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2007.07.05 01:01

不機嫌な食育

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松宮園生です。

食(育)の世界には「謎の不機嫌な人」が多いです。
先日、「不機嫌な料理人」についてちょっと書きましたが
(詳細はここをクリック)
もう少し書いてみます。

■謎の不機嫌な八百屋

何年か前に、友人Aが大阪で八百屋業を始めました。
それまでそんな仕事をしたことがなかった人なのですが、何を思ったか八百屋を始めました。
経験がないせいで大胆なことができたのかもしれません。
ちょっと新しいタイプの八百屋を始めたわけです。

東京のある老舗の八百屋さんがいまして、そこの3代目は●●大学ラグビー部出身のいかつい人でした。
その3代目が僕に電話をかけてきまして、こう言いました。
「Aさんって、松宮さんの知り合い?」
「知り合いですけど」
「ふーん。で、あの八百屋、うまくいってんの?」
「僕の知るかぎり、まあまあですかねえ」
「ふーん」声のトーンが、みるみる不機嫌になっていきました。

(みるみる、という表現はヘンですね。電話ですから。きくきく、が正しい?)

3代目の不機嫌な声は続きました。「あんなやり方でうまくいくわけ、ないよ」
「うまくいきませんか?」
「いかないよ。世の中そんなに甘くないもん」
「インターネットの注文が、けっこう忙しいって言ってましたが」
すると、声はますます不機嫌になりました。「なに言ってんだよ松宮さん。そんなのウソに決まってるじゃん。あんたも大したこと、ないね」
電話が切れました。

どうやらこの3代目、
「いやー、Aさんも苦労してましてね。自分のやり方は間違ってた、そろそろ廃業するって言ってましたよ」
という答を僕の口から聞きたかったようです。
ところが期待してた答じゃなかったので、不機嫌になったみたいで。

大阪のAの店が繁盛しようと廃業しようと、東京の3代目には関係ないと思うけどなあ…。
ライバルでもないわけだし。

■謎の不機嫌な農家

何年か前に、友人Bが群馬で農業を始めました。
外資系企業に勤めていたのをすっぱり辞め、夫婦で農業を始めたわけです。
イチゴなんかを作ってます。
なかなか元気よくやってまして、遊びにいくのが楽しみでした。

同じく群馬でコンニャク栽培をしている農家さんがいます。
この人は2代目です。50代後半の方です。
ある日、僕に電話をかけてきて、こう言いました。
「Bさんっつーのは、あんたの知ってる人かい?」
「そうですけど」
「どんな奴?」
「どんな奴って、そうですね、頭のいい人だと思います」
「ふーん」声のトーンが、きくきく不機嫌になりました。

2代目の不機嫌な声は続きます。「そいつ、儲かってる?」
「まあまあじゃないでしょうか」
「あんた、おかしいと思わんか」
「は?」
「農業ってのはな。土地を守ることなんだ。儲けたりとか、稼いだりとかは間違ってる」
「間違っていますか」
「あたりまえだ。土地を守る気持ちのないやつに、農業なんかできねえ」
「Bさんも、土地を守る気持ちはあると思いますよ」
「なにを言ってるんだあんたは。儲かってるやつに、土地を守る気持ちなんかあるわけねーだろが」
「はあ、そういうもんですか…」

2代目は電話を切るまえに、はき捨てるようにこう言いました。
「そんなこと言ってるから、農業人口が減ってくんだよ」

■謎の不機嫌な食育オバチャンたち

あるカルチャースクールが、主婦・OL向けの食育講座を開こうとしたそうです。
ふだんから食育活動をしている人を集め、どんな内容の講座にしたらよいかという会議をもちました。
どういう基準で人選したのか分かりませんが、メタボ気味のオバチャンが集まってきました。

こんな会話になったそうです。

司会者「大人向けの食育講座ですから、栄養学の話は欠かせませんよね」
オバチャンA「なによりまず、食育といえば朝ごはんでしょ。朝ごはん食べなきゃ」
司会者「なんで朝ごはんが大事なんですか?」
オバチャンA「そ、それは、朝ごはん食べない子どもはキレやすくなるのよ」
司会者「なんで朝ごはん食べないとキレやすくなるんですか?」
オバチャンA(不機嫌になる)「あんたね。日本人は朝ごはん食べなくていいって言うつもり?」

オバチャンB「土に触れることが大切なんじゃないの。都会の子は土のことを知らなさすぎ」
司会者「農業に触れなさい、ということですね?」
オバチャンB「今の子どもって、ナスは知ってても、ナスの花がどんな形をしているのかを知らない。それって悲しいわよね」
司会者「ナスの花って、どんな形をしてるんですか?」
オバチャンB(不機嫌になる)「た、たとえばの話よ。あたしが言いたいのはナスの形がどうとかじゃないの。理解しなさいよ」

オバチャンC「農業といえばさ、有機野菜のおいしさも伝えなくちゃね。安くておいしい有機野菜」
司会者「有機野菜って、高いんじゃないですか?」
オバチャンC(不機嫌になる)「なに言ってんの。有機野菜はすごいのよ。おいしくて、安いのよ。有機野菜はね、農薬を使ってないから、その分、安いのよ」

オバチャンD「牛乳も飲まなきゃだめよね。カルシウム入ってるんだから」
司会者「牛乳はダメだっていう医者もいるみたいですが…」
オバチャンD(不機嫌になる)「な、何言ってんのよ。温めて飲めば大丈夫よ」

司会者「大人向けの食育講座ですから、もう少し内容を濃くしたいんですけど。栄養学の話は欠かせませんよね」
オバチャンA「子どもにはまだ早いんじゃないの」
オバチャンB「そうよそうよ」
司会者「あのー、食育講座を受けにくるのは大人なんですけど…」
オバチャンC「えーっ、そうなの? 早く言ってよ」
司会者「あのー、最初からそう言ってるんですけど」

でも、みんな聞こえないふりをしました。

オバチャンD「残さずに食べるのって、大事よね」
オバチャンA「家族で会話しながらの食事。これも大事」
オバチャンB「必ずちゃんと、いただきます、ごちそうさまを言う」
オバチャンC「嫌いなものも、料理のしかたでおいしくなるわよね」
司会者「栄養学の話は…」

「いつまで栄養学にこだわってるのよ!」オバチャンDがいっそう不機嫌な口調で言いました。「食育と栄養学は違うのよ」
ほかのオバチャンたちもさらに不機嫌になって同調しました。

(この人たち、食育やってるっていうけど、栄養学とか農業のこととか、じつは知らないんじゃ…)
司会者はそう思いましたが、黙っていました。
口にすると殺されそうだったので言わなかったそうです。

結局、オバチャンたちの圧力で、司会者は食育講座の内容をこんなふうにさせられてしまいました。

1時間目:朝ごはん食べて今日もキレない
2時間目:土に触れようナスの花
3時間目:おいしく安いよ有機野菜
4時間目:牛乳あたためカルシウム
5時間目:残さず食べる家族の会話
6時間目:いただきますと、ごちそうさま
7時間目:嫌いなものも、おいしく料理

これ、主婦とOL向けの食育講座です。

(次号に続きません)

 

 

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やさいのうた


ビミョーにホラー入ってます。

 

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