松宮園生です。
(前回のあらすじ)
食育ロボット、アンドリューがメタボセンサー(メタボ発見器)
を内蔵し、改造ロボットとなって登場。
メタポリスの新兵器としてメタボ狩りを始めます。
迫害を恐れた市民はアンドリュー・レーダー(アンドリュー探知機)
を開発し、食育ロボットの魔の手を逃れようとしました…。
◆◆◆
秋葉原でアンドリュー・レーダーを手に入れた僕。
メタルボディの、洒落たデザインです(メタボだけに…)。
レーダーにはバイブレーション機能が備わっており、アンドリューが近づくと、ぶるぶる震えて教えてくれます。
値段は大奮発の、42,000円。
消費税込みです。
高かったけど、これでひと安心。
すっかり図にのった僕は、青山通りを闊歩していました。
カナダ大使館で打合せがあったのですが、天気がよいのと、時間に余裕があったので、地下鉄に乗らずに青山通りを歩いていたわけです。
そのとき。
ぶるぶるぶるぶる。
ぶるぶるぶるぶる。
反応するアンドリュー・レーダー。
さっそく警戒態勢です。
あわてて見回すと、表参道の交差点付近をアンドリューが疾走しているのが目に入りました。
誰かを追いかけているようですが、僕ではないようです。
視線をずらすと、新橋系サラリーマンが人混みをかきわけながら必死の形相で逃げているのが分かりました。
カツラなのでしょうか、風に当たった髪の毛が不自然な方向に流れています。
なんだ、自分じゃなかった。
ほっとする松宮。
◆◆◆
ほっとしたものの、じつは改造アンドリューは1体だけではないのです。
他にもいるかもしれません。
気を休める余裕はないのです。
アンドリュー・レーダーは、アンドリューの存在を知らせてくれるだけで、撃退してくれるわけじゃないし。
くわばらくわばら(←死語)。
危険だから、外を歩くのはやめよう。
目の前に地下鉄銀座線の入口があったのをよいことに、僕は急いで階段を下りました。
カナダ大使館は、地下鉄銀座線でいうと、赤坂見附駅と青山一丁目駅のあいだにあります。
どちらで降りてもよかったのですが、なんとなく赤坂見附で下車。
行き交う人の群れに押し流されるように、改札を出ます。
そこで異変に気がつきました。
ジャケットの胸のあたりがやけに軽いのです。
内ポケットに手をつっこんだ僕は、
「しまった」
と思わず口走りました。
財布がありません。
落としたのか。
スリにやられてしまったのか。
とほほ(←死語)。
ついてねえ…。
いつまでも嘆いてはいられません。
たしか地上に交番があったはずです。
僕は階段を駆け上りました。
すると、地上にアンドリューがいました。
◆◆◆
正確にいうと、アンドリューは50メートル先にいました。
50メートルというのは、彼のセンサーの「射程距離内」です。
もっと深刻な問題は、アンドリューがこっちをじっと見ていることでした。
目が合ってしまっています。
アンドリューがおもむろに歩き始めました。
まっすぐ、僕に向っています。
間違いありません、僕を狙っています。
目は点滅し、耳からは蒸気が噴出していました。
アンドリューの目が点滅し、耳が蒸気を噴き出す。
「ハイホーネン現象だ」
僕はつぶやきました。
ハイホーネン現象とは…。
獲物をみつけたアンドリューが、見せる現象です。
この現象が起きたら、人類に未来はないのです。
…って、解説している場合か!
どんどん接近するアンドリュー。
いまさら逃げられない。
全身に冷気が走ります。
ど、どうしよう。
パニックになるまいと必死で自分に言い聞かせながら、アンドリューをかわす方法を考える僕。
しかし何の有効な知恵もわかないまま、時間が秒単位で消えていきます。
もはやアンドリューとの距離は10メートル。
その手に握られているメタボメジャーに、太陽光が鋭く反射して、本物の剣のように見えました。
(以下次号)