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松宮園生です。
(前回のあらすじ)
世界陰謀連盟ネオ。
仰々しい名前の組織だったが、
やることはロンドンでインド料理
を食べる、という他愛のないもの
だった…。
◆◆◆
こんな話を聞いたことがあります。
(親と子の会話)
子「天国ってどんなところなの?」
親「神様がいるところだよ」
子「地獄ってどんなところなの?」
親「イギリス人のコックがいる」
ことほどさように(←死語)
イギリスの食事はまずいと
よく言われますが、
かたや
「とんでもない。イギリスの食事は美味い」
と主張する人も少なくありません。
どっちなんでしょう。
いまだに決着はついていないようですが。
そういえば、3年ほど前に「世界創作寿司コンテスト」というのがロンドンで開かれました。
テレビでその審査会の様子が放映されていました。
優勝した作品は鳴りもの入りで日本に上陸してくるという話でしたが、いったいどこに上陸したんだろう?
◆◆◆
ロンドン行きの飛行機が離陸して数時間後、太刀槌タツオが思い出したように言いました。
「なあ松宮。お前、ガイドブック持ってきた?」
「ないけど」
「オレも持ってない」
「ロンドンは何回くらい行ったの?」
「初めてだ。松宮は?」
「初めて」
太刀槌タツオは笑いだしました。「おれたち2人ともロンドン初心者なのに、ガイドブックなしかよ」
「買うの忘れてたね」
「ロンドンに着いたらさっそくインド料理店に行きたいんだが、行き方がわからんな」
「つーか、行く店は決めてあるの?」
「決めてない。お前は?」
「決めてない」
「ロンドンについて事前学習とか、したか?」
「ロンドンの歴史の本を読んだ。タツオは?」
「インドの歴史」
今度は僕が笑う番でした。「この無計画さがいいよね。ちょっと聞くけど、泊まるとこ予約してある?」
「さすがにそれはした」
「何ていうホテルで、どこにあるか分かってる?」
「どこだっけな」太刀槌タツオはカバンのなかをごそごそ物色しまし、しわくちゃの紙を取り出しました。「これだ。住所が書いてあるから、タクシーに見せれば問題ない」
「空港から市内まで、近いの?」
「さあ。近いんじゃないの」
「成田空港みたいに遠かったら、タクシー代がかさむよ」
「それは困る。余計なお金はできるだけケチって、食事代に回したい」
「そうだよね。向こうに着いたら、英語でいいからガイドブック買おう」
「そうするべい」太刀槌タツオは悲しげに言いました。「お前、英語できる?」
「受験英語なら。関係代名詞とか」
「オレも受験英語だ。前置詞とか」
「辞書、ある?」
「ない」
「オレもない」
「ガイドブック、読めるかな」
「英和辞書、買おう」
「空港にあるかな」
「ないだろう。本屋に行かないと」
「英和辞書、あるかな」
「ないだろう。でも腐ってもロンドン、紀伊国屋書店とかあるんじゃね?」
「あると思うけど、どこにあるかな」
「そりゃ、ガイドブック見れば分かるんじゃね?」
「英語のガイドブックに紀伊国屋書店とか載ってる?」
「ないかもな。日本語のガイドブック買わないと」
「それ、どこに売ってるの」
「紀伊国屋書店」太刀槌タツオはまた笑いだしました。「こりゃダメだ。おれたちの間抜けぶりはロンドン観光の歴史に残るぞ」
「偶然なんだけど」しばらくして僕は言いました。「これ(機内誌)にロンドンのインド料理店が紹介されてるよ。ほら、ここ。レッドフォートっていう店みたいだけど、なんか良さそうだよ」
「ふーん」
「読むかい」
「だって英語だろ。お前読んどけよ」
「受験英語だって、読むことは読めるよ」
「どれどれ(←死語)。あ、知ってる単語で書かれてる。この単語とか覚えてるぞ。でる単(←死語?)にあった。魅力的な、って意味だ」
「とりあえず、今日はこの店に行くことにしない?」
「オーケー、そうしよう」
「で、その店に、他のおすすめインド料理店を教えてもらおうよ」
「教えてくれるか? ライバルを教えるようなもんだぞ」
「頼みこめばなんとかなるんじゃない?」
「そっか。やってみるか」
というわけで飛行機はやがてロンドン・ヒースロー空港に到着し、
「世界陰謀連盟ネオの陰謀料理作戦」
がやっとこさ(←死語)始まったのでした。
(オチはないけど、以下次号)