 文化
* 伝統
* 生きかた
* 収入源
この4者が人それぞれの割合で絡みあっています。

ですので、日本には「農業を熱く語るオニイサン」が大勢います。
「農業を熱く語る集会」なんかもよく開かれます。

メリケン農家が農業を熱く語るのはあまり聞いたことがありません。
金儲けの計画を熱く語る農家はいますが。
  ↑
  「金儲けの計画を熱く語る農家」
  と聞いて
  (なんかヤな人だなあ)
  と感じたあなたは、ヤマトダマシイ度、高いです。

この話、今回はここまで。

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2008.01.03 10:56

食育至上主義人民共和国 その4

松宮園生です。

前回←2007年11月30日 までのあらすじ)
ザイオン共和国。
モーフィアス大統領の強力な独裁のもと、
* 食育軍隊
* 食育秘密警察
* 食育至上主義による教育制度
が整えられ、食育大国としての地位を着々と築きつつありました。

ザイオン共和国のあらましについてはここをクリック。
「食育至上主義人民共和国 その1」 (2007年10月25日)

◆◆◆

そんなザイオン共和国の、ある秘密の部屋。
キャメロン・ディアス似の女と、松宮園生が、なにかプレイをしています。
「あなた、JAS有機の定義、ちゃんと言えないんですって」
「う…」
「おまけに、アオリイカとヤリイカの区別がつかないんですってね」
「ぐぐ…」
よろける松宮園生。
壁にしがみつき、倒れそうな体を支えます。
「そんなんで日本食育大学の准教授だっての? 笑っちゃうわね」
追い討ちをかけるような言葉に、松宮はついに倒れこんでしまいました。
「なにやってんの」女は言いました。「立ちなさい」
「た、立てません」
「そんなことで立てなくて、どうすんの」
しかし松宮の目はさっきからぐるぐる回っていました。

◆◆◆

話は数か月前にさかのぼります。
ザイオン共和国が食育大国になってゆくにしたがい、国民のあいだでストレスが蔓延してきました。
* 早寝早起き
* 朝ごはんをしっかりと
* 「いただきます」「ごちそうさま」を心をこめて言い
* 食についての勉強を怠らない
* 地産地消を心がけ
* 料理は手作りが基本
* 家族団らんをしっかり守る
この「掟」はザイオン共和国の憲法となり、背いた者は矯正施設に送られました。

ところがです。
こんな生活を毎日続けて幸せな人の数は、じっさいは国民の5パーセントくらいでした(※)。
逆に、この生活に逆らって矯正施設に送られる人(※※)の数も5パーセントくらいいました。
残り90パーセントの人々は、
「なんだかなあ」
と思いながら政府の指導に従っていたのでした。
そのストレスが徐々にたまってきて、だいぶ疲れてきたのです。
ちょっとしたことで、心身喪失するようになりました。

(※)業界では「昭和な人々」と呼ばれています。
(※※)「朝ごはんラプソディ」(2007年12月11日)を参照ください。

「食育いじめ」も横行しました。
「食育いじめ」とは、上手に食育できていない人を言葉でいじめることです。
* 朝ごはんを食べない人をからかう
* 「いただきます」「ごちそうさま」をよく忘れる人をからかう
* 食の知識が足らない人をからかう
* 地産地消のできない人をからかう
* 料理の下手な人をからかう
* 家族団らんのできない家族をからかう

(例)
いじめっ子「やーい、おまえ今朝、中国からの輸入野菜を食べたんだって?」
いじめられっ子、わなわなと震えだし、その場にへたり込む。
こんな感じです。

からかわれた人は、すぐに心身喪失し、その場で気を失ったりしました。
試しにあたなもザイオン共和国に行き、そのへんを歩いている人にこう言ってごらんなさい。
「あまえさん、ザイオン共和国の国民のくせに3大栄養素ってなにか言えないんですって?」
その人はショックのあまり、その場で倒れこむことでしょう。

先月は「食育いじめ」による死亡事件が発生しました。
心身喪失が高じて、心臓発作を起こしたのです。
ここに来てザイオン共和国政府は「食育いじめ」を禁止し、いじめの加害者は矯正施設に送られることになりました。

どうなる、ザイオン共和国?

◆◆◆

話はプレイの場面に戻ります。

やっとのことで起きあがった松宮。
その松宮に対し、キャメロン・ディアスの攻撃は続きます。「あなた、こないだまでアボカドのことを、『カ』に点点をつけてアボガドって言ってたでしょ」
「うぐぐ」松宮は両手と膝をつき、口から泡を吹きました。
女は肩をすくめました。
「だめね。…今日のレッスンはここまでにしましょう。これ以上はちょっと無理みたいだし」
松宮は大きく息をしながら再び立ちあがりました。
「まだまだ」と、松宮。「教官よ、あんた、バターじゃなくてマーガリン派だったんだってな。トランス脂肪酸のことを聞いて腰を抜かしたらしいじゃん」
今度は女のほうがよろけました。
「へへへ、やったぜ」矢吹ジョーの口調をマネる松宮(←昭和か)。「いまのは効いたろ」
しかし彼女はよろけはしたものの、踏みとどまりました。
ニコ、と愛らしく微笑むと、こう返しました。「でもあなたは、日本食育大学の准教授のくせに料理ができないんですってね」
これは効きました。
松宮の体は勢いがなくなったコマのように不格好に回転し、ばったり倒れてしまいました。

ここは食育秘密警察の訓練施設。
この国でも殺し屋の訓練は厳しいのであります。

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2008.01.02 12:18

魔のレシピ学 その4

松宮園生です。

前回までのあらすじ)
自慢じゃないけど料理が苦手です。
「食育好きに料理好きはおらん」
と明治時代に石塚左玄が言ったとか
言わなかったとか。
(石塚左玄 ←「食育」という言葉の
発明者です)
そんな僕にとって、
「レシピを考えることのできる人」
は尊敬の的です。
僕にはレシピを考えることなんて、
とてもとてもできません。
ところが、そんな僕が農業コンサルタント
の葉竹乃木夫さんからこんなことを
言われました。
↓↓↓
なあ松宮、畑の隣にレストランを作ってさ、自分の畑でとれた作物をそこで美味しく料理して出せたらいいよな。
そんな夢を持つ若い農家はけっこう大勢いるんじゃないか?
ただしそうするためには農家にレシピを考える力がほしい。
料理技術じゃなくてレシピ開発力だ。
料理技術じゃない。ダイコンのかつらむきは下手でもいい。
しかしレシピ開発力はほしい。自分の畑でとれたダイコンをどうやったら一番美味しく食べられるのか、を考える能力は必要だ。
忙しい農家が「レシピ開発力」を「てっとり早く」身につけるにはどうしたらいいか、そういう講座を作りたい。
てゆうか松宮、お前、作れ。

そんなこと言われても、ねえ。

◆◆◆

「農家向けのレシピ開発力講座」というのがこのシリーズの本来のテーマですけど、今回はちょっと道草(←死語)をしましょう。

日本食育大学を受験するお子さんをお持ちのお母さん。
受験生にどんな食事を出してあげたらいいか、お悩みではありませんか?
そんなときのレシピとは?

題して「試験に出る食育」。
略して「デルショク」。

ん? 違うか。
試験に出るわけじゃねえもんな。

訂正します。
題して「一発合格への食育」
略して「ヘノショク」

つっても僕にはレシピは書けませんので、
「受験対策用のレシピ本が世の中にどれくらい出版されているのか」
を調べてみました。
ご紹介します。

◆◆◆

(敬称略。タイプごとに新しい順に並べています)

<食育・栄養士タイプ。特徴:読みやすさと分かりやすさを重視>

■「合格への食卓 中学受験をのりきるメソッド+レシピ71」
飯野耀子(←All About で「食育」のガイドをしている方)
扶桑社 2007年12月 (★新刊)
1365円

■「受験食―中学入試!合格レシピ」
こばたてるみ(←スポーツ栄養と食育をテーマに活動している方)
恒文社 2007年12月 (★新刊)
1365円

■「パパッと塾弁」
上田淳子(←料理家)
講談社 2007年2月
1470円

■「受験生の頭とカラダによい食事メニュー」
オフィス・ザ・パレット(←誰のことか不明)
青春出版社 2006年7月
1155円

■「塾前ごはん 塾後ごはん―受験対策は食で決まり!」
森野眞由美(←女子栄養大学の先生)
主婦と生活社 2006年5月
1260円

■「合格!受験生べんとう―子どもの「脳の力」を120%引き出す合格料理」
主婦の友社(編集) 2003年9月
1365円

■「受験生のための合格レシピ」
竹内冨貴子(←管理栄養士。NHKに出てる)
PHP研究所 2001年9月
価格不明

■「合格をいただきます―中学受験」
竹内冨貴子(←同上)
みくに出版 1999年4月
1680円

<医学タイプ。特徴:エビデンス(科学的根拠)を重視>

■「『食とサプリ』で偏差値アップ―高校・大学合格も親次第!!」
大谷勝(←大学の教授で、アミノ酸を研究している)
ダイヤモンド社 2005年12月
1575円

■「子どもを勝ち組にする食事学―お受験&スポーツ 集中力・記憶力をぐんと高める完璧レシピ」
佐藤章夫(←医学博士。ドクター・ジョナサン・ライトの弟子の方)
主婦の友社 2003年3月
1260円

■「受験生のための頭が良くなる食材と料理―脳を活性化する合格レシピと50のアドバイス」
福田千晶(←医者)・伊藤玲子(←料理研究家)共著
永岡書店 2002年8月
価格不明

■「合格!受験生レシピ―子どもの「脳の力」を120%引き出す合格料理150」
中川 八郎(←大学のもと医学部教授)
主婦の友社 2002年7月
1575円

<ドラゴン桜タイプ。特徴:受験テクニック満載?>

■「『合格食』バンザイ!―Wセミナー成川式必勝のレシピ!」
成川豊彦(←「早稲田セミナー」創設者)
集英社 1997年5月
1365円

できる範囲で調べてみたらこれくらいありました。

◆◆◆

受験生のお母さん、頑張ってください!

日本食育大学がどんな入試問題を出すかを知りたい方はこちら。

「食育大学入試 模擬試験」 (2007年12月22日)
「続 食育大学入試 模擬試験」 (2007年12月25日)

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