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2007.10.30 01:54

食育クーデター2007 前編


松宮園生です。

◆◆◆

日本食育大学(にほんしょくいくだいがく)
2002年、食育に興味があるのに何をしていいのか
分からない人が、とりあえず在籍する
「食育探しの避難場」
として、オランダ人のメタボ資産家キルケ・ルートル
(1948 -)により設立された。
しかし2007年、有名な「07クーデター」により、
設立コンセプトは大きく転換した…。

(中略)
当初は食育学部しかなかったが、「07クーデター」の後にダーク食育学部が新設された。さらに2008年には食育レボリューション学部が設立される予定である。

(中略)
学部および学科構成は以下のようになっている。
 <食育学部>
   メタボ撃滅学科
   安心・安全学科
   食文化見直し学科
   食育評論攻め学科
   レシピ大量生産学科
   エコ食育学科
   イケイケ農業学科
   しつけバッチリ学科
 <ダーク食育学部>
   センス学科
   ビジネス学科
   シニカル学科

(中略)
著名な卒業生には、
*阿部マリエ(1979 - 2006)
*ザイオン共和国大総統モーフィアス(1961 -)
がいる。
衝撃映像撮影技術大学(通称、日本ショッキング大学)とまれに混同されるが、まったく異なる大学である。

(以上、日本食育大学出版「オールジャパン食育大辞典」より抜粋)

◆◆◆

泣く子も黙る日本食育大学!
(ホントに黙るかどうかは別として)
今でこそ食育人種の虎の穴として名を馳せていますが、しかしその道のりは決して平坦なものではありませんでした。

食育はちょっとしたブームになっていますが、食育オタクのあいだでは根強い不安感がありました。
どういう不安感かというと…
「食育には昭和の香りがする。しかしこのままでいいのか」
という不安です。

そう。
皆さんもお気づきかと思いますが、世の中のあちこちで行われている「食育活動」って、なんかちょっとダサめじゃありません?
イマイチなんか、センスとかあんまし感じませんよね。
* 企画がダサかったりとか。
* パンフレットやポスターが昭和型デザインだったりとか。
* 食育講師に「華」のある人が少ないとか。
* 気恥ずかしいカルタとか。
* 価値のよく分からないレシピとか。
「食育って、あんまりカッコイイ感がないかも」
なんて漠然と思っている人、多いかも。

その証拠に、合コンに行って
「松宮さんって、何のお仕事をしてるんですか?」
と女の子に聞かれて、
「食育」
なんて答えても、誰もキャーステキなんて言ってくれません。
それどころか、言い方が下手だと引かれたりして。
要は、食育にはセンスのいいイメージが足らないせいか、食育をしている男性はモテないみたいなんだよね。
(女性はそうでもないみたいだけど)

ところが、かつての日本食育大学にはそういう問題意識はありませんでした。
モテない卒業生を大量に輩出して、平気でいたのです。
そんな不満がついに爆発したのが、
「07クーデター」
です。

次回は、この
「07クーデター」
を通じて、必死にモテようと苦悩する食育関係者の実態を、赤裸々にレポートします。

(以下次号)

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2007.10.26 15:54

魔のレシピ学 その3


 

松宮園生です。

前回までのあらすじ)
畑の隣にレストランを作ってさ、
自分の畑でとれた作物をそこで
美味しく料理して出せたらいいよね。
そんな夢を持つ若い農家は
けっこう大勢いるんじゃないかな。
ただしそうするためには農家に
レシピを考える力がほしい。
料理技術じゃなくてレシピ開発力だ。
料理技術じゃない。ダイコンのかつらむきは下手でもいい。
しかしレシピ開発力はほしい。自分の畑でとれたダイコンをどうやったら一番美味しく食べられるのか、を考える能力は必要だ。
「レシピ開発力」を身につけるにはどうしたらいいか、そういう講座を作りたいよね。
…農業コンサルタントの葉竹乃木夫さんからそんなことを言われ、レシピ開発力ゼロの松宮園生が調査を始めます。
まずは淡路島を訪問。
舎弟のタピ岡秋彦とともに「レシピの女王」に突撃インタビューしたが、女王は天才すぎてレシピ開発のコツを聞きだすことはできませんでした。

◆◆◆

失意のまま淡路島をあとにした松宮園生。
駅にむかうタクシーのなかで、レシピの女王がなんとラジオに出演していました。
それもどうやら、リスナーからの質問に答えるレギュラー番組のようです。

リリリリリ。
「レシピの女王でございます」
「もしもし」
「はい。ではお名前をどうぞ」
「星明子と申します」
「星さんですね。どのようなご相談でしょうか」
「わたくし、幼い頃に母親をなくしまして、いまは父親と弟とわたくしの3人で暮らしております。父親は昔気質の人間でして、気に入らないことがありますと、ちゃぶ台をひっくり返すんです」
「なかなかたいへんなお父様ですねえ。お父様のお名前は」
「一徹といいます」
「星一徹さん」
「はい。で、弟の名前は飛雄馬といいます」
「星飛雄馬さん」
「はい。父は弟をプロ野球選手にしたいらしくて、妙なギブスをこしらえて弟に身につけさせているんですけど、そんなものを作る暇があったら働いてもっと稼いでほしいと思います」
「なるほど。お気持ち、分かります。お父様は仕事をされていないんですか?」
「弟を鍛えるのに夢中で、日雇いの仕事をする以外は、働きに出ないんです」
「それは困りましたねえ」
「話がそれちゃってごめんなさい。相談といいますのは、ちゃぶ台をひっくり返す父のことでございます」
「はい」
「だいたい週に2回、ひっくり返すんです」
「週に、2回?」
「ええ。統計をとって数えてみましたら、そうでした」
「統計をとったんですか?」
「ええ」
「なるほど」
「うちは貧乏なものですから、食料を無駄にしたくはありません」
「そうですよね、分かります」
「でも、父親がちゃぶ台をひっくり返すのを止めさせることも難しいんです」
「それはどうしてですか?」
「生まれながらの、気質だと思います」
「分かります」
「かといって、どうせひっくり返されるからといって、はじめから手抜き料理をするわけにはいきません」
「それはどうしてですか」
「父は機嫌のいいときはちゃんと、食べてくれますし」
「そうですよね」
「弟は食べ盛りなものですから、プロ野球選手になってもらうんだったら、お腹いっぱい食べてもらわないと」
「なるほど、そうですよね」
「女王様」
「はいはい?」
「父がちゃぶ台をひっくり返したあとの掃除もたいへんなんです」
「ごもっともですね」
「そんなわたくしですが、家族のためにどのような食事を作ったらいいでしょうか?」
「分かりました星さん。ではアドバイスを差し上げましょう。まず、ポイントを整理します。1。星飛雄馬さんは食べ盛り。手抜き料理を出すわけにはいかない。2。星一徹さんは週に2回、ちゃぶ台をひっくり返す。犠牲になる食料がもったいない。掃除の手間を軽くしたいし、できればひっくり返された料理をリサイクルしたい。ここまではいいですか」
「ええ。間違いありません」
「お父様がちゃぶ台をひっくり返すのはいつなのか、予測できますか?」
「それができたらいいんですけど…。娘のわたくしにもまったく読めないんです。前は、満月の夜が危ないんじゃないかとか、隣の家が夫婦喧嘩した翌日が危ないんじゃないかなんて思ってたんですが、そういう規則性もないみたいで」
「実にお気の毒です。でも気を落としてはいけません。これからもしっかりした料理を作っていただいて、早く弟さんにプロ野球選手になってもらって、契約金と年俸で楽をさせてもらいましょう」
「はい、頑張ります」
「では、どんな料理をお作りになるのがよろしいか、申し上げますね。メモの用意はいいですか?」
「はい」
「まず、あまり贅沢な料理もできないとのことですので、旬のお魚か鶏胸肉を主菜にしてください。ちゃぶ台をひっくり返されたときにも拾って洗ってもう一度お皿に乗せたいしね」
「はい」
「それから、お掃除を楽にするには『汁と油を減らす』ことが重要です」
「はい」
「魚を選ぶときは、煮魚より焼魚、さらには秋刀魚のように身の柔らかいお魚より鮭のように身の硬いお魚を選びましょう」
「硬い魚ですね」
「そうです。お値段のことを考えると、物価の優等生の卵も使いたいですね。ただし茶碗蒸しはさけ、卵焼きにしましょう」
「茶碗蒸しはさけ、卵焼きですね」
「そうね。鶏肉を使うなら、エネルギーを確保するためにチキンカツにでもしましょう。もしひっくり返されてしまったら…急いでタマネギをいため、チキンカツとあわせて、カツ丼にリメイクします」
「ああそうか。チキンカツはかつ丼にリメイクできるんですね」
「そうですよ。それから、副菜は小さく切らないのがポイントです。ざっくり大きく切って、拾いやすいようにしましょう」
「わかりました」
「千切りキャベツとかキュウリの酢の物とか…は、ダメです。ひっくり返されたあとが大変。まあ、千切りキャベツなら洗えば使えるかしら。後で拾うことを考えたら、味つけしていない生野菜をそのまま出すのがいいわね。咀嚼のことも考えて、大きめに切った根菜類の煮物なんかもいいですね」
「はい」
「人参、ごぼう、蓮根、大根などとガンモドキをたきあわせ、汁はほとんどよそいません…ひっくり返されてもいいようにね。最後に別に茹でておいたほうれん草か小松菜をトッピングすれば、栄養価もそろいますね」
「はい」
「中華料理は油が多いから、作らないほうがいいわね。ひっくり返されてたら大災害」
「はい」
「わたしからのアドバイスはそんなところです。どうかしら」
「ありがとうございます。これでやっとヘソクリ(←死語)ができる! 女王様のおかげです」
「ヘソクリ?」
「そうなんです。父がちゃぶ台をひっくり返すせいで、ぜんぜんお金がたまらなくて」
「それはそうですね。で、お金をためて、なにか買うんですか?」
「はい。父がひっくり返せないような、ルクルーゼ製の重たいちゃぶ台を買おうと思いまして」

 

 

 

 

 

 

 

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2007.10.24 02:31

ダーク食育カルタ その1


松宮園生です。

食育に関わっていると
「きれいごと」
を言わなくてはならない場面が
よくあります。
しかし
「きれいごと」
を言うたびにフラストレーションが
溜まってきます。
で、この場を借りて溜まったものを
吐き出しとうござんす。
しかしそこは僕も日本食育大学の
ダメ助教授ですから、芸術的な方法
を採用いたしました。
名づけて
「ダーク食育カルタ」
(裏カルタと言ってもよろしい)。

まだ全部できていませんが、
全部そろえるほどの熱意も
ありませんので(笑)、このへんでテキトーに披露します。

◆い
◆ロハスの意味100字以内で言ってみろ
◆は
◆に
◆飽和脂肪酸だっけ、不飽和脂肪酸だっけ
◆へ
◆トマトはリコピン。ほかにはと聞かれ絶句
◆地元食材日本一うまいと全県が主張し
◆り
◆ぬ
◆る
◆わ
◆管理栄養士、栄養管理士、どっちだっけ
◆よその食育講座をけなすあんたも食育講座
◆食べるときは忘れていたい厨房事情
◆れ
◆素材にこだわったお店です、って、どうこだわったわけ?
◆つ
◆ね
◆名前をつけた牛に限って出荷される
◆ら
◆無農薬だいすき虫ダイキライ
◆う
◆ゐ(←これは無理っす)
◆の
◆お
◆く
◆野菜が主役の肉料理ってなにそれ
◆マクロビの人早く老け長く生き
◆健康指導きびしく受けてストレス死
◆ふ
◆こんなことやってる松宮もヒマなんだか
◆ええやんけ6割輸入に頼っても
◆て
◆朝ごはん噛まずに飲み込む元気な子
◆さ
◆牛乳は飲むべきなの、飲んだらあかんの、どっち?
◆ゆ
◆メタボは85センチなの、87センチなの、どっち?
◆水だって死ぬほど飲めば死んじゃうよ
◆食育は大切と思ってる人に食育の大切さ熱弁し
◆ゑ(←また出たよ)
◆品質にこだわるお店と全店が主張し
◆も
◆せ
◆す
◆ん

空いているポジションは順に埋めていき、「その2」として発表いたします。
投稿も歓迎。

(以下次号)

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2007.10.22 20:12

陰謀料理連盟ネオ その3

松宮園生です。

前回のあらすじ)
陰謀オタク仲間の太刀槌タツオがまだ行方不明
になる前、太刀槌タツオと松宮園生はインド料理
を食べるためにロンドンに行きましたとさ。
インド料理を食べるならインドに行けばいいのに、
わざわざロンドンに向かった理由は、
* ロンドンのあるイギリスは、かつてインドを
植民地としていた →きっとロンドンで食べる
インド料理はウメエにちげえねえ
* ロンドンは陰謀ファンのあいだで陰謀の中心地となっている →ぜひともその妖しい雰囲気を味わいてえ
でした。

◆◆◆

ガイドブックも持たず辞書すら持たず、何のあてもないままロンドン行きの飛行機に乗った2人でしたが、機内誌にたまたまロンドンのインド料理店が1つ紹介されていたので、とりあえずそこに行こうということになりました。

まずはホテルにチェックインしようとヒースロー空港からタクシーに乗りましたが、運転手のロンドン訛り(コクニーとかいうそうです)がさっぱり分からず四苦八苦。
おまけに空港とロンドン市内の距離なんかも予習しないでやってきたので、高い料金を取られてしまいます。
やっと目的のホテルにたどり着いたと思ったら
「お客様。いただいたお名前では予約が入っていないようですが」
「は?」
「もう一度調べますので少々お待ちください…お客様。お名前がありましたが、お泊まりの予定は来週になっているようです」
「は?」
「しかも申しあげにくいのですが、あらかじめ申しあげますと、今週は予約でいっぱいです。空きはございません」
「はあ」
いきなり宿無しになりました。

太刀槌タツオは苦笑いしながら
「しょうがねえ。とりあえず(インド料理を)食おう。宿探しはそれからだ」
「そだね」適当に返事をする僕。
危機感や警戒心のない2人組なのでありました。
こういうナメた心構えの輩がいるから、日本人は平和ボケと言われるんですねえ。

ま、自己批判(←僕が子どもの頃、すでに死語でした)はそのくらいにして。

国際線の機内誌で紹介されていたのは「レッドフォート」という名前の店です。
再び言語の通じないタクシーを拾い、店へ急行。

このレッドフォートで何を食べたかと言うと、
<前菜>
* ハラケバブ(ホウレンソウと生のハーブのパテにチーズ・タマネギ・パクチーを混ぜたもの)
* シークケバブ(子羊肉のロースト)。たいへん辛いのですが、繊細な味つけが日本人好みです。
<お約束>
* マンゴーのピクルスは欠かせません。ここのピクルスは味がきわめて鮮明で、妙に気になってお代わりをしてしまいました。
<メイン>
* ムルグマライティッカ(チキンカレー)。中辛。パクチー風味。
* タンドーリジンガ(大エビのマリネ)。ライスに合います。
* ビンディ(オクラのカレー)。大辛。味わったことのないスパイスが入っているようなのですが、正体不明。
<ライス>
* 香りつきの白ごはん(今回はナンを頼まず、ライスを選択)。微妙で複雑なハーブのホノカな香りにびっくり。
<デザート>
* 僕は食べませんでした。
異論はあると思いますが、僕個人はエスニック系の食事で満足のいくデザートに出会ったことがないので、今回もやめておきました。
太刀槌タツオはピスタチオのアイスクリームを食べたようですが。
<ワイン>
ナパ・バレー(カリフォルニア)の「スタッグス・リープ」を久しぶりに空けましたが、赤ワインとインド料理という組合せはこの店が初めての経験でした。
なかなか合います。

というわけで、ハイレベルに満足することができました。
「いや、さすがロンドン。カレーも洗練されてるね」太刀槌タツオは言いました。「ではジャンケンしようか」
「ジャンケン?」
「勝ったほうが店にお礼を言う。負けたほうが、アレを言うんだ」

そうか。アレか…。

「じゃ、3回勝負で」
と僕が言うと、
「それって、先に3勝したら勝ちってことか?」
と、太刀槌タツオ。
「違うよ、先に2勝したら勝ちだ」
「それじゃあすぐに決まってしまうじゃんか。5回勝負にしよう」
「3回でいいじゃん」
「5回だよ」
「3回で十分だろ」
「じゃ、3回にするか5回にするか、ジャンケンで決めよう」
「いいとも(←死語?)。3回勝負でいいよね?」
「何を言う。5回勝負にじゃないとダメだ」
「またかよ。だったらそれ自体、ジャンケンで決めよう」
「望むところだ(←死語)」

2人とも吹き出してしまいました。

「ジャンケンは無意味だな」
そう言うと、太刀槌タツオは手をあげてウェイターを呼び、シェフを連れてきてくれと言いました。
シェフが、巨大な体をのしのしと揺らせてやって来ました。
太刀槌タツオはニコヤカに話しかけました。
「すばらしい料理でした。堪能しました。こういうのは日本ではなかなか味わえない。お礼を言います」
(実際にはたどたどしい英語で話しています)

「サンキュー、ミスター」シェフは僕らの語学力を察したか、ゆっくり丁寧に答えました。「料理を通じてお客様に喜んでいただくのが私の使命です。ぜひまた、お越しください」

「あー。そのことなんだけど」太刀槌タツオは言いました。「ここに座っている友人がですね、マツミヤという名前なんですけど、シェフにぜひ聞きたいことがあるそうです」

???

「えっ。僕が言うの」
すると太刀槌タツオは僕の肩を叩いて「しっかり言うんだぞ。よろしく」
「てめ、ハメやがったな」僕は毒づきましたが、シェフは微笑みながら僕の発言を待ってますし、太刀槌タツオは明後日の方向を向いて口笛を吹いています(←ベタすぎ)。
しかたなく僕はシェフに言いました。
「あのう。他のインド料理店にも行きたいんだけど、この近所でオススメの店、3つほど教えてくれませんか」

大男のシェフの顔が、みるみる鬼のようになりました。

(以下次号)

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2007.10.21 17:49

風林火山ダイエット その3


松宮園生です。

前回までのあらすじ)
アメリカでは fat-but-fit (ファット・バット・フィット。
ちょい本格派デブこそ健康! というスローガン)
という言葉が流行っている一方で、
ダイエット産業も活況を呈しています。
「風林火山ダイエット」シリーズでは、アメリカでヒットしている
5種類のダイエットを、順に紹介します。

◆◆◆

今回は「サウスビーチ・ダイエット」。
サウスビーチ・ダイエットは
「グリセミック指数」
という強力な武器で領土拡大にはげみます。
ほかのダイエットをコテンパン(←死語)にする勢いです。

2003年のことだったと思いますいが、フロリダ在住の心臓内科医が「ザ・サウスビーチ・ダイエット」(ロデール出版。ヘルスケアの領域では世界最大の出版社)という本のなかで自分の理論を発表しました。
そしたらこの本が売れに売れまして。
27週連続、全米売上1位だったそうです。
それ以来、サウスビーチ・ダイエットは世界的に知られるようになりました。

このダイエットは、
「良い炭水化物」「良い脂肪」
「悪い炭水化物」「悪い脂肪」
というものに分けて食事を考えます。
要するに、悪い炭水化物と悪い脂肪は食べない。
良い炭水化物と良い脂肪を食べる、ということです。

良い炭水化物とは、ゆっくり消化されて食後の血糖値を急激に上げない、つまりグリセミック指数(あのGI値のことです)の低い炭水化物食品のことを指します。
(グリセミック指数の低い炭水化物を選んで痩せるという『低インスリンダイエット』が、日本でも流行しましたね)
良い脂肪とは、特にオレイン酸が多いものを意味します。
悪い炭水化物とは、消化が早いために食後の血糖値が急激に上がる、グリセミック指数の高い炭水化物食品のことです。
悪い脂肪とは、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸のことを意味します。

しかし実際には「悪い炭水化物」「悪い脂肪」の食べもののは美味のものが多く、これを我慢するのはなかなか大変です。
そこでサウスビーチ・ダイエットでは
* まずはじめの2週間は「悪い炭水化物」「悪い脂肪」を徹底的に排除する
* その後、排除したものを徐々に「解禁」していく
という方法をとっています。
そのために3つのステップが用意されています。

第1ステップ:
悪い炭水化物・悪い脂肪を一切入れない食生活を2週間実施する。
我慢の2週間ですが、理論的にはこの時期に4kgから6kg痩せるそうです。

第2ステップ:
炭水化物を解禁します。
第1ステップを終えた体は悪い炭水化物に依存しない体になっているそうで、この時点で少し「悪い炭水化物」も解禁するらしい。

第3ステップ:
その食生活を維持します。
維持するために、「良い炭水化物」「良い脂肪」を考慮したメニューがたくさん発表されています。
そのメニューを実際に作ってみることで、料理のウデも上がるそうです。

◆◆◆

クラフトフーズという食品会社があります。
以前、「食の世界のスーパーパワー」シリーズで、世界最大の食品会社、ネスレのことを書きました。
(ネスレについてはここをクリック)
クラフトフーズは、ネスレに次いで世界で2番目に大きな食品会社です。
ネスレ同様、クラフトフーズもたくさんの商品を世に出しています。
日本でも知られているものをあげると、
* 甘いお菓子の「オレオ」
* クラッカーの「リッツ」
などがそうです。
そのクラフトフーズは、サウスビーチ・ダイエットにもとづいた食品を開発し、販売しています。
それにより、業界1位のネスレを追撃しようと思っています。

(以下次号)

 

 

 

<おススメの1冊>

サウスビーチ・ダイエット
http://astore.amazon.co.jp/shokuikuprodu-22/detail/4776201801

サウスビーチ・ダイエット

 

 

 

 

食育というテーマでセレクトしています。
「食育的な心を満たすオンラインストア」
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食・食育・健康・農業に詳しくなってしまったアナタのための、
お役立ち・お楽しみアイテム・コレクション
「食育モール」
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2007.10.19 01:22

タイヘンダン その1


松宮園生です。

日本向けに食品を輸出したい外国企業は
たくさんあります。
なんといっても日本は食料の6割を
輸入しているわけですから。

でも、日本に食品を輸出するのは
簡単ではありません。
国によって食品の法律が違うからです。
しかも多くの場合、食品の法律は複雑怪奇です。
食品の法律が複雑怪奇なのは、なにも日本だけ
じゃなくて、アメリカの法律だって複雑怪奇
なんですけど、要するに世界中どこにいっても
複雑怪奇なわけです。
さて、輸出先の国のそういう複雑怪奇な法律をちゃんとクリアしないと輸出できません。
(正確にいうと自分の国から発送するのはできますが、相手国が受け入れてくれません)
そういう法律の壁に悩む外国企業が僕のおいしいクライアントです。

難しいのは法律だけではありません。
法律の壁をクリアしたところで、
「で、そもそも売れるの?」
という問題に直面するわけです。
アメリカの市場と日本の市場は、当然ちがいます。
似ているところもありますが、異なるところもたくさんあります。その違いに悩む外国企業も、僕のおいしいクライアントです。

なーんて、合コンの席でエラソに言うと、
「面白そうな仕事、してるのね、ス・テ・キ」
となって、オトナの男の勲章すなわち「お持ち帰り」につながるわけです。

…そんなこと、いちどもありませんでした。

あまりに悔しいので、皆さんの食卓に外国から食品を届けるために、僕がどんなに不眠不休で地味な苦労をしているか、このシリーズでちょっと激白したいと思います。

聞くも涙、語るも涙の物語なのダ。

◆◆◆

この続きは次号に譲るとして、別の話をします。

家の近所(アメリカです)で日本人の佐藤さんという人が
「ミスター・シュガー」
というレストランをやっています。

佐藤 →砂糖 →シュガー

ベタなネーミングですけど、そこは追及するのをやめましょう。
第一、佐藤さんは日本を離れて数十年、イマドキの日本語なんて知りませんので、
「ベタ」
という言葉を説明するのは至難の技(←死語)です。

「ミスター・シュガー」という店は、日本風洋食屋でした。
要するに
* カレーライス
* ハヤシライス
* オムレツ
* エビフリャー定食
* カニクリームコロッケ定食
* チキンライス
* ビーフシチュー
あたりがメニューに載っているような店です。

開店当初は日本人客ばかりでした。
僕自身はよく通っています。
でもアメリカ人はなかなか来てくれませんでした。
皆さんにも賛成していただけると思いますが、この店で出してるメニューは、「洋食」と呼ばれる、じつは和食ですよね。
つまり、純粋な和食でもない、かといってアメリカ人が普通に食べている食事とも違う。
そこのところがなかなか理解してもらえず、アメリカ人が抱く日本食のイメージとはかけ離れていたために、初めの頃はなかなか客が増えなかったのです。

その「ミスターシュガー」も最近はそこそこ人気が出てきたらしく、ときどきは混むこともあったりします。
よかったよかった。

このあいだそこでランチをとっていたら、こんな場面に出くわしました。

初老の白人が1人でオムライスを食べてて、しょっちゅう佐藤さんに声をかけるのです。
最初、彼は太い声で「暑いのでエアコンを強くしてくれ」と言いました。
数分もすると、彼はまた言いました。「寒いぞ。エアコンを切ってくれ」
その後も、この人物は
「暑い。温度を下げろ」
「寒い。温度を上げてくれ」
を繰り返します。
何回も、何回も。

驚いたことに佐藤さんは文句も言わず、初老の白人から言われるたびに行ったり来たりしました。
そのうち怒り出すんじゃないかと僕は傍らではらはらしていましたが、佐藤さんは怒る気配もなかったのです。

食べ終わった白人がお金を払って店を出て行ったあと、僕は佐藤さんに聞きました。
「佐藤さん。辛抱強いのはいいけどさ、ああいう客の言うことを全部聞く必要はないんじゃない?」
「辛抱なんてぜんぜんしてないよ、松宮さん」佐藤さんはニヤニヤしながら言いました。「この店にはエアコンがないってこと、あんたに言ってなかったっけ?」

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2007.10.10 23:04

成りあがりトラクター その1


松宮園生です。

「農業やってみたい」
都会に住んでいる男性で、そう思っている人はけっこう多いようです。
むろん女性のなかにもそういう人はいますが、男性のほうが圧倒的に多い。
とくに20代と50代。
あるデータによると、
* 都会に住んでいる20代男性の85パーセントは農業に興味がある
* 都会に住んでいる50代男性の75パーセントは農業に興味がある
だそうです。
(30代・40代は仕事に精を出している人が多いため、農業に憧れる度合いは高くないようです)

もっとも、ここでいう
「農業に興味がある」
というのは漠然としています。
* 農業をしたいのか…
* 農業をしている人と友達になって、たまに遊びにいきたいのか…
* なんとなくエコとかロハスとかに惹かれ、田園ライフに憧れている程度なのか…
* 農業戦隊アグレンジャー(実在します)の一員となって正義のために悪と戦いたいのか…
バラバラだと思います。
(実在する農業戦隊アグレンジャーについて詳しく知りたい人はここをクリック)

まあそれでも、かなりたくさんの男性が農業っぽい世界に共感を持っていることは、間違いなさそうです。

さて、男性のうち20代と50代が特に農業に関心があると書きましたが、20代と50代とでは関心のタイプがちょっと異なっています。

まず50代からいうと、
「農業で生計をたてよう」
てな人は少数派です。
趣味農業とか、週末農業とか、園芸とか、そんなノリです。
趣味ですから、贅沢です。
費用なんかもあまり気にしません。
当然、有機農業を目指します。
有機農業はある意味、贅沢です。
「有機農業って、農薬も使わないし、化学肥料も使わないんだから、安く作れるんじゃないの?」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、大間違いです。
有機農業は農薬を使わないので、害虫のリスクにさらされます。
有機農業は化学肥料を使わないので、作物の成長がゆっくりになります。
有機農業はたいへんメンドーですので、作業量が増えます。
つまり、収穫量が減ります。
収穫量が減れば、費用は割高になりますよね?
農業代・化学肥料代はたしかに浮きますが、作業量が増え収穫量が減る影響のほうが大きいので、割高になるのです。
つまり、有機農業は贅沢なわけです。

有機農業は贅沢ですが、50代男性は平気の平左(←死語)です。
だって、趣味だもん。
ふだん料理をしない男性が、たまに作るカレーがやたら贅沢な食材を使ったりするのと同じです。
で、作った農作物は自分で食べる以外には友人に配ったり、産地直売所で販売したりします。
彼らが作る有機作物は「生計をたてる手段」ではありませんので、産地直売所での販売価格は善意で安かったりします。
問題はココ。
彼らが善意で安くしたために、近所で商売している「本気の農家さん」の作物が売れなくなり、値下げを余議なくされたりするそうです。
皮肉なことですが、善意の隣でなんというか、ちょっとした悲劇が生まれたりするわけです。

一方、20代で農業を始める気持ちのある人は、
「農業という人生を選ぶ」
という意識になります。
要するに、「本気の農家さん」になるわけです。
彼らの多くも有機農業をやりたいと思っていますが、本気ですので、
* いかにコストを下げて有機農業を実施するか
* いかに付加価値をつけて高く買ってもらうか
ということを、農業を始めたあとは必死で考えるわけです。
善意で値下げするようなことはしないんじゃないかな。

なお、20代の場合、IT業界の人がもっとも農業に強い興味を持つ傾向があるようです。
おそらく普段の仕事が「人工づくし」であるために、その対極にある1次産業、とくに農業に対するあこがれを強くするのでしょう。
2年ほど前のことですが、あるIT企業から若手社員の研修を頼まれて講師をしたことがあります。
出席者の数は50人でした。
みな、20代でした。
そこで僕はこういうことを言いました。
「おうてめえら。おうおうおう。将来のいつか、農業をやってみてえと思ってるふてえ野郎はいるか? ああん?」
するとどうでしょう。
50人の出席者のうち、48人が手を挙げたのです。
挙げなかった2人は、女性でした。
「やるじゃねえか、おめえら」
そういう僕の声は、涙でふるえていました(←んなわけ、あるかい)。

ま、IT業界の若者が農業に憧れるのは、単に疲れてストレスがたまっているだけなのかもしれないけど。

というわけで結論です。
バウムクーヘン野郎である僕は、日本のホンキ農業マンを増やすために、IT業界の若者を次々と誘惑しようと思います。
ホモとは違う意味で(笑)。

 

 

 

 

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2007.10.08 21:49

ヤギアナ


松宮園生です。

テケテケ村でイチゴ農家をしている小判大介君は、
僕の舎弟でもあります。
このあいだ、久しぶりに小判君とビールを
飲みながら昔話をする機会がありました。

こんな昔話を思い出しました。

◆◆◆

彼がまだ学校で農業の勉強をしていたころ。
小判君と僕はテケテケ村のはずれを歩いていて、大きな穴を発見しました。
直径が2メートル近くある穴で、恐る恐るのぞきこみましたが深くて底が見えません。

小判君がそのへんの石ころを投げ入れてみました。
穴の底に落ちるまで何秒かかるか測ろうとしたのです。
しかし、何の音もしません。

「ものすごく深い穴のようですね」小判君は言いました。「もっと大きい石を放ってみましょうか」
「そうしよう」
僕も賛成し、大きな石を見つけて2人で持ち上げました。
「これは石というより、ちょっとした岩ですね」

せーの、でその「岩」を穴に投げ込みました。
耳をすまして「岩」が底を打つ音を聞こうとしました。
小判君は腕時計を見ながら時間を測っています。

ところが、待てど暮らせど音がしませんでした。

「信じられない」小判君があえぐように言いました。「もっと大きいのを探しましょう」

もっと大きいの、といっても、なかなかそれらしいのは見当たりませんでした。
そのかわり、古くなってもう使われていない電柱が何本か、斜めになっていたのを発見。
小判君と力をあわせてそのうち1本を引き抜き、重たいのをずるずると穴のふちまで引きずりました。

「落とすぞ。自分が落ちないように気をつけろ」
「気をつけます。先輩も気をつけて」
やっとの思いで電柱を穴に投げ入れました。

しかしそれでもなお、音はしませんでした。
小判君と僕は顔を見あわせました。

そのときです。
突然、どこからか山羊が現れました。
ものすごい勢いで走ってきたのです。
その勢いのまま、山羊はわれわれの傍を通りすぎ、なんの躊躇もなく穴に飛び込んでしまいました。

唖然としました。
小判君も、目をまるくしています。

するとそこにミスミのジイサンが現れました。
(ミスミのジイサンについてはここをクリック)
「あんたら、わしの山羊を見なかったか? 白兵衛というんだが」

僕は、いま目撃した出来事を話しました。
山羊がすごい勢いで駆けてきて、穴に飛び込みましたと。

「うーん。それはウチの山羊じゃねえと思うな」ミスミのジイサンは言いました。「白兵衛の縄はそこの電信柱にしっかりくくりつけておいたからな、走って逃げるなんて、できねえはずだ…」

 

 

 

 

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2007.10.07 01:56

ダンス・ダンス・ダンス


松宮園生です。
 
みなさん。
「健康音頭」って、歌いたい? 踊りたい?

◆◆◆

先日、ある病院が健康音頭を作ったそうです。
題して、
「おヘそのまわりは何センチ メタボリック症候群ラプソディ」。
歌詞はこんな感じだそうで。
 ↓
♪ あっああダメダメ ダメよ メタボリック症候群
♪ あ? ヘイ!飲みすぎ食べすぎ ご用心?。
♪ 予防に勝る医療なし イエーイ!

(感想)
イエーイと言われても困るのですが。
「あっああダメダメ ダメよ」のところは違うことを想像してしまいました。

そのとき、僕の脳裏に衝撃的な考えが浮かびました。
も、もしかしたら「健康音頭」はこれだけじゃなかったりして…。
ほ、他にも「健康音頭」が作られてたりして…。

まさかとは思うが、怖いものみたさで調べてみました。

◆◆◆

ある自治体の保健所が「健康音頭」を作っていました。
こんな歌詞です。
 ↓
♪ いくつになっても気は若く
♪ 19・20歳を忘れない
♪ 適度な運動 筋力アップ
♪ 元気な体を作ります
♪ 健康作りは 健康作りは 幸せ作り

(感想)
昭和の香りがいたします。

◆◆◆

「山田健康音頭」というものも発見。
どこかの市町村の法律文に載っていました(←ホント)。
歌詞はこんなです。
 ↓
♪ ハアー
♪ みんな仲良く 智恵だし合って
♪ 砂糖ひかえめ 塩うすめ
♪ 辛(から)味(み)おさえて 味を出す
♪ 汗をながして 健康音頭
♪ 歌う門(かど)には 福がくる 福がくる

(感想)
ハアー、そうですか…。

楽譜を見たいという酔狂な方は、ここをクリック。

◆◆◆

「泉州健康音頭」っつーのもあったぞ。
歌詞は琵琶法師の平家物語か! と高度なツッコミをしたくなるほどの長文でありまして、ここに書ききれません。

歌詞を読みたいというむこうみずな方はここをクリック。
振付を見たいという勇敢な方はここをクリック。

◆◆◆

ついでに「野菜音頭」を発見しました。
「♪ 野菜音頭で サーイサイ(菜々)」
というのが決め台詞のようです。

歌ってみたいガッツな方はここをクリック。

◆◆◆

<調査を終えての感想>
いやー、なかなかその、名作・大作ぞろいでございまして、微妙にトホホな気持ちにさせていただきました。
早いとこ21世紀に戻りたいと思います。

(以下次号、なんてありえません)

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2007.10.06 09:38

アゴヒゲ その4


松宮園生です。

前回までのあらすじ)
駄目ビジネスマンをカモに日々の糧を稼いでいる
アゴヒゲ。
清水の次郎長風にいうと「ケチな野郎でござんす」。
そんなアゴヒゲにつきまとわれて困った
「新世紀エバンゲリ食品研究会」
は、松宮園生にアゴヒゲ退治を依頼した。
しかしその松宮園生もアゴヒゲにカモられた情けない過去を持つ。
果たして対決の行方はいかに?
最後に笑うのは誰か…?

◆◆◆

「新世紀エバンゲリ食品研究会」は、21世紀の新しい科学知識を総動員して新型食品を開発しようとする食品メーカーの集まりでした。
アゴヒゲはその会合にずうずうしく顔を出しています。
理系でもなく食品科学に詳しいわけでもなく、そもそも食の世界にもたいして通じていないアゴヒゲは、この会合のコーディネーターとしてメンバーから何か仕事をもらうことをネラっています。

しかし「新世紀エバンゲリ食品研究会」からみると、本来関係のない人がいつのまにか会議の常連になっている。
何ともいいようない違和感です。

かといって排斥するわけにも生きません。
なぜならこの研究会は
「興味のある人なら誰でもどうぞ」
という原則だったからです。

だったら始めから「限られた人だけの会合」にすればいいじゃん。
と普通は思うんですけど、まあそこは一筋縄でいかない本音と建前の「昭和のオトナ」が見え隠れしています。

「松宮どん。おぬしアゴヒゲに詳しいんだろ。なんとかしてくんろ」
研究会のあるメンバーが僕にコンタクトしてきました。
要は、アゴヒゲの気をそらして退会させたい、というものです。
「ただでとは言わん」依頼者の人は言いました。「無記名のオーストラリア国債で200万ドル、用意したぞい」
アタッシュケースがおもむろに開かれました。


嘘ですね。
ゴルゴ13じゃあるまいし、こんなカッコイイ場面などあるはずがありません。
実際の報酬は、
「アゴヒゲを追い払うことができたら、松宮を新世紀エバンゲリ食品研究会の名誉会員にしてやる」
という何だかよく分からないものでした。

それでも松宮は、
「いつもアゴヒゲにナメられているのを仕返ししたい」
という動機で、この依頼を受けることにしました。

◆◆◆

僕の考えた作戦はこうです。

新世紀エバンゲリ食品研究会のメンバーはいろんな食品会社の社員です。
しかし、純粋な学者先生はいません。
学者先生がメンバーに入ってくれたら会に箔(はく)がつきます。
よし、学者先生を入れよう。

その学者先生を勧誘する役目を、アゴヒゲにやってもらおう。
「仕事ができた。おれの素晴らしさを見せつけるチャンスだ」
と、アゴヒゲは喜び勇むにちがいない。

そこにつけこむのだ。
ひひひひひ。

学者先生だが、誰にしようか?
そこでサマンサタバサ所長が登場します。

茨城県の人里離れたところに、「食品魔術研究所」という有名な研究所があります。
何がどう有名かというと。
そこの所長さん、人呼んで(←死語)サマンサタバサ氏、はクイズ魔でした。
クイズに答えられないと所員はクビ、来客はお茶も出さず追い出す、という人物だったのです。

さっそく僕は「食品魔術研究所」にお試し電話を入れました。
「食品魔術研究所です」
「食育プロダクションの松宮園生と申します。サマンサタバサ先生はいらっしゃいますか」
「おります。いまからクイズを出しますので、見事正解していただいたらおつなぎいたします。昔の日本人が食べていた『山鯨』とはなんでしょう」
「や、山鯨? クマのことか?」
「残念、不正解です。ではごきげんよう。正解は自分で調べてください」
ガチャリ。

すげー。
噂どおりだ。

クイズに答えられなかったのは悔しいが、まあよい。
電話をとりついでもらうのさえこんなに難しいのだから、ましてや入会の説得など至難の技に違いない。

サマンサタバサにアゴヒゲをけしかける。
まず間違いなくアゴヒゲは玉砕するだろう。
で、屈辱のあまりアゴヒゲは、「新世紀エバンゲリ食品研究会」を脱会するのだ。
ひひひひひ。

残忍な笑い声の松宮。

アゴヒゲ危機一髪!
がんばれアゴヒゲ。
卑怯な松宮の野望を打ち砕け!

  ん? なんでアゴヒゲを応援してんだっけ?

(以下次号)

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2007.10.03 00:41

ヘクタールとエーカー


松宮園生です。

これまで何度か登場した
「浮気農家のジョン・ソイビーン」。
アイダホ州のはずれでトウモロコシを栽培しています。

こないだ久しぶりに彼のトウモロコシ畑を冷やかしに
行きました。

前日に珍しく雨が降ったためにその日は水量調節をしなくてよかったらしく、仲間で飲もうということになりました。

飲んでいると、村いちばんのインテリ農家(自称コーネル大学卒)が話しかけてきました。
「なあ松宮。先週、世界中の農業ジャーナリストが日本に集まってどんちゃん騒ぎ(←死語)したのは知ってるか」
「どんちゃん騒ぎかどうかはともかく、日本に集まったのは知ってるよ」
「おれの友人が農業ジャーナリストやっててな。日本に行ったらしい」
「ふうん」
「驚いてたぜ」
「何が」
「お前の国って、人口が1億人いるくせに、食料の6割が輸入らしいじゃないか。大丈夫なのか?」
「さあね。でもそのお陰でアメリカの農家は儲かっているんだろ。あんたとか」
「それはそうだが…。あとさ、田畑が複雑にいりくんでるのにも驚いてたぞ」
「狭い国土だからね」
「農家1軒あたりの平均農地面積も小さいらしいな。2ヘクタールもないんだって?」
「バカにしてんのか」
「すまんすまん。そんなつもりはないんだが…」
「まあ、あんたから見たら妙な国に見えるかもな、日本は」
「2ヘクタールという数字が信じられなくてな。アメリカの農家の100分の1だぞ。そんな狭い土地で農業やってて、ビジネスとして成立するのか?」
「しないと思うよ」
「2ヘクタールって、何エーカーでござるか?」ジョン・ソイビーンが口をはさみました。
「5エーカーだ」インテリ農家が答えました。
「うぬぬぬ。驚きもうし候。確かに狭すぎるでござる」
(アメリカ人はヘクタールよりエーカーを使って面積を表現しています)

◆◆◆

その後、自分の農地がいかに広いかについての自慢話が始まりました。

インテリ農家が言いました。
「オレはコーネル大学を出てジャガイモを作っているがね、このあいだ畑の端から端まで歩いてみたんだが、まる1日かかったぜ」

浮気農家のジョン・ソイビーンが負けじと言い返します。
「測ったことはないでござるが、拙者のトウモロコシ畑には繁華街が5つ、あるでござる。それぞれたいへんに賑わっているでござるよ」

すると、今まで黙っていた太り気味の男が言いました。
「おやそうかい。じゃあ、おめえたちの畑と、おらのトラックはだいたい同じ大きさだな」

 

 

 

 

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2007.10.01 19:32

アラサガシ その3


松宮園生です。

日本に来ています。
時間を見つけてスーパーマーケットの食品売場を視察
したりしています。

「日本とアメリカの食品売場を比べて、どう違いますか?」
こういう質問もよく受けますが、
「いろいろ違います」
これが答です。
どっちが良いか悪いかではなく、単に違います。

ひとつ例をあげると、日本ではよく特売をしますが、アメリカではあまり特売はないです。
特売をする日本では、商品の価格は日によってよく変わります。
アメリカでは日本ほど頻繁に価格が変わることはありません。

これはなぜかというと、
* 日本人は毎日買物に来てその日の食材を買うが、
* アメリカ人は数日に一度来て、まとめ買いをする。
というところに理由(のひとつ)があるんじゃないかなと思います。

日本人はキホン毎日買物に来るので、店は飽きられないように毎日なにかしら変化をつけなくちゃいけない。
特売ネタもころころ変える。
アメリカ人は数日おきに来てまとめ買いするので、変化をつける頻度は少ない。

その結果、日本のスーパーマーケットの店員さん、特に食品売場担当の人は毎日大変です。
特売企画のたぐいをどんどん提案し、次々実行しなくてはなりません。
値段をかいたポップも毎日変えなくちゃいけないし、チラシもどんどん作らなくちゃいけないし、商品の配置も毎日変えなければなりません。
朝早くから夜遅くまで、へとへとになって働いてもまだ仕事が終わらないという状況が続きます。

◆◆◆

もうひとつ例をあげると、生鮮食品を買うとき日本人は品物を吟味する人が多いですが、アメリカ人はあんまり吟味しません。
日本のオバチャンは長ネギ1本買うにも、並んでいる長ネギをすべて手にして、どれを買おうか悩みます。
アメリカ人にはそういう人は少ないです。

今日 S というスーパーマーケットで見かけたオバチャン(推定年齢55歳)は、原木生シイタケを選ぶのに11分40秒を費やしていました。
並んでいる原木生シイタケのパックすべてに手をつけ、押してみたり強く握ってみたり匂いをかいでみたり、棚に戻してはまた同じパックを手にして吟味に吟味。
吟味したい気持ちは分かるけど、そのやり方だと商品が傷むんじゃね…?
特にシイタケって、そういう手荒な扱いには弱いんじゃなかったっけ?

生鮮食品じゃないけど、たとえば牛乳を買うときなんかでも似たようなことが言えます。
日本人は賞味期限の日付をみながら「1日でも新しい牛乳」を選びますが、アメリカ人はあまりそういう行動はしません。
ま、こだわりの日本人 vs 大雑把なアメリカ人、という図式でしょうか。

むろん、いろんな例外はありますが。

◆◆◆

オバチャンの「原木生シイタケ吟味行動」を観察しながら、僕は思いました。
このオバチャンはちと極端だと思うけど、みんな大なり小なりこういう「吟味行動」をとるよね。

日本人がみんな何らかの「吟味行動」をとる。
その結果どうなるかというと、
* 形のよくないもの
* 粉(ブルーム)を吹いているもの(農薬と勘違いされるようです)
* なんとなく汚れてそうなもの
* 袋が破れたりしているもの
が大量に売れ残ります。

すると店側としては、物流業者や(産直品の場合は)農家に対して、
「曲ったキュウリを持ってくるのはやめてくれよ」
「粉を吹いているブドウはお断り」
と言うようになります。

すると農家は、
「曲ったキュウリは捨てる」
「粉を吹いたブドウは捨てる」
ようになります。

「吟味行動」。
1人1人にとっては小さな行動だけど、これを1億2千万人が毎日やっています。
なにげなくやってます。
悪気はまったくありません。
かくいう僕も、グレープフルーツを買うときだけはたぶん日本人の平均より長時間、吟味していると思います。
その結果、農業の現場ではいろいろな変化が生まれるわけです。

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