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2008.02.09 09:37

牛乳に相談かも 後編

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松宮園生です。

前回のあらすじ)
牛乳の神様にムリヤリ牛乳を飲まされ、
手足が異常な長さまでニョキニョキ
伸びたモンスター松宮。
そのうち首も伸びはじめました。
もとに戻るため、牛乳の神様を探して
松宮(の首)は冒険の旅に出たのでした。

(参考映像:「遊星からの物体X」)←またかよ。

◆◆◆

窓の外に伸びた右手は、電柱に巻きついたり地下にもぐったり、電線に絡まったりしなから先へ先へと続いていました。
それをたどる松宮の首もどんどん伸びつづけます。

松宮を目撃した人は次々と失神しました。
無理もありません。
何キロメートルもあるろくろ首を見たら、フツー失神します。

ちなみに松宮の胴体が横たわっているボロアパートは東京都の中野区というところにありました。
そこから右腕がどの方向に伸びていたかというと、
中野→池袋→大宮→
という方向です。
これは「北上」していることを意味します。
関越自動車道をぐるぐる巻きにしたり、新幹線に巻きついたりしながら、どんどん北に伸びつづけています。

ということは、牛乳の神様のいう「海岸」というのは、北の海岸、つまりどうやら日本海を意味するようです。
それって、東京から400キロメートルのかなたです。
そんなところまで右手が伸びているのか?

◆◆◆

伸びていました。
右手をたどって数時間後、何百人もの失神者を出しながら、松宮(の首)は寒風吹きすさぶ日本海の海岸に到着。
そこに牛乳の神様を見つけました。
松宮の右腕の先端(=右手の手のひら)もそこにありました。
右手は、神様の細い足首をぎゅっと握っていました。

「こういうわけじゃ」神様は言いました。「手を離してほしいんじゃが、離れん」
「すみません。体が言うことを聞いてくれなくて」
「教育がなっとらんな」
意味不明なことを言う神様。

「ところで神様」松宮は言いました。「僕の左手と、両足は、どこに伸びているんでしょうか?」
「そうさなあ。お前の膝を広島で見たぞよ。右足の膝か、左足の膝かは分からぬが」
「そうすか…」
「まあどこでもよいではないか」神様は言いました。「では今から呪文を唱えよう。手足は縮んでもとどおりになるはずじゃ。これからは嫌いな牛乳も我慢して飲め」

牛乳の神様は深呼吸し、呪文を口にします。
「ラミパス、ラミパス、ルルル…」

そのときです。
異様な感覚が松宮を襲いました。

◆◆◆

折しもその日はバレンタインデーでした。
松宮の彼女がチョコレートを持ってやってきました。
松宮のアパートのドアを開け、
「お待たせー」
とかなんとか可愛く言いながら部屋にあがる。

すると、そこに松宮の変わり果てた姿を発見。
一瞬の間をおいて、絶叫する彼女。

間もなく、警察と消防署と葬儀屋とマスコミが集まってきました。
それから近所のオバサンやらガキどもやらが、どっと押し寄せました。

「東京都中野区から中継しています」
レポーターがテレビカメラに向かってまくしたてています。
「ここにある謎の生き物が、行方不明になっている松宮園生さんとどういう関係になっているのかは明らかになっておりません」

別のレポーターがしゃべっています。
「埼玉県や長野県でろくろ首が目撃されており、捜索が進められています」

そのときです。
野次馬のなかから数人の悪ガキが飛びだし、松宮のベッドに近づきました。
ガキどもはなんと、松宮のボディーをくすぐり始めました。

◆◆◆

「ぎゃはははは」
たまらず笑いだす松宮。「ぎゃはははは。やめてくれ、やめてくれ」
日本海でやめてくれと叫んでも、その声は東京には届きません。

激しくくすぐり続けるガキども。
笑いながら涙を流す松宮。
驚いて呪文を中止する神様。

「ぎゃはははは。苦しい。ひいい」

地震のような揺れがありました。
ついに松宮の四肢が暴れはじめました。
あまりのくすぐったさに、手足が動きだしたのです!

全国いろんなところに複雑に絡んだ手足が、いっせいに暴れだしました。
その結果、
電柱は倒れました。
建物は崩れました。
電線は火花を散らし、民家は炎上しました。
高速道路は倒壊したした。
新幹線は横転しました。

◆◆◆

…。

日本の国土は焼け野原になりました。

あちこちに煙があがっています。

笑い疲れてぜーぜー喘ぐ松宮。
ガキどものくすぐり攻撃は止んだようです。

牛乳の神様はというと、どこかに消えていました。
それもそのはずです。
神様は足首を松宮の右手に握られたまま、ジッタンバッタン振り回されたわけですから。
今頃どこかで瓦礫の下敷きになっていることでしょう。

「オレのせいじゃねえからな」
松宮はつぶやきました。
「オレは知らんぞ。牛乳のせいだからな、オレはなんも知らねえ」
やがて松宮はおいおいと泣きはじめました。

上空を飛んでいた鳥が、「アホー」と一声たかく、夕陽の方向に去っていきました。

(完)

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