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2008.10.28 13:37

21世紀神様の悩み その11

 

松宮園生です。 

(このシリーズの説明)
繁栄にあぐらをかき、飽食をむさぼる先進国。
彼らに鉄槌を下すことにした全能の神様は、
「ウエルネス天国」
「メタボ地獄」
を作りました。
* ストイックに生涯を全うしたらウエルネス天国行き。
* 飽食におぼれメタボのまま死んだらメタボ地獄行き。

http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/07/211.html

さてあなたは、どっち?

◆◆◆

メタボ地獄では、囚人全員出席の集会が行われました。
管理職である鬼たちも、全員出席しています。

壇上に座っていた巨体の人物が、おもむろに立ちあがり、一礼をしました。
「メタボ地獄の囚人の皆様。いろんな地獄があるなか、当獄をご利用いただき、まことにありがとうございます。わたしは閻魔大王でございます。こう見えても福山雅治ではありませんので、間違えないよう、お願いいたします」

(いえ、絶対に間違えませんから)
鬼も囚人も全員、そう思いましたが、さすがに口に出すことはありませんでした。

閻魔大王は続けます。
「ここメタボ地獄も新顔が増えてだいぶ賑やかになりました。これもひとえに生活習慣に問題のあった皆様のおかげ。これからも皆様にとってエキサイティングな地獄であり続けるために、粉骨砕身いたす所存でございます。新しいアトラクションも多数用意しておりますので、存分にお楽しみください。なにとぞよろしくお願いいたします」

(挨拶は腰が低いけど、言ってる内容はかなりヤバくね?)
心のなかでつぶやく囚人たち。

「さて皆様。本日はご多忙のところお集まりいただき、ありがとうございます。じつはお知らせがございまして。皆様の刑期はこれまでわたしが主観的にテキトーに決めておりましたが、いつまでもそれではイカンと思うようになりました。今後は刑期を客観的に決めたいと思っております。ですので、獄内試験を実施することといたしました」

(試験…)
息を飲む囚人たち。

「食育の試験でございます。試験をさせていただいて、成績優秀な方はウエルネス天国3泊4日の旅にご招待!」

(たった3泊4日かよ…。しかも終わったら地獄に戻るんだろ…)
イマイチ喜べない囚人たち。

「残念ながら成績の不十分な方は、刑期を100年延長させていただきます」

(100年…)
囚人たちのあいだに、不安と恐怖の混ざったざわめきが広がりました。

「詳しい話はジェシカから説明させていただきます。ジェシカ君、よろしく」
閻魔大王はいかつい顔の青鬼にマイクを手渡します。

「おはようございます。ジェシカでぇす」
立ちあがり、マイクを受けとり、髪をかきあげながら腰をふるジェシカ。

(おはようございますって、そうだったのか…)
はじめて、今が朝だということを知った囚人たち。
メタボ地獄には時計もカレンダーもないのですから、知りようがなかったのです。
日の出も日没もないし。

「ジェシカはぴちぴちの4000歳でぇす。こう見えてもキャメロン・ディアスじゃないですから、間違えないでくださいね」

(心配しなくたって、絶対に間違えません)
囚人たちは全員、そう思いました。
閻魔大王も、自分のことは棚に上げて、強くそう思いました。

KYなジェシカは、上機嫌で続けます。
「獄内試験は明日の午後に行いまぁす。全員、受けてくださいね。受験料は無料でぇす。でも参考書と問題集は有料でぇす。ほしい人は、1冊2000円で販売していまぁす。地獄の沙汰もカネ次第っていうことですね!」

(地獄の沙汰もカネ次第って、誰もカネなんか持ってねーよ)
(てか、明日の午後って、いつのことなんだよ?)

「試験は口頭試験でぇす。閻魔様とジェシカが試験官を担当しまぁす。閻魔様もおっしゃっていましたが、成績の悪いかたは刑期延長ですから、みなさんしっかり勉強してくださいね。そのかわり成績の良いかたは、ウエルネス天国3泊4日の旅にご招待ですよ。キャー」

(はあ…)

「反応にぶいのねえ。そっか、みなさんは知らないのね。ウエルネス天国3泊4日っていうのは、みなさんの感覚だと30年になるんですよぉ」

(えっ、30年…)
驚きと期待のざわめきが起きました。

「やる気になったでしょ。がんばってくださいね。ジェシカも応援するからね!」

ジェシカが座ると、再び閻魔大王がむんずと立ちあがりました。
「では、全員集会はここまでとします。囚人の皆様、朝早くからお疲れ様でした。各自、担当のアトラクションに戻ってください」

チャイムがなりました。

(つづく)

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2008.10.25 13:13

目指せ食育講師 その9

 

松宮園生です。

プロフィールにも書かせていただいてますが
僕は食育関係の仕事をしているくせに、
自分が食育の現場に出ることはあまりありません。
食育は現場で起きているのに、僕は会議室で
コーヒーをすすっているのです。
この、世界がいろいろ大変なご時勢に。

ま、大目に見てやってください。
しがないご隠居ですから。
コーヒーのフードマイレージが大きいのも許してやってください。

それでもごくたまには講師みたいなことをする場合があります。
そんなとき、僕自身は
「他人が作ったテキストで講師をするのがいっちゃん苦手」
な人間なので、テキストは自分で用意します。

で、ほとんどの人が、僕と同じタイプだと思っていたのですが…。

そうじゃない人もけっこ多いみたいですね。
「講師はしたいけど、自分でテキスト考えるのはヤ。誰か作ってよ」
という人にもおおぜい出会いました。

◆◆◆

まあ確かに。
演劇に例えると、俳優さんて、自分でシナリオ作るわけじゃないよね。
シナリオは脚本家が書き、俳優はそれを演じる。
脚本家は良いシナリオを作ることに力を注ぎ、俳優は良い演技をすることに力を注ぐ。

そう考えたら、分かる気がします。

知り合いにビジネススクールの講師をしている人がいて。
彼、かりにクリストファーとしましょう(なんでガイジンやねん)。
クリストファーはテキストを考えたりカリキュラムを組み立てたりすることには全然興味がない。
そういうのは人の作ったものでいいらしい。

その代わり、クリストファーが教壇に立つとまさに名優だそうです。
与えられたテキストどおり、指示されたシナリオどおりに、すごく魅力的な授業をします。
なのでギャラ高い。
ファンも多い。

ところでそのビジネススクール、何人ものスタッフが授業をモニターしているそうです。
で、講師の技術をいつも細かくチェックしてて。
下手くそな講師のギャラはすぐ下げる。
上手な講師のギャラはすぐ上げる。

なのでクリストファーも油断はしていられません。
よく鏡の前で練習してます。
憎たらしいことに、笑顔の練習もしてやがる。

でも朝の9時に、JR代々木駅のホームでそれをするのはやめてくれ。

◆◆◆

「他人が作ったテキストで講師をするのがいっちゃん苦手」
という僕みたいなタイプは、クリストファーみたいな名優には絶対なれないんだろうな。
ま、もともと僕は大根役者ですが(笑)。

ところで…。

与えられた教材で講師をする場合、もらえるギャラは「講師料」になります。
では、自分でテキストを作り、講師をした場合。
講師料のほかに、「テキスト制作料」はもらえるのでしょうか?

それについては、次回をお楽しみに。

(つづく)

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2008.10.20 09:29

テケテケ村・ミゼラブル

 

自分らしさを求めて日々修行、松宮園生です。

 

このコラムにもよく出てくるテケテケ村は、のどかな農村です。
僕の舎弟、小判大介君が奥さんのゆかりさんとそこでイチゴ栽培をしています。
小判夫婦はメリーという山羊を飼ってますが、このメリー、なかなか人気者です。

  なぜメリーが人気者なのかは、以下を参照。

  「農家の嫁と山羊のメリー 前編」
  http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/05/post_37.html

  「農家の嫁と山羊のメリー 後編」
  http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/06/post_38.html

◆◆◆

さて、テケテケ村の村長に代々伝承されている書物があります。
「テケテケ村ギネス」
と呼ばれています。
「村の歴史上、もっとも○○な人物」
を記録するものだそうです。

この「テケテケ村ギネス」、ふだんは神社に保管されています。
「新記録」を審査し、書き込むことを許されているのは、村長だけです。

あるとき、テケテケ村に1軒だけある居酒屋で、3人の若者がくだをまいていました。
ひとりは、小判大介君。
もうひとりは、親の農業を継ぐのは嫌だと村を飛び出し、大阪でウェブデザイナーをしている多古川博史君(たまたま帰省していた)。
最後のひとりは、東京で外資系企業の金融マンだったのを辞めて新規就農した三田祐司君。

小判君が言いました。「前から思ってんだけどさ、『テケテケ村ギネス』って、ホントにあるんかな」
多古川君が言いました。「村長が大事にしているつう噂の、あれやな。ホントにあるかどうか、今から確かめにいこやんけ」
三田君が言いました。「だってあれ、神社に保管されてんだろ?」

小判君が言いました。「勝手に神社に忍びこむっつーのもちょっとなあ。そんなのが許される年齢でもないしね」
多古川君が言いました。「ええこと思いついた。なんか新記録になるようなことを考えて、載せてもらうんや。そしたら、ホントにあるかどうか、わかるんとちゃうか?」
三田君が言いました。「そりゃそうだけど、新記録っていっても、どうすんの?」

小判君が言いました。「おれたち、ぼとぼち中年だから、スポーツの新記録っても、無理だろうなあ。勉強の新記録なんかも、もともと無理だし」
多古川君が言いました。「大阪的に言うとやな、アホな新記録なんかどや? それやったら、なんかあるやろ」
三田君が言いました。「アホな新記録?」

小判君が言いました。「カッコ悪い新記録とか、恥ずかしい新記録とか、情けない新記録とか、そんな感じ?」
多古川君が言いました。「そや、そんな感じ。それやったら、記録自体、まだないかもしれへんから、申請したら新記録になるんちゃう?」
三田君が言いました。「じゃあ、おれらの情けない話をカミングアウトしてみようか」

小判君が言いました。「こないだ農作業中に下痢っぽくなってさ。トイレまで我慢できずに駐車場の裏でやってたら、昼飯を持ってきた嫁さんに現場を目撃されてしまったんだけど、これなんか、どう?」
多古川君が言いました。「ホンマ? それごっつう情けないわ。でもまあ、よくある話ではあるわな。新記録になるほどの話、とはちゃうような気がするな」
三田君が言いました。「これはどうかな。まだ東京にいたころ、子どもを有名幼稚園に入れようとしてさ。親の面接があるっていうから嫁さんと一緒に行ったんだよね。緊張してさ。面接官に『お父さん、お好きなお花はなんですか?』と聞かれたもんだから、『バージンが好きです』『は?』『ですから、バージンが大好きです』って答えちゃって。面接、落ちたよ」

一瞬の沈黙のあと、小判君が笑い出しました。「パンジーと言いたかったのか」
多古川君が言いました。「めちゃ情けないわ。それいこ、それ。それやったら、テケテケ村ギネスの新記録になるんちゃうか」
「そうかなあ」と三田君。
多古川君が言いました。「だいいち、『村の歴史上、もっとも情けない人物』なんて記録、どうせまだ無いやろ。申請したらすぐに新記録や」
小判君が言いました。「そうだよ三田さん。テケテケ村ギネスに載ったら、村で話題になるよ、きっと。そしたら立派な村民として認められるんじゃね?」
「え、まじ?」喜ぶ三田君。

三田君は「よそ者」の新規就農者だったので、村人との人間関係を作るのに苦労していたのです。
こんなことで村民と打ち解けることができるのなら、三田君にとってはお安い御用(←死語)です。

しょーもない記録ではありますが、酔っぱらった3人にはそんな自覚はありません。
酔っぱらったまま連れだって、村長のところにでかけました。
「村長。起きてくださーい。テケテケ村ギネスに新記録を申請しに来ましたよお」
すると、村長の秘書がでてきて、言いました。「村長は1度に1人しか会いません。チャレンジするのは、誰ですか?」
「この、三田君です」
「では三田さん、1人でこちらに来てください」

◆◆◆

しばらくして三田君がでてきました。
外で待っていた2人が言いました。「どうだった?」「どやった?」
三田君は目に悔しさをにじませて首をふりました。「松宮園生って、どこの誰だよ?」

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2008.10.16 10:26

日米韓 食育同盟 その4

 

漬物好きヤマトダンジだけどキムチも好き、松宮園生です。

数年前から日本食の国際的な評判が目に見えて
上がってきていますね。
ニューヨーク、ロンドン、パリ、モスクワといった大都市では、
日本食店の前に着飾った人々が列をなす、というシーンが
見られたりします。

ニューヨークでは先日、MASAという日本食店がミシュランで
三ツ星をとって話題になりました。
http://www.shokuiku-pro.com/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=1911&forum=17

ちなみに、このMASAの客単価は1人あたり4万円です。
4万円ですが、それでもここで食べたがる人は多い。

そんな世の中になったものですから、
「日本食、人気上昇中あるね。わたしも日本食レストラン開くあるよ。ひと儲けするあるね」
てなノリで、あまり日本食を知らない人が日本食店を開いて、わけわかめな料理を出すようなことも増えました。
チョコレート寿司とか。
刺身モンブランとか。

「日本食レストラン海外普及推進機構」という団体ができました。
この団体は、
* 日本食をもっと海外に広げること
* ちゃんとした日本食店のみに認定を出すこと
* それにより、おかしな日本食が蔓延するのを防ぐこと
を目的としています。

  日本食レストラン海外普及推進機構
  http://jronet.org/

この団体ができるにあたっては、ひと悶着あったと聞いています。
詳しくは以下を参照ください。

  「寿司ポリス」ストーリー 前編
  http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/05/post_23.html

  「寿司ポリス」ストーリー 中編
  http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/05/post_25.html

  「寿司ポリス」ストーリー 後編
  http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/05/post_27.html

◆◆◆

さて、お隣の韓国はどうかというと…。
心穏やかではありません

「ちくしょー。出遅れた。日本食に先を越された。悔しい」
という声が聞こえてくるようです。
だって韓国料理だって、日本食に負けず劣らず健康を意識した食文化に支えられているわけで。
日本食だけが脚光を浴びるのは、ヤマトダンジの僕から見ても不公平感があります。

日本料理のMASAがニューヨークでミシュラン三ツ星を取ったことも刺激になりました。
「4万円出しても大勢の人が食べにくる韓国料理店をニューヨークに作る!」
「いつまでも日本食ばかりチヤホヤさせててはいかん。我が国の食文化の評判も上げなくては」
そんな声が高まります。

で、ついに国家をあげての
「日本食に追いつき追いこせ作戦」
を立ちあげたようです。

その作戦内容を聞いたので、紹介いたします。

まず、世界に韓国料理を広めるために人材が必要。
そう考えた韓国政府は、
「韓国料理アカデミー」
みたいなものを設立することを計画しています。
お手本は、「ル・コルドン・ブルー」です。

この「韓国料理アカデミー」を地方自治体ごとに作る。
卒業生には、
「韓国料理エキスパート」
「韓国料理マエストロ」
「コリアン・フード・アドバイザー」
みたいな認定を与える。

アカデミーは、「ル・コルドン・ブルー」みたいに、海外にもどんどん進出する。
海外の有名料理学校(アメリカだと、CIAとか)にも韓国料理学部を作る。
そんなイメージです。

次に、海外の優秀な韓国料理店を認証する制度も作る。
日本の「日本食レストラン海外普及推進機構」を参考にしているようです。

それから、韓国料理のイメージを高級化することも必要。
そう考えた韓国政府は、韓国文化をイメージさせる器や厨房機器、料理人の服装をオシャレにカッコよくデザインし、世界に発信するつもりのようです。

ほかには、こんなことも計画しているみたいです。
* 世界各国にある韓国大使館に、腕ききの韓国料理人を派遣し、各国の要人を韓国料理でカッコよくもてなして、イメージアップを図る(※)
* 海外進出を希望する韓国料理店に、資金などを援助する

  (※)これについては、食育プロデュース委員会に書き込まれたこんな記事も参考にしてください。
  http://www.shokuiku-pro.com/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=1167&forum=17&post_id=1466#forumpost1466

◆◆◆

ところがこの作戦、じつは大事なマーケティングのポイントが1つ、抜けています。
少なくとも、韓国政府は
「1つ抜けているから、何とかしなきゃ」
そう考えています。

何だと思いますか?

海外で日本食といえば、それは寿司です。
「日本食レストラン=寿司レストラン」
というわけですね。

「寿司だけが日本食じゃないわよ」
そう思ったあなた。
あなたは正しい。
しかし、世界の人々のほとんどは、そんなこと知りません。
「日本食レストラン=寿司レストラン」
だと思っているのです。

しかし、それがかえって良かった。
「寿司」という単純な分かりやすいシンボルがあったから、日本食はここまで世界に広がりました。
「メタボ」という単純な分かりやすい言葉があったから、ヲヂサンの健康意識が高まった、みたいなものです。

では、海外で韓国料理といえば、それは何でしょうか?
何をシンボルにしたらいいのでしょうか?

「韓国料理レストラン= (   )レストラン」

この (   ) の中に入れる「韓国の代表料理」を決め、それを韓国料理のシンボルとして世界に発信する。
日本だと、(   )の中には「寿司」が入るわけです。
韓国だと。何が入るのか。
これが、「日本食に追いつき追いこせ作戦」の最大のポイントだと、韓国政府は考えているのです。

(   )に入るのは、キムチではない、と韓国政府は考えています。
キムチは主食ではない。
キムチは韓国を代表する食材だが、韓国を代表する料理ではない。
なので、(   )に入るのは、キムチではない何か。
世界中から共感を得られる何か。

ところが、それがスムーズには選べないみたいで…。
韓国政府は、(   )の中に入る料理を、必死になって考えているところです。
ひょっとしたら、伝統料理じゃない何かを、この機会に新しく開発するかもしれないそうです。

どうなるのか、楽しみですね。

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2008.10.13 13:27

成りあがりトラクター その5

 

松宮園生です。

「成り上がりトラクター」
というのは、昔やってたサイトの名前です。
都会の人たち、とくに20代の若者に農業の魅力をデフォルメして伝えるようなサイトを作り、
「農業ファン」
を増やそうと考えました。

企画会議では、サイトの名前をどうするかですごく悩みました。
悩んだあげく、
「都会のシンボルと農業のシンボルを組合せた名前にしよう」
ということになりました。
農業のシンボルは「トラクター」にしたかった。
なので、
「××トラクター」
というサイト名にしようと思ったわけです。

で、この××のところには東京の地名を入れたらどうかという話になった。
さあ、どんな地名がいいか?

「銀座トラクター」
「赤坂トラクター」
「丸の内トラクター」
「六本木(ギロッポン)トラクター」

うーん。
なんか違くね?
20代の若者のイメージじゃねーよな。

「青山トラクター」
「西麻布トラクター」
「広尾トラクター」

うーん。
これじゃあ石○純一になってまうし。

「新宿トラクター」
「池袋トラクター」
「品川トラクター」

うーん。
なんか味もそっけもない感じだな。

「新橋トラクター」
「高田馬場トラクター」

うーん。
しっくりしすぎるな。
そんな名前の広場、ホントにありそだし。

「下北沢トラクター」
「三軒茶屋トラクター」
「二子玉トラクター」

うーん。
マニアすぎる。

「上野トラクター」
「浅草トラクター」
「巣鴨トラクター」

うーん。
遠くなった気がする。

「秋葉原トラクター」

うーん。
ま、少しはいいかな。

◆◆◆

と、いうわけで、
「やっぱりコレが無難かな」
的に選んだのが

「渋谷トラクター」
「原宿トラクター」

でした。

ところがです。

ある若者が、思いつきでこんなことを言いました。
「だんな。『成り上がりトラクター』ってどうですかい」

「成り上がりトラクター?」
「いいじゃん、それ」
「それ、好きっす」
「地名より、そっちのほうがいい!」

徹夜明けで血圧が乱高下している企画メンバーは、すんなり感動。
あっと言うまにそれで決まってしまいました。

◆◆◆

そうやってスタートしたサイト
「成り上がりトラクター」
なんだけど、じつはあまりパッとせずに閉鎖になってしまいました。

そのへんの経緯(いきさつ)は、またの機会に書きます。

今回書きたかったのは、トラクターの話です。
実は僕はトラクター・マニア、略して
「トラマニ」
でございまして。
トラクターを見ると萌えてしまうんです。

アメリカで、巨体なトラクターに自分のクルマを潰されたことがあるんですが、それ以来、トラマニやってます。

  詳しくは→ 「アマニ・ユニバース 後編」
  http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/11/post_93.html

しかしトラクターは普通、ミニカーがあるわけでもなく、本物買うと高いから、コレクションしにくい。
しかたがないので、写真を集めて萌え心を処理しています。

僕のコレクションからひとつ、披露しましょう。
これだ!
(ワンツースリー)

 

 

 

 

 

 

どう、カッコよくね?

◆◆◆

日本では稲刈りがそろそろ終わるころですね。
晩稲(おくて)はまだ稲刈りしてないかもしれません。

それはともかく、稲刈りが終わった田んぼにトラクターを入れ、来期に向けての土作りが始まったりします。
その様子を見てると、僕なんかはトラクターの勇姿にぼーっとしてしまうんだけど。

田んぼには鳥がエサ(虫など)をついばみに集まったりします。
鳥たちはトラクターがけっこう好きです。
というのは、トラクターが掘り起こしたばかりの土は、エサを見つけやすくなっているらしい。
なので彼らはトラクターの後をついて回ったりしています。

なかなか、癒される風景なり。

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2008.10.08 16:20

どーだ、うまいか、美味しいか、どっちだ?

 

「痩せたね」と昨日2回言われてご機嫌な、松宮園生です。


唐突な話題だけど…。
今日までの人生で記憶に残るほど不味かったもの、ワースト5。

■第5位■
子どもの頃に泣きながら食べた「野菜の牛乳煮」。
シチューではなく、牛乳煮です。
牛乳嫌いで体か弱かった息子に、ある意味、薬膳を食べさせるような感覚で、母親が出したものでした。

泣くほど不味かったですが、母親の弁護をしますと、
(1)あれは料理が不味いというより、そもそも牛乳がアカン。
(2)母親の作ったものが美味しくなかったのは、後にも先にもあのときだけです。

当時は、世の中的にタンパク質至上主義、カルシウム至上主義だったようなので、僕が病弱なのは牛乳を飲まないせいにされていました。

■第4位■
10年ほど前、K市に出張したときに泊まった、繁華街にある当地一流ホテル。
そこで食べた朝ごはん(和定食)。
口に合わなくて泣きました。

店員が気の毒そうに、パチンコ屋の広告のついたポケットティッシュをくれました。
和食を不味いと思ったのは、後にも先にもあのときだけです。

■第3位■
ジャイアンシチュー。
ドラえもんに出てくるジャイアンが、あるとき料理に夢中になり、のび太、しずかちゃん、スネ夫を自宅に集めて自分の料理を食べさせる。
そのときの料理が、ジャイアンシチュー。

ジャイアンシチューを食べる場面は2回あるそうですが、僕が知っているのは1回だけです。
そのときの内容は、
「イチゴジャム・塩辛・大福・たくあん・煮干し」
などを材料とした、クリームシチューとも鍋ともつかないどろりとしたものでした。

「どうだ? うまいか、美味しいか、どっちだ」
と問いかけるジャイアンに、一同は涙を流しながら「美味しい」と答える。
そんな場面を記憶しています。

マンガですから、実際に自分が食べたわけではありませんが、あまりに不味そうだったので、第3位にランクインです。

■第2位■
極寒の地、アラスカ。
コルドバという漁港の町で、「神戸牛のカティー・サーク煮」を食べたのですが。
不味くて大泣きしました。

まだ20世紀だったころです。

ほんとに神戸牛だったかどうかは分かりません。
メニューには、Kobe Beef と書いてあったけど。
そのころすでに、神戸牛はアメリカでも人気がありました。

カティー・サークというのはウイスキーの一種です。
ウイスキーというと、ふつうはイギリス人が飲むんだけど、カティー・サークはアメリカ人好みに作られているらしい。
メリケン(アメリカ人)好みというと、なんとなく、ファースト・フードならぬ、ファースト・ウイスキーという感じがします。

それにしても、神戸牛をカティー・サークで煮込むなんて、どうやって思いつくんだ?
とにかくひどい味でした。
わんわん泣きました。
店員(たぶんメキシコ人)が気の毒そうに、ハンカチをくれたのを覚えています。

ちなみに、アラスカは食料自給率の低い州です。
寒いので農産物はあまり育たない。
なので、たいがいはアメリカ本土から食料を移入しています。

■第1位■
「魔人探偵 脳噛(のうがみ)ネウロ」
というマンガがジャンプで連載されてます。
けっこう好きでね。
このマンガのヒロイン、桂木弥子のお母さん(桂木遥)の料理…。
これは歴史の残るひどさです。

桂木遥の料理はこんな感じです。
* 料理の材料を買いに、なぜかホームセンターに行く。
* 鶏肉と一緒に卵を殻ごとドリルで泡立てる。
* 彼女特製の味噌を入れた豚汁が、銀色に変色する。
* 調味料にニトログリセリンを使う。

また、彼女が作ったバレンタインデーのチョコレートは、色がメタルで、獣(けもの)の臭いがします。

そのマンガ、泣きながら読みました。

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2008.10.06 14:00

株式会社 食育 (パターン2)

 

明日は明日の風が吹く、松宮園生です。

「もしもし、ハロー。これは松宮さん?」
「そうですが」
「あたしはジェフリー・ダニエルズ社の
リチャード・フォースバーグといいます」
「ジェフリー・ダニエルズ? 聞いたことがあるような、ないような…」
「はい。外資系の人材紹介会社です」

「へー、外資系ね。で、人材紹介会社が僕に何の用ですか」
「あたしたちの調べでは、松宮さんは偉そうにフリーランスなどとうそぶいておられるけれども、稼ぎが悪くていつも貧乏しているそうね。ですから、あたしの考えではあなたはそろそろサラリーマンに戻ってはどうかしら」
「し、失敬な。大きなお世話です」
「まあ落ち着いて聞いてくださいな。貧乏な松宮さんにぴったりの会社があるんです」
「興味ないですね。僕はもうサラリーマンを辞めたんです」
「そう…。食育関係の会社が、役員を募集してるんですよ。役員給与、弾むって言ってるし」
「えっ?」
「話だけでも聞いてほしかったんだけど。残念ね。ではごきげんよう」

「ちょ、ちょっと待って」
「何?」
「い、いやその。話を聞くだけなら、聞いてみてもいいかなと、思ったので…」
「そう? 感心な心がけね。さっそくと言っては急だけど、明後日の12時に、目黒に来てくださらない? サンマでもご馳走しましょう」
「は?」
「目黒はサンマが名物なのよ」

◆◆◆

「あたしがリチャード・フォースバーグです。はじめまして、松宮貧乏さん」
「はじめまして。でも貧乏は余計だよ。『松宮貧乏』というのが名前だと思われちゃうじゃん。…それにしてもあんた、日本語うまいね」
「あたし、奥さん日本人なんです」
「なるほど。だからときどき女言葉になってるのか」

「しかし意外ね」
「何がですか」
「もう少し、イケメンを想像していたものですから」
「お、大きなお世話です」

「今回ご紹介したいのは、『株式会社 食育』というところなんだけど」
「はあ」
「食育をしている会社なんですって」
「はあ。そりゃまあ、そういう会社名だったら、そうなんじゃないですか」
「その会社、日本の食育を海外に伝える事業をこれから始めるそうです。で、人材を探してるってわけ」
「なるほど。それでアメリカから帰ってきたドロンパな僕に白羽の矢が当たったわけですか」
「ドロンパ?」
「オバケのQ太郎という昔のマンガにそういうキャラがあってね」

「ま、ドロンパとやらはどうでもいいんだけど…。というわけで松宮さん。ホントはもう少しイケメンがいいんですけど、この際、松宮さんでもいいです。…面接してみません?」
「えっ、もう面接?」
「ええ。じつは『株式会社 食育』のオフィスはすぐそこにあるんです」
「そ、そうなんですか」
「あたしはここで松宮さんの帰りを待っています。今から、行ってきて頂戴」

「今から行くの? ひとりで?」
「松宮さんが来ることは伝えてあります。なにか不都合でもあるかしら?」
「あ、いや、サンマ、いつ食べるのかな、と思って…」

◆◆◆

「わが社へようこそ。あなたが松宮さんですか。わたくし、『株式会社 食育』の人事担当役員、上野と申します」
「あ、ども。松宮です」
「しかし意外ですね」
「何がですか」
「もう少し高そうな服を着ている人を想像していたものですから」
「お、大きなお世話です」

「さて松宮さん。わが社は食育をする会社でして」
「はあ」
「日本の食育は世界でもユニークなものだと聞いております。たしか松宮さんのサイトにもそう書いてありましたね(※)」
「はあ」

  (※)http://www.shokuiku-pro.com/modules/tinyd1/index.php?id=1

「そのユニークな日本の食育を、世界に広める事業を始めようと考えております。松宮さんも、ない知恵をふりしぼり、微力を尽くしていただきたい」
「はあ。なんかムカつくんだけど、その言い方」
「何かおっしゃいましたか?」
「いえ、ひとり言です」

「さっそくですが、入社試験をいたします」
「入社試験?」
「そうです。わが社はスピードが命でしてね。すぐに試験を受けていただきます」
「そんなこと、聞いてないすよ。それに、誰も入社したいなんて言ってないのに、試験ですか?」
「またまた、ご冗談を。まあいいでしょう。よくある話です。ではさっそく試験です」
「いや、だから、誰も入社したいなんて言ってないっつーに」
「(無視して)おーい、金谷部長。試験を始めるぞー」

「どもども松宮さん、はじめまして。お名前はかねがね承っております。人事部の金谷です。本日はよろしくお願いします」
「はじめまして。あのー、いきなり試験というのはちょっと」
「心の準備がまだ、とか言うんですか? 松宮さんともあろう人が、もう。なにを僕の彼女みたいなセリフを言ってるんですか」
「は?」
「ささ、試験を始めましょう。しかし意外ですね」
「何がですか」
「もう少し、腹回りの小さい人を想像していたものですから」

◆◆◆

「では松宮さん。ここにいる金谷君と、わたくし上野が、これから松宮さんを試験いたします」
「はあ」
「まず第1問。日本の食料自給率はどのくらいでしたっけ?」
「なんだそんなことですか。日本の食料自給率はカロリーベースで4割、金額ベースだと7割です」

「もう1回言っていただけますか?」
「日本の食料自給率はカロリーベースで4割、金額ベースだと7割です」
「ではその言葉を、逆から言ってください」

「は?」
「ですからその文章を、後ろから言ってください」
「後ろから言うんですか?」
「そうです」
「えっと、すでりわ…とだすべ…くがんき…。言えるわけないじゃないですか」

「うーん、こんな簡単なのを逆から言えないようだと、戦力とは言えませんなあ」
「そんなの、食育と関係ないでしょう。あんたは言えるんですか?」
「ええ、言えますよ。すでりわななとだすーべくがんき、りわんよですーべーりろかはつりうきゅじうりょくしょのんほに」
「わ、言えた! なんなんだこの人」

「わが社の社員はみな、こうですよ。ほれ、金谷君、言ってごらん」
「はいっ。すでりわななとだすーべくがんき、りわんよですーべーりろかはつりうきゅじうりょくしょのんほに」
「わ、言えた! お、おかしいよ、この会社」

◆◆◆

「いよいよ最後の1問です」
「まだ2問目じゃねーかよ。もう最後なんですか」
「2問もあればじゅうぶんです。…では松宮さん。ここにカルタの読み札があります。すべて裏返しになっています。この中から1枚、引いてください」
「手品でもするんですか?」
「まあ、とにかく引いて」
「はあ」

「ではその読み札を表にして。そこに書いてある句を読んでください」
「読むんですか。えっと…、日本人いつの間にやらコメ忘れ」
「もう1回、読んでください」
「日本人いつの間にやらコメ忘れ」
「では問題です。この句はどこが作ったものでしょうか」

「は?」
「この句を作った団体を当ててください。これは利き酒ならぬ利きカルタと呼ばれているゲームです」
「そんなの分んねえよ」
「そうですか、分からないんですか。ふぅ」

「何だよ、その馬鹿にしたような溜息は」
「(無視して)金谷君。答えてみてくれ」
「はいっ。その句はxx農政局が作ったものです」
「正解。ほらね、松宮さん」

「何がほらねだよ。こんな試験やってられるか。いやいややらされて、それで不愉快にされちゃあ、たまんねえよ。もう帰る」
「この結果じゃ、しかたありませんね。金谷君、エレベーターまで送ってあげなさい」
「いらねーよ! てか、ここ1階なんだけど」

◆◆◆

「お帰りなさい、松宮さん。いかがでしたか」
「何してんすか、リチャード?」
「お約束のサンマを焼いていますが、何か?」
「駅前で? てか、どこからその七輪を持ってきたんだよ」

「で、面接はいかがでしたか」
「あの会社、おかしいすよ。人を馬鹿にしやがって」
「さてはコテンチンにやられましたね?」
「笑いごとじゃねえっつーに。てか、それを言うならコテンパンでしょ」

「笑ってはいません。あたし、松宮さんだったら、ぜったい簡単にクリアできると踏んだんですけど」
「それってどういうことだよ。あの会社、いつもあんな面接をするってことか?」
「そう。いつもああなの。なので、たまには落ちる人がいます」
「たまにはって。じゃあほとんどは合格してんのかい!」

お疲れさんでした。

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2008.10.04 00:42

呪いのバナナ 復習編

 

食べてもおいしい、松宮園生です。
(意味不明)

「呪いのバナナ」シリーズは、1年くらい
放置プレイしていました。
そろそろ再開したいと思います。

久しぶりですので、復習が必要です。
まずは主役の「メキマン」について、
簡単な説明を書きましたので、これを読んでくださいな。
  「メキマン再び」
   http://www.shokuiku-pro.com/production/2008/09/post_163.html

次は、放置したままの「呪いのバナナ」がそもそもどんな内容だったか、復習いたしましょう。
今回はこれまでの復習編です。
↓↓↓

◆◆◆

人気果物のバナナ。

バナナは東南アジアや中南米から日本に運ばれてきます。
その量、年間で数千万カートン。
「カートン」というのは、バナナを運搬するのに使う箱のことです。
両手で抱えるくらいの大きさの箱です。
毎年、何千万箱ものバナナが日本に入ってくる。

バナナは通常、未熟な「青バナナ」の状態で輸入されます。
黄色く成熟した「色バナナ」には、昆虫のミバエが卵を産みつけている恐れがあるからです。
それを避けるため、輸入するときは青バナナ。

でも皆さんがバナナを買うときは黄色くなっていますね。
どうしてかというと、輸入したあとに人工的に熟成させるのです。
これを「追熟」といい、エチレンガスの充満した密室にバナナを「漬けこむ」やり方で行われます。
そうすると、青いバナナが黄色くなる。

エチレンガスに頼らなくても、長いこと放っておけば勝手にいつかは黄色くなるんですが。
でもそれだと鮮度が落ちるし、輸入会社も早く売ってしまいたいから、人工的な追熟を施すわけです。

この、「追熟」を行う設備のことを業界用語で「ムロ」といいます。
輸入されたバナナのほとんどが「ムロ」に放り込まれることになっています。
バナナの輸入が増えるにつれ、多くの「ムロ」が必要になり、「ムロ」を経営する会社が戦後いくつも誕生しました。
その1つが、キトキト物産と呼ばれる会社です。

◆◆◆

僕は昔、テケテケ商事という会社に3年ほどいたことがあります。
そのテケテケ商事は、キトキト物産を買収して、自分たちの傘下に収めることを計画していました。
手始めに、僕に秘密指令が届きました。
「内緒でキトキト物産を偵察し、買収の準備をせよ」
という指令です。

あわせて辞令も渡されました。
「シークレット・バナナ事業部 ゴクヒ調査課 課長」
という辞令です。

さっそくゴクヒ活動を始めようとする松宮。
ところが、あのメキマンから脅迫状が送られてきます。
「松宮およびテケテケ商事は、キトキト物産から手をひけ。さもないと、そっちに行くよ」

「そっちに行くよ」
それのどこが脅迫なの?
へんな脅迫。
バカじゃねえの。

そう思っていたのですが、テケテケ商事の社員は
「メキマンがこっちに来る」
という情報に震えあがり、半数以上が会社を捨てて逃げてしまったのです。

◆◆◆

テケテケ社長はただちに居残った社員を集めて作戦会議をします。
作戦会議で決まったことは以下です。
* 社員はふだんどおりの仕事を続けること。
* 松宮(僕)はキトキト物産の調査を続けること。
* テケテケ社長はウルトラ警備隊とガッチャマンに救援を求めること。

メキマンのどこが恐ろしいしのかピンとこない松宮は、作戦会議で決まったとおりに、そのままスパイ活動を続けようとします。
キトキト物産は全国数か所に支店(ムロ)があるので、順番に偵察することにしました。
そうこうしているうちに、
「メキマンが横浜に上陸した」
という情報が入ってきます。

風雲急を告げるテケテケ商事。
しかしテケテケ商事の社長も頑固な人でした。
近づくメキマンの恐怖に怯えながらも、キトキト物産を買収する野望をあきらめませんでした。

横浜に上陸したメキマン。
上陸後、時速500メートルというゆっくりした速さで東京に向かっているようでした。
時速500メートルは、確かにゆっくりではあります。
ですが、本気になったカタツムリより、かなり速い。

◆◆◆

メキマンは何者なのか?
どこから来て、どこへ行くのか?
なぜテケテケ商事がキトキト物産を買収するのを止めさせようとしているのか?

謎だらけのまま、テケテケ商事とメキマンの対決の日が近づいてきました…。

◆◆◆

以上が、バナナを巡るドタバタ劇、「呪いのバナナ」のこれまでのあらすじです。

詳しく読みたい方は、以下をクリックしてください。
「呪いのバナナ その1」http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/05/1_9.html
「呪いのバナナ その2」http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/05/2_11.html
「呪いのバナナ その3」http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/05/3_7.html
「呪いのバナナ その4」http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/05/4_4.html
「呪いのバナナ その5」http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/06/5_3.html

それではいよいよ、シリーズ再開です。
続きをお楽しみに。

(以下次号)

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2008.10.02 07:49

しとちゃん PART-10

 

胸ポケットに希望を忍ばせて歩く男、松宮園生です。

この「しとちゃん」シリーズは、とある市役所につとめる
熱血食育マン、しとちゃんが主人公です。
しとちゃんは、ココリコの田中さんに少し似ています。

それはともかく、市の食育推進計画を任され、
獅子奮迅の青年しとちゃん。
そんなしとちゃんの活躍を、女心いっぱいの先輩職員の
目を通して描きます。

◆◆◆

(前回までのあらすじ)
県庁が仲裁しようとしたにも関わらず、チメシをめぐる両市の対立は収まりませんでした。
関係者が集まった会議は決裂。
しとちゃんに至っては、椅子を蹴って「あかんべえ」をする始末です。

  前回→ 「しとちゃん PART-9」
   http://www.shokuiku-pro.com/production/2008/09/part9.html

◆◆◆

椅子を蹴って「あかんべえ」だなんて。
こんな過激なコじゃなかったんだけどな…。
わたしは何となく、ほんの少しですけど、しとちゃんが遠くなったような気がしました。
でも負けません。

それにしても、オオゴトになっちゃいました。
お互いに競うのは良いことなんでしょうけど、心配なのは県庁。
だって、しとちゃんの放った「あかんべえ」で、県庁の面子は丸つぶれになったんですもの。
仲裁に入った人に、恥をかかせるのはあまりいいことじゃないですよね。

「県庁には謝ったほうがいいんじゃないの」
と、わたしは言いました。
しとちゃんも少しは反省していたみたいで、
「うん。イベントが終わったら謝りに行こうかなと思います」
「早いうちに行くほうがよくない?」
「いいえ」しとちゃんは首を振りました。「イベントを成功させることが先です。これは食育という名の戦争ですから」
言い切るしとちゃん。

せ、戦争だったの?

◆◆◆

さて、戦争というからには、ここで両軍の陣容を整理してみましょう。

<しとちゃんの市>

地理的位置:川の西側

イベント名:「チメシ食育フェスタ」
開催日:日曜

チメシの特徴:
* 米はアキアズマ
* 海苔は北野伊

歌:「シング・チメシ・ソング」(J-POP系)

キャラクター:チメちゃん(女の子)

<隣の市>

地理的位置:川の東側

イベント名:「食育チメシ祭」
開催日:土曜

チメシの特徴:
* 米はハルノウミ
* 海苔は中村崎

歌:「チメシ音頭」(和風)

キャラクター:チーメン君(男の子)

◆◆◆

これを表にまとめてしとちゃんに見せると、彼はとても喜びました。
「すごいすごい。とっても分かりやすいよ。ありがとう!」
興奮しています。

そんなにすごいものでもないんだけど…。

しとちゃんはわたしが作った表を、A3サイズに拡大コピーしました。
机の上に広げ、四隅をガムテープで固定します。
そこに、書き込みをしたり、ピンを刺したり、付箋を貼ったりするのです。
「こうすると、戦況がよく見えるんだ」
鼻の穴をふくらませて説明するしとちゃん。

戦況って、あんた…。
すっかり、司令官気取りじゃん。

しかし1時間もたたないうちに、しとちゃんはコーヒーをそこにこぼしてしまいました。

◆◆◆

この戦争、あっというまにマスコミの知るところとなりました。
新聞が面白がって書きたてます。

「チメシを巡って火花を散らす2つの市。どっちが元祖でどっちが本家なのか?」
「土曜 vs 日曜」
「これはハルノウミとアキアズマ、米のブランド同士の代理戦争だ」
「北野伊と中村崎、海苔メーカーの戦いにも注目!」
「歌の人気はシング・チメシ・ソングが優勢?」
「チメちゃんとチーメン君、恋人宣言か?」

わたしは溜息をつきました。
「好き勝手に、書いちゃってるわねえ。でもこれで、大いに盛り上がるわね。それに、歌はこっちのほうが優勢だって。良かったわねえ、しとちゃん」

しとちゃんは返事をしませんでした。
見ると、目に涙を浮かべています。
「どうしたの」
「いえ、なんでもありません」

言いながら、俯(うつむ)いて何やらブツブツ唱えるしとちゃん。
また始まりました。
心を落ち着けるために、食育基本法の条文を暗唱しているのです。
まるで読経です。

読経が終わると、しとちゃんは新聞紙のそのページをくしゃくしゃに丸め、屑かごに放り込みました。
なんだかあまり、機嫌がよくありません。
「どうしたの。しとちゃん、ちょっとヘンよ」

「僕は許していない」
「許していない? 何を?」
「恋人宣言なんか許していない!」吐き捨てるしとちゃん。「あんな男にチメちゃんをやれるか!」

花嫁の父親か、あんたは。

◆◆◆

そんなかんなで、運命の週末がやってきたのでした。

(つづく)

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