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松宮園生です。
浮気農家のジョン・ソイビーンはアイダホ州で
トウモロコシをせっせと栽培しています。
食べるためではなく、バイオ燃料に使うためです。
(ジョン・ソイビーンについては以下をクリック)
「男のイヤリング」
「突撃トウモロコシ」
「浮気農家 vs 高校教師」
「牛と浮気農家」
彼の近所には干し草を作っている農家もいます。
「近所」といっても、山ひとつ越えたむこう、という感じですが。
干し草は、家畜の食べもの(飼料)として使われます。
もともとトウモロコシは人間が食べる以外に、飼料でもありました。
しかし世界のエネルギー会社が燃料用にトウモロコシを買いあさっているため、家畜の飼料が不足してしまいました。
その結果、干し草に対する需要も高まり、値段も上がりました。
というわけでトウモロコシ農家も干し草農家も、このところ商売繁盛なわけです。
◆◆◆
ジョン・ソイビーンが「近所」を BMW で走っていると…。
トラックが道端に止まっていました。
大量の干し草がトラックからこぼれ落ち、山のようになっています。
若者が、必死の形相でこぼれ落ちた干し草をトラックに戻そうとしています。
ハァハァ息を切らしています。
通常、干し草はサイコロの形に固められているものですが、今回はそうなっていませんでした。
固められていれば、トラックに戻すのも比較的カンタンだったのですが。
「大丈夫でござるか?」ジョンは若者に声をかけました。「ちょっと休んだらどうでござる。拙者、V8の冷えたのをクルマに積んでおり申す。ひとつお譲りするでござるよ」
V8というのは、アメリカでよく見かけるトマトジュースの商品名です。
タバスコをかけて飲むことが多い。
「ありがとう。でもさっさと片付けななきゃ」と、若者は殊勝なことを言います。「サボると、パパがいい顔しないから」
「パパ? お父上のことをお主はパパと呼ぶでござるか。お主いったい何歳(いくつ)でござる。まあとにかく、ひと休みするでござる。V8は美味でござるよ」
しかし若者は休もうとしませんでした。
休んだら、パパにすごく叱られるというのです。
ジョンは眉をひそめました。
「なんと。お主の父上は、さながら奴隷使いでござる。…分かり申した。父上はいずこにおわすか。いまから父上に会いに参ろう。息子のお主を虐待しないよう、拙者が説教するでござる」
すると、若者は、干し草の山を指さしました。
「パパはここにいるよ」