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2008.06.10 22:59

地産地消ラプソディ その参

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松宮園生です。

前回までのあらすじ)
体内に強力な地産地消の血が流れている佐藤塩太。
食育ロボット、アンドリューの特訓によりその血が
目覚めました。
地産地消不毛の地、東京に見切りをつけた彼は、生まれ
故郷のX県に帰って地産地消をすることに決めたのでした。

◆◆◆

「よおし、地産地消するぞ! うりゃあー」
意気込んで故郷に帰った塩太。
きれいな空気にご満悦です。

さっそく地産地消ショッピングをしてみると、なるほどさすがに地元産の農産物が多い。
思わず顔が、ほころびます。
頬に赤みがさします。

しかし問題がないわけでもありませんでした。

X県の農業はそこそこ盛んでしたが、農産物の多くが東京や大阪に運ばれていたのです。
果物なんかは、海外にまで輸出されていました。
東京や大阪、香港や上海など、大都市の生活者が高いお金を出すので、形のよいものや味のよいものがそっちに流れていくのでした。

それを知った塩太は大激怒。
地産地消主義者として、見過ごすわけにはいきません。
「くそー。この状況を、どうしてくれよう」
気持のおさまらない塩太。

おりしも、知事選が近づいていました。
これだ。
地産地消を極めるため、塩太は知事に立候補することを決意しました。

「地産地消の佐藤塩太です。わたくしが当選したあかつきには、地産地消をします。地産地消の佐藤塩太。佐藤塩太の地産地消。ぜひ皆様の地産地消な一票を、わたくしにください」
という謎の選挙演説が始まりました。
味方もいないし資金もない。
あるのは地産地消の情熱のみ。
音響機器を抱えて訴えまくる毎日です。

それがなんと、当選してしまいます。
塩太の体に流れる強力な地産地消の血が、奇跡を生んだのでしょうか?
地産地消の血は、侮れません。

知事に就任した塩太は、さっそく県境を封鎖し、県の農産物が県外に出るのを禁止してしまいました。
したがって、果物が国外に出るのも不可能になりました。
「県民の皆さん」塩太は政見放送で熱く語ります。「地産地消を追及しましょう。県産の作物は皆さんのものです。東京や大阪のやつらに取られてしまうのはおかしい。ましてや外国に売られてしまうなんて、許せません」

県民、大喝采。
これまで、品質の特上なものは高値で東京・大阪・外国に売られていたので、県民はそれ以下のものしか買えませんでした。
ところが、この県境封鎖により、これまで手に入らなった特上品を安値で買えるようになったのですから、大喜びなわけです。
「地産地消」
「地産地消」
のシュプレヒコールが上がります(どこに?)。

◆◆◆

しかしこれで問題が解決したわけではありませんでした。

今度は農家が激怒します。
農家からすれば、大都市や海外に売れば高いお金になるのに、それを我慢して地元で売らなければならないのです。
収入が減ります。

ただでさえ苦労して農業をしているのに、収入まで下がってはたまりません。
しかも、そんな政策をとりやがったのは、こないだまで東京でサラリーマンをしていた、青っ白い若造なのです。
わけのわからぬ政治をしやがって。
農家たちは顔を真っ赤にし、塩太知事のところに怒鳴りこみました。
(それを言うなら佐藤知事だろ)

「封鎖を撤回しろ」
牙をむきだして詰めよる農家に向かい、若造の知事は平然として言いました。
「収入を減らしたくないんなら、値上げすりゃいいじゃないですか。地産地消だって、値上げを禁じているわけじゃなし」

パンがなければケーキを食べればいいじゃない、というセリフを吐いたどこかの国の王妃みたいです。
火に油をそそいでどうするのか…。

一触即発になるかと思ったら、農家の表情が緩みました。
「なるほど、それもそうか。ははははは。さすがは地産地消」
顔を見合せて、笑いだします。

コントだったら、ずっこける場面です。

あれほどの剣幕だったのに、あっさり納得した農家さんたち。
勇躍してさっそく特上品の出荷価格を値上げします。
よかったよかった。

しかしこれで問題が解決したわけではありませんでした。

値上げしたら、売れなくなったのです。
今までどおり県内で売られていたものは、今までどおりの価格でしたので、今までどおりの売れ行きでした。
ですが、これまで大都市や海外に出ていた特上品は、値段が高いために売れ残りました。
売れ残ったあげく、スーパーマーケットの店頭で閉店間際の半額セール商品になってしまいました。
とくにマーケティングの工夫をしたわけでもないので、単に高いという理由で県民から敬遠されてしまいました。

「知事にだまされた…」
「なにが地産地消だ…」

ふたたび怒り心頭に達した農家さんたち。
こうなったら実力行使しかありません。
今度は封鎖を突破しようと、いっせいに県境を襲いはじめます。

ど、どーする塩太?
地産地消の誓いを、守りきれるのか?

(次号に続く)

◆◆◆

ところで、こんなに「地産地消」という単語を連発したにも関わらず、僕のパソコンはまだ一発変換をしてくれません。
こんなのが出ます。

「地産致傷」

やばいよ、これ。
そろそろ学習してほしいんだけどな…。

 

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