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2008.01.03 10:56

食育至上主義人民共和国 その4

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松宮園生です。

前回←2007年11月30日 までのあらすじ)
ザイオン共和国。
モーフィアス大統領の強力な独裁のもと、
* 食育軍隊
* 食育秘密警察
* 食育至上主義による教育制度
が整えられ、食育大国としての地位を着々と築きつつありました。

ザイオン共和国のあらましについてはここをクリック。
「食育至上主義人民共和国 その1」 (2007年10月25日)

◆◆◆

そんなザイオン共和国の、ある秘密の部屋。
キャメロン・ディアス似の女と、松宮園生が、なにかプレイをしています。
「あなた、JAS有機の定義、ちゃんと言えないんですって」
「う…」
「おまけに、アオリイカとヤリイカの区別がつかないんですってね」
「ぐぐ…」
よろける松宮園生。
壁にしがみつき、倒れそうな体を支えます。
「そんなんで日本食育大学の准教授だっての? 笑っちゃうわね」
追い討ちをかけるような言葉に、松宮はついに倒れこんでしまいました。
「なにやってんの」女は言いました。「立ちなさい」
「た、立てません」
「そんなことで立てなくて、どうすんの」
しかし松宮の目はさっきからぐるぐる回っていました。

◆◆◆

話は数か月前にさかのぼります。
ザイオン共和国が食育大国になってゆくにしたがい、国民のあいだでストレスが蔓延してきました。
* 早寝早起き
* 朝ごはんをしっかりと
* 「いただきます」「ごちそうさま」を心をこめて言い
* 食についての勉強を怠らない
* 地産地消を心がけ
* 料理は手作りが基本
* 家族団らんをしっかり守る
この「掟」はザイオン共和国の憲法となり、背いた者は矯正施設に送られました。

ところがです。
こんな生活を毎日続けて幸せな人の数は、じっさいは国民の5パーセントくらいでした(※)。
逆に、この生活に逆らって矯正施設に送られる人(※※)の数も5パーセントくらいいました。
残り90パーセントの人々は、
「なんだかなあ」
と思いながら政府の指導に従っていたのでした。
そのストレスが徐々にたまってきて、だいぶ疲れてきたのです。
ちょっとしたことで、心身喪失するようになりました。

(※)業界では「昭和な人々」と呼ばれています。
(※※)「朝ごはんラプソディ」(2007年12月11日)を参照ください。

「食育いじめ」も横行しました。
「食育いじめ」とは、上手に食育できていない人を言葉でいじめることです。
* 朝ごはんを食べない人をからかう
* 「いただきます」「ごちそうさま」をよく忘れる人をからかう
* 食の知識が足らない人をからかう
* 地産地消のできない人をからかう
* 料理の下手な人をからかう
* 家族団らんのできない家族をからかう

(例)
いじめっ子「やーい、おまえ今朝、中国からの輸入野菜を食べたんだって?」
いじめられっ子、わなわなと震えだし、その場にへたり込む。
こんな感じです。

からかわれた人は、すぐに心身喪失し、その場で気を失ったりしました。
試しにあたなもザイオン共和国に行き、そのへんを歩いている人にこう言ってごらんなさい。
「おまえさん、ザイオン共和国の国民のくせに3大栄養素ってなにか言えないんですって?」
その人はショックのあまり、その場で倒れこむことでしょう。

先月は「食育いじめ」による死亡事件が発生しました。
心身喪失が高じて、心臓発作を起こしたのです。
ここに来てザイオン共和国政府は「食育いじめ」を禁止し、いじめの加害者は矯正施設に送られることになりました。

どうなる、ザイオン共和国?

◆◆◆

話はプレイの場面に戻ります。

やっとのことで起きあがった松宮。
その松宮に対し、キャメロン・ディアスの攻撃は続きます。「あなた、こないだまでアボカドのことを、『カ』に点点をつけてアボガドって言ってたでしょ」
「うぐぐ」松宮は両手と膝をつき、口から泡を吹きました。
女は肩をすくめました。
「だめね。…今日のレッスンはここまでにしましょう。これ以上はちょっと無理みたいだし」
松宮は大きく息をしながら再び立ちあがりました。
「まだまだ」と、松宮。「教官あんた、バターじゃなくてマーガリン派だったんだってな。トランス脂肪酸のことを聞いて腰を抜かしたらしいじゃん」
今度は女のほうがよろけました。
「へへへ、やったぜ」矢吹ジョーの口調をマネる松宮(←昭和か)。「いまのは効いたろ」
しかし彼女はよろけはしたものの、踏みとどまりました。
ニコ、と愛らしく微笑むと、こう返しました。「でもあなたは、日本食育大学の准教授のくせに料理ができないんですってね」
これは効きました。
松宮の体は勢いがなくなったコマのように不格好に回転し、ばったり倒れてしまいました。

ここは食育秘密警察の訓練施設。
この国でも殺し屋の訓練は厳しいのであります。

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