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2008.09.20 08:47

メキマン再び

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故郷は遠くにありて思うもの、松宮園生です。

このコラムを古くから読んでくださっている方から
メールをいただきました。
「メキマンの話はどうなっているんだ。最後まで
責任もって書け」
という内容でした。

痛いところを突かれて青ざめる松宮。
そういえば、長いことメキマンのことを書いてないなあ。

というわけで、久しぶりにメキマンの話を書こうと思います。

まずは復習編。
メキマンのついての基礎知識を…。

◆◆◆

現在の僕はフリーランスで仕事をしています。
が、数年前まで、中途採用でテケテケ商事というところでサラリーマンをしていたことがあります。

テケテケ商事は食品の貿易会社でしたが、なんだか地味なところで、腕章をつけて仕事をする社員がいっぱいいたのを覚えています。
あまりの地味さに、最初は戸惑いました。
「腕章は、テケテケ商事マンの基本ですよ」
先輩社員の下田さんが、悲しそうに微笑しました。

六本木でブイブイ言わせてた(←死語)僕が、腕章かよ。

でも僕も和を尊ぶ日本人の端くれです。
みんなに馴染もうと考え、「マイ腕章」を探しに伊勢丹メンズ館に行きましたよ。
そしたら
* ペイズリー柄(ロルフラーレン)
* ギンガムチェック(ガップ)
* 龍虎柄(アパクロンピー&フィッチ)
がありまして、さんざん悩んだ末、龍虎柄にしました。

そしたら、次の日から
「テケテケ商事のドラゴン」
「テケテケ商事のタイガー」
という獰猛なニックネームを社内で頂戴してしまいます。

しかし僕の小粒な仕事っぷりは早々にばれてしまいます。
「なんだ。中途採用だっつうからどんなに仕事のできる人間かと思ったら、全然ドラゴンとかタイガーとかとはかけ離れているやんか」
勇ましいニックネームも数日で立ち消えてしまいました。

代わりに、
「テケテケ商事のタツノオトシゴ」
「テケテケ商事のニャンコ」
というニックネームが定着いたしました。

◆◆◆

そのテケテケ商事、今どきIT環境の悪いところでした。
(例)
* パソコン(デスクトップ)は2人で1台
* OSは、さすがにウィンドウズ95ではありませんでしたが、98でした
* メモリ800メガ
* ハードディスク容量3ギガ
* インターネットには繋がっておらず、通信は社内LANのみ
貿易会社がこれかよ、とロビンソン・クルーソーも嘆く昭和ぶりです。

で、出社してデスクトップを立ち上げると、まずウィンドウズ98が立ち上がるわけですが、その後に
「メキマンが来る」
というメッセージが画面にでかでかと表示されるのです。

「メキマンが来る」

メキマン?

「メキマンって、誰ですか? ていうか、何ですか?」
僕は先輩社員の下田さんに聞きました。
若いころは相当のニキビ面だったんだろうなあ、と想像してしまう顔の下田さん。
その下田さんは「メキマンが来る」を数秒間みつめていましたが、
「お気の毒ですが、分かりません」
と残念そうにいい、張子の虎のように首をふりながら男子トイレに行ってしまいました。

ま、お気の毒と言われるほど気に病んでるわけじゃないんだけど。

◆◆◆

「メキマンが来る」

毎回、このメッセージがパソコンの画面に現れました。
どういう仕組みでそうなるのか分からないのですが、必ずそうなる。

これは僕にあてがわれたパソコンだけじゃなくて、社内の他のデスクトップも同じでした。

「これ、何とかならないんですか、消せないんですか。うざいんですけど」
と下田さんに文句を言うと、下田さんは「メキマンが来る」を数秒間みつめていましたが、
「お気の毒ですが、デフォルトでそうなっているので、何ともなりません」
と侘(わび)しそうにいい、張子の虎のように首をふりながら男子トイレに行ってしまいました。

デフォルトって、あんた…。

ちなみに、あばた顔(アバターではない)の下田さんは水産会社から転職してきた人です。
そのせいか、彼の腕章は、
「鰯」「鰹」「鰻」「鮪」「鯛」「鰊」
といった魚の漢字が散りばめられたものでした。

寿司屋の湯飲みじゃないんだから…。

話を戻します。

それにしても
「メキマンが来る」
って、誰が来るんだろう?
龍虎の腕章をした純真な僕は、悩みつづけました。

妙だったのは、社内の誰に聞いても教えてくれなかったことです。
というか、誰も答えられませんでした。

◆◆◆

メキマンの意味がわからないまま、日々が過ぎました。
3年後、僕はフリーになる決心をし、テケテケ商事を退職することになりました。
テケテケ商事に勤務する最後の日、僕は社内の主だった人たちに挨拶まわりをしながら、もう一度メキマンの意味を聞いてまわりました。
やっぱり誰も知りませんでした。

「皆さん、誰も気にならないんですか?」
送別会の席でその質問を投げると、役員に昇進した下田さんが、
「いやあ、まあ、気にはなってるんですけどねえ」
と淋しそうにいい、張子の虎のように首をふりながら男子トイレに行ってしまいました。

てなわけで、とうとう謎はとけないまま、僕のテケテケ商事での3年間は終わったのであります。

メキマンの謎は、いまでも解けていません。

ただ、ひょっとしたらメキマンというのは
「メキシコ産のマンゴー」
という意味なんじゃないか、と今では思うようになりました。

「メキマンが来る」
というのは、
「メキシコ産のマンゴーが日本に輸入される」
という意味なのかもしれません。

証拠はありませんが…。

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