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2007.09.29 11:16

500ドル勝負


松宮園生です。

これまで何度か登場した
「流しの料理人ラザフォード」。
彼との出会いについて書きます。
懐かしいなぁ…。

◆◆◆

あれはもう10年ちかく昔のこと。
アメリカ西海岸、オレゴン州
ポートランドからクルマで1時間、
仕事でとあるインディアン・リザ
ベーション(アメリカ先住民の町
のこと。住民は税金が優遇され
ています)
を訪問した帰り道。
さびれた国道沿いにポツンと
レストランがあり、こんな看板が
ついていました。

「お客様のあらゆる注文に応じます。応じられなかったら、500ドル差し上げます」

「マジかよ…」
そう呟いた僕は、ちょっとイジワルな気持ちになって店に入りました。
500ドル、もらっちゃお。

ウェイトレスがやってきました。
「お元気?」
「元気だよ」
「ご注文は何になさいますか?」
「どんな注文でもいいの? 看板見たんだけど」
「はい」
「じゃ、遠慮なく。日本の京野菜のサラダ、旬のもの限定で。ポルトガルのガレー船(クラゲの一種)を刻んだものをサラダに散らしてくれる? あと、シーラカンスのチャウダー。白でね。アフリカ象の耳のステーキをレアで。それからライ麦パンを」

そう言ってから、ライ麦パンだけ注文が普通だったな、と思いましたが、面倒なのでそのままにしておきました。
ウェイトレスは注文を書き込むと、厨房に引っ込みました。

すると、ほとんど間髪を入れず、
「チクショー! なんだと!」
と大声で叫びながらオーナーシェフが厨房から飛び出してきました。
この男が、ラザフォードだったのです。

彼はバン!と音をたてて、僕のテーブルに100ドル札を5枚、たたきつけました。
「今日はあんたの勝ちだよ、日本人」ラザフォードは言いました。「だがよく覚えておけ。いいか、オレの店がライ麦パンを切らしたのは、この10年で初めてのことなんだからな」

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2007.09.26 22:35

ある大学教授の発見


松宮園生です。

これまで何度かドクター・チイタッタについて書きました。
僕はチイタッタ先生のもとで栄養学をちょっとだけ学んでいました。
何年も前のことでだいぶ忘れましたけど(先生、ゴメンナサイ)。

そのチイタッタ先生、もともとはニューイングランドはハーバード大学のすぐ近所に居を構え、ビタミン療法の名医としてそこそこ名を馳せました。
今は1年のほとんどをフロリダで、ユーユージテキに過ごしています。

ちなみにオクスフォード大学やケンブリッジ大学と並び世界でもっとも格の高い大学といわれるハーバード大学。
(マサチューセッツ州ケンブリッジというところにあります。近くにはマサチューセッツ工科大学すなわち MIT もある)
僕の記憶が正しければ、ハーバード大学には栄養学部があったはずです、たぶん…。
東大や京大には栄養学部はありません。
でもハーバード大学にはある。
それくらい、アメリカでは栄養学の地位が高いようです。

◆◆◆

さて、チイタッタ先生が学生だったころ、こんな教授がいたそうです。

教授「諸君、わたしは世紀の大発見をした」
学生「おめでとうございます。どんな発見でしょうか?」
教授「いくつか質問をするからよく聞きなさい。アメリカ人やイギリス人は日本人と比べてすごく太っているね? なんでだか分かるかね?」
学生「日本人は脂っこいものを食べないからでしょうか」
教授「ふむ。わたしも最初はそう思った。たしかにそう思ったのだが、メキシコ人のことを考えてごらん。メキシコ人はアメリカ人やイギリス人より脂っこいものを食べている。にも関わらず、メキシコ人よりアメリカ人やイギリス人のほうが太っている。どういうことだろうか?」
学生「アメリカ人やイギリス人は甘いものを食べます。それが原因でしょうか」
教授「わたしもそう思った。しかし、フランス人はどうだろう? デザート狂いの国民だよね? しかしフランス人はアメリカ人やイギリス人ほどには肥えていない」
学生「飲酒はどうでしょうか? アメリカ人やイギリス人はウイスキーも飲みますし、ビールも飲みます」
教授「いい線いっているが、それも違う。イタリア人をごらん。あの連中はワインをがぶ飲みするくせに、肥満はアメリカ人やイギリス人より少ないのだ」
学生「アメリカ人やイギリス人は脂っこいものも甘いものも酒も全部好きなのが理由でしょうか。複合的な要素で太るのでは?」
教授「だったらドイツ人のことを考えてみなさい。ドイツ人の食べ方を。彼らはソーセージを平らげ、ビールを飲みまくる複合的な国民だね。にも関わらず、アメリカ人やイギリス人のほうが太い」
学生「分かりません先生。ギブアップです。アメリカ人やイギリス人に共通のもので、日本人やメキシコ人やフランス人やイタリア人やドイツ人にないような要素って、何なのでしょうか?」
教授「あきらめが早いね。もう降参かい。では教えてしんぜよう。ここまでの推察から、わたしはひとつの結論を得た」
学生「何でしょうか?」
教授「人間は脂っこいものを食べても大丈夫だ。甘いものもまったく問題ない。酒も好きなだけ飲めばよい。ただし、英語だけはしゃべってはならん、ということだ。納得したかね? 世紀の大発見だ。わあっはっは!」

翌日のニューイングランド・インテリジェンス紙に、ある大学教授の死亡記事が小さく載りましたが、気にとめる人は誰もいなかったそうです。

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2007.09.24 10:16

ジャックポット・ピザ


松宮園生です。

来年から始まる特定保健指導。
(特定保健指導についての説明はこちら)

何年かしたら、こんな世の中になってたりして。


オペレーター「お電話ありがとうございます。
ジャックポット・ピザでございます。まずお電
話番号からいただけますか?」
松宮「電話番号ですか。えっと、03-XXXX-
XXX です」
オペレーター「松宮様ですね。住所は目黒区
で間違いありませんか?」
松宮「はい、そうです」
オペレーター「ご本人確認をさせていただきます。正確な BMI を小数点以下6桁までおっしゃってください」
松宮「は?」
オペレーター「BMI でございます。特定保健指導ノートはお持ちですよね」
松宮「あ、あるけど…」
オペレーター「松宮様の身長と体重が載っているはずです。そこから BMI を算出していただき、その数字を教えてください」
松宮「そんなこと言われても…」
オペレーター「電卓はお持ちですよね? BMI の計算のしかたはお持ちの特定保健指導ノートに書いてあります」
松宮「やだなあ、そんな面倒なの」
オペレーター「BMI 確認は法律で定められております。ご理解ください」
松宮「しかたねえなあ…えっと、ピ・ポ・パ(←死語)…。23.908121。これでいいわけ?」
オペレーター「ありがとうございます。ご本人確認ができました。ではご注文をどうぞ」
松宮「43番の、チーズカルテットの B サイズをお願いします」
オペレーター「松宮様。そのご注文はお勧めできません」
松宮「は?」
オペレーター「松宮様の特定保健指導の詳細は、私どものシステムとつながっているのです。チーズカルテットを入力しましたら、画面に警告が出ました」
松宮「なんだよそれ。どうでもいいじゃん。僕はチーズカルテットを食いたいんだ」
オペレーター「警告が出た場合、その注文をあきらめてもらうよう説得するよう、販売する私どもに義務づけられているのです」
松宮「何を食べようと、勝手だろ」
オペレーター「おっしゃる通りです。しかし法律では、最低1分18秒以上、私は松宮様の説得に努めなければなりません。チーズカルテットは松宮様の食生活を改善するメニューには該当していないのです」
松宮「じゃあ、僕は1分18秒以上、粘ればいいわけだよね。でも何だよ、その18秒なんて中途半端な数字は?」
オペレーター「松宮様。お体のことを考えて、ご注文を変えていただくわけにはいきませんか?」
松宮「分かったよ。しかたねえな、じゃあ10番の大豆ピザにするよ。サイズは B で」
オペレーター「賢明な選択です。すばらしい。日常のちょっとした選択で、松宮様の未来が変わるのです」
松宮「は?」
オペレーター「説得に成功したら、お客様をほめちぎるよう、法律で定められていますので」
松宮「はいはい。お好きなようにやってください。飲みものも注文したいんだけど」
オペレーター「ご注文をどうぞ」
松宮「コーラを」
オペレーター「松宮様。画面にまた警告が出ました。音楽が鳴っているのは聞こえますか? これは警告ミュージックです」
松宮「警告ミュージックって…。ダース・ベイダーのテーマソングじゃん、これ」
オペレーター「松宮様。飲みものもヘルシーなものに変えることをお勧めします」
松宮「コーラはやめとくよ。コーヒーならいいわけ?」
オペレーター「ホットコーヒーですね? 砂糖とミルクはおつけしますか?」
松宮「砂糖をください」
オペレーター「松宮様。申しわけありません。砂糖を入力しましたら警告が出ました。この音楽、聞こえますか? 蒲田行進曲です」
松宮「…砂糖はあきらめるよ」
オペレーター「賢明な選択です。すばらしい。松宮様のランチメニューはとてもヘルシーになりました。では出来上がりまで45分ほどお時間をください。お越しをお待ちしております」
松宮「えっ、行くの? 宅配じゃないの?」
オペレーター「松宮様には、宅配ではなく来店していただくよう、画面に指示が出ております。法律により、松宮様に来店していただくよう説得することが、私どもに義務づけられています」
松宮「それもまた1分18秒なの?」
オペレーター「おっしゃる通りです」
松宮「要するに、歩けということだろ」
オペレーター「45分間しっかり歩いていただきたいので、ご来店の場所は品川とさせていただきます」
松宮「えっ品川? 目黒から品川まで歩くの? それって遠すぎるよ」
オペレーター「ちゃんと歩いてきていただいたことを確認するために、松宮様の万歩計をチェックさせていただきます。チェックが済みましたら、おほめいたします」
松宮「別にほめてほしくなんか、ねえよ」
オペレーター「お会計ですが、大豆ピザの B サイズにホットコーヒーを砂糖なし・ミルクなしでおつけして、全部で8,570円いだだきます」
松宮「えっ? 8,570円。それ、高すぎない?」
オペレーター「松宮様は私の保健指導を受けて注文が変わりましたね? 計算によると、松宮様の健康寿命はこれで2日、伸びました。この価格は保健指導料込みのお得な価格となっております」

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2007.09.23 11:30

鳥獣ギガ その2


松宮園生です。

前回のあらすじ)
先日という題名で、安徽省の崔石という
人からの謎の猛アタックについて書きました。
偶然ですが、その崔石さんが大学時代に書いた
らしい卒業論文(日本語)がネットで公開されていた
のを発見して仰天(←死語)。
紹介します。
文章はたいへん読みにくいけど、
内容はちょっとだけ勉強になるかも。

◆◆◆(論文はここから)◆◆◆

論文題名:食べる中国物
書人:日本語学閥 崔石集団(3者)

<起立>
私達は、しっかり学ぶ日本語の状態で満足した。
それが理由ですが、食べる中国具合を読むべき日本人と思います。
これは、日本人むかえて読むための食べる中国物です。
これから始まります。

<はじめ文>
中国は世界にいけば「料理王国」「グルメの国」と称えられた中国人いるところで中国料理店である。
中国には食べるが、それは人間が生存するナンバーワンだと見る。
中国主人は生産と生活の実践、天災と人災の飢きん。
それが理由です。
食べる中国の開発もっと多いのですよ!
中国主人は食べる楽しみナンバーワンで、しかし同時に飲食は人生の一番大きな楽しみです。
ほかでもない。
中国は土地が広く気候は変化する。
動物と植物多人数が、飲食調理素晴らしく自然条件でした。
孫文お分かる?
それはこう言います。
「中国飲食は文明が及ばない。食べる中国の開発は欧米もっと多いが、同時に調理する中国の精密さは匹敵しない」
意味はまさにぴったりの要約です。
数千年のすごい歴史はすごく長い。

<主食とは?>
食べる中国主食が小麦粉北なのが一方、食べる中国主食が米南だよ!
餃子の同時にビーフンである。

<料理の4大中国>
上海料理:魚料理の濃い味が味です。海は近い。
四川料理:リリ辛のリリ辛味が味です、香辛料多人数。
広東料理:薄味の薄味が味です。バライテー多人数。
北京料理:スガー酢味のスガー酢味が味です。油多人数。

<餃子>
食べる中国餃子が中国縁起で多人数嬉しい。
昔々お金餃子が形を作ります。理由がそうです。
波がゆれるみたいの餃子の辺境に輝く宝石は、中国縁起で多人数嬉しいよね!
餃子あたらしい中国縁起は魚です。
豊かさは魚表現です。
お分かる?

<デザート>
食べる中国餃子が甘くないので現実はシェン点心、食べる中国お菓子とデザートが甘いので実際はテェン点心と、呼びかた正しいのです。
食べる西洋お菓子が比較できないなじみの日本ですが…。
食べる中国テェン点心は健康だがしかしなかなかヘルシーです。
たっぷり大規模のナッツ、フルーツの理由がそうです。
進みましょう!

<お茶>
同じ食べる中国ウーロン茶が日本のお茶色と比べます。
食べる中国ウーロン茶の香りの香りが香りです。好き多人数。
食べる日本お茶の薄い薄さが香りなのが一方、薄い薄さが色である。
ゆえに中国主人は濃い濃さが香りなのが一方、濃い濃さが色だと判明した!

<言葉>
チーファンラマ語る挨拶、意味は「食べる人間ごはんですか?」が意味正しい。
戦争多人数が中国主人に食事の提供充実です。
それが違う。
ゆえにまず「食べる人間ごはんですか?」質問として挨拶です。

<行事>
お正月:同じお年玉日本と比べます。関わらず爆竹中国お正月バンバンです。爆竹中国は悪魔の愉快な音楽反対の理由がそうです。
ひなまつり:同じひなまつり中国昔はじめてです。ひなまつり女の子、日本初めてではそれが違います。
お月見:食べる中国お団子の一方、月餅メロン、もも、りんご、ざくろが円形まんまるです。

<感想>
私達は、食べる中国食べること、驚くべき調べるお茶が100種類でした。
食べる中国食べるもの大変にリリ辛の一方、感心する味だけは多人数です。
私達は、ひなまつり非常に驚くべき中国昔はじめては本当でした。日本初めてでは多人数がそれが違うのです。
これからも中日みんながお願いです。

◆◆◆(論文はここまで)◆◆◆

これって本当に論文なのかな?
ま、いいけど。

崔石さんて、ドラゴンズファンだったんだ。

(続けたくありません)

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2007.09.22 11:49

目指せ食育講師 その2


松宮園生です。

ひとくちに食育講師と言っても、生徒さんが大人である場合と
子どもである場合とではぜんぜん違いますよね。
僕自身のことを言いますと、学生のときに1回だけ学習塾で
算数を教えたことがありますが、やりにくかったなー。
子どもの前で話したのはそれきりで、以後、子ども相手の講座は
やったことがありません。

というわけで子ども向け食育講師について語るのは苦手ですので、ここでは大人向け食育講師について書きます。

大人向け食育講師にはいくつかタイプがあります。
ご紹介しましょう。

<昭和型講師>
昭和型講師には2種類あります。

(a)戦前型
笑わない。ギャグも言わない。
教科書をひたすら音読させるような授業を行う。
暗記・暗唱を重視する。
「食育百人一首」なるものを自分で考案し、その句を暗記するよう、生徒さんに要求する。
怒らせると、「貴様!」とか「おのれ!」とか言う。

こんな人、いねーか。

(b)3丁目の夕陽型
おそるべき情熱の持ち主。あまりに暑苦しいので、地球温暖化の一因と疑われている。
食育の大切さを力説するのが得意。
「血圧高いんですけど、グレープフルーツがいいというのは本当ですか?」
なんて質問をされると、みるみる不機嫌になり、
「そんなことは重要ではありません。重要なのは食を大切にする心です。ちゃんといただきますを言ってますか?」
と一蹴する。
少々メタボ気味な女性が多い。

<平成型講師>
平成型講師にも2種類あります。

(a)旧・平成型
バブル期のメンタリティが抜けきれない。
食育とグルメをごっちゃにしている。
行ったことがないのに有名レストランの名前はよく知っており、しかも行ってないのに場所までちゃんと説明できたりする。
自分の価値観がないのでカリキュラムを作るのは苦手だが、カリキュラムを与えられると、なかなか上手にこなす。
意味なく自信たっぷりですが、そこがかえって優秀な先生に見えたりしてちょっとおトク。
声がカン高く、教室の壁とよく共鳴する人が多い。
「いまさら食育なんてねえ」と流行をコバカにする人もちらほら。

(b)新・平成型
今風なタイプ。21世紀型ともいいます。
全体的に自信がないのが特徴。
自信がないせいで、ひたすら勉強をつづける性質があり、いろんな食の講座を次々と受講している。
つまり、講師になったり、受講生になったりと立場がころころ変動する。
「まず受講生になり資格をとる」→「資格をとったら、その講座の講師に昇格」
という路線をたどる人が多い。

みなさんはどのタイプ? ←そんなこと言われても…。

◆◆◆

さて、子ども向け食育講師の話をしますと…

子どもはそもそも一定時間じっと座って人の話を聞くような生物ではありません。
ご自分の子どもの頃を思い出していただければ、想像がつくと思います。
(例外の方もいますが)
また、子どもはこちら(講師)の想定どおりに動いてくれることはめったにありません。

子どもは既成観念にとらわれていないので、質問だって意表をついていますよね。
たとえば稲(お米)の収穫の様子を見学するために田んぼに子供たちを引率したとします。
あわせて水田にいる生き物の観察とかもやったとします。
その後、子どもたちを集めて
「みんな。今日は楽しかった? 質問のある子、いるかな?」
なーんてやったとしましょう。
ある女の子が「はい」と手をあげました。
目のぱっちりした、モテ顔の女の子です。
彼女はこう言いました。
「先生。ここのおじさん、田んぼなんかやってても嫁が来ねえ、嫁が来ねえって何回も言うんですけど、どうしてあたしにばっかりそんなこと言うんですか?」

(以下次号)

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2007.09.21 00:17

アゴヒゲ その3


松宮園生です。

前回のあらすじ)
稼ぎの悪い「ダメビジネスマン」からお
金を巻き上げようと奮闘するアゴヒゲ。
巻き上げようとするアゴヒゲも情けないけど、
アゴヒゲに目をつけられるダメビジネスマンも
情けないなあ。
とほほ(←死語)。

◆◆◆

ゲノム解析という言葉を聞いたことありますか?
ゲノムというのは遺伝子のこと。
ゲノム解析というのは、生き物の遺伝子がどういう順番で並んでいるのかを調べることです。

人間の遺伝子はたしか「塩基配列」というものを数えると30億個あります。
この30億個がどんな順番で並んでいるのかを突き止めようと、世界中の科学者が競いました。
今世紀初頭の話です。

「今世紀初頭」と聞いて日露戦争(1904年)や第1次世界大戦(1914年)を思い浮かべた方、あなたは昭和すぎます。
今はもう21世紀ですよ。
今世紀初頭というのは、2001年とか2002年のことです。

さて、激しい競争を制してゲノム解析に成功したのはアメリカ企業でした。

◆◆◆

ゲノム解析が成功したニュースを聞き、多くの食品会社が考えました。
「ゲノム食品というのが、できるかもしれない」

ゲノム食品とは、食べる人の遺伝子のタイプに応じて作られた食品のことです。
遺伝子組みかえ食品のことではありません。

たとえばこうです。
ニンニクとブロッコリーはともにガン予防によい食べ物と言われています。
しかしひょっとしたら、僕はニンニクには向いているけど、ブロッコリーは食べないほうがよい人間かもしれません。
(ブロッコリーのガーリック炒め、大好物ですが)
そういう、
「食べものとの相性」
が、遺伝子を調べることによって分かるかもしれないのです。

好き嫌いはよくないと言われますが、好き嫌いの原因は遺伝子の命令なのかもしれません。
僕は牛乳が苦手ですが、ひょっとしたら、もともと僕は牛乳を飲んではいけない人間なのかもしれません。
「食べてはいけない食べもの」
が、遺伝子を調べることによって分かるかもしれないのです。

逆に、
「食べるべき食べもの」
も、遺伝子を調べることで分かるかもしれません。

◆◆◆

日本の食品メーカーさんが集まってゲノム食品の研究会を作りました。
名づけて、
「新世紀エバンゲリ食品研究会」

不味そうな、というか、お腹を壊しそうな名前ですね…。

この研究会、皆さんよくご存知の食品会社10社と、ちっこいベンチャー企業10社くらいで作りました。
月に1ぺんくらい集まってゲノムに関する情報交換をしましょう、というところからスタートしました。
そのうち、ゲノム食品を共同開発できたら面白いよね、くらいの心づもりです。

ここでアゴヒゲが登場します。
「新世紀エバンゲリ食品研究会」に参加している企業のひとつは、アゴヒゲがむかし勤務していたところだったのです。
そのツテでアゴヒゲはこの研究会に顔を出すようになり、そのうちあれやこれや口を出し始めました。

とはいえ文系人間のアゴヒゲはべつにゲノムに詳しいわけでもなく、口を出し始めたといってもべつに的確な発言をしているわけでもありません。
研究会のほかのメンバーにとって彼は
「なんとなく煙たい存在」
「困ったちゃん」(←死語)
だったようです。

「ゲノムに興味ある人ならだれでも参加できる会」
にしてあったため、煙たいアゴヒゲをお払い箱にするわけにもいきませんでした。

アゴヒゲはそんな空気はさっぱり読めないので、相変わらず張り切って研究会にやってくるわけです。

◆◆◆

アゴヒゲの KY (空気読めない)ぶりにほとほと手を焼いた研究会は、ついにある人物に救援を求めます。
世紀末救世主、松宮園生の登場です。
文系だけど。

(以下次号)

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2007.09.20 05:12

鳥獣ギガ その1


松宮園生です。

ある日、こんなメールが来ました。

<メールここから>
松宮園生ことバウムクーヘン野郎様。
突如、毎回お世話です。
わたくしは安徽省から住んでいる中国の崔石と
申し上げます。
一生懸命金持ちなので農業を利用していますが、
お友達日本のバウムクーヘン野郎様からお友達の
名前を聞きましたメール初めて驚きすみません。
よろしくお願いどうぞいたしますか?
本題としては日本では農業カモですが安徽省は
農業アヒル強力が大問題します。
ぜったい日本にアヒル強力ですが、もともと日本は
歴史アヒルだと人は言う、でも21世紀日本人はカモ強化です。
万全ですが侵略できませんのでターゲット上海日本人アヒルが侵略すべき方法を相談メールよろしくどうぞ。
報酬ともどもよろしくください。
携帯電話お返事つながりしだい待つ示す崔石、安徽省。
<メール終わり>

なんとなくものすごく漠然と言いたいことが想像できる気がしますが、でも全然よく分かりません。
しかもこれ、
「報酬よこせ」
と言ってるんでしょうか?

ど、どうしよう…。
無視しようかな。

びくびくしていたら、メールが来た翌日、電話がかかってきました。

「もしもし松宮?」
「はあ」
「中国の崔石と思います。日本語、松宮は足手まといで中国語話すか?」
「中国語はできません」
「したがって日本語便利ですか? よござんす電話そうしましょう。勉強日本語5年です。それはそうですが昨日のメール読んだりできますか」
「メール読みました。よく分からないんですが」
「農業アヒルです。農業アヒルで、安心安全。食べもの日本人食べたいですね? 安徽省は農業アヒル強力です」
「はあ」
「お金ばらまいたらわたくし安徽省有名です。安徽省農業経済部長お金ばらまいて農業アヒル強力です」
「はあ」
「松宮ががんばって農業アヒル日本人みんな納得する侵略したい。安徽省アヒル優秀な育成大規模です」
「アヒルを、日本に輸出したいんですか?」
「それ全部で不十分です。安徽省の農業アヒル強力を使って日本の農業強力、わたくしは大事にします」
「アヒルだけでは不十分ですか?」
「もともと歴史は日本のアヒル詳しく知ってませんか?」
「歴史?」
「その通りです。それ2回言っても大丈夫です。稲作だけ違う喜びます。長く走る自給率喜びあわせます」

だ、ダメだ。
脳が溶けてしまいそうです。

「ちょ、ちょっと待ってください」僕は言いました。「たいへん失礼ながら、崔さんの日本語はさっぱり分かりません。英語じゃだめですか?
「英語。オーケー。勉強英語1年お金ばらまいたら使う」

この崔とかいう人物はそれから英語らしい言葉でで何やらまくしたてましたが、やっぱり全然理解できませんでした。
聞き取れたのは、「ダック(アヒル)」「ジャパン」「シャンハイ」この3語だけです。

「すみません、英語も分かりません」僕は言いました。「日本語、ちゃんと話せる人に通訳してもらってください。失礼ですけど、崔さんの日本語は日本語のようで日本語ではないです」
「ちゃんと通訳あたらしく話しますか?」
「お願いです。通訳を雇ってください」
「でもわたくし勉強日本語5年お金ばらまいた使います。優秀日本語先生言いました」
「日本語の先生って、どんな人だったんですか?」
「日本語先生シャーメイ熱心学びます。シャーメイこのあいだ日本長かったら留学かもしれない」

そうか。
崔さんあんた、留学生から日本語を教わったわけね。
お金ばらまくんだったら、日本人から日本語習えばよかったのに…。

なんて言ってもしかたがないので、僕は崔さんに
「通訳をやとって、あらためて電話してこい」
という意味の要望をやっとの思いで伝え。電話を切りました。

でもよく考えたら。
中学・高校と日本人の教師に英語を習った僕の英語って、アメリカ人が聞いたらこんなふうに聞こえるのかなあ。
とほほ。

◆◆◆

1か月ほとたったころ、崔さんから電話が来ました。
「安徽省から崔石です。沙汰ですね。松宮話しますか?」
「松宮です」
「覚えている通訳良好です。線に載ります」

線に載ります?
オンラインと言いたかったのかな。

「もしもし。ヤマナカと申します」
女性の声に代わりました。

日本人だ、よかった。
ほっと胸をなでおろし(←死語)ながら、
「マツミヤです。通訳よろしくお願いします」

「いえあの、通訳したら300ドルくれるっていうので受けたんですけど」ヤマナカさんは戸惑ったように言いました。「分かったのはそこだけで。崔さんの中国語、なに言ってるかさっぱり分からなくて…」

(以下次号)

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2007.09.19 08:39

食育は英語で何というの? その10

松宮園生です。

何か月か前のことですが、
「テレビを見ながら食事をする人の場合、
テレビ番組の面白さと食事の量とは関係があるか?」
という研究が発表されました。
たしかシカゴで行われた研究です。
ハーシュ博士、だったかな? 
そういう名前のセンセイが発表しました。

こういうの、疫学(えきがく)研究っていうんだけど、
いやー、疫学研究って、いろんなテーマが
あるんだねえ。
なんだか、大人のための夏休み自由研究みたいです。

で、どんな結論かというと、
面白いテレビ番組を見ている場合、退屈なテレビ番組を見ている場合の約4割多く、食が進んだ(=たくさん食べた)そうです。

つまり、
テレビ番組が面白い →たくさん食べてしまう。
テレビ番組がつまらない →それほど食べない。

したがって、
「痩せたければ、退屈なテレビを一生懸命見なさい」
と、ハーシュ博士は学会で力説していました。

そんなこと力説されても…。

その学会、きっと誰かがこんな質問、しただろうなあ。
「博士。実験に使った退屈なテレビ番組の実名、教えてください」

博士も、研究発表だから内容を隠すわけにはいかないし、言うだろうなあ。

で、その「退屈指定」を受けたテレビ番組はひょっとしたら、
「この番組は見るだけで痩せます。なぜなら退屈だから」
なんてやけくそな PR をしたりして。

テレビや映画の退屈さを示す「ハーシュ指数」みたいなものができたりして。
ハーシュ指数 1: 面白い。まず間違いなく太ります。
ハーシュ指数 2: 太るかも。少し醒めた目で見てみよう。
ハーシュ指数 3: 痩せるかも。退屈だけど、もう少し。
ハーシュ指数 4: 確実に細ってしまう退屈さ。
ハーシュ指数 5:  痩せません。退屈すぎて見ないから。

(以下次号)

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2007.09.18 00:43

風林火山ダイエット その2


松宮園生です。

前回のあらすじ)
アメリカでは fat-but-fit (ファット・バット・フィット。
ちょい本格派デブこそ健康! というスローガン)
という言葉が流行っている一方で、
ダイエット産業も活況を呈しています。
アメリカでヒットしている5種類のダイエットを、
日本の戦国大名になぞらえて紹介するシリーズです。

◆◆◆

今回は「ウェイト・ウォッチャーズ」。
戦国大名でいうと、上杉謙信に該当します。

いま NHK で日曜夜にやってる「風林火山」では、Gacktが上杉謙信役をやっててなかなかカッコイイです。
上杉家は室町時代から続く、歴史の古い名家でした。
戦国時代には越後(新潟県)あたりを支配していましたが、もともとは室町幕府から任命されて「関東管領(かんとうかんれい)」という要職を担う家系だったのです。
関東管領というのは、関東地方では2番目にエライ人でした。
1番エライ人は「鎌倉公方(かまくらくぼう)」と呼ばれる人で、関東地方における室町将軍の代理役です。
で、2番目にエライのが関東管領。
要は、上杉謙信は歴史のある家柄だったということです。

ウェイト・ウォッチャーズも歴史のある家柄です。

まず、歴史があります。
ウエイト・ウォッチャーズは、「どうやって体重を減らすか」というテーマで人々がグループを作り、定期的に集まったのが始まりとされています。
いまから半世紀近く昔、1960年代のことです。
その過程でいくつか減量プログラムが誕生しました。
1978年にトマトケチャップで知られるあのハインツ社がこのプログラムを買い上げ、「ウエイト・ウォッチャーズ」という会社を作って子会社にしました。
1999年、それまでハインツの子会社だった「ウエイト・ウォッチャーズ」はついに株式上場を果たし、独立会社となりました。
いまでは、減量に役立つ様々なダイエット製品やサービスを世界30ヵ国に提供しています(日本をのぞく)。

次に、家柄もよいです。
イギリスの皇族に支持されているみたいです(全員かどうかは分からないけど)。

ウエイト・ウォッチャーズのダイエット方法は2つのプロセスに分かれています。
* 第1プロセス:3つのおもなプランから1つ選ぶ
* 第2プロセス:定期的に開かれるミーティングに参加し、モチベーションを高める

なお、痩せてる人はこのプランに参加するのを制限される場合があります。

3つのおもなプランというのは、
* フレックス・プラン:いろんな食品にポイントをつけ、ポイントを管理しながらダイエットを進めます。食事の質を制限しない代わり、ポイントにより量を制限します。
* コア・プラン:健康に良い食品を中心に食べることにより、ポイントを数えることなく食事を管理します。食事の量を制限しない変わり、質を制限するわけです。
* ターンアラウンド・プラン:これはある程度ダイエットに成功した人を対象とした、ライフスタイルを整えるプランで、8つのガイドラインにより成り立っています。2004年に開発されました。

フレックス・プランで食品にポイントをつけると書きましたが、このポイントのつけかたが凝ってます。
熱量(カロリー)とか脂肪の量とか食物繊維の量とかを調べ、ものすごく複雑な数式を使ってポイントを導き出すのです。
この数式は、特許になっています。

(以下次号)

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2007.09.17 00:40

21世紀神様の悩み その4


松宮園生です。

前回までのあらすじ)
先進国の飽食。
恵まれない国の飢餓。
神様は
「メタボ地獄」
「ウエルネス天国」
を作って人間界に警鐘を鳴らそうとしました。

まず閻魔大王をメタボ地獄の長官に任命しましたが、
これが開店以来大盛況。
神様自身が直接統治をするウエルネス天国も、
最初こそ閑散としていましたが、
徐々に住民が増えていきました。

一方、人間界では。
謎の秘密結社「メタボ撲滅同盟ニキータ」が暗躍し、多くのメタボ人間が行方不明になっていました。
ニキータはメタボ人間に予告状を送り、1年以内にメタボから脱却できなかった人を抹殺していたのです。

◆◆◆

阿部マリエは日本食育大学の栄養学部を主席で卒業し、続けて管理栄養士の資格をとりました。
その後1年くらいのあいだに、
* 食育××講座
* フードコーディネーター
* 野菜ソムリエ
* 雑穀ソムリエ
* NR(栄養情報担当者)
あたりの資格を総なめし、食育の女王と呼ばれていました。

その後、彼女は「ニキータ」に狙われたメタボおじさんの救済活動を始めます。
何十人ものメタビー(メタボな人)が彼女のおかげで内臓脂肪を減らし、暗殺を免れました。

救われた人々は、彼女を
「アベ・マリエ、アベ・マリエ」
と呼び、感謝し、崇拝しました。
阿部マリエはあっというまに時代の寵児となり、大金持ちになりました。

(松宮園生は阿部マリエの母校、日本食育大学のダメ助教授です。自分はあの有名な阿部マリエと親しい、と豪語していますが、阿部マリエいわく、「松宮って、誰?」)

◆◆◆

ところがその阿部マリエのところに、ニキータから予告状が来たものですから大変です。
世間は大騒ぎになりました。

「阿部マリエはニキータとつるんで荒稼ぎしてんじゃね?」
まあ疑われても仕方がないというか、そういう疑惑を追及しているマスコミもいまして、
「今回の事件は阿部マリエが疑いを晴らすための茶番劇だ」
という批判も噴出したりしました。

疑惑が本当かウソかはともかく。
不可解だったのは、阿部マリエはメタボではなかったことです。
にも関わらず、マリエのところには毎日、ニキータからメールが届きました。
「あと291日」
「あと205日」
「あと134日」
「あと80日」
「あと17日」
「あと5日」
「あと4日」
「あと…」
マリエはメタボではないので、こんなカウントダウンされてもどうしていいか分かりません。

「マリエ様を救え」
「ニキータを探しだせ」
マリエファンも必死に、あの手この手でニキータを見つけようとしました。
警察も動きました。

しかしニキータを見つける試みはすべて失敗。
ついに1年のデッドラインがやって来ました。

はたして阿部マリエは抹殺されてしまうのか?
マリエを守るために厳重な警備体制が敷かれました。
大勢のファンが集まり、マリエの住居を取り囲みました。

しかしそうした努力にも関わらず、阿部マリエは夜中に忽然と消えました。
抹殺されてしまったのです。
2度と彼女が人々の前に姿を見せることはありませんでした。

◆◆◆

ひゅるるるる…。
「メタボ撲滅同盟ニキータ」の魔の手ににかかったマリエは、メタボ地獄に落ちました。

行ってみると、メタボ地獄は、マリエにとっては意外に住みやすいところでした。
というのは、スレンダーなカワイコちゃん(←死語)がメタボ地獄にやって来るのは初めてだったので、閻魔大王も大喜び、彼女をたいへん優遇したからです。
マリエも最初はメタボ地獄に落ちたことに戸惑っていましたが、閻魔大王が気さくな関西系のオッチャンだったことや、彼女に救いを求めるメタビーがここにはめちゃ大勢いることを知り、メタボ地獄での生活にすぐに慣れました。

神様が異変に気づいたのは、阿部マリエが人間界から姿を消してから1ヶ月もたったころでした。
神様は人間界の新聞をどきどき読んでいたのてすが、ここしばらくは忙しくて読むのをサボっていました。
久しぶりに読んでビックリ。
阿部マリエがニキータに抹殺されているではありませんか。
神様は「メタボ撲滅同盟ニキータ」本部に電話をかけ、どうなっているのか問いただしました。

ニキータのスボークスマンも驚きました。
阿部マリエをニキータが狙う理由がなかったからです。
「か、神様」ニキータのスボークスマンは早口で言いました。「な、なにかの間違いかと思います。し調べますのでおおおお待ちください」

調べた結果、ニキータが阿部マリエに予告状を送り抹殺したのは、ニキータ担当者のパソコン入力のミスによるものだと分かりました。
(ちなみにこのパソコンのOSは、使いにくいウィンドウズビスタでした。どうやらそのせいで入力ミスが起きたんじゃないかと言われています)

いずれにしても、マリエは手違いでメタボ地獄に落ちたことが判明。
その報告を受け、神様はマリエをメタボ地獄からウエルネス天国に移そうとしました。

ところがです。

閻魔大王が、彼女を手放そうとしませんでした。
* 食育××講座
* フードコーディネーター
* 野菜ソムリエ
* 雑穀ソムリエ
* NR(栄養情報担当者)
の資格を持つ彼女は、メタボ地獄のアイドルになっていたのです。

「てなわけで神さん」閻魔大王は電話の向こうで言いました。「いくら神さんの仰せとはいえ、阿部マリエはお渡しできまへんなあ」
「じゃが、彼女は本来、ウエルネス天国に行くはずの人間じゃぞ」神様は辛抱づよく言いました。「本来行くべきところに行くべきじゃないかね」
「どない言いはっても阿部マリエはお渡しできまへん」
「わしがこれほど言ってもか」神様は机をたたきました。「このわからず屋(←死語)め。見ておれ、議会に訴えて、阿部マリエを天国に移すための行政処分をさせてやる」
「議会。行政処分。さいでっか。よろしいおま、やってみなはれ」閻魔大王はニヤニヤして答えました。「議会議会いいますがな、あんたは、議員の先生がたがそもそも普段どこにいてはると思っとりまんねん?」

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2007.09.16 01:16

アラサガシ その2


松宮園生です。

今回はお笑いなしだス!

食育に関する新聞記事を読んでると、
「なんだかなー。平成なのに、しかも21世紀だというのに、
昭和っぽいことをやってるなー」
と思う記事もあれば、
「おっ。さすがだな」
と思う記事もあります。

<昭和っぽい記事の例>
■生きる力育む「食」を探求?○×町PTA研究大会で
第**回○×町PTA研究大会が*日、○×小学校で開かれ、集まった関係者100人が食育や学校・地域・家庭が一体となったPTA活動の推進に結束を強めた。
今年の大会主題は
「子どもの生きる力をはぐくむ食について考える。家庭・学校における食育のあり方」。
開会式では、△村※太郎PTA連合会会長のあいさつに続き、○×中吹奏楽部が「ブルースカイ」など4曲を披露した。
基調発表に移り、○×小の☆山×子養護教諭が
「児童生徒の生活習慣と健康等に関する実践調査研究」
と題し、アンケート結果から得られた町内の子供たちの様子を解説。
「○×町の児童生徒は、朝食は食べているが食事内容に課題もある」
「食事、睡眠を整えることが心の健康にもつながっているようだ」
などと述べた。
大会主題をテーマにグループ討議や全体会も行われ、参加者らは食生活について活発に意見交換していた。

↑↑↑
この記事、こういうところが昭和っぽいです。
* なぜ○×中吹奏楽部が「ブルースカイ」など4曲を披露したのかが分かりません。食育と何の関係があるの?
* 「食生活について活発に意見交換」って書いてあるけどさ、実際はみんなが無秩序に自説を披露して終わってるんじゃないの? だって「意見がまとまった」とは書いてないし。
* 要は、このイベント、何をしたかったの?

<21世紀を感じさせる例>
■“弁当の日”九州が最先端 大学生や父母らも企画 全国7割強の55件
子どもたちに弁当づくりを体験させることで、生きる力を身につけさせ、感謝する心を育てようという“弁当の日”の実践が九州で広がっている。
2005年3月末時点でゼロだった九州の実施件数は、この1年半で急増。50件を突破して、全国の7割強を占めるほどになった。
小中高校や教育委員会など教育機関が主体になるだけでなく、大学生が仲間を集めたり、父母らが企画したりと、「九州方式」ともいえる新たな流れも生まれている。
“弁当の日”は、受験勉強ばかりが重視され、生活の中から生きる力を学ぶことが軽視されている現状を危ぶんだ高松市立国分寺中学校の竹下和男校長(58)が提唱。
01年、香川県でスタートした。
九州では06年春、本紙の長期企画「食卓の向こう側」で紹介されたこともあって、8月末現在で55件までに増えている。
今年4月には、九州大学、西南女学院大学短期大学部、福岡教育大学の学生らが実行委員会をつくって、ワークショップ形式で開催、80人を集めた。
10月27日には、福岡県内の10大学の学生が協力し、300人規模に拡大した実施を予定している。
実行委員長の九大4年、有村恵さん(23)は、
「食を学ぶことで、私も周りもハッピーになる。この喜びを友だちに広げたい」
と意気込んでいる。
また、大分県日田市の地域と学校でつくる同市連合育友会母親部は
「食育は本来、家庭の問題。学校に任せるだけでなく、自ら動こう」
と、市内43の小、中学校に呼びかけを始めた。
3日、実施した同市立大明中学校では、個性あふれる弁当が並び、親子双方から「やってよかった」という声が上がったという。
竹下和男・高松市立国分寺中学校長の話。
「質、量ともに九州の実践が群を抜いている。学校や教育委員会主導でない九州の動きは画期的で、この方式が全国に広がってほしい」

↑↑↑
これはさすがだなと思います。
関わっている人たちがさまざまに創意工夫をこらし、この企画が広がっていく努力をしているなあと感じます。

◆◆◆

食育の講座とかイベントとか見てると、
* もっぱら「やる側」が楽しんでいるだけのケース
* ひとりよがりの価値観の押しつけ
そんな企画けっこう多いス。
たとえば前者の記事は、読む側からするとなんだかイベントの意味がよく分からなくて興醒めの感じがします。

後者の記事は、参加者の広い支持を受けるだけの魅力あるイベントだというのがよく分かります。
こういう記事を読むと、ほっとします。

マジメな話、本気で食育やりたいんだったらさ、
* イベントひとつやるにしても目的をちゃんと明確にしてさ
* 細部にもこだわった魅力あるプランを真剣に考える
そういう癖をつけてくれよー。
「ブルースカイ」の演奏なんかで場をごまかすのはやめようよ。
昭和っぽいイベントしか思いつかないのは、企画を真剣に考えていない証拠だと思います。

熱くなってすみません。
僕って、ダサイ企画とか手抜きイベントとか見ると、怒りがおさまらないタイプなので…。

(以下次号)

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2007.09.15 00:14

風林火山ダイエット その1


松宮園生です。

アメリカでは
fat-but-fit(ファット・バット・フィット)
という言葉をよく聞きます。
「デブだけどいい感じ」
とかなんとか、そういう意味です。

2年前、アメリカの「疾病管理予防センター」というところから
* スタイルのよい人より、「ちょいデブ」のほうが健康だ!
という研究結果が発表され、だいぶ話題になりました。

正確にいうと、ちょいデブのほうが普通の体型の人より
病気になりにくい、のだそうです。

ちなみに
* アメリカの「普通の体型の人」=日本では「ちょいデブ」、
* アメリカの「ちょいデブ」=日本では「ちょい本格派」
です。
僕なんか日本に帰ると知り合いから太ったねと言われますが、アメリカ人には「スキニー(やせっぽち)やんけ」と言われます。

つまり、
* アメリカで「ちょいデブのほうが健康だ!」ということは、
* 日本的な感覚でいうと「ちょい本格派デブのほうがヘルシーだ!」というわけで、
* しかもそれは科学的研究で証明された!
ということになります。

で、これが
fat-but-fit(ファット・バット・フィット)
なんだそうです。

ホント?

◆◆◆

そんな研究があるにも関わらず、アメリカのダイエット産業はあい変わらず絶好調です。
ま、なんだかんだ言っても、痩せたいよね。
ヘルシーなデブと言われても、ちょっとね。

ダイエットはもともと「食事」という意味ですが、
「痩せるために食事をコントロールする」
という意味もあります。
日本ではもっぱら後者の意味で使われていますね。

その「食事をコントロールする」ダイエットですが、アメリカには5大ダイエットというのがあり、勢力争いにしのぎを削っています。

戦国武将にたとえると…
武田信玄型: サウスビーチ・ダイエット
前田利家型: ゾーンダイエット
上杉謙信型: ウェイトウォッチャーズ
伊達政宗型: オーニッシュ
織田信長型: アトキンス・ダイエット

次回以降、この5大勢力の戦国時代の様子を詳しくレポートします。

(以下次号)

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2007.09.12 15:33

食育漂流教室 その2


松宮園生です。

中学校1年生のとき、英語の授業で
「英吾には単数形と複数形がある。
複数形には s をつける」
と習いました。
そのとき僕は、ピーマンの複数形は
「ピーマンズ」
だと思ってました。

その後しばらくして、
man(マン)の複数形は men(メン)
だと習いました。
そのとき僕は思いました。
ピーマンの複数形はピーマンズではなく、「ピーメン」だ。

どちらも間違ってました。
ピーマンは英語で green bell pepper (グリーン・ベル・ペッパー)なので、その複数形は green bell peppers (グリーン・ベル・ペッパーズ)だそうです。
最近になって知りました。

人生、勉強です。

といいつつ、「じゃあピーマンって、何語なの?」については、調べればいいんだけど、メンドーなので放っておきます。

◆◆◆

食育教室の話に戻ります。

ピーマンをもっと食べてもらおうということで、「全日本ピーマン普及推進協議会」というところがピーマンをテーマに食育講座を開きました。
写真です。





なんか、イマイチ「参加したくないなあ」と思うのは、僕だけ?

◆◆◆

こんな食育講座だったら行きたいなあ。

想像図



いや、しかしこれでは誤解されるかも…(誤解なの?)

(以下次号)

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2007.09.11 19:07

食育漂流教室 その1


松宮園生です。

どうやったら効果的な食育ができるのか。
そういうマジメな人々の悩みを、
「食育漂流教室」
と表現してみました。

第1回のテーマは、食育カルタ。

ご存じのとおり、食育カルタというのは、カルタです。
先生が、
「あさごはん毎日食べてゼッコーチョー」
と読み上げると、子どもが「ハイ」と叫んで「あ」の札を取るわけです。

「いつまでも忘れはしない子牛のムー」
と読み上げると、子どもが「ハイ」と叫んで「い」の札を取るわけです。
上手に取ることができて、ニコニコしています。
可愛がっていた子牛のムーが、肉屋さんに売られてしまったという悲しい意味を知らずに…。

◆◆◆

カルタは幼稚園の先生が園児のために作ったり、
食育好きのお母さんたちが集まって作ったりします。
いろいろ苦労もあると思うけど、じつに楽しそうに作っています。

ローカル新聞など読んでいると
「○×小学校で食育カルタ大会。食の大切さ、子どもに伝える」
みたいな記事がちょくちょく載ってます。

それはそれでいいんだけど。

でもある人からこんな話を聞きました。
「子どもはね、カルタに夢中になって札を取るのはどんどん上手になるんだけど、肝心のカルタの句はぜんぜん覚えてくれないんだよね」

ということは。
「○×小学校で食育カルタ大会。食の大切さ、子どもに伝」わっていない。
ということだよね。

カルタって、楽しいことは楽しいんだろうけど、子ども向け食育の「手法」としてはあまり役に立っていないんじゃないでしょうか?

◆◆◆

でもカルタを作る大人たち(幼稚園の先生やお母さん)の楽しそうな様子を見てると、
「作る人が楽しくて、遊ぶほうも楽しいんだったら、それでいいじゃん」
と思ったりもします。

(短いけど、以下次号)

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2007.09.08 13:59

アマニ・ユニバース 前編


松宮園生です。

「チッソリンサンカリ」
農業をこれから始めたい人が
真っ先に覚える呪文のひとつです。

農作物の成長に必要な
窒素
リン(リン酸)
カリウム
のことを指します。

ちなみにカリウムはわれわれ人間にも非常に重要なミネラルです。
われわれ人間は野菜などからカリウムを摂取します。
つまり肥料に含まれるカリウムが野菜の成育を促し、その野菜を食べることでわれわれ人間はカリウムを取り入れている。
つーわけで。

さて、このカリウムは、地下資源です。
カナダ
ロシア
ドイツ
にしかありません。
カリウムは地下1000メートルの深さに眠っており、そこから掘り出されたカリウムが、
肥料になり→野菜の栄養成分になり→人間の体に入る
こうなるわけです。

カナダのサスカチュワン州は、世界最大のカリウム産地です。
地下深くには巨大なカリウム鉱脈があり、それを掘り出すための巨大な施設があります。
その施設はあまりに大きいので、さながらひとつの地下都市のようになっています。

地下1000メートルの深さにある都市です。
道がありクルマが走っている。
病院や警察署がある。
商店街がある。
レストランもいくつもあり、それぞれけっこう美味い。

流しの料理人ラザフォードは、数年前この地下都市の暗闇レストランでオーナーシェフをしていました。
この話については以下を参照ください。
「カリウム・ユニバース 上巻」
「カリウム・ユニバース 中巻」
「カリウム・ユニバース 下巻」

◆◆◆

ある日こんなメールが送られてきました。
「ソノウ・マツミヤ殿。ラザフォード様よりフラックス・シードを1トン、お届けします。来週、ご在宅の日時をお知らせください。なお、ローストしたものをご要望の場合はお知らせください。ただし1ポンドあたり1ドル申し受けます。カーギル&アストリア株式会社」

は?
フラックス・シード1トン分?
なんのこと?

ラザフォードに電話すると、彼は笑って言いました。
「おまえ、日本に帰ってたんだってな。何度電話しても出ないからどうしてるのかと思ったよ」
「そんなことより、なんだよフラックス・シード1トンだなんて」
「じつはだ、去年からフラックス・シードの先物相場に手を出しててな。このところ世界中で資源だの食糧だのが不足してるだろ。フラックス・シードもご多聞にもれず値上がりしててな。まだまだ値上がりしそうなので、売らずにそのままにしておいた」
「そいつはおめでとう。さぞ儲かったろ」
「まあ聞け。売らずに放っておいたらな、なんと先物買いの期日が来てしまった。ははは。笑えるだろ。突然、オレのところにフラックス・シードが200トンも送られてきた。トラック20台だ。仰天したよ」

これには僕も軽く吹いてしまいました。

「あわてて売った」ラザフォードは続けました。「先物相場だから、去年の値段で買って、最近の値段で売ったわけだから、おかげさんでまあけっこう儲かったよ。気分がいいから、こんど美味いものでも作ってやるよ」
「で、僕のところに来る1トンというのは?」
「儲かった記念に、おすそわけしようと思ってな。1トンだけ売らずに、おまえに送ることにした」
「気前がいいね」
「そのまま転売したかったらするといい。ビジネスクラスで日本に出張するくらいの金にはなるぞ。その代り、例の借金はチャラにしてくれ」
「そう言うと思ったよ。いいだろう。じゃあこれでチャラな。あんた律儀だね。見直したよ」

最近いいことがあまりなかったせいか、ラザフォードの心配りには涙が出ました。

じつはラザフォードは僕に借金をしていました。
去年、彼が僕のクルマを運転することがあったのですが、工事現場で動き回る大型のペイローダーにそのクルマが踏みつぶされ、大破してしまったのです。
運転していたラザフォードは無事でした。
クルマは大破したので保険金で新しいクルマを買ったのですが、保険会社がケチだったため、買えるクルマのグレードも下がってしまいました。
この「保険金が足りなかった分」を、彼は「借金」と表現していたわけです。
(クルマが大破した話は、別の機会に書きます)

さて僕はさっそくカーギル&アストリア社に電話して、1トンのフラックス・シードを転売することにしました。
利益の半分はラザフォードに返そうと思います。
長く生きてると(?)、いいこともあるものです。

◆◆◆

その後、こんどはラザフォードから電話がありました。
「なあマツミヤ。オレがカナダのサスカチュワン州というところで地下にもぐっていた話はしたよな?」
「覚えてるよ。カリウム鉱山の地下都市にいたんだろ」
「ぜんぜん知らなかったんだが、そのサスカチュワン州ってのはな、世界最大のフラックス・シードの生産地らしい。おまえ知ってたか?」
「いんや。知らねえ」
「鉱山で知り合ったやつがな、カリウム掘りで稼いだのを元手にフラックス・シードの栽培を始めたんだが、日本に輸出したいそうなんだ。おまえ、手伝ってくれよ」
「やだね」僕は即座に言いました。「他を当たってくれ」
「そうか、やってくれるのか。ありがとう! 持つべきものは友達だ」
「おいおい、僕はやらないと言ってるのに」
「いくら嬉しいからって、そんなに興奮するなよ。おまえが喜ぶと思ってな、フラックス・シードのサンプル品を送るように手配してある。楽しみに待っててくれ」
「ちょ、ちょっと待って…」
「それとな、サンプル品は転売禁止だ。転売したらな、アラスカでおまえがしでかしたあの恥ずかしい話を、メキマンにばらすぞ」

言い返す間もなく電話が切れました。

そこへ、呼び鈴が鳴りました。
誰かが来たようです。

恐る恐るドアを開けると、運送業者のオネエサンがにこにこして立っていました。
「ミスター・マツミヤ?」
「そうだけど」
「お荷物です。ラザフォード様から、フラックス・シード1トンです」

また1トンかよ!

オネエサンは細身でしたが、25キログラムのフラックス・シード入り袋を軽々と担ぎ、僕のアパートに運び入れました。
全部で40袋です。
25キログラム かける 40袋 イコール、1トン。

というわけでいま、僕のアパートはフラックス・シードの袋で足の踏み場もない状態になっています。

誰か、買って。

(フラックス・シードの説明については、次号にて)

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