松宮園生です。
日本食育大学のロバート・シトピッチャン教授。
食育ロボット「アンドリュー77型」生みの親です。
そのシトピッチャン教授が、保健指導の新システムを開発し、
評判になっています。
アンドリュー77型についてはこちら
「食育ロボ発進! 前編」
「食育ロボ発進! 後編」
保健指導についてはこちら
「ホケンシドー年代記 その1」
◆◆◆
「次のかた、どうぞ」
「あ、どーも」
「メタボ松宮さんですね」
「松宮ス」
「メタボ松宮さんの保健指導を担当します、管理栄養士の生田といいます」
「よかった。佐久間象子じゃなくて…」
「何かおっしゃいましたか」
「いえ、独り言です」
「保健指導を受けるのは初めてですか?」
「は、初めてス」
「よかった…」
「えっ?」
「いえ、独り言よ。じゃあ、さっそく。パソコンの画面を見てくださる? これはね、保健指導の最新のシステムなんです」
「これですね。あ、オレが映ってる」
「似てるでしょう。CGよ。自分の姿を見てどう思う?」
「なんかメタボでカッコ悪いス」
「でしょう?」
「生田さんみたいな美人に言われたらショック」
「まあ、美人だなんて」
(中略)
「それではまず、なりたいご自分の体型を選んでください」
「マッチョかスリムか選ぶわけですね。マッチョはどうせムリだから、スリムを選びます」
「じゃあ『スリム』をクリックして頂戴」
「クリックしました。なにかメッセージが出ました。なになに、『好きな数字は何ですか?』 ここに数字を入れればいいんですか」
「そうよ」
「どうしようかな。生田さん、決めてくれませんか」
「そうねえ。メタボ松宮さんの好きな食べものは何?」
「それはやはり男ならラーメンでしょう」
「醤油」
「ビンゴ。ラーメンは醤油に限る」
「じゃあ、2にしましょう」
「ラーメンだと2になるんですか」
「特に決まりはありません」
(松宮、こける)
「2でいっか。『2』と。あ、またメッセージが出ました。『スポーツは好きですか』 …つってもオレはインドア派だしなあ。『いいえ』にしとこう」
「メタボ松宮さんあなた、スポーツ嫌いなの。それじゃあモテないわねえ」
「大きなお世話っス。…またメッセージ出ました。『睡眠はよく取れてますか』…正直、あんまり寝てないス。また『いいえ』になっちゃった」
「働く日本人は忙しいものね」
「さすが生田さん。サラリーマンのこと、よく分かってる。美人は違いますね」
「まあ、美人だなんて」
(中略)
「またメッセージ出ました。『好きな食べものは何ですか』…『ラーメン』と。あれ、またメッセージだ。『醤油ですか』だって。…ははは、さっきの会話といっしょじゃん。『ビンゴ』と。あっ、紙が出てきました」
「読んでみて」
「えっと、『スポーツ嫌いで醤油ラーメン好きのメタボ松宮さんを2週間でスリムにするプログラムが完成しました。この紙を持ち帰り、自宅で待機してください。インストラクターが松宮さんを訪問します』。…ええっ、誰か今晩ウチに来るわけ?」
「そうよ」
「ひょ、ひょっとして生田さんが…?」
「さあ、誰かしら」
「ま、マジ? 美人の生田さんが今晩ウチに来てくれるの? やったー! じゃあさっそく、部屋を掃除して待ってますね」
「まあ、美人だなんて」
(中略)
◆◆◆
「い、生田さん…。こないだ保健指導してもらった松宮です」
「おやまあ、どうしたの」
「どうしたもこうしたもありません。生田さんが来てくれると思って楽しみに待っていたのに、来なかったじゃないですか」
「ごめんなさいね」
「せっかくウチに美人が来るって思ってたのにさあ」
「まあ、美人だなんて」
(中略)
「生田さんの代わりに、ロボットが来やがったんです」
「そうでしょ。始めからそういうシステムなの。言わなかったかしら?」
「最新のシステムだという話は聞いたけど」
「パソコンで入力すると、健康プログラムが自動でできあがるの。そのプログラムをインストールされたロボットが、松宮さんのところにお邪魔するんです」
「それはいいけど、あのロボットはひどいスよ。オレの首根っこをつかまえて強制的にマラソンさせるわ、ラーメン食べようと思ったら首根っこをつかまえて妨害するわ、夜9時になったら無理やり消灯して、朝5時に人をたたき起こすわ、、逃げようと思ったら地の果てまで追ってくるわ、壊そうと思ったら電気ショックで対抗してくるわ、この2週間、大変だったんですよ」
「いいじゃないの。それのどこがいけないの」
「いや、だって、ちょっと過激じゃないスか。死ぬかと思いましたよ」
「そりゃそうよ。だって松宮さん、あなたは2週間でスリムになるプログラムを選んだんだから。死ぬくらい過激じゃないと、2週間でスリムになるなんて無理でしょ」
「でもそれ、好きな数字を入力しろと言われたから入れたわけだし、2に決めたのはオレじゃなくて生田さんじゃないスか」
「男のくせに細かいことを言うのね。スリムになれてよかったじゃないの。それをくどくど…」
「あっ、ス、スミマセン…。でも美人は怒っても美人ですね」
「まあ、美人だなんて」
(中略)
「あのー」
「なあに、松宮さん」
「美人ついでにと言ってはなんですが、これを縁に、オレとおつきあいなんて、やっぱ無理っすよね」
「無理です」
(うなだれる松宮)
「あのー」
「なあに、松宮さん」
「最新のシステムって、オレが自分でパソコンに入力したら、健康プログラムが出来て、ロボット先生が家に襲…やってくるわけっスよね」
「そうよ」
「生田さんは、何をするんですか?」