松宮園生です。
いまから40年近く昔のことですが、ハーバード大学の
メイヤー教授という人が
「夫を早死にさせる10ヶ条」
というのを発表しました。
1) うんと太らせる
2) 酒をじゅうぶんに飲ませる
3) 砂糖・菓子は好きなだけ食べさせる
4) じっと座らせて、運動不足にさせる
5) 動物性脂肪をたっぷり取らせる
6) 塩辛い食事に慣れさせる
7) コーヒーをガブガブ飲ませる
8) タバコをどんどん吸わせる
9) 夜更かしをさせる
10) 休暇は取らせない
あとは朝から晩まで文句を言っていじめる。
それって10ヶ条じゃなくて11ヶ条じゃん。
まあいいか。
要するに、この10ヶ条の逆をすることで長生きしよう、というメッセージなわけです。
◆◆◆
昔々あるところに、小さなショッピング・モールがありました。
その一角にこれも小さなスーパーマーケットがありました。
スーパーマーケットの店主はラリー・サイモンズという名前の、気のいい爺さんでした。
いつもニコニコと接客していましたが、商売のほうは可もなく不可もなく、という感じだったようです。
ある日、スーパーマーケットのなんと隣に、
「レイモンド・クールマン」
という地産地消タイプの自然食品店ができました。
自然食品店の世界って、巨大チェーン「ホールフーズ・マーケット」のひとり勝ちかなと思っていましたが、地域に密着した店などは根強く生きています。
(ホールフーズ・マーケットについては→ 「農業コンチネンタル その2 怒涛編」 2007年5月5日)
慌てたのはスーパーマーケットの店主です。
かたや普通の食品、かたや自然食品、という違いがあるとはいえ、隣にライバル店が誕生したのですから、心中おだやかではありません。
案の定、客足は自然食品店のほうになびき、スーパーマーケットの売上はがた落ちしました。
経済の世界も弱肉強食です。
自然食品店側はコンサルタントを雇い、スーパーマーケットを潰しにかかります。
コンサルタントのアイデアで、「レイモンド・クールマン」の店内あちこちにこんなポスターが貼られました。
<メイヤー教授もうなずく、夫の命を縮める食品ワースト3!>
ワースト1位: トランス脂肪酸たっぷり食品
ワースト2位: 精製された砂糖たっぷり食品
ワースト3位: 塩分たっぷり食品
どこかの店と違い、当店にはこんな商品はいっさい置いておりません。
安心して買える店、レイモンド・クールマン!
スーパーマーケットの店主は頭を抱えました。
「ウチの商品はこんなのばっかりだ…。どうしよう」
◆◆◆
半年後…。
ラリー・サイモンズ爺さんのスーパーマーケットはまだ潰れずに生き残っています。
それどころか、以前より繁盛しているように見えました。
「おかしいな」
首をかしげたのは自然食品店のオーナー、レイモンド・クールマン氏でした。
コンサルタントの発案したあのポスターを貼って以来、来客が増え、自然食品店の売上はアップしていました。
ポスター作戦は成功したわけです。
なのに、スーパーマーケットが潰れずに繁盛しているのは、どうも解せません。
クールマン氏は、コンサルタントに調査を頼むことにしました。
数日後、女装したコンサルタントがクールマン氏の前に現れました。
「クールマンさん、隣が繁盛している原因が分かりました」
「ていうか、なんであんたは女装してるんだ?」
「女装してはじめて分かったんですよ。…隣の爺さんですがね、男性客には何も渡さないのですが、女性客にはこんなチラシを渡していたんです」
コンサルタントは手に持っていたチラシを、クールマン氏に見せました。
それにはこう書いてありました。
隣に置いていないものをお探しの奥さん、当店でどうぞ!
「もうひとつ報告があります」コンサルタントは続けました。「あなたの若奥さんですが、隣で山のように買い物してましたよ」