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2008.03.04 10:50

アンドリューの食育レストランガイド

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松宮園生です。

(本編の前に)
あらかじめ以下のご一読をお勧めします。

アンドリューについて
「食育ロボ発進! 前編」
「食育ロボ発進! 後編」

フードマイレージについて
http://www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/heya/qa/alt/altqa030414.htm

では始まり始まり。

◆◆◆

それは異様な光景でした。
有名レストラン「ダイバスター」に、突然ロボットが入ってきたのです。
「予約をしていたアンドリューです」
ロボットはなにくわぬ表情でいいました。

なにくわぬ表情。
つーか、いつも同じ表情なんだけど。

しかし店のほうもさるもの、一瞬たじろぎましたが、すぐに平然と応えます。
「ご予約の、アンドリュー様ですね?」
「そうです」
「ダイバスターへようこそ。お待ちしておりました。お席までご案内いたします」

アンドリューは案内された席に着席すると、ワインリストを丁寧に読みはじめました。
「アンドリュー様」ソムリエがやって来て言いました。「ご不明な点ありましたら、何なりとお尋ねくださいませ」
アンドリューはソムリエを見上げました。「フランスのワイン、イタリアのワイン、スペインのワイン、オーストラリアのワイン、カリフォルニアのワイン…。ずいぶんとフードマイレージが高いんですね」
「は?」
「まあいいでしょう。この、オーパス・ワンというやつをください」
「あのう」
「なんですか」
「どうやって飲まれるのでしょうか?」
「あ」

そうでした。
アンドリューの口はウルトラマン同様、開かないのです。
シュワッチ(←死語)。

それでも負けず嫌いのアンドリュー、
「構いません。オーパス・ワンを持ってきてください」
と、注文してしまいました。
どうすんの?

ところでこの
「オーパス・ワン」
は、カリフォルニアの最高級ワインのひとつです。
高くて買えません。

続いてアンドリューはメニューを舐めるように読みはじめます。
メートルが来て言いました。
「アンドリュー様、ご質問などございましたら、遠慮なくおっしゃってください」
「ペンありますか」
「ペンですね。ボールペンでよろしければこれをどうぞ」
「ありがとう。メニューに書き込みをしたいのですが、構いませんか」
「どうぞ」
アンドリューはメニューに数字を書き込みはじめました。

「何を、書きこんでおられるのでしょうか?」
「フードマイレージです」アンドリューは顔もあげずに淡々と答えました。「メニューを読めば、フードマイレージがだいたい分かるのです。ところで電卓ありますか」
「電卓ですか」
「この数字を足し算したいのです」
「しかしアンドリュー様は、計算はお得意なのではございませんか」
アンドリューは赤面したかもしれませんが、ロボットですので表情は変わりませんでした。
「たしかにそうですが、いまは電卓を使いたい気分なのです」
「さようでございますか」

渡された電卓をはじき、アンドリューはつぶやきました。
「やはり…」

◆◆◆

電卓をはじき終わると、アンドリューは料理を注文しました。
しばらくしてワインが来ました。
その後、料理が運ばれてきました。

ワインや料理が運ばれてきたのですが、よく考えたら、アンドリューの口は開きません。
ウルトラマン同様、開かないのです。
シュワッチ(←死語)。
どうするのでしょう。

なんと、アンドリューは自分の頭を取りはずし、テーブルに置きました。

周囲の客がギョッとしています。

頭を取りはずした後の首は、切り株みたいになっています。
その断面のところに
「drink(飲みもの)」
「food(食べもの)」
と表示された穴が空いています。
要は、そこにワインを流し込み、料理を放り込むわけですね。
なるほど。

テーブルの上に置かれた頭部。
首なしの体が黙々と「食事」をする。
なかなかホラーです。

アンドリューはしかし、可能なかぎり上品に食べようとしました。
ワインはグラスにそそいでもらい、テーブルに置いた頭部に香りをかがせる動作をしてから、首に流し込みます。
料理はナイフとフォークを上手に操作し、普通に口に入れるような感じで首に放り込みます。

怖いのかユーモラスなのか、よく分かりません。

やがてアンドリューの食事も終わりました。
頭部を再び装着し、テーブルでの会計を済ませ、アンドリューは立ち上がりました。
「いかがでしたか」と、支配人がやって来て言いました。「お口に合いましたでしょうか?」
アンドリューは答えました。「いただいたワインは、タンクに入っています。後で松宮凖教授が飲むことになっています。彼の感想を聞いておきましょう」
「料理のほうは?」
「これも別のタンクに入っています。あとで松宮凖教授が食べると思います」
「でもそれは…、アンドリュー様の体内ですべての料理が混ざってしまっているのではありませんか」
「そうですね。でも構いません」と、アンドリュー。「松宮凖教授にはそんなこと分かりはしませんから」

分かるっつーの!

◆◆◆

数ヶ月後、日本食育大学から
「アンドリューの食育レストランガイド」
が出版されました。

中身は
「ヘルシー編」
「教育編」
「地産地消編」
に分かれていました。

「ヘルシー編」
カロリーが低かったり、有機食材の比率が高かったり、添加物が少なかったり、そういうメニューを出す店を評価しています。

「教育編」
学びながら食べる、そういうイベントを積極的に開いているレストランを評価しています。

「地産地消編」
フードマイレージの低いレストランを評価しています。

フードマイレージの高い店のランキングも載っていました。
フランス料理店「ダイバスター」は、ワースト1になっていました。

…。

その後、
「アンドリューお断り」
の店が増えましたとさ。

 

 

 

<おススメの1冊>

「コンビニ弁当16万キロの旅―食べものが世界を変えている」
http://astore.amazon.co.jp/shokuikuprodu-22/detail/4811807529

コンビニ弁当16万キロの旅―食べものが世界を変えている

 

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