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2007.11.30 17:04

食育至上主義人民共和国 その3

松宮園生です。

前回までのあらすじ)
ザイオン共和国で起きた、モーフィアスによる
「食育革命」
の影響を受け、日本にも
「日本あかるい食育党」
が誕生しました。
と想像してみてください。
(ザイオン共和国およびモーフィアスについてはここをクリック)

「日本あかるい食育党」の党首(なぜかちょっとメタボ)の選挙演説を聞いてみましょう。

◆◆◆

有権者のみなさあん。
わたくし、このたび衆議院選挙に立候補いたしました、「日本あかるい食育党」総裁、佐久間象子です。

わたくし、
* 管理栄養士
* 栄養教諭
* フードコーディネーター
なんですよ。
それから
* 食育必死講座1級
* 食育プリーチャー
* 食育推進士試験ムラサキ合格(←?)
* 炭水化物のソムリエ
* 日本カルパッチョ協会認定カルパッチョ講師
でもあるんですよ。
だからというわけじゃありませんが、わたくし、食育ならだれにも負けません。

(思いっきり「だから」って言ってるよ、この人)

みなさん。
日本は食育の国だって知ってましたか?
え、知らない?
ああなるほど、知らないんですね。
じつは日本は食育の国なんですよ。
だから食育が大事。
言われてみれば、そう思うでしょう。(←思うの?)
そのことを知らない人が多すぎる。
年金問題なんて食育の問題に比べたら、そんなのもう。
食育の大切さ、ひろく国民のみなさまに知らせなきゃ。
そう思って立候補したんですよ。

(年金問題を見下してるよ、この人)

日本は朝ごはんの国だって知ってましたか?
日本は朝ごはんの国なのです。
だから朝ごはんを食べないと、日本は日本でなくなるんですよ。(←そうなの?)
石油の値段が上がってる?
なにを言ってるんですか。
そんなの、地産地消しないからダメなんですよ。
国産の食べものを食べればフードマイレージが減って環境負荷も減って石油なんかに頼らなくったって何とかなります。
石油の値段が上がっても日本は大丈夫なんですよ。
でも朝ごはんを食べないで日本は大丈夫なんでしょうか?

(ずいぶんぶっ飛んだ質問です。返事に困りますね)

朝ごはんを食べるときは、家族団らんで、箸を上手に使い、いただきます・ごちそうさまを言うんです。
それが日本です。
知ってましたか?
家族団らんです。
個食はいけません。
命をいただくからいただきますなんですよ。
それに比べたら、防衛省の事務次官がああしたのこうしたの、大したことないじゃありませんか。

(そんなの比べろって言われても…)

みなさん。
食育って大事なんです。
それを広く伝えたい。
ニンジンにはリコピンがあるんです。
トマトにはナスニンがあるんです。
ナスにはビタミンC。
レモンにはカプサイシン。
トウガラシにはアリシン。
タマネギにはベータカロチン。
知ってましたか?
食育を勉強したら、こういうことが言えるようになるんです。
そしたら、凶悪な犯罪も減るんです。
素晴らしいとは思いませんか?

(野菜と栄養素の組合せ、1個ずつずれてるよ)

みなさん。
そして有機農業を大事にしましょう。
子どもたちをつれて有機農場に行きましょう。
命に触れて。
取れたての有機ピーマンのおいしさを伝えましょう。
知ってましたか?
それが日本です。
日本はお米の国です。
アイガモで作ったお米はおいしいんですよ。
お米のレシピはお任せください。
当選したあかつきには、国民のためにレシピを提供することをお約束いたします。

(欲しくありません)

日本あかるい食育党はこれからも国民の皆さんに食育の大切さを説いてまいります。
日本あかるい食育党。
わたくし、総裁の佐久間象子です。
佐久間象子。
佐久間象子。
みなさんの1票が、わたくしの食育活動の源泉でございます。

佐久間象子。
佐久間象子。
佐久間象子です。
佐久間象子を男にしてください。(←医者いけば?)
なにとぞ、なにとぞ。

皆さんの清き1票をお願いいたしまあす。

◆◆◆

<選挙結果 ★…当選>
★赤島幸雄(自民 新)   155,745票
★大池薔薇子(民主 新)  149,970票
葉竹乃木夫(無所属 新)    26,022票
小判ゆかり(無所属 新)     9,914票
(中略)
佐久間象子(食育 新)           6票

この結果に怒り狂った佐久間象子は、ますます食育に傾倒し、
「アーケイディア食育原理主義教団」
に入信、各地で
「学校給食の献立に異議あり!」
というビラをまくなど、「食育テロ」を起こすようになります。
人々は苦笑いをしながら、触らぬ神にたたりなしという呪文を唱えつづけましたとさ。

(アーケイディア食育原理主義教団についてはここをクリック)

◆◆◆

<エピローグ>

佐久間象子の獲得した6票のなかに松宮園生が含まれているのではないかという疑惑があがっています。
本人は強く否定していますが、警察による取り調べが淡々と進められています。

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2007.11.29 06:22

ハッピーホリデーズ

松宮園生です。

サンクスギビング(感謝祭)・ホリデーと
呼ばれる連休が明けました。
アメリカもこれからクリスマスの準備に
入ります。
サンクスギビングからクリスマスまでの
約1ヶ月は
「ホリデーシーズン」
と呼ばれています。
家々はクリスマスのイルミネーションに
飾られます。
住宅街によっては街ぐるみでイルミネーション
を派手にしている場合があり、それを見物に
来る人々でさながらちょっとした観光地
みたいになっています。

ふだん人と別れるときの挨拶は
「Have a nice day.(よい1日を)」
だったり
「Have a good week end(よい週末を)」
だったりしますが、この時期はそれが、
「メリークリスマス」とか
「Happy Holidays.(楽しい連休を)」
とかに替わります。

昨年の今頃ですが、クライアント企業がクリスマスパーティーをするというので、余興(←死語)として日本のクイズダービーもどきを企画してあげたら結構ウケました。
(クイズダービー、昭和のクイズ番組ですけど、みなさんご存じですか?)
で、今年も何かそこそこ大掛かりな余興を企画してくれと言われています。
さて何にしようかな。
気前のいいことに、今年は企画料(小遣い程度だけど)をくれるそうです。

◆◆◆

この時期は(日本もそうだけど)ホームパーティーが開かれることが多かったりしますね。
アメリカのヘルシー系の料理雑誌なんかを本屋で立読みすると、今年は
「ストレスフリー(ストレスのない)パーティー食」
というテーマの記事が目立ちます。

ふうん、今年はそういうパーティーが流行りなんだ。
日頃ストレスを抱えているゲストの方々のために、ヒーリング効果のある食事を出してあげたりするのかな。
最初はそう思いました。

ところが読んでみると違ってた。
こういうことでした。

「ホームパーティーなんて、実は面倒くさいのよね。料理作るのもヤ。ベジタリアンの人がいたらどうしようとか、考えなくちゃいけないし。後片付けもヤだし。ケータリングで済ませたいけど、そんなことしたらダンナがヤな顔するし…。ああ、考えただけで胃が痛い」
そう考える21世紀型ストレス主婦。
「今年も女房はパーティやりたいんだろうな。金がかかるからヤだなあ。胃がイテテテテ」
そう悩む21世紀型ストレス男性。
要は、けっこうみんな、パーティ開くのがストレスだと思ってるみたいです。
そんな本心はあんまり社交的でない人たちのための、
「準備・後片付けにストレスを感じず、かつ来客をがっかりさせないパーティ料理メニュー」
の提案記事でした。
つまり、ゲストじゃなくてホスト(ホステス)のためのストレスフリー食なのでした。

いろんなストレスがあるんだね。
ストレスも複雑化しています。

◆◆◆

会社がクリスマス・パーティを開く。
自社の社員だけじゃなく、その家族や友人、取引先の人々(+その家族や友人)も招いて賑やかにやる。
そういうパーティもアメリカではよくやってます。
「パーティ」と呼ばずに「レセプション」と呼ぶのが普通みたいです。
招かれた人たち(取引先の人々)は事前に招待状を受け取りますが、そこにも「パーティ」という言葉はなく、「レセプション」と書かれています。

その招待状の最後によく
「R.S.V.P」
と書かれています。
何これ?
ブランデーの名前?
最初は何のことか分からず困りましたが、
「出欠の返事をください」
という意味だそうです。
もともとフランス語のようなのですが、英語圏でも使われています。

さて、昨年そういう「レセプション」に出かけたときのこと。
年配の女性が立ち話をしていました。
久しぶりに会ったらしく、お互いの近況などを話していたようです。
その後、配偶者はどうしているかという話になりました。
「リックは先週亡くなったのよ」片方の女性が言いました。「夕食を作っている途中に、とつぜん心臓麻痺で倒れちゃって…」
「まあお気の毒。そうだったの…。それでどうしたの?」
「しかたがないじゃない。自分で作ったわよ」

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2007.11.27 18:32

食育体温計 ベータ

松宮園生です。

過去に何度か、
「食育体温計」
と称して
「アナタの食育萌え度合」
を診察させていただきました。
今回はその番外編です。

普段から疑問に思っているけど、そいえばいまだに知らないなあ。
そういうのを並べてみました。
だれか知ってたら教えてください。

疑問1。
■桃太郎を運んできた桃って、何という品種の桃?
(解説)
あんなに先の尖った桃は見たことないし、僕の知っている桃は水に浮きません。

疑問2。
■映画でみるガイジンって、恋人とか夫婦なのにときどき細長ーいテーブルの向こう側とこっち側に座って食事してるよね。
なんであんなに離れて座るの?
(解説)
相手に暗殺されるのを恐れてるのでしょうか?
でも、だとしたら暗殺してくる恐れがある相手と、なぜ食事するの?

疑問3。
■「千年のあいだ火を絶やしていない鍋」って、どこにあるの?
(解説)
中国のどっかにあるって聞いたけど、具体的にどこなのかを知ってる人に会ったことがありません。

疑問4。
■トルコ料理って、世界3大料理のひとつって言われるけど…。
a: 3大料理って誰が決めたの?
b: トルコ料理って、なんかあまり文化的な奥行きがそんなに感じられないんだけど、ホントに世界的に評価が高いの?
(解説)
べつにトルコ料理をけなしているわけではなくて、3大料理あつかいするほど凄い理由が分からないのです。

疑問5。
■牛乳、飲め・飲むなで論争してたと思うけど、その後どうなったの?
(解説)
たしか公開質問状とか、出てたよね?
「飲むな派」がはげしく「飲め派」を攻撃してて、「飲め派」が公開質問状を出して反撃したとこまでは知ってる。
その後のことが分からない。
早く勝負がついてほしいなあ。

疑問6。
■イチロー選手、野菜食べないってホント?
(解説)
こないだ、シアトルのテレビ解説者がそんなこと言ってた。
野菜食べなくても大リーガーになれるって「食育原理主義」の人たちが聞いたら、ショックだろうなあ。

疑問7。
■やっぱしさあ、ウコンって、ネーミングといい色といい形といい、ビミョーに間違った想像しそうですよね。
名前、変えたほうがいいと思うよ。
(解説)
誰にむかって言ってるの?
つーか、疑問になってねえ!

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2007.11.26 23:23

アマニ・ユニバース 後編

松宮園生です。

前回のあらすじ)
流しの料理人ラザフォードから、大量のフラックス
シードを2回も送りつけられた僕。
1回目はすぐに転売したのでよかったのですが、
2回目のは転売禁止になっていました。
そのため、アパートがフラックスシードの袋で
足の踏み場もないほどでした。

◆◆◆

フラックスシードは、アマニ(亜麻仁)ともいいます。
* フラックス=亜麻
* シード=仁(=種のこと)
です。
地中海地方原産の植物で、ヨーロッパでは「健康によい食べもの」として広く普及しているそうです。
日本人にはあまりなじみがありません。

日本人はゴマをよく食べますね。
じつはフラックスシードは、ゴマとよく似ています。
どちらも種を食用としています。
ゴマにはゴマ油があるように、フラックスシードにはフラックスシード・オイル(亜麻仁油)があります。
ゴマが日本人や中国人に愛されているように、フラックスシードはヨーロッパ人に愛されています。
おいしさ度・健康度も同じくらいの感じです。

たとえば

* 日本人ひとりあたりゴマを食べる量
* ドイツ人ひとりあたりフラックスシードを食べる量

この両者はほぼ同じだそうです。

カナダにサスカチュワン州というところがありまして。
ここがフラックスシードの最大の生産地らしく、サスカチュワン州の企業は何とかして日本人にゴマの代わりにフラックスシードを買ってほしいと思っています。
僕も相談を受けています、
しかし日本人に
「ゴマを捨ててフラックスシードを食え」
といっても難しいだろうなあ。

さて、アパートに送られてきた1トン分のフラックスシード。
25kg入りの袋が、40個もあります。
これをどうしようか。

ビールのつまみに食べました(旨い)。
シリアルに混ぜて食べました(ヘルシい)。
パンにまぶして食べました(旨い)。
しかし「在庫」はまだまだあります。

知り合いの日本人に配りました(わりと好評)。
浮気農家のジョン・ソイビーンに「何とかしろ」と袋を押しつけました(こいつは商売になるなら何でもします)。
でも「在庫」はまだまだあるのでした。

誰か買って。
または大量に食べに来て。

◆◆◆

そもそもなぜラザフォードがフラックスシードを送ってきたのかというと、こんないきさつがありました。

去年のある金曜日。
新しいクライアント(日本に食品を輸出したい会社)をラザフォードが紹介してくれるというので、いそいそと出かけた僕。
クライアントのオフィスまで2時間の長距離ドライブです。
僕のクルマ(ビューイック)で出かけました。
ラザフォードと僕は、交代で運転することにしました。

クライアントとの好意的な面談を終えた帰り道。
ラザフォードが運転する番でした。
エバレットというところにさしかかったところで、
「知り合いに挨拶をしたい。ちょっと寄っていいか。10分で済む」
とラザフォード。
「どうぞ」
僕が答えると、ラザフォードはハンドルを右に切ってフリーウェイを下り、エバレットの市街地に入っていきました。

彼がクルマ(ビューイック)を停めたのは街外れの製材所です。
「ここの社長が意外にグルメでね」ラザフォードは言いました。「ときどき仕事をくれるんだよ。お前も来るか? 紹介しよう」
ラザフォードと僕はクルマを降り、工場のほうに歩き出しました。

数歩と歩かないうちに、事件は起きました。
ガシャン!
背後で大きな音がしたのです。

振り返ってびっくり。
なんと僕の身長より直径の大きなタイヤを持つペイローダー(工事現場などで使われる、運搬用の大型機械)が、ビューイックに背後から激突していました。
もうすこし正確にいうと、ビューイックの後ろ半分が巨大なペイローダーの下敷きになっていました。

(オスのアフリカ象が、小柄なメスの鹿と交尾しようとして失敗し、鹿が圧死しかけている…)
自分のクルマが潰れているというのに、僕はそんなけしからん想像をしてしまったのでした。

ケガ人は誰もいませんでした。
ペイローダーも無事でした。
破壊されたのはビューイックのみ、ただし修理不可能です。

とりあえず僕は保険会社を呼び、あらわれた担当者に事故処理をやってもらいました。
保険金でクルマを買うことができるというので、そっちのほうもひと安心です。

ただ、保険金の額の問題で、前と同じビューイックを買うことはできませんでした。
格落ちの小型車になってしまいました。
つまり実質は、お金を損したわけです。

ラザフォードはこの点を申し訳ないと思ったようです。
「あそこにクルマを停めたおれにも大いに問題がある」ラザフォードは殊勝にも言いました。「前方不注意なペイローダーが一番悪いんだが」
で、だいぶたってからですがお詫びにフラックスシードを送ってきたのでした。
(なぜそれがお詫びになるかは、前回をお読みください)

◆◆◆

書いてて思い出したのですが、その日はもうひとつ事件がありました。
名づけて「スピード事件」。

「クルマ大破事件」が起きるほんの2時間前のことです。
ラザフォードと僕は交代で運転をしていましたが、そのときもラザフォードの番でした。

何のきっかけだったか、ラザフォードが資産運用の話をし始めまして、そのうちぷりぷり怒りだしました。
前の年に購入した投資信託の成績が不満だというのです。
彼はFRB(連邦準備銀行)の金利政策が間違ってるとか、ブッシュ政権の経済運営スタッフは阿呆だらけだとか、アメリカにはろくなファンドマネージャーがおらんとか、いろいろまくしたてました。
(投資信託の成績が良ければ、逆に褒めちぎっていたに違いありません)

「言いたいことは言い終わったかい」僕は助手席で答えました。「じゃあ悪いけど、次はスピードメーターを見てくれ」
助手席の僕からはスピードメーターが見えなかったのですが、周りの景色が異常な速さで遠ざかっていくのを見れば、スピードを出しすぎているのは明らかでした。

案の定、後方から点滅するライトが迫ってきました。
パトカーです。

ラザフォードは「ちっ」と舌を鳴らし、さらにアクセルを踏みました。
スピードを上げてパトカーを振り切ろうとしたのです。

「おいおい、それはヤバいよ」
僕は大声を出しましたが、ラザフォードはますますスピードを上げました。
「やめろってば!」
ようやく、ラザフォードは我にかえった様子でブレーキをかけました。

「ついついカッとなっちまった」
ラザフォードはばつが悪そうにつぶやきました。

クルマを寄せ、おとなしく待っていると、警官がやってきました。
「何で止められたか分かってるかあんた」と警官。
「たぶんね」とラザフォード。
「免許証、見せてもらおうか」
黙って免許証を差し出すラザフォード。
警官は言いました。
「おれは明日から休暇でね。今日もそろそろ切り上げて帰ろうと思ってたんだ。それなのにスピード違反なんかしやがって。おまけに逃げようとしただろ、あんた」
「…」
「おれだって意地悪で取り締まりをしているわけじゃない。できればやりたくないんだ。帰りたいんだ。違反切符を切ったり書類を書いたりするのにどれだけ手間がかかるか、あんた考えたことあるか」
引き続きラザフォードが黙っていると、警官は続けました。「というわけでおれも早く帰りたい。あんたの言い訳しだいでは、見逃してやってもいい。どんな理由でスピードを出したのか言ってみな。今まで聞いたこともないような言い訳を言うことができたら、合格だ」

そう言われて、ラザフォードは少しのあいだ考えました。
それから、こう言いました。
「先週、女房が警官と駆け落ちしちまって。さっきは、てっきりあんたがその警官で、彼女を返しに来たんじゃないかと思ったんだ…」

「よい週末を」
警官は言い、パトカーは去っていきました。

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2007.11.23 18:03

食育ロボ発進! 前編

松宮園生です。

食育専門の大学、日本食育大学。
工学部のロバート・シトピッチャン教授は、天才科学者
として有名です。
そのシトピッチャン教授が、食育ロボットを開発しました。
トイザらスで売られています。

先日、食育ロボットを購入した家庭から、こんな体験談
が送られて来たので紹介します。

◆◆◆

松宮先生はじめまして。
川口恵太といいます。
先生の大学で開発された食育ロボットですが、トイザらスで売られていたのを離婚した父親がみつけまして、買ってきました。

「アンドリュー77型」というタイプでしたので、アンドリューと呼ぶことにしています。
アンドリューは人間と同じ大きさ・形をしていますが、短い尻尾がついているのが特徴です。

最初の日、アンドリューは私の日常生活を黙って観察していましたが、次の日から態度が変わりました。
どうなふうになったかといいますと…。

「いつまで寝ていますか。川口、さっさと起きてください」
朝6時。
アンドリューにたたき起されました。

びっくりしている私に、アンドリューは言いました。
「今日ただいまから早寝早起き朝ごはん開始です」
「はあ?」
「川口は早寝早起き朝ごはんです。朝ごはんの用意ができています。食べることに取り組んでください」
見ると、テーブルの上にごはん、味噌汁、納豆、海苔、刻んだネギの載った豆腐、野菜の煮物が並んでいました。

「取り組みましょう」と、アンドリュー。

「ありがたいんだけどさ」私はあくびをしながら言いました。「眠いんだよな。ギリギリまで寝かせてくれよ」
「その考えは好ましくありません。早寝早起き朝ごはんは日本の政府の重点目標です。早寝早起き朝ごはん専門の、全国組織もできているのです(※)」
「…分かったよ。せっかく作ってくれたんだったら、今日は食べるよ」

  (※)「早寝早起き朝ごはん」全国協議会
  http://www.hayanehayaoki.jp/modules/content3/kyougikai/kyougikai1.html

椅子に座ってさっそく食べようとすると、アンドリューの耳から突如、蒸気が噴き出ました。
プシュー!
次に、両眼が交互に点滅しはじめました。

「な、なんだ?」
「川口、大問題です。いただきますを言ってください」
「は?」
「繰り返します。いただきますを言ってください。いただきますごちそうさまは愛言葉。この標語を知っていますか。いただきますごちそうさまは愛言葉。これは、平成19年の食育推進の標語として日本政府から選ばれたものの1つです(※※)」

  (※※) http://www8.cao.go.jp/syokuiku/data/slogan/slogan-h19.html 

「そんなこと知るかよ」豆腐と納豆に醤油をかけながら私は言いました。「食わせろよ」
「いただきますを言わないのですね」プシュー。「言わないのであればあなたを呪います」
「なにくだらねえこと言ってんだ。勝手に呪えば」
「呪います。ちちんぷいぷい(←死語)。川口のごはんは食べられない。川口のごはんは食べられない。ちちんぷいぷい。呪いました。呪い、セット終了」

「ばーか」私はかきまぜた納豆を口に入れました。「わけわかんねえよ」
それからごはんを口に入れました。

うぎゃあ!
私は叫んでいました。
口の中が火事になったようでした。

「なんじゃこりゃあ」(←死語)
食べたものを吐き出し、さらに咳込む私。

「呪い、完了です」アンドリューが落ち着いた声で言いました。「川口のごはんは食べられない。ハラペーニョの種を大量にまぶしてあります」
「てめえ。始めからこうなることを予測してたんだろ」私は涙をボロボロ流しました。「し、仕組んでやがったな」
「いただきますごちそうさまは愛言葉」アンドリューは淡々と言いました。「今晩からは、言い忘れないことです」

◆◆◆

その夜。
テレビで映画をやるので楽しみに待っていると、アンドリューが言いました。
「川口。さっきの夕食で川口はいただきますとごちそうさまを言えましたね。称賛します。正しい行いは、すがすがしいものです」
私は顔を赤くしました。「お前を怖がってるわけじゃねえからな」
「怖がること不必要です。ところで、大問題です。早寝早起き朝ごはんのことですが、もうすぐ9時です。9時になったら早寝に取り組んでください」

「もう寝ろっての? こんな時間に? 放っといてくれ」
「その考えは好ましくありません。早寝早起き朝ごはんは日本の政府の重点目標です。早寝早起き朝ごはん専門の、全国組織もできているのです」
「そのセリフは朝、聞いたよ」
「朝聞いて、夜聞く。すばらしいことです。ベッドを整えてありますから、早寝に取り組んでください」
「あのな、見たい映画があんの。見てから寝るから、すこし黙ってろ」

プシュー!
テレビをつけようと、リモコンを手にしたとたん、アンドリューが両耳から蒸気を噴きました。
安物キャンディーのような形の両眼の点滅も、始まっています。
「呪います。ちちんぷいぷい。川口はテレビを見れない。川口はテレビを見れない。ちちんぷいぷい。呪いました。呪い、セット終了」

私は警戒しました。
また何か企んでるぞ、こいつは。
リモコンのスイッチを入れたら何か起こるのか?

何も起きませんでした。
というか、何も起きなさすぎて、テレビもつかなかったのです。
みると、リモコンの電池が抜かれていました。
「くっだらねえ。この程度か」私は呟きました。「電池を入れればいいだけじゃん」
買い置きしていた単3電池を入れ、再びスイッチを押します。
何も起きませんでした。
それもそのはずです。
よく見ると、テレビの電源が抜かれていました。

電源プラグを差し、リモコンのスイッチを入れると、今度はテレビがつきました。
ちょうど9時でした。
映画の紹介が始まったところです。
「これが呪いかよ。レベル低(ひく)。今回はこっちの勝ちだな」私はアンドリューに言いました。「映画は見させてもらう。おまえには何もできねえよ」

アンドリューが肩を落としました。
仕掛けが失敗し、うなだれているようです。
私は鼻でフンと笑いました。
それからソファに腰掛け、用意したポテトチップスに手を伸ばしました。

うぎゃあ!

あわてて冷蔵庫を開け、ミネラルウォーターのボトルを取り出しました。

うぎゃあ!
ゲホゲホ!

遠ざかる意識のなかで、アンドリューの淡々とした声が響きました。
「呪い、完了しました。ポテトチップスには激辛ハバネロのペーストが塗られています。さらに、川口が飲んだのは水ではなく…」

(以下次号)

 

 

<おすすめの1冊>

「グルメ以前の食事作法の常識」
http://astore.amazon.co.jp/shokuikuprodu-22/detail/4062742365

グルメ以前の食事作法の常識―基本の知識216 (講談社の実用BOOK)

 

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2007.11.22 16:33

タイヘンダン その2

松宮園生です。

前回のあらすじ)
このシリーズは、食品の貿易に携わる
松宮が、皆さんの食卓に外国から
食品を届けるために、どんなに
不眠不休で地味な苦労をしているかを
激白するシリーズです。
聞くも涙、語るも涙の物語なのダ。

◆◆◆

日本に食品を「輸出」したい外国企業はいっぱいあります。
日本は食料の6割を輸入してますので、外国企業にとっては魅力的な市場です。
で、何をどーやったら日本人に食べてもらえるのか。
外国企業のそういう悩みに答えるのが僕の仕事です。

日本に食品を「輸入」したい日本企業もいっぱいあります。
彼らはよく海外に出かけては、
* 昼は「日本に輸入したら売れそな品物」をいくつもいくつも買いあさり、
* 夜はホテルに戻って吟味大会をしています。
で、吟味した結果、ぜひ日本に輸入したい品物があったとします。
輸入したいけど、相手の会社は日本への輸出に慣れてないみたいだ。
慣れてない会社に日本向け輸出のイロハを教えるのはしんどいな。
誰か教えてやってくれよー。
そういう企業の手伝いをするのも僕の仕事です。

つってもなかなか体力を使う仕事でございまして。
理由は2つあります。

1つめは、することが多くてやってもやっても終わらないことです。
2つめは、コミュニケーションがどきどきブラックホール化することです。

詳しく書きますと。

■「やってもやっても終わんねえ」

外国企業のお手伝いをするときに発生する現象です。
何をどうやったら日本人に食べてもらえるのか。
これはマーケティングの計画を立てることと同じです。
つまり僕は外国企業のために日本進出のマーケティング企画書を作って差しあげるわけですが、この「企画書」というものが曲者(←死語)でございます。

企画書は書いても書いても終わりがありません。
企画書の提出期限(〆切)が1週間後だとしましょう。
同業者(企画畑)の方なら賛成していただけると思いますが、提出期限(〆切)前に余裕をもって企画書ができあがるなんてことは滅多ありません。
ほとんどの場合、ギリギリに仕上がります。

なぜそうなるかというと、企画書のようなものは「これで完璧」という区切りがないからです。
いちど書いた企画書を見直してみて、改善しようと思えばいくらでも改善できます。
その気になれば、永遠に改善し続けることができます。
ですので、企画を考える人(プランナー)は、〆切ギリギリまで企画書を直し続けます。
気がついたら徹夜してます。

提出期限(〆切)が来てしまったという理由で、この「果てしない改善作業」に終止符が打たれます。
「完成したから」終わるのではありません。
「時間切れだから」終わるのです。
逆にいえば、提出期限(〆切)がなければ仕事は終わらないのです。

「それって体キツくね?」
と思いませんか?
その通りです。
企画書はひとつだけ作るわけではなくて、同時に複数の案件を抱えるのが普通でございますし(そうでないとメシが食えません)、こないだ書いた企画書をクライアントの要望にあわせて書き直したりするようなこともあるものですから、〆切が次々やってきます。
次から次へとやってくる〆切。
漫画家か?

疲弊します。
へろへろです。
ほどよい加減で妥協して手を抜けばよいのかもしれませんが、クライアントのことを思えば手を抜けません。
「マツミヤの企画って、この程度か」
と思われたら商売は終わりです。
(もう終わってたりして)

■「コミュニケーションがブラックホール化する」

日本企業のお手伝いをするときに発生する現象です。
ものすごく日本っぽい理屈を、英語で伝えなくてはいけないけど、伝わらない。
これです。
日本企業の人は、自分が英訳する必要がないので、平気で異常な日本語を僕に投げてきます。

「そんなの関係ねえ」というギャグを、英語で伝えて笑わせろ。
みたいな難しさがあります。
(ちょっと違うか)

参考までに「そんなの関係ねえ」をムリヤリ英語で口語っぽく言うとしたら何と言うか、いくつかパターンを考えてみました。

* So what, you bastard? (それがどうした)
* What the hell does it have to do with me? (それが私と何の関係があんの)
* Doesn't matter to me. (どーでもいいよ)
* That's none of my fxxking business. (オレの知ったこっちゃないね)
* That's your problem. (あんたの問題だろ)

これで笑うガイジンはいないと思うけど、ガイジン相手にお金を貸してる人で、厳しい取り立てをしたい方は参考にしてください。
ワンポイント・レッスンでした。

話を戻して、ブラックホール化する事例をひとつ。
こんなメールが日本から来たりします。

「松宮様。お世話になりますなあ。例のニュートリション・バー(棒状になった甘いお菓子で、栄養素が添加されています)のことやねんけどな、食品衛生法で制限されちょる添加物が入っとったんよ。制限値は、全体の重量の1パーセント以下やて。ウチのほうで検査してみたら、0.95パーセントやった。いちおうセーフや。セーフなんやけど、もうちっと数字を下げたいねん。念のため0.5パーセントくらいまで落として製造してくれへんかなあ?。あと、価格は50セント下げてほしいんよ。先方さんと交渉たのんますわ」

こんな返事を書きました。
「テケテケ商事 大友様。もともとこの商品は生産量が少なくアメリカ国内だけで売り切れてしまいます。それを日本向けに買おうというので、売り渋る彼らを懸命に口説いています。もともと彼らは日本に輸出する気がなかったのを、われわれが口説いて輸出させようとしているわけですよね。この状況で値下げを言うのは困難ではありませんか。さらに、該当する添加物を0.5パーセントに下げるためには製造工程を変えなければなりません。製造工程を変えるとコストがかかりますので、彼らは嫌がるか、または値上げを要求してくるはずです。2重の意味で値下げは無理ではありませんか」

「松宮様。そこを何とか、武士道精神で切り抜けてもろたらよろし」

「大友様」僕はぶち切れていましたが、丁寧な返事を書きました。「日本人と違って彼らは合理的にものを考えますので、武士道とか人情とかは少なくともビジネスの世界では通用しないです」

「松宮様。さいですか。アメリカ人やもんなあ。ははは(ポリポリ)。ではこうしまひょか。10年の長期契約をすんねん。毎年コンテナ20本分の数量を買うと約束するんや。大量に安定して買ういうて約束してやったら、あいつら製造工程変えてくれるやろし、価格も下げてきよるやろ」

「大友様。分かりました。10年間安定して大量に買ってあげれることを約束できれば、彼らも考えを変えるかもしれません。では約束の証拠として、覚書に署名したものを送ってくれませんか。先方は貴社の社長の署名を欲しがると思います」

「松宮様。覚書? そりゃ無理や。書面を渡してもたら、約束果たさないかんやん」

「大友様。はあ? 約束をするんじゃないんですか?」

「松宮様。そりゃ約束してもええけどやな、できんかもしれんし…」

なんじゃそりゃ。

と思ってたら、追加のメールが来ました。

「松宮様。まあ、あんたには苦労かけるけどやな、あんまし細かいことごちゃごちゃ言わんと、とりあえず日本向けをやってみようや。まずは輸入して、売ってみる。すべてはそこからや。そんなふうに伝えてな。頼んまっせ」

そんなわけのわからん英語、話せるかい!

聞くも涙、語るも涙の物語でした。

(以下次号)

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2007.11.19 20:42

21世紀神様の悩み その5

松宮園生です。

前回までのあらすじ)
繁栄にあぐらをかき、飽食をむさぼる先進国。
彼らに鉄槌を下すことにした全能の神様は、
「ウエルネス天国」
「メタボ地獄」
を作りました。
ストイックに生涯を全うしたらウエルネス天国行き。
飽食におぼれメタボのまま死んだらメタボ地獄行き。

さらに神様は、人間界にも介入します。
「メタボ撲滅同盟ニキータ」
なる秘密結社に命令を下し、メタボな人を次々と抹殺してゆきました。
抹殺された人は、当然メタボ地獄行きです。

このシリーズ(21世紀神様の悩み)は、そうしたちょっとすごく怖い時代を懸命に生きる人々を描く、壮大なヒューマン・ドラマです。
(そうだっけ?)

◆◆◆

2XXX年。
国会で、
「メタボ基本法」
がついに可決されました。
メタボ犯罪を取り締まる法律です。
つまりメタボな人を裁判にかけ、有罪になったら
「メタボ刑務所」
に送り込むというキツーイ法律です。
メタボ刑務所では厳しい保健指導が行われ、メタボから脱却するまで出所できません。

そんなわけで、全国各地でメタボ裁判が始まったのであります。
メタボ警察がメタボな人を検挙し、被告人は「メタ専」弁護士を雇って裁判にのぞむのでありました。

◆◆◆

ある地方裁判所で判決が読み上げられました。
「被告人、松宮園生を3ヶ月の保健指導に処す」
傍聴席がざわめきました。
なんと日本食育大学の現役准教授が有罪判決を受けたのです。
本来なら人々をメタボから救うべき立場の人が、有罪とは。

実をいうと、保健指導や食事指導、食育を仕事にしている専門家のくせに、メタボ判決を受けた人は何百人にも達していました。
「実施する側の自己管理がなっていないじゃないか」
ということで、社会問題になってきていました。
そんな中、警察の手は「緑黄色の巨塔」日本食育大学にまで及び、まずは下っ端の松宮准教授の逮捕劇となったわけです。

しかし松宮准教授はこの判決を不服とし、無罪を主張して高等裁判所に控訴しました。
「いまのメタボ基準は厳しすぎる」
と主張するグループ(※)が弁護団を形成し、検察側と全面対決の姿勢を見せました。
裁判は政界をも巻き込み、泥沼化の様相を呈してきました…。

(※)2005年に日本肥満学会が
* 腹囲(へその位置で胴回りを測った数値)85センチ以上の男性はメタボ要注意!
* 腹囲90センチ以上の女性はメタボ要注意!
と提唱し、それが厚生労働省のメタボ基準としても採用されています。
ところがこの基準、
「男性の数字が女性の数字より小さいのはおかしい」
などといった批判を受けています。
最近の例では、東北大学の医学部が日本肥満学会の基準値に異論を唱えており、両者のあいだで激論が交わされています。

◆◆◆

「メタボ刑務所」に服役中の囚人は、刑務官(管理栄養士)の保健指導を受けます。
コミュニケーション上手な管理栄養士が刑務官に選ばれていますので、保健指導自体には人気がありました。

しかし毎朝6時に朝礼があり、
「脱メタ宣言」
を大声で合唱させられるのにはウンザリでありました。
こんな内容です。

<脱メタ宣言(食事・食育編)>
作詞・作曲: 管理栄養士 佐久間象子(←誰?)

早寝早起き朝ごはん
神に誓ったその日から
あなたとわたしの本能寺
忘れ敵(かな)わぬジャンクの味を
忘れてみるのもテクニック
食で養生、大往生
ピンピンコロリと来たもんだ
オーガニックに全粒粉
カルタ覚えて紙芝居
家族団らん地産地消
レッツビギン、ラララ
レッツビギン、ラララ

まだまだ続くのですが、書いてて恥ずかしくなったのでここで止めます。

◆◆◆

「メタボ刑務所」での刑期(保健指導)を終えて出所するときは、こんなベタな場面が繰り広げられます。

服役囚 「お世話になりました。おかげさまですっかり痩せました」
刑務官(=管理栄養士) 「もう2度と、こんなとこ来ちゃだめよ」
服役囚 「へえ。これからは心を入れ替えて真面目な食生活に励みます」
刑務官 「リバウンドしないでね」
服役囚 「決していたしません」

服役囚は塀の外に出て、ベタにこう言います。
「ああ、シャバの空気はうめえなあ…」
「あなた」
振り向くと、妻が小さな女の子の手を引いてて立っています。
妻の目には涙が。
「お帰りなさい…」
「ただいま…」
見つめあう2人。
妻が娘に向かって言いました。
「あなたのお父さんよ。こんにちはって言いなさい」
しかし女の子は恥ずかしがって母親の陰に隠れてしまいました。

なんつて。
こんなん書いてて恥ずかしいのは、こっちだよ。

◆◆◆

実際には、前科のある人間が再犯する割合は小さくありませんでした。
メタボ犯罪との戦いはこれからも続くのです。

(以下次号)

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2007.11.17 18:46

食事2.0

 

松宮園生です。

「あなたの毎日の生活習慣を入力してください。
管理栄養士があなたの食事をアドバイスします」

最近、インターネットを使ったこういうサービスを
どきどき見かけるようになりました。
以前からあるにはあったのですが、このところ増えた
ように思います。
先日、僕のところにもある会社からメールが来まして
「松宮先生。当社の自慢の新サービスです。
最新のアメリカ栄養学を使い、管理栄養士の佐久間象子さん(←誰?)が監修しています。
ログインIDとパスワードを差し上げますので、お試しに無料でやってみていただけませんか。本来は有料ですが、今月いっぱい無料お試し期間です」
もらったログインIDは
「doburoku」
パスワードは
「gyakugire」
でした。

サイトにアクセスしてログインすると、まずは生活習慣の入力です。
こんな質問に答えていくわけです。

「年齢と性別をお答えください」
ニューハーフの人とかは、どうするんだろうな?

「身長は何キロメートルですか」
は? キロメートルで計算するの?

「体重は何トンですか」
キログラムじゃなくて、トンかよ。

とにかく、身長・体重を入れるということは、BMIを自動計算するということだな。

「BMIを入力してください」
自分で計算するんかい!

「では、あなたの日々の食事について質問します。朝食は週に何回食べていますか。ジュースやゼリーなどで済ませた場合は0.4回としてカウントしてください」
なんじゃその質問は!
ややこしいぞ!
0.5でもややこしいのに、0.4かよ!
計算メンドーなので、週2回って答えとこう。

「食事はじゅうぶん規則的ですか」
あんまり規則的じゃないけど、21世紀の働くオニイサンとしては平均的かなあ。
はい、って答えておこう。

「腹8分目ですか」
決めれるわけ、ねーだろが!
そういうときもあるし、そうじゃなくて満腹のときもあんだよ!
…はい、にしとこう。

「食材はできるだけ有機野菜や全粒粉などにこだわり、農薬を恐れていますか」
なんじゃそのヘンな日本語は!
有機野菜や全粒粉にこだわってるけど、農薬を恐れていない場合はどう答えりゃいいんだよ!

「朝食の主食はご飯ですかパンですか、半々くらいですか」
半々くらいかなあ。

「ご飯は玄米ですか、白米ですか」
玄米を食え、って言いたいんだろ。

「甘い缶コーヒーや缶ジュースのような、糖分の多い飲みものを週3本以上飲んでいますか」
3という数字にどんな意味があるのか分からないけど、いいえ、にしとこう。
今は寒いから飲まないけど、夏になると缶ジュースはけっこう飲むかもな。

「揚げものや油の使用量の多い料理は週2回以下ですか」
だからその2とか3とかは何の意味があるんだよ?
数えたことなんてねえよ。
うざいので、何となく適当にはい、にしとこうか。

「お菓子類のような甘いものを食べるのは、週に4回以下程度ですか」
なんだよその、「以下程度」つうのはよ!
以下ってこと?
程度ってこと?
妙な日本語はやめてほしいな。
…こんなことでムカついていてはいけませんね。
いいえ、にしておきます。

「今日は飲みすぎたなと思うことが月に2回以上ありますか」
ふつか酔いの頻度を聞いてるわけだな。
月に2回くらいは、あるかもな。

「手のひらサイズの小鉢または小皿に換算して、毎日5鉢(5皿)の野菜を食べていますか」
なんじゃそりゃ!
そんな複雑な日本語はやめてくれよ!
ファイブ・ア・デイみたいなことを言いたいんだろうけどさ。

「毎日200グラム以上の果物を食べていますか。ただし可食部のほかに種や皮もカウントします」
200グラムあるかどうか、毎日測れっつうんかい!

「味の濃い味噌汁を残さず最後まで飲むことが癖になっていますか」
ねえ、それって癖なの?
味の濃い薄いはどやって決めればいいんだよ?

「麺類を食べるか麺類以外のものを食べるかという選択肢が与えられた場合、7割以上の確率で麺類を選びますか」
法律の条文じゃないんだからよ、もっと分かりやすい日本語にできねーの?
確率なんて分かるかっつーの!
…ま、たいがい麺類を選んでいるけどさ。

「濃いめの乳製品を摂取したあと、しっかり日光浴をしなきゃ、と思っていますか」
はあ?
そんなん、意識したことなんかあるかい!
そりゃ、カルシウムをとったら日光浴してビタミンDをとりなさいとは言われるけれども…。

「トーストを食べるとき、ついついマーガリンをたっぷり塗ることが癖になっていますか」
だからよ、それって癖かい!

「大豆・豆腐・豆製品を1日に1回以上程度食べますか。味噌や醤油はカウントしないでください」
だからその「以上程度」ってなんだよ!
以上ってこと?
程度ってこと?

と、ブツブツ文句を言っているうちに、質問が終わりました。
全体的にほんと、不自然な日本語が多い。
やってるほうが恥ずかしいぞ。

画面の下にはこう書いてありました。
「質問は以上です。下のバナーをクリックしてください」

下のバナーにはこう書いてありました。
「食事アドバイスへ、レッツゴー」

クリックすると、エラーメッセージが出ました。
「あなたのBMIの計算は間違っています。正しい数値を入力してください」

テメーが自動計算しろよ!

◆◆◆

こんな判定が出ました。

BMIはギリギリ普通です。食事に気をつけ、これ以上太らないようにしましょう。
朝食の回数が少ないですね。いけません。朝食を週に5回以上摂るようにしましょう。
規則的な食事の心がけは立派です。その調子、その調子(←死語)。
腹8分目を心がけるようにしましょう。
有機や全粒粉にこだわっているのは立派です。今後は地産地消にもこだわるようにしましょう。
朝食にパンも勿論よいですが、日本人はご飯をもっと食べましょう。
白米より玄米のほうが栄養があります。よく噛んで食べましょう。
糖分の多い飲みものは意外に糖分が多いです。今後も気をつけましょう。
揚げものや油の使用料の多い料理は控えめにしているようですね。その調子、その調子。
お菓子類のような甘いものは控えめにしましょう。
お酒はほどほどにしましょう。適量であれば、体によいとされています。
野菜はしっかり摂れているようです。その調子、その調子。
果物は足りないようです。季節のフルーツをおいしく食べましょう。
塩分に気をつけて、味噌汁は薄味のものを飲むようにしましょう。
炭水化物の摂りすぎはよくありません。麺類ばかり食べず、バランス良い食事を心がけましょう。
乳製品を摂ると同時に、日光を浴びましょう。ただし日焼けには気をつけましょう。
マーガリンにはトランス脂肪酸が入っています。なるべく控えましょう。
大豆食品はしっかり摂れているようです。その調子、その調子。

「そのまんまじゃん」
僕はあきれてつぶやきました。
書いてあることはいちいちごもっともなんだけど。
もしかしてこれ、質問の答え方と関係なしに、ほぼ同じようなコメントが出るんじゃ…。

画面の下のほうに、こう書かれていました。
「そんなあなたのためのお勧め商品です。果物少なめのあなたは、積極的にビタミンCを摂取しましょう」
で、ビタミンCのサプリメントの写真が掲載されています。
クリックしたら、買えるようになっているみたいでした。

いろんなサービスを経験している目の肥えた21世紀の人たちが、こんな昭和型サービス、買うのかなあ?

 

 

 

 

健康をキーワードに活動している方は是非のぞいてみてください。
「21世紀の健康サービスがわかるオンラインストア」
http://astore.amazon.co.jp/21health-22

  

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2007.11.16 19:47

食育至上主義人民共和国 その2

松宮園生です。

ご存じザイオン共和国のモーフィアス大統領は、
食育至上主義にもとづく圧政を敷いています。
(どんな圧政か知りたい人はここをクリック)

そのモーフィアス大統領から、
「ぜひ我が国の食育ぶりを見にきてほしい」
と招待を受けました。
最初は断るつもりでいました。
だって、独裁者だからいつ機嫌を悪くするか
予想できないし、機嫌が悪くなって
「ビタミン責め」
「マクロビ責め」
とか
「家族団らんの刑」
とかに処せられたらどうしよう…。
(ん? それって怖いの?)

しかし断ったら、やつは僕を暗殺しようとするかもしれません。
マツミヤを滅ぼすのに、プロの暗殺者なんかいりません。
たとえば普段から僕は食育カルタみたいな昭和グッズを茶化して笑っていますので、真面目な食育おばちゃんや食育ママゴンの反感を買っているに違いありません。
そんなとき、
「マツミヤを始末した者には100万ショクイク」
なんて、賞金首にされちゃったら、食育おばちゃんや食育ママゴンがこぞって僕を狙いはじめるでしょう。
巨大な食育カルタでざっくりと切られたらもう…。

行くべきか断るべきか。
悩んだ末、じっと死を待つより敵地に行って散ろう。
そう決心したのでした。

◆◆◆

なんだけど。
モーフィアスのやつ(ちなみに彼は日本食育大学に留学してて、僕の教え子です)、招待すると言っときながら、飛行機はエコノミークラスのチケットしかくれませんでした。
ケチです。
しかたなく乗りこんだニュートリ・エアライン(栄養航空)22便がロサンゼルスを飛び立って10時間後、機内アナウンスがありました。
「皆様、お早うございます。よくお休みになられたでしょうか? 当機はあと1時間でザイオン共和国のエプロンシアター空港に到着いたします。ただいまの現地時間は午前8時17分、天候は晴れ、気温は摂氏20度でございます。入国書類をまだお書きになっていない方は、乗務員にお申し出ください」

そっか。
入国書類を書くのか。
そりゃそうだよな。

機内で配られた入国書類は、こんな書類でした。

<進め食育はばたけ食育 ザイオン共和国へようこそ!>
あなたの入国を歓迎します。
以下の質問に正確にお答えください。
この書類は入国審査官にお渡しください。

名前:
国籍:
居住国:
あなたの居住国の食料自給率:

航空機の便名:

機内食でいただきます・ごちそうさまを完璧に言いましたか?
*はい
*いいえ

機内食は残しましたか?
*はい
*いいえ

サイオン共和国での希望抑留期間:(   )年

あなたのセンス
*昭和
*平成

ザイオン共和国への入国目的(以下のうち、当てはまるものを○で囲んでください):
*メタボ撲滅
*援農
*レシピ提案
*食育教室
*三角食べ
*食育正教会への入信
*その他(             )

ザイオン共和国に持ちこむ予定の物品で、以下に当てはまるものがあれば申告してください。
*箸
*食育カルタ
*食育紙芝居
*食育イベント企画書
*食育教本(食育白書、オールジャパン食育大辞典を含む)
*「メタ坊」のマスコット人形

過去3か月以内に以下の国に居住または滞在していた場合は、申告してください。
*肥満大国アメリカ
*パラドックス国フランス
*スローフード国家イタリア
*フードマイレージ国家ジャパン
*食品安全疑問国チャイナ
*大東亜食育帝国

以下の食習慣に当てはまる場合は、申告してください。
*箸の使い方が下手だ
*嫌いな野菜がある
*ラーメンの汁は最後まで飲む
*週に1度以上、ハンバーガーを食べる
*週に1度以上、牛丼を食べる
*個食である

以下のうち、正しいものには○を、間違っているものには×をつけなさい。
( )フィトケミカルは7大栄養素の一種である
( )食育白書はこれまで3回、発行されている
( )トランス脂肪酸は体に良いと注目されている
( )トレーサビリティーは紅茶の一種である
( )ショウサンタイチッソを漢字で書くと、硝酸態窒素である
( )日本食育大学のキャンパスは東京にある

私は、「進め食育はばたけ食育」の精神にのっとり、虚偽の申告をせず、正直に申告したことを誓います。
名前:
日付:
署名:

ご協力ありがとうございました。
ザイオン共和国 食育法務省 入国管理局

◆◆◆

入国書類を書きながら、招待を受けたことをひどく後悔して涙ぐむ僕なのでありました。

(次号はたぶんないと思います)

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2007.11.15 20:39

合コンから学ぶベジタリアンの世界 その2

 

松宮園生です。

前回の合コン、ろくに相手にされずにすごすごと帰って来ました。

  前回→「合コンから学ぶベジタリアンの世界 その1」
   http://www.shokuiku-pro.com/production/2007/05/post_21.html

にも関わらず、性懲りもなく再びベジタリアンの合コンに出掛けた松宮。
前回同様、僕は下級ベジタリアンということで、下っ端として末席を汚しておりました。
さて、今回は…。

◆◆◆

「聞いて聞いて。ベランダ菜園始めたの。すっごく楽しいよ」
と、ある女の子が言いました。

それを受けて皆が話しだします。
「いいなあ。わたしもやりたいけど、ベランダ散らかってるし」
「オレんちはベランダなんかないよ」
「なんか最近、家庭菜園する人、増えてない?」
「増えてる気がする」
「そうなんだ?」
「絶対増えてるよ。新聞とかで読んだな、確か」

「オレの姉貴がさ、結婚あきらめたとか言って、自給自足のために市民農園で野菜作り始めたんだ」
「なんで。結婚あきらめる前にオレに相談してよ」
「でも姉貴、顔はオレに似てるけど?」
「あ、だったらパス」
「お前ね」
ベタな会話でした。

「で、ベランダで何を作ってるんですか」
と、ずっと静かにしていた下級ベジタリアンの僕がおずおずと質問すると、さっきの女の子が嫌な顔もせずに答えました。
「いろいろね。トマトとか、パセリとか、落花生とか」

「自分で料理して全部食べてんの?」と、彼女の隣に座っている男の子が言いました。「それとも売ったりとかしてんの」
「売るほどたくさんはないから」女の子は答えました。「ところでトマトって男か女か知ってる?」

「は、トマト? 男も女もないんじゃないの。オシベとかメシベとかはあるけど」
「トマトは女だと思う」彼女は言いました。「そうとしか思えない出来事があって」
「へー」
「聞きたい?」
ここで「聞きたくない」とは言えません。
全員が「聞きたい」という意味でうなずきました。

彼女は話し始めます。
「うちのトマトがなかなか赤くならないから悩んでたんだけど、こないだ詳しい人に聞いたら、庭いじりするときは裸になりなさいって言われたの」
「え、裸? どゆこと? 意味わかんねえ」
と言いつつ、裸という言葉に反応する男性陣。

彼女は続けます。
「その詳しい人というのは男の人なんだけど、彼はいつも裸になって庭いじりするって言うの。そうするとトマトが恥ずかしがって赤くなるんだって」

一瞬、しんとなりました。

「マジメな話なんだから」焦った彼女はムキになって言いました。「ホントにその人はそう言ったのよ。真剣な顔で。あれは絶対、冗談で言ったんじゃないと思う」
「冗談としか思えないね」
「だってその人の作ったトマト、真っ赤なんだよ」
「そうかもしれないけど、裸とは関係ないんじゃ…」
「だって見にいったら、その人、ホントに素っ裸で庭いじりしてたよ」
「だからってトマトが恥ずかしがるとかは嘘に決まってる。…ていうか、見にいったんかい」

「でもね」負けずに彼女は続けました。「それで、自分も裸でベランダいじりすることにしたの」

あっけにとられる女性陣。
想像がふくらみ、唾を飲む男性陣。

「とにかく聞いて」彼女は言いました。「全裸でベランダに出るようにしたのよ。だって赤いトマトを作りたかったし、他に方法もなかったし」
「ふうん。で、どうだったの」
「トマトは全然赤くならなかった」
「そりゃ、そうだろ」

「違うのよ。そうじゃないの。トマトが赤くならなかったのは、トマトが女だったからだと思う」
「はあ? 意味ぜんぜんわかんねえ」
「トマトは女だったから、わたしの裸を見ても何の変化もしなかったのよ」
「…」

「トマトは女だった」彼女は断固とした口調で言いました。「だってその代わり、キュウリがヘチマみたいにすごく大きく育っちゃって…」

 

 

 

<おススメの1冊>

「夜トマトダイエット」
http://astore.amazon.co.jp/shokuikuprodu-22/detail/4821142120

夜トマトダイエット

 

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2007.11.14 15:01

ヘルカンさん 中編

 

松宮園生です。

前編のあらすじ)
アメリカでは、「ヘルシーカンパニー」になるために、
多くの会社が「ワークサイト・ヘルス・プロモーション」に
取り組んでいます。
そのための専門家は「ヘルカンさん」と呼ばれています。
ワークサイト・ヘルス・プロモーションというのは、
* 会社が
* 社員のために
* お金を使って
* 健康増進プログラムを実行する
ことです。

◆◆◆

前回も書きましたが、
「職場は仕事をするところだろーが。健康になる場所じゃねえ。健康増進活動やりたかったら、放課後か週末にだな、各自で好きなだけやればいいじゃん。会社はそんなこと、面倒見ねえよ。幼稚園じゃねえんだから。そんな金あったら、給料よこせ」
という個人優先の考え方もあります。
僕の友人で、強烈にこの考えを主張している男がいました(友人です。ぼ、僕ではありません)。
この男(友人です)は、勤めていた会社に「残業手当」とか「結婚手当」とか「出産手当」とかが制度としてあったのですが、それが我慢ならなかったようです。
「残業手当? アホぬかせ。昼間だらだら仕事してるだけやんか!」
「結婚手当? 結婚と仕事に何の関係があんねん。仕事に燃えすぎて、出会いに恵まれんで結婚できんかった人はどうすんねん。結婚手当出すなら、『独身見舞金』も出せや」
「出産手当? なんやそれ。そんなん、本人たちが×××に××しただけの話やん。仕事と関係あらへん」
「手当なんかいらん。仕事したぶんの給料よこせ。なにが手当や。いい加減にさらし!」
酔うと必ずわめくのです。

そんなある日のこと。
その日もこの男(僕じゃないってば)は場末の居酒屋でくだをまき、あいも変わらず手当がどうの、結婚がどうのとブツクサブツクサほざいていました。
せっかく旨い酒を飲みにきた他の客が、ドン引きしています。
見るに見かねた居酒屋のおばちゃんが、松…じゃなかった、この男の肩をパチンと叩いていいました。
「なに言うてんねん、あんた。要するに自分がモテなくて結婚できなくて手当がもらえそうにないから、文句言うとるだけやんか。モテないのは自分のせいちゃうの」
松…じゃなかった、この男(友人です!)は黙りこんでしまいました。

話を戻します。
会社が社員のためにお金を使い、社員がヘルシーになれる仕事環境を作ってあげることをワークサイト・ヘルス・プロモーションと言いうわけですが、1991年にロバート・ローゼン博士が
「ヘルシーカンパニー」
という本を出したのも影響し、アメリカの会社ではこのワークサイト・ヘルス・プロモーションが盛んに行われています。
ワークサイト・ヘルス・プロモーションの専門家もアメリカには大勢います。
詳しくは前回を参照してください。

ただし。
いくら社員に健康になってほしいからと言って、大事なお金をやみくもに使うわけにはいきません。
社員の健康増進のために、いくら使うのか。
どのように使うのか(何を買うのか)。
難しい問題です。

とくにアメリカは昔から株主が強い国でありまして。
会社運営(経営)の下手くそな社長さんは、株主からクビにされたり、訴訟されたりします。
ですので、会社の社長さんは、株主のご機嫌を損ねないように必死で頑張るのです。
ワークサイト・ヘルス・プロモーションで社員の健康増進に会社が協力するのも大事なのですが、株主が納得することも重視されています。

で、あるとき株主総会でワークサイト・ヘルス・プロモーションがやり玉にあがったとしましょう。
こういう質疑応答がなされます。
株主「社長さん。わが社はワークサイト・ヘルス・プロモーションにお金をいくら使ってるんですか?」
社長「株主様。わが社は50万ドル(だいたい5000万円)使っております」
株主「50万ドルも! なぜそんなに使うのですか?」
社長「いやその、社員が喜ぶからと思ってなんとなく…」
株主「具体的には、何に使ったのですか?」
社長「ええと、社員食堂を改善して、社内にスポーツジムを作りました」
株主「なぜ、社員食堂を改善したのですか?」
社長「いやその、社員が喜ぶかと思ってなんとなく…」
株主「なぜスポーツジムを作ったのですか?」
社長「いやその、社員に運動不足の解消になるかと思ってなんとなく…」
株主「社長さん。われわれ株主は、50万ドル使ったことを責めているのではありません。会社のために有効に使っていただければよいのです。有効ならもっと使ってもよろしい」
社長「はあ」
株主「で、ワークサイト・ヘルス・プロモーションに使った50万ドルは、会社のために有効でしたか?」
社長「いやあの、たぶん有効だったとは思うんですが、よく分かりません…」
株主「ふーん。『たぶん』とか『なんとなく』というセリフが多いですね。50万ドルものお金を、あなたは『なんとなく』使うのですか?」
社長「いやあの、その、はらほれひれはれ(←死語)」
株主「ビジネスに50万ドル使うとき、あなたは『なんとなく』使いますか?」
社長「いえ、あの、それは真剣に検討して使いますが…」
株主「ワークサイト・ヘルス・プロモーションをスタートするとき、事前に真剣に検討しましたか?」
社長「いやあの、ええ、まあ、そのつもりですが…」
株主「じゃあ教えてください。どういう検討のしかたをしたんですか?」
社長「そ、それはその…」
株主「検討してませんね。で、50万ドル使ってみて、どうなんですか。来年はもっと使うつもりですか。それとも来年は減らすつもりですか?」
社長「いやその、よく分かりません。部下に聞かないと…」
株主「あなたは社長でしょ。株主の大切なお金を預かり、給料をもらって会社運営をしているわけですよね。あなたは会社のお金を『よく分からずに』『なんとなく』使っているのですか?」
社長「ご、ごめんなさーい」
株主「社長。あなたを解任します」

と、こういうことも起きるわけです。

つまり、ワークサイト・ヘルス・プロモーションを実行する会社の社長さんは、厳しい株主の前で、
* なぜこの金額を使ったのか
* なぜこの使い方をしたのか
* その結果、どのように会社のためになったのか
* 来年は予算を増額すべきなのか減額すべきなのか
を、理路整然と、納得がいくように分かりやすく説明しなくてはならないのです。

さて、社長さんはバカではありませんので、株主からこういう質問が出るだろうことはたいがい予想しています。
あらかじめ回答を用意しておこうと考えます。
そこで、上に書いたのと同じ質問を、ワークサイト・ヘルス・プロモーションを管轄している部長さんにぶつけるわけです。
社長「おい部長。なんでわが社はワークサイト・ヘルス・プロモーションに50万ドルを使う必要があったのか、説明しろ」
部長「それがその、なんとなくそのくらい使わないといけない気がしまして…」
社長「なんとなく、だと? ばかもん。それでも部長か。で、どうなんだ。来年はもっと使うべきなのか、減らすべきなのか」
部長「それは…。社長に決めていただこうと思ってたんですが…」
社長「ばかもん。ワシに判断できるわけがないだろ。50万ドル使って、会社の業績は変わったのか」
部長「いやその、業績につなげるようなことは考えていませんでしたので…」
社長「それじゃあ、株主総会でワシは吊るしあげを食らうぞ。部長。おまえはクヒだ」

と、こういうことにもなるわけです。

さて、こうなることを恐れた部長さんは、社長室に呼ばれる前に、あらかじめ部下の社員に同じ質問をぶつけます。
部長「おい松宮君。なんでわが社はワークサイト・ヘルス・プロモーションに50万ドル使うことにしたんだっけ?」
社員「えっと、社員食堂の専門会社と、スポーツジムの会社に見積もりをもらって、それを足し算したら50万ドルでした」
部長「えっ。じゃあ、相手の会社の言いなりか?」
社員「ええまあ、そうです。だって高いのか安いのか分からなかったんですもん」
部長「ううむ。で、どうなんだ。50万ドル使ってみて、社内は何か変わったか?」
社員「さあ、どうでしょうか。調べてみますか?」
部長「至急、調べてくれ」
社員「調べ方はどうしたらいいですか? てゆーか、何を調べますか? 部長。教えてください」
部長「そんなもの、オレも知らん。何か考えろ。で、来年はいくらの予算を申請したらいいんだ?」
社員「そんなの、平社員の僕に分かるわけないじゃないですか。部長が決めてくださいよ」
部長「なんでもかんでもオレにかぶせるな。自分で考えろ」
社員「そんなの、分かりませーん!」
部長「松宮、おまえは左遷だ」
社員「いいんですか、部長。僕を左遷したら、この仕事の続きは誰がやるんですか。部長が自分でやるんですか」
部長「(ハンカチの端をくわえて)きーっ!」

中間管理職の悲哀でした。

日本でも社員の健康増進のためにいろいろな工夫をする会社はありますが、
* なぜこの金額を使ったのか
* なぜこの使い方をしたのか
* その結果、どのように会社のためになったのか
* 来年は予算を増額すべきなのか減額すべきなのか
こうしたことをキチンと説明できる状態で実行している会社は、はたしていくつあるでしょうか?
大事なお金を使うわけですから、
「よく分からないけど、なんとなく社員のためになりそうだから、いいじゃん」
では、ダメなのです。

アメリカのワークサイト・ヘルス・プロモーション業界は、早くからこの問題に直面していました。
「どういうふうに、いくら使ったら、どのように会社のためになるのか」
というテーマの実験や研究が、数多く行われました。

この実験や研究については、次号でお話します。

(以下次号)

 

 

 

 

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2007.11.13 17:42

ハンバーガーにも負けず

松宮園生です。

大学の図書館で
「日本食育大学で学ぶ者の心得」
と書かれた詩を見つけましたので、紹介します。

 

「日本食育大学で学ぶ者の心得」

ハンバーガーにも負けず
牛丼にも負けず
コーラにもアイスクリームにも酒のあとのラーメンにも負けぬ
強靭な意志を持ち
深夜番組など無視して早く寝て
ジイサンバアサンよりも早く起き
朝ごはんは欠かさず食べ
夜ごはんはほどほどに
おやつは食べないか食べるとしたら旬の果物を食べ
いつも静かに笑っている
塩分控えめ
炭水化物控えめ
脂質控えめ
水溶性ビタミンたっぷり
脂溶性ビタミン適量
食品成分表とにらめっこしながら毎日栄養計算をし
適量って何だ?と疑問に思いながらも酒は適量飲み
あらゆることを
昭和のセンスで考え
よく噛みゆっくり食べ
結婚記念日は忘れても「いただきます」「ごちそうさま」は決して忘れず
「家族団らん家での料理」と書いたTシャツを着
「有機食材を使った簡単レシピ」という言葉が大好きで
曲ったキュウリもまっすぐなキュウリも一緒といいながらまっすぐなキュウリを選び
青虫のついた有機キャベツを見ると怒り狂って農家に文句の電話をかける
東にピーマン嫌いの子どもがいれば
行って紙芝居を使って食は命だと言い含め
西に疲れたサラリーマンがいれば
行ってワークライフバランスという呪文を唱え
南に生活習慣病予備軍がいれば
行って恐がらなくてもいいと言い
北に偽装表示食品があれば
つまらないからやめろと言い
農家を訪問して地産地消を力説し
環境保護団体にでかけてエコな食卓を力説し
食育推進会議にでかけて食育の大切さを力説し
力説する相手が違っていることに気がついていない。
お腹回りに一喜一憂し
メタボ対策は毎日欠かさず1万歩
BMIを日々計算し、
週末は食育カルタを作るために標語を考え
晴れた日曜は子どもたちを引率してイモ掘り大会
みんなに食育ヲタクと呼ばれ
合コンには行かず
残業もせず
なのに給料はたんと貰う
そういうものに
わたしはなりたい

(なれません)

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2007.11.12 14:37

テケテケ・サプリ

 

松宮園生です。

帰国したら、次期テケテケ村の村長に
立候補しようと考えています。
当選したら、宮崎県知事みたいに、
テケテケ村のセールスマンとして
全国行脚してテケテケ村の宣伝に
はげみます。
その練習として、まず今回は
テケテケ村の産業のひとつ、
サプリメント産業について説明しましょう。

テケテケ村はキホン農業の村ではありますが、村おこしでサプリメントも作っています。
村の土産物店をのぞいてみてください。
土産物としてご当地サプリメントを販売しています。
品揃えはこんな感じ(↓)。

■商品名:「テケテケ眼力」
目のサプリ。
視力アップではありませんが、夜盲症を防いだり、白内障を防いだりするのに役立つビタミンAやルテイン(カロチノイドの一種)などが入ってます。

■商品名:「テケテケ脳」
記憶力のサプリ。
イチョウ葉のエキスが入っています。
イチョウ葉エキスのアレルギーを持つ人もいるので、飲むときは気をつけて。

■商品名:「テケメン」
ヌードルではありません。
前立腺ガンを防ぐと言われるノコギリヤシのエキスが入っています。
このあいだ、共和党の大統領候補がある著名な支持者と一緒に壇上に立ち、「私達2名のの共通点は前立腺ガンから回復したことだ」と自慢していましたが、なにが自慢なのか、意味不明でした。

■商品名:「初動テケテケ」
風邪じゃないけど、風邪の予感がしたときに向いているサプリ。
エキナシアというハーブのエキスが入っています。
ただし、毎日飲むのではなく、あれ?と思ったときだけ飲みましょう。
飲み続けるのはよくないと言われています。

■商品名:「日々テケテケ」
いわゆるマルチビタミン・ミネラルと呼ばれているものの類。
ビタミンAやらBやらCやら、カルシウムやらマグネシウムやらいろいろ入っています。
毎日飲む、日常生活サポート型サプリです。

■商品名:「緑黄色テケテケ」
野菜をすりつぶしたパウダーをベジキャップ(植物性のカプセル。かつては動物性のゼラチンで作ったカプセルが主流でしたが、最近はベジキャップが主流になりつつあります)に収めたもの。
食物繊維ほか、いろいろな機能性成分が盛りだくさん。

■商品名:「テケテケ・カルマグ」
カルシウムとマグネシウムの混合サプリメントです。

ところで、サプリメントに興味のある方は、知ってるお店に出かけ、サプリメントに含まれるカルシウムとマグネシウムの比率を調べてみてください。
ほとんどのサプリメントは、カルシウムとマグネシウムの比率が2:1になっているはずです。
しかも、
「カルシウムとマグネシウムが2:1というのは理想的な比率です」
なーんてもっともらしい説明もついていると思います。

でもこれは理想的でもなんでもありません。
カルシウムとマグネシウムの原料を一度に集めようとしたら、たいていの場合、2:1で集まってくるからに過ぎません。
理想的とかそういうものではなく、実態は製造する側の都合です。
ネタバレでした。

■商品名:「テケテケ・デトックス」
体内毒素排出型サプリ。
セレン(セレニウム)酵母入りです。
なぜ酵母なのかというと、「酵母を使ったほうが効果が高い」というもっともらしい説明が書かれていたりしますが、ホントは作る側の都合です。
細かい理由は長くなるので省略しますが。

■商品名:「抗酸化テケテケ」
フリーラジカルを退治する抗酸化物質、ビタミンEやコエンザイムQ10が入っています。
アンチエイジング型サプリです。
ビタミンEもコエンザイムQ10も非常に酸化しやすい物質なので、体内に入るまで酸化しないよう、ソフトカプセルに包まれ密閉されています。

■商品名:「テケテケ・ハングオーバー」
ハングオーバーとは二日酔いのこと。
ターメリック(ウコン)とマリアアザミが入っています。
マリアアザミには肝機能改善物質のシルマリンが含まれています。

■商品名:「味わいテケテケ」
味覚障害によいとされる亜鉛。
その亜鉛酵母のサプリです。
さっきのセレン(セレニウム)同様の理由で酵母が使われています。

以上です。
商品名はどうでもよいですが、使われている物質(成分)がどのような効能効果が持つのかはマジメに書きましたので、よかったら覚えちゃってください。
知ってるとトクです、たぶん。

◆◆◆

サプリメントを開発する専門家のことを
「フォーミュレーター」
といいます。
どんな物質(成分)とどんな物質(成分)とをどのように組み合わせ、どんな魅力を持つサプリメントを開発するか。
これを考える人のことです。

フォーミュレーター(formulator)とは「フォーミュレート(formulate)する人」という意味。
フォーミュレート(formulate)とは、「成分などを組み合わせて新しいものを作る」という意味です。
つまり、いろんなビタミンとかミネラルとかフィトケミカルとかを組み合わせ、なにかの目的を持ったサプリメントを作る、ということです。

ただ単に組み合わせるだけではありません。
もしかしたら組み合わせた物質同士が、どうしても混ざり合わなかったりします。
あるいは、混ざり合ったら毒になるかもしれないし。
混ざり合ったら爆発するかもしれません。
そういうのもちゃんと、考えながら開発するのです。

アメリカには
「独立してフリーで仕事をするフォーミュレーター」
がたくさんいます。
彼らは、サプリメント販売会社から商品開発の依頼を受けます。
「報酬としてン万ドル(ン100万円)払うから、なにか質の良いサプリメントをわが社のために開発してくれないか」
という依頼です。

とくに昨今は、ある種の「非凡な」サプリメントを作ってほしいという依頼が多いようです。
(もはや非凡とは言えなくなった例)
* 美肌サプリメントなんて、いまじゃどこにでも売ってますね。たいがい、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEにコラーゲンかガンマ・リノレイン酸を加えたものが多い。
* よく眠れるサプリメントも平凡になりましたね。メラトニン(ホルモン)を使うか、バレリアン(きわめて臭いハーブ)あたりが使われています。
* 花粉症予防のサプリメントも多いですね。トマトの抽出物を使っているものとか、ケルセチン(フラボノイドの一種)を使っているものとか。
(非凡な例)
* 浮気現場をごまかすサプリメント。ソッコーで言い訳を考えることができるように、脳のエネルギー源であるブドウ糖が、あっという間に脳に吸収されるようなサプリ。
* オヤジギャグを言ってしまったあとのサプリメント。「あの恥ずかしさを忘れてしまいたい」人のために気分を落ち着けるセント・ジョンズ・ウォート(ハーブの仲間)が入っています。
こういう、非凡であり、かつ、生活に密着したサプリメントの開発が望まれています。

通常のサプリメント会社(販売会社)は、自社工場を持っていません。
ですので、フォーミュレーターは知り合いの工場(サプリメント製造工場)と相談しながら、クライアント(販売会社)のためにサプリメントの新商品を開発していくわけです。
彼らの収入はよく分かりませんが、サプリメントの商品開発はなかなか高度なスキルを要求されるので、それなりに多くのお金をもらっているんじゃないかと思います。

日本では「フリーのフォーミュレーター」は極めてまれです。
日本でフォーミュレート能力を持っている人は、たいてい、どこかの製造工場に所属しています。
ところが、サプリメントが日本に普及してくるにつれ、フォーミュレーターの数が不足してきているみたいです。
その証拠に僕のところに
「フォーミュレーター、探してくれんかのう。あんた(松宮)が自分でやってくれてもええんじゃけど」
という問合せが、日本のサプリ製造会社からときどき来ます。
もちろん僕はフォーミュレーターではありませんので、あんたが自分でやってくれと言われても困るのですが。

じつはテケテケ村もフォーミュレーターが不足しています。
今後はもっと不足するんじゃないかと思っています。
誰か、この仕事に興味のある方いたら、ご一報ください。

 

 

 

 

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2007.11.11 01:25

ヘルカンさん 前編

 

松宮園生です。

「ワークサイト・ヘルス・プロモーション」
という言葉を聞いたことありますか?
(ある人は少ないと思うけど)

ワークサイトは「職場」
ヘルスは「健康」
プロモーションは「促進」
を意味しています。
つまり、ワークサイト・ヘルス・
プロモーションを直訳すると
「職場での健康促進」
という意味になります。
ここでいう「健康増進」とは、体の健康、
メンタルな健康、両方を意味してます。

「しょ、職場での健康増進だあ? 職場は仕事をするところだろーが。健康になる場所じゃねえ。健康増進活動やりたかったら、放課後か週末にだな、各自で好きなだけやればいいじゃん。会社はそんなこと、面倒見ねえよ。幼稚園じゃねえんだから」
という考え方もあります。
(かつては僕もそういう考えの持ち主でした)

しかし一方で、
* 働きすぎの社員が突然倒れたり、
* うつ病になる社員が増えたり
しているのも確かです。
放っておくと社員やその家族から訴えられたりします。
不健康な社員が多いと、たぶん会社の士気のためにもよくないでしょう。
だから社員の健康増進活動を会社としても応援するべきだ。
そう考える会社もあります。

ワークサイト・ヘルス・プロモーションとは職場での健康増進活動のことを言うわけですが、具体的には何をするのでしょうか?

具体的には

■いまいちダサい社員食堂。メニューなんかもチャーシューメンとかカツカレーとかハンバーグ定食とか、「とってもヘルシーよン」とは言いがたい中身だったりする社員食堂。それを、もちっとこう、21世紀っぽくキレイで洗練された感じにして、メニューも「たっぷりキノコのガーリックソテー」とか「10種類の野菜のグリル」とか、ヘルシーな聞こえのするものに替える。

■社内であまり使用されていない会議室とかあったら、そこに気軽なエクササイズ機械を何台か入れたりして、社員が好きなときに体を動かせるようにする。可能なら更衣室を、さらに可能ならシャワー設備を置く。

■忙しい会社員が、忙しいなかでもひと工夫すればできる運動とか、栄養バランスのよい食事をとるためのレストランの選び方、みたいなことを学ぶ健康セミナーを定期的に、頻繁に開く。

■食育のイベントを開催する。社員を対象に行ったり、社員の家族にも来てもらって行ったりする。
…こういうことを、「計画的に」するわけです。

個人が自分で食事に気をつかったり近所のジムに行ったり本を買って食育の勉強をしたりするのは、ワークサイト・ヘルス・プロモーションとは言いません。
それは単に個人の健康管理です。
じゃなくて、会社が社員のためにわざわざお金を使い、社員がヘルシーになれる仕事環境を作ってあげることをワークサイト・ヘルス・プロモーションと言います。

◆◆◆

ワークサイト・ヘルス・プロモーションという言葉が存在していることからお分かりのように、アメリカの会社ではこのワークサイト・ヘルス・プロモーションが盛んに行われています。
言い換えると、会社が社員の健康増進のためにお金を出すことが盛んに行われています。

ワークサイト・ヘルス・プロモーションの専門家もアメリカには大勢います。
専門家は何をするかというと、
「ワークサイト・ヘルス・プロモーションのプログラム作り」
をします。
会社の社長さんが
「わが社もワークサイト・ヘルス・プロモーションちうのをやってみるべ」
と思ったときに、
「ほんで、何をするべ? 何をどんな手順でやればいいべや? お金はいくら払うべや? 誰に払うべ?」
という問いに答えるのが、専門家の仕事です。

専門家は会社の規模や業態などを考慮しながら、ワークサイト・ヘルス・プロモーションの年間計画を立てます。
* いつ、社員食堂をリニューアルするか
* どのように社員食堂をリニューアルするか
* いつ、エクササイズ・ルームを作るか
* どのようなエクササイズ・ルームにするか
* どんなセミナーをどんなタイミングで開くか
* どんな食育イベントをどんな頻度で開催するのか
…といったことを計画します。
そのうえで、全部でお金がいくらかかるかを計算します。
計算するわけだけど、エクササイズ・マシンのメーカーなどを相手にちゃんと値引き交渉なんかもやる。
で、そのプログラムを社長に説明し、お金がいくらかかるのかも説明し、社長がウンといったら実行に移ります。

やってみると思いどおりいかないこともあります。
* せっかくお金をかけて社員食堂を変身させたのに、社員があまり利用してくれない。
* せっかくお金をかけてエクササイズ・ルームを作ったのに、社員があまり利用してくれない。
* セミナーを開いたのに、聞きにくる人がまばら。
* 食育イベントをしたのに、参加者がまばら。
…こうした問題を解決し、社員をヨイショして参加者を増やすのも専門家の仕事です。

◆◆◆

なぜアメリカではワークサイト・ヘルス・プロモーションが盛んなのでしょうか?

ときは1991年。
湾岸戦争があった年です。
心理学者のロバート・H・ローゼン博士が
「ヘルシーカンパニー」
という本を出しました。

この本にはこういうことが書いてあります。
* 社員の健康増進は、会社の経営の重要なファクターであるぞよ。
* 社員がその活力をいかに発揮するかで、会社の業績が違ってくるぞよ。
* ストレスの少ない職場づくりをせんとあかんぞよ。
* 社員が健康でいたいと思うのを、会社は応援せんとあかんぞよ。
* 社員の健康のために努力した会社は、報われるぞよ。

日本の諺でいうと、
「情けは人のためならず」
てな感じ。
社員の幸せのためにワークサイト・ヘルス・プロモーションをするわけだけど、結果として会社の業績も上がり、社長さんの株も赤丸急上昇!
人のためにやったけど、自分のためにもなった。
よかったよかった。
こんな感じです。

社員の健康増進に会社がお金を出すことが、実は会社のためにもなる。
これは画期的な考え方でした。
「ヘルシーカンパニー」は話題になり、会社の社長さんたちのバイブルにもなりました。
ワークサイト・ヘルス・プロモーションの専門家は、ヘルシーカンパニーを支援していることから、
人々に
「ヘルカンさん」
と呼ばれ、長く親しまれましたとさ。

そんなわけで、アメリカはワークサイト・ヘルス・プロモーション王国になっているのです。

(以下次号)

 

 

 

 

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2007.11.10 01:14

タリボン

 
(注意)
食事中には読まないことをオススメします。

◆◆◆

テケテケ村でイチゴ農家をしている舎弟の小判大介が、仕事に余裕ができたのか、突然アメリカに遊びに来ました。
理由は分からないのですが、さっきから
「浮気農家のジョン・ソイビーンを紹介しろ」
とやかましい。
でもこの僕が、そんなメンドクサイことをするはずがありません。
小判大介の要望は、黙殺です。

まあしかし、友が遠方から来てくれるのは喜ばしい話です。
観光案内でもしてあげましょう。

そんなわけで、小判大介と連れだってロサンゼルスの繁華街に出かけた僕。
繁華街の一角にある、有名な自然食品店をぶらぶらしていたときのこと。
その店を仮に
「食育原理主義の店 タリボン」
と呼ぶことにしましょう。

同じ自然食品店でもホールフーズ・マーケットあたりは内装も近代的。
雰囲気も清潔で居心地がよいのでけっこう「安心して遊べる」。

しかしタリボンはぜんぜん違います。
入った瞬間、
「あ」
思わず声が出ます。
敵に追われているスパイが、隠れようとしてそのへんの空き家のドアをあけたら、そこにも追ってがいた。
そんなときの
「あ」
になんとなく近い。

たちこめる妖気。
嗅いだことのない不思議なアロマ。
ビミョーに静かな店内。
至るところにいるのに、気配のしない店員たち。
明るいのか暗いのかよくわからない店構え。
「IN(入口)」と書いた立て札はあるのに、「OUT(出口)」の立て札が見当たらない。
仏像、立ってます。
そんなたたずまいです。

怪しいもの好きの小判大介はタリボンが一目で気に入ったらしく、さっそくお土産選びを始めました。

小判大介がアメリカにいることはテケテケ村の全員にバレています。
つまり彼は全員からお土産を期待されているわけです。
あの、扱いにくい「ミスミのジイサン」も例外ではありません。
ムスっとしているくせに、お土産がほしいのです。
もしお土産を買わずに帰国したら、いろいろ都合の悪いことが起きることでしょう。

ですので、お土産をどうしようかと悩んでいた小判大介にとっては、タリボンはまたとない「漁場」なのでありました。

小一時間かけてお土産を選んだ小判大介。
イグサで編んだような買い物カゴが、有機とかそういうのなんだろうけど正体不明の食品でいっぱいになっています。

そのときです。
「松宮さん、これ、どういう意味ですか?」
サプリメントっぽいのが並んでいる棚のところから、小判大介が手まねきをしています。
「アンチ・パラシテって何ですか?」

見ると、その棚には大きく
「ANTI PARASITE」
と書いてありました。
ローマ字読みをすれば「アンチ・パラシテ」ですけど、英語読みをすると「アンタイ・パラサイト」です。

うげ。
寄生虫対策のサプリメントだ…。

「き、寄生虫ですか?」
小判大介も目を白黒(←死語)させています。
「そんなサプリメント、あるんですか? しかもこんなにたくさんの種類が?」
「オレもこんなの、初めて見たよ」

寄生虫対策サプリの棚は、両手を広げたくらいの幅で、2メートルくらいの高さがありました。
そんな棚いっぱいに、いろんな種類のサプリメントが並んでいたのです。
これはいったい何を意味するのでしょうか?

僕は冷や汗をたらしながら言いました。
「店の奥に、オーガニック野菜のコーナーがあったよな。きっとあれ、筋金入りのオーガニック野菜なんだろう」
「筋金入りのオーガニック野菜?」
「だから食べると、寄生虫が…」
小判大介の顔色が変わりました。「や、やめてください」
「ここで買い物をする人は、自然な食生活をするためなら、寄生虫がわいても構わないと思ってるんじゃないか?」
小判大介は黙りこみ、買い物カゴいっぱいに詰めこんだ商品を元の場所に戻し始めました。

この店で買い物をする人は、ロサンゼルスのなかでもわりと生活が豊かで、ロハスっぽいライフスタイルをしているはずです。
ある意味、最先端の人たちなんだけど。
その最先端の人たちは、寄生虫を受け入れる気持ちになっているんだ…。

意気消沈して店を出た小判大介と松宮。
西海岸のさわやかな夕陽がまぶしかったのが、唯一の救いでありました。

読者のみなさま、ゴメンナサイ。
今回はショックのあまり、オチ無しです…。

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2007.11.08 14:25

浮気農家ふたたびリノに行く


松宮園生です。

カジノに来てます。
浮気農家のジョン・ソイビーンと一緒です。
(ジョン・ソイビーンが以前カジノに来た時の話はここをクリック)
最近羽振りのよいジョン・ソイビーンは、
贅沢にもファーストクラスか何かで来たようです。
食うのが精一杯の僕はアラスカ航空のマイレージが貯まっていたのを使い、エコノミークラスのしかも窓側でも通路側でもない真ん中の席で泣きながら来ました。

アメリカでカジノというと、
西のラスベガス
東のアトランティックシティ
が有名ですが、ジョン・ソイビーンと僕が来ているのは
リノ
という街です。
ラスベガスと同じネバダ州にあります。
ラスベガスに比べたらいくぶん地味なところです。
とはいえ、リノもカジノとしては立派です。

リノに着いたら、空港ロビーにいきなりスロットマシンが並んでいます。
いろんな人がスロットマシンに興じています。
よくみると年配の人が多い。
掛け金が5セント(日本円で6円から7円)の台の前で、いつまでもジャラジャラやっています。
それを尻目に僕なんかは宿泊予定のホテルに移動し、そのホテルのカジノで少ない小遣いをさらに少なくするために頑張るわけです。

ジョン・ソイビーンとはホテルで待ち合わせをしました。
バイオ燃料用のトウモロコシが売れて売れてしょうがない彼は、なんだか昔よりも服装がよくなったみたいです。

ジョン・ソイビーンがカジノにいることは奥さんには内緒です。
なぜ内緒なのかはよく分かりません。
理由を聞いても教えてくれないので。

ホテルのレストランで夕食をともにした後、彼は言いました。
「マツミヤ殿。ここから先は自由行動といたそう。拙者のことは気にせずに、ブラックジャックにでもに興じるがよいでござる」
そして驚いたことに、その夕食をおごってくれました。

ジョン・ソイビーンを観察していると、日米の農家ってぜんぜん違うなあと思います。
日本の農家さんって、
「農業を守る。土地を守る」
という熱い思いにかられている人がけっこう多かったりするし、
「農業は金儲けではない。儲けるために農業をするというのはイカン」
みたいなセリフをよく聞きます。
農業が、そのまま根性試しとか人生修業とかの場になっている感じです。

それに比べてジョン・ソイビーンのあっけらかんとしていることといったら。
人生修業も何もありません。
この男は「農業は金儲け」と割り切っています。
で、儲かったら株を買ったり、経営コンサルタントに相談して儲かりそうだったら設備投資をしたり、それでも余裕があったらラスベガスやリノに来て「蓄財」に励むわけです。
いいんだか悪いんだか。

その晩、僕は3時間ほどブラックジャックに挑戦し、勝ったり負けたりを繰り返して飽きたので、ホテルの部屋に戻って眠りました。
翌朝、ジョン・ソイビーンから朝食の誘いがあったので再びレストランで待ち合わせをしたところ…。
「夕べは事件があって、浮気をしそこなったでござる」
と、昨夜の出来事を語り始めました。

◆◆◆

ジョン・ソイビーンはルーレットに挑戦していました。
負けてもよいでござる、と鷹揚に構えていたのが良かったのか、その日は勘が冴え、どの番号に球が来るのか、ピンとくる瞬間がときどきあったようです。
3勝2敗くらいの勝率を続ける彼のところにはチップが集まり、気がついたら隣に魅力的なブロンド女性が座っていました。
「ピナコよ。よろしく」
ブロンド女性はそう言って、ジョン・ソイビーンに握手を求めました。

しばらくすると、ピナコは言いました。
「ねえ。あなたのパワーを分けてくれないかなあ。いま全財産2000ドル(約26万円)持ってるんだけど、これを思いきり増やしたいの。チマチマ分散投資するのは嫌。どれか1つの数字に賭けたいの。次は何番が来るか、教えてくれない?」
ジョン・ソイビーンは答えました。
「そなたの年齢と同じ番号に全額賭けるとよろしいでござる。当たれば36倍でござるよ」
ピナコは笑いながら
「いい加減なことを言うのね。わたしが何歳かも知らないくせに」
「だまされたと思ってやってみるがよいでござる」

数分後…。
ピナコがその場で失神してしまいました。

◆◆◆

(朝食の場面に戻ります)

「えっ、どういうこと?」僕は聞きました。「何があったの? なんで気絶したの?」
「実はでござる」ジョン・ソイビーンは言いました。「そのピナコなる女性は、28番のところにチップを全部、置いたでござる。されど、実際に来たのは36番でござった」

 

 

 

 

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2007.11.02 14:57

食育コウモリに明日はあるか

松宮園生です。

仕事柄、毎日メールが200通くらい来るのですが、
今日はそのなかにこういうのが2通、混じっていました。
紹介します。

◆◆◆

(1通目)

松宮園生様。
日本食育大学に松宮さんのメルアドを問い合わせたら、
個人情報だというのにあっさり教えてくれましたので、メールを書いてます。
あたしの名前は「サトミ51」と言います。
フリーの殺し屋です。
ニキータ検定の1級も持っています。

あっでも安心してくださいね。
今のところ松宮さんを狙っているのではありませんから。
依頼がないかぎり、大丈夫です。
依頼がないかぎり、ね。

じつはあたし、ある食育の教団から
「マ○○ナルドのお得意様トップ50人」
「吉○家のお得意様トップ50人」
というリストを渡されました。
単純に合計すると100人なんだけど、両方に名前の載っている人が12人いますので、実際には全部で88人。
「食育の敵にダメージを与えるために、この88人を何とかしろ。言ってる意味はわかるな」
というのが、その食育教団からの依頼だったの。
今日までに29人、達成しています。
あと59人。

でもだんだん難しくなってきました。
どうやらマ○○ナルドと吉○家に気づかれたらしくて。
彼らも用心棒を雇って、あたしの仕事の邪魔を始めたんです。

許せない。
言っとくけど、あたしはただの一度も、仕事をしくじったことはないのんよ。
このこと忘れないでね、松宮さん。

松宮さんは食育の味方でしょ。
だったら手伝ってくれるよね。
報酬ははずむわ。
まさか断らないと思うけど、もし断ったら、明日の合コン、犠牲者が出るわよ。
明日の朝、も一回メールするから、携帯オンにしておいてね。

サトミ51

◆◆◆

(2通目)

松宮先生
はじめまして。
マ○○ナルドで食育担当をしております、ジャッカル米山と申します。
ご相談がありまして。

世間では私どものことを「食育の敵」と考えるフシがありますが、たいへんな誤解でございます。
私どもは食育の教材を必死に作っておりまして、学校の教育現場で実際に活用いただいております(←松宮コメント:これホントです)。
また、本国アメリカでは、私どもは「ファイブ・ア・デイ」と呼ばれる健康増進運動の役員をしています(←これもホント)。
果物の普及にも貢献しておりまして、世界最大のリンゴ消費者はマ○○ナルドでございます(←これもホント)。

にも関わらず、世間の食育オタクはわが社を目の敵にしているのでございます。
先日、CIAから連絡がありました。
「アーケイディア食育原理主義教団」というところが、「サトミ51」というオカマの殺し屋を雇って私どものお得意様のお命を狙っているというのです。
調べてみますと、たしかに私どもの大切なお客様が何人も、謎の死を遂げておりました。
そりゃ、私どもを憎いと思う人はいますけれども、殺人はいけませんや。

CIAも困ったものです、暗殺を防げないなんて。
これでは何のために多額のワイ…政治献金を出しているのか分かれしまへん。
まあ、CIAを苛めてもしかたがありませんので、私どもは屈強なボディーガードを集めたり戦略核兵器を用意したりして警備体制を強化することとしました。
名づけて
「マヌーバー・イン・ザ・ダーク」。

ただし、私どもも無用な殺生は好みません。
できるだけ平和に解決したいという思いは、ブッシュ大統領よりも強い。
(それって強いの? というツッコミはしないでください)
ですので、アーケイディア食育原理主義教団に話し合いをしたいと申し入れております。

そこで相談です。
松宮先生には、この交渉団のリーダーになっていただきたい。
報酬は弾みます。

普段から
「食育オタクはダサい、昭和っぽい」
と食育原理主義をバカにしている先生のことですから、まさか断られることはないと信じております。

しかし不幸にも、もし引き受けていただけなかった場合は、先生をアーケイディア食育原理主義教団の一員とみなし、
「マヌーバー・イン・ザ・ダーク」
の標的といたします。
具体的には、明日の先生の合コン現場を空爆いたします。

私どもは日頃から世界最大の穀物会社カーギルと親しくしておりまして、カーギル社が持っている人工衛星で先生の行動の監視を始めております。
空爆など、お茶の子さいさいでございます。
(カーギルについて詳しく知りたい人はここをクリック)

明日の朝にもう一度、携帯メールします。
それまでに本件を熟慮していただき、
* 引き受けて多額の報酬をもらうか
* 断って空爆されるか
を決断してください。良い返事をお待ちしております。

ジャッカル米山

◆◆◆

僕は溜息をつきました。
マジかよ…。
明日の合コンは「お持ち帰り」無理そうだな…。
(中止しないんかい)
(つーか、悩みはそこかい)

 

 

 

 

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2007.11.01 09:59

ターザン栄養学 その6

 

松宮園生です。

僕の師匠であるドクター・チイタッタはサプリメントを
使って疾病予防だの治療だのをしている医者です。
ボストンとフロリダの両方で開業してて、
夏は涼しいボストン、冬は常夏のフロリダにいます。
羨ましいかぎりです。

ボストンには松坂投手がいます。
つまりボストン・レッドソックスの本拠地です。
松坂投手がワールドシリーズに出るというので、僕もチイタッタ先生を訪問ついでに地元のスポーツバーでゲーム観戦(チケットが入手できませんので、球場での観戦は夢のまた夢)を、と思ったのですが、先生に電話したら、
「ワールドシリーズ? 興味ねーよ。第一、オレはもうボストンにはいないもん。フロリダに来ちゃったぜ」
味も素っ気もない、チイタッタ先生でした。
(そうこうしているうちに、ボストン・レッドソックスはワールドチャンピオンになっちゃったね)

チイタッタ先生は食べるものにやたらとうるさく、レストランに入ったときなどは食材だの調理法だの調味料だの、店に質問しまくります。
(チイタッタ先生の厳しい取り調べについてはここをクリック)

こないだはこんなやりとりをしていました。
チイ「このエンダイブはどこの?」
店員「サニーマーメイド農園です」
チイ「ああ、あそこ。で、有機栽培か?」
店員「有機栽培の認証はついておりません」
チイ「おかしいな。サニーマーメイドはたいがい、有機だぜ」
そういって、彼はサニーマーメイド農園に電話をします。
チイ「ウィリアムいる?」
ウィ「ウィリアムです」
チイ「ドクター・チイタッタだけど」
ウィ「あ、先生。いつもどうも」
チイ「シープギャングパックていう店、知ってる?」
ウィ「知ってます」
チイ「いまそこにいる。あんたんとこのエンダイブをさ、ピュージェット・サウンド風にグリルして食べようとしてんだけどさ、あんたんとこのエンダイブは、有機じゃなかったっけ」
ウィ「じつはエンダイブはまだ有機認証が取れていません。ですが転換期間中でして、来月には期間満了なんです」
チイ「なるほど、そういうことか。だったらまあ、ほぼ有機つーことだな」
ウィ「認証はこれからですけどね」
チイ「オーケー、分かった。あんたは真面目な農家だからな。信用して、有機とみなして食べることにしよう」
ウィ「恐縮です」

こんな具合に、産地まで電話してメニューを吟味するようになりました。

さて、医者としてのチイタッタ先生には
「お気に入りの工場」
があります。
医者と工場って、何の関係があるのでしょうか。
しかも「お気に入り」とは…。

その工場とは、ピッツバーグにある
「マクミラン・ラボ」
という、サプリメントの製造工場です。

チイタッタ先生は「メガビタミン」と呼ばれるやりかたでクライアントの疾病予防や治療をしています。
要するに、薬を使わずにサプリメントを使って医療をします。
ですので、自分が処方するサプリメントの品質には非常に気を遣っています。
サプリメントは専門の工場で作られますので、どの工場が作ったサプリメントか、というのも重大な問題です。

アメリカにはサプリメントの製造工場が400くらいありまして。
たいがいはカリフォルニアとニュージャージーに集中していますが、チイタッタ先生の眼鏡にかなった工場「マクミラン・ラボ」はピッツバーグにありました。

ここの社長ローレンは俳優のマイケル・ダグラスがニヤけたような顔をしてまして、クルマの運転中に後ろを振り向いてギャグを飛ばし、前方不注意もはなはだしい人物です。
僕は自分より運転の心構えがなっていない人間を初めて見ました。
しかしなんと、そんな彼の工場は医者のあいだで評判がよいのです。
ここで作られたサプリメントは最近、日本のクリニックでも使われています。

以上、チイタッタ先生についての話でした。

◆◆◆

サプリメントって本来、「(足りないものを)補う」という意味です。
日本で「サプリメント」と呼ばれているものは、アメリカでは「ダイエッタリー・サプリメント」と言います。
「ダイエッタリー(=食事の)」という言葉がくっつきます。

こないだ一時帰国して気づいたんだけど、日本ではいろんな言葉に「サプリメント」とか「サプリ」とかをくっつけているケースが多いですね。

(例)
テレビ・サプリメント(なにかの番組の名前でした)
サプリメント・チョコレート(何が違うかというと、カカオが多いみたいでした。←それで?)
サプリメント家具(補強材のことみたい)
サプリメント煎餅(天然の塩を振っているのでミネラルが多いそうです)
サプリ醤油(大豆を使っているからだそうです。←それって普通じゃん)
サプリメント女優(そう呼ばれて、嬉しいのかな)
サプリンガー(正義の味方だそうです。強いのか?)
サプリ農家(意味不明)
サプリTシャツ(意味不明)
サプリタイガー(意味不明)
サプリメンター(何かの資格だそうです。何の資格かは不明)

(以下次号)

 

 

 

 

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