松宮園生です。
テケテケ村からこんな案内が来ました。(※)
↓↓↓
バーチャル農業の決定版!
農業天国テケテケ村にあなたの畑を
持ちませんか?
畑とあなたをインターネットで結びます。
畑はテケテケ村がしっかり管理します。
あなたは自宅にいながらパソコンで野菜を
育ててください。
ゲーム感覚で野菜を育てるのです。
テケテケ村はあなたがパソコンに指示したとおり、じっさいに野菜を育てます。
収穫のころ、テケテケ村に遊びにきてください。
プロの農家と一緒にあなたの野菜を収穫。そのあとはお持ち帰りもよし、農家レストランでクッキングもよし。
ハッピーレッツアグリ!
↑↑↑
最後は何だかへんてこな(←死語)英語でしたが、まあ目をつむるとして、さっそく試してみました。
(※)テケテケ村についてはここをクリック。
「農家の嫁と山羊のメリー 前編」 2007年5月31日
◆◆◆
のURLにアクセス。
会員登録をし、ゲーム代金をクレジットカードで払いました。
いよいよ農業開始。
まず、画面にこんな文字が。
「何を植えますか。選んでください。フェヌグリーク、ハゲイトウ、カキノモトヒトマロソウ」
は?
知ってる野菜にしてくれよ。
…つっても、これしか選択肢がないんだったら、しかたねえ。
カキノモトヒトマロソウにするか。(※※)
(※※)カキノモトヒトマロソウについてはここをクリック。
「エス・ユー・エス・エイチ・アイ」 2007年8月22日
こんなメッセージが出ました。
「鍬を操作して土を耕してください」
画面に鍬が現れました。
テキトーにクリックすると、鍬が畑を耕しはじめました。
「ぎゃあ!」
大きな音(声)がしました。
鍬が、昼寝しているオジサンを真っぷたつにしてしまったようです。
なんでそんなところにオジサンがおんねん?
パトカーのサイレンの音が近づいてきました。
画面にはこんな文字が。
「あなたは人間を殺(あや)めてしまいました。早々とゲームオーバーです。もういちど最初からゲームを始めますか?」
早々と、は余計だよ。
つーかこの結末は何だよ。
◆◆◆
再度ログイン。
もういちど代金を払い、農業開始です。
今回もカキノモトヒトマロソウを選択。
「鍬を操作して土を耕してください」
ここからが勝負だ。
画面をよく観察すると、畑の随所に「危険箇所」があることが分かりました。
たとえば昼寝しているオジサンの足が、たしかに見えています。
さっきはろくに注意も払わずに鍬を動かしてしまったので、惨劇が起きたのでした。
ほかにも、地雷みたいなものが見えます(←なんで地雷があんねん!)。
文句を言ってもしかたありません。
ようし、ここは注意深く。
ひととおり耕したかなあ、と思われるころ、ビバルディの「春」のメロディーが流れました。
画面にはこんな文字が。
「作業完了。よくできました。次は、種を植えましょう」
耕すステージはクリアしたようです。
画面に「手」が現れました。
「手」をクリックするたびに、種がまかれます。
どうやら、「手」を移動させながら、種をまいていくようになっているらしい。
種をまいていると、突然、轟音がし、画面が真っ赤になりました。
それから、真っ暗になりました。
僕のウインドウズ・ビスタはよく画面が真っ暗になることが多いですが、今回真っ暗なのはウインドウズ・ビスタのせいではなかったようです。
というのは、充満していた煙がすうっと雲散霧消するかたちで、画面がもとに戻ったからです。
しかし画面のなかの畑は破壊されていました。
あちこちで火が燃えています。
さっきの「真っ暗」というのはやっぱり煙だったようです。
な、なにがあった?
「あなたのまいた種が、地雷に当りました。ゲームオーバーです。もういちど最初からゲームを始めますか?」
そんな文字が浮かびあがり、パトカーのサイレンの音が近づいてきまし◆◆◆
ムキになった僕は、その後もゲームを繰り返しました。
ゲームの展開はこんな感じです。
* 「農薬を使わない」を選択したら雑草が繁殖。
懸命に抜いていたら、また地雷を踏む。
→ ゲームオーバー。
* ふたたび「農薬を使わない」を選択。
地雷に気をつけながら雑草をぬく。
しかし突然、グンタイアリの大群が押し寄せ、あらゆるものを食べつくしてしまう。
→ ゲームオーバー。
ちなみに、昼寝していたオジサンは白骨化してしまいました。
* 作戦変更して、「農薬を使う」を選択。
しかし農薬を撒いたら、昼寝していたオジサンがいきなり起き上がり、携帯電話で誰かに電話。
たちまち警察がやってきました。
警官のセリフ:「おまえを農薬取締法違反で逮捕する」
通報したオジサンのセリフ:「あんたは許可されていない農薬を使ったんだよ。ポジティブリストを知らんのか?」
→ ゲームオーバー。
ポジティブリストというのは、許可されている農薬のリストのことですが、許可されていない農薬がゲームの中にあるなんて、おかしくね?
ていうか、このオジサン、こないだ死んじゃったオジサンとは違う顔でした。
…そんなことを1か月も繰り返す。
もはやヤケクソです。
毒を食らわば皿まで。
ここでやめたら男がすたる。
(もう、すたってるよ)
1ヶ月という時間を使い、ゲーム代金を払うために貯金をはたき、目の下にクマを作った僕。
カキノモトヒトマロソウは、いつになったら育つのか?
◆◆◆
それでも苦労は実るものです。
ある日、画面についにこの文字が出ました。
「おめでとうございます。あなたのカキノモトヒトマロソウは収穫にこぎつけました。テケテケ村は松宮様を収穫体験にご案内します。来訪ご希望日をお知らせください。ハッピーレッツアグリ!」
つづいて「収穫申込フォーム」が画面にあらわれました。
やったぜ。
1か月の苦労が報われた…。
涙がでてきました。
酷使されたパソコンが、シューシュー音をたてています。
数日後、僕はお気に入りのベレー帽をかぶり、いそいそとテケテケ村に出かけました。
2両編成の列車でテケテケ駅に到着。
乗客は僕だけでした。
改札を出ると、人だかりがしています。
僕の歓迎式典か?
気をつけてよく見ると、なんだか雰囲気がおかしい。
皆、僕を、にらみつけています。
村長みたいな人が僕に近づいてきました。
「松宮ってのは、あんたかい」
「はあ、そうですが…」
「あんた、村の畑をめちゃくちゃにしやがって」
「は?」
後方にいた女の人が、憎しみのこもった声で言いました。
「あの人を返して!」
小学生の女の子が叫びました。
「お父さんを返して!」
「は?」
サイレンの音がし、パトカーが到着。
踊る大捜査線の青島刑事みたいな人物があらわれ、僕にいきなり手錠をかけました。
「松宮園生だな。神妙にしろ」青島刑事は言いました。「三隅勇造さんを鍬で殺害したな。爆薬を使って畑を損壊したろ。それからグンタイアリに襲われた三隅幸次さんを見殺しにした。それから農薬取締法違反だ。許せねえ。おまえを逮捕する」
「は?」
「事件はパソコンで起きてるんじゃない。現場で起きているんだ」
ゲームオーバー。
(続編は、ないと思います)