ホーム > 日本食育大学未来学部 >
松宮園生です。
繁栄にあぐらをかき、飽食をむさぼる先進国。
彼らに鉄槌を下すことにした全能の神様は、
「ウエルネス天国」
「メタボ地獄」
を作りました。
ストイックに生涯を全うしたらウエルネス天国行き。
飽食におぼれメタボのまま死んだらメタボ地獄行き。
そんな世界観で展開される人間ドアラマ、第2回です。
◆◆◆
「最後の審判の日」時計(Doomsday Clock)
というのが本当にあるのをご存じでしょうか?
宇宙戦艦ヤマトじゃないけど、
「人類滅亡まで、あと××分」
というのを示す時計です。
シカゴ大学にあります。
「原子力科学者ブレティン」
という名前の科学雑誌がその時計を管理しています。
時計の針は進んだり後退したりします。
核戦争の可能性とか、地球温暖化などの環境問題とかを考慮して、
「人類滅亡まで、あと××分」
が決められています。
ちなみに、今日現在は
「人類滅亡まで、あと6分」
となっています。
本当に6分後に滅びるという意味ではありませんが、
「あと6分しかない、くらいに人類や地球のことを真剣に考えなさい」
ということを警告しているわけです。
◆◆◆
死んだばかりのある男が「メタボ地獄行き」を天使から宣告され、空港に到着しました。
これからメタボ地獄行きニュートリ航空459便に乗るのです。
指定された搭乗口にむかって、男はしょんぼりと歩いています。
「そんなに落ち込まないでよ、おじさん」見送りの天使が男の肩を軽くたたきました。「模範囚として認められたら、メタボ天国に行けるからさ」
「そんなこと言うたかて、わて、情けないわ」
男がなにげなく顔をあげると、コンコースの壁に無数の時計がかかっているのが目に入りました。
「時計がぎょうさんありまんなあ」男は言いました。「なんの時計でっしゃろか?」
「ああ、それはね」天使が答えました。「食育時計っていうんだ」
「食育時計?」
「神様が眉をひそめるような食事をしたら、時計の針が進むんだよ。暴飲暴食したりとか、ジャンクフードを食べたりとか、野菜を食べなかったりとか、寝る前に甘いものを食べたりとかすると、針が進む」
「そりゃまた、ごっつい時計でんなあ」
「あそこにロココ風のデザインの時計があるでしょ?」
「あれでっか」
「そう。あれはマザー・テレサの時計だよ」
「マザー・テレサでっか」
「マザー・テレサの時計はまったく針が動かなかった。彼女の食生活は完璧だったんだ」
「はあ…」
「それから、向こうに大きな振子時計があるの、分かる?」
「向こうの、あれでっか」
「あれはアンドリュー・ワイルという人の時計だよ」
「はあ」
「食育の世界では世界的に有名なお医者さんだよ」
「はあ」
「ワイル先生の時計はね、まだ2分しか針が動いていない」
「2分」
「要するに、今まで2回だけ、メタボな食事をしたことがあるってこと。あとは全部、立派な食事をしている」
「わてには真似できまへんわ」
「大丈夫。メタボ地獄に行ったらできるようになるから」
「ひー」
しばらくして、男が言いました。
「そや。わての時計は、どれでっか?」
「うん、それがね」天使は言いました。「おじさんのは、ここには、ないんだ」
「どこにありまんねん?」
「おじさんが生きてるあいだ、時計は神様のオフィスに置いてあったよ。まだ置きっぱなしだと思うけど」
「神様のオフィスでっか」
「うん。近ごろは天国も温暖化しててね。神様のオフィスで、扇風機がわりになってた」
★★★
★★★