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2007.07.25 21:58

食育三国志 外伝4

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チーフの松宮園生です。

前回までのあらすじ)
真面目なイチゴ農家だったのに、食育の勉強をしてみようとカルク考えたばっかりに、受講生獲得大戦争に巻き込まれた小判大介君。
ミッション・インポシブルか、とツッコミたくなる状況に陥ってしまいました。

◆◆◆

小判大介君が目覚めたのは、地味な小さなオフィスででした。
目覚めたといっても、横になっていたわけではありません。
小さな会議テーブルを囲んで4人の人間が座っており、小判君はその1人でした。
つまり、彼は会議中に突然目覚めたわけです。

しかしそれは会議ではありませんでした。
なぜなら、小判君の前には
「凸凹プロフェッサー養成講座」の申込書

太い4色ボールペン
が置かれていたからです。
4色ボールペンだったのは、好きな色で記入できるように、という配慮だと思われます。

なお、「凸凹」のところには、本来はある食べものの名前が入ります。
何の食べものか、具体的に実名を書くと命が危ないので、伏せ字にさせてもらいます。

目覚めたとき、小判君の向かいに座っていたのは、細身でやや枯れた感じのオバチャンでした。
その隣で、さっきの武闘派・小太りオバチャンが黙って腕組みをしています。

この2人、ともにオバチャンながら対照的でした。
おそらく食生活も違うでしょう。
(服装のセンスは同じようなものでしたが)

さらに、小判君の隣には「いかにも事務員」といった風情のオイチャンが、「こんなところでスミマセンねえ」といったたたずまいでチョコンと座っておりました。

つまり、小判君は
* 枯れた細みオバチャン
* 武闘派・小太りオバチャン
* スミマセンンねえ型オイチャン
に囲まれてチェックメイト寸前だったわけです。

正面の枯れたオバチャンが、猫なで声で言いました。
「あなた危ないところだったわねえ。食育▽△アカデミーは勧誘がえげつないことで有名だから。それに、私たちに言わせると、食育って嘘っぽい、ていうか、薄っぺらいのよね。…どうしたの? それ(申込書)早く書きなさいな」
「これ書くんですか?」
「当たり前じゃない。さっきからあなた、私の話をコックリ、コックリうなずきながら聞いていたじゃないの。ほら、ここに名前を書いて。住所を書いて。ここに電話番号。あなたメールはできるわよね、じゃあ、メールアドレスをここに書いて。そうそう。…へえ、小判さん、字がきれいねえ」

えっ? 小判君、申込書、書いちゃうの?

「字がきれいな人って、心はそれほどじゃないって言うけど、あなたは素直ないい子ねえ。…講座の日程はいくつかあるから、都合のいいのを選んでちょうだいな」
小判君はそのうち1つを選んでマルをつけました。

小判君が書いた申込書にはカーボン紙がはさまっていました。
下の紙にも写るようにです。
枯れたオバチャンは下の紙のほうを抜いて小判君に返しながら、言いました。
「お疲れさま。手続き終わりです。あとは、この講座にこの金額を振り込んでおいてね」

言い終わると、彼女は携帯電話に向かって
「イーグル・ワン、任務終了です」

かくして、難攻不落の小判君も、「凸凹プロフェッサー養成講座」の受講生になってしまいました。
しかも、凸凹エキスパート養成講座は食育の講座じゃないのに…。
いいのか、小判君。

◆◆◆

凸凹プロフェッサー養成講座は、凸凹(ある食べ物の名前)について勉強する講座です。
前述したように、何の食べものか、具体的に実名を書くと命が危ないので、伏せ字にさせてもらいます。

開講当日、小判君が教室に入ると、早くから受講者が集まっていました。
小判君は気がつきませんでしたが、集まった受講者は3つのグループに分かれていました。

<グループA>
いかにも農業をしている感じの、ラフな服装のオニイチャンたち。
小判君はここに属します。
バウムクーヘン野郎の僕としては、もっとも気が休まる人たちです。
この人たちは普通の食育講座にはあまりいません。
なぜなら、彼らは忙しくて街中にはなかなか出てこれないのです。

<グループB>
調理師見習いと思われる、茶髪の女の子たち。
年齢もかなり若い。
若いですが、キヒシイ料理の修行を早くからしているので、キャピキャピ(←死語)した雰囲気はありません。
通常の食育講座には滅多にいないタイプの人たちです。

<グループC>
枯れた感じだが目つきの鋭いオバチャンたち。
このタイプは「薬膳」「全粒紛」「身土不二」あたりの用語が大好きで、
「食育という言葉は明治時代からあった」
みたいなフレーズにシビレます。
このグループの人はたいていカタカナ嫌いですが、
「マクロビ」
という言葉には珍しく好意的です。
また、レベルが高くなると
「ゲルソン」
という言葉にも慣れてくるようです。
しかし、
「食事バランスガイド」
という単語にはいつまでたっても拒絶反応を示しています。
このタイプの人たちも、最近の食育講座では見かけなくなりました。
「いまどき食育講座に行く人なんて、どうせ流行りでやってんでしょ」
「あたしたちはね、何年も前からやっているのよ」
と思っているからです。

以上、3グループにキレイに分かれていました。
まるで三国志のように。

しかしこの三国志は、<グループC> の圧勝で終わりそうな雰囲気です。
というのは、<グループA> や <グループB> は別に他グループに敵対心など持っていなかったのですが、
<グループC> はどうやら違っていたみたいで…。

◆◆◆

しばらくすると定刻になり、凸凹プロフェッサー養成講座が始まりました。

このままでは、小判君は「凸凹プロフェッサー」になってしまいます。
いいのか、小判君。

つーか、いくない理由はなんだっけ?

(以下次号)

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