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2009.03.26 00:14

食育水滸伝 その4

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松宮園生です。

(前回までのあらすじ)
真面目なイチゴ農家だったのに、食育の勉強をしてみようと
カルク考えたばっかりに、受講生獲得大戦争に巻き込まれた
小判大介君。
「ミッション・インポシブルかい!」
とツッコミたくなる状況に陥ってしまいました。

  前回: 「食育水滸伝 その3」
  http://www.shokuiku-pro.com/production/2009/03/3.html

◆◆◆

小判大介君が目覚めたのは、地味な小さなオフィスででした。

目覚めたといっても、横になっていたわけではありません。
小判君は椅子に座っていました。
小判君の前には小さな会議テーブル。
ほかに3人の人間が座っています。
そのうち1人は、さっきの「武闘派・小太りオバチャン」でした。

食育▽△アカデミーの「結界」をいとも簡単にうち破り、小判君を引きずって出ていった、あのオバチャンです。

「こ、ここは…?」
つぶやく小判君。

武闘派・小太りオバチャンが、ニタアと笑って言いました。
「あなた、よかったわねえ。もう少しで 『食育▽△アカデミー』 に捕まってしまうところだったわよ」
「ここは、どこなんですか」
「ここなら安心・安全です。『食育▽△アカデミー』 は壊滅しました。任せてちょうだいな。あんな講座、いやいや申込むことはありません」

安心・安全って、食品かい。

しかし小判君の前には
* 「フードプロフェッサー養成講座」の申込書(※)

* 太い4色ボールペン
が、ちゃっかりと置かれています。
4色ボールペンだったのは、好きな色で記入できるように、という配慮だと思われます。

  (※)「フードプロセッサー」ではなく、「フードプロフェッサー」です。
  プロフェッサー = 教授

申込書とボールペンを目(ま)の当たりにし、
「こ、これは…?」
いやな予感におののきながら、口ごもる小判君。

小判君の向かいには、細身でやや枯れた感じのオバチャンが座っています。
そのオバチャンが、
「それはね、見てのとおり、フードプロフェッサー養成講座の申込書ですよ」
と、明るく答えました。

その隣で、さっきの武闘派・小太りオバチャンが黙って腕組みをしています。
武闘派・小太りオバチャンは半袖で、袖の太さと腕の太さが同じでした。

枯れた細身のオバチャンと、 武闘派・小太りオバチャン。
この2人、ともにオバチャンながら対照的でした。
おそらく食生活も違うでしょう。
(服装のセンスは同じようなものでしたが)

さらに、小判君の右隣には
「いかにも事務員」
といった風情のオイチャンが、
「こんなところでスミマセンねえ」
といったたたずまいでチョコンと座っておりました。

つまり、小判君は
* 枯れた細身オバチャン
* 武闘派・小太りオバチャン
* スミマセンンねえ型オイチャン
に囲まれてチェックメイト寸前だったわけです。

正面の枯れたオバチャンが、猫なで声で言いました。
「あなた危ないところだったわねえ。『食育▽△アカデミー』 は勧誘がえげつないことで有名だから。助けに来てくれた佐久間さんに感謝しなきゃ、だめよ」

武闘派・小太りオバチャンは佐久間さんという名前らしい。

「それに、私たちに言わせると、あそこの食育って嘘っぽい、ていうか、薄っぺらいのよね」と、枯れたオバチャン。「…どうしたの? それ(申込書)早く書きなさいな」
「は? これ書くんですか?」

「当たり前じゃない」武闘派オバチャンが底なしの太い声で言いました。「さっきからあなた、私の説明をコックリ、コックリうなずきながら聞いていたじゃないの」
「いや、それは眠ってたからで…」
「(無視して)ほら、ここに名前、ここに住所を書いて」
「ちょ、ちょっと待ってください」
佐久間さんの半袖の腕に、血管が浮かびました。「なに? 助けてあげたのに、文句でもあるの?」

「いえ、あ、ありません…」
縮みあがる小判君。

ここで初めて、スミマセンンねえ型オイチャンが口をはさみました。
「長生きしたかったら、佐久間さんには逆らわないほうがいいよ、若いの」

ニタアと笑う佐久間さん。
口が耳まで裂けたかのようです。
「じゃ、ここに電話番号書いて。あなたメールはできるわよね、じゃあ、メールアドレスをここに書いて。そうそう。…へえ、小判さん、字がきれいねえ」

小判君、どうやら申込書、書いてしまうようです。

「字がきれいな人って、心はそれほどじゃないって言うけど、あなたは素直ないい子ねえ。…講座の日程はいくつかあるから、都合のいいのを選んでちょうだいな」
小判君はそのうち1つを選んでマルをつけました。

小判君が書いた申込書にはカーボン紙がはさまっていました。
下の紙にも写るようにです。
佐久間さんが下の紙のほうを抜いて小判君に返しながら、言いました。
「お疲れさま。これで手続き終わりです。あとは、この銀行口座にこの金額を振り込んでおいてね」

言い終わると、彼女は携帯電話に向かって低い声で
「イーグル・ワン、任務終了。これで満席になりました」

かくして、難攻不落の小判君も、よく分からないまま、
「フードプロフェッサー養成講座」
の受講生になってしまいました。

(以下次号)

 

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