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2008.05.04 19:25

アゴヒゲ その5

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松宮園生です。

前回までのあらすじ)
このブログに何度か登場している「アゴヒゲ」
という人物。
稼ぎの悪い「ダメビジネスマン」からお金を巻き
上げようと奮闘する、フリーランスのセールス
マンです。
巻き上げようとするアゴヒゲも情けないけど、
アゴヒゲに目をつけられるダメビジネスマンも
情けない。
僕は以前、この「アゴヒゲ」の標的にされていました。

アゴヒゲは、「新世紀エバンゲリ食品研究会」という団体も標的にしていました。
この団体、人間の遺伝子研究が進むと、
「遺伝子からみて、体によい食べもの」
「遺伝子からみて、体によくない食べもの」
が分かるんじゃないか。
そうなったら、その研究結果をもとに、体によい食べものを開発して売ろう。
という団体です。

アゴヒゲはこの研究会のメンバーだったのですが、どうもその、トンチンカンな発言が多いらしく、他のメンバーから煙たがられていました。
「誰かにアゴヒゲ退治をしてもらおう」
そう考えたメンバーたちは、松宮園生に白羽の矢をたてたのです。
依頼を受けた松宮は、「食品魔術研究所」のサマンサタバサ所長を、アゴヒゲと対決させようと考えました。

松宮園生の入れ知恵により、「新世紀エバンゲリ食品研究会」は、サマンサタバサ所長を顧問に迎え入れることを決めました。
しかし、当のサマンサタバサ氏が OK したわけではありません。
そこで、研究会のメンバーが「顧問になってください」というお願いをするために、「食品魔術研究所」に出向くことになりました。
誰が行くか。
研究会の会長は、アゴヒゲにその役を担ってもらうことにしました。

「だんだん、オレも頼られる存在になってきたな」
勘違いするアゴヒゲ。
立派な役を与えられて上機嫌です。
さっそく、「食品魔術研究所」にコンタクトをしたようです。

◆◆◆

オフィスで居眠りをしていると、電話が鳴りました。
「おう、松宮」アゴヒゲの声でした。「どうだい、相変わらずヒマかい」
「忙しいので、切ります。さいなら」
「あわてるな。ちょっと待てよ。『山鯨(やまくじら)』って知ってるかあんた?」
「イノシシのことだろ」
「なんだ知ってるのか。それならなおのことだ。『食品魔術研究所』のサマンサタバサ先生って知ってるか?」
「知ってるけど」
「今から会いに行く。あんたも来いよ」

アゴヒゲは、僕が陰で糸を引いていることを知らないはずです。
偶然、声をかけてきたようです。
まあそれならそれで、いいでしょう。
僕はアゴヒゲに同行することにしました。
アゴヒゲが、サマンサタバサ所長にコテンパンにされるのを見よう。

「食品魔術研究所」は学園都市、筑波にあります。
アゴヒゲと僕は秋葉原から「つくばエクスプレス」に乗り、終点の筑波で下車。
タクシーで10分ほど走ったところに、その建物はありました。
前も書いたように、そこの所長さん、人呼んで(←死語)サマンサタバサ氏、はクイズ魔でした。
クイズに答えられないと所員はクビ、来客はお茶も出さず追い出す、という人物だったのです。
アゴヒゲは、これに耐えられるか?

建物に入ると受付嬢がいました。
「新世紀エバンゲリ研究会のアゴヒゲと申す者。このあいだクイズに正解したので、サマンサタバサ所長にお会いしたい」
すると、受付嬢が言いました。
「次のクイズを出しますので、見事正解していただいたらおつなぎいたします。日本で初めて、食育という言葉を使った人は誰でしょう」
「明治時代の陸軍漢方医、石塚左玄先生です」
落ち着いて答えるアゴヒゲ。
「お見事です」と受付嬢。「ではご案内しましょう」

「さんざんトレーニングしたからな」
アゴヒゲが、得意そうにつぶやきました。

◆◆◆

サマンサタバサ所長は見るからに学者、という風貌の人でした。
「用件を聞くまえに、クイズだ」ソファに腰掛けるなり、所長が言いました。「まずあんたに聞く」
「えっ、僕が答えるんですか?」
「そうだよ。まずあんたから答えなさい」
「い、いえ」僕は言いました。「自分はこの人のお供で来てるに過ぎません。クイズなら僕ではなくこのアゴヒゲに出してください」
「勝手なことを言うな。2人で来たら、それぞれがクイズに答えるのがここのルールだ」
「はあ…」
「ではクイズ。日本の外食産業の売上規模は、全部で何兆円くらいになるか」
「えっと」天井をみながら思い出そうとする松宮。「た、たしか、年間25兆円から30兆円のあいだだと思いますが…」

「まあいいだろう」サマンサタバサ氏は今度はアゴヒゲに向きなおりました。「次はあんた。世界最大のバナナ生産国はどこだね」
アゴヒゲはわが意を得たりという顔で「バナナ輸出国ということならエクアドルですが、バナナ生産国ということならインドです。インドのバナナ生産量は年間1500万トン。2位のエクアドルの倍です」
「ふん。よく勉強しておるな」所長は卓上の内線電話を手にしました。「あーもしもし。わしだが。来客がクイズをクリアしたのでな、お茶を持ってきてくれ」

お茶が運ばれてきました。

「クイズはこれで終わりというわけではないからな」所長はおごそかに言いました。「打合せ中にもまだまだ続けるぞ。油断しないように」
アゴヒゲは「望むところです」と答え、僕は「えーっ」と言いました。

アゴヒゲに同行してきたことを、僕は後悔していました。
もともと、

  アゴヒゲがクイズに答えられない
  ↓
  サマンサタバサ所長に顧問をお願いするというミッションが失敗する
  ↓
  アゴヒゲは責任をとって新世紀エバンゲリ研究会を脱退する

ということを期待して仕組んだ陰謀だったのですが…。

同行してきた僕にまでクイズ攻撃があるとは、計算外でした。
もし、ミッション失敗の理由がアゴヒゲではなく僕だった場合、アゴヒゲは研究会を脱退しないでしょう。

松宮、危うし!

(以下次号)

 

---------------お知らせ---------------
オフ会をしますので、よかったら来てください。
「食の資格について語ろう」
http://www.shokuiku-pro.com/modules/tinyd0/index.php?id=14

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