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2007.08.16 09:29

不機嫌な農業

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松宮園生です。

以前、「不機嫌な食育」という題名の文章を
ものしましたが、
今回はその農業バージョンです。
(「不機嫌な食育」についてはここをクリック)

ところで、いま「文章をものしました」と
書きましたが、この「ものする」という言い方は死語でしょうか、それとも古語でしょうか?
いずれにせよ、「ものする」という表現は僕のなかでなんとなくマイブーム(←死語)になってます。
余談でした。

ちなみに、農業の不機嫌さは食育の不機嫌さに比べてかなり難解です。
食育の場合、不機嫌さの原因はプライドだったりオバチャン心理だったりして、まあある意味微笑ましいというか単純なケースが多い。
ところが農業の場合は難解なので、じつは的を得た不機嫌(=お怒りごもっとも、というやつ)なのかもしれませんが、しがない勉強不足のバウムクーヘン野郎の僕には判定不能だったりします。

例えば。

◆◆◆

葉竹さんのライバル多賀安さんのところに打合せに行ったときのこと。
多賀安さんはワンマンオフィスなので、お邪魔してもお茶など出てきません。
それを知っていたのと、多賀安オフィスの近所に自然食品店ができたのもあって、そこで飲み物のジュースを2人分、買っていきました。
有機のリンゴジュースです。
JASマークもついています。
そしたら多賀安さんてば、不機嫌になってこう言いました。
「こんなの、有機JASじゃねえよ。オレは飲まねえ」

有機JASについて説明します。
(以下、農林水産省ウェブサイトからの引用)
有機JASマークは、厳しい生産基準をクリアして生産された、有機食品の証です。
有機食品のJAS規格は、以下のような生産の方法を定めています。
…中略…
この有機食品のJAS規格に適合した生産が行われていることを登録認定機関が検査し、その結果、認定された事業者のみが有機JASマークを貼ることができます。
この「有機JASマーク」がない農産物や農産物加工食品に、「有機」「オーガニック」などの名称の表示や、これと紛らわしい表示を付すことは法律で禁止されています。
(引用終わり)

ここに「登録認定機関が検査し」と書いてありますが、この登録認定機関というのはいくつもありまして。
たいてい、有機JASマークの横にその登録認定機関を示すマークが貼られています。

話を戻します。
「こんなの、有機JASじゃねえよ。オレは飲まねえ」
わがままな多賀安さん。
ま、そんなことを言いそうな予感がありましたので、実は僕、缶コーヒーを予備に買っておりました。
それを差し出すと、多賀安さん、機嫌が直りまして
「悪いな。ありがとよ。ところで最近、葉竹の阿呆はどうしてる? 何をしとるかは知らんが、女にモテておらんのは確かだな、わははは」
とかなんとか言って、缶コーヒーをぐびぐび(←死語)。

このシーンの突っ込みどころを整理してみましょう。
(1)「こんなの、有機JASじゃねえよ」っていうけど、ちゃんと容器に有機JASマーク貼ってあるじゃん。
(2)「オレは飲まねえ」っていうけど、仮に有機JASじゃなくてもさ、それっぽいジュースのほうが缶コーヒーぐびぐびよりは100倍カラダにいくねえ?

で、思い切って突っ込んでみました。

すると多賀安さんは言いました。
「そりゃ、缶コーヒーよりリンゴジュースのほうがいいとはオレも思うよ。でもよ、あんな中身で有機JASだなんて言われてもなあ、ちゃんちゃら可笑しくってさあ、飲む気にならねえんだよ」
「でもこのジュース、有機JASのマークついてますよ」
「分かっとるわいそんなこと」
「じゃあ、何が気に食わないんですか?」
「何ってお前、いいか、有機JASなんてな、オレは昔からおかしいと思ってたんだ」
「おかしいんですか?」
「おかしいよ。正しい有機が正しく認定されるようにはなってないんだ。お前、ちゃんと勉強してるか?」
「いや勉強してるかと言われると…」
「有機JASなんてな、穴だらけなんだよ。専門家ならみんな知ってる」
「穴だらけなんですか」
「そうだ。あんなもの、有機じゃねえ」

「有機JASは有機じゃないんですか」
「違うさ。有機JASは有機JAS、有機は有機だ」
「いやでも多賀安さん、有機かどうかを認証するのが有機JASのマークですよね。有機だと認められたら、有機JASなんじゃないですか?」
「ばーか。なに言ってんだよ。さっきから言ってるだろ。違うんだよ。穴だらけなんだよ。勉強の足らんやつだな」

みるみる不機嫌、多賀安さん(字余り)。

「このジュースは有機JASですよね?」
「そうだよ。有機JASのマークがついてるからな。でもこのジュース、有機かどうかは分からんぞ」
「有機かどうか分からんということは、有機じゃないかもしれないけど、有機かもしれないですよね」
「有機なわけあるかい」
「なんで分かるんですか?」
「農業の現場をよく知るとだな、分かるんだよ」

それを言われると弱い。

「有機JASは有機じゃないということですよね?」
「そのとおり。有機JASなんて、有機じゃねえ」
「つまりこのジュースは、有機JASのシールが貼ってあるけど、有機じゃないと」
「そのとおり」
「逆にいうと、有機じゃないけど、有機JASではあると」
「そのとおり。有機じゃないけど、有機JASではあるな。シールがあるから」
「でも多賀安さんはさっき、こんなの有機JASじゃねえ、って言いましたよ」
「そりゃそうだよ。こんなの有機JASじゃねえ」
「えっ? どっちなんですか」
「なにが?」
「だって多賀安さん。10秒前に、このジュースは有機じゃないけど有機JASだって言いましたよね。で、5秒前に、有機JASじゃないと言いました。どっちなんですか」
「お前ね。んなことどうでもいいじゃねえか。なんだよその10秒だの5秒だのって。こんなくだらない会話につきあってるヒマはねえんだ。お前はもっと有機の勉強をしろよ」
「はあ」
「農業は奥が深いんだよ。分かるかなー。分っかんねえだろうなー」

また出たよ、この死語。

(以下次号)

 

 

 

 

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