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2007.08.12 13:13

陰謀料理連盟ネオ その1

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チーフの松宮園生です。

「食の世界のスーパーパワー」シリーズ
なんつてカッコつけて、
カーギル(自前の人工衛星を持ち、世界の穀物を牛耳る)
モンサント(遺伝子組換えの世界企業)
ネスレ(世界一の加工食品会社)
ウォールマート(世界一売上高の大きな会社)
の話を書きました。

今後は、
ドール(世界一の果物会社)
GNC(世界一のサプリメント会社)
ヘイン(オーガニック系のお菓子の世界企業)(←だったかな)
あたりの話を書こうと思ってます。

このシリーズのテーマは、
「世界企業は陰謀をたくらんでいるのか?」
です。
なぜそんなテーマにするかというと、僕自身が陰謀オタクだからであります。

陰謀オタクがよく口にする単語の例です(順不同)。
イギリス王室
フリーメイスン
ユダヤ人
ロスチャイルド
ロックフェラー
モルガン
カーネギー
ハプスブルグ
キッシンジャー
石油メジャー(セブン・シスターズ)
デビアス
リオ・チント・ジンク
個々の説明は省略しますね。長くなるので。

陰謀オタクは本当なのかどうかも分からない世界の陰謀についての情報を収集して楽しんでいるわけですが、
陰謀を防ごうというわけでもなく
陰謀に加担しようというわけでもなく
あくまでも趣味として陰謀情報を楽しむという、変わった人種です。
ま、防ぎたくても防ぎ方は分からないし、加担したくてもどうしていいか分からんけど。

◆◆◆

さて、僕がこの陰謀オタクになって間もないころ、僕にはオタク仲間がいました。
今はいません。
行方不明になっています。
この男は太刀槌タツオという舌をかみそうな名前で、むかしはエリートでした。
ナントカ省の役人だったのです。
役人になって数年後、ある大企業のオーナーに気に入られてその会社に転職し、なんだか羽振りの良い生活を送っていました。
行方不明になるまでは。
その大企業があるとき不祥事を起こしまして新聞にも載ったのですが、それ以来、連絡がとれなくなりました。
実家にも連絡がとれません。実家ごと、行方不明です。

太刀槌タツオと僕にはもう1つ共通点がありました。
いや、正確にはあと2つかな。
* インド料理に目がないこと
* 辛いのを食べた数時間後、腹痛に苦しむこと

彼と僕とは東京都内のインド料理店をつぶさに食べまわったあげく、
「ラージマハール」
という名の店をいちばん気に入り、そこに通い始めました。
インド料理を食べながら、陰謀のウンチク話を交換するのです。

「ラージマハール」では、こんなふうに食べていました。
まず、グロールッシュ(発音、これでいいのかな?)というオランダのビールを注文する。
ミントソースをもらってちびちび舐める。
マンゴーのピクルスをもらって、夢中になって食べる。
グロールッシュを飲み終えたら、赤ワインを注文する。
同時にチキンのカレーを1品、マトンを1品、野菜を2品、注文します。
マトンは、「マトンチョップマサラ」という、メニューに載っていないものを無理やり頼みます。
これ、唇が麻痺するくらいに辛いのでメニューには載せていないそうですが、注文するバカが現れたときはシェフは喜び勇んで作るらしい。
野菜は、タマネギ、オクラ、マッシュルーム、カリフラワーあたりから選んでいます。
(オクラが日本語じゃない、というのを知ったのもこのころです)
ヒヨコ豆とかレンズ豆などもメニューにはありますが、ある意味男性のつねで、豆類を選ぶことは少ないです。
ナンを注文することはあまりなく、たいてい、サフランライスにするか、「インディアンプラオ」というインド米を使ったピラフを食べています。

赤ワインとインド料理はよく合います。
ただし、辛さを和らげてくれることはあまりありません。
「マトンチョップマサラ」に痺れた唇は、痺れたままです。

「マトンチョップマサラ」を食べて唇の痺れが治まるころ、こんどは食道あたりが痺れはじめるわけですが、
「喉元過ぎれば熱さ忘れる」
の言葉どおり、あまり感じません。
ところがその痺れは
食道→胃→小腸→大腸
とカクジツに進行してきまして、僕の経験では唇が痺れた6時間後に、大腸が痺れます。
そうなると、腹痛に七転八倒することになります。

「イテテテテ。こんなに痛いんだったら、もうインド料理は食べるもんか」
と思うんですけど、痛みが治まったらそんなことは忘れています。
よくある話ですね。

◆◆◆

さて、あるとき太刀槌タツオがこんなことを言い出しました。
「なあ松宮。ロンドンに行こう。ロンドンは陰謀の中心地だしさ」
陰謀オタクのあいだでは、世界の中心は東京でもニューヨークでもなく、ロンドンにある、ということで意見が一致しています。

外国に行くときに成田空港や関西空港で日本の円を海外の通貨(お金)に換えますよね。
アメリカに行くときは、日本円をアメリカのドルに換えます。
この交換の比率のことを為替レートといいますね。
新聞なんかに、よく為替レートが載っています。
日本円を海外のお金に換えるときの交換レートです。
このとき必ず、
「1$(ドル)=120円」
という感じに、左側に$(ドル)が、右側に日本円が書かれています。
で、いつも$(ドル)の数字が1になっています。
このことは世界のたいがいの国でもそうで、
「1$(ドル)=その国の通貨でいくらになるか」
と表現されています。
いつも左側が$(ドル)です。
いつも$(ドル)の数字が1になっています。
このことは、
「1$(ドル)を買うために、自分の国の通貨がいくら必要なのか」
を表すわけですが、これは言い換えると
「世界の多くの国にとって、アメリカの通貨のほうがエライ」
ということを意味しています。
ヤマトダンジとしては悔しいですが、金融の世界ではそうなっているのです。
したがって、多くの国にとって世界のお金の中心はアメリカであり、アメリカのお金の中心はニューヨークになります。

ところがです。
アメリカの$(ドル)とイギリスの?(ポンド)では力関係が逆になっています。
「1?(ポンド)=1.5$(ドル)」
という表示が普通で、
いつも左側が?(ポンド)です。
いつも?(ポンド)の数字が1になっています。
このことは、
「アメリカにとって、イギリスの通貨のほうがエライ」
ということを意味しています。
いろんな国がアメリカに頭を下げてて、アメリカはイギリスに頭を下げてる。
そういうわけで陰謀オタクのあいだでは、世界のお金の真の中心はイギリス、イギリスの中心はロンドン、ということになってます。

話を戻りましょう。
太刀槌タツオは言いました。「こうやって陰謀の話をするのもいいが、ロンドンに行ったことがないとバレたら、世界陰謀連盟ネオから追い出されてしまう」
「世界陰謀連盟ネオ? そんな連盟、あんの?」
「こないだオレが作った」太刀槌タツオはシレッと言いました。「略してネオだ。とにかくロンドンに行こう。旅費はネオの予算から出すよ」
「えっ、そんな予算があんの?」
「あるとも。心配すんな。そのかわり、おまえ入会しろよ」
「うん、するする」
「それとな、ロンドンに行きたいのにはもうひとつ理由がある。インド料理を食うんだ」
「インド料理を」
「インドはイギリスの植民地だったし、何百年も前からイギリスの東インド会社の陰謀に巻き込まれてた」
「そだね」
「だから、インド料理は陰謀ちっくなのだ」
「インドという国が陰謀ちっくなのは分かるけど、インド料理がなんで陰謀チックなわけ?」
「フィーリングだ」太刀槌タツオはシレッと言いました。「インドがイギリスの植民地だったということはだぞ、イギリスにはインド料理店がゴマンと(←死語)あるということだ」
「そだね」
「ゴマンとあればだな、まずい店もあればメチャクチャ美味い店もあるはずだ」
「そだね」
「そのメチャクチャ美味いインド料理を、食べに行こう。食費も出す」
「食費も出るの?」
「大丈夫だ。予算があるからな。しかし楽しみだな。フランスはベトナムを植民地にしてたことがあった。そのおかげで、フランスのベトナム料理は美味いらしい。同じように、ロンドンのインド料理も美味いはずだ」
「それだったら、インドに食べにいったほうがいいんじゃないの?」
「何を言う。おまえは全然わかってないな。陰謀の中心地で、陰謀料理を食べるのが美味いのだ。とにかくロンドンに行くぞ」
(陰謀料理なんて、インドのみなさん、ゴメンナサイ)

そういうことで、ロンドン行きが決まりました。。
予算から旅費も食費も出るんだったら、悪くない話です。

◆◆◆

しかしアレだね。世界陰謀連盟ネオとやらは太っ腹だねえ。
おカネ出してくれるっていうんだから、マジありがたい話です。

なんて鼻歌うたいながら生きていたら、数日後、郵便物がとどきました。
差出人は、世界陰謀連盟ネオでした。
「飛行機のチケットが送られてきのかな」
そう思って開封してみると、なかから出てきたのは請求書でした。
「世界陰謀連盟ネオ 入会金 250,000円」
えーっ。入会金25万円? なんだよこれ。

太刀槌タツオに電話すると、彼はシレッとこう言いました。
「うん。ロンドン研修の費用がかさむんでな、入会金を値上げした」

(以下次号)

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