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料理はからきしダメなくせに、食器洗いは天才、松宮園生です。
(前回のあらすじ)
猫も杓子も、食べた料理の写真をブログにアップするのが大流行。
そんなことに縁のないはずの人々まで、あの店でパチリ、
この店でパチリとやり始めた。
家電量販店の店頭には、料理ブログ専用デジカメの特別コーナー
までできる始末…。
前回「いただきますラプソディ 第1巻」はこちら。
http://www.shokuiku-pro.com/production/2008/11/post_172.html
◆◆◆
どどばしカメラの店頭に並ぶ、料理ブログ専用デジカメ。
今って、こんなものが売れているのか…。
こんな日本に誰がした。
てか、こんなに流行っているのに気がつかなかった僕も僕である。
で、この料理ブログ専用デジカメだが。
普通のデジカメより汎用性がない気がするのだが、汎用性のないものがわざわざ作られている。
世のなか面白いことに、汎用性がないほうが売れることがあるのだ。
たとえば、「メタボメジャー」。
これは腹回りを測定するためのメジャー(巻尺)なのだが、長さが90センチしかない。
腹回りが90センチを超えるとメタボの可能性がある、というところから、どっかの会社が考案したメジャーである。
普通のメジャーは3メートルくらいあると思うのだが、それをわざわざ90センチに切ってある。
90センチまでしか、測れないのである。
つまり、普通のメジャーに比べてメタボメジャーは短いわけだ。
しかし、メタボメジャーは短いところが気に入られ、だいぶ売れたようである。
詳しくはこちら。
http://blog.goo.ne.jp/healthpro/e/55469615b6207a9e09cea4986616eeab
話を戻そう。
「料理ブログ専用デジカメ」の特別コーナーの前で呆然とする僕。
そこへ、女性の店員が話しかけてきた。
30代なかばの、ちょっとだけ色っぽい女性である。
その彼女が、いきなりこんなことを言った。
「あなた、もしかして松宮さんでしょ」
「は? なんで分かったの?」
「分かるわよ。タマネギが眼鏡かけて歩いているような人なんて、他にいないじゃない」
いや、たしかに僕のシンボルマークはこんなだけど…。
でも実物はぜんぜん違うと思うのだが…。
うっかりしていると、彼女は僕に腕をからめてきた。
「嬉しいわあ。いいとこに来てくれたのね。おねがい、デジカメ買って。松宮さんには安くしちゃう! だから、いいでしょ」
「なんでだよ」
「いいじゃない。減るもんじゃなし」
「減るよ! 間違いなくお金が減るって」
「またそんなこと言って。松宮さんみたいな人がデジカメ持ってなくてどうすんの。じゃあ、あたしが選んだげる」
「いや結構です」
僕の言葉は無視された。
「これなんか良くない? デザインもシンプルだし。これね、ほら、まず写真撮るじゃん? 次にここ押すとね、自動的にネットにつながって、この場でブログが更新されるの。アメブロでも、ライブドアでも、楽天ブログでも、エキサイトでも、グーでもオッケー。やってみるから、見てて」
「いや、いいから」
彼女は僕の腕をぎゅっとつかんだ。「よく見ててね」
彼女は僕に向かってシャッターを切り、それからどこかのボタンを押した。
デジカメから、聞いたことのあるメロディが流れてきた。
「♪ 四角い黄色の闇の手線 ♪…」
どどばしカメラのテーマソングである。
「これでアップ完了」ウインクする彼女。「カンタンでしょ。こっち側に携帯電話と同じテンキーがついてるから、文章も打てるというわけよ。たとえば…」
「ち、ちょっと待て」僕はあわてて遮った。「いま僕を写したよな」
「写したわよ。それがなにか?」
「で、ネットにつないだんだろ」
「つないだわよ。それがどうかした?」
「どこのサイトにアップしたんだよ」
「アップ?」きょとんとする彼女。
「いや、だから、いま僕の写真を撮ったろ」
「撮ったわよ」
「で、どこかのボタンを押したら、どどばしカメラの音楽が流れたよな」
「音楽?」
「音楽はどうでもいいんだよ。問題は、それで僕の写真がどこかのブログにアップされたんじゃねえの?」
「あ」
「あ、じゃねえよ。どこにアップされたんだよ」
「どこがいいの?」
「どこもいくねーよ! アップされたんなら、消してくれ」
「どこにアップされたかって聞かれてもねえ」のんびりした口調の彼女。「初期設定やったの、あたしじゃないもん…」
「そんなことはどーでもいいよ。どこにアップされたか調べて、消してくれ!」
「初期設定やったの、あの桑井さんだし…」
「あのって言われても知らねえよ!」
◆◆◆
10分後。
デジカメ売場をほうほうの態(てい)で脱出した僕。
ひどい目に遭った。
いつのまにか知らないブログに顔がアップされてたら、怖い。
それにしても。
この流行、いつまで続くのだろうか。
その日の午後、またもや目撃してしまった。
髪型に寝ぐせのついてるオヂサンが、場末(ばすえ)の地味なファミレスで、競馬新聞を読んでいる。
そこに、ジャンクな感じの生姜焼き定食が運ばれてくる。
オヂサンはデジカメを取り出し、生姜焼き定食を撮影したのだ。
「ありゃりゃ、競馬新聞の切れ端と灰皿が一緒に写ってしまったぞい。…まあ、いっか」
そんなひとり言が聞こえてきそうである。
このオヂサンの写した生姜焼き定食の画像は、
「幸せオヤジのほんのり★昼さがり …スローな風に揺られて…」
というブログにアップされる。
どっかのブログランキングで、89位だ。
…。
そんなことが、あちらこちらでホントに起きているとは。
想像しただけで、頭が痛くなってくる。
このあいだまで、上品なおねえさんたちの、きれいな趣味だったのに。
なんでこんなに裾野が広がってしまったんだ?
ところが。
そのあと、事態は急変するのである。
いったい何が起きたのか?
つづきは、次回にて。
(第3巻につづく)
食育というテーマでセレクトしています。
「食育的な心を満たすオンラインストア」
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明日の来ない今日はない、松宮園生です。
この春から始まったメタボ検診(=特定検診)。
「メタボ」
「メタボ予備軍」
と判定されたら、あなたを待ち受けるのはメタボ指導(=特定保健指導)です。
メタボ指導はどのように行うのかというと。
あなたとメタボ専門家とで、1回あたり20分くらいの面談を繰り返します。
面談を通じて、あなたはプチ洗脳されます。
プチ洗脳されて生活習慣が改善、腹回りも縮んでゆくのです。
テーブルのむこうには、あなたの腹回りを縮めたい専門家。
対するは、今までどおりグータラしたいしラーメンも食べたいサラリーマンのあなた。
「専門家と向かいあっての20分洗脳バトル」
が展開されるわけです。
今回はそのシリーズ、第6話です。
◆◆◆
口をへの字に曲げた田上淳さんが保健指導ルームに入ってきました。
田上さんは健康食品会社で営業部長をしています。
そんな不機嫌な田上さんを迎え撃つ「メタボ専門家」は、なんと、我らが食育ロボット、アンドリューです。
アンドリューの恐るべき食事指導については→ 「食育ロボ発進!」
http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/11/post_92.html
国家権力をかさにきたアンドリューについては→ 「食育ロボコップ」
http://www.shokuiku-pro.com/production/2008/05/post_138.html
「おいおい」田上さんが目を丸くして言いました。「おれの担当はロボットか? そりゃ確かにおれはモテねえよ。女に縁がねえよ。しかしだからって、保健指導くらいはきれいなネエチャンにしてくれたっていいだろう」
「お座りください」アンドリューは平然と言いました。「おっしゃるとおり私はロボットです。アンドリュー77型といいますが、何か?」
「何か?って、どこかの深夜番組かよ」
「ああ、そのツッコミ、分かります。その深夜番組、見たことありますから」
「は? なに言ってんの? おれと会話を成り立たせようとしてんのか、おめ? とんでもねえ。ロボットと会話なんかしたくねえよ。担当、換えてくれ。チェンジだよ、チェンジ」
「チェンジはできません。当店はそういうシステムではありません。違うシステムです」
「システム、あるんかい。てか、店だったのかよ!」
「しかしながら」アンドリューは続けました。「田上さんのご要望は理解しました。ちょっと待ってください」
アンドリューは自分の鼻をつまむと、ぐるっと回転させました。
◆◆◆
すると、アンドリューの胸が盛りあがりました。
ミサイルが2機、発射態勢になるような感じです。
(ロボット漫画を思い出してください)
「女モードに変身よ」
声がアニメ声優のようになりました。
点灯していた両目が、片方だけ一瞬、暗くなりました。
ウィンクのつもりのようです。
あっけにとられる田上さん。
「変身したけど、名前はアンドリュー。男のまんまでーす。でへっ」
「でへっ、じゃねえよ」
そうつぶやく田上さんでしたが、顔が少し赤くなってます。
「それじゃ、田上さん、保健指導を始めましょ」
「あ、ああ…」
うなずく田上さん。
そのときです。
ドアが開き、もう一体のアンドリューが入ってきました。
「田上さん。騙されてはいけません。そのロボットはニセモノです。ホンモノは性転換なんかしない」
逃げ出そうとするニセモノに向かって、何かのビームを発射するアンドリュー。
ニセモノは破壊され、ときおりショートして火花を散らす鉄の塊になってしまいました。
◆◆◆
「たいへん失礼しました」攻撃したほうのアンドリューは深々と頭を下げました。「このところ、ニセモノが出回ってましてね」
田上さんは、へなへなと地べたに座りこんでいます。
「す、すげえビームっすね」
言葉が丁寧語になっています。
「小林拓二博士の開発した、カニ光線というビームです。これでニセモノは一発なんですよ」
アンドリューは無表情で答えましたが、どことなく得意そうに聞こえます。
「そんなヤバい武器を、い、いつも持ってんですか?」
「そうですよ」しらっとした顔で答えるアンドリュー。
しらっとしたロボットの顔ってどんな顔やねん。
「ニセモノは、メタボ指導のプログラムがちゃんとインストールされていないのです」アンドリューは続けました。「いい加減な指導をするので、クライアントがかえって太ってしまう。このところ被害が増えています」
「そ、そうなんすか」
「日本人をメタボにして、医療費を高騰させて、経済を混乱させようという企みがあるようなのです。ニセモノは上海あたりで大量製造されているという噂があるのですが、まだ真偽のほどは分からないそうです」
「す、すげー国際的な陰謀なんすね。あ、あんたはほんとにホンモノなんですか?」
「私ですか? そうですよ。正真正銘のアンドリュー77型です。証拠もあります。…ここを開けてみてくれますか」
言われたとおりに、田上さんはアンドリューの背中にある扉を開けました。
すると、内側に写真が貼られていました。
「それ、発明者のロバート・シトピッチャン教授の写真です」アンドリューは言いました。「なにか書いてあるでしょう」
顔を近づけてよく見ると、
「このロボット、わたしが作りました」
と手書きで書いてあります。
「生産者の顔が見えるようにしてあるんです。安心安全でしょう?」
アンドリューが言いました。
野菜かい!
(おあとがよろしいようで…)
健康をキーワードに活動している方は是非のぞいてみてください。
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吹きつける21世紀の風、松宮園生です。
◆◆◆
新宿区オタク橋交差点。
新宿区でありながら、このあたりには場末(ばすえ)の
雰囲気たっぷりの飲食店が、軒を並べている。
不必要にアブラっこいラーメン屋とか。
常連しか入らないくせに、常連たちは漫画を読むことに夢中で、
おたがい口をきくこともない定食屋とか。
「中華料理 ほっけ」
は、そんな店の1つである。
中華料理なのになぜ「ほっけ」なのかは不明だ。
いや、ツッコむのはやめておこう。
なにしろ、いま僕は、その「中華料理 ほっけ」で餃子定食を食べているのだから。
聞いたこともない歌謡曲が次々、有線で流れてくるのを聞きながら…。
まだ宵の口なので、客は僕ひとりである。
しかしほどなく、次の客がやってきた。
大学生っぽい。
きっと地元のビンボー学生であろう。
かつては僕もビンボー学生だった。
しかし彼と僕には大きな違いがある。
彼がビンボーなのは学生のあいだだけかもしれない。
大学生は座るなり、店のオヤジに天津丼を注文した。
「あいよ」オヤジが応え、1分後にチンという音がし、天津丼が運ばれてきた。
そのときである。
色褪せたダウンジャケットのポケットから、大学生があるものを取り出した。
最新機種の、デジカメである。
似合わねえ…。
しかし驚くのはまだ早かった。
大学生はデジカメで、天津丼を撮ったのである。
撮り終わると、何事もなかったかのように、食べはじめた。
◆◆◆
キレイなベジ系お姉さんが、世田谷区自由が丘かいわいのマクロビ・レストランに入り、出てきた料理をデジカメで撮る。
そういうシーンはよく見かける。
だが、ビンボー学生が、新宿区オタク橋の中華料理屋で、出てきた天津丼をデジカメで撮るというのは、どういうことか?
いぶかしく思っていると、今度は数人の疲れ気味サラリーマンがどやどやと店に入ってきた。
とりあえずビールを頼み、それからヤキソバと餃子とエビチリを注文した。
すると…。
疲れ気味サラリーマンたちも、ポケットやカバンからデジカメを取りだしたではないか。
で、さっきの大学生と同じように、ヤキソバと餃子とエビチリを撮影したのである。
通りかかった店のオヤジに、僕は質問した。
「みなさん、デジカメで何やってるの?」
「ああ、あれね」オヤジは面白くもなさそうに言った。「ブログにアップするんだってさ」
「ブログに?」
「そうだよ。フードコーディねえちゃんたちが、よくやってるあれだよ。流行ってるんだよ? 知らないのアンタ?」
このオヤジ、フードコーディネーターのことを「フードコーディねえちゃん」って言いやがった。
いや、このさいツッコむのはやめておこう。
「流行ってるって? 大学生とか、サラリーマンとかがこんなことするのが、流行ってるの?」
「そうだよ」平然と答えるオヤジ。
「知らなかった。そんなのが流行っていたなんて…。いやしかし、だからって、こんな店の料理をデジカメに撮ってどうすんのかな?」
「てめえ、いま何て言った。こんな店だと」
しまった、と僕は思った。
だが、もはや手遅れである。
オヤジの顔が、「風神雷神図」の風神のようになっている。
いや、雷神でも同じことなんだけど。
「この野郎」オヤジは怒鳴った。「人の料理にケチつけやがって。出てってくれ。さっさと出てけ」
「分かったよ。出てくよ」僕は茶を飲んで立ちあがった。「いくら?」
「なんだとてめえ。金払うだと? てめえの金なんか受け取れるか。目障りだからすぐ出てけ」
というわけで、僕は「中華料理 ほっけ」を追い出されてしまった。
よく考えたら、タダ飯が食えてトクしたんじゃね?
◆◆◆
帰宅してから、ネットで「中華料理 ほっけ」を検索してみた。
そしたら驚いたね。
「中華料理 ほっけ」の天津丼を、ブログにアップしてるやつが本当にいた。
さっきの大学生に違いない。
「谷岡重次郎のハッピーハッピーシェイク」
そんな題名のブログである。
モスグリーンを意識したエコっぽいデザインだ。
あの学生、谷岡重次郎って名前だったのか。
明治時代かい。
ほかにも、「中華料理 ほっけ」の料理をアップしているブログが見つかった。
「高田馬場プチトマト」
という、カラフルなブログである。
料理の画像の下に、こんな文章がついている。
「昨日の夜はオフィスのみんなで『ほっけ』っていう中華料理の店に行ってきましたよー。エビチリがすっごくおいしかったです。明日は会社でぶらぶら予定。帰りにペットショップに寄ってまんまるフェレットに触ろうっと」
…。
怖いもの見たさで、もうすこしネット検索してみた。
すると、こういうことが分かった。
ブログに料理をアップするのが、そこらじゅうで流行っていたのだ。
オヤジの言ったとおりだった。
しかも、くたびれサラリーマンとか、下町風おっちゃんとかが、そんなことやってる!
ブログにアップされているのも「中華料理 ほっけ」だけではなかった。
「ライスカレー やすらぎ亭」
「定食屋 びびんば」
「うどんそば立ち食い ケンケン」(片足で立つんかい)
そんな、西麻布あたりには絶対なさそうな店が、対象になっていたのである。
ブログの題名も、コメント不能なのが揃っていた。
「筋肉ダイニング きらきら男の花ごはん」
「ドデンゴさんちの場末めし」
「髭もじゃ中原鉄幹のきれい生活」
「メタボ系 新橋ビューティ・ブログ」
◆◆◆
翌日。
昨夜の衝撃的な発見でおちおち眠れないまま、僕は新宿西口をふらふら歩いていた。
どどばしカメラの前を通りかかって、また驚いた。
「料理ブログ専門デジカメ」
というコーナーがあったのだ。
どこがどう、料理ブログ専門なのかは分からないが、高級感あふれるデジカメが、ところせましと並んでいた!
しかも、角刈りサングラスのいかついオヂサンとかが、いまどきセーターを肩にしょったりなんかして、売場をうようよしている…。
いつの間にこんなことになったのか?
日本は大丈夫か?
呆然と立ちすくむ、僕なのであった。
(第2巻につづく)
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心の温暖化に貢献する、松宮園生です。
遠い遠い昔。
この地球が恐竜だらけだった時代がありましたね。
空にはプテラノドンが。
海にはプレシオザウルスが。
陸にはティラノサウルスが。
そんな時代です。
「そうそう、そうなのよ。あのころは恐竜だらけだったのよ。思い出すと懐かしいわね」
そう思って涙ぐんだアナタ。
長生きもいいけど、ほどほどにね。
◆◆◆
恐竜時代は1億5千万年も続いたそうです。
もし恐竜に文明があって、義務教育なんかがあったりして、学校で歴史の勉強をさせられていたら大変です。
受験勉強で1億5千万年分の歴史、暗記しなくてはなりません。
1億5千万年分もあると、歴史の教科書の厚さは1冊だと600メートルになります。
それじゃ分厚すぎるというので1冊を2センチくらいに区切ると、全3万巻になります。
読めねーよ。
てか、誰が書くねん。
年号の暗記も大変ですね。
「いい国つくろう鎌倉幕府」
程度のぬるい語呂合わせでは太刀打ちできません。
受験業界では覚えやすい語呂合わせを考える専門家が誕生し、コンピューターと心理学を駆使して語呂合わせを作るのでしょう。
その幕府も、1億5千万年もあったら、いろんな幕府がいっぱい生まれるでしょうから、覚えきれません。
覚えなくちゃいけない戦争も、いっぱいあるんでしょうね。
◆◆◆
1億5千万年も続いた恐竜時代ですが、今から6500万年前に終わってしまいました。
地球にデカイ隕石が落ちてきて、大惨事になり、恐竜たちは滅びてしまったんだそうです。
というわけで、その隕石が落ちてこなかったら、いまもまだ恐竜時代だったのかもしれません。
アナタはトリケラトプスだったかもしれないし、僕はアロサウルスだったかもしれません。
さて、もし恐竜時代がいまも続いてて、「食育」が注目されてたとしましょう。
どんな感じなのか、想像してみました。
その前に。
恐竜つってもいっぱいい種類があるようです。
でかいのもいれば、小さいのもいる。
強いのもいれば、ヘタレなのもいる。
頭のいいのもいれば、そうでないのもいる。
映画「ジュラシック・パーク」によれば、ヴェロキラプトルという種類の肉食恐竜が、すごく頭がいいそうです。
カラスより頭がいいように見えます。
てことは、人間より頭がいい。
このヴェロキラプトルが恐竜界の「勝ち組」になったと想定しましょう。
で、文明社会を作ってしまいました。
◆◆◆
ヴェロキラプトルの食育には、人間の食育と大きく違う点が1つ、あります。
ヴェロキラプトルは、キホン肉食の生き物なのです。
なので、人間と正反対で、ひょっとしたらこんなことになってるかも…。
■食生活の歴史
むかしは、狩猟(ハンティング)によって肉を入手し、食べていた。
そのころにはメタボリック・シンドロームなんてなかった。
ところが、文明によって農業が生まれ、ヴェロキラプトルは果物や野菜の味を覚えてしまう。
狩猟を忘れベジタリアンになったヴェロキラプトルは、次々とメタボリック・シンドロームになっていった。
■家庭での会話
お母さん「ケンちゃんたら、また野菜ばっかり食べて。野菜ばっかり食べてたら太るわよ。ちゃんと肉も食べなさい」
息子「だって肉キライなんだもん」
■マ○○○○ド
全粒粉でつくったパンに、たっぷり野菜をのせたものが売られている。
それを毎日食べたら、ぶくぶく太って生活習慣病になるという、「スーパーサウルス・ミー」という映画ができた。
■厚生労働省
「肉を毎日500グラム食べよう」というスローガンを掲げ、国民の健康意識を高めようと頑張っている。
それでも、果物や野菜を食べるヴェロキラプトルは増え続け、肉食のヴェロキラプトルは減る一方だ。
■農業
果物や野菜を作る農業は、ジャンクフードの発展にともなって大繁盛。
ジャンクな飲み物として、ベジ・コーラやフルーツ・コーラが売れている。
■狩猟業(1)
農業が発達したのとは反対に、狩猟(ハンティング)業は衰退しつつある。
狩猟するヴェロキラプトルの数は減っていった。
しかし、一部の食育推進派は、国のみなもとである狩猟業を活性化しようと頑張っている。
「肉は、牧畜ではなく、昔ながらの狩猟によって入手したものが、1番うまいし、健康に良い」
これが、彼らの主張だ。
■狩猟業(2)
都会に住んでいるヴェロキラプトルが、地方を旅行し、狩猟することが流行っている。
「ブラッド・ツーリズム」と呼ばれている。
■産地直売所
各地にできた産地直売所では、狩猟したての新鮮な肉を売っていて、健康意識の高い富裕層に人気がある。
■いただきます
ステゴサウルスの命を、いただきまーす。
■地産地消
そのへんをウロウロしているイグアノドンを狩り、近所みんなで食べる。
■親子食育教室
親子でブロントサウルスをつかまえ、屠殺し、収穫の喜びを体験する。
◆◆◆
あー。
役にも立たない、くっだらねえことを書いてしまいました。
まったく、何やってんだろうね、おれ。
人生、短いのに…。
人生といえば。
「ジュラシック・パーク」の原作者、マイケル・クライトン氏ですが、先日亡くなったそうです。
ご冥福をお祈りいたします。
(参考)
「スーパーサイズ・ミー」
http://astore.amazon.co.jp/shokuikuprodu-22/detail/B00067HDY8
「野菜350グラム果物200グラム運動」
http://www.v350f200.com/
食育というテーマでセレクトしています。
「食育的な心を満たすオンラインストア」
http://astore.amazon.co.jp/shokuikuprodu-22
なんだかんだ言っても和を尊び、篤く三宝を敬う、そんな松宮園生です。
♪
眠らない21世紀人の皆さん、今晩は。
日本食育大学准教授、松宮園生がお送りするラジオ番組、
「真夜中の食育」
の時間が否応なしにやってまいりました。
今夜もキレずにおつきあいください。
「真夜中の食育(第1回)」はこちら。
http://www.shokuiku-pro.com/production/2008/04/post_135.html
「真夜中の食育(第2回)」はこちら。
http://www.shokuiku-pro.com/production/2008/09/2_32.html
♪
◆◆◆
では最初のメールです。
「松宮先生こんばんは」
はい、こんばんは。
「このあいだ高い金を払って松宮先生の『世界びっくり食育セミナー』に参加した者です。コキャンといいます」
おや、そうですか。
コキャンさん、ありがとうございます。
「知ったかぶりの上手な松宮先生に質問です。食育区分、という言葉を聞いたことがあるんですけど、どういう意味ですか?」
は?
食育区分?
…それをいうなら、「食薬区分」ちゃう?
食薬区分というのは、「食べもの」と「薬」の違いを法律のうえで区別することです。
医食同源って聞いたことありますね?
食育ファンとか薬膳マニアが大好きな言葉なんですけど。
正しい食べ物を正しい食べ方で食べれば、病気なんかにゃならないし、なってもすぐに治るぜよ。
そんな雰囲気の言葉です。
つまり、すべての食は薬だし、すべての薬は食だ、という意味です。
日本はもともと医食同源の国なので、食と薬の区別なんてなかったんすよね。
ところが。
世の中が複雑になってくると、いろいろトラブルが増えまして。
薬と食とを明確に分けて管理しないとあかん、ということになりました。
じゃないと、政府とか警察が困るそうです。
この、「食と薬とを明確に分けて管理」することを、「食薬区分」というわけです。
コキャンさん、納得いただけましたか?
では次のメールに行きましょう。
◆◆◆
「松宮先生。ふたたびコキャンです」
またあんたか。
「で、どうなのよ。法律では食と薬はどうやって区別するんですか? 食って何ですか? 薬って何ですか?」
どうなのよって、アンタ…。
それにしても、答えにくい質問ですね。
良薬口に苦し…。
という言葉を使って、美味しいものは食、不味いものは薬、と言いたいところなのですが。
だとすれば、僕は肉の脂身が苦手なので、肉の脂身は不味いということで薬になってしまいます。
これはおかしい。
体にいいものは薬…。
これも変ですね。
体にいいものが薬だとすれば、体に悪いものが食、ということになってしまいますし。
病気を治すものが薬、そうでないものは食…。
これも微妙に難しい。
薬膳みたいに食べものによって病気を治そうとすることだってあるし、朝鮮ニンジンなんてニンジンのくせに薬だし。
キャベツにはキャベジンが含まれてるけど、だからってキャベツが薬だったら、なんか変ですよね。
じつは、食と薬とを明確に区別する分かりやすい法則というものは、ないみたいです。
「日本薬局方」
という書物がありまして、ここに記載されているものが、いちおう法律上は薬になる。
ここから先は説明が長くなりますので、省略します。
「松宮先生、うまいこと言って逃げたわね」
大きなお世話です!
次のメール。
◆◆◆
「こんばんは、松宮先生。ダチャアキでーす」
こんばんは、ダチャアキさん。
「聞こえないよ。チビッ子はもっと元気よく。こんばんはー」
NHKのおねえさんかい!
てか、だれがチビッ子やねん!
「ダチャアキっていいますけど、ひょっとして、本名だと思いました?」
心配いりません。
だれも本名だなんて思わないです。
「じつは本名なのよね。川上ダチャアキです」
そんな本名あるんかい。
どんな漢字書くんだよ!
「こないだロサンゼルスに行きました。あるスーパーマーケットで豚肉を探してたんですが、店員に聞いたら、豚肉が欲しかったら牧場に行けって言われました。なんであんなこと、言われたんでしょう? 教えてください」
あ、その話、聞いたことあります。
ひょっとして、「ピッグ(豚)はどこですか?」という聞きかたをしませんでしたか?
豚はたしかに「ピッグ」だけど、豚肉は「ポーク」です。
なので、「ポーク」って言わないと、通じないんですよ。
つまり、「ポーク(豚肉)はどこですか?」が誤解を呼ばない言いかたです。
ピッグ(豚)はどこですか?
なんて聞けば、牧場に行けって言われますよね、たしかに。
次のメール、行きましょう。
◆◆◆
「こんばんは。さきほどメールを読んでいただきましたダチャアキの母です。ダチャコです」
…こんばんは。
親子でそんな名前なのですか?
てか、こんなヘンなラジオ番組、親子で聞くんじゃねえよ。
「ロサンゼルスにはダチャアキと一緒に行ったんです。わたしもスーパーマーケットで豚肉を探しまして。ピッグ(豚)はどこですか? って店員に聞きました。そしたら、どうなったと思います?」
…さあ、どうなってんでしょうね。
やはり牧場に行けって言われたんですか?
「それが、店員さんは何も言わなかったんです。その代わり、黙って鏡を手渡してくれました。どういう意味なんでしょう?」
◆◆◆
♪
エキサイティングな時間はあっという間でしたね。
「真夜中の食育」
今夜はここまで。
日本食育大学准教授(自称)、松宮園生がお送りしました。
ではまた来週のこの時間に、しかたなくお会いしましょう。
バイナラ (←死語)。
♪
シンプルで分かりやすい人間を目指す、松宮園生です。
(前回までの内容)
地味なインドア人間の分際でありながら、過去2回はアウトドアな
冒険談を書きました。
おこがましくてスミマセン。
「インドア松宮の冒険」
エピソード1:http://www.shokuiku-pro.com/production/2008/11/1_31.html
エピソード2:http://www.shokuiku-pro.com/production/2008/11/2_34.html
今回でこの冒険談、3回シリーズの最後になりますが、最終回はインドアな冒険のお話をさせていただきます。
インドアだと冒険とは言わないかもしれないけど。
てか、絶対言わねえよな…。
◆◆◆
<第2回: 食の資格ラプソディ>
昨年から
「食の資格」を持つ方のためのサイト
を運営しています。
このサイト、
「食育プロデュース委員会」
です。
http://www.shokuiku-pro.com/
ところでこの
「食の資格」
というやつ、世の中にはいろいろありますよね。
僕はどんな資格を持っているかというと。
はい。
何ひとつ、持っていません。
「食の資格」を持つ方のためのサイトを運営しているくせに、自分は何も持っていないのです。
無資格者でございます。
じゃあどうして「食育プロデュース委員会」みたいなサイトをしているのかと言いますと。
自分で「食の資格講座」ビジネスをやっていた時期がありました。
資格を「取る」側ではなく、資格を「出す」側にいました。
講座を「受ける」側ではなく、講座を「開く」側にいました。
カリキュラムを作り、講座を開き、試験をし、合格者に認定証(資格)を授与していたわけです。
たまには自分で講師をすることもありました。
なので、「食の資格」を持っている人に、すごく関心があるんです。
「食の資格」を持っている人に、もっとどんどん活動してほしいと思っています。
資格を取ったのに眠らせている人が世の中にけっこう多いようですが、このことも、僕にとっては自分の力不足を責められているような感じがしています。
◆◆◆
「食の資格講座」ビジネスをむりやり演劇にたとえると、
* 受講生さんは「俳優」
* 僕は「現場監督」
に該当します。
ただし。
映画や演劇だと、俳優と同じくらい監督にスポットライトが当たったりしますね。
しかし資格講座ビジネスの場合は主役はあくまでも受講生さん。
現場監督は裏方です。
なので雑誌・新聞・テレビといったメディアから取材を受けるときにも、受講生さんに出ていただく。
どこかのカルチャースクールから講師紹介の要請があったときも、受講さんに講師をやっていただく。
現場監督はほとんどメディアに出ません。
カルチャースクールで教壇に立つこともありません。
「ほとんどメディアに出ません」と書きましたが、例外がありまして。
経済系のメディアや、ビジネス系の番組や、業界誌には現場監督も出ることがありました。
とはいえ、ときにはそういう例外もありましたが、僕はキホン裏方の人間でございます。
◆◆◆
ところがです。
裏方の分際で、
「記者会見」
というのを経験したのです。
これが、僕にとってのインドアな冒険であります。
「不祥事いいわけ型」の記者会見ではありませんでした。
不祥事の記者会見なんて、一度やったら人生変わりそうですね。
カメラの前で立ち上がり、頭を下げる。
(誰に謝ってんだろ?)
絶対、やりたくないですね。
やったのは
「あたらしく資格講座はじめまーす。皆さん、受けてね。よろしこ(←死語)」
という「発表会型」記者会見でした。
まあ、ちっとばかし晴れやかな場面ではあるんだけど…。
キホン裏方タイプの僕にとって、じつはかなりのストレスでした。
皆さんの中には、こういう晴れやかな場面のほうが力を発揮する人がいらっしゃると思いますが、僕はあきまへん。
今後は、記者会見のない人生を送りたいと思っております。
◆◆◆
記者会見にはシナリオというものがあります。
手渡されたシナリオには、
* 入場の仕方
* 座る席順
* 挨拶の仕方
などが書かれていて、そのとおりに振る舞うことになります。
簡単なシナリオなんですけど、「俳優」ではない僕にはけっこウザい。
シナリオつってもさすがに質疑応答の内容までは書かれていません。
そこまで書いてあったら、ただのヤラセですね。
とはいえ、質問されてしどろもどろ、というわけにはいきません。
なので、記者の方々からどんな質問が来るかをあらかじめ予想し、答えを考え、前の日に練習です。
大企業の社長さんも、株主総会の前の日とかにはこういうこと、やってんでしょうね。
記者会見にはそうやって臨みました。
このとき来ていただいた記者さんは、経済系でもビジネス系でもなく、生活情報系の方々です。
本来は僕の出る幕ではなく、受講生さんに出ていただくものなのです。
が、そのときはまだ受講生さんが存在していなかったため、やむなく自分で出ました。
緊張して、寿命、縮みましたね。
くどいですけど、今後は、記者会見のない人生を送りたいと思っております。
◆◆◆
以上、全体的には地味な僕の人生のなかで、珍しくエキサイティングだった出来事を3回シリーズでお送りいたしました。
おつきあい、ありがとうございました。
食育というテーマでセレクトしています。
「食育的な心を満たすオンラインストア」
http://astore.amazon.co.jp/shokuikuprodu-22
インドア自慢の松宮です。
根が内向的ですので、食育の仕事をしていると自称
しているくせに、食育の現場に出ることは滅多ありません。
あんましイベントなんかも行かないです。
食育は現場で起きているにも関わらず、僕は会議室で
茶をたしなんでいるのです。
まるでご隠居。
しかし、ご隠居な僕にも、ちょっと派手っぽい経験が3つ、あります。
それを順番に、3回シリーズでご紹介しています。
前回はこれ→ 「インドア松宮の冒険 エピソード1」
http://www.shokuiku-pro.com/production/2008/11/1_31.html
◆◆◆
<第2回: アラスカ食育秘話>
アラスカに出かけて
「樵(キコリ)の監督」
みたいなことをしていた時期がありました。
アラスカっつーと普通思い浮かぶのは
* オーロラ
* エスキモー
あたりでしょうか。
でもじつはアラスカもそれなりに広くて、オーロラが見えたりエスキモーに会えたりするのはだいぶ北のほうです。
で、僕がいたのは南のほうでして。
南のほうは、オーロラにもエスキモーにもあまり縁がありません。
南アラスカ一帯には針葉樹がところ狭しと生えています。
この針葉樹を日本に運ぶといいお金になりました。
僕もアラスカの針葉樹を切り倒して日本人に売りつけるという、ロハスな皆さんにメチャ叱られそな商売をしていたのです。
ちなみに切り倒した針葉樹は船に積んで日本に運びます。
なので、船に積みやすいという理由で、森林伐採は海に比較的近いところで行われていました。
当時の僕の毎日はどんなだったかというと。
朝早くからキコリの監督をし、午後は適当に切り上げて、野生動物の観察なんかをしていました。
よく出会った哺乳類は
* 灰色グマ
* カモシカ
* ビーバー
海が近かったので
* ラッコ
* クジラ
にもよく出会った。
アザラシに遭遇した記憶はないです。
さっき書いたように、南のほうではオーロラはほとんど見れません。
僕も3年間で1回しか見たことないし、それもなんだかボンヤリしたものでした。
◆◆◆
この話のどこが食育なのかと言うと…。
キコリの現場にはホテルなんかありません。
キコリはどこに泊まるかというと、キコリ専門のキャンプを設営し、そこに泊まります。
エアコン完備、水洗トイレあり、シャワー室あり、携帯電話もネットも繋がるという近代的キャンプです。
キコリとしてキャンプに入ったら、数ヶ月はそこに寝泊まりすることになります。
そのあいだ、禁酒です。
遊びにいくところもない。
加えてキコリという仕事じたいがもともとキツイ。
キャンプは近代的なのですが、生活はなんだか服役中の囚人みたいです。
そんな毎日を強いられますから、給料は高いです。
全米各地から、短期間でたくさん稼ぎたい野郎どもが集まってきます。
たいがい、ケンカの強そうな連中です。
ケンカ防止のために、禁酒令が敷かれているくらいです。
(じつは意外に気の優しいのが多いんだけど)
しかし、給料が高いと言ったって、
* お酒は厳禁
* 大自然のまっただ中でひたすら木を切る毎日
これじゃ、いくら屈強の男たちといえども、萎(な)えてしまいますね。
その対策として、食事に工夫が凝らされているのです。
キャンプには食堂(カフェテリア)がついていますが、このカフェテリアで出される食事がきわめて旨い。
腕のよいシェフを高い報酬で雇い、アラスカまで来てもらっています。
「流しの料理人」をしている、友人のラザフォードも、腕を買われていっときアラスカで仕事をしていました。
「流しの料理人」ラザフォードについては→ 「500ドル勝負」
http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/09/500.html
シェフがいいだけではありません。
アラスカはもともと食料自給率の低い州なので、食料はほとんど本国から運んできます。
運賃がかかる分、食料品の値段は本国より高い。
にもかかわらず、キャンプのシェフは、新鮮な食材を、カネに糸目をつけずに購入することを許されているのです。
なので、味がいいだけでなく、パンは全粒粉で作るし野菜は新鮮でオーガニックという、今風なヘルシーさ。
(ただし味つけは濃いし、肉はしっかり出ます)
キコリたちはそんな食事を楽しみに、日々の重労働に耐えるわけです。
アラスカには多くのキコリのキャンプがありますが、どのキャンプでも、食事はいいものが出る。
* 早寝早起きのキコリ生活。
* 運動量の多い仕事。
* 味がよくヘルシーな食事。
いわば「食育キャンプ」なのでありました。
旨いメシを食いながら森林を伐採していたと思うと、地球に申し訳ないのですが。
◆◆◆
アラスカでキコリたちと寝食をともにして学んだのは、
「人間、メシが旨ければたいがいの苦境には耐えられる」
ということでした。
逆にメシが不味ければ、ほかの条件が良くても基本ダメなのかもしれません。
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「大人っぽい子ども」だと言われている松宮園生です。
どっちかっつーと出不精な人間です。
てか、明らかに出不精です。
重いフットワーク。
なので、食育の仕事をしていると自称しているくせに、
食育の現場に出ることは滅多ありません。
食育は現場で起きているにも関わらず、
僕は会議室で茶をたしなんでいるのです。
まるでご隠居。
でも、いつも会議室で茶ばかり飲んでいるわけじゃあ
ないんだよ。
コーヒーだって飲むさ。
…そんなインドアな人間ですので、
* 犯人をつかまえて手柄をたてたとか
* スポーツで目立って女の子がキャーキャー騒いだとか
* 難解な事件を解決したとか
* 難しい資格を取ったとか
* 賞をもらったとか
そういうカッコいい過去(シャレか)は持っていないのです。
しかし、基本インドアで地味な僕にも、ちょっと派手っぽい経験が3つ、あります。
それを順番に、3回シリーズでご紹介しましょう。
◆◆◆
<第1回: 中国雲南省、食育奇談>
10年ほど前に北京のお役人と一緒に雲南省の奥地に行きました。
何しに行ったかというと。
ミャンマーの反政府ゲリラと商売をするためです。
当時、反政府ゲリラは、活動資金を得るために日本人と取引したがっていました。
で、どういうわけか北京の役人がそれを仲介していたのです。
取引の内容そのものは本題と関係ないので省略させていただきます。
雲南省の山奥にはどうやって行ったかというと。
まず北京から飛行機に乗り、6時間かけて昆明(クンミン)に到着。
昆明は雲南省の中心都市です。
今は人口が300万人くらいいるそうですが、当時は150万人くらいでした(←じゅうぶん大都市です)。
繁華街のカラオケ・スナックから、日本のムード歌謡が漏れ聞こえてくる。
そんな街でした。
その日は昆明で1泊。
キレイなホテルだけどトイレが壊れてた。
翌日は早朝から役人専用のクルマに乗り、高速道路で山奥に向かいます。
役人専用のクルマですので、高速道路の有料ゲートなんかもフリーパス。
地元の警察なんかなんのその、スピード違反も関係ありません。
北京の役人の権力、まざまざと見せつけられました。
走り続けて昼ごろになると、田んぼを水牛が歩いているような風景があらわれます。
雲南省は南国なのです。
この辺にくると、少数民族の文化圏になります。
中国語(マンダリン)も上海語も通じなくなるらしく、通訳が必要になってくる。
この怪しい雲南ツアーには、北京のお役人と僕のほか、2人の通訳が同行していました。
1人は、この辺のよく分からない言葉を中国語にする通訳。
もう1人は、その中国語を日本語にする通訳。
6時間ほど走ったでしょうか。
目的地らしいところにクルマをとめ、なんとか族という地元の人たちと会議をしました。
会議の内容は本題に関係ないので省きます。
ただ、あいだに通訳が2人も必要な会議はなかなか疲れるものだったことはお伝えしておきます。
会議が終わって食事をしようという話になり、地元の飲食店に向かいました。
ここからが本題。
その飲食店、どうみても動物園なのです。
だってカラフルな毛並みのサルもいるし、なんかアリクイみたいのもいる。
胸騒ぎがしてきます。
動物園のなかに小さな建物があり、われわれ一行はそこに案内されました。
建物のなかに入るやいなや、店の主人が、カーテンを閉めはじめます。
「どうしてカーテンを閉めるんですか?」
通訳を通じで質問すると、店主は答えました。
「法律で禁止されているものを食べていただくので、役人に見られないようにカーテンを閉めるのです」
役人、ここにいるじゃんよ!
でもその役人、ニコニコ笑っているだけです。
食事が始まりました。
でてきた料理は、なにかの珍しい鳥を焼いたものと、それからアルマジロの姿煮でした。
さっきまで動物園のなかにいたのを、どうやら料理したらしいのです。
鳥のほうはともかく、アルマジロの姿煮のほうはどうしても食べる気がせず、食べたフリをしてその場をごまかしました。
それから、得体のしれない酒もすすめられました。
緑色をした液体で、白いものがいくつか、浮かんでいます。
なにかの爬虫類の血液を、地酒と混ぜたものだという説明を受けました。
やがて、インディ・ジョーンズばりの不気味な食事が終わります。
店主がやってきてこんな挨拶をしました。
「どうです、旨かったでしょう? わたしは禁止されているものを美味しく料理しました。みなさんは禁止されているものを旨い旨いと食べました。禁止されているものも飲みましたね。これで全員、同罪です。決して口外しないようにお願いいたします」
その言葉を通訳から聞いた僕は椅子から飛びあがりました。
「ば、バレないんですか? バレて、つ、捕まったらどうなるんですか? し、死刑?」
北京の役人が、僕の肩をポンと叩いていいました。
「マツミヤさん、慌てない、慌てない。死刑は死刑だけど、大丈夫ネ」
「大丈夫なんですか?」
「うん、大丈夫。痛くない処刑方法もあるから、そんな方法をとるように、ちゃんと根回ししといてあげるヨ。100万円ほどかかるけどネ」
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のんびりちゃくじつ21世紀日本人、松宮園生です。
(前回のあらすじ)
閻魔大王の一言で、メタボ地獄の囚人全員が
「食育試験」を受験することになりました。
成績優秀者は3泊4日の天国旅行。
逆に点数の悪い者は地獄での刑期延長。
囚人たちのあいだに、不安が広がるのでした。
前回→ 「21世紀神様の悩み その11」
http://www.shokuiku-pro.com/production/2008/10/2111.html
◆◆◆
メタボ地獄には1人だけ、メタボじゃない人間がいます。
もとアイドル栄養士、阿部マリエです。
「栄養士じゃなくて管理栄養士よ。何度言ったらわかるの」
す、すみません…。
ではもう1度。
メタボ地獄には1人だけ、メタボじゃない人間がいます。
もとアイドル栄養管理士、阿部マリエです。
「栄養管理士じゃなくて、管理栄養士だってば。『管理』が先、『栄養』が後。いい加減、覚えてよね」
す、すみません…。
ではもう1度。
メタボ地獄には1人だけ、メタボじゃない人間がいます。
もうアイドル栄、じゃなくて、管理栄養士、阿部マリエです。
手違いで暗殺され、手違いでメタボ地獄に落ちてしまいました。
手違いではありましたが、閻魔大王や鬼たちに可愛がられ、メタボ地獄のアイドルとして恵まれた生活を送っています。
◆◆◆
最近、メタボ地獄にもスターバックスが開店しました。
ちょっとイマ風な鬼たちで店内はいつも混んでいます。
阿部マリエがスタバに着いたとき、閻魔大王はすでに中で待っていました。
顔が他の鬼の3倍の大きさですので、すぐ分かります。
大王の隣で、青鬼のジェシカが、キャラメルマキアートをちびちび飲んでいます。
「遅れてごめんなさい」阿部マリエはウソ泣きの表情をしました。「久しぶりに大王様にお会いできると思ったら、嬉しくって、洋服選びに時間がかかっちゃったの。ほんとにごめんなさいね」
「ぜんぜん大丈夫だよ」あわてて首を振る閻魔大王。
勢いよく首を振ったため、ぶうん!という音がし、つむじ風で阿部マリエの髪が吹きあがりました。
「僕らもいま着いたばかりなんだ。な、そうだろ、ジェシカ?」
ジェシカはキャラメルマキアートを飲むのを止め、閻魔大王をジロリと睨みました。
「あんたさ、キャラ違ってるよ。人間の女の前だからってサワヤカぶっちゃってさ。その顔で、バカじゃん」
「お前が言うなよ」閻魔大王も言い返します。「お前だって囚人の前だとキャラ変わるじゃん。髪かきあげて腰フリフリしちゃってさ。…マリエさん、ごめんね、こんな妹で」
「この人に謝ってどうすんの」
兄妹だったんですね。
兄妹が言い合いを続けている間に、阿部マリエは食育っぽく「豆乳ラテ」を買って席に戻ってきました。
「それで大王様、わたくしにご要望とおっしゃるのは何でしょうか?」
「じつは今朝ほど、囚人たちに発表したんだけど」閻魔大王は言いました。「獄内試験を行うことにしたんだ」
「試験ですか?」
「うん。食育の試験なんだけど」
「まあ」
阿部マリエの目が輝きました。
「それで」閻魔大王は続けます。「マリエさんに試験問題を作ってほしいんだ」
「そうでしたか」
「作ってくれる?」阿部マリエの両手を握る閻魔大王。
「わたくしでよければ喜んで」両手の激痛をこらえてうなずく阿部マリエ。
涙目になっています。
「わあ、よかった」閻魔大王は耳まで裂けた口で微笑みました。「ちょっとトイレ行ってくるね」
◆◆◆
閻魔大王が席を外したとたん、残された女どうしのテーブルに沈黙が訪れました。
飲みほしたキャラメルマキアートのカップを、意味なくぶらぶらさせるジェシカ。
無言で豆乳ラテを飲む阿部マリエ。
しばらくして、阿部マリエが言いました。
「なんなのよあんた。何が気に入らないわけ?」
答えないジェシカ。
「まあいいわ。ちょっとさ、豆乳ラテ飲んじゃったから、おかわり買ってきて頂戴」
ジェシカが顔を上げました。「なんであたしに言うのよ。自分で買ってきな」
「誰に向ってものを言ってるの。わたしは阿部マリエよ」
「だから何?」
「あのね。わたしを取り合って神様と閻魔様がケンカをしたこと、知らないの?」 (※)
「知ってるけど、だから何?」
「憎たらしい子ね。こんな妹をもって閻魔様がかわいそう」
(※) 「21世紀神様の悩み その4」
http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/09/214.html
閻魔大王がハンカチで手を拭きながら戻ってきました。
「2人とも、仲良くしてたかい?」
「それはもう。素敵な妹さんですね」とっておきの作り笑いをする阿部マリエ。「わたくしにも妹がいたらいいのに」
「僕と結婚してくれたら、妹ができるよ」
「まあ」
ジェシカは横を向いて禁煙パイポ(←死語?)を吹かしています。
◆◆◆
そんなわけで、「獄内食育試験」の問題を、阿部マリエが作ることになったのでした。
(つづく)
あふれる気合、松宮園生です。
日本の京都とアメリカのボストンとは、姉妹都市だそうです。
最近、それを知ってちょっと驚きました。
というのは、両方に僕の師匠が住んでいるからです。
◆◆◆
京都に住むは、農業の師匠、葉竹乃木夫先生。
本業は農業コンサルタントです。
「バウムクーヘン野郎」
というニックネームを僕にくれた人です。
「バウムクーヘン野郎」の意味を知りたい方は→ 「バウムクーヘン宣言 その1」
http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/04/1_4.html
葉竹先生の顔の描き方を伝授します。
まず、京都ですから、
「秋も深まってきたでおじゃるなあ」
「まことにそうでおじゃる。ほほほほ」
といった会話をする公家のオジサンを想像してください。
次に、その公家のオジサンが夏休みに江の島に行ったとします。
砂浜でうっかり日焼け止めを塗らずに眠ってしまいました。
サザンでも聞きながら。
そのまま5時間。
葉竹先生の顔のできあがりです。
「日焼けしすぎた公家」。
ちょっと怖いか。
そういう顔ではありますが、彼の農業コンサルタントとしての腕前は一流ですので、農業に憧れる若者諸君、何かあったら僕に相談ください。
葉竹先生を紹介します(でも高いよ)。
◆◆◆
一方、ボストンに住むは、栄養学の師匠、マイケル・チイタッタ先生。
本業は内科医ですが、(逃げまわる)僕に栄養学を(ムリヤリ)(有料で)教えてくれました。
ありがたや、ありがたや。
うらやましいことに、チイタッタ先生は3年ほど前にフロリダに別荘を買いました。
春夏秋はボストン、冬はフロリダで過ごしています。
2年前のハリケーンでフロリダの家が少し壊れたそうですが、それを直したときに、勢い余ってゲスト用に別荘をもう1軒、買いやがった!
チイタッタ先生の描き方も伝授します。
マイケル・ジャクソンの「スリラー」、覚えてます?
たしか、史上もっとも売れた曲ですよね。
曲が売れたというより、ビデオが売れたというほうが当たってるかもしれません。
(知らない人はユーチューブかなにかで見てください)
「スリラー」のビデオの、最後のシーン。
マイケル・ジャクソンがニヤリと笑うところですが。
あのときのマイケル・ジャクソンに高そうなスーツを着せ、サプリメントを持たせる。
チイタッタ先生のできあがり。
チイタッタ先生が住んでいる近所には、有名なハーバード大学があります。
(マサチューセッツ工科大学=MITもある)
このハーバード大学、日本でいうと東大とか京大とかになるんでしょうけど。
東大や京大と違って、ここには「栄養学部」があるそうです。
医学部とは別個に、単独の学部です。
つまり、アメリカでは栄養学の地位が高いということを示しています。
東大や京大には単独の「栄養学部」はないんじゃね?
◆◆◆
京都とボストンはたしかに姉妹都市なのですが…。
葉竹先生とチイタッタ先生は、お互いを知りません。
僕も紹介してないし。
日焼けしすぎた公家と、「スリラー」・ジャクソンとが出会ったところで、地球的に意味なさそうだし(笑)。
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松宮園生です。
こないだたまたまテレビをつけたら、プロ野球の監督が
胴上げされる場面でした。
それを見ててふと思いだしました。
そいえば僕も、胴上げされた経験あるんすよ。
中学のとき、学校の屋上で胴上げされました。
ですが、なんで胴上げされたのかよく覚えていない、松宮園生です。
(しかも、最後は受け止めかたがぬるくて、落ちたような記憶が…)
◆◆◆
前回の続きです。
A社の主催するセミナーで、あなたは講師をすることとなりました。
A社の担当者から
「テキストもないので、作ってほしい」
と言われました。
そんなわけであなたは講師もするしテキストも作る。
この場合、講師料に加えて「テキスト制作料」はもらえるのでしょうか?
それとも、もらえずに泣き寝入りか?
まず「テキスト制作」とは何のことかを整理しておきましょう。
「制作」には、「印刷」と「製本」は含まれません。
アタリマエではありますが、いちお説明しておくと。
「制作」とは、あなたがワードやパワーポイントやイラストレーターなどのソフトウェアでデータを作ることです。
「あーでもない、こーでもない」
と唸りながら、パソコンを使って一生懸命に作ったデータですので、これはあなたの知的財産になります。
このデータの著作権はあなたのものです。
たいていの場合、あなたはあらかじめデータをA社に送ります。
そうすると、A社のほうであなたの作ったデータを「印刷」し「製本」する。
で、講座当日、テキストがセミナー受講者に配られるわけです。
話をもどします。
あなたは講師料に加えて「テキスト制作料」をもらえるのか?
◆◆◆
答から言いますと。
名目が「講師料」だろうと「テキスト制作料」だろうと、A社の関心は
「支払う報酬は総額いくらになるか」
です。
たぶんあなたにとっても、
「受け取る報酬は総額いくらになるか」
が気になるところだと思います。
なので、A社はおそらくこう言ってくるでしょう。
「講師料とテキスト制作料込みで、この金額でお願いできませんか」
またはこういう会話になります。
「講師料ですが、この金額でお願いします」
「テキスト制作料はいただけるのでしょうか?」
「いま申し上げた金額は、テキスト制作も含んだうえでの金額なのですが…」
「マジ?」
というわけで、そこから先は、交渉になります。
「テキスト制作も含んだうえでの講師料」
をいくらにするか、を決める交渉です。
◆◆◆
通常はこのような交渉で総額が決まってしまうのですが、
「テキスト制作料」
がクローズアップされる場合があります。
(正確にいうと、クローズアップされるのはあなたの持つ著作権です)
どういう場合かというと。
A社のセミナーが人気が出てきて、同じ講座が何度も行われたり、全国あちこちで開催されたりするようになったとしましょう。
すると、あなたでない人が、「あなたが最初に作ったテキスト」を使って講師をする場合が発生します。
A社も、
「できればあなたに講師をしてもらいたい」
と思っているかもしれませんが、セミナー開催予定とあなたの予定がどうしても合わない場合、A社はほかの講師を探すかもしれません。
このとき、
「あなたが最初に作ったテキスト」
の著作権はあなたのものですから、あなたはA社に「著作権の使用料」を請求することができます。
A社がしっかりした会社の場合は、A社は事前にあなたにこの件を相談するはずです。
相談の結果、
* A社はセミナー開催のたびにあなたに「著作権の使用料」を払う
* A社はあなたから「著作権」を一括で買い上げる
* A社は、あなた以外が講師をする場合、あなたの作ったテキストは使わない
どれかに決まります。
(たいがい、2番目の結論になるのが普通)
問題はA社がしっかりしていない場合。
あなたがぼんやりしていると、「著作権の使用料」が払われないまま、あなたの知らないところで「あなたの作ったテキスト」が勝手に使われることがあります。
A社に悪気がなくても、杜撰な会社であれば同じです。
なので、気をつけましょう。
◆◆◆
僕も、テキストを勝手に使われた経験があります。
ぜんぜん気がつかなくて、あとで知りました。
思い出したらムカついてきた!
松宮園生です。
「松宮の出身地ではないか?」
という疑惑のあるテケテケ村。
こないだ、機会があってテケテケ村にある古い文献を
ひもといてみると、昔の裁判記録を見つけました。
今回はそれを紹介しましょう。
◆◆◆
400年ちょっと前。
=戦国時代の終わりごろ。
テケテケ村は、キリスト教の村でした。
フランシスコ・ザビエル率いるイエズス会の宣教師たちが、この村の布教に成功していたそうです。
ある年のこと。
イナゴの大群が発生し、稲を食いつくしてしまいました。
怒った村人たちは、宣教師に相談しました。
宣教師は言いました。
「イナゴを裁判にかけましょう」
「は?」
「イナゴを裁判にかけ、神の裁きを受けさせるのです。ヨーロッパでは時々やっていますよ」
「イナゴの裁判ですかい?」
「イナゴもそうだし、バッタやネズミも裁判にかけます」
宣教師は「召喚状」を書き、村長に手渡しました。
「これを、イナゴに渡してきてください」
「は?」
「裁判に出頭するようにという、イエズス会からの召喚状です」
「はあ…。しかし、どのイナゴに渡してきたらいいんですかい?」
「主犯格のイナゴに渡してきてください」
「主犯格つっても…」
「ではこうしましょう。イナゴが群れになっているところに出向いて、召喚状を読みあげてくるのです。あとは彼らのほうで代表者を選ぶでしょう」
「はあ…」
宣教師がマジメに淡々と話すので、村長は反論できずに召喚状を受け取ってしまいました。
で、まだイナゴがうろうろしている田んぼの前で、召喚状を読みあげたのです。
「よく聞け。神の意にそぐわない行動をするイナゴ諸君! 貴君らの裁判が行われる。明日の夕刻、村の広場で行われる臨時法廷に出頭せよ」
◆◆◆
翌日の夕刻、村の広場で臨時法廷が開かれました。
開始10分前の臨時法廷の様子は、こうなっています。
* 周囲(傍聴席)には村人が集まっています。
* 宣教師が裁判長の席に座っています。
* 村長が原告席にいます。
* 被告席は空席です。
* 被告席の隣には、まだ若いべつの宣教師が座っていました。
「あの方はなぜあそこにいるんですかい?」
村長の問いに、裁判長の宣教師が答えました。
「彼は被告のための弁護をするのです」
「は?」
「裁判は公正に行われなければなりません。なので、イナゴにも弁護人がつくのです」
10分がたちました。
「裁判を始めます」裁判長が言いました。「では村長、訴状を読みあげてください」
「は?」
「昨日、訴状を書きなさいと言ったでしょ。書かなかったのですか」
「あ、はい。書きました。これのことですかい。では、えへん、読みます。わたしはイナゴを訴えます。イナゴどもは許可なく村の田んぼに入り込み、稲を食い荒らしました。このままでは村に餓死者が出るかもしれません。許せんです。神の裁きをお願いいたします」
「次は被告人」と裁判長。「おとなしく神の裁きを受けますか? いいわけがあるなら申し立てなさい」
しーんと静まりかえっています。
「被告人のイナゴは欠席ですか?」
返事がありません。
(あったらこえーけど)
すると、弁護人の若い宣教師が立ちあがりました。
◆◆◆
弁護人が言いました。
「裁判長。イナゴが来れないのには理由がありまして」
「なんですか、その理由というのは」
「どうやらその、ここに来る道が分からなかったようで」
「村の広場に来るように伝えたはずですが?」
「ですが彼らは、別の村から飛んできたものですから、この村の地理には詳しくないのです」
「なるほど。それはそうですね」
なるほどじゃねーだろ、と思ったアナタ。
16世紀のテケテケ村には、そんなツッコミをする村人はいませんでした。
「ではしかたがない」裁判長は言いました。「誰か、迎えに行ってイナゴをここに連れてきなさい。それまでしばし休廷します」
村長の指示で、村人の1人が田んぼからイナゴを1匹、取ってきました。
イナゴを布袋に入れて逃げないようにし、その布袋を被告席に置きます。
イナゴが中で暴れて、ゴソゴソ音がしています。
こうして、法廷は再開されました。
裁判長がおごそかな口調で言いました。
「ではイナゴよ。おとなしく神の裁きを受けますか? いいわけがあるなら申し立てなさい」
布袋がゴソゴソしている以外は、しーんと静まりかえっています。
「被告人。黙秘権というわけですか?」
弁護人の若い宣教師が立ちあがりました。
「このイナゴは主犯格ではありません、裁判長。ですので、答えられないのです」
「では主犯格はどこにいるのですか?」
「分かりません。このイナゴにも、主犯格が誰なのか分からないと思います」
「しかたがありませんね」裁判長は言いました。「ということは、欠席裁判をせざるを得ないということになりますが」
「やむを得ません」と弁護人。「慈悲深いお裁きを、お願いいたします」
◆◆◆
慈悲深いお裁きを、ということでしたが…。
結局、判決は
「イナゴよ、新聖なる裁判を欠席したからには神妙に聞け。汝(なんじ)らを破門に処す」
というものになりました。
テケテケ村のあちこちに立札が立てられ、イナゴが破門になったことが伝えられました。
破門ってことは、それ以前のイナゴは信者だったんかい、と思ったアナタ。
16世紀のテケテケ村には、そんなツッコミをする村人はいませんでした。
「ざまあみろ、イナゴどもめ。破門になりやがった」
喜ぶ村人たち。
しかし同時に、「破門」という言葉に、あらためて恐れを感じました。
イエズス会の信者にとって、破門とは、
「神様に破門される」
ということです。
神様に破門されるのです。
これは、
「もはや救いはなく、地獄に行くしかない」
ということを意味しています。
生きとし生けるものにとってはサイアクな処罰です。
死刑のほうが、まだマシなのかもしれません。
それほど恐ろしい判決が、イナゴに対して下されたわけです。
判決が下りて数日後。
稲を食べつくしたイナゴは、一部はもはや食べるものを失って餓死し、残りは次の田んぼを求めて別の村に去っていってしまいました。
いずれにせよ、テケテケ村からイナゴは消えました。
村人は、「破門のせいでイナゴが消えた」と考えました。
イエズス会の宣教師たちも、本気でそう思いました。
こうして、イナゴ裁判は終結し、刑は執行されたのでした。
◆◆◆
以上、テケテケ村にあった記録をもとに、ちょっとチャラけた感じで書きましたが…。
じつを言いますと。
害虫を裁判にかけるということが、中世のヨーロッパでは普通に行われていました。
有罪になった害虫が、破門されていたというのも事実。
裁判のときには弁護人がちゃんとついていたというのも本当です。
驚いたことに、有能な弁護人のおかげで無罪になるケースも実際にあったようです。
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