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松宮園生です。
今回の文章は、
食育度:★☆☆☆☆
(5点満点で1点)
です。
ようするに、
「こんなの食育の話じゃないんじゃない?」
とカクジツに叱られる内容です。
ご容赦。
◆◆◆
熱き血潮のたぎる、若き松宮園生が、テケテケ商事を辞めて独立したのは、今から5年前の早春のことです。
「今日から僕は青年実業家さ。日本一の食育会社を作って、ブイブイ言わせるぞ(←当時すでに死語)」
事務所を東京の渋谷に構えた松宮は、窓から見える夕陽に向ってそう叫んだのでした。
(西日の入る部屋だったんだね)
(夏がどんなに暑いか、このときは分からなかったんだね)
あれから5年。
僕も大人になりました。
じつは昨日、かつて事務所のあったところを偶然通りかかりました。
懐かしいなあ。
といいつつ、よく見まわしてみると。
周りの飲食店がほとんど入れ替わっていたのに驚きました。
噂に聞いてたけど、渋谷って浮沈が激しいんですね。
渋谷で飲食店をするのって、たいへんなんですね。
◆◆◆
5年前その事務所に入居した初日のことを思い出しました。
知り合いが開店祝いの花を贈ってくれたのです。
ところが花屋の手違いで、こんなメッセージが添えられていました。
「お悔やみ申しあげます。眠りが安らかなものでありますように」
僕はムカつきました。
花屋に電話し、釈明に来いとわめきました。
しばらくして花屋が菓子折りも持たずに手ぶらでやって来ました(←期待していたわけね)。
「えろうすんまへん」
オーバーオールを着たメタボ気味の花屋は、ごまかし笑いをしながら言いました。
「わての手違いで不愉快な思いさせてもてホンマ、堪忍堪忍。おたくの事務所開きの日に、すまんことしてもうた」
「なんで笑ってんだよ」
僕は花屋につめよりました。
「なんだその態度。気分わりいな。しかも手ぶらだし」
「すんまへん。わて、こんな顔してますさかい、笑(わろ)とるように見えてもうんやけど、人は見かけによりまへん。笑(わろ)とりまへんのや。ホンマ、反省してますねん」
手ぶらかと思ったら、花屋はポケットから何かを取り出しました。
「これ、お詫びの印でんがな」
手渡されたものを見ると、映画「食育残酷物語」の試写会の券でした。
しかも1枚。
「何だこれ? こんなもの、どうしろってんだよ」
しかし花屋はそれには答えず、
「おたくの社長はんにも、えろうすんまへん、これからも贔屓に頼んますわ、言うておくんなはれ」
いけしゃーしゃーと(←死語)のたまいました。
「何だと。自分で言えよ。てゆーか、社長はオレだっつーに」
すると花屋は頭をぽりぽりかきながら、
「ああ、そないでしたか。あんたが社長。へえ。あんたが社長ねえ。まあええわ。えろうすんまへん。堪忍な、堪忍な」
と言いました。
「バカにしてんのか」
「バカになど、しとりませんがな」
「じゃあなんだよ、その態度は」
花屋は溜息をつき、ハンカチで汗を拭きながら言いました。
「社長はん、そないに怒らんといてえな。誠実に謝っとるんやさかいに」
「あんたね。被害者はオレだろ」
「まあまあ、そう言わんと」花屋は落ち着いたものでした。「カッカする前にもう1人の被害者のことを想像してみなはれ。そっちのほうが気の毒や思うたら、腹も立ちませんがな」
「もう1人の被害者?」
「そうだす」花屋は言いました。「ええどすか、社長はんのところにお悔やみ状が行ったゆうことはやで、代わりにどこかの葬式でこんな電報が読み上げられとるちうことや。『おめでとう! 新天地で心機一転、成功を祈る!』」
食育というテーマでセレクトしています。
「未来型食育書店」
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松宮園生です。
(前回のあらすじ)
食育好きの駄目ビジネスマンをターゲットに、
「食育バンザイ」という役に立たない本を2500円で
売りつける商売をしているアゴヒゲ。
あわよくばそのまま「押しかけコンサルタント」として
相手の事務所に居座ろうとする、困ったオジサンでした。
しかし松宮園生は「食育バンザイ」を買ってしまいます。
3000円出して500円のおつりを受けとるはずなのに、
アゴヒゲは小銭がないから次回持ってくるという。
アゴヒゲの来訪に怯える毎日が、始まったのでした。
◆◆◆
事務所で食事をしているところに、アゴヒゲが現れました。
「あーっ」
と、アゴヒゲは指さして言いました。
「あんた、こないだ言ってたアミダラ姫の漬物っていうのは、それか?」
「さみだらのはさご漬け」
僕はぶっきらぼう(←死語)に答えました。
「美味だけど、あんたに食わせるほどたくさんはないよ。それより、こないだのおつりの500円はまだなの」
食事はほとんど終わるところでした。
さみだらのはさご漬けはまだタッパーウェアにたくさん入っていましたが、僕はこれ見よがしにふたを閉め、冷蔵庫に入れてしまいました。
「つり銭500円、早く返してよ」
「ケチだな、あんた。客に漬物も出さんのか」アゴヒゲは言いました。「まあいい。アミダラ姫は好みのタイプじゃないんでな」
「何しに来たんだよ。500円、早く返してよ」
「まあまあ落ち着け。500円なんて、コイン1個だろ? それより、今日はいいものを持ってきてやったんだ」
アゴヒゲが鞄から取り出したのは、水の入ったペットボトルでした。
「ミネラルウォーターだ。けどそこんじょそこらのミネラルウォーターと一緒にするなよ。ほら、ラベルを見なよ。『真のミネラルウォーター』って書いてあるだろ? そうなんだ。これは真のミネラルウォーターなんだ」
「で?」
「鈍いなあ。あんたはこれをオレから仕入れるんだよ。1本50円で売ってやるから、あんたがこれをネットワークで100円で売れば、儲かるじゃないか」
「買えっていうの?」
「確かに世の中にはミネラルウォーターは何種類もあるよ。でもな、日本産に限っていうと、本物はこれだけなんだ」
「本物って、どういうこと?」
「よくぞ聞いてくれました」アゴヒゲは芝居がかった口調で言いました。「他のミネラルウォーターはな、ミネラルウォーターというのは名ばかり。実態は、浄水器でろ過したものばかりなんだよ。日本にはもう天然の水源というのがなくなっているんだよ。ただ1か所、富山県にあるだけでな、富山県の氷見市というところだ。この水はな、その富山県の氷見市の水源から取れた貴重な水なんだよ。…ちょっと待て」
いったん言葉を切り、アゴヒゲは資料の束を取り出しました。
「××大学の××教授がな、この水を分析してみたんだ。ほれ、ここだ。カシュー値というのが100を超えているだろ。カシュー値は滅多に50を超えないんだが、それが100もあるんだ。すごいだろ」
「カシュー値ってなに? その数字が大きいと、何がいいわけ?」
「えっ、あんたカシュー値を知らないのか?」
「知らないよ」
「いま話題になっているじゃないか。カシュー値が高いと、健康にいいんだよ。あきれたね。当然知ってるものだと思ってたから、説明資料を持ってこなかったよ」
「聞いたことないよ。ホントに話題になってるの?」
「あのな」
アゴヒゲは、怖い顔をして言いました。
「ビジネスで成功したかったら、もっと情報収集をしなきゃいかんよ、あんた。今どきカシュー値を知らないとはねえ。まあいい、カシュー値の分からんやつに、いくら説明しても無駄だからな」
アゴヒゲは、鞄から別のペットボトルを取り出しました。
「神話水」と書いてあります。
アゴヒゲが言いました。「これはな、別名、『天照大神ウォーター』と呼ばれている有名な水だ」
「誰が?」
「誰が、とは?」
「誰が、『天照大神ウォーター』って呼んでるわけ?」
「そりゃあんた、タレントとか、もう少しでノーベル賞候補と言われてる博士とかだよ。そうそう、思いだした、イチローが帰国したときに必ず行く有名な超高級お好み焼屋が四谷にあってな、そこの店長も飲んでるんだぞ」
「ふーん」
「感情表現の下手な人だね、あんた。もっと感心しなきゃ。天照大神が実在したという話は、知らんだろう?」
「知らない」
「実在したんだよ。島根県で本物の化石が見つかっている。化石を分析したら、紀元前8000年のものだと分かったんだ。その化石が発見されたところから、この水が取れる」
「そんな話、聞いたことないなあ」
アゴヒゲは僕の肩をポンと叩き、優しい目をしました。
「聞いたことがないのは無理もない。発見されたのは2002年のことだ。天照大神の全身の化石が見つかった。全身の化石だぞ。あまりにセンセーショナルなために、情報は公にされなかった。実物や写真は、国会図書館の地下12階の倉庫に納められている。国会図書館の地下12階というのはな、本来は日本の防衛機密が隠されるところなんだ。そこに納められたということが、どんなにスゴイかわかるだろ? 化石を発見したのは××大学の女子学生なんだが、国から情報の隠匿するように言われたのを拒否したために、殺されている。××市のストーカー殺人を覚えているか? あれの真犯人は、政府に雇われた殺し屋(←死語)だよ」
「ほんとかなあ」
アゴヒゲは僕の言葉を無視しました。「化石の発見されたところの地層がな、特殊な地層なんだ。調べてみたら、恐竜を全滅させたといわれる隕石の成分が大量に含まれていることが判明した。その地層を流れている水が、これだ」
「で?」
「で、とは?」
「その地層を流れている水の、どこがいいわけ?」
「よくぞ聞いてくれました」アゴヒゲは嬉しそうに言いました。「恐竜を全滅させたくらいの隕石だから、すごいパワーを持っていたのは明らかだ。そのパワーはな、本来は、恐竜を全滅させるのに使われたパワーの何倍もあったことが分かっている。ということはな、隕石のパワーはまだ全開していないんだ。余力があるんだ。使われずに秘められたパワーがまだ残っている。そのパワーを身につけたのが、天照大神だ。地層にもそのパワーが残っている。そのパワーを吸収した水が、これなんだよ。どうだい。仕入価格は1本48円にしといてやるよ。あんたはこれを100円で売るといい。何本ほしい? ちなみに1000本単位で注文を受けてる」
「ふーん」
「ふーんって、感動の薄い人だね松宮君。日本にこんなミネラルウォーター、これだけだよ」
「でもさっきあんた、本物のミネラルウォーターは富山県にしかないって、言ってなかったっけ?」
アゴヒゲは立ち上がりました。
「今日はこんなところで許してやろう。松宮君。あんたは独立したばかりだから少しアレだし、しょうがない部分もあるけど、もっと心の耳で人の話を聞くように心がけたほうがいいよ」
捨て台詞を残し、去っていきました。
「あっ、500円」
叫んだときには、アゴヒゲの姿はなくなっていました。
(以下次号)
松宮園生です。
昨日書いた
「21世紀神様の悩み その2」
で、「メタ坊」というキャラクターのことに触れました。
そしたら、読者の方からキャラクターイメージを
送っていただきました。
これです。
(ワン・ツー・スリー)
ヾ 、
*(●●∂
(。▽(人
/┏━━┓)
δ(┃ポテトФ〃
|┗━━┛ノ
. ⊂_/?_⊃
あまりに僕に似ているので、愕然としています(笑)。
そこで、図に乗ってお願いです。
メタ坊の彼女「メタ子」を誰か紹介(=作画)していただけませんか?
(メタ子って、ネーミングセンスがジャイ子並ですね)
好みのタイプは
「僕より稼ぎのいい人で、できればキャメロンディアスに似てるかも」
です。
(誰の好みやねん)
(つーか、それはメタ子じゃねーだろ)
ちなみにメタ坊は僕と違い、同時に複数の女性とつきあうのに心理的抵抗はないそうです(笑)。
(以下次号)←続くの?
松宮園生です。
(前回のあらすじ)
急遽、地獄をもうひとつ増やすことにした神様。
名づけて「メタボ地獄」。
親からもらった大事な体なのに、運動不足と飽食に
まみれてダメにした罪。
そんな罪人が行くところです。
その代わり、親からもらった体を大事にして天寿を
まっとうした人間には新しい天国が用意されました。
「ウエルネス天国」です。
◆◆◆
で、「メタボ地獄」「ウエルネス天国」が開店して
徐々に賑わいだしたころ…
地上では失踪事件が相次いでいました。
しかもその失踪事件はすべて予告状つきでした。
こんな文面です。
「葱桜俊造殿。貴殿はメタボであると判定されました。いまから1年後すなわち××年××月××日までにメタボを治しなさい。治せなかった場合、命はないものと心得よ」
その日から毎日、葱桜俊造氏のところにメールが届きます。
開くと、こう書いてある。
「あと229日」
カウントダウンされていくわけです。
震え上がった多くの人は努力してメタボを脱却しました。
厚生労働省も大喜び。
それだけではありませんでした。
1年の年限でメタボから脱却した後、また予告状が来ます。
「葱桜俊造殿。おめでとう。貴殿のメタボは解消された。しかし油断は禁物だ。むこう1年間でメタボがリバウンドした場合、命はないものと心得よ」
震え上がった多くの人は、努力してリバウンドを防ぎました。
厚生労働省も大喜び。
でも、どうして人々は震え上がったのでしょうか?
じつは、年限までにメタボを解消できなかった人や、リバウンドしてしまった人が、次々と失踪していたのです。
失踪現場には、「メタ坊」のキャラクター人形が残されていました。
(どんなキャラクターなのかはご想像に任せます)
犯人は誰なのか?
警察にも、FBIにも、古畑任三郎にも、分かりませんでした。
どこからともなく、こういう噂が流れ始めました。
「メタボ撲滅同盟ニキータ」
という秘密結社が、メタボ人間の抹殺に関与しているらしい。
メタボ人間を、「メタボ地獄」に送り込んでいる模様だ。
「メタボ撲滅同盟ニキータ」とは?
彼らは何の目的でこんなことをしているのでしょう?
気になる続きは、次号にて!
(追伸)
「メタボリック・シンドローム撲滅委員会」
という組織がほんとうに実在しています。
http://metabolic-syndrome.net/committee/
真面目な団体です。
「メタボ撲滅同盟ニキータ」とは何の関係もありません。
それにしても、「撲滅」という言葉はインパクトあるよね。
松宮園生です。
最近ネットでビミョーな新聞記事を
2件ほど見たので、ちょっとご紹介。
◆◆◆ その1 ◆◆◆
<×××社、×××果汁入り飲料
「×××」を発売 ?親子で安心して
飲める飲料?>
株式会社×××は、すっきり
おいしく飲める、安心を訴求した
「×××」を新発売します。
昨今、食育基本法の成立や、
食に対する関心の高まりにより、
食育に対する注目が高まっています。
そのような背景を踏まえ、親子で楽しみつつ健康で安心できる飲料「×××」を開発しました。
(××新聞 新製品紹介コーナーの記事)
↓
ふつうに見えて、よく読むとヘンです。
この記事を要約すると、
(1) 食育基本法ができたけえ、わが社は飲料を新発売するんじゃ。
(2) 親子で安心して飲める飲料は今回の新製品が初めてじぇけえ。今までのわが社の製品は親子で安心できんかったけえのう。
ということ?
◆◆◆ その2 ◆◆◆
<××県の地元料理のカロリー本が人気>
××県の料理やお菓子などのカロリーを調べ紹介した冊子が地元で売れ行き好調だ。
専門家は
「県内でも健康的な食生活について考えようという機運が高まっているのではないか」
と指摘している。
男女問わずカロリーが気になる人々に受け入れられ、県に移り住んだ人や観光客らの関心も高いという。
著者で管理栄養士の×××さんは
「××県の料理が『こんなに高カロリーだったとは』と驚きの声が多い」
と話す。
生活習慣病予防を訴える県内の某医師は
「××県独自の食文化を科学的にデータ化し関心を高めた。健康的な食生活について危機意識が高まっていることの表れではないか」
と話している。
(××タイムズ ←××県の地元の新聞です)
↓
地元××県を PR しているように見えて、よく読むとけなしています。
管理栄養士さん、
「わが地元の料理ね、ヘルシーと思ってたけど、測定してみたらじつは驚くほど高カロリーだったのよん。まいったわねえ、でへへへ」
というのをわざわざ本にしたんだね。
記事を書いた記者さんも、
「わが地元の料理、じつは高カロリーでござった。それが管理栄養士のせいで県民にバレて、危機意識が高まってしもうた。まいっちんぐ(←死語)。がっはっはっは」
というのをわざわざ記事にしたんだね。
正直でよろしいけど、地元の人から反発、受けませんか?
夜道には気をつけたほうがいいかも。
松宮園生です。
寿司屋でたとえばイカを注文する
とします。
つまみを2品ほど食べたあと、
「そろそろ握ってくれますか」
「何をにぎりましょうか」
「手始めにイカください」
「アオリイカとヤリイカがありますが」
「そうですねえ。じゃ、ヤリイカを」
こんな会話をするわけです。
むかしデートのとき寿司屋でこの
会話をしたら、友達以上彼女未満
(←死語)の連れがいいました。
「アオリイカとヤリイカ、どう違うの?」
「あー」焦る松宮。「さっきの映画、
面白かったね」
「もう1回だけ聞くわよ。アオリイカとヤリイカ、どう違うの?」
観念して(←死語)土下座する松宮。「すみません。分かりません」
「じゃあなんでヤリイカを選んだの?」
「あー」
質問地獄。
じつは、いま同じ質問をされても、やっぱり答えられません。
(いい加減、調べるなり聞くなりしろよ)
ようするに、生まれてから今日まで×××年間、僕はアオリイカとヤリイカの違いを知らずに生きていたわけです(←3桁か)。
◆◆◆
アメリカ人のことを、僕はいつもメリケンと呼んでます。
メリケンを接待して寿司屋に行ったとします。
メリケンが魚の切り身を興味深そうに指差して
「アレハ何? コレハ何? アッチハ何? アソコデ動イテイルノハ何? アノ女性ハナンデ泣イテルノ?」
やかましく聞いてきます。
ああうるさい。そんなに興奮すんなよ。
と言いたくなるのを我慢して、さあここで問題です。
寿司ネタ、英語で言えますか?
辞書なしで。
正解はどうでもよいというか、ご自分で「知ってるよ」と思う数を数えてください。
<問題>
甘エビ
アワビ
イカ
イクラ
ウナギ
ウニ
カニ
サバ
タイ
タコ
ニシン
ホタテ
マグロ
ミル貝
<判定>
「知ってるよ」の数で判定します。
正解かどうかは問いません。
0個:安土桃山級。安心してください。こんなの言えなくったって、生きていけます。
1個:幕末級。水道のことをヒネルトジャー、あんパンのことをオストアンデルというのと同じレベルです。
2個-5個:日露戦争級。戦争には勝ちましたね。その調子で、メリケンを果敢に攻めましょう。
5個-8個:第1次世界大戦級。いけいけどんどん(←死語)のあなたです。健康に気をつけましょう。
9個-12個:バブル級。うそ、ついてませんか? 株価、大丈夫?
13個以上:安部内閣級。友達いる? 煙たがられてない? ちゃんと合コン、呼ばれてる?
◆◆◆
しかしアレだね。
無事に寿司ネタを英語で言えたとしてもです。
メリケンどもは、それを教わったところで、意味あるのかな?
たとえば、教わる立場になったとしましょう。
どこかの国を旅行して、偶然出会った現地在住日本人と一緒に、地元のレストランに行きました。
そこに
「セロロロザレレレの炒め物」
というメニューがあったとします。
「セロロロザレレレ? 何これ?」と僕が質問します。
「これはね」彼女はいいます(←彼女なわけね)。「高山植物の名前。おいしいよ」
「どんな植物」
「日本語でいうと、カキノモトノヒトマロソウ」
「なるほど!」
なるほどじゃねーだろ。
カキノモトノヒトマロソウって言われて、分かるのかよ。
これと同じ現象が、「メリケンを接待して寿司ネタを教える」場面にも当てはまるんじゃないかな。
「この魚、何デスカ?」
「Gizzard Shad (こはだ)だよ」
「I see. (なるほど)」
I see. じゃねーだろ。
Gizzard Shad って言われて、あんた分かるの?
築地か?
◆◆◆
しかし実際のメリケンは甘くないのです。
実際にはこうなります。
↓
「この魚、何デスカ?」
「Gizzard Shad (こはだ)だよ」
「Gizzard Shad? ワカリマセン。ドンナ魚デスカ、ソレ?」
説明地獄。
(次号はありません)
松宮園生です。
1977年に「マクガバン・レポート」が発表されたのを
きっかけに、アメリカ政府は国民の栄養状況を
変えようとし始めました。
ホールフーズ・マーケットの台頭に象徴されるように、
自然食品へのこだわりを持つ人が増えました。
DSHEAという法律ができて、サプリメントの地位が
固まりました。
こうした流れを、僕は勝手に「ターザン栄養学の世界」
と呼んでいます。
(詳しくは↓ここをクリック)
「ターザン栄養学 その1」
「ターザン栄養学 その2」
「ターザン栄養学 その3」
ターザン栄養学の世界には何人かの有名ドクターがいて、
テキトーにご紹介しましょう。
◆◆◆
まずは松宮園生が親しくしているドクター・マイケル・チイタッタ。
彼の特徴は「メガビタミン療法」です。
ビタミンやミネラルをかなりたくさん摂取することで一部の病気を治したり、病気の予防に生かしたりしています。
チイタッタ先生は60代半ばで、夏はボストン、冬はフロリダで過ごすという、なんだか羨ましい生活を送っています。
ボストンにいるあいだは、とあるクリニックで週3回ほど診察をしていますが、フロリダでは診察はせず、本を書いているようです。
この先生、ボストン近辺では有名な人ですが、全米で有名かというとそうでもありません。
(本人にそれを言うと怒られますが)
その代わり地元ではファンが多く、例えば地元のラジオ局でレギュラー番組を持っていたりしますし、チイタッタ先生が認定するレストランは「ヘルシーで美味しい」という評判になっていたりします。
(ドクター・チイタッタ認定レストランについてはここをクリック)
彼のようなドクターを、僕は勝手に「ローカル・カリスマドクター」と呼んでいます。
◆◆◆
次はドクター・ロバート・アトキンス。
何年か前に全米で一世を風靡したドクターですので、ご存知の方も多いかもしれません。
いわゆる「ローカーボ(低炭水化物)ダイエット」の生みの親です。
炭水化物を摂らない。
脂肪については気にしなくていい。
タンパク質はしっかり摂りたまへ。
つまり、パンやパスタを控え、肉をどんどん食べなさい。
あとはサプリメントを適切に飲みなさい。
それで痩せますよ!
というダイエットです。
これは肉好きアメリカ人には耳触りのよい朗報だったため、大ヒットしました。
どのくらいヒットしたかというと…。
アメリカはほとんどのショッピングモールにサプリメント専門店がありますが、これらサプリメント専門店(大手では GNC や Vitamin Shoppe)には必ずアトキンス・コーナーがありました。
また、多くのレストランが「アトキンス・メニュー」を用意していました。
「ローカーボ(低炭水化物)マガジン」という雑誌が発行されたりもしました。
このアトキンス先生、いちど会いたかったのですが、3年くらい前に亡くなりました。
転んで頭を打ったそうです。
アトキンス先生のように全米でヒットしたドクターを、僕は「ナショナル・カリスマドクター」と呼んでいます。
先生は他界しましたが、ローカーボ・ダイエットのファンはしぶとく残っています。
アトキンス先生が作った会社は先生の死後いちど倒産しましたが、いまは不死鳥のごとく復活しています。
面白いのはヨーロッパで、アトキンス先生が亡くなってから、ローカーボ・ダイエットがヒットしました。
なぜ今頃ヒットしたのかは原因不明。僕はヨーロッパぜんぜん詳しくないので…。
◆◆◆
次はアンドリュー・ワイル先生。
日本でも知られる医食同源のナショナル・カリスマドクターです。
薬草の権威です。
CNNによく出演しています。
レギュラー出演しているわけじゃないと思うのですが、テレビをつけて CNN にチャンネルを合わせると
「あれ、また出てる」
てなことが多いです。
その風貌が彼のなによりの特徴です。
スキンヘッドにアゴヒゲ。
逆さにしても顔っぽく見えます。
(そんな絵、子ども雑誌とかによくあったなあ)
◆◆◆
次はドクター・ジョナサン・ライト。
ナショナル・カリスマドクターです。
イチローのいるシアトルの近郊に
「タホマ・クリニック」
という全米でも有名なクリニックこがあります。
何で有名かというと、アトピーの治療で有名です。
このタホマ・クリニックの院長がジョナサン・ライト先生です。
ときどき来日しているそうです。
新宿にジョナサン・ライト先生の息のかかったクリニックがあるそうです。
シアトルには「バスティーア大学」という、ナチュロパシック・ドクター(ND)を育成する大学がありますが、ここの卒業生はタホマ・クリニックに就職することに憧れています。
(バスティーア大学については↓をクリック)
「ナチュロパシー」
「火縄くすぶる」
◆◆◆
最後はドクター・ジュリアン・ウィテカー。
カリスマドクターなのかどうかも不明です(苦笑)。
謎のドクターですが、メールマガジンの読者がものすごく多いそうです。
チイタッタ先生がやたらとこのウィテカー先生を意識しているみたいなので、名前だけ挙げておきます。
ウィテカーのやつがああしただの、こうしただの、やかましいのです。
僕自身は会ったこともありません。
◆◆◆
以上をまとめます。
ドクター・チイタッタ。得意技:メガビタミン。
ドクター・アトキンス。得意技:ローカーボ。
ドクター・ワイル。得意技:薬草。
ドクター・ライト。得意技:アトピー治療。
ドクター・ウィテカー。得意技:メルマガ。
健康をキーワードに活動している方は是非のぞいてみてください。
「21世紀の健康サービスがわかるオンラインストア」
http://astore.amazon.co.jp/21health-22
松宮園生です。
以前、「不機嫌な食育」という題名の文章を
ものしましたが、
今回はその農業バージョンです。
(「不機嫌な食育」についてはここをクリック)
ところで、いま「文章をものしました」と
書きましたが、この「ものする」という言い方は死語でしょうか、それとも古語でしょうか?
いずれにせよ、「ものする」という表現は僕のなかでなんとなくマイブーム(←死語)になってます。
余談でした。
ちなみに、農業の不機嫌さは食育の不機嫌さに比べてかなり難解です。
食育の場合、不機嫌さの原因はプライドだったりオバチャン心理だったりして、まあある意味微笑ましいというか単純なケースが多い。
ところが農業の場合は難解なので、じつは的を得た不機嫌(=お怒りごもっとも、というやつ)なのかもしれませんが、しがない勉強不足のバウムクーヘン野郎の僕には判定不能だったりします。
例えば。
◆◆◆
葉竹さんのライバル多賀安さんのところに打合せに行ったときのこと。
多賀安さんはワンマンオフィスなので、お邪魔してもお茶など出てきません。
それを知っていたのと、多賀安オフィスの近所に自然食品店ができたのもあって、そこで飲み物のジュースを2人分、買っていきました。
有機のリンゴジュースです。
JASマークもついています。
そしたら多賀安さんてば、不機嫌になってこう言いました。
「こんなの、有機JASじゃねえよ。オレは飲まねえ」
有機JASについて説明します。
(以下、農林水産省ウェブサイトからの引用)
有機JASマークは、厳しい生産基準をクリアして生産された、有機食品の証です。
有機食品のJAS規格は、以下のような生産の方法を定めています。
…中略…
この有機食品のJAS規格に適合した生産が行われていることを登録認定機関が検査し、その結果、認定された事業者のみが有機JASマークを貼ることができます。
この「有機JASマーク」がない農産物や農産物加工食品に、「有機」「オーガニック」などの名称の表示や、これと紛らわしい表示を付すことは法律で禁止されています。
(引用終わり)
↑
ここに「登録認定機関が検査し」と書いてありますが、この登録認定機関というのはいくつもありまして。
たいてい、有機JASマークの横にその登録認定機関を示すマークが貼られています。
話を戻します。
「こんなの、有機JASじゃねえよ。オレは飲まねえ」
わがままな多賀安さん。
ま、そんなことを言いそうな予感がありましたので、実は僕、缶コーヒーを予備に買っておりました。
それを差し出すと、多賀安さん、機嫌が直りまして
「悪いな。ありがとよ。ところで最近、葉竹の阿呆はどうしてる? 何をしとるかは知らんが、女にモテておらんのは確かだな、わははは」
とかなんとか言って、缶コーヒーをぐびぐび(←死語)。
このシーンの突っ込みどころを整理してみましょう。
(1)「こんなの、有機JASじゃねえよ」っていうけど、ちゃんと容器に有機JASマーク貼ってあるじゃん。
(2)「オレは飲まねえ」っていうけど、仮に有機JASじゃなくてもさ、それっぽいジュースのほうが缶コーヒーぐびぐびよりは100倍カラダにいくねえ?
で、思い切って突っ込んでみました。
すると多賀安さんは言いました。
「そりゃ、缶コーヒーよりリンゴジュースのほうがいいとはオレも思うよ。でもよ、あんな中身で有機JASだなんて言われてもなあ、ちゃんちゃら可笑しくってさあ、飲む気にならねえんだよ」
「でもこのジュース、有機JASのマークついてますよ」
「分かっとるわいそんなこと」
「じゃあ、何が気に食わないんですか?」
「何ってお前、いいか、有機JASなんてな、オレは昔からおかしいと思ってたんだ」
「おかしいんですか?」
「おかしいよ。正しい有機が正しく認定されるようにはなってないんだ。お前、ちゃんと勉強してるか?」
「いや勉強してるかと言われると…」
「有機JASなんてな、穴だらけなんだよ。専門家ならみんな知ってる」
「穴だらけなんですか」
「そうだ。あんなもの、有機じゃねえ」
「有機JASは有機じゃないんですか」
「違うさ。有機JASは有機JAS、有機は有機だ」
「いやでも多賀安さん、有機かどうかを認証するのが有機JASのマークですよね。有機だと認められたら、有機JASなんじゃないですか?」
「ばーか。なに言ってんだよ。さっきから言ってるだろ。違うんだよ。穴だらけなんだよ。勉強の足らんやつだな」
みるみる不機嫌、多賀安さん(字余り)。
「このジュースは有機JASですよね?」
「そうだよ。有機JASのマークがついてるからな。でもこのジュース、有機かどうかは分からんぞ」
「有機かどうか分からんということは、有機じゃないかもしれないけど、有機かもしれないですよね」
「有機なわけあるかい」
「なんで分かるんですか?」
「農業の現場をよく知るとだな、分かるんだよ」
それを言われると弱い。
「有機JASは有機じゃないということですよね?」
「そのとおり。有機JASなんて、有機じゃねえ」
「つまりこのジュースは、有機JASのシールが貼ってあるけど、有機じゃないと」
「そのとおり」
「逆にいうと、有機じゃないけど、有機JASではあると」
「そのとおり。有機じゃないけど、有機JASではあるな。シールがあるから」
「でも多賀安さんはさっき、こんなの有機JASじゃねえ、って言いましたよ」
「そりゃそうだよ。こんなの有機JASじゃねえ」
「えっ? どっちなんですか」
「なにが?」
「だって多賀安さん。10秒前に、このジュースは有機じゃないけど有機JASだって言いましたよね。で、5秒前に、有機JASじゃないと言いました。どっちなんですか」
「お前ね。んなことどうでもいいじゃねえか。なんだよその10秒だの5秒だのって。こんなくだらない会話につきあってるヒマはねえんだ。お前はもっと有機の勉強をしろよ」
「はあ」
「農業は奥が深いんだよ。分かるかなー。分っかんねえだろうなー」
また出たよ、この死語。
(以下次号)
農業や田舎暮らしに興味のある方は是非のぞいてみてください。
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松宮園生です。
(前回のあらすじ)
世界陰謀連盟ネオ。
仰々しい名前の組織だったが、
やることはロンドンでインド料理
を食べる、という他愛のないもの
だった…。
◆◆◆
こんな話を聞いたことがあります。
(親と子の会話)
子「天国ってどんなところなの?」
親「神様がいるところだよ」
子「地獄ってどんなところなの?」
親「イギリス人のコックがいる」
ことほどさように(←死語)
イギリスの食事はまずいと
よく言われますが、
かたや
「とんでもない。イギリスの食事は美味い」
と主張する人も少なくありません。
どっちなんでしょう。
いまだに決着はついていないようですが。
そういえば、3年ほど前に「世界創作寿司コンテスト」というのがロンドンで開かれました。
テレビでその審査会の様子が放映されていました。
優勝した作品は鳴りもの入りで日本に上陸してくるという話でしたが、いったいどこに上陸したんだろう?
◆◆◆
ロンドン行きの飛行機が離陸して数時間後、太刀槌タツオが思い出したように言いました。
「なあ松宮。お前、ガイドブック持ってきた?」
「ないけど」
「オレも持ってない」
「ロンドンは何回くらい行ったの?」
「初めてだ。松宮は?」
「初めて」
太刀槌タツオは笑いだしました。「おれたち2人ともロンドン初心者なのに、ガイドブックなしかよ」
「買うの忘れてたね」
「ロンドンに着いたらさっそくインド料理店に行きたいんだが、行き方がわからんな」
「つーか、行く店は決めてあるの?」
「決めてない。お前は?」
「決めてない」
「ロンドンについて事前学習とか、したか?」
「ロンドンの歴史の本を読んだ。タツオは?」
「インドの歴史」
今度は僕が笑う番でした。「この無計画さがいいよね。ちょっと聞くけど、泊まるとこ予約してある?」
「さすがにそれはした」
「何ていうホテルで、どこにあるか分かってる?」
「どこだっけな」太刀槌タツオはカバンのなかをごそごそ物色しまし、しわくちゃの紙を取り出しました。「これだ。住所が書いてあるから、タクシーに見せれば問題ない」
「空港から市内まで、近いの?」
「さあ。近いんじゃないの」
「成田空港みたいに遠かったら、タクシー代がかさむよ」
「それは困る。余計なお金はできるだけケチって、食事代に回したい」
「そうだよね。向こうに着いたら、英語でいいからガイドブック買おう」
「そうするべい」太刀槌タツオは悲しげに言いました。「お前、英語できる?」
「受験英語なら。関係代名詞とか」
「オレも受験英語だ。前置詞とか」
「辞書、ある?」
「ない」
「オレもない」
「ガイドブック、読めるかな」
「英和辞書、買おう」
「空港にあるかな」
「ないだろう。本屋に行かないと」
「英和辞書、あるかな」
「ないだろう。でも腐ってもロンドン、紀伊国屋書店とかあるんじゃね?」
「あると思うけど、どこにあるかな」
「そりゃ、ガイドブック見れば分かるんじゃね?」
「英語のガイドブックに紀伊国屋書店とか載ってる?」
「ないかもな。日本語のガイドブック買わないと」
「それ、どこに売ってるの」
「紀伊国屋書店」太刀槌タツオはまた笑いだしました。「こりゃダメだ。おれたちの間抜けぶりはロンドン観光の歴史に残るぞ」
「偶然なんだけど」しばらくして僕は言いました。「これ(機内誌)にロンドンのインド料理店が紹介されてるよ。ほら、ここ。レッドフォートっていう店みたいだけど、なんか良さそうだよ」
「ふーん」
「読むかい」
「だって英語だろ。お前読んどけよ」
「受験英語だって、読むことは読めるよ」
「どれどれ(←死語)。あ、知ってる単語で書かれてる。この単語とか覚えてるぞ。でる単(←死語?)にあった。魅力的な、って意味だ」
「とりあえず、今日はこの店に行くことにしない?」
「オーケー、そうしよう」
「で、その店に、他のおすすめインド料理店を教えてもらおうよ」
「教えてくれるか? ライバルを教えるようなもんだぞ」
「頼みこめばなんとかなるんじゃない?」
「そっか。やってみるか」
というわけで飛行機はやがてロンドン・ヒースロー空港に到着し、
「世界陰謀連盟ネオの陰謀料理作戦」
がやっとこさ(←死語)始まったのでした。
(オチはないけど、以下次号)
チーフの松宮園生です。
「食の世界のスーパーパワー」シリーズ
なんつてカッコつけて、
カーギル(自前の人工衛星を持ち、世界の穀物を牛耳る)
モンサント(遺伝子組換えの世界企業)
ネスレ(世界一の加工食品会社)
ウォールマート(世界一売上高の大きな会社)
の話を書きました。
今後は、
ドール(世界一の果物会社)
GNC(世界一のサプリメント会社)
ヘイン(オーガニック系のお菓子の世界企業)(←だったかな)
あたりの話を書こうと思ってます。
このシリーズのテーマは、
「世界企業は陰謀をたくらんでいるのか?」
です。
なぜそんなテーマにするかというと、僕自身が陰謀オタクだからであります。
陰謀オタクがよく口にする単語の例です(順不同)。
イギリス王室
フリーメイスン
ユダヤ人
ロスチャイルド
ロックフェラー
モルガン
カーネギー
ハプスブルグ
キッシンジャー
石油メジャー(セブン・シスターズ)
デビアス
リオ・チント・ジンク
個々の説明は省略しますね。長くなるので。
陰謀オタクは本当なのかどうかも分からない世界の陰謀についての情報を収集して楽しんでいるわけですが、
陰謀を防ごうというわけでもなく
陰謀に加担しようというわけでもなく
あくまでも趣味として陰謀情報を楽しむという、変わった人種です。
ま、防ぎたくても防ぎ方は分からないし、加担したくてもどうしていいか分からんけど。
◆◆◆
さて、僕がこの陰謀オタクになって間もないころ、僕にはオタク仲間がいました。
今はいません。
行方不明になっています。
この男は太刀槌タツオという舌をかみそうな名前で、むかしはエリートでした。
ナントカ省の役人だったのです。
役人になって数年後、ある大企業のオーナーに気に入られてその会社に転職し、なんだか羽振りの良い生活を送っていました。
行方不明になるまでは。
その大企業があるとき不祥事を起こしまして新聞にも載ったのですが、それ以来、連絡がとれなくなりました。
実家にも連絡がとれません。実家ごと、行方不明です。
太刀槌タツオと僕にはもう1つ共通点がありました。
いや、正確にはあと2つかな。
* インド料理に目がないこと
* 辛いのを食べた数時間後、腹痛に苦しむこと
彼と僕とは東京都内のインド料理店をつぶさに食べまわったあげく、
「ラージマハール」
という名の店をいちばん気に入り、そこに通い始めました。
インド料理を食べながら、陰謀のウンチク話を交換するのです。
「ラージマハール」では、こんなふうに食べていました。
まず、グロールッシュ(発音、これでいいのかな?)というオランダのビールを注文する。
ミントソースをもらってちびちび舐める。
マンゴーのピクルスをもらって、夢中になって食べる。
グロールッシュを飲み終えたら、赤ワインを注文する。
同時にチキンのカレーを1品、マトンを1品、野菜を2品、注文します。
マトンは、「マトンチョップマサラ」という、メニューに載っていないものを無理やり頼みます。
これ、唇が麻痺するくらいに辛いのでメニューには載せていないそうですが、注文するバカが現れたときはシェフは喜び勇んで作るらしい。
野菜は、タマネギ、オクラ、マッシュルーム、カリフラワーあたりから選んでいます。
(オクラが日本語じゃない、というのを知ったのもこのころです)
ヒヨコ豆とかレンズ豆などもメニューにはありますが、ある意味男性のつねで、豆類を選ぶことは少ないです。
ナンを注文することはあまりなく、たいてい、サフランライスにするか、「インディアンプラオ」というインド米を使ったピラフを食べています。
赤ワインとインド料理はよく合います。
ただし、辛さを和らげてくれることはあまりありません。
「マトンチョップマサラ」に痺れた唇は、痺れたままです。
「マトンチョップマサラ」を食べて唇の痺れが治まるころ、こんどは食道あたりが痺れはじめるわけですが、
「喉元過ぎれば熱さ忘れる」
の言葉どおり、あまり感じません。
ところがその痺れは
食道→胃→小腸→大腸
とカクジツに進行してきまして、僕の経験では唇が痺れた6時間後に、大腸が痺れます。
そうなると、腹痛に七転八倒することになります。
「イテテテテ。こんなに痛いんだったら、もうインド料理は食べるもんか」
と思うんですけど、痛みが治まったらそんなことは忘れています。
よくある話ですね。
◆◆◆
さて、あるとき太刀槌タツオがこんなことを言い出しました。
「なあ松宮。ロンドンに行こう。ロンドンは陰謀の中心地だしさ」
陰謀オタクのあいだでは、世界の中心は東京でもニューヨークでもなく、ロンドンにある、ということで意見が一致しています。
外国に行くときに成田空港や関西空港で日本の円を海外の通貨(お金)に換えますよね。
アメリカに行くときは、日本円をアメリカのドルに換えます。
この交換の比率のことを為替レートといいますね。
新聞なんかに、よく為替レートが載っています。
日本円を海外のお金に換えるときの交換レートです。
このとき必ず、
「1$(ドル)=120円」
という感じに、左側に$(ドル)が、右側に日本円が書かれています。
で、いつも$(ドル)の数字が1になっています。
このことは世界のたいがいの国でもそうで、
「1$(ドル)=その国の通貨でいくらになるか」
と表現されています。
いつも左側が$(ドル)です。
いつも$(ドル)の数字が1になっています。
このことは、
「1$(ドル)を買うために、自分の国の通貨がいくら必要なのか」
を表すわけですが、これは言い換えると
「世界の多くの国にとって、アメリカの通貨のほうがエライ」
ということを意味しています。
ヤマトダンジとしては悔しいですが、金融の世界ではそうなっているのです。
したがって、多くの国にとって世界のお金の中心はアメリカであり、アメリカのお金の中心はニューヨークになります。
ところがです。
アメリカの$(ドル)とイギリスの?(ポンド)では力関係が逆になっています。
「1?(ポンド)=1.5$(ドル)」
という表示が普通で、
いつも左側が?(ポンド)です。
いつも?(ポンド)の数字が1になっています。
このことは、
「アメリカにとって、イギリスの通貨のほうがエライ」
ということを意味しています。
いろんな国がアメリカに頭を下げてて、アメリカはイギリスに頭を下げてる。
そういうわけで陰謀オタクのあいだでは、世界のお金の真の中心はイギリス、イギリスの中心はロンドン、ということになってます。
話を戻りましょう。
太刀槌タツオは言いました。「こうやって陰謀の話をするのもいいが、ロンドンに行ったことがないとバレたら、世界陰謀連盟ネオから追い出されてしまう」
「世界陰謀連盟ネオ? そんな連盟、あんの?」
「こないだオレが作った」太刀槌タツオはシレッと言いました。「略してネオだ。とにかくロンドンに行こう。旅費はネオの予算から出すよ」
「えっ、そんな予算があんの?」
「あるとも。心配すんな。そのかわり、おまえ入会しろよ」
「うん、するする」
「それとな、ロンドンに行きたいのにはもうひとつ理由がある。インド料理を食うんだ」
「インド料理を」
「インドはイギリスの植民地だったし、何百年も前からイギリスの東インド会社の陰謀に巻き込まれてた」
「そだね」
「だから、インド料理は陰謀ちっくなのだ」
「インドという国が陰謀ちっくなのは分かるけど、インド料理がなんで陰謀チックなわけ?」
「フィーリングだ」太刀槌タツオはシレッと言いました。「インドがイギリスの植民地だったということはだぞ、イギリスにはインド料理店がゴマンと(←死語)あるということだ」
「そだね」
「ゴマンとあればだな、まずい店もあればメチャクチャ美味い店もあるはずだ」
「そだね」
「そのメチャクチャ美味いインド料理を、食べに行こう。食費も出す」
「食費も出るの?」
「大丈夫だ。予算があるからな。しかし楽しみだな。フランスはベトナムを植民地にしてたことがあった。そのおかげで、フランスのベトナム料理は美味いらしい。同じように、ロンドンのインド料理も美味いはずだ」
「それだったら、インドに食べにいったほうがいいんじゃないの?」
「何を言う。おまえは全然わかってないな。陰謀の中心地で、陰謀料理を食べるのが美味いのだ。とにかくロンドンに行くぞ」
(陰謀料理なんて、インドのみなさん、ゴメンナサイ)
そういうことで、ロンドン行きが決まりました。。
予算から旅費も食費も出るんだったら、悪くない話です。
◆◆◆
しかしアレだね。世界陰謀連盟ネオとやらは太っ腹だねえ。
おカネ出してくれるっていうんだから、マジありがたい話です。
なんて鼻歌うたいながら生きていたら、数日後、郵便物がとどきました。
差出人は、世界陰謀連盟ネオでした。
「飛行機のチケットが送られてきのかな」
そう思って開封してみると、なかから出てきたのは請求書でした。
「世界陰謀連盟ネオ 入会金 250,000円」
えーっ。入会金25万円? なんだよこれ。
太刀槌タツオに電話すると、彼はシレッとこう言いました。
「うん。ロンドン研修の費用がかさむんでな、入会金を値上げした」
(以下次号)
松宮園生です。
100年前からアメリカはすでにメタボちっくな国だった、
と書いたことがあります。
100年たった今も、この国はメタボちっくです。
100年間、何をやっていたの、あんたたち。
たしかに、この100年間に世界大戦が2度もあり、
メタボ対策どころじゃなかったのは、認めるけどねえ。
でもホントに100年前からメタボだったの?
そんな疑問を持っていましたが、調べてみるとこんなことが分かりました。
昔々、Voit(発音不明)という名の学者がいて、こんなことを言いました。
「アメリカ人は、タンパク質を1日118グラムとりなはれ」
で、「1日118グラム」のことを「Voitスタンダード」と呼ぶようになりました。
一般市民は118グラムなんて数字は意識していなかった、というか、知らなかったでしょうが、このころのアメリカはすでにそこそこ豊かだったので、普通の食事で118グラムは食べていたと思われます。
1902年になり、フレッチャーさんという人物(この人物が何者だったのか、学者だったのか何だったのかは謎です)が、こんなことを唱えました。
「ものを食べるときは、飲み込む前に32回、咀嚼しなはれ。そうしたら、Voitスタンダードの118グラムに足りなくても、タンパク質は十分に摂取できますねん」
なんで32回なのか不明ですが、32回、噛むそうです。
その後、1907年。
つまり今からちょうど100年前に、エール大学のチッテンデン教授という人が「ヒトの栄養」という本を出し、こんなことを提唱します。
「タンパク質1日118グラムは多すぎる。つまりアメリカ人は食べ過ぎだ。毎日118グラムのタンパク質を摂っていたら、腎臓がやられてしまうぞ。タンパク質は半分でいい」
教授はさらにこんなことも言いました。
「ホワイトカラーの人は、3000カロリーも食べれば十分だ。それ以上、食べてはならん」
科学者の方々がこういうことを言うということは、それだけアメリカ人はずいぶん食べてて、ずいぶんメタボだったんでしょうね。
ちなみにエール大学のチッテンデン教授はずいぶんエライ先生だったみたいで、日本(当時は明治時代の終わりごろ)から栄養学を学びにきた留学生も、この先生に教わったようです。
(今回はここまで)
松宮園生です。
(前回のあらすじ)
畑の隣にレストランを作ってさ、自分の畑でとれた作物を
そこで美味しく料理して出せたらいいよね。
そんな夢を持つ若い農家はけっこう大勢いるんじゃないかな。
ただしそうするためには農家にレシピを考える力がほしい。
料理技術じゃなくてレシピ開発力だ。
料理技術じゃない。ダイコンのかつらむきは下手でもいい。
しかしレシピ開発力はほしい。自分の畑でとれたダイコンをどうやったら一番美味しく食べられるのか、を考える能力は必要だ。
「レシピ開発力」を身につけるにはどうしたらいいか、そういう講座を作りたいよね。
…農業コンサルタントの葉竹乃木夫さんからそんなことを言われ、レシピ開発力ゼロの松宮園生が調査を始めたのでした。
◆◆◆
まずは瀬戸内海の淡路島に出かけました。
僕には小判大介という舎弟がいまして、テケテケ村でイチゴを作っています。
じつは舎弟はもう1人いまして、タピ岡秋彦といい、淡路島でタマネギをせっせと作っています。
このタピ岡君の話では、彼の近所に「レシピ女王」が出没するらしい。
「捕まえて話を聞きましょう」タピ岡君は目を輝かせて言いました。「ああ、腕が鳴るなあ」
なぜ腕が鳴るのかはよく分かりません。
久しぶりに松宮師匠と会えたのが嬉しかったのか。
僕が持ってきたお土産(女優○○○○の等身大フィギュア。ただし風船仕様。特殊な使い途があるという噂だが、未確認)が嬉しかったのか。
いずれにせよ、タピ岡君と僕は「レシピ女王」を捕まえる罠を作りました。
「痛くない罠にしような」と僕は言いました。「こう見えても生き物には優しいんだよ」
「同感です。じゃあこうしましょう。北海道の友達がメロンを送ってきたんです。これを餌にして、メロンをつかんだ瞬間に上からカゴが落ちてくる」
「そんなベタで原始的な罠にひっかかるか?」
「まあやってみましょう」
翌朝、驚いたことに「レシピ女王」が罠にかかっていました。
30歳前後くらいの女性でした。
「だましたんね」メロンを抱えたレシピ女王は毒づきました。「わたしをどうするつもりやの?」
僕はカゴをどけながら言いました。「すみません。じつは教えてほしいことがあったので」
「教えてあげてもええけど…。このメロンはもらえるんやろね」
すると、タピ岡君が頬を赤らめながら
「もちろんです。差し上げます」
なぜか必死の口調で答えました。
レシピ女王はふだんは神戸に住み、神戸市内の飲食店にレシピを提供する仕事をしていました。
料理の本もたくさん出版しています。
ときどき淡路島にあらわれ、農家をまわっては食材の勉強をしているそうです。
以下、レシピ女王とのインタビューです。
松宮「なんでレシピ女王って言われてるんですか?」
女王「なんでやろねえ。寝ても覚めてもレシピのこと考えているからかなあ」
松宮「毎日レシピ書いてるんですか?」
女王「毎日作っとるよ」
松宮「今までいくつ作ったんですか?」
女王「そんなん数えたことないけど…」
松宮「毎日3個書いたら年間1000個ですね」
女王「その計算やったら、10年近くやってるから1万個くらいかな」
タピ「すげえ」
女王「そやけどね、書くだけじゃダメなんよ。人の書いたレシピも読まんと」
松宮「どのくらい読みました?」
女王「書いた数と同じくらいやろか」
松宮「1万個くらい」
女王「1万個くらいやね。出版されてるレシピ本は全部読んどんのよ」
松宮「全部ですか?」
女王「全部」
松宮「それだけ読んだら、レシピの良し悪しとかって、分かりますか?」
女王「それはすぐ分かるなあ」
松宮「たとえばどんなレシピが悪いんですか?」
女王「書かれたとおりに作ってもそのとおりにならへんレシピは、悪いレシピやんね」
松宮「そんなレシピ、あるんですか?」
女王「いっぱいあるよ。火を入れるタイミングが変やとか、作る順番がおかしいとか」
松宮「いちいち作って確認するんですか?」
女王「作らんでも、読めば分かります」
松宮「なるほど。良いレシピってどんな感じですか?」
女王「そうやねえ…。説明するの難しいけど…」
松宮「2つのレシピを比較して、どっちがいいとか言えます?」
女王「そうやねえ。いえる場合といえない場合があるかなあ。プロの作家の小説どうし比べてもどっちがいいとか言えへんでしょ。でもプロとアマチュアの書いたのを比べたら違うって思うやん。そんな感じ」
松宮「僕なんかどのレシピ見てもおんなじに見えちゃいますが」
女王「それは駄目やんね。目を養わんとね」
松宮「目ですか」
女王「とにかくたくさんレシピ考えて、人のレシピたくさん見て、それでだんだん目が肥えてくるんよ」
◆◆◆
レシピ女王は「レシピの目利き」のような人でしたが、感覚とか経験とかを重視する人でしたので、「よいレシピを作るコツ」みたいなものは何度聞いても分かりませんでした。
というわけで、インタビューは終わり。
レシピ女王はメロンを抱えて去っていきました。
その去り際、タピ岡君が真っ赤な顔をしてレシピ女王に携帯の番号とメールアドレスを教えろと迫っていましたが、成功したのかどうかは不明です。
(以下次号)
松宮園生です。
自分は料理を基本やらない人間
です。
どうもその辺の才能はまったくない
みたいで、自分では何を作っても
マズイ。
お湯を注ぐだけのカップラーメン
ですら、自分でやるとマズくなって
しまいます。
レシピを作ることもありません。
つーか、できません。
食べ方に関しての想像力もキレイに
欠如してます。
どういうことかと言うと、飲食店で、
「お好みの食べ方でお楽しみ
ください」
と言われるのが苦手。
明確に
「塩を軽くふって食べなはれ」
「味ついてるから、なにもつけずにそのまま食べなはれ」
と言われるのがありがたい。
でも想像力のある人って、「どうしたらもっと美味しくなるか」という目で料理を見るみたいで、
「この料理さあ、お酢をかけてみたらもっと美味しくなるって思わない? 店員さーん、お酢ください」
「このままでも美味しいけど、ワサビをつけてみるのもいいかも。すみませーん、ワサビあります?」
というようなことは日常茶飯事らしい。
僕の頭からはゼッタイに出てこない発想です。
自分には味を想像することができないのかもしれません。
したがって、生まれてこのかた、レシピを作ったことは一度もありません。
料理好きの人にこの話をすると、
「あらン、レシピ作りなんてカンタンよ」
「自由に考えたらええのんよ、あ・ん・た」
と軽くエロくあしらわれます。
でもそれって、僕に言わせると、長嶋茂雄さんの野球教室と同じなんだよな。
「ヒットの打ち方? それはね、ピッチャーがビュッと投げてきたのを、スパン! と打つんだよ」
そりゃ、そうなんだろうけどさ。
さて、最近気づいたのですが、
* 実際に食育活動をしている人には、レシピ作りをやらない人が多いようです(僕みたいなケースは極端ですけど)。
* 逆に、いわゆる「料理好き」でレシピ作りを面白がる人には、食育活動をしている人は比較的少ないような気がします。
あくまで、漠然とした傾向です。
どうやらこういうことのようです。
* 料理好きの人は、料理の分野で活躍したいと思う。料理教室の先生やったり、レシピを発表したり。
* 食育好きの人は、料理やレシピそのものにはわりと興味が薄く、それより食の「知識」を伝えることに情熱を持つ。
(むろん例外はありますが)
◆◆◆
何年か前から、疑問に思っていることがあります。
「優れたレシピとは、どんなレシピのことをいうのか?」
「逆に、下手くそなレシピとは、どんなレシピのことをいうのか?」
農業コンサルタントの葉竹乃木夫さんがあるとき電話をかけてきました。
「なあ、バウムクーヘン野郎の松宮よ。自分の畑の隣にレストランを開いて、とれたての食材で料理を提供できたら、いいと思わんか」
「いいすね」
「そういう夢を持っている若い農家がオレのまわりには多い」
「多いと思います」
「彼らの”料理力”を磨いてやりたいんだが」
「それは、”料理の腕”を磨くということすか?」
「うーん、それよりむしろ、”レシピを考える力”を磨くって感じだな。ダイコンのかつらむきが上手じゃなくったっていいわけよ。しかしだ、自分の畑でとれたダイコンをもっとも美味しく食べるレシピを作れると、いいよなあ」
「なんとなく分かります」
「で、どうだい。農家が優れたレシピを作れるようになる。そんな講座を開きたい。松宮、カリキュラムを考えてくれないか」
「そんなの、僕じゃなくって、料理のプロの人に頼むものでしょう?」
「それが違うのだ。あの人たちはな、自分がなぜ優れたレシピを考えることができるのか、人に説明できないんだよ」
なるほど。長嶋茂雄さんの野球教室と同じだ。
「ヒットの打ち方? それはね、ピッチャーがビュッと投げてきたのを、スパン! と打つんだよ」
「というわけで松宮」と葉竹さん。「お前みたいな素人が料理のプロを何人かインタビューしてだな、優れたレシピを作るコツは何かを見出してくれたらありがたいんだが。で、それをもとにだな、2時間かける5回くらいの講座を組み立ててくれ。いいか、くどいようだが、料理の腕を磨くんじゃない。レシピの開発力を磨くんだ」
「あのー」
「なんだ? ん?」
「それって、仕事の依頼すよね。報酬とか、もらえるんですか?」
「お前ね」葉竹さんはゆっくりと言いました。「アスコルビン酸って、別名なんというか分かるか?」
「ビタミンCですよね」
「分かってるじゃないか。そういうことだよ」
電話が切れました。
(以下次号)
(前回のあらすじ)
ターザン栄養学の権威チイタッタ先生は、庭に成っている大玉
(おおだま)の有機グレープフルーツを可愛い弟子の松宮に
1個2ドルで食べさせようと、松宮を呼びつけました。
そのたくらみが分かっていながら、フロリダまで来てしまった松宮。
そこで彼が出会ったのは、海賊のなりをした謎の人物キャプテン・パスト。
噂では150歳と言われています。
そのキャプテン・パストに、松宮園生はとあるバーで出くわしました…。
◆◆◆
皆さんの好きな果物のランキングはどんな感じですか?
僕はですね、順番は気分で入れかわりますけど、トップ2は、
グレープフルーツ
日本の梨
で、3位はいつもマンゴーです。
そのグレープフルーツですが、ご存じのとおり日本で食べるグレープフルーツのほとんどは輸入です。
たいがい、フロリダ(アメリカ)か、カリフォルニア(アメリカ)か、南アフリカからやってきます。
(フロリダのインディアンリバーというところが有名な産地です)
なかでもフロリダは、グレープフルーツやレモンなど柑橘類は世界一だという自負があるため、カリフォルニアや南アフリカを敵視しています。
さて、日本に来るグレープフルーツは今でこそ赤(ルビー)と白は半々くらいですが、かつては白ばかりでした。
グレープフルーツの産地では、赤と白はだいたい半分ずつ生産されていたようです。
つーことは、日本人が白ばかり食べていたとすると、赤が余りますよね?
じつは、アメリカ人は赤ばかり食べていました。
白は日本人が、赤はアメリカ人が食べていたので、バランスがとれていたわけです。
ところがここ数年、日本人は赤も好んで食べるようになりました。
アメリカ人は相変わらず赤を食べています。
どうなるでしょうか。
赤が足りなくなり、白が余りますよね。
ここ数年は、そういう状況が続いていると聞いています。
◆◆◆
キャプテン・パストを発見したバーに戻りましょう。
基本ひきこもり、引っ込み思案の松宮です。
押しにも弱いです。
自己主張が強く解放的なアメリカに馴染めないのも無理はありません。
そんな松宮ですが、このときばかりは何かにとりつかれたのか、ふらふらとキャプテン・パストのテーブルに歩み寄ったのでした。
キャプテン・パストはひとりでサミュエル・アダムズを飲んでいました。
薄暗いバーの照明でしたが、彼が片腕の男であることはすぐに分かりました。
右手が、カギツメ(「?」の形)になっていたのです。
(そんなベタな)
皆さんそう思うでしょう?
僕もそう思います。
しかしベタなのはそれだけではありませんでした。
キャプテン・パストの左足は義足でした。
足の形をした義足ではありません。
先の尖ったやつです。
ああ、お約束ですね。
眼帯にカギツメに義足。
ディズニーランドに「カリブの海賊」というアトラクションがありますが、あの音楽をご記憶の方は歌いながら読んでください。
「座ってもいいですか」僕は言いました。
「座れ」と、キャプテン・パストは答えました。「見かけない顔だな」
「シアトルから来ました。あんたと同じ飛行機でフロリダに着たんですけど」
「おおそうか。わしは滅多に西海岸には行かんのだが、今回はキノルト族の祭に招待されて行ってきたのだよ」
「キノルト族?」
「インディアンの部族のひとつだ。おぬし、シアトルの住人ならアバディーンという町をご存知か」
「オリンピック半島にある町ですよね。行ったことはありませんが…」
「そのへんにいるインディアンだよ。南北戦争のころにな、彼らが戦争に巻き込まれないようにわしがいろいろ手を打ってやったのだが、それを今でも感謝してくれてな、毎年、祭に招待してくれるのだよ」
「南北戦争って、1850年くらいの頃ですよね?」
「うむ。時のたつのはあっという間だ。…それよりおぬし、何か聞きたいことがあったのでなないかな? ワシのことは船長と呼ぶがよい」
「それでは船長。その左足のことをきいていいですか?」
「いいとも」
「どうして義足になったんですか?」
「それはだな」キャプテンは気を悪くしたふうもなく、言いました。「まだ女王陛下に仕えておったころのワシは船乗りでな、あるときインド洋で喧嘩をしてなあ。相手を海に放り投げたはいいが、ワシもバランスを崩して落ちた。たまたま足に傷があって血が出ておったようだが、そこをサメに食われた。1855年のことだ」
「そうでしたか…。そのカギツメはどうしてですか?」
「セポイの乱というのがインドであってなあ」
「あ、それ知ってます。学校で習いました」
「ふん。学校で何を習ったのか知らんがな」キャプテンは言いました。「ひどい混乱だった。ワシの腕を切りおったのは同胞のイギリス人だったよ。やつは盗賊だった。火事場泥棒というやつだ。戦争をいいことにワシの船に乗り込んできおって、ワシの財産を奪おうとした。ワシはやつの胸を刺したが、やつはワシの腕を持っていきやがった」
「そうでしたか…。キャプテンの目は、どうして眼帯なんですか?」
「グレープフルーツのせいだよ」
「グレープフルーツ?」
キャプテンはサミュエル・アダムズをおかわりし、バーテンダーにチップを渡しました。
「初めてグレープフルーツを食べたときの話だ」キャプテンは言いました。「当時のグレープフルーツは今よりずっと硬くてな。ずっと酸が強かった。硬いグレープフルーツを切れの悪いナイフで切ろうとしたのが失敗だった。力任せに切ろうとしたら、ナイフがいきなり入って、果汁が飛び出して目に入ってしまった。いやあ、痛かったのなんの」
「果汁が目に入って失明したんですか? 痛かったとは思いますが、そんなことで失明するなんて」
「そんなことでは失明せんよ。問題はだな、若いの」キャプテンはしみじみと言いました。「問題は、その日が、ワシの右手がカギツメになった初日だったってことだ」