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松宮園生です。
(このシリーズの説明)
繁栄にあぐらをかき、飽食をむさぼる先進国。
彼らに鉄槌を下すことにした全能の神様は、
「ウエルネス天国」
「メタボ地獄」
を作りました。
* ストイックに生涯を全うしたらウエルネス天国行き。
* 飽食におぼれメタボのまま死んだらメタボ地獄行き。
http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/07/211.html
さてあなたは、どっち?
◆◆◆
メタボ地獄では、囚人全員出席の集会が行われました。
管理職である鬼たちも、全員出席しています。
壇上に座っていた巨体の人物が、おもむろに立ちあがり、一礼をしました。
「メタボ地獄の囚人の皆様。いろんな地獄があるなか、当獄をご利用いただき、まことにありがとうございます。わたしは閻魔大王でございます。こう見えても福山雅治ではありませんので、間違えないよう、お願いいたします」
(いえ、絶対に間違えませんから)
鬼も囚人も全員、そう思いましたが、さすがに口に出すことはありませんでした。
閻魔大王は続けます。
「ここメタボ地獄も新顔が増えてだいぶ賑やかになりました。これもひとえに生活習慣に問題のあった皆様のおかげ。これからも皆様にとってエキサイティングな地獄であり続けるために、粉骨砕身いたす所存でございます。新しいアトラクションも多数用意しておりますので、存分にお楽しみください。なにとぞよろしくお願いいたします」
(挨拶は腰が低いけど、言ってる内容はかなりヤバくね?)
心のなかでつぶやく囚人たち。
「さて皆様。本日はご多忙のところお集まりいただき、ありがとうございます。じつはお知らせがございまして。皆様の刑期はこれまでわたしが主観的にテキトーに決めておりましたが、いつまでもそれではイカンと思うようになりました。今後は刑期を客観的に決めたいと思っております。ですので、獄内試験を実施することといたしました」
(試験…)
息を飲む囚人たち。
「食育の試験でございます。試験をさせていただいて、成績優秀な方はウエルネス天国3泊4日の旅にご招待!」
(たった3泊4日かよ…。しかも終わったら地獄に戻るんだろ…)
イマイチ喜べない囚人たち。
「残念ながら成績の不十分な方は、刑期を100年延長させていただきます」
(100年…)
囚人たちのあいだに、不安と恐怖の混ざったざわめきが広がりました。
「詳しい話はジェシカから説明させていただきます。ジェシカ君、よろしく」
閻魔大王はいかつい顔の青鬼にマイクを手渡します。
「おはようございます。ジェシカでぇす」
立ちあがり、マイクを受けとり、髪をかきあげながら腰をふるジェシカ。
(おはようございますって、そうだったのか…)
はじめて、今が朝だということを知った囚人たち。
メタボ地獄には時計もカレンダーもないのですから、知りようがなかったのです。
日の出も日没もないし。
「ジェシカはぴちぴちの4000歳でぇす。こう見えてもキャメロン・ディアスじゃないですから、間違えないでくださいね」
(心配しなくたって、絶対に間違えません)
囚人たちは全員、そう思いました。
閻魔大王も、自分のことは棚に上げて、強くそう思いました。
KYなジェシカは、上機嫌で続けます。
「獄内試験は明日の午後に行いまぁす。全員、受けてくださいね。受験料は無料でぇす。でも参考書と問題集は有料でぇす。ほしい人は、1冊2000円で販売していまぁす。地獄の沙汰もカネ次第っていうことですね!」
(地獄の沙汰もカネ次第って、誰もカネなんか持ってねーよ)
(てか、明日の午後って、いつのことなんだよ?)
「試験は口頭試験でぇす。閻魔様とジェシカが試験官を担当しまぁす。閻魔様もおっしゃっていましたが、成績の悪いかたは刑期延長ですから、みなさんしっかり勉強してくださいね。そのかわり成績の良いかたは、ウエルネス天国3泊4日の旅にご招待ですよ。キャー」
(はあ…)
「反応にぶいのねえ。そっか、みなさんは知らないのね。ウエルネス天国3泊4日っていうのは、みなさんの感覚だと30年になるんですよぉ」
(えっ、30年…)
驚きと期待のざわめきが起きました。
「やる気になったでしょ。がんばってくださいね。ジェシカも応援するからね!」
ジェシカが座ると、再び閻魔大王がむんずと立ちあがりました。
「では、全員集会はここまでとします。囚人の皆様、朝早くからお疲れ様でした。各自、担当のアトラクションに戻ってください」
チャイムがなりました。
(つづく)