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松宮園生です。
日米ともに個人個人ではさまざまな人がいて
バラエティに富んでて、
「日本人はこうだ」
「メリケン(※)はこうだ」
なんて決めつけるのは難しい。
(※)メリケン=アメリカ人のこと
しかし平均的日本人と平均的メリケンとを比べると、こと
「商売っ気があるかないか」
という点では平均的メリケンのほうが商売っ気があるように思います。
どちらが正しいとか勝っているという意味ではなく、単に経済活動に対する構え方が違う。
■平均的日本人
精神的な豊かさを大切にする国民性でしょうか、経済活動をケイベツする傾向があります。
「稼ぐ」とか「金儲け」とかの言葉にネガティブなイメージがあるのがそれを象徴しています。
ちょっと極端な言い方をすると、
「稼いだ=なにか正当ではない手段で不労所得を得た」
「金儲けをした=自分が利益を得た=代わりに誰かが不幸になった」
ようなイメージがつきまとっています。
平均的日本人は「不労所得」をよしとしないところがあり、真面目にコツコツ働くことが美徳と思われたりします。
日本の貿易黒字が大きいのはその表れです。
「誰かを不幸にしないと自分が利益を得られない」
これは「ゼロ・サム・ゲーム」と呼ばれます。
一方の利益(プラス)と他方の損失(マイナス)を足すとゼロになる状況が「ゼロ・サム・ゲーム」です。
平均的日本人は、経済=ゼロ・サム・ゲーム だと無意識に感じているような気がします。
日本の義務教育では「お金の稼ぎ方」を学ばせてくれません。
なぜなら、お金を稼ぐことは決して「人として立派なこと」ではないと考えられているからです。
ところが、社会人になったら急に「お金を稼げ」と会社や上司から言われ尻を叩かれるので参りますね。
僕自身、そのギャップに戸惑った1人です。(←ただ学生時代に遊んでただけだろ)
■平均的メリケン
「不労所得」というと、たとえば不動産を貸して賃貸収入を得たり、株式相場や商品相場で利益をあげたり、特許権収入や著作権収入を得ることを言いますが、平均的メリケンはこの「不労所得」に対する抵抗がありません。
アメリカの貿易収支は巨額の赤字なのに、資本収支が巨額のプラスになっているのはその表れです。
「金儲け」を英語にすると money-making (マネーメイキング)になります。
使い方にもよりますが、普通、この言葉にはネガティブなイメージはあまりありません。
商品やサービスを提供し、相手に満足してもらい、その正当な対価としてお金を受け取る、くらいの意味です。
「相手が満足し、自分が対価を受け取る」
これは「ゼロ・サム・ゲーム」ではありません。
両者とも、なにかを得ているからです。
平均的メリケンは、経済=ゼロ・サム・ゲーム だと思っていません。
ですので、物質的豊かさを求めることに何の罪悪感も持っていません。
他の国は分かりませんが、英米では早くから「お金の稼ぎ方」を学びます。
で、日本みたいな新人研修をしなくても、ごく自然にビジネスマンになってゆきます。
医者なんかもお金の稼ぎ方がしっかり身についてて、僕の友人の内科医、マイケル・チイタッタ先生も、人気のある医者であると同時にしっかりビジネスマンです。
「ルールを守ってお金を稼ぐこと」は善とされています。
「お金の話をすること」は職業にかかわらず善とされています。
多くの場合、成功した事業家は社会の尊敬を受けます。
以上が、日本とアメリカの違い。
くりかえしになりますが、どちらが正しいとか勝っているという意味ではなく、単に経済活動に対する構え方が違うわけです。
◆◆◆
で、これを両国の農業にあてはめてみると。
お金(経済活動)に対する両国の構え方の違いは、農業にも表れているように思います。
例えば産地直売所(英語でいうとファーマーズ・マーケット)。
■日本の産地直売所
(といっても産地直売所にも優劣いろいろありますので、平均的な話をします)
僕の知るかぎり、多くの産地直売所は本質的にはただの「商品置場」です。
倉庫みたいなものです。
農家さんは並べたいものをテキトーに並べ、隣近所と価格競争をしながら、顧客が買いにくるのを待っています。
「直売だから、きっと商品の品質がいいに違いない」
なんとなくそう思っている顧客を、ただ無造作に待っているわけです。
とはいえ、「努力して大きく稼ごう」とは思っていません。
その証拠に、高く売ろうとはせず、あっさり値下げします。
値下げしてなにが悪いの? と言われそうですが、いえ、べつに悪くはありません。
農家さんも、安く販売してお客さんが喜んで、まあいっかと思って家に帰るのですから。
「自分は利益を度外視してこの作物を作っている。食べてくれる人たちに喜んでほしいから」
みたいなセリフもよく聞きます。
で、あとで「産直は儲からねえ」とブツブツ文句を言う。
世間や政治に文句を言う。
■アメリカのファーマーズ・マーケット
(これも平均的な話をします)
アメリカのファーマーズ・マーケットは多くの場合「ビジネス」です。
* 商品の魅力を表現するにはどうディスプレイしたらよいか
* より多くの人に来てもらうにはどうPRしたらよいか
つまり「マーケティング」を真剣にやっています。
会場のたたずまいなんかも懸命に工夫しています。
セールストークも練習しています。
出店農家が協力して共同プロモーションなんかもよくやってます。
アンケートなども何度も行い、顧客がなにを望んでいるのかを調べています。
楽しさを演出するイベントもいろいろ企画しています。
「自分は利益を度外視してこの作物を作っている。食べてくれる人たちに喜んでほしいから」
なんて考え方はまったくありません。
「食べてくれる人が喜んでくれたなら、利益を得るのは当然」
と思っています。
てゆうかむしろ、
「利益は、食べてくれる人が喜んだ証拠」
だと考えています。
「良いものを安く」とは考えていません。
「良いものは高く」と考えています。←ここが日本と大きく違うところです。
これも、日米どちらが正しいとか勝っているという意味ではなく、単に経済活動に対する構え方が違うわけです。
◆◆◆
とはいえ、なんとなく「メリケン礼賛」みたいな文章になってしまいましたね。
あー恥ずかし。
いえ、決してメリケン農業のほうがいいというわけではないのですが、こと「商売」という意味ではメリケンのほうが徹底しています。
それだけの話です。
逆に、メリケン農業にはなくて日本の農業にあるものがあります。
「熱意」というやつです。
メリケン農家さんはビジネスマンですので、農業をビジネスとしてやっています。
日本は必ずしもそうではありません。
日本の農家さんにとって農業は人生哲学みたいなところがあって、
* 文化
* 伝統
* 生きかた
* 収入源
この4者が人それぞれの割合で絡みあっています。
ですので、日本には「農業を熱く語るオニイサン」が大勢います。
「農業を熱く語る集会」なんかもよく開かれます。
メリケン農家が農業を熱く語るのはあまり聞いたことがありません。
金儲けの計画を熱く語る農家はいますが。
↑
「金儲けの計画を熱く語る農家」
と聞いて
(なんかヤな人だなあ)
と感じたあなたは、ヤマトダマシイ度、高いです。
<参考図書>
「やらなきゃ損する農家のマーケティング入門」
http://astore.amazon.co.jp/shokuikuprodu-22/detail/4540033204