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明日の来ない今日はない、松宮園生です。
この春から始まったメタボ検診(=特定検診)。
「メタボ」
「メタボ予備軍」
と判定されたら、あなたを待ち受けるのはメタボ指導(=特定保健指導)です。
メタボ指導はどのように行うのかというと。
あなたとメタボ専門家とで、1回あたり20分くらいの面談を繰り返します。
面談を通じて、あなたはプチ洗脳されます。
プチ洗脳されて生活習慣が改善、腹回りも縮んでゆくのです。
テーブルのむこうには、あなたの腹回りを縮めたい専門家。
対するは、今までどおりグータラしたいしラーメンも食べたいサラリーマンのあなた。
「専門家と向かいあっての20分洗脳バトル」
が展開されるわけです。
今回はそのシリーズ、第6話です。
◆◆◆
口をへの字に曲げた田上淳さんが保健指導ルームに入ってきました。
田上さんは健康食品会社で営業部長をしています。
そんな不機嫌な田上さんを迎え撃つ「メタボ専門家」は、なんと、我らが食育ロボット、アンドリューです。
アンドリューの恐るべき食事指導については→ 「食育ロボ発進!」
http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/11/post_92.html
国家権力をかさにきたアンドリューについては→ 「食育ロボコップ」
http://www.shokuiku-pro.com/production/2008/05/post_138.html
「おいおい」田上さんが目を丸くして言いました。「おれの担当はロボットか? そりゃ確かにおれはモテねえよ。女に縁がねえよ。しかしだからって、保健指導くらいはきれいなネエチャンにしてくれたっていいだろう」
「お座りください」アンドリューは平然と言いました。「おっしゃるとおり私はロボットです。アンドリュー77型といいますが、何か?」
「何か?って、どこかの深夜番組かよ」
「ああ、そのツッコミ、分かります。その深夜番組、見たことありますから」
「は? なに言ってんの? おれと会話を成り立たせようとしてんのか、おめ? とんでもねえ。ロボットと会話なんかしたくねえよ。担当、換えてくれ。チェンジだよ、チェンジ」
「チェンジはできません。当店はそういうシステムではありません。違うシステムです」
「システム、あるんかい。てか、店だったのかよ!」
「しかしながら」アンドリューは続けました。「田上さんのご要望は理解しました。ちょっと待ってください」
アンドリューは自分の鼻をつまむと、ぐるっと回転させました。
◆◆◆
すると、アンドリューの胸が盛りあがりました。
ミサイルが2機、発射態勢になるような感じです。
(ロボット漫画を思い出してください)
「女モードに変身よ」
声がアニメ声優のようになりました。
点灯していた両目が、片方だけ一瞬、暗くなりました。
ウィンクのつもりのようです。
あっけにとられる田上さん。
「変身したけど、名前はアンドリュー。男のまんまでーす。でへっ」
「でへっ、じゃねえよ」
そうつぶやく田上さんでしたが、顔が少し赤くなってます。
「それじゃ、田上さん、保健指導を始めましょ」
「あ、ああ…」
うなずく田上さん。
そのときです。
ドアが開き、もう一体のアンドリューが入ってきました。
「田上さん。騙されてはいけません。そのロボットはニセモノです。ホンモノは性転換なんかしない」
逃げ出そうとするニセモノに向かって、何かのビームを発射するアンドリュー。
ニセモノは破壊され、ときおりショートして火花を散らす鉄の塊になってしまいました。
◆◆◆
「たいへん失礼しました」攻撃したほうのアンドリューは深々と頭を下げました。「このところ、ニセモノが出回ってましてね」
田上さんは、へなへなと地べたに座りこんでいます。
「す、すげえビームっすね」
言葉が丁寧語になっています。
「小林拓二博士の開発した、カニ光線というビームです。これでニセモノは一発なんですよ」
アンドリューは無表情で答えましたが、どことなく得意そうに聞こえます。
「そんなヤバい武器を、い、いつも持ってんですか?」
「そうですよ」しらっとした顔で答えるアンドリュー。
しらっとしたロボットの顔ってどんな顔やねん。
「ニセモノは、メタボ指導のプログラムがちゃんとインストールされていないのです」アンドリューは続けました。「いい加減な指導をするので、クライアントがかえって太ってしまう。このところ被害が増えています」
「そ、そうなんすか」
「日本人をメタボにして、医療費を高騰させて、経済を混乱させようという企みがあるようなのです。ニセモノは上海あたりで大量製造されているという噂があるのですが、まだ真偽のほどは分からないそうです」
「す、すげー国際的な陰謀なんすね。あ、あんたはほんとにホンモノなんですか?」
「私ですか? そうですよ。正真正銘のアンドリュー77型です。証拠もあります。…ここを開けてみてくれますか」
言われたとおりに、田上さんはアンドリューの背中にある扉を開けました。
すると、内側に写真が貼られていました。
「それ、発明者のロバート・シトピッチャン教授の写真です」アンドリューは言いました。「なにか書いてあるでしょう」
顔を近づけてよく見ると、
「このロボット、わたしが作りました」
と手書きで書いてあります。
「生産者の顔が見えるようにしてあるんです。安心安全でしょう?」
アンドリューが言いました。
野菜かい!
(おあとがよろしいようで…)
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