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松宮園生です。
(前回までのあらすじ)
駄目ビジネスマンをカモに日々の糧を稼いでいる
アゴヒゲ。
清水の次郎長風にいうと「ケチな野郎でござんす」。
そんなアゴヒゲにつきまとわれて困った
「新世紀エバンゲリ食品研究会」
は、松宮園生にアゴヒゲ退治を依頼した。
しかしその松宮園生もアゴヒゲにカモられた情けない過去を持つ。
果たして対決の行方はいかに?
最後に笑うのは誰か…?
◆◆◆
「新世紀エバンゲリ食品研究会」は、21世紀の新しい科学知識を総動員して新型食品を開発しようとする食品メーカーの集まりでした。
アゴヒゲはその会合にずうずうしく顔を出しています。
理系でもなく食品科学に詳しいわけでもなく、そもそも食の世界にもたいして通じていないアゴヒゲは、この会合のコーディネーターとしてメンバーから何か仕事をもらうことをネラっています。
しかし「新世紀エバンゲリ食品研究会」からみると、本来関係のない人がいつのまにか会議の常連になっている。
何ともいいようない違和感です。
かといって排斥するわけにも生きません。
なぜならこの研究会は
「興味のある人なら誰でもどうぞ」
という原則だったからです。
だったら始めから「限られた人だけの会合」にすればいいじゃん。
と普通は思うんですけど、まあそこは一筋縄でいかない本音と建前の「昭和のオトナ」が見え隠れしています。
「松宮どん。おぬしアゴヒゲに詳しいんだろ。なんとかしてくんろ」
研究会のあるメンバーが僕にコンタクトしてきました。
要は、アゴヒゲの気をそらして退会させたい、というものです。
「ただでとは言わん」依頼者の人は言いました。「無記名のオーストラリア国債で200万ドル、用意したぞい」
アタッシュケースがおもむろに開かれました。
↑
嘘ですね。
ゴルゴ13じゃあるまいし、こんなカッコイイ場面などあるはずがありません。
実際の報酬は、
「アゴヒゲを追い払うことができたら、松宮を新世紀エバンゲリ食品研究会の名誉会員にしてやる」
という何だかよく分からないものでした。
それでも松宮は、
「いつもアゴヒゲにナメられているのを仕返ししたい」
という動機で、この依頼を受けることにしました。
◆◆◆
僕の考えた作戦はこうです。
新世紀エバンゲリ食品研究会のメンバーはいろんな食品会社の社員です。
しかし、純粋な学者先生はいません。
学者先生がメンバーに入ってくれたら会に箔(はく)がつきます。
よし、学者先生を入れよう。
その学者先生を勧誘する役目を、アゴヒゲにやってもらおう。
「仕事ができた。おれの素晴らしさを見せつけるチャンスだ」
と、アゴヒゲは喜び勇むにちがいない。
そこにつけこむのだ。
ひひひひひ。
学者先生だが、誰にしようか?
そこでサマンサタバサ所長が登場します。
茨城県の人里離れたところに、「食品魔術研究所」という有名な研究所があります。
何がどう有名かというと。
そこの所長さん、人呼んで(←死語)サマンサタバサ氏、はクイズ魔でした。
クイズに答えられないと所員はクビ、来客はお茶も出さず追い出す、という人物だったのです。
さっそく僕は「食品魔術研究所」にお試し電話を入れました。
「食品魔術研究所です」
「食育プロダクションの松宮園生と申します。サマンサタバサ先生はいらっしゃいますか」
「おります。いまからクイズを出しますので、見事正解していただいたらおつなぎいたします。昔の日本人が食べていた『山鯨』とはなんでしょう」
「や、山鯨? クマのことか?」
「残念、不正解です。ではごきげんよう。正解は自分で調べてください」
ガチャリ。
すげー。
噂どおりだ。
クイズに答えられなかったのは悔しいが、まあよい。
電話をとりついでもらうのさえこんなに難しいのだから、ましてや入会の説得など至難の技に違いない。
サマンサタバサにアゴヒゲをけしかける。
まず間違いなくアゴヒゲは玉砕するだろう。
で、屈辱のあまりアゴヒゲは、「新世紀エバンゲリ食品研究会」を脱会するのだ。
ひひひひひ。
残忍な笑い声の松宮。
アゴヒゲ危機一髪!
がんばれアゴヒゲ。
卑怯な松宮の野望を打ち砕け!
ん? なんでアゴヒゲを応援してんだっけ?
(以下次号)