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2009.04.29 10:26

食育パンデミック

 

松宮園生です。

(豚インフルエンザの感染爆発は心配です。
感染といえば、昔こういうのを書いたことがあるので、アップします)
↓↓↓

 

20XX年。
「ファラオB型」と呼ばれるウィルスが蔓延しました。

このウィルスに感染すると、外国産の果物や野菜、大豆や小麦やトウモロコシに対してアレルギー体質になるのです。
その症状は花粉症のひどいのに似ていました。
死ぬことはありませんでしたが、涙は溢れるわ鼻水は止まらないわクシャミは次々と出るわで、その状態が数日続くのです。
たまったものではありません。
有効な治療法もなく、何千万という日本人がファラオB型に侵されていきました。

感染した人は、国産のものしか食べられなくなります。
なので、このウィルスは別名
「地産地消ウィルス」とか
「自給率ウィルス」
とか呼ばれました。

それから2年の月日が流れました…。

◆◆◆

サトミ51は、食育系の殺し屋です。
食育なのに殺し屋という、なんとなく矛盾した存在です。
ニキータ検定1級の持ち主です。
ちなみに、オカマです。

 (サトミ51については→ 「食育コウモリに明日はあるか」
  http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/11/post_83.html

そのサトミ51のところに、健康省からメールが来ました。
こんな文面です。

サトミ51先生
いつもお世話になりありがとうございます。
さっそくながら、食育業界ナンバーワンの仕事人、サトミ51先生を見込んで、お願いがございます。
じつは地産地消ウイルスのワクチンを完成させました。
これで大勢の方が鼻水やクシャミの苦しみから解放されます。

地産地消ウイルス、ファラオB型の感染爆発から早2年。
大勢の国民がバナナやパイナップルやグレープフルーツを食べる楽しみを奪われ、
ワカモレ(アボカドにタマネギとかパクチーとかを加え、すりつぶしてペースト状にしたもの。旨いよ!)も味わうことを許されず、
それどころかうどんも食べられず(うどん粉は大部分が輸入です)、
醤油もなかなか使えない(醤油を作るための大豆は、大部分が輸入)。

需要に供給が追いつかなかった国産の食料はドーンと値上がりし、国民のエンゲル係数は50パーセントを超えました。
50パーセントですぞ。
給料の半分が食費に消えるのです。

そんな国民生活を立て直すべく、われわれ健康省はエリート科学者を動員し、日夜ワクチン開発に取り組んでまいりました。
試行錯誤を果てしなく繰り返す毎日。
気の遠くなるような努力を重ねてまいりました。

それが、ついに完成したのです。
ワクチンができました!
これで国民は救われます。

救われるのは日本国民だけではありません。
長年の顧客だった日本人が食料を買わなくなったために、収入が減り、生活に苦しんでいる農家が、世界各地にいます。
彼らの生活も、これで立ち直るでしょう。

国民の健康を守ることがわれわれ健康省の使命です。
国民の半分がウィルスに感染している状況を、黙って見ているわけにはいかんのです。
「こんなに感染爆発しているのに、健康省は何をしているんだ」
「国民の病気を治すのが健康省じゃないのか」
「ワクチン開発にいつまでかかっているんだ。税金は有効に使え」
毎日何万という怒りの電話を頂戴しています。

そんな日々でしたから、ようやくワクチンが完成したとき、われわれは嬉しいというよりも正直ホッといたしました。

ところがです。
やっとこさ完成したワクチンが、なんと、盗まれてしまいました。

犯人の目星はついています。
農務省です。
国民に国産品を食べさせたい、食料自給率を上げて農家の機嫌を取りたい農務省にとって、この地産地消ウィルスは渡りに船です。
奴ら、ウイルスが広がってしめしめと思っているに違いありません。
ウィルスじたい、農務省がひそかに開発したのではないかと我々は疑っており、独自の捜査を進めています。

ですから、奴ら農務省から見たら、我々のワクチンは邪魔なのです。
これまでも、ワクチン開発中に農務省からの妨害工作は何度もありました。
妨害工作のおかげで、女性スキャンダルが発覚して辞職した健康官僚や健康族議員が何人いたことか。
その農務省が、ワクチンを盗んだ犯人です。

長々とすいませんでした。
サトミ51先生にお願いというのは、盗まれたワクチンを取り返して欲しいのです。
手段は問いません。
ややこしいことが起きたら、国家権力でもみ消しますので、ご安心ください。
サトミ51先生の過去の犯罪記録も消去するよう、関係各所と摂取中です。

それから報酬ですが、空欄の小切手をお送りいたしますので、お好きな金額を書き込んでください。
あっでも、いちおう、健康省の食育予算を越えない金額でお願いいたします。

 (健康省の食育予算を知りたい人はこちら→ 「食育三国志 その2」
  http://www.shokuiku-pro.com/production/2009/02/2_37.html

◆◆◆

そのメールから数時間後、今度は農務省から手紙が送られてきました。
こんな内容でした。

親愛なるサトミ51様。
あなた様の日頃のご活躍、遠くから応援してます。
松宮園生との死闘は圧巻でしたね。

さて、健康省があなた様に接触しているという情報を入手しましたので、わたくしたち農務省も対抗上、このお手紙を差し上げました。
あの方たちがあなた様に何を吹き込もうとしているのかは分かりませんけど、相手にしちゃいけませんよ。
わたくしたち農務省は、被害妄想の強い健康省から不当な攻撃を幾度となく受けているんです。
ほんと、酷いんですよ。

(1)あの方たちは、「農務省がファラオB型ウィルスを開発して撒き散らした」と主張してます。
でもそれは間違ってます。
濡れ衣です。
わたくしたちはそんなことしてません。

(2)あの方たちはワクチンを開発してるそうですけど、それを農務省が妨害していると主張してます。
これも全く嘘っぱちです。

(3)被害妄想の激しい健康省は、攻撃は最大の防御とばかりに、わたくしたち農務省を攻撃してるんです。
攻撃のおかげで金銭スキャンダルが発覚して辞職した農務官僚や農務族議員が何人も出ちゃって。
何度も言っちゃいますけど、ひどいのは健康省なんですよ。

(4)最近、あの方たちはワクチンを完成させたと主張してます。
ところが、そのワクチンを見せろと言ったら、なくなったって言うんですよ。
しかも、わたくしたち農務省が盗んだと主張しています。
マジでとんでもない話です。
盗むなんて、そんな行為をわたくしたちがするはずがありません。
濡れ衣もいいところです。
てゆうか、健康省は本当にワクチンを完成させたのでしょうか?
怪しいものです。

そんな状況ですので、どうぞ健康省のゴタクには耳を傾けませんよう、お気をつけくださいな。

ちなみに、地産地消ウィルスのために世の中はだいぶ変わりましたけど、悪いことばかりじゃありません。
まず、ぶっちゃけ日本の農業は立ち直りましたし。
農家の収入が増え、専業農家が増え、耕作放棄地は減りました。

次に、国民の食生活が質素な昔の日本スタイルに戻りましたので、メタボが減りましたよ。
メタボが減ったんですから、健康省だって嬉しいはずですね。
そりゃ確かに、国産食料品の価格は上がりました。
けど、その代わりメタボが減り生活習慣病が減るんだから、医療費負担も減るじゃんね。
だから、あの方たちがファラオB型を目の敵にしているのは、おかしいんです。
(ファラオB型を支持しているからって、わたくしたちがウィルスをばらまいたという噂は根も葉もありませんけど)

それとも健康省は、食料品の価格を下げるほうを優先して、医療費を増やしたいとでも言いたいのかしら?
へんな人たち。

長々と書いてしまい、ごめんなさいね。
なにとぞ、あの方たちの世迷いごとを真に受けたりなさいませんよう、お気をつけなさいませ。

それでもあなた様がどうしてもあの方たちの味方をなさるというのでしたら、しかたありません。
わたくしたちも農務省の食育予算を使って対抗しちゃいますからね。

 (農務省の巨額な食育予算を知りたい方は→「食育三国志 その4」
  http://www.shokuiku-pro.com/production/2009/02/4_28.html

あなた様は腕の立つ仕事人かもしれませんけど、こっちが雇った用心棒もなかなかのものですよ。
警告の意味で、その人の名刺を、同封しておきます。
あなた様がよく考えて行動してくれたら嬉しいなあって、思ってます。
わたしたちは、平和を強く望んでいますから。

かしこ

◆◆◆

サトミ51が手紙を読み終わって封筒の中をのぞき込むと、たしかに名刺が入っていました。

名刺にはこう書いてありました。
「わが食育の拳は岩をも砕く! 佐久間象子(剛腕の管理栄養士)」

 

 

 

 

<参考書籍>

平成20年版 食育白書
http://astore.amazon.co.jp/shokuikuprodu-22/detail/4903729427

平成20年版 食育白書

 

 

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2009.04.26 16:46

グッバイマム

 

 

松宮園生です。

アメリカに住んでいたころの話です。

世界最大の自然食品店ホールフーズ・マーケット。
そのホールフーズ・マーケットをうろうろしてたら、
日系人とおぼしい初老の女性に日本語で声をかけられました。
「あなた、日本から来た日本のかたね?」
「そうですが」
「ああやっぱり」女性は言いました。「ああやっぱり日本人。
その心を閉ざしたような歩き方。母音の発音が下手そうな口元。
屈託だらけのあごの形。…日本人ねえ」
「そうですか」僕はムッとして言いました。「ところで何か御用ですか」
「何でもないのよ。あなたが息子に少し似てらっしゃるからついつい見とれちゃったの」
「そうですか」僕は冷たく言いました。「ではごきげんよう」

惣菜売場でまたこの女性と会いました。
「ここの惣菜、おいしいのよねえ」女性は言いました。「コーシャ・フードはお好き?」
機嫌が直っていたので、僕はふつうに返事をしました。「わりと食べますね」

コーシャ・フードというのは、ユダヤ教の戒律にもとづいて作られている食品のことです。
ブームになり、ユダヤ教とであるなしに関わらず、売れてました。
惣菜売場にも、コーシャー・フードのコーナーがあり、僕はその前に立っていたのです。

「あなた、お名前は?」
「マツミヤといいます」
「ホントにあなた、ゲイリーに似てる」
「あなたは日本人ですか?」
「ええ。わたしはコウノといいます。愛媛の生まれですけど、20歳のときにこっちに来て、こっちで日系2世のローレンと結婚しましたのよ。でもホント、あなたゲイリーに似てる」
「ゲイリーって、息子さんの名前ですか」
「ええ。ゲイリーは昨年イラクで亡くなりました」
「そうでしたか。お気の毒に…」
気の毒ではありますが、それ以上話すこともなくなったので、女性と僕は互いに会釈をし、それぞれの買い物をつづけました。

レジのところでこの女性と再び出会いました。
僕の前に、並んでいたのです。
女性は、ハンカチで目を拭いていました。
「あのー」無視するわけにもいかず、僕は話しかけました。「元気出してくださいね」
「あなたを見てるとゲイリーのことを思い出して」と、女性は言いました。「お願いがあるんだけど、聞いてくれるかしら」
「なんでしょう」
「わたしが出ていくときに、ママ、また明日、って叫んで手を振ってほしいのよ。ゲイリーがよくやってくれたから」

しばらくして、買い物袋を抱えた女性は、僕に微笑みかけました。
「ママ、また明日!」
と、僕は大声で言って手を振りました。
女性はうれしそうに、ホールフーズ・マーケットを去って行きました。

僕が買ったのは惣菜2種類とミネラルウォーターだけでしたが、レジ係が言いました。
「129ドル(当時のレートで約1万5千円)です」
「えっ? たったこれだけで129ドル? なにかの間違いでしょ」
「間違いではありません」レジ係がおごそかに言いました。「先ほど、あなたのお母さんが、あなたが全部払うからと言ってましたよ」

 

 

 

 

<おすすめ図書>

フィット・フォー・ライフ
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フィット・フォー・ライフ ——健康長寿には「不滅の原則」があった!

 

 

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2009.04.24 02:03

恐怖の食育グミ

 

松宮園生です。

食事中には不向きな話題を1つ。

アメリカのドラッグストアに入ると、あるグミ製品をよく見かけます。

グミです。
手のひらくらいの袋に入った、グミなんですが。

なんで題名に「食育グミ」と書いたのかというと、その商品の袋に
「子供の学習意欲を高めよう」
「生き物に対する子供の関心を高めるお菓子です」
と、食育っぽいことがエラソーに書かれているからです。

で、どんなグミかなーと思ってとりあえず買ってみました。
食育コレクターの宿命です。

袋を開けて中身を出しました。

すると、全身の毛が、逆立ちました。

何匹ものミ××が塊になって出てきたのです。

ミ××です。
畑を耕したり、草むしりをしたりすると土の中から出てくる、あのニョロけた生き物です。
土を豊かにしてくれる、農業には欠かせない、(僕以外の)人類にとって、友人です。
もうお分かりですね。
恐れ多いので、フルネームは書かずに伏字とさせていただきます。

袋から、どさっと出てきたのです。

ホラーだ。

膝が震えました。
失禁寸前の、あの追い立てられるような感覚。

冷汗をたらしながら勇気を出してよく見ると、あくまでもグミでした。
本物のミ××ではありません。

しかし、ミ××そっくりな形に作られたグミのお菓子。
色は、さまざまです。
カラフルなミ××の、袋詰め、というわけです。

強調しますが、形はかなり、リアルです。

グミと分かっていても、気持ち悪くて触れません。

袋をよく見たら、堂々と
「ミ××グミ」
と書かれていました。

「ミ××グミ? そんな商品、誰が買うっつーんだよ。あ、オレが買ったか」
と、僕はさみしく、自分にツッコミました。
余裕のセリフ、というわけではありません。
なにかしゃべらないと、間違いなく失禁すると思ったからです。

グミって、たしか食べ物だよな…。

◆◆◆

この「食育グミ」、あちこちのドラッグストアで普通に売ってます。
いまでも店頭から消えずに残っていることから察すると、どうやらそこそこ売れてるらしい。

なんてことだ…。

つーか、目の前の、机の上の、このグミの塊。
さ、触れない。
しかし、母親から「食べ物を粗末にするな」と厳しく言われて育っています。
食育的にも、食べものを粗末にするわけにはいきません。

どうすんの。
どうすんのオレ。 (←古いか)

 

 

 

 

 

 

ぷちサンプルシリーズ 世界の機内食
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ぷちサンプルシリーズ 世界の機内食 1BOX (食玩)

 

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2009.04.22 19:37

危険なケーキ

松宮園生です。

アメリカにラザフォードという流しの料理人がいます。
流しですので、日本風にいえば
「包丁1本であちこちを渡り歩いている」
ような感じです。
そんなやつですから、いまも独身です。

  ラザフォードとの出会いについては→ 「料理500ドル勝負」
  http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/09/500.html

ラザフォードと僕はいわゆる悪友というやつで、お互い軽口をたたきあう仲です。
たとえばこんな風に。

日本人には B と V の区別とか、L と R の区別とかがつかない、と言われます。
とくに L と R 。
僕も区別がつきません。
努力してるんですけど。
たぶん「脳」ではなくて「脊髄」レベルで英語を身につけないとできないのかもそれません。

(ラザ) 「なあマツミヤ。Love Me Tender っていう歌、知ってるか?」
(松宮) 「知ってるよ。こんな曲だろ? ♪(歌詞を歌う)」
(ラザ) 「ワハハハ。オマエが歌ったのは Rub Me Tender だ。やっぱりオマエはホモだったな。攻めじゃなくて受けのほうのホモだ」

(解説)
どっちも「ラブミーテンダー」と聞こえますが、
Love Me Tender: 「優しく愛して」という意味です。
Rub Me Tender: Rub は「こする」という意味になります。

オトナはもうお分かりですね。
分からないオコチャマは、ご両親以外のオトナに教えてもらってください。

なんにせよ、からかわれた僕は怒り狂い、
「ヤマトダンジをからかいやがって。L だの R だの知るか。こんど戦争するときは、てめーらアメリカ人を全員、叩き潰してやるからな」
という不穏な捨てゼリフを残して立ち去るのでした。

ところがです。
たいへんなことが判明しました。

当時の僕は査証(ビザ)というものをもらってアメリカで仕事していたんですけど、これによると、アメリカ政府は僕を軍隊に徴兵する権利を持っているんだそうです。
つまりですね、日本とアメリカが戦争した場合、僕はアメリカ軍に編入される可能性があるということで…。
「アメリカ人を叩き潰せねえじゃねーかよ!」

なので慌てて帰国してきました。

◆◆◆

さて、その生意気なラザフォードを誘って、僕はいちど「健康セミナー」というやつに出かけたことがあります。
食べるものに気をつけないと大変なことになる、という主旨のセミナーでした。

満員御礼の会場に、スーツ姿の講師は上機嫌。
ラザフォードと僕はいちばん前の席に座っていました。

「今日集まっておられる皆さんは、食べるもののことを真剣に心配されておられる。そうですね?」
と、壇上に上った講師はおごそかに、マイクに向かって切りだしました。
「皆さんがご存知のように、いま、食の安全性が危機にさらされています。
どうやって育てたか分からない牛の肉。
市販されている飲み物には発がん性物質。
野菜だって安心しては食べられません。
それに、毎日飲んでいる水に、どんな種類の細菌がはびこっているか、誰も気がついていない!」

さらに講師は続けました。
「しかし、何よりももっとも危険な食べ物があります。我々をむしばむ、危険な食べものです。何だと思いますか?」

問いかけられて しん、 とする会場。
わざと時間をおき、聴衆を見まわす講師。

すると、驚いたことにラザフォードが手をあげました。

彼はいいました。
「オレの爺さんは今年で75歳なんですけど、先生。男にとってこの世でいちばん危険な食べものは、ウェディング・ケーキだと言ってましたぜ」

 

おあとがよろしいようで。

 

 

 

 

 

<参考図書>

図解入門ビジネス 最新 食品工場の衛生と危機管理がよーくわかる本
http://astore.amazon.co.jp/shokuikuprodu-22/detail/4798020079

図解入門ビジネス 最新 食品工場の衛生と危機管理がよーくわかる本 (How‐nual Business Guide Book)

 

図解入門ビジネス 最新食品販売の衛生と危機管理がよーくわかる本
http://astore.amazon.co.jp/shokuikuprodu-22/detail/4798021571

図解入門ビジネス 最新食品販売の衛生と危機管理がよーくわかる本 (How‐nual Business Guide Book)

 

 

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2009.04.20 14:57

国王のいちばん長い昼食

 

 

「陛下、お時間でございます」
侍従長の声に、国王ヒシオ2世は憂鬱な顔をあげました。
侍従長の顔も曇っています。

侍従長の横に、総理大臣が立っていました。
総理大臣が言いました。「国家100年の計のため、軍隊を強くするため、臣民のためでございます、陛下。なにとぞ…」
「分かっておる。みなまで申すな」
「はっ」

国王が総理大臣と侍従長を従えて会食の間に入ると、そこには内務大臣、外務大臣、陸軍大臣、海軍大臣、大蔵大臣、枢密院議長など、国家の主要な面々が、直立不動の姿勢で待ち構えていました。
国王がまず着席し、大臣たちがそれに倣(なら)います。

「料理長が、陛下にメニューのご説明をしたいと申しております」侍従長が国王に耳打ちしました。
「許す。説明せよ」
侍従長の合図に従い、宮殿料理長が国王の前に進み出ました。
「申し上げます。本日のお品書きでございますが…」

料理長が説明したメニューはこうでした。

* キングダム・サラダ
* ピュージェット・サウンド風クラムチャウダー
* オマール海老のケサディーヤ ワカモレとトマトサルサで
* ロースト・プライムリブ ホースラディッシュ添え
* デザート:バニラクレームブリュレ
* コーヒー

国王は鷹揚(おうよう)にうなずき、料理長は厨房に戻りました。
ほどなく、最初の料理が運ばれてきました。
酒がふるまわれ、会食が始まりました。

◆◆◆

国王は黙ったまま食事を進めました。
口をきく臣下もいませんでした。
国王が会話を禁じたというわけではありません。
ただ、誰もが沈黙していたのです。

料理が不味かったわけではありません。

サラダは、厳格な手作り有機栽培のロメインレタスを素材に、
* 国王自身が趣味で育てたニンニク
* ウユニ塩原から取り寄せた塩
* 東インド会社がビクトリア女王に献上したのと同じコショウ
* 「南アフリカの果物王」と呼ばれるゴールドフラワー家が食べているレモンの果汁
を使ってドレッシングとしています。

クラムチャウダーは、シアトルで開かれる世界クラムチャウダーコンテストで2度優勝したプレミアム・ジェイクスのレシピを、宮殿料理長が半年かけて研究したものです。
クラム(2枚貝)は、王立海洋研究所が所有する海岸で採集されたものです。

オマール海老のケサディーヤは、シカゴにある世界でもっとも有名なメキシコ料理店のレシピを、これまた宮殿料理長が半年かけて研究したものです。
オマール海老も、クラムチャウダーのクラム同様、王立海洋研究所が所有する海域で捕獲されたものです。
新鮮なまま、捕獲して2時間後には、宮殿料理長のところに届いていました。

というわけで、どの料理も通常であれば、どんな不機嫌な人でも目尻が下がる美食のはずなのですが…。

◆◆◆

沈黙のなか、「ロースト・プライムリブ ホースラディッシュ添え」の出番がやってきました。
そのときです。
カメラマンが静かに入場してきました。

侍従長が国王に耳打ちし、硬い表情でうなずく国王。

カメラが静かに、流れるような段取りで設置されます。
設置が終わるやいなや、「ロースト・プライムリブ ホースラディッシュ添え」が運ばれてきました。

アメリカ農務省が指定する最高級のプライムビーフを用い、宮殿料理長が半年かけて開発したソースがかかっています。
ホースラディッシュは、王立農園で有機栽培されたものです。
絶妙な、ロースト肉の香りが漂います。

カメラマンは国王に向ってうやうやしく頭を下げ、それから
「5…。4…。3…」
と言いました。

放送開始までのカウントダウンです。

しかし
「2…。1…」
は声になりませんでした。
カメラマンは声に出すかわりに、2本指を立て、それから1本指とし、最後に無言(口パク)で
「お願いいたします、陛下」
と言いました。

カメラの前で「ロースト・プライムリブ ホースラディッシュ添え」を食べ始める国王ヒシオ2世。
心で泣きながら、顔では嬉しそうに食べなければなりませんでした。

国王にならい、同席の大臣たちも肉料理を食べ始めます。

「肉を食べる国王の姿」
は、カメラを通じて全国に放送されました。

この国の長い菜食主義の歴史は、この瞬間に幕を閉じたのでありました。

◆◆◆

ヒシオ2世の話はもちろんフィクションなのですが。
じつは昔、こんなことがあったそうです。

明治維新のころ。
「富国強兵」を掲げ、西洋諸国に追いつき追い越すことを目指す明治政府でしたが、大きな悩みを抱えていました。
国民の体格の問題です。

ヨーロッパの兵士はみな体が大きい。
日本の兵士は体が小さい。
これでは戦争に勝てるわけがない。
なんとかして、日本人の体格を変えなければ。

なぜ体格が違うのか。
どうしたらいいのか。
明治政府が至った結論は、
「日本人に肉を食べさせよう」
ということでした。

仏教の影響もあり、日本では歴史的に肉食はタブーとされていました。
実際には肉を食べるケースはそれなりにあったようですが、公には、肉食は「不浄である」と考えられてきました。
なので、国民に広く肉食が普及しているというわけではなかったようです。

さて、そうしたタブーを乗り越えて国民が肉を積極的に食べるようになるには、どうしたらいいのか。
明治政府は、なんと
「天皇陛下に肉を食べていただこう。そのお姿を国民に見せよう」
と考えたようです。

1872(明治5)年1月24日。
明治天皇は宮中で自ら牛肉を食べ、その姿を国民に示されました。

 

ヒシオ2世の話は、この歴史に触発され、それをちょっと今風に書いてみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「歴史のかげにグルメあり」
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歴史のかげにグルメあり (文春新書)

 

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2009.04.17 11:03

食育都市伝説 その2

 

松宮園生です。

「食育都市伝説」
第2弾です。

  (第1弾) http://www.shokuiku-pro.com/production/2009/02/post_183.html

 

■レッドクリフ

一般の「三国志」って、前半のストーリーは劉備玄徳がなんとなく主人公っぽくなってて、後半は諸葛公明が主人公っぽく書かれている感じです。
前半と後半はどこで切り替わるのかというと、「蜀」の皇帝となった劉備玄徳が白帝城で亡くなるところで前半は終りです。

映画「レッドクリフ」は、「赤壁の戦い」という有名な戦いをテーマにしていますが、この「赤壁の戦い」は前半のエピソードの1つです。

さて、「三国志」は登場人物が1万人に及ぶという壮大なストーリーなので、数多くのエピソードがあります。
そのなかに、こういうのがある。

ある戦いに敗れた劉備玄徳が敵に追われて劉安という男の家に宿を借りました。
劉安の家はこのところの飢饉で窮乏していたため、劉備をもてなす食料がありません。
そこで彼はどうしたかというと、なんと自分の奥さんを殺害し、その肉を調理し、
「オオカミの肉です」
と偽って劉備の夕食に差し出しました。

しかしその嘘は、まもなくバレてしまいます。
「奥さんの肉だったのか…」
劉備はいたく感動し、涙を流します。

ここがポイントです。
劉備は、怒ったのではなく、不快だったのでもなく、感動したのでした。
で、後に蜀の皇帝となった劉備は、この劉安という人物を政府高官に登用しています。


この話は、「三国志」では美談として描かれています。
現代人のわれわれにとっては、悪逆非道な話に聞こえてしまうのですが…。

このころの中国(2000年前)では、こうしたケースが少なくなかったようです。
現代の中国では食人はタブーとされており、違法でもあります。

 

■上の話に関連して、こんな記事。

「日本人が一番ウマい」
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20081215_japanese_tastes_the_best/

パプアニューギニアには人食い部族がいます。
「自分はそうではないが、親の代まではそうだった」という人もけっこういるそうです。

で、ヘルシー食として世界的に人気のある日本食。
いろいろ食べ比べた人食い部族の証言によると、日本食を食べている日本人の肉も美味しいそうで…。

 

■恐怖の産直お買いものおばさん

ある道の駅で、値切り交渉をしているおばさんの大声が…。

「有機野菜やったら、農薬使ってへんのやろ。それやったら、農薬代が浮くんちゃうの。安くなるはずやん」
「産直はめっちゃ安い聞いとるで。運び賃が浮くんやろ。せやったら、もっとまけてえな。それに、こっちはわざわざ東京から来てるんやで。交通費、かかっとるがな」

東京人やったんかい。


  (註)有機野菜は農薬を使わないので雑草取りに人手がすごくかかります。
     それに、大量生産もできません。
     なので、安くなるはずがないのですよ、おばさん。

 

 

 

 

 

 

知っておきたい「味」の世界史
http://astore.amazon.co.jp/shokuikuprodu-22/detail/4044064083

知っておきたい「味」の世界史 (角川ソフィア文庫)

 

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2009.04.14 09:16

「ぱぴぷぺぽ健康法」を探せ!

 

松宮園生です。 

「健康あかさたな辞典」
という終わっちゃったサイトがあります。
http://www.activelife.co.jp/news/health/akasatana/index.html


「調味料の さしすせそ」
という言い方があります。
さ=砂糖
し=塩
す=酢
せ=醤油(せうう)
そ=味噌
この順番で、料理に使うんだそうです。


こんな感じで、「あいうえお」から「わをん」まで、こういった例がどのくらいあるか調べてみました。


■まず、「あいうえお」。

こんな本がありました。
「あいうえお健康法 生き生きライフ道しるべ」
(小林豊子著、東銀座出版社) (※)
http://astore.amazon.co.jp/21health-22/detail/4938652013


■次は、「かきくけこ」。

もと大学のエライ先生だった人が、
「かきくけこ運動」
を提唱しています。
http://www.yurindo.co.jp/yurin/back/396_1.html

脳を活性化するために、
か=感動
き=興味
く=工夫
け=健康
こ=恋
を頑張ろうというものらしい。


■で、「さしすせそ」。

最初に書いたように、調味料を使う順番の覚え方です。


■ここまでは順調だったんですが…。
その先が、ないんだよね。

「たちつてと」…誰も使っていない。(たぶん)
「なにぬねの」…誰も使っていない。(たぶん)


■「はひふへほ」は、検索したら、あった。

家族そろって元気のススメ、「健康体操はひふへほ」!
いかにも「ひと笑い」できそうな名前です。

しかしクリックしてみたら、好感のもてるフツーのブログでした。
http://kids.tea-nifty.com/genki/2006/11/post_deb7.html

なんで「はひふへほ」なのかというと、
* ははは
* ひひひ
* ふふふ
* へへへ
* ほほほ
という笑い声がブログの随所に散りばめられているからのようです。

紛らわしいんじゃい!

(怒んなよ)


■「まみむめも」は、誰も使っていないようです。(たぶん)


■「やゆよ」だけど。

「やゆよ記念財団」
つーのがありましたが、健康とは関係ないしなあ。
http://www.yayuyo.org/old/


■「らりるれろ」も「わをん」も、まだ誰も使っていないようです。(たぶん)


うーむ。


■しかし、「いろはにほへと」については…。

「いろはにほへと塾」
というNPO法人がありました。
徹夜で走るマラソン大会なんかを開催している謎のヘルシー団体のようだぞ。
http://www.irohanihoheto.org/


<まとめ>

思いのほか、使われていなかった。
「たちつてと」
「なにぬねの」
「まみむめも」
「らりるれろ」
「わをん」
この5つが、空席です。

もったいない。

誰か、「たちつてと」体操とか、「らりるれろ」食事法とか、考案してくれよー。




(※)東銀座出版社
そんな名前のくせに、本社は文京区本郷だそうだ。
小林多喜二の小説「蟹工船」を、この出版社は漫画化しています。

  マンガ蟹工船
  http://astore.amazon.co.jp/21health-22/detail/4894691051

   マンガ蟹工船―30分で読める…大学生のための

 

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2009.04.13 08:41

恋するベジタリアン その3

 

松宮園生です。 

(前回までのあらすじ)
トモという名の、少々生意気でビーガン(※)な女の子から
苦悩のメールが来ました。
大好きだった彼氏が自分と同じビーガンだと思っていたのに、
じつはバリバリの現役プレデター(※※)だと判明したのです。

彼女はどうするのか?
プレデター彼氏を選ぶのか?
それともビーガンを貫くのか?

  (※) ビーガン
  卵や牛乳なども排除する、完全菜食のベジタリアン。
  参考:「合コンに学ぶベジタリアンの世界 その1」
  http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/05/post_21.html

  (※※) プレデター
  本来はライオン、トラ、ヒョウ、チーターなどの「狩をする肉食動物」の意味。
  転じて「肉をもりもり食べる人」の意味にも使われます。
  参考:「クーカ食われるか」
  http://www.shokuiku-pro.com/production/2008/02/post_121.html

では、メールの続きを読んでみましょう。

◆◆◆

助手席のトモと運転席のマーク。
沈黙する2人を乗せたクルマが、パサデナの街に入ります。

世界のなかで2人の空間だけ、酸素が特別に薄くなったような気がしました。

信号待ちでクルマが止まりました。
トモは言いました。
「ビーガンだというのは嘘だったの? 今までビーガンのフリをしてたのね…」
弱々しくつぶやくトモ。

運転席のマークの様子をうかがうと、彼は前を向いたままです。
トモと目をあわそうとしません。

「あなたは本当は何者なの。正体を見せて」

それでも黙っています。

「何とか言って」

信号が青になり、クルマは走りだします。
ようやくマークが口を開きました。「ふっふっふ明智君(←誰が明智だよ)。バレてはしょうがないね、ハニー。そうさ。ボクは肉を食うし、ハンティングにだって行くのさ。驚いた?」
「ずっと嘘をついていたのね」
「まあそう言うなって、ハニー。キミを好きになってから、ボクもベジタリアンになろうと思って努力したんだ。これも恋のなせるわざ。でもたまには、肉を食べたっていいじゃん。分かるだろ」
「ぜんぜん分かんない」

本当に分かりませんでした。

家に着きました。
そこで2人は、テーブルを挟んで話し合いました。
話し合いの結果、こんなことが明らかになったんです。

<食生活>
* ビーフ: マークはトモに隠れてステーキをレアで食べていた。トモは食べない。
* ポーク: マークはトモに隠れて生姜焼きを食べていた。トモは食べない。
* チキン: マークはトモに隠れて照り焼きを食べていた。トモは食べない。
* 魚: マークはトモに隠れてムニエルを食べていた。トモは食べない。
* 卵: マークはトモに隠れてスペイン風オムレツをケチャップたっぷりで食べていた。トモは食べない。
* 牛乳: マークはトモに隠れて成分無調整牛乳をごくごく飲んでいた。トモは飲まない。

<ポリシー>
* 捕鯨: トモは反対。マークは反対するフリをして実際は無関心で、竜田揚げをウマイという。
* 森林伐採: トモは反対。和食を食べるときはマイ箸を使う。マークは反対するフリをして実際は無関心で、いつも割り箸。
* 地球温暖化: トモはアメリカが温暖化防止に協力的でないのを怒っている。マークは怒るフリをして実際は無関心で、温暖化を心配するフリをして実際はオナラを連発している。

◆◆◆

「人っていろいろ違うけど、あたしたちもこんなに違うのね」
しみじみ言うトモ。
「違うったってさ、たかが食べものの話じゃん」
とマーク。
その言い方に少しカチンときました。「食べものが違ったら何もかも違うのよ」
「キミは人を食べもので差別するわけかい」
「差別じゃないけど…。うん、でも、そうね。ごめんね。やっぱり差別かもね。食べものもそうだし、食べ方でも人は違うのよ」
「で、ボクがたまに肉を食うことが分かって、差別するというんだね」
トモは首を横に振りました。「分からない。混乱しちゃって」

「こんなことで、ボクたち別れたりしないよな」とマーク。
トモはもう1度、首を横に振りました。「分からない。すごく混乱してるの」

マークの顔に焦りの色。
「キミはボクとの恋愛よりも、ベジタリアンであるほうを優先するのか」
「ベジタリアンなんて言わないで。あたしはビーガンよ。ただのベジタリアンじゃないの」
「またそれか。いいじゃん、どっちでも」

「いくない。全然いくない」トモは立ち上がりました。「ごめんね。出かけてくる。しばらく、ひとりになって考えたいの」

「待てよ」彼はトモの手を掴みました。「帰ってくるよな」
トモはかぶりを振りました。「分からない…」

突然、彼はトモの手を引っ張りました。
ソファーに押し倒そうとしたのです。

「やめて!」
ソファーに倒れかかりながら叫ぶトモ。
「キミのことが好きなんだよ」迫るマーク。
「やめてったら」体をよじって逃れようとするトモ。

主人公危機一髪!

無我夢中でマークを蹴ったら、急に軽くなりました。
見ると、マークの体は向こうの壁まで飛んでいったみたいで、彼はそこで気絶していました。
星が回っているのが見えました。

トモ、凄ー。
彼、3メートルは飛んでるよね。
火事場の馬鹿力ってやつかしら。
まだ体が震えていましたが、そんなことを考える余裕はあったみたいです。
トモったら、お茶目なんだからぁ。

このことでマークに対する気持ちは完全に冷めました。
気絶している彼をそのままに、トモは大急ぎで軽く荷物をまとめると、その場からすたこら逃亡したのでした。

◆◆◆

というわけで松宮さん。
松宮さんの気持ちを知っていながら長いこと待たせて悪かったけど、トモは彼氏と別れるつもりです。

心の傷ももうすぐ癒えるかな。

そろそろ、食事くらいならいいかも。
どこにエスコートしてくれるのかしら?

でも、気が変わったらドタキャンするかもしれません。
そのときはヘップバーンなトモを許してちょんまげ。

ね?

◆◆◆

メールはここで終わっています。

「松宮さんの気持ちを知っていながら長いこと待たせて悪かったけど」


はぁ?
なんだそりゃ?
おれの気持ち?
待たせる?

おれたち、いつ知り合いになったの?

(このシリーズ、おしまい)

 

 

 

<参考図書>

ベジ・スイーツ―からだにやさしい洋菓子
http://astore.amazon.co.jp/shokuikuprodu-22/detail/4434116843

ベジ・スイーツ―からだにやさしい洋菓子

 

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2009.04.11 12:01

恋するベジタリアン その2

松宮園生です。

(前回のあらすじ)
トモという女の子からメールがきました。
アメリカにあこがれ、カリフォルニアに留学。
ベジタリアンになったそうです。
そこで同じベジタリアンの素敵なボーイフレンドと出会い、
幸せな日々を送っているようなのですが…。

  前回:「恋するベジタリアン その1」
  http://www.shokuiku-pro.com/production/2009/03/1_1.html

◆◆◆

年下のボーイフレンド、マークとは2人で住んでます。
マークは日系2世で、日本名はマサヒコだけど、本人はマークのほうが好きみたいです。
わたしたち2人とも、高級ベジタリアンのビーガンです。
ペスコの松宮さんとはきっと住む世界が違うの。

夕食の買物は、「ホールフーズマーケット」とか、「ブリストルファームズ」とか、「ワイルドオーツ」とかに行きます。

  (松宮註: アメリカでは有名な自然食品店のチェーンです)

ロサンゼルスのダウンタウンに「エラワン」という凝った自然食品店があるんですけど、ここは懲りすぎてチョット怖いです。
なんていうか、知らない宗教の儀式を受けに行くような気分になるんです。

あと、「トレーダージョー」には行きません。
あまり雰囲気が好きじゃないので。
なんとなく暗くないですか、あそこ?

ホールフーズマーケット、ほんとに素敵なお店ですよね。
トモはホールフーズマーケットで総菜を買うのが好きです。
すごいたくさんの種類の総菜が並んでて、ぜんぶナチュラルな食材を調理したものばっかりで。
味も、日に日に良くなっているって感じです。
「昨日より今日のほうがおいしい」って、毎日思えるお店なんて、そんなにあるかしら?

大学を卒業したら結婚しようと話していました。

でも松宮さん。
そんな楽しい日々が、崩れるときがやってきました。

マークの秘密を、見てしまったんです。

パサデナからモントレーまで2人でドライブに行った帰り道。
タイヤがパンクしました。
予備タイヤにつけかえるのに、トランクのなかをごそごそいじっていると…

「それ」がありました。

猟銃です。

ベジタリアンの世界では悪魔の道具と忌み嫌われている、猟銃です。
罪のない動物を、人間の楽しみだけのために撃つ、道具です。
それが、ここにあるんです。
マークの車のなかに。

トモは混乱しました。
マークは、ビーガンではなかったの?

ベジタリアンには2種類の人がいます。

ひとつは、動物性の食べ物からは健康を得られないと考え、植物性の食べ物だけを選択する人。
自己愛型ベジタリアンです。

もうひとつは、動物に苦痛を与えたくないと考え、植物性の食べ物だけを選択する人。
動物愛護型ベジタリアンです。

ビーガンは、その両方じゃなくちゃいけないの。
つまり、ビーガンは動物性の食べ物を食べないだけではなく、動物の殺生をしない人たちのはずなんです。

それなのに、猟銃がここに…。

マークが後ろに立っていたので、トモは心臓が止まりそうになりました。

マークは微笑みをうかべて言いました。
「驚かせてごめんねハニー。それ、ボクのじゃないんだ。友達から預かってほしいと言われてね」

でも銃身には大きな字で「MASAHIKO(マサヒコ)」と書いてあります。

「ああ、それね」トモの視線の先に気づいたマークは、早口で言いました。「友達の名前もマサヒコっていうんだ。偶然だよね。あはははは。いやいや、ホントにホント。偶然ってあるんだねえ。あはははは。こんど紹介するよ。あはははは」

マークの笑い声がむなしく空に消えていきます。

タイヤの取り換えが終わってクルマは走り出しましたが、トモは黙っていました。
マークはいろいろ話しかけてくるのですが、トモは答えませんでした。

そのうち、マークも沈黙してしまいます。
会話のないまま、クルマはフリーウェイを走り続けます。

「メンドクサイ女だな」
しばらくして、マークがそうつぶやくのを聞いたような気がしましたが、たしかかどうかは分かりません。

(以下次号)

 

 

 

 

<おすすめリンク>

婚活・恋愛に役立つ食育
http://shokuiku-square.seesaa.net/article/116810681.html

 

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2009.04.09 21:09

メッツ

 

松宮園生です。

今回は食(育)の話ではなくてエクササイズの話なのですが…。

メッツというものがあります。
といっても、ニューヨークにある野球チームのことではありません。
「ひとつ」「ふたつ」の次ではありません。
グレープフルーツ味の炭酸飲料でもありません(←じつは好物です)。

METs(メッツ)
運動のハードさを示す指標です。
3年前に厚生労働省が考え出したものです。

1METs=座って安静にしている状態。
3METs=通常歩行。
8METs=(引っ越しとかで)重い荷物を運搬する作業。

メッツ(METs)一覧表はこちら。
http://www.wellba.com/hbnews/contents/mets_table.html

厚生労働省が言うには、
「メタボを改善するために、3METs以上の身体活動・運動を1日60分やれ」
ということのようです。

なお、発音のしかたですが、
「メ」にアクセントを置く人と、
「ツ」にアクセントを置く人がいます。
どちらが正しいのか、厚生労働省も教えてくれませんでした。

僕のリサーチによれば、後者のほうが若干、多いようです。

まあとにかく。
特定保健指導(メタボ指導)を受けることになったお兄さんたち。
保険指導のおねえさん(保健師とか管理栄養士)と仲良くしたかったら、、この言葉を覚えておきましょう。









<おススメの1冊>

「書くだけでおなかひっこむメタボ手帳」 (← 字余り)
http://astore.amazon.co.jp/21health-22/detail/478950915X

 

 

<おススメ歩数計>

遊歩計 宇宙戦艦ヤマト 歩いてイスカンダルへ
http://astore.amazon.co.jp/21health-22/detail/B001F60BQQ

遊歩計 宇宙戦艦ヤマト~歩いてイスカンダルへ~

 

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2009.04.08 00:22

食欲王子 (後編)

松宮園生です。

「食欲王子」後半です。
お手数でも、必ず前半をお読みになってから、続きをお読みください!

  前半: 「食欲王子 (前編)」
  http://www.shokuiku-pro.com/production/2009/04/post_186.html 

◆◆◆

人々の不満がついに爆発します。
イル16世が30歳のとき(=ピエールも30歳)、政治犯を閉じ込めていたシャルル牢獄を市民が襲撃しました。
革命の始まりです。

政治犯を解放した市民軍は、今度は王都プリウスに進軍します。
大勢の国民が武器をもって合流し、プリウス郊外で政府軍と激突。
プリウス市民も革命軍に参加し、政府軍はこっぱみじんに打ち破られます。

革命軍は宮廷を占拠。
イル16世もマリー・パトリシアも捕えられてしまいました。

捕えられたとき、
* イル16世は中国から伝わった餃子の64個目を食べていた
* マリー・パトリシアは別室で若い貴族を裸にして手錠をかけて遊んでいた
と言われています。
あくまでうわさですが。

ピエールの屋敷にも革命軍がやってきました。
ピエールは抵抗せずに降伏。
革命軍は彼を、彼自身の屋敷の地下牢に閉じ込めました。

そこへ、捕えられたイル16世も移送されてやってきました。
2人は向かい合った牢屋に幽閉されました。

移送されてきたときのイル16世は、狂乱状態だったといいます。
食べていた餃子はとりあげられ、そのあと何も食べない(食べさせてもらえない)まま、移送されてきたのでした。

ピエールの知る限り、眠っているときを除いて、イル16世が10分以上「なにも口にしていない」状態だったことはありせんでした。
そんな国王が、革命軍につかまり、ピエールの屋敷に移送されるまでのあいだ、なにも食べものを与えられなかったということです。
それが、狂乱状態の原因でした。

ピエールの自伝によると、
「食物を与えられなかった陛下の目は、アヘン中毒者の禁断症状そのものだった。陛下は宇宙全体を呪いの言葉で埋め尽くすかのような叫び声をあげ、あまりの異常さに革命兵士のなかには嘔吐する者までいた」
そうです。

地下牢に入ってからも、国王の狂乱状態は続きました。
食事は1日に2度、粗末なものを与えられるだけです。
それでも食べているあいだはおとなしくなるのですが、食べ終わると
「腹が減った」
「腹が減った」
と暴れはじめます。

実をいうと、国王に忠実なピエールは、万一のときの備えをしていました。
王のための美味な保存食を、あらかじめ屋敷の地下に蓄えてあったのです。

自分自身が囚人であるために、その保存食を国王に渡すのが難しかったのですが、あるときチャンスが到来しました。
彼らを監禁している革命兵士のなかに、容姿端麗なピエールに恋をする男がいました(ピエールも男です。念のため)。
ピエールはその兵士をたらしこむことに成功しました。
兵士に命じて、保存食がイル16世のところに運ばれるようにこっそり仕組んだのです。

王は与えられた食べものをがつがつと口にほうりこみます。
その動きは飢餓の子どもそのものでしたが、王の体型じたいは飢餓の逆で、とんでもなくメタボでありました。

◆◆◆

国王の裁判が行われました。
狂乱するのを避けるため、国王には特例で食事が与えられ、彼は食べながら裁判を受けました。

死刑の判決がでました。
死刑の判決が出たというのに、国王はなんの反応もしませんでした。
ひたすら食べ続け、いまここで何が起きているのかをまるで理解していないようでした。

王妃マリア・パトリシアも死刑の判決を受けました。
彼女はイル16世の処刑の前日に、ギロチンの露と消えました。
彼女は巨大な刃が落ちてくる直前まで、
「なんで自分がこんな目に遭わなければならないのか」
と怒鳴りつづけたそうです。

翌日はいよいよ、イル16世の死刑執行の日でした。
その日の早朝。
牢番の長(おさ)がやってきて言いました。
「イル16世陛下。陛下の処刑は1時間後に行われます。最後のときを安らかなお気持ちでお過ごしなさいますよう」
食事が支給されました。
最後の食事というわけです。
食べはじめたイル16世を尻目に、牢番の長(おさ)は部下の牢番たちともども、静かに立ち去りました。

向かい合った牢屋にいるピエールは、泣きながら国王に声をかけました。
この25年間のお礼と、自分も遠からずあの世に参ります、あの世でまたお会いしましょう、ということを言いたかったのですが、うまく話すことができませんでした。
嗚咽がでるばかりでした。

すると、それまで「最後の食事」をしていたイル16世の動きが、はたと止まりました。
彼の眼が宙をあらぬようにみつめ、顔がゆがみはじめます。
やがて、口がヘビのように大きく開かれ、数秒後、忘れもしないあの
「ずずずず、ずずずず」
という音がピエールの耳に届いたのでした。

23年前の、あの音…。
ピエールはその場にへたりこみました。

「ずずずず、ずずずず」
は続きます。

ほどなく、イル16世の口から黒いぶよぶよした塊が、ゆっくりと吐きだされてきました。

「ずずずず、ずずずず」

吐きだされた黒い「何か」が地面でとぐろを巻いています。
いつまでもいつまでも吐きだされてきます。
その量は、イル16世の体の大きさを超えていました。

なんと、その塊には「目のようなもの」がありました。
「目のようなもの」は、格子のすきまからピエールをまっすぐ見据えます。
凍りつくピエール。

やがてその黒い塊は、
「ずずずず、ずずずず」
という音を相変わらずたてながら格子をすりぬけて牢屋を出てきました。

こっちに来る!
ピエールはそう思いましたが、体を動かすことができません。

しかし黒い塊は方向を変え、
「ずずずず、ずずずず」
と地下のさらに深い闇へと消えていきました。

しばらくして、牢番が数人やってきました。
「時間です、陛下。刑場にお連れせねばなりません」

それまで口をぽかんと開けていたイル16世が、目をまるくして突然こんなことを言いました。
「ど、どうして僕はここにいるの? ここはどこ? 母上はどこ?」

その声や話し方は、30男のものではありませんでした。
子どもの言葉遣いです。
「なんでこんな暗い所にいるの? そなたたちは誰? ピエールはどこ? かくれんぼはどうなったの? ピエールは?」

かくれんぼ!

「陛下! かくれんぼは終わりました。ピエールはここでございます」
ピエールは叫びました。
しかしイル16世はピエールを見て言いました。
「おまえはピエールじゃない。おまえは大人じゃないか。ピエールはどこ? ピエール! …いたたたた。痛い、痛い!」
突然、腹部に手をあててうずくまります。
彼は、涙をポロポロこぼしながら、か細い声で、痛い、痛い、ピエール助けてと訴え続けます。

黒い塊が体から出ていったために、何らかの理由で、イル16世を痛みが襲ったようでした。
彼のこれまでの極端な暴飲暴食を思えば、体がおかしくなっても無理はありません。

しかし、牢番の長(おさ)は決然と言いました。
「陛下、覚悟をお決めください。仮病を使おうとも、もはや逃れるすべはございませんぞ」

「陛下は仮病などではない!」ピエールが叫びます。「本物の病気であらせられるぞ!」

しかしその声は黙殺されました。
部下の牢番たちが、腹痛で動けないイル16世の肥満した体を牢から引きずり出し、ピエールの前から連れ去っていきました。
国王のすすり泣く声が、いつまでも残りました。

ピエールが親友イル16世の姿を見たのは、それが最後でした。

◆◆◆

ピエールはその後、裁判を受けましたが、死刑をまぬがれ、国のはずれにある小さな家に監禁されました。
政治に関わっていなかったことが、彼の命を救ったようです。
監禁された家で、彼は33歳のときに病死しました。
彼の死因については、とくに怪しい点はなかったとされています。

ピエールの自伝の原本は、プリウス博物館に展示されています。
自伝の最後に「得体のしれない黒い塊」のイラストが描かれており、このイラストが見えるように展示されています。
博物館員の説明によると、ピエール本人が描いたのではなく、腕のよい画家に描かせたものだそうです。
リアルな不気味さとあまりの迫力に、気分を悪くする人も少なくないとのこと。

You Tube にそのイラストが出ているといううわさも聞きましたが、まだ見つかっていません。

(「食欲王子」 完)

 

 

 

 

<参考図書>

知っておきたい「味」の世界史
http://astore.amazon.co.jp/shokuikuprodu-22/detail/4044064083

知っておきたい「味」の世界史 (角川ソフィア文庫)

 

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2009.04.06 12:05

食欲王子 (前編)

松宮園生です。

イボンヌ朝最後の王、イル16世。
彼は非常な大食漢(大食い)としても知られています。

そもそもイボンヌ朝は豪華絢爛をきわめた王朝でした。
歴代の王のもと、毎晩、宮廷で酒池肉林がくりひろげられました。
食文化も発達し、大食いであることは自慢できることでもあった
ようです。

なかでもイル16世の食欲は群をぬいていました。

◆◆◆

ピエールという男がいます。
イル16世と同年同日に生まれたということもあり、5歳のときに遊び相手としてイル16世に仕えることになりました。
どうして貴族でも裕福な商家でもなく「平民」の生まれであったピエールが、イル16世の遊び相手に選ばれたのかはよくわかりません。
しかし彼は生涯の友としてつねにイル16世のそばにいたようです。
イル16世から絶大な信頼を得ていましたが、決して政治にかかわることはありませんでした。
そのピエールの自伝を読んでいたら、不思議なことが書かれていたのでご紹介します。

イル16世は子どものころ、食が細かったそうです。
ほとんどの料理には手をつけずに残してしまいますし、味に工夫をこらした甘いお菓子にもあまり興味を示しませんでした。
宮廷での毎晩の宴会も、彼にとっては苦痛でしかありませんでした。
当然、当時の宮廷人とは思えないほど痩せていました。
王と妃は王子のことをたいへん心配しました。

ところがある日を境に、それが一変します。

イル16世(当時はイル王子)が7歳のとき、2人は貴族の子弟数人を交え、宮殿の広大な庭でかくれんぼをしていました。
貴族の子弟の1人が鬼(探す役)で、王子とピエールは連れだって花壇の裏に隠れました。
ピエールがふと振り向くと、今の今まで一緒にいた王子がいなくなっています。
ピエールは王子を探し始めました。

すると、別の花壇のかげから
「ずずずず、ずずずず」
という音がします。
本能的に危険を感じたピエールは、音をたてないようにこっそり、音のするほうに這っていきました。

花壇の隙間から奥をのぞきこんだピエールは、息をのみました。
王子が気を失って倒れています。
そこに得体の知れない黒いぶよぶよの塊が、覆いかぶさっていました。
王子よりも大きな、黒い塊です。
王子の口は大きく開かれています。
黒い塊は、王子の口から体内に入ろうとしているのでした。
「ずずずず、ずずずず」
という音は、その音だったのです。
ピエールは震えが止まらなくなりました。

やがて黒いぶよぶよは、王子の体に完全に入ってしまいます。
あんな大きなものが入ったにも関わらず、不思議なことに王子の体型は変わりませんでした。
王子は目をさまし、何事もなかったかのように平然と起き上がりました。
「腹が減ったな」
王子はつぶやきます。
腹が減った、という言葉を王子が口にしたのは、おそらくこれが人生の最初でしょう。
彼はかくれんぼのことなどすっかり忘れた風情で、宮殿のほうに歩きだしました。

◆◆◆

王子が変貌したのはそれからでした。
それまで食が細かったのが、とつぜん食欲の権化にようになりました。
出された料理を次から次へと平らげ、とどまるところを知らなかったのです。

急激な変化に周囲は驚き、医者の診察まで受けましたが特に変わったことはありませんでした。
それまで食の細さを心配していた王も王妃も、今度は王子の異常な食欲を心配するようになります。

王子は眠っているとき以外は、ほとんど絶え間なく食べ続けました。
宮廷での宴会でも、人々が目をみはるような食べっぷりでした。
当然、みるみる太りました。

当時の宮廷人は、宴会で美食を追及するために大食いをしていました。
大食いなのはイル16世だけではなかったのです。
大食いを続けるために、
「食べては吐き、吐いては食べる」
ということをするのが普通でした。

王子も食べたり吐いたりを繰り返すようになります。
吐いてはいますが、それでも体は太ります。

ピエールは引き続き、王子の遊び相手として仕えています。
あのとき花壇で目撃したことを、彼は誰にも言いませんでした。
怖くて言えなかったのです。
王子にも。

10年が過ぎました。

17歳になったとき(=ピエールも17歳)、王子は結婚をしました。
相手は隣国からやってきた、1歳年上の美女、マリー・パトリシアです。
王子の結婚をきっかけに、ピエールは王都プリウスの一角に大きな屋敷を与えられ、そこに住みながら宮殿に通うようになりました。

それまでピエールは宮廷の外に出ることがまったくありませんでした。
5歳のときに宮仕えを始めて以来、一度も出たことがなかったのです。
外に出てみて、ピエールは驚きました。
あれほど豪華絢爛な宮廷の様子に比べ、プリウスの市民のなんと貧しいことか。
王侯貴族や一部の恵まれた商人をのぞけば、そこにあるのは貧窮でした。
人々はボロ雑巾を身にまとい、今日の食べ物を求めて市内を徘徊していました。
イボンヌ王朝に対する無言の怨嗟の声も、ピエールには聞こえてくるように感じました。

数ヶ月後、父王が亡くなりました。
王子は即位してイル16世になります。

王となった彼は、ますます食べるようになりました。
国家予算を使って食べるわけですから、生半可なものではありません。
来る日も来る日も豪勢な宴会をもよおし、食べては吐き、食べては吐きを繰り返しました。
国の政治は臣下に任せ、自分は食べること以外にあまり関心を示さないようになります。

妃のマリー・パトリシアは食べてばかりの夫を軽蔑しはじめます。
さっさと寝室を別々にし、美しい宝石と、高額な衣装と、イケメン貴族との浮気にうつつを抜かすようになりました。
民衆の間でが貧困と食料不足が広がっているという話を聞いたときに
「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」
というセリフを彼女が言ったという話は有名です。
本当に彼女が言ったのかどうかは分かりませんが、このセリフがプリウス市民のあいだにうわさとして伝わると、市民はますますイボンヌ王朝を憎悪するようになりました。

(以下次号)

 

 

 

<参考図書>

「食の歴史を世界地図から読む方法―料理や食材の意外なルーツがわかる イラスト図解版」
http://astore.amazon.co.jp/shokuikuprodu-22/detail/4309650910

食の歴史を世界地図から読む方法―料理や食材の意外なルーツがわかる イラスト図解版

 

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2009.04.04 13:00

納豆をうまそに食う女

 

松宮園生です。

 

よせばいいのに、こんなサイトを見つけてしまいました。

イギリスのサイトです。
なんと、納豆に関する専門サイト。
納豆製品をヨーロッパに普及しようと一生懸命らしいです。
なかなかチャレンジ精神旺盛です。

日本人が、納豆についての英語サイトを作っているのはよく見るのですが、これはどうやらそうではなくて、イギリス人が作っているようです。
そこがちょっと驚いたところ。

 

だから何? と言われそうですが。

 

見たい人はこちら(英語です)。
http://www.healthcaresupplements.co.uk/

 

そのなかにある写真。
ガイジンのくせに、納豆 うまそに食ってます。

「納豆をうまそに食う女」

 

「なんでそんなに嬉しそうなの?」
「納豆をわざわざ窓際で食うなよ」
「落ちないのかよ?」
「それ、ほんとに納豆か?」
「その表情、ビミョーにホラー入ってんじゃね?」

いろいろ、ツッコミどころのある、問題写真です。

 

 

 

 

<参考動画(YouTube)>

「How to eat Natto」 (納豆の食べ方)
http://www.youtube.com/watch?v=bQaqSvb8bt8

 

「Eating Natto for the first time...」 (はじめての納豆)
http://www.youtube.com/watch?v=0ZuvCAWQt-8

 

ここで一句。
「ガイジンが 納豆食べる 艶姿(あですがた)」

 

 

 

 

<参考図書>

知っておきたい「味」の世界史
http://astore.amazon.co.jp/shokuikuprodu-22/detail/4044064083

知っておきたい「味」の世界史 (角川ソフィア文庫)

 

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2009.04.02 15:48

食育水滸伝 その5

 

 

松宮園生です。 

(前回までのあらすじ)
「食育▽△アカデミー」の魔の手に落ちかけた小判大介君を、
「フードプロフェッサー養成講座」
の強力チームが救い出す。
しかしその勢いで、小判君は
「フードプロフェッサー養成講座」
に囲い込まれてしまった…。

  前回: 「食育水滸伝 その4」
  http://www.shokuiku-pro.com/production/2009/03/4_1.html

◆◆◆

ここまで、小判大介君をめぐる、さまざまな食育講座の「受講生獲得合戦」について、書いてきました。
これを読んで、怯えちゃった方も多いのではないでしょうか。

しかしご安心ください。
実際には、一部をのぞいて、こんな怖いことはありません。

僕自身たまに食育講座で講師をしたりすることがあります。
その経験からいうと、ほとんどの食育講座は安全です。
資料請求した人を追いかけ回すようなことはありません。

たいがい上品ですし、言い方を変えれば「あまり営業に向いてない」地味な人々が地味に主催していたりします。
「営業に向いている」人々のなかでも、イメージ作りやブランディングの上手なところは、追っかけ回すような野暮なことはしていません。

しかし一部に
「マーケティング下手だけど営業が命」
な食育講座がありまして、こういうところが力技で小判君を追い回すわけです。

その「営業命」な食育講座どうしの、まチョット行儀の悪い争いを、オチャラケでレポートいたしました。
(数々の証言にもとづき、構成させていただいております)

◆◆◆

その「困った一部の食育講座」について、もう少し書きます。

小判君を追いかけ回していた、
「食育★★講座」
「食育▽△アカデミー」
この両者は、受講者獲得をめぐって激しく火花を散らす間柄でした。

この両者、それぞれ「基本戦略」というのがありまして。
バスケットボールに例えると、
「食育★★講座」は、「ゾーン・ディフェンス」
「食育▽△アカデミー」は、「マン・ツー・マン・ディフェンス」
でした。

どういうことかというと。

「食育★★講座」は、地域ごとに「受講者集めの責任者」がいます。
この責任者は、地域のあらゆるメディアを狙って広報活動を行い、大量のビラを配ります。
大量にビラを配れば、そのうち何パーセントかは「釣りあげられる」わけです。
下手な鉄砲、数打ちゃ当たる
まさにこれです。
下手な鉄砲を、地域密着型で打つ。
したがって、「ゾーン・ディフェンス」と呼ばれます。

「食育▽△アカデミー」は、下手な鉄砲は打ちません。
その代わり、狙った獲物は逃がさない。
まず、食育の世界の有名人を招き、大都市で講演会をします。
講演会1回につき、たとえば30人の参加申込があったとしましょう。
すると、「食育▽△アカデミー」は31人の社員を動員します。

講演会前日、31人の社員を集めて作戦会議が行われます。
「どの社員が、その講演会参加者(=獲物)を落とすか」
が決められるわけです。
作戦会議の場には、どうやって入手したのか、参加者(=獲物)全員のさまざまな情報が…。
どの参加者(=獲物)にどのような攻め方をするとよいのか、という戦術が練られます。

なお、社員31人、引く、参加者30人 = 社員1人。
つまり1人余りますね。
この余った1人は何をするかというと、無垢な講師を「黙らせる」役割を担います。
通常は、出世した社員がこの役割をもらいます。

講演会当日、会場には演壇と客席のほかに、30個のブースが設営されます。
時間が迫り、講演会参加者(=獲物)が三々五々、入場し、客席に座ります。
30人が入場しました。
すると、ドアが閉まり、鍵かかけられます。

鍵のかかる「ガチャ」という音に、入場した参加者(=獲物)から不安そうなどよめきが…。
すると社員の1人が演壇に立ち、
「ご安心ください。これは皆さんを外敵から守るためです」
わけのわからない説明をします。

「鍵がかかる」なんて、招かれた有名人(=無垢な講師)も聞いていませんでした。
(ヤバイ組織に関わってしまったのか…)
有名人も不安顔になります。
しかし時間が来てしまい、なしくずし的に有名人の講演会が始まりました。

講演会終了後、「担当の社員」が有名人を会場の外に連れ出します。
「いやー先生、ありがとうございました」社員は言います。「これであなたの役目は終わりました。とっととお帰りください」
「わたしの話を聞きに来てくれた参加者の皆さんはどうなるのですか?」
「先生」社員の目がつりあがります。「世の中には知ってはならないことだってあるのです。『好奇心は猫を殺す』というアメリカのことわざをご存知ですか?」

そのころ、閉じ込められた参加者(=獲物)に、前日の作戦会議で決められたとおりに、担当社員が「襲いかかって」1人1人をブースに連れ込みます。
そこには、「食育▽△講座」のパンフレットと、受講申込書と、ボールペンが…。

ある参加者(=獲物)が、担当社員の手を振り切って逃げだしました。
するとどこからか、予備社員が現われて逃亡者を連れ戻します。
泣き出す逃亡未遂者。

(以下、省略)

これが有名な、「食育▽△アカデミー」の「マン・ツー・マン・ディフェンス」です。

有名な、と書きましたが、かつては知られていませんでした。
脱北者、もとい、亡命者が少しずつ増え、その証言によって明るみに出てきたものです。

◆◆◆

これを読んで再びぞっとした方もいらっしゃると思いますが、初めに書いたように、ほとんどの食育講座はマトモです。
むしろ地味すぎて心配なくらいで、まったく怖くありません。

ただほんの一部、ちょっと困った組織があるようで…。
「このままでは食育講座業界全体のイメージダウンになる」
心配した「穏健派」食育講座の方々は、協議のうえ、傭兵部隊に問題の解決を依頼しました。

依頼されたのが、「フードプロフェッサー養成講座」です。
「フードプロフェッサー養成講座」は最新兵器を使った巧みな作戦と、業界随一の武闘派「小太りオバチャン」こと佐久間さんの投入により、「食育▽△アカデミー」に捕らわれた小判大介君を電光石火、救出しました。

「さすが、傭兵部隊はすごいなあ」
「穏健派」食育講座の方々は大喜び。

しかし、喜んでばかりもいられませんでした。
傭兵部隊は、両刃の剣です。
その証拠に、救い出された小判君は、そのまま「フードプロフェッサー養成講座」を申し込んでしまったのですから…。

「いつになったら、弱い正直者に日が当たるようになるのか…」
「穏健派」食育講座の方々の溜息は、続くのでありました。

 

このシリーズ、ここまで。

 

(この物語はフィクションです。登場人物や組織の名前は、現存するいかなる人物・組織の名前とも関係ありません)

 

 

 

 

<参考図書>

「人が集まる!行列ができる!講座、イベントの作り方」
http://astore.amazon.co.jp/shokuikuprodu-22/detail/4062139065

人が集まる !行列ができる !講座、イベントの作り方 (講談社プラスアルファ新書)

 

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2009.04.01 07:07

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「マイマネージャー」事業部
mymanager@ideafactory.jp
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FAX 03-3272-8755
〒104-0031 東京都中央区京橋3丁目4番1号 高井ビル2F


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(協力)
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