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松宮園生です。
(前回までのあらすじ)
有識者を集めたら各自が好き勝手を主張するばかりで
収拾のつかない食育推進会議。
いまいち協力的でない市長。
やっと念願かない食育の仕事ができると喜んだサワヤカ市職員のしとちゃんでしたが、多難な日々が続きます。
この「しとちゃんシリーズ」では、しとちゃんに母性本能をくすぐられた先輩職員を通じて、主人公しとちゃんの苦闘の日々をお伝えします。
◆◆◆
勇躍して市長室に飛び込んだしとちゃんでしたが…。
1時間後、職場に戻ってきたしとちゃん。
肩が、落ちています。
ココリコの田中さんに似ているしとちゃんは、ひょろっと背が高くナデ肩なので、肩を落とすと1本の棒のように見えます。
「ダメだったのね」
わたしが声をかけると、しとちゃんの目から涙がこぼれました。
わたしには何となくこうなるような予感がしていました。
用意しておいたハンカチで、そっとしとちゃんの目を拭います。
そのために思いきり背伸びしなければなりませんでした。
どんだけ背が高いねん。
心を落ち着けるためなのか、しとちゃんはなにやらぶつぶつ唱えはじめます。
目をつむって、必死につぶやいています。
よく聞くと、食育基本法の条文を、唱えているのでした。
読経かい。
ぶつぶつ唱えるのが終わったころ、わたしはセント・ジョンズ・ワートのお茶を出しました。
セント・ジョンズ・ワートはハーブの一種で、気持ちを整えるのに役立つと言われています。
お茶を一息に飲み干すしとちゃん。
勢いあまって、むせかえります。
げほげほげほ。
市長室で起きたことを、しとちゃんが話しはじめたのは、その咳が治まってからでした。
◆◆◆
「アポイントなしで来るなと言ったろう。一介の職員が何様のつもりだ。…ったく」
さっそく市長に叱られるしとちゃん。
しかし、市長の機嫌じたいはさほど悪くありませんでした。
プライベートでなにか嬉しいことがあったのでしょうか。
機嫌がよい証拠に、市長はしとちゃんをすぐには追い返しませんでした。
「まあ、一介の職員でこんなことを平気でするやつは、しとちゃんくらいのもんだ。で、何の用だ」
しとちゃんはニコニコして答えました。
「食育推進計画の叩き台を作ったので、持ってきました」
「食育推進計画? ああ、あれ」
気のない返事の市長にしとちゃんが書類を手渡すと、市長は眉をしかめました。
「しとちゃん、キミね。オレに見せる書類に手書きはないだろう、手書きは」
「すぐに見て欲しかったんです」
「ふん…。まあいい」
しかし、市長の気のない態度は書類を見ても変わりませんでした。
「これ全部、やるというのか」
「食育推進会議で出た意見ですから」
「なにが食育推進会議だ。オバさんたちの井戸端会議だろ」
「は?」
「あははは。しとちゃんだって、そう思うだろ」
返答に窮するしとちゃん。
「ふうん」書類を眺めながら市長は言いました。「なあ、しとちゃん。オレは決して国や県の食育推進計画をバカにしているわけじゃないんだ」
「はあ」
「しかしながら、問題がある。分かりやすく説明するために、順番にいこう。最初に『農業体験』って書いてあるな」
「はい」
「市には『農業推進計画』というのがすでにあってな、都市農業を守るために農政課で進めている。この計画のなかに、子ども向け農業体験も、大人向け農業体験も、親子農業体験も、全部ある」
「すでに、行われているということですか?」
「そのとおり。2番目に『料理教室』って書いてあるな」
「はい」
「市の『農業推進計画』には料理教室も含まれている。地元の農産物を使った、地産地消型の料理教室というわけだ。子ども向けも、大人向けも、親子のも、全部やってる」
「すでに、行われているんですね」
「そのとおり。3番目に書いてある『メタボ教室』もそうだ。市には『健康市民21』という政策が以前からある。とうに一昨年からメタボ教室もやっている」
「すでに、行われているんですね」
悲しそうな表情のしとちゃん。
市長は続けます。
「市内の小学校の給食も、市役所の食堂も、以前から自給率を高める活動をしている。『農業推進政策』の一環だからだ」
「すでに、行われているんですね」
「キャラクターだってある。農業を応援する『アグリちゃん』と、健康を応援する『ゲンキジャー』だ。農業ソングも作ってあるし、健康ダンスもある。いまさら新しくキャラクターだの、歌だの、踊りだのを作ったら、市民が混乱するぞ」
「はあ」
「ゲンキジャーは、あちこちで『朝ごはんを食べよう』『早寝早起きをしよう』というキャンペーンをしている」
「何もかも、すでに行われているんですね」
「子育て支援だってそうだ。食育推進会議の連中に言われなくったって、市の保健課でやっとる」
「そうなんですか…」
「分かったか?」市長はしめくくりました。「要するに、いまさら食育推進計画のために、新しくやることは特にない。分かったら、いい加減オレの邪魔をするのをやめて、ぼちぼちデスクに戻りたまえ」
◆◆◆
以上が、しとちゃんの話でした。
「そうなの。食育推進会議の人たちに言われなくても、ちゃんと手を打ってあったのね」わたしは言いました。「市長って、案外、しっかりやっているのね」
「そうなんです。僕もそう思いました」
「でもどうするの? だからって、何もしないわけにはいかないんでしょ?」
「それもそうなんです。こんな話、食育推進会議の人たちにそのまま言うわけにはいかないし、県庁からも怒られちゃうし」
「困ったわねえ」
「困りました」
「どうするの?」
わたしたちは向かい合ってコーヒーを飲んでいましたが、そのとき目があいました。
そのままじっと、お互いを見つめたまま、時間が過ぎました。
沈黙を破ったのはしとちゃんでした。
「それでも僕は、食育がしたいんです」
「そうよね。しとちゃんは、食育がしたくて公務員になったんだものね」
「絶対、食育をやってみせます」
そういうと、しとちゃんは興奮して立ち上がりました。「僕は負けません。食育、やってみせます!」
「食育するぞ!」
大声で叫び、歩きだすしとちゃん。
周囲の人が驚いているのを知ってか知らずか、
「食育するぞ。食育するぞ!」
と、連呼しながら、まるで某国の軍隊パレードのような足取りでエレベーターのほうに去っていきました。
(以下次号)
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しとちゃんにはひきつづき頑張ってもらうとして、オフ会のお知らせです。
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松宮園生です。
(前回までのあらすじ)
念願の食育推進担当になった市役所職員のしとちゃん。
さっそく食育推進会議を開き、食育にやかましい有識者を
集めます。
しかし集まった有識者たちの実際やかましいことといったら、
予想を超えるものでした。
しかも主張することがバラバラで、整理がつきません。
加えて、「食育の推進」にあまりというかまったく協力的ではない市長…。
今回で5話目になる「しとちゃん」シリーズ。
しとちゃんに思いを寄せる優しい先輩職員の目を通して、しとちゃんの苦闘を描きます。
◆◆◆
と、書いたものの。
このシリーズ、久しぶりですので、少々解説しましょう。
3年前に食育基本法という、ちょっと分かりにくい法律ができました。
どう分かりにくいかというと…。
ふつう法律を破ると罰則がありますよね、罰金とか懲役とか。
食育基本法にはそれがないのです。
なぜかというと、食育基本法はおもに「国」や「自治体」を対象にした法律であって、一般国民を相手にしたものではないからです。
というわけで、この法律ができたからと言って、われわれ国民には何の義務も生じません。
義務が生じるのは国と自治体です。
国と自治体は、食育基本法の定めにもとづき、「食育推進計画」というものを作り、それを実行しなければならないのです。
まず国が、食育推進計画を作りました。
国といっても漠然としていますが、具体的には内閣府と、関係する各省庁(文部科学省・厚生労働省・農林水産省)がそれぞれ作りました。
http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/04/1_1.html
http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/04/2_1.html
http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/04/3.html
http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/05/4_1.html
で、すでにこのプロセスは終了しています。
次に、都道府県が食育推進計画を作りました。
国(各省庁)が作った計画に気を遣いながら、できるだけ矛盾がないように作ったようです。
このプロセスもほぼすでに終了しています。
http://www8.cao.go.jp/syokuiku/work/index.html
次に、市町村が食育推進計画を作る番です。
自分たちが所属する都道府県の計画に気を遣いながら、なるべく矛盾しないように頑張るわけです。
現在はこのプロセスが行われています。
今日までに計画を作り終わった市町村もありますし、策定中の市町村もありますし、そもそもまだ何にも手をつけていない市町村もあります。
http://www.shokuiku-pro.com/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=1265&forum=17&post_id=1588#forumpost1588
食育基本法には、
「食育推進計画を作るステップ」
も書いてあります。
そこに書かれたステップにもとづいて、作らなければなりません。
どういうステップかというと。
1) まず、有識者を集めて「食育推進会議」というものを作る
2) その「食育推進会議」が、食育推進計画を練る
というステップです。
そんな事情により、市役所につとめるしとちゃんは、市内の有識者を集めて食育推進会議を作り、食育推進計画をまとめようとして
「あーでもない」
「こーでもない」
とやっているわけであります。
◆◆◆
もうひとつ、久しぶりですので解説します。
「しとちゃん」は本名ではありません。
ニックネームです。
なぜ「しとちゃん」と呼ばれているのかは謎に包まれています。
一説によると、しとちゃんは「新世紀エヴァンゲリオン」のマニアだそうで。
彼のニックネームは、宇宙から次々飛来する未知の巨大生物に由来するそうです。
「使徒ちゃん」
ということですね。
あくまで一説ですが。
解説はここまでとしましょう。
ここから先は、「しとちゃんに思いを寄せる優しい先輩職員」に、バトンタッチします。
◆◆◆
近頃のコンビニには、男性用のウェット・ティッシュが売ってたりします。
職場で徹夜してしまったしとちゃんの顔を、わたしはそのウェットティッシュで拭きました。
「さっぱりした?」
「さっぱりしました」
「じゃあ、歯を磨いてきたら? はい、歯ブラシと歯磨き粉」
歯ブラシと歯磨き粉を受けとり、微笑するしとちゃん。
テーブルの上に散らばった書類のひとつを指さし、「これ、見てくれますか? 歯を磨いてくるあいだ、読んどいてください」
指さされた書類には、しとちゃんが考えた食育推進計画が手書きで書かれていました。
* 子ども向け農業体験を実施する
* 大人向け農業体験を実施する(市役所職員は全員参加)
* 親子農業体験を実施する
* 子ども向け料理教室を実施する
* 大人向け料理教室を実施する(市役所職員は全員参加)
* 親子料理教室を実施する
* メタボ教室を実施する(市役所職員は全員参加)
* 郷土の食文化を見直す教室を実施する(大人向け)
* 郷土の食文化を見直す教室を実施する(子ども向け)
* 市内の学校給食の食料自給率を高める
* 市内の学校給食で、献立表に栄養表示をすることを義務化する
* 市役所の食堂の食料自給率を高める
* 市役所の食堂で、献立表に栄養表示をすることを義務化する
* 地元野菜のキャンペーンをする
* 地元雑穀のキャンペーンをする
* 地元産魚介類のキャンペーンをする
* 牛乳のキャンペーンをする
* お茶のキャンペーンをする
* 朝ごはんのキャンペーンをする
* 早寝早起きのキャンペーンをする
* 市の食育キャッチフレーズを作り、市役所の屋上から垂れ幕を下げる
* 市の食育マスコット・キャラクターを作り、お披露目パーティーをする
* 市の食育ダンスを考案し、市役所職員は全員踊れるようにする
* 市の食育ソングを作り、CDを配布する
* 市の地産地消食育カルタを作り、市内の小学校で遊ぶ
* 市の食育紙芝居を作り、鑑賞会を開く
* 子育て支援をする
* 市民の健康増進のためのプランを作る
* 市内の農業を推進するためのプランを作る
「どうですか?」
洗面所から戻ってきたしとちゃんが言いました。
わたしはしとちゃんに「砂糖入り、ミルクなし」のコーヒーを渡しました。
それがしとちゃんの好みなのです。
「よく分からないけど、なんか、すごく『あれも』『これも』って感じね」
「そうですね。都道府県とか、よその市町村なんかも大抵、こんな感じなんで…」
「それに、1つ1つは、そんなに目新しくないというか…。よその自治体とあまり変わらないんじゃない? ごめんねしとちゃん。言い過ぎたかしら」
「いや、いいんです。ぜんぜん大丈夫。僕もそうだなあって思ってるし。会議で言われたことをまとめたら、必然的にこうなっちゃって」
「あらそうなの。じゃあこれでいいのかな」
「でもね、しとちゃん」わたしは続けました。「本来これって、食育推進会議のメンバーの人たちが作る書類なんじゃないの」
「うん、そうなんです」
「しとちゃんは食育推進会議のメンバーじゃないわよね」
「そうなんです。世話役ではあるけど」
「酷(ひど)い人たちね、みんな意見をいうだけで、まとめる作業はしとちゃんに押しつけて…」
「うん」しとちゃんは爽やかに微笑みました。「でも僕は世話役だし。やりますよ」
「まとめる仕事は食育推進会議の議長さんがするべきなんじゃない。しとちゃんじゃなくて」
「でも、僕もこの仕事、きらいじゃないから」
「そうかもしれないけど、毎晩、徹夜なんて、体こわしちゃう」
わたしは涙ぐみました。
しとちゃんはそれには答えず、コーヒーをぐいっと飲みほし、書類を抱えました。
「とりあえず市長に見せてきます。こんどこそ褒めてもらうんだ。行ってきまっす!」
言うが早いか、彼の姿はエレベーターの中に消えてしまいました。
びゅん! といった感じです。
数秒遅れて、一陣の突風がわたしの髪をまきあげ、卓上の書類を吹き飛ばしていきました。
(以下次号)
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松宮園生です。
今回は他愛のない話です。
ある主婦の方からこんなメールがきたので紹介します。
◆◆◆
松宮先生こんにちは。
去年、先生のセミナーに参加させていただいた筒綴千鶴
(つつつづりちづる)といいます。
舌をかみそうな名前ですみません。
危険なので無理に発音なさらないでくださいね。
10歳の息子がいます。
ショクイク宣言事務局というところが作文を募集してます。
ご存知でしょうか?
「ショクイク宣言2008!全国食育作文コンテスト」
というコンテストです。
コンテストのテーマは「楽しい食卓」だそうです。
息子の学校で、このコンテストに応募することになりました。
なんでも、賞品とか賞金とかがけっこういいらしくて。
優勝したら図書カード10万円分+旅行券10万円分なんですよ。
図書カードは息子にあげるとして、旅行券10万円ですって。
旅行券10万円。
どこ行こうかしら。
松宮先生はアフリカに住んでたことがあるんですよね?
アフリカって10万円で行けますか?
でも息子が
「図書カードも旅行券も両方、自分のものだ」
と親不孝なことを言い張りますものですから、先日から息子とは険悪な状態になっています。
困った息子でホント、すみません。
なぜ謝るのか自分でも分かりませんけど…。
たいへん悔しいものですから、自分も作文を応募することにいたしました。
食卓がテーマですもん、息子より自分のほうがいいものが書けるにきまってます。
ただ、審査基準というのを読みますと、
「優等生的な内容より、新鮮で勢いのある発想を評価します」
と出ておりました。
新鮮で勢いのある発想じゃないとダメみたいなんです。
松宮先生、大丈夫?
じゃなかった。
自分が書くんですよね。
ようござんす、作文は自分で書いたから、先生には添削してもらうことにします。
新鮮で勢いのある発想になっていますでしょうか、どうでしょうか?
もちろん、食育っぽさが不可欠なのは言うまでもありません。
自分が書いた作文はこれです。
↓↓↓
「楽しい食卓」 作:フードマイレージ千鶴
わたしはとっても早起きである。
なんてったって、前の日の朝に起きてしまうのだから。
起きたら家族でラジオ体操をする。
わんこのツツノスケの散歩もする。
ひとっ走り隣の県まで行き、帰ってくるのだ。
それから、家族みんなで手を合わせて、大声で「いただきまーす」と叫ぶ。
もともと声の大きな家系である。
「いただきまーす」の声に、ツツノスケが驚いてわんわん吠えたりする。
隣の家が、
「毎朝うるせーよ、お宅」
と文句を言ってきたりもする。
でもいいのだ。
これが我が家の決まりごとなのだ。
「いただきまーす」
家が震えて天井から埃が落ちるくらいの声で叫んだら、いよいよお箸をきちんと持って、朝ごはんスタート。
よくかんで食べなくてはいけない。
わたしの家族は皆、80回以上、よくかんで食べる。
それに、三角食べである。
必殺、三角食べ。
主食はなんてったって玄米だ。
玄米に雑穀を混ぜる。
そのほかは、豆腐とワカメの味噌汁(メイラード反応たっぷりの手作り味噌が自慢である)。
インゲンの胡麻和え。
うるめいわし。
海苔。
こんな朝ごはんなのだが…何か?
しかし、もくもくと黙って食べるわけではない。
順番に、その日の朝ごはんをお題にネタを披露してみんなを笑わせることになっている。
必死でネタを考えながら、家族のネタに笑わなければならないので、頭脳フル回転の食卓である。
最後にまた、家族そろって大音声で「ごちそうさまー」と叫ぶ。
その声に驚いて、近くを通りかかったクルマが電柱にぶつかる音がする。
でもいいのだ。
テレビはつけないのだから、電柱が傾いて停電になってもへっちゃらなのさ。
これが、地産地消あふれる我が家の食卓である。
↑↑↑
こんな作文です。
先生、どうでしょうか?
「勢い」と「食育っぽさ」をビンビンに意識したんですけど。
勢いのある感じ、出ているでしょうか?
食育っぽいでしょうか?
ペンネームも、食育っぽいでしょ。
〆切は今月末なんですって。
5月31日 消印有効です。
では添削よろしくね。
時間がないので、今日中にお返事ください。
待ってます。チュ。
◆◆◆
こんなメールです。
たいへん当惑しました。
「まいったな。ひどい勘違いだ」僕はつぶやきました。「僕が住んでいたのは、アフリカじゃなくてアメリカなんだけど」
(そこかい)
松宮園生です。
今年の2月だったか3月だったか、
「メンズ・ヘルス」
という雑誌が、
「アメリカで最悪の食べ物 20」
というのを発表して話題になりました。
「メンズ・ヘルス」という雑誌は、名前のとおり男性向けの雑誌です。
ジイサン向けの健康雑誌というより、もちっと若い年代が読者層です。
日本でいうと「日経ヘルス」の男性版という感じでしょうか。
表紙、こんな感じ。
チョイエロという感じか?
(男の僕が言ってどうする)
↓
さて、「アメリカで最悪の食べ物 20」のなかから、
* アメリカに興味のある日本の方だったら知ってそうな会社のもの
* アメリカに旅行するのが好きな方だったらどこかで見たことありそうなもの
をいくつか紹介します。
■サイアクの飲み物
ジャンバ・ジュース(スムージー専門チェーン)が出している
Chocolate Moo'd Power Smoothie
(チョコレートのスムージー)
砂糖の量が凄いんだそうで。
ジャンバ・ジュースの飲み物って、なんとなく液体サプリメントを飲むようなイメージがあります。
「人工的に健康を合成する」
みたいな感じ。
でも、べつに健康というわけではなかったんですね。
■サイアクの子ども向け食品
マカロニ・グリル(フードコートによく出店しているファミレス)の
Double Macaroni 'n' Cheese
(チーズマカロニとでもいおうか)
明らかに子どもには過剰な高カロリーでランクイン。
■サイアクのバーガー
カールズ・ジュニア社の
Double Six Dollar Burger
(6ドルバーガー ダブルサイズ)
高カロリーでランキング入り。
ちなみにこのカールズ・ジュニアは、マクドナルド、バーガーキング、ウェンディーズに次ぐ全米第4位の規模のファーストフード店です。
■サイアクの朝ごはん
ボブ・エバンス(ファミレス)の
Caramel Banana Pecan Cream Stacked and Stuffed Hotcakes
(ホットケーキ)
高カロリー、高シュガーでランクイン。
いや、しかし、これ、朝からこんなもの食うやつがいる、つーところが凄いわな、アメリカ。
■サイアクのデザート
チリーズ(ファミレス)の
Chocolate Chip Paradise Pie with Vanilla Ice Cream
(チョコレートのパイ)
「デザート界のメガマック」というあだ名のついているデザート。
■サイアクのピザ
ウーノ・シカゴ・グリル(ピザ宅配チェーン)の
Chicago Classic Deep Dish Pizza
(シカゴ流ピザという感じかな)
これ1人前で、ドミノピザが出しているミニサイズのピザの18個分だそうで。
■真打ち登場! 全米サイアクの食べ物
アウトバック(ステーキハウス。日本にもありますね)の
Aussie Cheese Fries with Ranch Dressing
(なんかよく分からないけど、チーズ料理に濃いドレッシングをかけたもののようです)
メンズ・ヘルス誌にはこう書いてあります。
「大量殺戮兵器。クリスピー・クリーム社のドーナッツ14個分のカロリー」
ちなみに、ここで比較対象にされているクリスピー・クリームですが…。
去年だったか一昨年だったかに日本に進出しましたね。
並んだ方も多いかと思います。
そのクリスピー・クリームのドーナッツですが、アメリカではジャンクフードに分類されています。
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松宮園生です。
このところ、自分で何か食のセミナーを開いてみたく
なった感じのする野心家のアナタへ。
「目指せ食育講師」シリーズ、第6話、今回のテーマは、
「独断! セミナー会場の選びかた」
です。
◆◆◆
あなたが
「近所の知り合いを集めて近所でセミナーをしたい。参加費は安くていい」
という場合は、あまり気を遣う必要はありません。
お近くの公民館あたりに場所を借りてセミナーをすればよいです。
いろいろ至らぬところは出てくるでしょうが、そこは近所のよしみ、ご愛敬で切り抜けることができます。
そうではなくて、
「広く一般から参加者を募集して、都会でセミナーを開きたい。ちゃんと参加費ももらいたい」
というチョイ本格的なセミナーを考えている場合は、顧客サービスとして、いろいろ気を遣うポイントがあります。
とはいえ、ポイントを残らず挙げたらキリがありません。
「あまりに重要なので誰でも思いつくこと」
はここでは省略します。
「意外にこういうところを押さえとくといいかも」
的なところを3つ選び、独断で書くことにします。
<1>
セミナー開始10分前に、ある受講生さんが最寄の△×駅からあなた(またはアシスタントの方)の携帯に電話してきたとします。
「すみませーん。いま△×駅にいるんですけどぉ、そこまでどうやって行ったらいんですかぁ?」
ホームページに会場までのアクセス地図を載せてあるにも関わらず、それを見ないでやってくる人は必ずいます。
会場までの地図を FAX してあげたのに、当日それを置き忘れてくる人は必ずいます。
携帯電話で道筋をきかれたときに、
「口頭で説明するのが難しい場所にある会場」
だったらメチャ困りますよね。
そういう会場はできるだけ避けましょう。
駅から近いのに、口頭で説明するのが困難な場所って、けっこうあります。
東京で言うと、渋○駅から六○○通りのほうに向かうあたりとか。
表○道の交差点から一歩、裏通りのほうに入ったあたりとか。
下手をすると、迎えに行かなくてはならなくなってしまいます。
<2>
早めに会場に到着した受講生さんが、まだ時間があるからといって近くのスタバやドトールでコーヒーを飲む、なんてことはよくありますね。
セミナーが始まって中ほどになると、コーヒーの利尿作用が効いてくるわけでして。
そこで休憩時間中にお手洗いに行くことになります。
お手洗い(特に女性用)が狭いような会場は避けましょう。
食のセミナーは一般的に女性の参加者のほうが多いです。
お手洗いが狭いせいで、短い休憩時間に女性が列を作ってしまうのはあまりよろしくありません。
その不快感が、セミナー自体の印象になってしまったらサイアクです。
「お帰りなさい。セミナーどうだった?」
「うん、トイレが並んで並んで大変だったのよ」
なんて会話にならないようにしたいですね。
もしお手洗いが狭いのならば、せめて
「5階がダメなら4階のお手洗いにいけばいい」
ような、心の広いさばけたビルディングを選びましょう。
お手洗いというインフラが整っているかどうかは、マーケティング用語で「衛生要因」と呼ばれています。
衛生要因というのは、
* そこがキチンとしていてもお客さんが来てくれるわけではないが
* そこが手抜きだったらお客さんが去ってしまう
という怖い要因のことを指します。
<3>
最寄駅から会場までのあいだに、カフェやファミレスや居酒屋が多いところを選ぶようにしましょう。
受講生さんが何人か集まり、帰りにお茶したり食事をしたりできるためです。
講師であるあなたは、そういう「動き」があるのを素早く察知し、できるだけチャッカリ、その展開に参加しましょう。
そうやって、あなたの人脈作りをするわけです。
それに、その場にあなたがいれば、あなたの悪口も言われずにすみます。
(こっちのほうが大事だったりして)
なお、「帰りにお茶」「帰りに食事」という「動き」が生まれやすくするために、あなたはセミナーのなかでできるだけグループワーク(グループに分かれて作業をする)をやっておきましょう。
初対面の受講生さんたちはグループワークを通じてお互い仲良くなり、セミナー終了後の「お茶」「食事」につながる、というわけです。
さらに、このときにあなたの「シンパ」(←死語)を1名、作ることができたらベストです。
「シンパ」とは、あなたの熱烈な支持者のことです。
あなたの言うことを聞き、頼みもしないのにあなたのことをあちこちで褒めちぎってくれる(口コミ)有難い人のことを指します。
シンパは1名です。
2名はいりません。
2名いると、あなたは両者の板挟みにあって苦労します。
じゃあ、「帰りにお茶」「帰りに食事」という短時間に「シンパ」をどうやって作るのか?
これは悪魔の手法として封印されていますので、またの機会に個別に怪しくお話しします(笑)。
◆◆◆
エラソーに書いちゃってすみません。
今回はここまで。
このシリーズの次回のテーマは、
「偏見! セミナーの日時の設定のしかた」
です。
お楽しみに。
松宮園生です。
(このシリーズの説明)
このシリーズも4話目になります。
題名の「成りあがりトラクター」というのは、
2年前に立ちあげた農業ホームページの
名前です。
1年ほどやって止めてしまいました。
どんなサイトで、どんな理由で止めたのかは
別の機会に書くとして、この名前、なんとなく愛着があるので使ってみました。
深い意味はございません。
(説明になっていない…)
◆◆◆
自分の頭で考えないで、
「流行っているから」
「人に勧められたから」
という理由で物ごとを決める人って多いですよね。
テレビで
「納豆がダイエットに効く」
と言われたら翌日納豆が売り切れた。
というのはその典型的な例です。
農業の世界でもそういうの、あったりして。
想像してみました。
◆◆◆
むかしむかし。
みかんを作っていた果物農家がいました。
懸命にみかんを作っていましたが、残念ながらみかんは生産過剰で、値段が安くなっていました。
そこへ、営農指導員がひょっこりやってきて言いました。
「あんた、まだみかんを作っていたのか。ダメダメ。これからはキウイの時代だぞ。キウイを作りなさいキウイを。儲かるぞ」
言われたとおり、果物農家はみかん農家からキウイ農家に変身しました。
ところがです。
この営農指導員は至るところで同じことを言っていました。
「これからはキウイの時代だぞ。キウイを作りなさいキウイを。儲かるぞ」
みんながこぞってキウイを作ったので、キウイは生産過剰となり、値段が安くなってしまいました。
◆◆◆
むかしむかし。
松宮園生の出身地ではないかという疑惑の地、テケテケ村。
そのテケテケ村で、松宮の舎弟ではないかという疑惑の人物、小判大介君という若者がいちごを作っていました。
いちごの旬はもともと、今頃の時期です。
小判君は懸命にいちごを作っていましたが、残念ながら旬のいちごは当然ながら出荷量が多いので、値段が安くなっていました。
そこへ、営農指導員がひょっこりやってきて言いました。
「あんた、こんな時期にいちごを出荷してもダメダメ。ノンノン。みんながいちごを出荷している時期にいちごを出してもしょうがないだろう。少し早く出荷しなさい。日本人は早いのが好きだから、儲かるぞ」
言われたとおり、小判君は旬の時期より少し早くいちごを出荷しました。
少し早く出荷するったって、そう簡単ではありません。
少し早くいちごが実るように、あれやこれや工夫をしなければならないのです。
小判君は頑張ってそれを実現しました。
ところがです。
この営農指導員は至るところで同じことを言っていました。
「少し早く出荷しなさい。日本人は早いのが好きだから、儲かるぞ」
みんなが少し早く出荷したので、結局、同じ時期に出荷が集中し、値段が安くなってしまいました。
がっかりする小判君。
テケテケ村で何十年も農業をしているミスミのじいさんが、
「バカかおめえ。営業指導員の言うことなんか真に受けてどうすんだ」
と憎まれ口をたたきます。
ミスミのじいさんは、相変わらず今頃の時期にいちごを出荷していました。
(a)
しかし、営農指導員も面子まるつぶれだなあと思っていたら、当の本人は全くめげていませんでした。
自信たっぷりにこう言います。
「もっと早く出荷しなさい。今度は儲かるぞ」
言われたとおり出荷を早めるために、小判君はビニールハウスを工夫し、苗の選び方や肥料の与え方や農薬の撒き方を苦心しました。
ところがです。
この営農指導員は至るところで自信たっぷりに同じことを言っていました。
「もっと早く出荷しなさい。今度は儲かるぞ」
みんながもっと早く出荷したので、結局、同じ時期に出荷量が集中し、値段が安くなってしまいました。
がっかりする小判君。
テケテケ村で何十年も農業をしているミスミのじいさんが、
「バカかおめえ。営業指導員の言うことなんか真に受けてどうすんだ」
と憎まれ口をたたきます。
ミスミのじいさんは、相変わらず今頃の時期にいちごを出荷していました
(b)
★以下、(a) から(b)を何回かリピートして読んでください。
そのうち、いちごは冬に出荷されるようになりました。
クリスマスケーキに小判君のいちごが載りました。
★さらに、(a) から(b)を何回かリピートして読んでください。
小判君はいちごの出荷を早めるために(=その時期にいちごが実るように)苦心して農法を変えていきました。
それが延々と繰り返されます。
するとどうでしょう。
「もっと早く」「もっと早く」
と時期を早めていったのが一巡して、とうとう出荷時期が今頃になってしまいました。
元にもどってしまったわけです。
結局、出荷時期がむかしと同じに戻ってしまった小判君。
いっぽう、淡々といままで通りいちごを出荷しているミスミのじいさん。
F1レースにたとえれば、ミスミのじいさんは周回遅れなわけですけど…。
というわけで、両者は同じ時期に仲良く出荷をするようになりました。
ミスミのじいさんはこれまでどおり淡々と、小判君はさまざまな作業をしてひーひー言いながら、いちごを作り続けたそうです。
とっぺんぱらりの、ぷう。
農業や田舎暮らしに興味のある方は是非のぞいてみてください。
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松宮園生です。
(このシリーズのポイント)
世の中、いろんなものに「食育」という接頭語をつける風潮が
あるみたいで。
* フツーのグルメツアーに「食育ツアー」って名前つけてみるとか。
* フツーのこだわり喫茶店に「食育カフェ」って看板つけてみるとか。
* フツーの子ども向け料理教室を「食育クッキング」って呼んでみるとか。
でもやってることは何にも変わってなかったりして。
このシリーズは、そんな「昭和な営業努力」を微笑ましく語るシリーズです。
前回(その1)の話を読みたい方はこちら。
http://www.shokuiku-pro.com/production/2008/02/post_118.html
◆◆◆
ある大学が、学生食堂を「食育化」しました。
食育化。
英語にすると、ショクイクナイズ。
カタカナやんけ。
その大学から手紙が来ました。
ショクイクナイズした学生食堂を取材してほしい、というものでした。
手紙には、
「当大学の学生食堂は、食育カフェテリアに変身しました。食育とは生きる上での基本であって、知育、体育、徳育の基礎となるべきものです。様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践できる人間を育てることを目指すカフェテリアです」
と誇らしげに書かれていました。
なにやら、食育基本法のパクリ疑惑が濃厚だけど。
さらに、こう書いてありました。
「当大学の食育カフェテリアは、毎日の食事を通して、以下の点を身につけることを目的としています。
(1) 健康の維持・増進のために「何を」「どれだけ」「どのように組み合わせて」食べたらよいか
(2) どんなものを食べたら安全か危険かという「選食」の力
(3) 食に関する感謝の念
(4) 食糧や農業に関する問題、環境問題の認識
さらに、剛腕の管理栄養士、佐久間象子先生がメニュー監修しています」
むむ、こんなところにも佐久間象子が…。
しかも「剛腕の」というキャッチコピーつきで…。
佐久間象子、だんだんユビキタス化しています。
◆◆◆
取材はやぶさかではなかったのですが、地理的に遠いところなので、まず電話してみました。
松宮:お手紙拝見しました。学生食堂が食育カフェテリアに変身したそうですね。
大学:そうざます。だから多くの学生さんがわが校を選ぶざます。
松宮:なるほど。で、どういう点が、食育なんですか?
大学:メニューを健康的なものにしたざます。佐久間象子先生の監修なんざますよ。
松宮:なるほど。健康的なものにしたわけですね。ということは、今までは健康的ではなかったんですか?
大学:…な、なにを言うざます。今までだって健康的だったざますわ。メニューの変更なんか必要なかったくらいざますわよ。
松宮:メニューの変更が必要なかったくらい、健康的だったと。
大学:そうざます。
松宮:それなのに、メニューを健康的なものに変えたんですね。
大学:そうざます。佐久間象子先生の監修ざます。
松宮:(苦笑)食育なのは、そこだけですか?
大学:とーんでもございませんわ。他にもあるざます。うちの学食はね、レシートに食事バランスガイドのコマが表示されるようになってるざますのよ。食育バランスガイドはご存じかしら?
松宮:はあ、いちおう。
大学:コマを見ると、選んだメニューがバランスのよい食事内容になっているかどうかが分かるざます。
松宮:なるほど。
大学:わが校の食育カフェテリアは、こういう目的で作られているざます。
(1) 健康の維持・増進のために「何を」「どれだけ」「どのように組み合わせて」食べたらよいか
(2) どんなものを食べたら安全か危険かという「選食」の力
(3) 食に関する感謝の念
(4) 食糧や農業に関する問題、環境問題の認識
その声には、誇らしげな響きがありました。
◆◆◆
電話での会話はつづきます。
松宮:いや、ご立派な目的ですね。
大学:お分かりになったなら、取材に来るざます。きっと感動するざますよ。
松宮:メニューを変えたのと、レシートに食事バランスガイドが出るのは分かりました。他には?
大学:は?
松宮:他にはどんな工夫をされているんですか?
大学:妙なことを言うざますね。他にはございませんけれども。すでに十分、食育的ざんしょ?
松宮:でも食育カフェテリアの目的は4つあるんですよね。
大学:そうざますわ。(1)健康の維持・増進のために…。
松宮:いや、繰り返さなくても結構です。その4つの目的を達成するために、食育カフェテリアに変身したわけですよね。
大学:もちろん、そうざますわ。
松宮:レシートに食事バランスガイドをつけたことで、たしかに1番目の目的には合ってますよね。
大学:そうざんしょ。健康の維持・増進のために「何を」「どれだけ」「どのように組み合わせて」食べたらよいかがこれで分かるざます。
松宮:他の3つはどうなんですか?
大学:は?
松宮:2番目の、「どんなものを食べたら安全か危険かという「選食」の力」は、これで身につくんですか?
大学:は?
◆◆◆
松宮:いや、ですから…。おたくの大学では、学食メニューを健康メニューに変えて、食事バランスガイドをレシートに載せるようにしたわけですよね。
大学:そうざますよ。
松宮:そうすることで、「どんなものを食べたら安全か危険か」が分かるようになるんですか?
大学:そんなわけないざんしょ。食事バランスガイドを見たって、安全か危険かなんて分かるわけないざます。
松宮:ですよね? 安全か危険か、というのは、食事バランスガイドを見たって分からないですよね。じゃあ、2番目の目的のために、どんな工夫がされているんですか?
大学:は?
松宮:何もしていない、とか?
大学:…な、なにを言うざます。わが校を侮辱するざますか?
松宮:とんでもないです。目的が4つあると言われたから、それぞれどんな工夫がされてるのかなーと思って、聞いただけですよ。
大学:あきれた殿方ざますね、あなたという方は。聞いていいことと、悪いことがあるざます。
松宮:(苦笑)質問を変えましょう。3番目の「食に関する感謝の念」はどうですか? 食育カフェテリアではどんな工夫が? 学食メニューを健康メニューに変えて、食事バランスガイドをレシートに載せたら、食に関する感謝の念と理解が生まれるんですか?
大学:そんなわけないざんしょ。食事バランスガイドを見たって、「食に関する感謝の念」が育つわけがないざます。
松宮:そうですよね。僕もそう思います。で、3番目の「食に関する感謝の念」を育てるために、何をしているんですか?
大学:まあハレンチな…。あなたのような失礼な方に、返答するつもりはないざます。
松宮:ハレンチ? それって死語じゃないですか?
大学:黙らっしゃいざます。
松宮:(苦笑)4番目の「食糧や農業に関する問題、環境問題の認識」はどうですか? 学食メニューを健康メニューに変えて、食事バランスガイドをレシートに載せたら、食料や農業に関する問題とか、環境問題の認識の役に立つんですか?
大学:キーッ! なんざますかあなたという人は。佐久間象子先生を呼ぶざますわよ!
佐久間象子を呼ばれてはたまりませんので、丁寧に詫びて電話を切りました。
「またやっちゃったなあ」
僕はひとりごとを言いました。
ついつい、ツッコミ癖が出てしまいました。
これでまた、敵が増えたわけです。
やれやれ。
でも皆さん、これだけは信じてください。
あの大学の人、本当に「キーッ!」って言いましたよ。
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食育授業の教材として使えるソフトです。
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(ブログ)あまりアウトドアじゃない人のためのプチ食農辞典
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松宮園生です。
(前回までのあらすじ)
食育ロボット、アンドリューがメタボセンサー(メタボ発見器)
を内蔵し、改造ロボットとなって登場、メタポリスの新兵器
としてメタボ狩りを始めます。
迫害を恐れた市民はアンドリュー・レーダー(アンドリュー探知機)
を開発し、食育ロボットの魔の手を逃れようとしました。
追うアンドリュー、逃げる市民。
アンドリューの魔の手が、僕にも及んできました。
◆◆◆
白昼の赤坂見附。
迫りくるアンドリュー。
その機械の手に握られた、メタボメジャー。
周囲の人々が、どうなることかと我々を見守っています。
アンドリューとの距離が5メートルに縮みます。
ど、どうする松宮?
野生の本能とでもいうのでしょうか、僕は無意識に、力を入れて腹を引っ込めました。
ペコ。
するとどうでしょう。
アンドリューが妙な動きをしはじめました。
どうやらその、目標を見失ったようなのです。
まるで僕が見えないかのように、キョロキョロしたりうろうろしたり。
独楽(コマ)のようにくるくる回ったりします。
なんだかよく分からないけど、今だ。
僕はスタスタと、迷走するアンドリューから遠ざかりました。
◆◆◆
ふたたび、アンドリューとの距離が50メートルくらいになりました。
ふう。
アンドリューから目を離さないようにしながら、一息ついて思わず腹の力を緩める僕。
ポコ。
ところがです。
腹の力を緩めたとたん、アンドリューが ギン! といった感じで僕のほうを向きました。
気がついたようです。
小走りに、こっちに近づいてきます。
再び力をこめて腹を引っ込める。
ペコ。
アンドリューが突然、ターゲットを失っておろおろし始めます。
力を入れて腹を引っ込める。
ペコ。
→アンドリュー、迷う。
力を緩める。
ポコ。
→アンドリュー、追いかけてくる。
腹を引き締める。
ペコ。
→アンドリュー、迷う。
腹を緩める。
ポコ。
→アンドリュー、追いかけてくる。
ペコ。→アンドリュー、迷う。
ポコ。→アンドリュー、追いかけてくる。
ペコ。ポコ。
ペコポコ。
そういうことか。
要は、筋肉を緊張させて腹をしっかり引っ込めていれば、アンドリューは来ない。
僕は腹に力を入れたまま、何分も我慢しました。
そうしているうちに、アンドリューは他の獲物を見つけ、そっちへ走って行きました。
◆◆◆
助かった…。
ところで、もともと僕は何をしようとしていたかというと。
地下鉄銀座線のなかで財布を掏(す)られました。
その被害届を出しに、交番に行くところだったのです。
アンドリューを完全に撒(ま)いたのを確認すると、ようやく僕は交番に向かいました。
しかし油断大敵です。
交番の巡査も、メタポリスかもしれません。
巡査はキャメロン・ディアス似の若い女性でしたが、案の定、メタポリスのコスチュームを着ていました。
彼女にバレないよう、僕は慌てて腹部に力を入れました。
ペコ。
小さな音がしました。
それが聞こえたのか、女性巡査は疑いの目で僕の腹をジロジロと見ています。
「地下鉄のなかでスリにやられたわけですね」
僕の説明が終わると、巡査は言いました。
彼女のもの欲しげな(?)視線は、僕のへそのあたりを這っています。
思わず赤面する松宮。
「地下鉄のなかでスリにやられたわけですね」
彼女は繰り返しました。
「は、はい」
「財布を盗られたんですね」
「はい」
「財布には、いくら入っていたのですか?」
「5,000円くらいかな」
さっきからずっと腹に力を入れっぱなしなので、筋肉が笑い始めています。
「盗まれたのは財布だけ?」
「だと思うけど…。あっ。あれがない」
不意に気がつきました。
さっきアンドリューとあれほど鬼ごっこを繰り返したというのに、レーダーが反応しなかったですよね。
「ぶるぶるぶるぶる」が起こりませんでした。
おかしいな。
ポケットを探ると、買ったばかりのアレも、なくなっていました。
「新品のアンドリュー・レーダーも取られちゃいました」僕は早口で言いました。「くそー。消費税込で42,000円もしたのに」
「アンドリュー・レーダー?」
◆◆◆
女性巡査の表情が変わるのを見て、僕はしまった! と思いました。
「いやあの、そうじゃなくて、それがその」
「いま、アンドリュー・レーダーって言ったわね?」
「いやあの、そうじゃなくて、それがその」
「あなたアンドリュー・レーダーが必要な人なのね?」
「いやあの、つまりその」
キャメロン・ディアス似の女性巡査は、ゆっくりと立ちあがりました。
「あなたの腹回りを測らせてもらうわ」
まつ毛がキレイに整えられたその両眼が、僕の下腹部に吸いついています。
その下腹部ですが。
さっきから力を入れて腹を引っ込ませていました。
しかしそれも、そろそろ筋肉の頑張りが限界に近づいています。
冷汗がたれてきました。
ここで腹の力を緩めるわけにはいきません。
戦え松宮。
しかし、その応援もむなしく消え去ろうとしていました。
ゆっくりながらも慣れた手さばきでメタボメジャーを取り出す彼女。
その美しい顔が、冷酷な喜びに輝きはじめます。
そのとき。
ついに腹筋が力尽きてしまいました。
ポコ!
隣の駅まで聞こえるような「ありえへん」大きな音がして、僕の腹がもとに戻りました。
(このシリーズ、完)
<お役立ち本>
「コーチングで保健指導が変わる!」
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松宮園生です。
(前回のあらすじ)
食育ロボット、アンドリューがメタボセンサー(メタボ発見器)
を内蔵し、改造ロボットとなって登場。
メタポリスの新兵器としてメタボ狩りを始めます。
迫害を恐れた市民はアンドリュー・レーダー(アンドリュー探知機)
を開発し、食育ロボットの魔の手を逃れようとしました…。
◆◆◆
秋葉原でアンドリュー・レーダーを手に入れた僕。
メタルボディの、洒落たデザインです(メタボだけに…)。
レーダーにはバイブレーション機能が備わっており、アンドリューが近づくと、ぶるぶる震えて教えてくれます。
値段は大奮発の、42,000円。
消費税込みです。
高かったけど、これでひと安心。
すっかり図にのった僕は、青山通りを闊歩していました。
カナダ大使館で打合せがあったのですが、天気がよいのと、時間に余裕があったので、地下鉄に乗らずに青山通りを歩いていたわけです。
そのとき。
ぶるぶるぶるぶる。
ぶるぶるぶるぶる。
反応するアンドリュー・レーダー。
さっそく警戒態勢です。
あわてて見回すと、表参道の交差点付近をアンドリューが疾走しているのが目に入りました。
誰かを追いかけているようですが、僕ではないようです。
視線をずらすと、新橋系サラリーマンが人混みをかきわけながら必死の形相で逃げているのが分かりました。
カツラなのでしょうか、風に当たった髪の毛が不自然な方向に流れています。
なんだ、自分じゃなかった。
ほっとする松宮。
◆◆◆
ほっとしたものの、じつは改造アンドリューは1体だけではないのです。
他にもいるかもしれません。
気を休める余裕はないのです。
アンドリュー・レーダーは、アンドリューの存在を知らせてくれるだけで、撃退してくれるわけじゃないし。
くわばらくわばら(←死語)。
危険だから、外を歩くのはやめよう。
目の前に地下鉄銀座線の入口があったのをよいことに、僕は急いで階段を下りました。
カナダ大使館は、地下鉄銀座線でいうと、赤坂見附駅と青山一丁目駅のあいだにあります。
どちらで降りてもよかったのですが、なんとなく赤坂見附で下車。
行き交う人の群れに押し流されるように、改札を出ます。
そこで異変に気がつきました。
ジャケットの胸のあたりがやけに軽いのです。
内ポケットに手をつっこんだ僕は、
「しまった」
と思わず口走りました。
財布がありません。
落としたのか。
スリにやられてしまったのか。
とほほ(←死語)。
ついてねえ…。
いつまでも嘆いてはいられません。
たしか地上に交番があったはずです。
僕は階段を駆け上りました。
すると、地上にアンドリューがいました。
◆◆◆
正確にいうと、アンドリューは50メートル先にいました。
50メートルというのは、彼のセンサーの「射程距離内」です。
もっと深刻な問題は、アンドリューがこっちをじっと見ていることでした。
目が合ってしまっています。
アンドリューがおもむろに歩き始めました。
まっすぐ、僕に向っています。
間違いありません、僕を狙っています。
目は点滅し、耳からは蒸気が噴出していました。
アンドリューの目が点滅し、耳が蒸気を噴き出す。
「ハイホーネン現象だ」
僕はつぶやきました。
ハイホーネン現象とは…。
獲物をみつけたアンドリューが、見せる現象です。
この現象が起きたら、人類に未来はないのです。
…って、解説している場合か!
どんどん接近するアンドリュー。
いまさら逃げられない。
全身に冷気が走ります。
ど、どうしよう。
パニックになるまいと必死で自分に言い聞かせながら、アンドリューをかわす方法を考える僕。
しかし何の有効な知恵もわかないまま、時間が秒単位で消えていきます。
もはやアンドリューとの距離は10メートル。
その手に握られているメタボメジャーに、太陽光が鋭く反射して、本物の剣のように見えました。
(以下次号)
<おススメの1冊>
「HEALTH HACKS! ビジネスパーソンのためのサバイバル健康投資術」
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松宮園生です。
警察のなかにメタボを取り締まる部門ができたとしましょう。
人呼んで「メタポリス」。
腹回り85センチを超えた男性が捕らえられるわけです。
むろん女性も取り締まりの対象ですが、女性の場合は
腹回り90センチが基準なので、検挙者の数は男性ほどではなさそうでした。
メタポリスの警官はピーポくんブランドのメタボメジャー(腹回りを測定する巻尺)を所持しています。
目を爛々と光らせた警官が、音をたててメタボメジャーを引き延ばしたり縮めたりしながら、獲物を探し求める姿に、人々は怯え、逃げまどいました。
しかし何といっても飽食の現代日本。
メタボの数が多すぎます。
メタポリスの警官の数も限られています。
このままでは十分な取り締まりができないと考えたメタポリスは、日本食育大学のロバート・シトピッチャン教授が開発した食育ロボット、「アンドリュー77型」を改造して使うことにしました。
どのように改造したかというと、電子頭脳のなかに「メタボセンサー」を組み込んだのです。
腹回りの大きな人がアンドリューの100メートル以内に近づくと、メタボセンサーが反応。
ただちに追跡を始める、という仕組みです。
これも天才ロバート・シトピッチャン教授の発明であることは言うまでもありません。
◆◆◆
繁華街をパトロールするアンドリュー。
おおぜいの老若男女が、往来していきます。
プシュー!
そんなアンドリューの耳から突如、蒸気が噴き出しました。
両眼が交互に点滅しはじめました。
メタボセンサーが反応したのです。
近くに、メタボがいる。
「あ、あたしじゃないわよね」
「お、オレじゃねーよな」
「わ、わしじゃないとよいがのう」
通行人が、不安な表情でアンドリューの動作を見つめます。
ゆっくりと周囲を見回すアンドリュー。
その眼が、歩きながら携帯電話で談笑している中年の容疑者をとらえました。
アンドリューの存在に気がついていないようです。
アンドリューは腹部にある格納ボックスからメタボメジャーを引き出すと、それを片手に100メートル13秒くらいの実力で走りはじめます。
蜘蛛の子を散らすように逃げ去る通行人。
容疑者は何が起こったのか分からないうちに、アンドリューのメタボメジャーを巻かれてしまいます。
「89センチ。大問題です。あなたを逮捕します」
言うが早いか、アンドリューは容疑者の上着の襟をつかみ、どこかへ引きずっていきました。
◆◆◆
市民側も負けてはいられません。
メタポリスに対抗し、「アンドリュー・レーダー」が開発され、飛ぶように売れました。
アンドリューがあなたの100メートル以内に近づくと、レーダーが反応。
ブルブルと震えて(=バイブレーションで)、あなたに合図を送ります。
メタボ気味なあなたは、ただちに逃げの態勢に入るというわけです。
アンドリューが早いか、人間が早いか。
日本列島のあちこちで、ロボットと人間の追いかけっこが展開されました。
かくいう僕も秋葉原でアンドリュー・レーダーを買いました。
赤・黒・メタルの3種類あったのですが、メタルにしました。
消費税込みで42,000円でした。
安くはありませんが、仕方がありません。
「ついでに佐久間象子レーダーも欲しいんだけど」
冗談で店員さんにそう言ったら、何を思ったか、店員さんは奥の倉庫から地震計を出してきました。
さて、買ったばかりのアンドリュー・レーダーを内ポケットにおさめた僕。
これでひと安心だと思っていたのですが…。
その後に、予想外の災難が待ち受けていたのでした。
(以下次号)
<おススメの1冊>
「外食ばかりしても太らない!」
http://astore.amazon.co.jp/shokuikuprodu-22/detail/4797351357
松宮園生です。
先日、萌え管理栄養士ナオコが食事指導をする、
「食育おねいさん」
という話を書きました。
http://www.shokuiku-pro.com/production/2008/04/post_136.html
これ自体は妄想おとぎ話なんですけど…。
そしたら、東京でレストランをやっている「あいさん」
という方から連絡をいただきまして…。
あいさんは、リアルで「食育おねいさん」無料サービス
を始めるそうです。
ていうか、もう始まってます。
サービス開始までのスピードの速さにベンチャースピリットを感じましたので、ここで紹介させていただきます。
◆◆◆
ここから先はマジで現実の話です。
あいさんの「食育おねいさんサービス」には、3人の「おねいさん」がボランティアで登場します。
<ドS嬢系おねいさん「アキラおねいさん」>
主にオーガニック食品を扱う商社レディ(26歳、独身)。
「全ての男は下僕」といって憚らない、慈悲深いお方だそうです。
<妹系萌えっ子「ユリおねいさん」>
調理専門学校に通うハタチになったばかりの女の子。
お酒、ものすごくイケルくちだそうです。
普段はこの2人のおねいさんが、携帯メールでアナタの食生活を評価してくれます。
3人めのおねいさんは誰かというと、言いだしっぺの「あいさん」。
ときどき出動だそうです。
魔女系ツンデレ「アイおねいさん」です。
(注:あいさんからの伝言です)
* 佐久間象子はいません(笑)。
* 100点になったからって写メが送られてくるかはわかりません。
◆◆◆
で、このサービスの受け方ですが。
まずは「おねいさん」専用メルアドにメールを送りましょう。
oneisan@caff-albireo.com
PCでも携帯でも大丈夫です。
実在するメルアドです、念のため。
件名にご自身のお名前を入れてください。
本文のところには、
* 軽く自己紹介を書いてください。
* 朝・昼・デナー(笑)の3食について「おねいさん」指導が入るので、いずれかの食事内容と、外食か自炊か、食事を摂った時間を入力してください。
* 最後に、どちらのおねいさんにアドバイスしてほしいかを明記。
あとは返信が来るまで楽しみに待つのダ。
(注:あいさんからの伝言です)
* 個人情報はあいさんが厳重に管理します。
* あくまで「遊び」感覚で楽しみながら食生活を見直すのが目的であり、医療行為ではありません。
* メールの受付時間は9:00-22:00。時間外メールは翌日扱いになります。
* おねいさんたちはボランティアでやっているので、多少のタイムラグはご愛嬌と考えてください。
* ユルくやりましょう。
◆◆◆
このサービスをホントに始めた「あいさん」のお店です。
Cafe & Bar Albireo(アルビレオ)
「からだがよろこぶごはんとイタリアンワインのお店」
* 有機農家さんから届く旬の有機野菜。
* オーナーのあいさん自身がお手伝いする地元の採れたて有機生産物、ハーブ。
* 堆肥にこだわる世田谷産の農産物。
など、地産地消を考慮した材料をふんだんに使用した、創作和風イタリアンの店です。
お店の住所:東京都目黒区目黒本町4-2-14 1F
営業時間:17:00-24:00(L.O 23:30)週末は時間延長あり
定休日:日曜日
以上です。
繰り返しますが、「あいさん」は実在し、あいさんのお店「アルビレオ」も実在し、ここで紹介した「食育おねいさん」サービスも本当に始まっています。
興味のある方はお試しください。
松宮園生です。
「21世紀神様の悩み」シリーズもこれで第9話になりました。
(このシリーズの説明)
繁栄にあぐらをかき、飽食をむさぼる先進国。
彼らに鉄槌を下すことにした全能の神様は、
「ウエルネス天国」
「メタボ地獄」
を作りました。
* ストイックに生涯を全うしたらウエルネス天国行き。
* 飽食におぼれメタボのまま死んだらメタボ地獄行き。
現世でもメタボを迫害する動きが現れてきました。
(例)
* 「メタボ撲滅同盟ニキータ」という秘密結社が、メタボの暗殺を始めました。
* 「メタボ警察」がメタボを捕えて「メタボ裁判」にかけ、有罪になると「メタボ刑務所へ」…。
* 萌え系管理栄養士の阿部マリエは大勢のメタボ男性を救いましたが、暗殺されてしまいます。
このシリーズ(21世紀神様の悩み)は、そうしたちょっとすごく怖い時代を懸命に生きる人々を描く、壮大なヒューマン・ドラマです。
◆◆◆
神様の手違いでメタボ地獄に行ってしまったアイドル栄養士、阿部マリエ。
彼女の2度目の命日がやってきました。
日本食育大学で行われた追悼イベントには1万人を超えるメタボ男性が集結。
あまりの暑苦しさに火災と勘違いし、119番通報をする近所の人がいたほどでした。
追悼イベントは涙をみせずに明るくやろう、という主旨のもと、
「阿部マリエ記念 第1回 アイドル栄養士コンテスト」
が行われました。
僕もその審査員の1人でした(※)。
そのコンテストで、栄えある初代チャンピオンに選ばれたのが、ナオコです。
管理栄養士ナオコ。
彼女はもともと
「月刊メタボマガジン」
の読者モデルをしていたころから
「ポスト阿部マリエ」
という呼び声が高かったのですが、ここにきてついにメジャー・ステージに上がったのです。
(※)ついついノリで審査員を引き受けたばっかりに、
「松宮園生は管理栄養士萌えだ」
という根も葉もない噂がたちまして、けっこう困っています。
◆◆◆
メタボ男性の心をわしづかみにする、管理栄養士ナオコの、その後の快進撃は…。
彼女がメタボ指導(特定保健指導)をしている銀座の「アルカトラス・クリニック」は、予約で半年待ち。
指導料も急上昇。
ただしこのクリニックには実は佐久間象子もいたりなんかして。
半年待ったあげくに佐久間象子に当たったときの衝撃は都市伝説と化しています。
(詳しくは→ 「保健指導ナウ! その3」
http://www.shokuiku-pro.com/production/2008/04/3_24.html)
CDもリリースしました。
題して「メタボリック・ラブ」。
大企業がこぞって大量買いしたため、ミリオンセラーになりました。
ナオコ・ブランドのメタボメジャー(腹回りを計測する巻尺)が発売されました。
限定1万個。
父の日のプレゼント用にあっという間に売り切れ、ヤフオクで9万円の値がついています。
テレビCMに出てほしいという依頼も殺到。
* サ●トリーの「黒烏●茶」
* フ●ンケルの「●汁」
* 大●製薬の「SO● JOY」
あたりに彼女が出演しています。
日本食育大学の教授にもなりました。
プロフェッサー・ナオコです。
最年少教授です。
先を越されたショックで准教授の松宮園生が憤死したという噂も流れました。
(高校の世界史か)
◆◆◆
「管理栄養士ナオコ」フィーバー(←死語)に国民が踊っているころ…。
冷静に事態を見つめ、利用している人々がいました。
外国人投資家です。
先日、経済産業省が
* 管理栄養士ナオコの登場で2年以内に日本人成人男性の平均腹回りが10パーセント改善する
* その経済効果は40兆円
という予想を発表。
目ざとい外国人投資家がいっせいに日本企業に投資し始めたため、日本の株式市場が高騰しました。
「管理栄養士ナオコ、株式市場まで動かす」
そういう記事が新聞に載りました。
しかし、ここでの陰の主役は、外国人投資家です。
ナオコ萌えのメタボお父さん。
あなたが頑張ってお腹を引っ込めたら、会社の業績が上がり、株価があがり、外国人投資家が儲かるわけです。
あなたの給料もちょびっとは上がるかもしれない。
でも1番儲かるのは、外国人投資家。
目ざといのは投資家だけではありませんでした。
世の中には「格付(かくづけ)専門会社」といわれる会社がありまして。
たいがいは、外資系です。
彼らは、いろんな企業の財政状態を審査し、格付(等級づけ)しています。
財政状態の良い会社には良い点をつけ、公表する。
財政状態の悪い会社には悪い点をつけ、公表する。
こういうことをしています。
この格付専門会社が、ひそかにこんなリストを作っていました。
「メタボ社員の多い会社リスト」
このリストが突然、高い値段で売れるようになり、格付専門会社(外資系です)も大儲け。
これまでは、
「メタボ社員の多い会社はダメ会社→ 株価も上がらない→ だから投資しない」
という考え方だったのですが、管理栄養士ナオコの登場でそれが一変。
「メタボ社員の多い会社はダメ会社→ メタボが改善したら、急に優良会社になる→ ダメがいきなり優良へ、つまり株価の上げ幅が大きい→ じゃあ今のうちに株を買おう」
となり、世界中の投資家がこのリストを欲しがったからです。
こうして、
「平和な日本人が狭い島国で浮かれているあいだに、ガイジンがちゃっかり稼ぐ」
という図式がここでも展開されているのありました。
(以下次号)
---------------お知らせ---------------
オフ会をしますので、よかったら来てください。
「食の資格について語ろう」
http://www.shokuiku-pro.com/modules/tinyd0/index.php?id=14
松宮園生です。
(前回までのあらすじ)
このブログに何度か登場している「アゴヒゲ」
という人物。
稼ぎの悪い「ダメビジネスマン」からお金を巻き
上げようと奮闘する、フリーランスのセールス
マンです。
巻き上げようとするアゴヒゲも情けないけど、
アゴヒゲに目をつけられるダメビジネスマンも
情けない。
僕は以前、この「アゴヒゲ」の標的にされていました。
アゴヒゲは、「新世紀エバンゲリ食品研究会」という団体も標的にしていました。
この団体、人間の遺伝子研究が進むと、
「遺伝子からみて、体によい食べもの」
「遺伝子からみて、体によくない食べもの」
が分かるんじゃないか。
そうなったら、その研究結果をもとに、体によい食べものを開発して売ろう。
という団体です。
アゴヒゲはこの研究会のメンバーだったのですが、どうもその、トンチンカンな発言が多いらしく、他のメンバーから煙たがられていました。
「誰かにアゴヒゲ退治をしてもらおう」
そう考えたメンバーたちは、松宮園生に白羽の矢をたてたのです。
依頼を受けた松宮は、「食品魔術研究所」のサマンサタバサ所長を、アゴヒゲと対決させようと考えました。
松宮園生の入れ知恵により、「新世紀エバンゲリ食品研究会」は、サマンサタバサ所長を顧問に迎え入れることを決めました。
しかし、当のサマンサタバサ氏が OK したわけではありません。
そこで、研究会のメンバーが「顧問になってください」というお願いをするために、「食品魔術研究所」に出向くことになりました。
誰が行くか。
研究会の会長は、アゴヒゲにその役を担ってもらうことにしました。
「だんだん、オレも頼られる存在になってきたな」
勘違いするアゴヒゲ。
立派な役を与えられて上機嫌です。
さっそく、「食品魔術研究所」にコンタクトをしたようです。
◆◆◆
オフィスで居眠りをしていると、電話が鳴りました。
「おう、松宮」アゴヒゲの声でした。「どうだい、相変わらずヒマかい」
「忙しいので、切ります。さいなら」
「あわてるな。ちょっと待てよ。『山鯨(やまくじら)』って知ってるかあんた?」
「イノシシのことだろ」
「なんだ知ってるのか。それならなおのことだ。『食品魔術研究所』のサマンサタバサ先生って知ってるか?」
「知ってるけど」
「今から会いに行く。あんたも来いよ」
アゴヒゲは、僕が陰で糸を引いていることを知らないはずです。
偶然、声をかけてきたようです。
まあそれならそれで、いいでしょう。
僕はアゴヒゲに同行することにしました。
アゴヒゲが、サマンサタバサ所長にコテンパンにされるのを見よう。
「食品魔術研究所」は学園都市、筑波にあります。
アゴヒゲと僕は秋葉原から「つくばエクスプレス」に乗り、終点の筑波で下車。
タクシーで10分ほど走ったところに、その建物はありました。
前も書いたように、そこの所長さん、人呼んで(←死語)サマンサタバサ氏、はクイズ魔でした。
クイズに答えられないと所員はクビ、来客はお茶も出さず追い出す、という人物だったのです。
アゴヒゲは、これに耐えられるか?
建物に入ると受付嬢がいました。
「新世紀エバンゲリ研究会のアゴヒゲと申す者。このあいだクイズに正解したので、サマンサタバサ所長にお会いしたい」
すると、受付嬢が言いました。
「次のクイズを出しますので、見事正解していただいたらおつなぎいたします。日本で初めて、食育という言葉を使った人は誰でしょう」
「明治時代の陸軍漢方医、石塚左玄先生です」
落ち着いて答えるアゴヒゲ。
「お見事です」と受付嬢。「ではご案内しましょう」
「さんざんトレーニングしたからな」
アゴヒゲが、得意そうにつぶやきました。
◆◆◆
サマンサタバサ所長は見るからに学者、という風貌の人でした。
「用件を聞くまえに、クイズだ」ソファに腰掛けるなり、所長が言いました。「まずあんたに聞く」
「えっ、僕が答えるんですか?」
「そうだよ。まずあんたから答えなさい」
「い、いえ」僕は言いました。「自分はこの人のお供で来てるに過ぎません。クイズなら僕ではなくこのアゴヒゲに出してください」
「勝手なことを言うな。2人で来たら、それぞれがクイズに答えるのがここのルールだ」
「はあ…」
「ではクイズ。日本の外食産業の売上規模は、全部で何兆円くらいになるか」
「えっと」天井をみながら思い出そうとする松宮。「た、たしか、年間25兆円から30兆円のあいだだと思いますが…」
「まあいいだろう」サマンサタバサ氏は今度はアゴヒゲに向きなおりました。「次はあんた。世界最大のバナナ生産国はどこだね」
アゴヒゲはわが意を得たりという顔で「バナナ輸出国ということならエクアドルですが、バナナ生産国ということならインドです。インドのバナナ生産量は年間1500万トン。2位のエクアドルの倍です」
「ふん。よく勉強しておるな」所長は卓上の内線電話を手にしました。「あーもしもし。わしだが。来客がクイズをクリアしたのでな、お茶を持ってきてくれ」
お茶が運ばれてきました。
「クイズはこれで終わりというわけではないからな」所長はおごそかに言いました。「打合せ中にもまだまだ続けるぞ。油断しないように」
アゴヒゲは「望むところです」と答え、僕は「えーっ」と言いました。
アゴヒゲに同行してきたことを、僕は後悔していました。
もともと、
アゴヒゲがクイズに答えられない
↓
サマンサタバサ所長に顧問をお願いするというミッションが失敗する
↓
アゴヒゲは責任をとって新世紀エバンゲリ研究会を脱退する
ということを期待して仕組んだ陰謀だったのですが…。
同行してきた僕にまでクイズ攻撃があるとは、計算外でした。
もし、ミッション失敗の理由がアゴヒゲではなく僕だった場合、アゴヒゲは研究会を脱退しないでしょう。
松宮、危うし!
(以下次号)
松宮園生です。
「食育による国づくりをめざす」
という方針の国、ザイオン共和国。
そのザイオン共和国にも諜報機関があります。
諜報機関。
アメリカでいえばCIA。
イギリスでいえばMI6(007すなわちジェームズ・ボンドがいるところ)。
イスラエルでいえばモサド。
ザイオン共和国では、オラクルという名前がついています。
諜報機関といえばスパイ。
エージェント、とも言ったりします。
スパイといえば合言葉。
合言葉といえば
「山」
「川」
が有名、というか定番、というかお約束です。
しかしさすがに、そんな単純な合言葉をまともに使うスパイは実際にはいませんね。
「え、そうなの?」
と思った現役スパイのあなた。
マジですか?
実際には、合言葉としては
「今年の夏のピュージェット・サウンドは暑かった」
「去年のインディアン・リバーほど暑くはない」
といった、練られた感じのものが使われたりするわけで(たぶん)。
じゃ、ザイオン共和国のスパイは、どうかというと。
こういう合言葉を使っていました。
「穢(けが)れたネズミを食え」
「神は夏を見た」
「なんだそりゃ?」
と思ったアナタ。
ごもっともです。
そんなふうに思うのも無理はありません。
なぜこんな言葉になったのでしょうか。
現場のスパイは誰も知りませんでした。
ていうか、
「コンピューターでランダムに決めたんだろう」
くらいにカルク思っていました。
というわけで、ザイオン共和国のスパイは世界のあちこちで
「穢れたネズミを食え」
「神は夏を見た」
を合言葉に暗躍していたのです。
そんなある日。
日本の公安当局と作戦会議をするために日本に立ち寄ったザイオン共和国のスパイが、死亡するという事件がありました。
スパイの名を、アンダーソン君としましょう。
アンダーソン君は、暗殺されたのでしょうか?
ザイオン共和国と日本とは友好国どうしです。
日本のスパイがザイオン共和国のスパイを暗殺するとは考えにくい。
では誰が?
食育の推進を恐れたメタボ大国アメリカが、刺客を送り込んだとか?
地産地消が広がって日本の食料自給率が上がるのを恐れた農業大国アメリカが、刺客を送り込んだとか?
いろんな憶測が飛びました。
ザイオン共和国は2人目のスパイを日本に派遣し、最初のスパイ、アンダーソン君の死因を探ろうとしました。
◆◆◆
2人目のスパイ、名をスミスとしましょう。
彼はスパイと呼ばれるのが嫌いで、自分のことをエージェントと呼んでいます。
エージェント・スミスです。
日本での調査を終えたスミスが、ザイオンに帰国し、オラクル本部に出頭しました。
オラクルの長官は、彼を見るなり目を丸くしました。
「まあどうしたの、あんた。ずいぶん痩せたわねえ」
「長官」スミスはサングラスを外して言いました。「あんた、いったいどういうつもりなんすか」
「何が?」
「どぼけんでください。あんた何人のエージェントを日本に送ってるんですか? しかもヘンな連中ばかり」
「何人って、あんたしか送ってないわよ。あんたが帰ってきたから、いまはゼロよ」
「いいえ。何百人と送ってるはずだ。そこらじゅうにオラクルのエージェントがいましたぜ」
「バカね。そんなわけないでしょう。なんで友好国の日本にそんなたくさんエージェントを送る必要があるのよ。ていうか、だいたい、ウチのエージェントってそんなにたくさんいないでしょ。ザイオン共和国の人口が40万人しかいないことを考えたら、わかるじゃない」
「それはそうなんですが…」焦るスミス。「でも日本はエージェントだらけだった」
「なんで、エージェントだと思うの?」
「オラクルの合言葉を使ってたからです」
「え?」
「そこらじゅうで、こう言われたんすよ。『穢れたネズミを食え』」
「…」
「しかたがないので」スミスは続けました。「こっちも反射的に合言葉を返すわけですが、そしたらみんな、急にヘンな顔をして、よそよそしくなって、おれの食事をとりあげてしまうんだ」
「食事をとりあげる?」
「そうです。何度も食事をとりあげられました。手をつけていないにも関わらずです。どうなってんだ、あいつら」
長官は天を仰ぎ、それから溜息をつきました。
「あんた、そこらじゅうで『穢れたネズミを食え』って言われたって言ったわね」
「ええ、そうです」
「それさあ、『穢れたネズミを食え』(Eat a dirty mouse)じゃなくて、『いただきます』って言われたんじゃないの?」
「へ?」
「で、あんたは反射的に合言葉を返した」
「ええ、そうです」
「それねえ、あんたは『神は夏を見た』(God saw summer)って返したんだろうけど、日本人には『ごちそうさま』って聞こえたんじゃないの?」
「あっ」
「みんなが『いただきます』って言ったとたんに、あんたが『ごちそうさま』なんて返したら、そりゃ、相手は気分悪いわよ。食事を取り上げられるのも無理ないわね」
「ちくしょー、そうだったのか」うなだれるスミス。「でもヒドイっすよ長官! なんでそんな紛らわしい合言葉にしたんですか」
「してないってば。もともと合言葉は『いただきます』『ごちそうさま』だったのよ。我が国は日本の食育をモデルにしてるんだから、無理もないでしょ。それを、頭の悪いあんたたちが、覚えられないものだから、勝手に英語でいいやすい言葉に変えちゃったんじゃないの」
(ダジャレで英単語を覚える日本の受験生と、同じかい)
「そうだったんすね。それで納得がいきました」スミスはつぶやきました。「アンダーソン君が、飽食の日本でなぜ餓死したのか…」
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