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2009.04.29 10:26

食育パンデミック

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松宮園生です。

(豚インフルエンザの感染爆発は心配です。
感染といえば、昔こういうのを書いたことがあるので、アップします)
↓↓↓

 

20XX年。
「ファラオB型」と呼ばれるウィルスが蔓延しました。

このウィルスに感染すると、外国産の果物や野菜、大豆や小麦やトウモロコシに対してアレルギー体質になるのです。
その症状は花粉症のひどいのに似ていました。
死ぬことはありませんでしたが、涙は溢れるわ鼻水は止まらないわクシャミは次々と出るわで、その状態が数日続くのです。
たまったものではありません。
有効な治療法もなく、何千万という日本人がファラオB型に侵されていきました。

感染した人は、国産のものしか食べられなくなります。
なので、このウィルスは別名
「地産地消ウィルス」とか
「自給率ウィルス」
とか呼ばれました。

それから2年の月日が流れました…。

◆◆◆

サトミ51は、食育系の殺し屋です。
食育なのに殺し屋という、なんとなく矛盾した存在です。
ニキータ検定1級の持ち主です。
ちなみに、オカマです。

 (サトミ51については→ 「食育コウモリに明日はあるか」
  http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/11/post_83.html

そのサトミ51のところに、健康省からメールが来ました。
こんな文面です。

サトミ51先生
いつもお世話になりありがとうございます。
さっそくながら、食育業界ナンバーワンの仕事人、サトミ51先生を見込んで、お願いがございます。
じつは地産地消ウイルスのワクチンを完成させました。
これで大勢の方が鼻水やクシャミの苦しみから解放されます。

地産地消ウイルス、ファラオB型の感染爆発から早2年。
大勢の国民がバナナやパイナップルやグレープフルーツを食べる楽しみを奪われ、
ワカモレ(アボカドにタマネギとかパクチーとかを加え、すりつぶしてペースト状にしたもの。旨いよ!)も味わうことを許されず、
それどころかうどんも食べられず(うどん粉は大部分が輸入です)、
醤油もなかなか使えない(醤油を作るための大豆は、大部分が輸入)。

需要に供給が追いつかなかった国産の食料はドーンと値上がりし、国民のエンゲル係数は50パーセントを超えました。
50パーセントですぞ。
給料の半分が食費に消えるのです。

そんな国民生活を立て直すべく、われわれ健康省はエリート科学者を動員し、日夜ワクチン開発に取り組んでまいりました。
試行錯誤を果てしなく繰り返す毎日。
気の遠くなるような努力を重ねてまいりました。

それが、ついに完成したのです。
ワクチンができました!
これで国民は救われます。

救われるのは日本国民だけではありません。
長年の顧客だった日本人が食料を買わなくなったために、収入が減り、生活に苦しんでいる農家が、世界各地にいます。
彼らの生活も、これで立ち直るでしょう。

国民の健康を守ることがわれわれ健康省の使命です。
国民の半分がウィルスに感染している状況を、黙って見ているわけにはいかんのです。
「こんなに感染爆発しているのに、健康省は何をしているんだ」
「国民の病気を治すのが健康省じゃないのか」
「ワクチン開発にいつまでかかっているんだ。税金は有効に使え」
毎日何万という怒りの電話を頂戴しています。

そんな日々でしたから、ようやくワクチンが完成したとき、われわれは嬉しいというよりも正直ホッといたしました。

ところがです。
やっとこさ完成したワクチンが、なんと、盗まれてしまいました。

犯人の目星はついています。
農務省です。
国民に国産品を食べさせたい、食料自給率を上げて農家の機嫌を取りたい農務省にとって、この地産地消ウィルスは渡りに船です。
奴ら、ウイルスが広がってしめしめと思っているに違いありません。
ウィルスじたい、農務省がひそかに開発したのではないかと我々は疑っており、独自の捜査を進めています。

ですから、奴ら農務省から見たら、我々のワクチンは邪魔なのです。
これまでも、ワクチン開発中に農務省からの妨害工作は何度もありました。
妨害工作のおかげで、女性スキャンダルが発覚して辞職した健康官僚や健康族議員が何人いたことか。
その農務省が、ワクチンを盗んだ犯人です。

長々とすいませんでした。
サトミ51先生にお願いというのは、盗まれたワクチンを取り返して欲しいのです。
手段は問いません。
ややこしいことが起きたら、国家権力でもみ消しますので、ご安心ください。
サトミ51先生の過去の犯罪記録も消去するよう、関係各所と摂取中です。

それから報酬ですが、空欄の小切手をお送りいたしますので、お好きな金額を書き込んでください。
あっでも、いちおう、健康省の食育予算を越えない金額でお願いいたします。

 (健康省の食育予算を知りたい人はこちら→ 「食育三国志 その2」
  http://www.shokuiku-pro.com/production/2009/02/2_37.html

◆◆◆

そのメールから数時間後、今度は農務省から手紙が送られてきました。
こんな内容でした。

親愛なるサトミ51様。
あなた様の日頃のご活躍、遠くから応援してます。
松宮園生との死闘は圧巻でしたね。

さて、健康省があなた様に接触しているという情報を入手しましたので、わたくしたち農務省も対抗上、このお手紙を差し上げました。
あの方たちがあなた様に何を吹き込もうとしているのかは分かりませんけど、相手にしちゃいけませんよ。
わたくしたち農務省は、被害妄想の強い健康省から不当な攻撃を幾度となく受けているんです。
ほんと、酷いんですよ。

(1)あの方たちは、「農務省がファラオB型ウィルスを開発して撒き散らした」と主張してます。
でもそれは間違ってます。
濡れ衣です。
わたくしたちはそんなことしてません。

(2)あの方たちはワクチンを開発してるそうですけど、それを農務省が妨害していると主張してます。
これも全く嘘っぱちです。

(3)被害妄想の激しい健康省は、攻撃は最大の防御とばかりに、わたくしたち農務省を攻撃してるんです。
攻撃のおかげで金銭スキャンダルが発覚して辞職した農務官僚や農務族議員が何人も出ちゃって。
何度も言っちゃいますけど、ひどいのは健康省なんですよ。

(4)最近、あの方たちはワクチンを完成させたと主張してます。
ところが、そのワクチンを見せろと言ったら、なくなったって言うんですよ。
しかも、わたくしたち農務省が盗んだと主張しています。
マジでとんでもない話です。
盗むなんて、そんな行為をわたくしたちがするはずがありません。
濡れ衣もいいところです。
てゆうか、健康省は本当にワクチンを完成させたのでしょうか?
怪しいものです。

そんな状況ですので、どうぞ健康省のゴタクには耳を傾けませんよう、お気をつけくださいな。

ちなみに、地産地消ウィルスのために世の中はだいぶ変わりましたけど、悪いことばかりじゃありません。
まず、ぶっちゃけ日本の農業は立ち直りましたし。
農家の収入が増え、専業農家が増え、耕作放棄地は減りました。

次に、国民の食生活が質素な昔の日本スタイルに戻りましたので、メタボが減りましたよ。
メタボが減ったんですから、健康省だって嬉しいはずですね。
そりゃ確かに、国産食料品の価格は上がりました。
けど、その代わりメタボが減り生活習慣病が減るんだから、医療費負担も減るじゃんね。
だから、あの方たちがファラオB型を目の敵にしているのは、おかしいんです。
(ファラオB型を支持しているからって、わたくしたちがウィルスをばらまいたという噂は根も葉もありませんけど)

それとも健康省は、食料品の価格を下げるほうを優先して、医療費を増やしたいとでも言いたいのかしら?
へんな人たち。

長々と書いてしまい、ごめんなさいね。
なにとぞ、あの方たちの世迷いごとを真に受けたりなさいませんよう、お気をつけなさいませ。

それでもあなた様がどうしてもあの方たちの味方をなさるというのでしたら、しかたありません。
わたくしたちも農務省の食育予算を使って対抗しちゃいますからね。

 (農務省の巨額な食育予算を知りたい方は→「食育三国志 その4」
  http://www.shokuiku-pro.com/production/2009/02/4_28.html

あなた様は腕の立つ仕事人かもしれませんけど、こっちが雇った用心棒もなかなかのものですよ。
警告の意味で、その人の名刺を、同封しておきます。
あなた様がよく考えて行動してくれたら嬉しいなあって、思ってます。
わたしたちは、平和を強く望んでいますから。

かしこ

◆◆◆

サトミ51が手紙を読み終わって封筒の中をのぞき込むと、たしかに名刺が入っていました。

名刺にはこう書いてありました。
「わが食育の拳は岩をも砕く! 佐久間象子(剛腕の管理栄養士)」

 

 

 

 

<参考書籍>

平成20年版 食育白書
http://astore.amazon.co.jp/shokuikuprodu-22/detail/4903729427

平成20年版 食育白書

 

 

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