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2008.09.12 01:19

食育クリニック赤坂事務所 料理教室編(3)

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松宮園生です。

(前回までのあらすじ)
「食育クリニック赤坂事務所」には、日々の食育活動に
いそしむ人たちが癒しを求めて集まってきます。
その1人、親子食育料理教室を営む木場サカコさん。
価格設定について、自分との戦いをするステップにやってきました。
ドクターとの会話が続きます。

(前回→http://www.shokuiku-pro.com/production/2008/09/2_31.html

◆◆◆

「もう一度整理しましょう。木場さんは、値上げをしたいのかしたくないのか、どっちですか」
「したいです」
「1万円くらいにしたい?」
「そうです」
「いつ値上げしますか」
「そ、それは…。少しずつ値上げして、ゆくゆくは1万円にしようと思います」

「木場さんは、値上げを躊躇しているようですね。躊躇する理由は、値上げしたら誰も来なくなるかもしれないからですか」
「はいそうです。値上げして、それでも皆さんに来ていただけるかどうか、自信がないんです」
「なぜ誰も来ないと思うんですか」
「それはですから、1万円って高いじゃないですか」
「なるほど。それではお聞きしますが、100カラットのダイアモンドを1万円で売ってたら、高いですか?」

「それは安いと思います」
「100カラットのダイアモンドが1万円というのは、安いわけですね」
「はい」
「木場さんの親子食育料理教室が1万円というのは、高いわけですか」
「高いんじゃないでしょうか」
「なるほど。木場さんの親子食育料理教室には、1万円の価値がない。ショボイ教室だということですね」

「それは違います! ショボくなんかありません」
「なぜ、ショボくないと言えますか」
「先生は、私のやっている教室がショボいとでも?」
「僕は木場さんの教室を見たことがないので、ショボイのかショボくないのかは判断できません」
「ごめんなさい。そうですよね。ついカッとなっちゃって」
「気にしないでください。あらためて聞きますね。木場さんの親子食育料理教室は、ご自分でショボイと思っていますか?」
「絶対にそんなことはないです」

「なるほど」
「私、親子連れの皆さんに喜んでもらおうと必死にやってます。料理教室に使う食材だって、高くてもいいからこだわったものを選んで買ってるんです」
「なるほど」
「それに、2年も続けてたら、いろんなコツとか、ノウハウも出来てくるんですよ」
「ノウハウ」
「ええ。たとえば、子どもに話しかけるように見えて、じつは親の心に食の大切さを印象づける話し方とか、あるんですよ」
「なるほど」
「そういうのって、一生懸命やってるから、出来てくることなんだと思うんです」

「なるほど。そんな木場さんの親子食育料理教室は、ショボイですか?」
「いいえ」
「では逆に、自信をもって人様に提供できるものですか」
「はい。自信、あります」
「1万円の価値、ありますか?」
「あります!」

◆◆◆

「じゃあもう1回、整理しましょう。木場さんの親子食育料理教室には1万円の価値がある。少なくとも木場さんには自信がある。間違いありませんか」
「間違いありません」
「1万円に値上げするのは、嫌ですか」
「嫌じゃありません」
「では、値上げしますか?」

「でも1万円だと、誰も来なくなっちゃう」
「1万円の価値がないから?」
「価値はありますよ」
「価値があるのに、価値通りの価格にしたら、誰も来ないんですか?」
「だって私が価値があると思ってても、相手の人が思わなかったら、意味ないじゃないですか」
「なるほど。つまり木場さんの親子食育教室に価値があると思っているのは主催者の木場さんだけで、他の人から見たら、価値がない、ショボイと」

「そんなはずはありません。だって自慢するみたいですけど、感謝の言葉をいただいたり、お礼の手紙をもらったりするんです。本当なんです」
「なるほど」
「もっと値上げしたらどうですか、と言われたりもするんですよ」
「評判が良いんですね」
「おかげさまで」
「木場さんの親子食育料理教室は、しっかりした内容になっている。1万円の価値がある。そういう自信はありますか」
「自信あります!」

「自信がある」
「はい。私の教室は、評判が良いですから」
「では、値上げしますか?」
「でも1万円だと、誰も来なくなっちゃう」
「自信がない?」
「自信、ありますよ」
「自信ある。自信ない。どっちなんですか」

「そ、それは…」

「先生」アシスタントさんの眠たげな声。「そろそろ次の患者さんに…」
「おっ。もう時間ですか」聴診器をしまうドクター。
「すみません、長々と」立ち上がる木場サカコさん。「じゃあ先生、明日もまた、よろしくお願いします」
「お大事にー」

窓口で薬をもらい、お金を払い、帰ってゆく木場サカコさんなのでした。

(木場さんのケース、終わり)

 

 

 

 

 

 

 

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