松宮園生です。
(このシリーズの説明)
繁栄にあぐらをかき、飽食をむさぼる先進国。
彼らに鉄槌を下すことにした全能の神様は、
「ウエルネス天国」
「メタボ地獄」
を作りました。
* ストイックに生涯を全うしたらウエルネス天国行き。
* 飽食におぼれメタボのまま死んだらメタボ地獄行き。
現世でもメタボを迫害する動きが現れてきました。
(例)
* 「メタボ撲滅同盟ニキータ」という秘密結社が、メタボの暗殺を始めました。
* 「メタボ警察」がメタボを捕えて「メタボ裁判」にかけ、有罪になると「メタボ刑務所へ」…。
* 萌え系管理栄養士の阿部マリエは大勢のメタボ男性を救いましたが、暗殺されてしまいます。
* 阿部マリエ亡きあと、彼女を敵視していた昭和型管理栄養士、佐久間象子が闊歩しています。
このシリーズ(21世紀神様の悩み)は、そうしたちょっとすごく怖い時代を懸命に生きる人々を描く、壮大なヒューマン・ドラマです。
(そうだっけ?)
◆◆◆
「メタボメジャー」
という種類の巻尺があります。
ホントにあります。
売ってます。
ただの巻尺ではありません。
短いのです。
メタボかどうかを判定するためだけに作られています。
* 男性の腹回りが85センチあるかどうか
* 女性の腹回りが90センチあるかどうか
を測るためだけに存在しています。
ですので、この巻尺、90センチより長いものを測る必要がありません。
だから短い。
フツーに考えると、
「短い巻尺より、長い巻尺のほうがいろいろ測れて便利だよなあ」
ですよね?
わざわざ短い巻尺を商品化して、どうすんの?
…と、僕もかつては思っていたのですが、このメタボメジャー、1部のマニアの間で売れています。
何のマニア?
◆◆◆
さて、阿部マリエ亡きあと、我が物顔で世間をのっしのっし(←死語)と歩き回る、おなじみ怒り肩の管理栄養士、佐久間象子。
すっかりこのブログの主要キャラになってしまいました。
その佐久間象子が乗っていた新幹線が、名古屋駅に停止したまま、いつまでたっても動きませんでした。
車内放送がありました。
「車掌室からお知らせいたします。乗客の皆様。先ほど、メタボが車内に紛れこんでいるとの通報がありました。現在、メタボ警察による捜索が行われております。いましばらくお待ちくださいませ。お急ぎのところ、まことに申訳ございません」
ざわつく車内。
「メタボ狩りだ…」
「メタボ狩りが始まった…」
乗客のあいだに、怯えたささやきが伝播します。
しばらくして、佐久間象子のいる6号車にメタボ警察が入ってきました。
警官の手には「メタボメジャー」が握られています。
警官は乗客をひととおり見回すと、目標を佐久間象子に定め、彼女の席に近づいてきました。
「な、なんですか」佐久間象子は不快感を隠さずに言いました。「わたしはメタボではありません。管理栄養士であり、栄養教諭、フードコーディネーターでもあります」
「…」
「それだけではありません。食育必死講座1級、食育プリーチャーの資格も持っています」
「…」
「それだけではありません。食育推進士はムラサキ合格しています。加えて、炭水化物のソムリエでもあり、日本カルパッチョ協会認定カルパッチョ講師でもあります」
「…」
「そんなわたしを、メタボだと言うのですか?」
「おそらくメタボではあるまいと思いますが」警官は落ち着き払って答えました。「念のためメタボメジャーで測定させてもらいたいのです」
「し、失礼な! わたしは管理栄養士なんですよ。人々がメタボにならないように食事指導をする立場にあるんですよ。聖なる職業を侮辱するにもほどがあります」
「疑わしい人を測定して疑いを晴らすのも我々の責務です」警官は引きませんでした。「測定を拒否されるなら、公務執行妨害になりますが」
佐久間象子はしぶしぶ、測定に合意しました。
「では失礼」
そう言って警官は、メタボメジャーを延ばしました。
「あのう」
「何でしょう」
「質問があるのですが」と、佐久間象子。
「何でしょうか」
「どうしてそのメジャーを、わたしの顔に巻いているのですか」
◆◆◆
このように、メタボ警察の
「メタボ狩り」
が日々、厳しくなってきました。
大勢のメタボが家族や恋人から引き離され、メタボ刑務所に収容されました。
「メタボ狩り」に遭うのはどういうわけか男性がほとんどです。
(なんとなく分からないでもありませんが)
しかし、メタボ側も負けてはいません。
生活改善してスマートな体を目指せばいいのに、そんな努力は棚上げし、日本政府の
「メタボ政策」
に反対しはじめました。
「自由脂肪党」
という政党を作ったのです。
総選挙がありました。
自由脂肪党は意志の力に恵まれない男性有権者の圧倒的支持を得、大躍進。
その結果、メタボをめぐって世論は2分され、メタボ容認派・メタボ撲滅派のあいだで激しい論争が起きました。
それがついに内戦にまで発展したのです。
どうなる日本?!
(以下次号)