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2007.12.14 02:16

タイヘンダン その4

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松宮園生です。

(前回の内容を知りたい方はここをクリック)

* 日本に食品を輸出したいアメリカ企業
* アメリカから食品を輸入したい日本企業
この両者の仲介をするのが僕の仕事です。

さて貿易って異なる国どうしの取引なわけで、
使う言葉が違いますよね。
ですので、コミュニケーションはいつも面倒です。

でも、そのほかにもいろいろヤヤコシイことがあります。
何がいちばんヤヤコシイかというと、買い手と売り手が何千キロも離れていることです。
そのせいでいろんな手間が生じます。
たとえば…。

◆◆◆

日本のテケテケ食品株式会社がアメリカのグーフィー食品株式会社に電話をしたとしましょう。
「グーフィー食品のギークです」
「ギークさん? こちらテケテケ食品の高橋です。おたくのドライフルーツを1000ケース買いたいんだけど、いくら?」
「2万ドルです」
「もう少しまかりませんか」
「では 1万9000ドルでいかがですか」
「よござんす。それでよろしく」
「お買い上げありがとうございます」

数日たちました。
「もしもし。テケテケ食品の高橋ですけど」
「グーフィー食品のギークです。先日はお買い上げありがとうございます」
「何言ってるんですか。待てど暮らせど荷物が来ないじゃないですか」
「ご注文の品はわが社の倉庫にちゃんと置いてありますよ。テケテケマークを貼ってありますから、すぐに分かります。いつでも引き取りに来てください」
「は? 引き取りに行かなくちゃいけないんですか? 運んできてくれるものだとばかり思ってました」
「おやおや。引き取りに来られるものだとばかり思ってました」
「あははは」
「あははは」
2人は親友になりました。

友情はいいけど、問題が残ります。
要は、売り買いするだけじゃなくて「品物を運ぶ」ことを考えなくちゃいけないわけです。
誰がどうやって運ぶのか。
これを決めないと、いつまでも「あははは」と笑い続けなくてはいけません。

「ではこうしましょう」ギーク氏が言いました。「わたしのほうで運送会社に電話しておきます」
「よろしくお願いします。ではさようなら」
「さようなら」

数分後、今度はギーク氏が高橋氏に電話をかけます。
「ハロー。グーフィー食品のギークです。高橋さんはいらっしゃいますか」
「高橋です」
「さっきはどうも」
「どうも」
「あのう。運送会社を手配すると言いましたが、で、どこに運ぶように運送会社に言えばいいですか?」
「あっ、うっかりしてましたね。あははは」
「あははは」
「えっと、ウチは千葉県袖ケ浦市にありますので、そのへんまでもってきてください」
「分かりました。そのように言います。さようなら」
「さようなら」

◆◆◆

「もしもし。テケテケ食品の高橋です」
「グーフィー食品のギークです。品物は届きましたか」
「何言ってるんですか。待てど暮らせど来ませんよ」
「それはお気の毒です。それが何か?」
「どうなっているんですか」
「どうなっているかと聞かれても…。先日運送会社が来まして、品物を引き取っていきましたよ」
「しかし現実に荷物が来ていないんです」
「それって悪いのは運送会社ですよね」
「それはそうですが、おたくから運送会社に文句を言ってくださいよ」
「えっ。おたくから言ってくださいよ」
「なんですと! そういえば、いざというときにどちらが運送会社に文句を言うのか決めてませんでしたね」
「そうですね。あははは」
「あははは」
2人の友情はさらに深まりました。

「じゃあ、こないだはギークさんに運送会社に電話してもらったので、今度はわたし、高橋のほうから運送会社に連絡することにします」
「よろしくお願いします、高橋さん。ではさようなら」
「さようなら」

で、高橋氏が運送会社に電話をかけます。
「もしもし。シロイヌ運送です」
「テケテケ食品の高橋といいます。アメリカのグーフィー食品にドライフルーツを1000ケース注文しました。それが運ばれてくるはずなんですが、どうなっていますか?」
「少々お待ちください。…ああ、それでしたら、ロサンゼルスの港に置き去りにされていますね」
「えっ、どういうことですか?」
「荷物が大きすぎて、コンテナに入らなかったのです」
「そ、そんな…」
「おまけに、置き去りにされた荷物を誰も面倒みないので、ロサンゼルスの港湾当局がカンカンに怒ってて、犯人には保管料金を払わせるからな! とすごい剣幕です」
「じゃあすぐ保管料金を払ってください」
「それはテケテケ食品さんに請求すればいいですか?」
「ウチが払うわけないでしょう。知りませんよ」
「知らない? でしたら、わたしどもも手の打ちようがありません。わたしどもが払う筋合いのものではないですから」
「コンテナに入らなかったのはグーフィー食品さんの手落ちです。グーフィー食品に請求してください」
「わかりました。少々お待ちください」

「シロイヌ運送の小早川といいます。高橋さんはいらっしゃいますか」
「高橋です」
「グーフィー食品に問い合わせましたが、保管料金を払うつもりはないそうです」
「なんですと? あなたはそれですごすごと引き下がってきたわけですか?」
「当然です。この問題はテケテケ食品さんとグーフィー食品さんの問題です。わたしどもの問題ではありません」
「わかりました。ではわたしのほうでグーフィー食品と話します。いずれにせよ、保管料金はさっさと払って請求書をグーフィー食品に送ってください」
「それはできません。グーフィー食品が払ってくれるというまで、わたしどもは何もできません」
「むむむ…」

で、高橋氏はふたたびグーフィー食品に電話をします。
「もしもし。テケテケ食品の高橋です」
「グーフィー食品のギークです]
「困るじゃないですか。運送会社に聞いてみたら、荷物はロサンゼルスの港に置きっぱなしだそうです」
「その話はシロイヌ運送さんから聞きました。保管料金を払えと言われましたよ。断りましたが」
「なんで断るんですか。支払ってください。そして早く荷物をコンテナに積んでください」
「それは運送会社の仕事じゃありませんか」
「それはそうですが、困ります。責任のなすりあいをしてたら、いつまでたっても荷物はロサンゼルスに置き去りじゃないですか」
「置き去りですね。まいりました」
「こういう場合、どっちに責任があるかを決めておけばよかったですね」
「ほんとですね。あははは」
「あははは」
「…あ、ロサンゼルスの港湾当局から電話が入っています。そのままお待ちいただけますか?」
「分かりました」

1分たちました。

「お待たせしました」とギークが電話口で言いました。「大変なことになりました。ロサンゼルスで暴風雨があって、おたくの荷物が海に流されてしまったそうです」
「ええっ!」

◆◆◆

テケテケ食品の高橋氏。
注文したドライフルーツ1000ケースを受けとることができるのか?
次号、乞うご期待!

(以下次号)

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