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2007.07.31 23:36

過去船長 前編


松宮園生です。

ふだんはマサチューセッツ州のボストンにいる
ターザン栄養学の大御所、ドクター・チイタッタ。
(チイタッタ先生については以下を参照)
「ターザン栄養学 その1」
「ターザン栄養学 その2」
「ターザン栄養学 その3」
「メタボ最北端 番外編」
「食の世界のスーパーパワー その3」
「農業コンチネンタル その3 風雲編」
「ナチュロパシー」

そのチイタッタ先生からから久しぶりに電話をもらいました。
「フロリダに別荘を買った。最近は激しいハリケーンが多いんでな、安く買えたよ。羨ましいだろう。そのかわり保険料がバカ高くてな、差し引きゼロだ。意味ねえっつーの。わっはっは」
「はあ」
「フロリダはいいぞ。松宮はグレープフルーツ好きだったよな。うちの庭に大きいのが成っているから1個1ドルで食べていいぞ。有機だ」
「はあ」
「広い家だから、泊まる部屋はある。1泊99ドルにしといてやる。朝食つきだ。ただし作るのはおまえだ」
「はあ?」
「察しの悪いやつだな。遊びに来いといっとるんだ。自腹でだぞ。遊びに来い。食事代を払うやつが足りんのでな」
「いやです」
電話を切りました。

するとメールが来ました。
「××を入手したんだが。そうか、来れないとは残念だ。チイタッタ・MD」
(MDというのはメディカル・ドクターの略。ただのドクターではないぞよ、メディカル・ドクターであるぞよ、というのを強調する場合に使います)

えっ、××を入手?
僕はあわてて電話をかけようとしましたが、フロリダの番号を聞いてませんでした。
やむなくメール。
「チイタッタ先生。先ほどは失礼しました。電話が切れてしまいましたねえ。なぜだろう、あはははは。フロリダ、いいですねえ。グレープフルーツ(有機)いいですねえ。照りつける太陽、ビキニのおねえさんたちとおしゃれなゲイの方々。キーウエスト。マイアミ・バイス(死語)にドン・ジョンソン。さっそくお邪魔します」

すると返事。
「現金とクレジットカードは忘れるな。とくに宿泊代は現金オンリーだ。迎えにはいかないので、自分でレンタカーしなさい。こちらの住所はかくかくしかじか(←死語)。ちなみに、グレープフルーツは世間で値上がりしとるらしいから、2ドルにしとく」

◆◆◆

そんなわけでフロリダにむかった松宮です。
フロリダはカリブ海に面しており、カリブ海独特のノーテンキな香りがそこらじゅうに漂っています。

フロリダ行きの飛行機で、妙な乗客を見かけました。
遠くの座席に座っているのでよく見えなかったのですが、ナポレオンみたいな帽子をかぶり、宇宙戦艦ヤマトの沖田艦長のような制服を着ており、背が僕より低く、黒い眼帯をしていました。
なんか昔の海賊みたいです。
マイアミの空港に着陸したらもっと近くで見てやろうと思いましたが、人ごみのせいで思うように動けず、とうとう見失ってしまいました。

その話をチイタッタ先生にしたところ、
「それはキャプテン・パストだろう」
「誰ですか、それ?」
「古くからフロリダに住んでる人でな、ちょっとした有名人だよ。本名は知らんが、みなキャプテン・パストと呼んでいる」
「過去(パスト)ですか?」
「そう、そのパストだ。なぜそう呼ぶかというと、昔のことをやたらよく知っているらしい。本人が言うには、若いころはビクトリア女王に仕えていたそうだ」
「ビクトリア女王って、19世紀のイギリスの女王ですよね?」
「そのビクトリア女王だ。もしそれが本当だったら、いまごろ150歳くらいだぞ」
「そんなバカな。先生は医者なのに、そんなことを信じるんですか?」
「問題はそこだ」チイタッタ先生は人差し指を立てて言いました。「おれの言うとおりの生活をすれば、人間は150歳まで生きることができる。おれが勧めるものを食べ、おれの言うとおりに運動し、おれが処方したサプリメントを飲み、たっぷり眠ることだ」
「じゃあ、キャプテン・パストは先生のクライアント(患者というと叱られるので、クライアントと呼んでいます)ですか?」
「問題はそこだ」チイタッタ先生は溜息をつきました。「おれはここ(フロリダ)では開業しておらん。他に主治医がいるのかもしれん」

「でも先生」僕は言いました。「150歳には見えなかったですよ、その人。ホントは50歳くらいで、ビクトリア女王なんて嘘っぱちで、100年ほどサバを読んでいるんじゃないですか?」
「150歳に見えないことは確かだ。しかしおれの言うとおりの生活をすれば、人間は150歳になっても50歳の見かけでいることはできる。なにしろおれは、アンチエイジングの権威だからな」

アンチエイジングの権威だなんて、まあよくも自分でヌケヌケと。
でもまあ、ある意味それは当っていました。
アメリカにはアンチエイジングの有名な学会が2つあるのですが、チイタッタ先生はそのうち片方(ただし人数の少ない方)の会長を務めたことがあるのです。

ちなみにチイタッタ先生の流儀は「メガビタミン」と呼ばれ、
* 食事をきちんと取る
* その後、日本人がびっくりするほどの大量のサプリメントを飲む
というスタイルを信条としています。

「で、どっちなんですか。チイタッタ先生は、キャプテン・パストが150歳だと思ってるんですか?」
「よく分からん。やたら昔のことに詳しいから、ホントにその頃から生きていたんじゃないかと思うほどだよ」
「とっつかまえて検査とかしたらどうですか?」
「なんでだ? そんなことをしても、カネにはならんぞ」
「不老長寿の秘密が探れるかもしれないじゃないですか。うまくいけば、ノーベル賞ですよセンセ」
「その逆もあるぞ。本人がただ大ボラを吹いているだけで実は見かけどおり50歳だとしたら、骨折り損だね」
「まあ、それはそうですけど…」
「おれはいいよ、ノーベル賞なんて。取りたかったら、おまえ取れ」
そういってチイタッタ先生は寝室に引っ込んでしまいました。

と思ったらひょいと顔を見せ、
「明日の朝食だが…もう分かっていると思うが、おれはおまえと違って上級ベジタリアンだから、そのつもりで」
(上級ベジタリアンて何? と思った方はここをクリック)
「は? 僕が作るんですか?」
「ほかに誰が作るんだ。せっかく日本人が来たんだ、ミソ・スープと、ヒヤヤッコも作ってくれ」
と言ってまた引っ込んでしまいました。
よい子はおねんねの時間でした。

よい子はおねんねなのですが、僕は眠れませんでした。
べつにキャプテン・パストが気になったわけではなくて、時差のせいです。
僕が住んでいるシアトルと、フロリダとでは時差が3時間ありまして。
フロリダで午後10時というと、シアトルではまだ午後7時なのです。
ですので、まだぜんぜん、眠くないわけで。

酒でも飲みにいくか。

フロリダの空気がそうさせたのでしょうか、基本ひきこもりの僕でしたが、なぜか外出したい気分になりました。
近くにマリオット・コートヤードというチェーンホテルがあり、そこのバーがよさげな雰囲気だったので入ってみました。

すると、そこに海賊姿のキャプテン・パストがいました。

(以下次号)

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2007.07.29 22:56

ホケンシドー年代記 その3


松宮園生です。

前回までのあらすじ)
デスラー総統(厚生労働省)から、特定検診・特定保健
指導の実施を命じられた軍人(健康保険組合)たち。
勝手がわからず右往左往する軍人たちに、どっと群がる
武器商人(保健指導プログラムのベンダー)たち。
混沌とした状況から逃げるように、松宮園生は故国
ガミラス星を脱出し、隣国イスカンダル星に向かったの
でした…。

「宇宙戦艦ヤマト」を知らないヤング(←死語)の皆様、
分かりにくくてゴメンネ。

◆◆◆

イスカンダルの人々は早くから保健指導に取り組んできました。
多くのトライ&エラーを経験しています。
その結果、さまざまな経験とノウハウが蓄えられています。

イスカンダルでの、保健指導の歴史について説明しましょう。

イスカンダルは建国230年という若い星ですが、今から100年前にはすでにだいぶ、メタボな人が目立つ国になっていました。
当時、メタボな人のことを「チャンキー」と呼んでいたそうですが、地球の日本語に直すと「ぽっちゃり」とか「ふくよか」という感じのようです。
「ぽっちゃり」って言うと、あまり悪いニュアンスはありませんね。
「ぽっちゃり型のかわいこちゃん(←死語)」が好きな男性はたくさんいます。
「チャンキー」も同様に、わりといい意味で使われていました。
とはいえチャンキーも度を超すと不健康だ、という意識もあったみたいで、
「チャンキー・ゴーホーム」
という「反戦ソング」ならぬ「反肥満ソング」をジェシー・ビブカという人が一生懸命歌っていましたが、ぜんぜんヒットしなかったそうです。

その後、イスカンダルはガミラスと戦争を始めてしまったので、メタボについてはどうでもよいと考える時代が半世紀も続きました。
生活習慣病で亡くなるより、戦争で亡くなる人のほうが圧倒的に多い時期でしたから、ある意味、やむを得なかったのかもしれません。

戦争の時代がようやく終わります。
勝ったイスカンダル星は、ガミラスから戦利品をガバチョ(←死語)と奪い取り、たいへん栄えました。
豊かさにあぐらをかいたイスカンダル人は、今度は遊びはじめました。
食べたいものを食べ、飲みたいものを飲み、行きたいところに行くようになったのです。
すると、肥満が増え、医療費もずるずると増加していきました。
遊びはじめてから10年もたったころ、人々は
「なんだかおかしいぞ、この星は?」
と思うようになります。
肥満が増え、いわゆるガンや心臓病に苦しむ人が増えている事実に、ようやく気がついたのです。

ここで、目ざとい商人たちは「チャンスだ!」と考えました。
メタボを治療したり、予防したりするサービスを売れば、儲かるぞ。

商人たちは、こうも考えました。
メタボの治療は、医者の領域だ。商人が素人頭でやれることじゃねえ。手を出すのはやめとこう。
しかしメタボの予防は、素人でもサービスを作れるんじゃねえか?
だって要するに、
「やたらと食うな」
「運動しろ」
「規則正しく生活しろ」
こんな訓練をする道場でも作って、月謝を取って商売すればいいんだろ?

というわけで、そんな道場がイスカンダル星の随所にオープンしました。

不思議な現象が起こりました。
月謝の高い道場には、会社の社長さんたちがこぞって「入門」してきたのですが、
月謝の安い道場には閑古鳥が鳴いたのです。
つまり、このころ保健指導サービスとして生き残ることができたのは、
「企業の経営者個人を対象としたもの」
つまり、パーソナル・ケアでした。

ガミラスとイスカンダルには大きな違いがあります。
ガミラスでは、
「企業の業績と社長の力量にはあまり関係がない」
とされていました。
むしろ組織の力がものを言う星でした。
その証拠に、ガミラスでは、有名企業の社長の名前はあまり知られていません。
これに対し、イスカンダルでは
「企業の業績は社長の力量に大きく左右される」
と認識されていました。
イスカンダルの大企業の社長はヒーローのように扱われ、有名人が多く、社長としての報酬も莫大なものでした。

つまり、イスカンダルでは「社長の価値」がものすごく高いとされていたのです。
そのため、社長にもしものことがあったら企業業績にマイナスの影響が出る。
したがって、社長個人の健康管理が特別に重要視されました。

当時のイスカンダルの保健指導は、この考え方にもとづいて行われています。
次のような特徴を持っています。
* 企業経営者の健康管理を主な目的としている
* 内容が手厚い
* 価格が高い

しかしこの情勢は、20年ほど前を境に、大きく変わりました。
戦略兵器が生まれてくるのです。
どう変わったかについては、次号にて。

(以下次号)

<追伸>
アメリカの権威ある医学雑誌「New England Journal of Medicine」に、
「肥満は伝染する」
という記事が載りました。
日本でも話題になったかもしれません。
「最近、太っちゃった」
「肥満って、伝染するのよね」
なんて会話はときどき耳にしますが、まさかマジでそれを研究している学者がいたなんてちょっとビックリです。
その学者によると、
あなたの同性の友人に肥満の人がいた場合、あなたもつられて肥満になる確率は60パーセント。
肥満の人と恋に落ちたり結婚したりした場合、あなたもつられて肥満になる確率は40パーセントだそうです。

 

 

 

 

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2007.07.24 22:43

浮気農家 vs 高校教師


チーフの松宮園生です。

浮気農家のジョン・ソイビーンを覚えていますか?
(関連記事、以下を参照)
男のイヤリング
突撃トウモロコシ
ある食育夫婦の悲劇

そのジョンの話です。

トウモロコシがバカ売れして小遣いを貯めたジョン・ソイビーンの楽しみは、リノというカジノの街に遊びに行くことでした。
アメリカでカジノというと、ネバダ州にあるラスベガスが有名ですね。
リノは同じくネバダ州にあり、ラスベガスよりひと回り小さな街です。

ジョン・ソイビーンに言わせると、
「カジノは銀行と一緒。負けたときは、預金したと思えばいい。また引き出せる」
だそうです。
ただし、銀行とカジノには唯一相違点があり、それは
「銀行は残高さえあればいつでも引き出せるが、カジノはそうではない」

ジョン・ソイビーンがカジノに行くことは奥さんには内緒です。
なぜ内緒なのかはよく分かりません。
理由を聞いても教えてくれないので。

さて、リノ行きの飛行機にジョンが乗ったときのこと…。

機内でジョンの隣に座っていたのは、映画「ジュラシック・パーク」に出てくる数学者とよく似た風貌をしている男でした。
むろん、ジョンとは初対面です。

その男、窓側に座っていたのですが、外の景色を見るのにも飽き、機内誌を読むのにも飽き、音楽を聴くのにも飽き、いささか退屈を覚えていました。
何度もあくびをしたあと、彼は隣のジョンに話しかけました。
「やあ。僕はゲイリー。サンフランシスコで高校教師をしている」
「ジョンでござる。職業は農家でござる」
2人は握手をしました。

「さっそくなんだが」高校教師のゲイリーは言いました。「あんた、ゲームは好きかい?」
「ゲームにもよるでござるが」
「そうか」とゲイリー。「こんなのはどうだい。クイズをするんだ。まず僕があんたにクイズを出す。あんたが答えられなかったら、あんたは僕に5ドル(約600円)払う。で、次にあんたが僕にクイズを出す。僕が正解できなかったら、あんたは僕から5ドル受け取る」

しかし高校教師とクイズ合戦をして勝てるとは思えなかったため、ジョンは丁重にその申し出を断りました。

「そっか、じゃあ、いいや」
ゲイリーは気にしたふうもなく、会話はそこで途切れました。
彼は窓の外を眺めたり、さっき読み終えた機内誌をまたパラパラめくったりしました。

それでも退屈を紛らわすことができません。
耐えられなくなった高校教師は、再びジョンに話しかけました。
「なあジョン。こんなのはどうだい。まず僕があんたにクイズを出す。あんたが答えられなかったら、あんたは僕に5ドル(約600円)払う。で、次にあんたが僕にクイズを出す。僕が正解できなかったら、あんたは僕から50ドル受け取る。つまり10倍だ」

今度はジョンも申し出を受けました。

「オーケー。じゃあ僕からクイズだ」高校教師は言いました。「地球と月との距離は何マイルある?」

ジョンは即座に財布を開き、5ドル札をゲイリーに手渡しました。
ゲイリーは上機嫌でそれを受けとり、自分の財布におさめました。
「じゃ、あんたの番だよ、ジョン」

ジョンは少し考えて、それから言いました。
「まっすぐだと何でもないが、斜めにすると恐ろしくカッコ良くなる農作物は、何でござろう?」

高校教師の顔から、うすら笑いが消えました。
彼は長いこと考えこんだあげく、カバンからノート型パソコンを引っ張り出してエクセルで何やら計算を始めました。
それでも答が出ないので、今度はウィキペディアを懸命に検索し始めました。

リノに近づいたため着陸態勢に入るというアナウンスがあり、高校教師はパソコンを閉じなくてはなりませんでした。
彼は飛行機が着陸するまで必死に考え続けましたが、答が出ません。
「降参だ、くそっ」ゲイリーは悔しそうに言い、財布から50ドル札を1枚取り出し、ジョンに手渡しました。

飛行機は無事にリノ空港に到着し、乗客たちはシートベルトを外して立ち上がりました。
ジョンも、受けとった50ドルを財布にしまうと、立ちあがりました。

「ちょっと待った」高校教師は言いました。「それはないだろう。あんたのクイズの答は何なんだ?」

ジョン・ソイビーンは振り返り、少しのあいだ考えました。
それから静かに財布を開き、5ドルを取り出し、高校教師に手渡しました。

 

 

 

 

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2007.07.22 18:06

21世紀神様の悩み その1

 
松宮園生です。

地球の人口は20世紀以降、大幅に増えました。
人口が増えると、当然、死亡する人数も増えます。
これは神様にとって頭の痛い問題でした。

まず、天国に行くのか地獄に行くのかを「審判」しなくてはいけませんが、その審判が長蛇の列で忙しくてしかたがありません。
次に、天国の人口も増えますし、地獄の人口も増えます。

人口増加に悩む神様に対し、アメリカ人のマクガバンという人が、自分が生前にものした5000ページもの分厚い報告書を献上しました。
人間世界では「マクガバン・レポート」と呼ばれているものです。
1977年に、マクガバン上院議員がアメリカ議会で発表した、アメリカ人の生活習慣病について調べた報告書のことです。

神様はこのレポートを読んでびっくり仰天。
というのは、人間世界がいかにおかしなことになっているかがその報告書に書いてあったからです。

かたや、毎日の食料にも事欠く国で苦しんでいる人々がいるかと思えば、
かたや、アメリカや日本のような国では、飽食のあまり人々がメタボになっている。

けしからん。
神様は急遽、地獄をもうひとつ増やすことにしました。
名づけて「メタボ地獄」。
親からもらった大事な体なのに、運動不足と飽食にまみれてダメにした罪。
そんな罪人が行くところです。

そこはメタボな人の集まりでした。
メタボな人でひしめきあっているので、不快指数がたいへん高い状態になっています。
メタボ地獄には人語を話すカエルがたくさんいて、毎晩、
「お前の母ちゃん出不精」
「お前の父ちゃんメタボ」
と鳴き続けます。
それに呼応して別の種類のカエルが子どもの泣き声で、
「うちの母ちゃんは出不精なんかじゃないもん」
「うちの父ちゃんはメタボなんかじゃないもん」
と鳴き続けます。
自分のせいで子どもが苛められるのを聞き、罪人たちは涙を流すのです。

しかし地獄を増やすことだけが神様の意図ではありません。
よいことをした人には、よい報いがあるべきです。

人間世界も、メタボが増えるのを黙認していたわけではありません。
アメリカではフード・ピラミッドというものができ、日本では食事バランスガイドというものができました。
アメリカでは「ヘルシーピープル」という総合健康政策が打ちたてられ、日本でも「健康日本21」という総合健康政策が計画されました。
「食育基本法」という法律が日本で誕生しました。
その後すぐに、「食育白書」という本がこれも日本で発行されました。
日本ではさらに、特定保健指導という仕組みが始まろうとしています。
(この一連のストーリーは書くと長くなるのでここでは省略)

人間がこうした努力をしていることを知った神様は、多少感心しまして、人間にご褒美を与えることにしました。
すなわち、メタボ罪人に新しい地獄を用意した代わりに、親からもらった体を大事にして天寿をまっとうした人間には新しい天国を用意することとしました。

名づけて、「ヘルス天国」。

「お、お待ちください」天使があわてて言いました。「その名前では誤解を招いてしまします」

「おおそうか。それもそうだな」
そう考えなおした神様は、「ヘルス天国」という名前をやっぱり却下し、「ウエルネス天国」という名前に変えました。
(神様のネーミングセンスを問うのはやめましょう)

そこはウエルネスな人の集まりでした。
たとえば、雑誌「ターザン」を読む人だけが集まった世界を想像してみてください。
なんか、そういう雰囲気のところです。
よく分かんないけど。

で、「メタボ地獄」「ウエルネス天国」が開店して徐々に賑わいだしたころ…

(以下次号)

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2007.07.20 12:29

あの店はどこへ?

 

松宮園生です。
アメリカに住んでいますが、やっぱり日本がいいので早く帰国したい
と思っております。

たまに一時帰国したときの楽しみといえば、
昔よく行ったウマイ店で懐かしい味を堪能することです。
でも、無くなってしまった店もありまして。

つーか、無くなってしまった店をいくらほめちぎって紹介したところで、
誰も喜ばないよね。
でも、書きたいので書きます。日米両方で。

<第3位>
東京は中野区沼袋(←ほとんど誰も知らないマイナーな地名ですね)。
名前は忘れましたが、美人夫婦が経営している洋食屋がありました。
(美人夫婦って、ダンナも美人ということか?)
ランチメニューの「白身魚のムニエル」がたいへん僕の口にあったみたいで。
数年のあいだ、ほぼ1日おきに通っておりました。
でも当時の僕は、
「この白身魚、なんて魚?」
という質問をしない人間だったのが悔やまれます。
(しかも写真、赤身だし)

いまはありません。
けっこう人気があったと思うんだけど、なにがどういう星のめぐりになったのか、ある夏の日、美人夫婦は行先も告げずにどこかへ引っ越ししてしまいました。

<第2位>
ロサンゼルスのビバセンの近く。
ビバセンというのは、「ビバリーヒルズ・センター」というショッピングモールを縮めた呼び方です。
地元の日本人がそう呼んでいます。
初めて聞いた時、
「ビバ専」ってなんだ? そういう性的趣向があるのか?
と、いらぬ想像を膨らませたものです。
そのビバセンのちかくにフレンチ風ベトナム料理の店がありました。
いや待てよ、ベトナム風フレンチだったかな?
気軽に行けて、ベトナム料理にしてはちょっと辛めだったところが僕のツボにハマっていたんですけどねー。
ロサンゼルスに行くときは必ず寄ったものですが…
しかし気に入っているのに、名前が思い出せません。

いまはありません。
ちなみに、この店はニューヨークのミッドタウンに姉妹店があり、姉妹店はいまでも営業しています。
(ちなみに、僕はニューヨーク店でデートの待ち合わせをすっぽかされた過去があります)
ニューヨーク店は残っているのに、なぜかロサンゼルス店だけが、なくなってしまいました。

<第1位>
東京は内幸町(新橋の近く)。
オヤヂサラリーマンの湯気たちこめる繁華街のはずれ(←なんかヤな表現だな)、
日比谷通りと外堀通りが交差する近くに、「旭王」というラーメン屋がありました。
僕にとっては、東京でいちばんウマいラーメン屋でした。
となりに古本屋がありました。
その古本屋で50円払ってテキトーな文庫本を買い、となりの「旭王」でその本を読みながら醤油ラーメンをすするのが楽しみでした。
あの濃厚な醤油のスープを飲み続けるために、僕は普段、ストイックに減塩生活をしてました。
ときどき気分転換で塩ラーメンをすすりましたが、塩ラーメンは軽めのスープだったために、コシのある麺の味わいがダイレクトに感じられ、それはそれで非常によかった。

いまはありません。
こないだ帰国したときに、成田空港から「旭王」に直行したのに、忽然となくなっていました。
オヤヂサラリーマンの湯気だけがたちこめていました。
廃業したのでしょうか。
どこか世界の片隅で営業しているのでしょうか?

<番外編>
シアトルの隣町ベルビュー。
ここに目下絶好調のイチローが住んでいるというウワサですが、会ったことはありません。
その、ベルビューという町のショッピングモールに「ニュージェイクス」というシーフードの店があります。
店じたいは今もありまして。
定番のクラムチャウダーはシアトルのクラムチャウダーコンテストでたまに優勝する程度には飲める。
ここのメニューに、昔は「ノースウェスト・シチュー」というのがあって、要はブイヤーベースなんですけど、かなり旨かった。
旨かったのダ。
そのシチューがあるために通っていたのですが…。

いま、そのメニューはありません。
しばらく通うのを忘れてて先日ひさしぶりに行ったら、シチューがメニューから消えておりましたよ。

◆◆◆

松宮園生が通い始めた店は無くなる。

そんなみょーなウワサが流れないように、毎日ぴくぴく、おとおと生きております。

「旭王」の行方を知っている方がいたら、ぜひご一報ください。

 

 

 

 

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2007.07.19 11:22

アゴヒゲ その1

 
松宮園生です。

僕がテケテケ商事を退職して自分の事務所を構えたばかりのある日、
アゴヒゲにスーツ姿のオジサンが事務所にやってきました。

オジサンは言いました。
「あんた、独立したのに仕事がなくてヒーヒー言ってるそうじゃないか。情けないのお。じつはオレもそうなんだ。そこでどうだろう、情けない駄目ビジネスマンどうしで組まないか。一緒に傷をなめあおう」

「ししし失礼な」僕は憤激のあまりどもってしまいました。「ここここう見えても、ししし仕事が山積みなんだぞ。ああああまりに忙しくてでででデートもできないくらいなんだぞ」
「それはあんたに相手も金もないからでしょ」アゴヒゲは落ち着いて言いました。「さっきから電話だって鳴らないじゃないか」
「そそそれはだ、さささサイレントモードにしてるからなんだぞ」

すると、電話が鳴りました。

「あはは。何がサイレントモードだ」
「ななな何を。ででで電話が鳴らないと言って笑ったのはそそそそっちだ。電話が鳴ったからぼぼぼ僕の勝ちだぞ」

なにが勝ちなんだか。

しかし久しぶりに鳴った電話は母親からで、
「さみだらのはさご漬けがうまくできたからお前にも送る」
という平和な内容でした。

アゴヒゲがニヤニヤしながら言います。
「なんだあんた、ママに仕送りしてもらってるんかい」
「ちちち、ちがわい(←死語)」
「まあいいさ。いろんな親子がいるからな。でもあんた、母親のことをマミーと呼ぶのはやめといたほうがいいよ」

呼んでません。

アゴヒゲは憐れむような目をして言いました。
「オレはあんたを助けたいんだ。あんたはオレの若いころにそっくりなんでねえ」
「おおお、大きなお世話だい」

しかしアゴヒゲは聞こえないフリをして
「そうかそうか。喜んでくれてオレも嬉しいよ。ではお近づきの印だ」
そう言って、彼は本を一冊、取り出しました。

「食育バンザイ」
そんな題名の本でした。
表紙の写真のなかでは、たすきをかけたオバチャンたちが、たわわに実った田んぼのまわりに集まってバンザイをしています。

「定価3000円だが、著者割引で2500円にしてやる。よかったなあ、あんた」
「に、2500円?」
「あんたね。まともな人間で21世紀に生きてるんだったら、チザイにはちゃんと金を払うもんだぜ」
「ち、チザイ?」
「知的財産のことだよ。とにかく2500円だ。もうあんたに渡すつもりで、ほーら見ろ、サインもしてあるよ」

アゴヒゲが本のカバーをめくると、なんだか安っぽい字で
「松宮園生くんへ。アゴヒゲより」
と書いてありました。

僕から受けとった(奪いとった)3000円を財布にしまいながら、アゴヒゲは言いました。
「いまお釣りがなくてな。明日渡すから勘弁な」
「あ、明日?」
しかしアゴヒゲはまたもや聞こえないフリをして「それにしてもこの本、ぜんぜん売れなくてなあ。役に立たない内容らしいんだ」

役に立たないのに、それ、チザイなのか?

「でも金は返さんぞ」アゴヒゲは言いました。「その代わり、あんたとは仲良くしてやるよ。コンサルタント料金も格安にしておこう。月20万円でいいよ。よかったなあ、あんた」
「ひー」
「契約書も用意しておいたんだ。ほーら見ろ、サインもしておいた」
「ひー」(←ベタな叫び)

さすがに月20万円のコンサルタントは断りました。

不満そうに立ちあがりながら、アゴヒゲは言いました。「ふーんあんた、それでオレから逃げることができたと思うなよ。あんたのマミーの作った、アミダラ姫をはさんだ漬物とやらが届いたころに、また来るよ。じゃな」

だからマミーじゃない、っつーに。

アゴヒゲが去って呆然としていると、またドアが開きました。
アゴヒゲでした。
「ひとつ聞くのを忘れていたよ」アゴヒゲは言いました。「このへんにさ、カモっつーか、あんたみたいな食育好きの駄目ビジネスマン、ほかにいない?」

(以下次号)

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2007.07.17 10:40

日本人ゴーホーム

 

松宮園生です。

ハロー日本の皆様。
最近どうですか?

このあいだほんのちょっと一時帰国してバタバタと用事を済ませて
サッサとアメリカに戻ったのですが、
気づいたことというかギモンがいくつかあるのでちょっと書きます。


■バーガーキング

日本に再上陸したらしいじゃん。
過去に一度日本に来て、撤退しましたよね。
再上陸とは、不屈の精神です。

評判、どうですか?
(バーガーキングについての記事を書いたことがあります。ここをクリック


■クリスピークリーム

新宿にお店、あるんですか?
売れてるらしいですね。
やたら行列しているそうですが。

クリスピークリームはアメリカではファーストフード扱いになっています。
新宿ではどうですか?


■名古屋

名古屋の飲食店がどんどん東京進出してると聞きましたが、今でもその勢いは続いていますか?
つか、名古屋のホテルって、料金高くてびっくりしました。
空室もなかなかなくて。


■札幌発スープカレー

まだ流行っていますか?
むかし、東京の下北沢というところにあるナントカという店に連れてってもらいましたが、なかなか旨かったス。
今回は行けなかったけど、まだあるのかな?


■旭王

東京の内幸町というところにあるラーメン屋です。
「ここしかねぇ」と思っていたラーメン屋なんですが、
行ってみたらお店、なかったぞ!
帰国するときの最大の楽しみだったのに。

どこに行ったんだ?

あまりにショックだったため、滞在日数を延ばして旭王のオヤジを探索する旅に出ました。
この話は後日書きます。


■キムチ

漬物業界は売上が落ちてたいへん苦戦しているそうですね。
食べる人の頭の中が
「漬物→塩分→摂りすぎ注意」
になってるためだと思いますが。

そのなかでキムチは逆に売上が増えているみたいで。
知り合いの白菜メーカーは元気よかったです。


■管理栄養士さん

しばらく見ないうちにイケてる管理栄養士さんが増えたと思うんですけど。
「日本酒もガンガンいくよ」という今どきオヤジギャル(←死語)な管理栄養士さんも増えた。

ガミラス星の保健指導バブルと関係あるのかな?
(ガミラス星の保健指導バブルについてはここをクリック)


■農家の数

は今でも減っていますか?
(そんなこと聞かれて、すぐに分かる人はいねーか)


■五感

「こないだ五感のセミナーに行ってきたのよねアタシ」
というセリフを口にする女性と出会いました。
それも1人ではなく、数名の女性です。
(ここでいう「出会い」というのは、仕事でミーティングをしたという意味です)
(わざわざこう書くと、よけい怪しいな)

「五感のセミナー」って、流行ってるんですか?
つーか、何のセミナー?

「五感のビジネスを始めたいのよ。ぜったいヒットするわよ」
と言ってる会社社長にも会いました。
「何のビジネスすか、それ?」と質問したら、
社長さん、ニッコリ笑って
「それを考えるのが松宮さん、あんたの仕事でしょ」

 

 

 

 

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2007.07.15 04:49

魔法使いステマグさん その6


食育の世界でなにかしてみたい人、活躍してみたい人、必見!
人気「野菜ソムリエ」と「プロダクション・チーフ」が
食育の世界にご案内します。

◆◆◆

チーフの松宮園生です。

前回までのあらすじ)
魔法使いステマグさんを探してアメリカはロサンゼルスにやってきたテケテケ村のマツオ。
NNFAのウェブサイトを調べてみると、そこにはサプリメント工場の一覧表が…。

◆◆◆

一般に「ロサンゼルス」というと、かなり広い地域を意味することが多いです。
この広い領域のことを「グレートロサンゼルス」ともいい、関東全域とだいたい同じ面積だそうです(測ったことないけど)。
ロサンゼルス市じたいは、広い「グレートロサンゼルス」のほんの一部に過ぎません。

したがって、一口にロサンゼルスといっても、スゴク広いわけです。
これ、頭では理解できるのですが、実際に距離感をつかむのはナカナカ大変です。

レンタカー屋さんでクルマを借りると、グレートロサンゼルスの地図をもらえます。
A3くらいの大きさの紙1枚です。
「なんだ、紙1枚でおさまる程度の広さなんだな」
距離感が分からないものですから、ついつい過小評価してしまいます。

ところが、地図上で数センチの距離を実際にクルマで移動しようとすると、思ったより遠かったと思うことはしょっちゅうです。

加えて、たいがい一度は渋滞にハマることもあり、その分、時間を食います。
おまけに、当然ですけど道に詳しいわけではないので、よく迷います。
高速道路の出口を間違えたり。
出口は間違えなかったけど、そこから先の「最後の数マイル」が悪夢だったり。

オレってよく迷うよなあ。なんでだろ?
でも、よく考えたら…。
「関東全域と同じ面積」なのに、A3くらいの大きさの地図1枚でなんとか走ろうということ自体、間違ってますね。

というわけで、マツオ少年はロサンゼルスにいるあいだ、ほとんどの約束に遅刻したのでした。
サプリメント会社の皆様。
そんなマツオをお許しください。

◆◆◆

NNFAのサイトにはサプリメントを実際に製造している会社が多数、掲載されていました。
よくみると、ほとんどが
ロサンゼルス(西海岸)
ニュージャージー(東海岸)
どちらかに工場がありました。

マツオはまずロサンゼルスにある工場を、いくつか訪問しました。
例によって、はげしく道に迷いながら…。

工場は、住宅地にまじって建っていたり、倉庫街のようなところに建っていたり、道路以外になにもない野原にポツンと建っていたりしました。
工場といっても、そんなに大きな工場ではありません。
また、大きな音を出すこともなく、強烈な匂いをまき散らすこともないため、建てる場所に制限があるわけではありませんでした。
(匂いがないわけではありません。そんなに匂わないということです)

興味深かったのは、どの工場もインド・パキスタン系の従業員が多かったことです。
インド・パキスタン系の社長も数多くいました。
どうやら、この業界はインド・パキスタン系がリードしているみたいです。

訪問するにはコツがあります。

<ステップ1>
まず、電話するとき、「おたくにサプリメントの製造を頼むかどうか検討しているが、その前に工場を見せてくれないか」という一言を伝える。
つまり、自分はお客さんになる可能性があるよ、と伝えるわけですね。
「日本からわざわざ来た」というと、彼らの期待感もふくらみます。

<ステップ2>
工場に着くと、まず大きな会社の場合はセールスマネージャーの、小さな会社の場合は社長さんの部屋に案内されます。
そこで、
「日本からわざわざ来てくれたのはうれしいが、どういう商売をお考えか?」
と聞かれるので、そのときは
「マルチビタミン」
と答えておくのが無難です。

「マルチ」と発音しても通じないので、「モーティ」と発音してみてください。通じる可能性が高まります。

マルチビタミンを作るのはなかなか難しいです。
工場の技術力、「腕」が問われます。

「マルチビタミンを考えているが、あんたの会社は、作れるのか?」
と、挑発するように言ってみましょう。
「つ、作れるに決まってるじゃないか。ま、任せとけ」
とムキになって答えてくるでしょう。

しかし、
日本には、本当はできるのに自分ではできないと思いこみ、「できない」と答える人が多いですが、
アメリカは逆で、本当はできないくせに、自分ではできると思いこみ、「できる」と宣言する人が多い。
気をつけましょう。

さて、ここで油断していると、今度は相手から質問が飛んできます。
「あんたが商品化したいマルチビタミンは、タブレット(錠剤)がいいのか、カプセルがいいのか?」
ここで答に詰まると「不勉強なやつ」と思われるので、平然とこう答えましょう。
「どっちにするかは、条件次第」

実際、タブレットがいいのかカプセルがいいのか、には、答がない場合が多い。
皆さんも、たとえば市販されているビタミンCを買ってみると、メーカーによって錠剤だったりカプセルだったりしませんか?
ビタミンEやコエンザイムQ10のようなものは酸化を防ぐためにソフトカプセルにしている場合がほとんどです。
しかし、ビタミンCやマルチビタミンのようなものは、「どっちでもいい」のです。
ですので、あとはいろんな条件を吟味しながら、どっちがいいか決めていきます。

「あんたが商品化したいマルチビタミンだが、年間でどのくらいの数量をオレたちに作らせたいと思っているのか?」
という質問もきます。
ここで答につまると「こいつ、冷やかしでやって来たのか?」と思われるので、平然とこう切り返しましょう。
「あんたのところの製造最少単位(minimum quantity requirement)はどれくらいか?」
すると、たいていの場合、
「ウチの製造最少単位(minimum quantity requirement)は60,000ピルくらいだ」
という答が返ってきます。

製造最少単位(minimum quantity requirement)というのは、「これ以上小さい注文には応じない、最低レベルの数量」という意味です。
どの工場にも、その基準があります。
「ビタミンCのサプリ、1粒だけ作ってくれ」なんて注文には応じられないわけです。

60,000ピル、というのは、タブレット(錠剤)であれカプセルであれ、60,000粒、という意味。

<ステップ3>
「そうか、マルチビタミン作れるのか。だったら工場を見せろ」
と言ってみましょう。
すると、工場を案内してくれます。

サプリメントの工場は、工場というより研究所のたたずまいをしています。
たとえば自動車の製造工場だと、巨大な倉庫のような空間のなかで大勢の工員が動き回って自動車を組み立てています。
サプリメントの工場はもっとこじんまりとしており、学校の校舎のような建物のなかに、たくさんの部屋があって、それぞれの部屋でいろんなことをしています。

工場に入る前に、白衣を着せられ、マスクと白いキャップを被ります。

「いいよいいよ、ウチはあまりうるさくないから、白衣なんか着なくても見学できるよ」
そんなことを言う会社は、ダメです。衛生管理がなっていないと判断しましょう。

「おたくはGMPに準拠しているのか?」
という質問もしてみましょう。
たいがいの場合、「もちろんだ」という答が返ってきます。
そうしたら、
「それは、アメリカのGMPなのか、オーストラリアのGMPなのか」
と突っ込んで聞いてみましょう。
「こやつ、デキルな」と思われるはずです。

GMPとは、Good Manufacturing Practiceの略で、「適正製造規範」と訳されています。
原料の入庫→製造→出荷にいたるすべてのプロセスで、
* 製品が安全に作られる
* 一定の品質が保たれる
ように定められた規則とシステムのことです。
医薬品のメーカーはすべてGMPを守っています。
サプリメントのメーカーも、GMPを守るところが増えてきました。
で、GMPにはアメリカ型とオーストラリア型というのがあり、オーストラリア型のほうが厳しいとされています。

◆◆◆

マツオはいくつかの謎を解くためにアメリカに来たわけですが、

「アメリカにはサプリメントの聖地が2つある」
この謎は解けました。
カリフォルニア州とニュージャージー州です。

まだ解けていない謎は
「熱を出さない打錠技術がアメリカにあり、それを知るには筆のような野球のような土地に行かなければならない」
「魔法使いステマグさんがテケテケ村を攻撃する計画をたてている」
の2つです。

この2つ、サプリメント工場を訪問して回って、答が見つかるでしょうか?

(以下次号)
 

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2007.07.09 02:13

小判大介の元カノ 後編



食育の世界でなにかしてみたい人、活躍してみたい人、必見!
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食育の世界にご案内します。

◆◆◆

チーフの松宮園生です。

前回のあらすじ)
小判大介君の元カノ(別途、妹が2人います)は観月ありさに少し似ていたそうですが、まるでブルーチーズやカラスミのような、濃厚な食育一家の出身でした。

◆◆◆

小判大介の話によると、元カノの家族構成はこうでした。

父親:大工の棟梁。星一徹が食育に興味をもったらこんなお父さんになる、という感じだそうです。
母親:もとミス福岡。なんでこのお父さんと結婚したかは誰にもわからないらしい。
元カノ(長女):観月ありさ似。OL。東京在住。
次女:姉には似ていない。大学3年生。医学部。
妹(三女):観月ありさ似。大学生1年生。文学部。

◆◆◆

元カノの親父さんが定めた、実家の家訓です。

第1条:「いただきます」を言い忘れた場合、食後に空気椅子15分。
第2条:「ごちそうさま」を言い忘れた場合、ブリッジ30分。
第3条:正当な理由なく食事を残した場合、腕立て伏せ100回。
第4条:食事中、すべての料理について母親に何かコメントをすること。コメントできなかった場合、アルジェリアン・スクワット100回。
第5条:1度言ったコメントは2度と使わない。毎回表現を変えること。同じコメントを2度使ったことが分かった場合、腹筋100回。
第6条:食事マナーに反した場合、違反1回につき空気椅子15分。
第7条:背筋を伸ばして食卓につくこと。姿勢が悪い場合、倒立1時間。
第8条:原産地を知らない食材があった場合、必ず母親に聞くこと。聞かずに無視した場合、踏み台昇降30分。
第9条:味つけが変わった場合、ただちに気がついて母親にコメントすること。気がつかなかったり無視した場合、素振り1000回。
第10条:昼食の場で、必ず1度は農業を礼賛する話題を提供すること。忘れた場合、グラウンド10周。
第11条:夕食の場で、必ず1度は栄養学についての話題を提供すること。忘れた場合、ななめ懸垂100回。

おかげで元カノ3姉妹は、全員がスポーツでインターハイ出場を果たしました。

◆◆◆

元カノの親父さんが定めた、実家の教育方針です。

6歳までに、国産野菜の産地をすべて覚えること(地理)
7歳までに、近所の寿司屋で出てくるすべての魚の名前を漢字で覚えること(国語)
8歳までに、100年以上続く老舗の食品会社の名前と商品をすべて覚えること(社会)
9歳までに、100種類の果物の名前を英語で覚えること(英語)
10歳までに、主要ミネラルの元素記号をすべて言えるようになること(理科)
11歳までに、調味料はなぜ「さしすせそ」の順番で入れるのか、科学的に説明できるようになること(理科)
12歳までに、「なぜ日本の食料自給率はカロリーベースで40パーセントに下がってしまったのか」を説明できるようになること(歴史)
13歳までに、「食品成分表」の見方と使い方をマスターすること(算数)
14歳までに、100人のエコファーマーと知り合いになること(総合学習)
15歳までに、「美味しんぼ」全70巻(当時)を暗唱すること(漫画)

おかげで元カノ3姉妹は、全員が九州大学に現役で合格しました。

◆◆◆

そんな一家だそうです。

説明が終わったあと、小判大介は嘆願するように言いました。
「松宮師匠。というわけで、一緒に九州に行ってくれませんか」

「あははは。いや、おれは忙しいから…」
「師匠は食育の人材育成をしてるんですよね。師匠の理想の家庭を見れるんですよ」
「いやいや、残念だけどオレはいいよ。オレに遠慮せずに結婚してこい」
「航空券も用意しました」
「いやいや、お熱いふたりの邪魔はしたくないし」

「ほら、妹たちの写真です。ほらほら」
「いやいや、オレのタイプじゃないし」
「なに遠慮してんですか、写真見もしないで」
「いやいや、ちらっと見えたし、それで十分だし」
「それは嘘ですね。まったく見てませんよ。現実から逃げずにちゃんと見ましょうよ」
「いやいや、見たってば」
「じゃあ、2人がどんな髪形してたか言えますか?」
「そ、それはだな、片方がワンレン(←死語)で、片方はボディコン(←死語)だったな」
「ほらやっぱり見てないじゃないスか。2人ともワンレンじゃないし、ボディコンは髪形じゃありません。第一、そんな昭和な単語、よく覚えてますね」
「年齢がバレるってか。あはは」
「そうスよ。あはは」
「おあとがよろしいようで。そろそろお開きにしよか」
「甘いス。その手には乗りません。師匠は僕と一緒に食育一家を視察してください。航空券は用意しました。2人の美人の妹たちも師匠を待っています。ここで逃げたら男がすたります」
「男はもう、すたっているからいいよ。師匠に九州旅行をプレゼントしようという優しい気持ちは嬉しいが、気持ちだけ頂戴するよ」
「師匠! トイレに逃げ込むつもりスね。そうは問屋がおろさじ」

◆◆◆

ドタバタ(←死語)な会話、まだ続きそうですが、このへんでおしまい。

小判大介は松宮園生を引きずりこむことに失敗、ひとりで福岡に向かいました。
その後の運命は、ご想像のとおりです。

(このシリーズはここまで)

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2007.07.08 00:12

バウムクーヘン宣言 その6

食育の世界でなにかしてみたい人、活躍してみたい人、必見!
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◆◆◆

チーフの松宮園生です。

前回までのあらすじ)
葉竹さんと多賀安さんは学生のころからの天敵でした。
その2人が、アグリドラゴンの経営を巡ってついに激突しました。

◆◆◆

さっさと種明かしをしましょう。
この2人は学生運動に参加し、大学のキャンパスで放水したり、ゲバ棒を振り回したりしていました。
その点は共通していたのですが、参加していた学生組織が別々で、お互い主義主張が対立していたのです。

彼らが大学生になって3年目に、学生運動は下火になりました。
下火にはなりましたが、あきらめ切れない一部の学生は、運動を続けます。
ただし放水やゲバ棒は使わず、ビラを配ったり街頭演説をしたりというソフト路線に転換していました。

葉竹さんも多賀安さんも、大学生になって3年目ではありましたが、留年していてまだ1年生でした。
学生運動が下火になって学業に専念するかと思えば、両名ともその気配はまったくなく、今度はビラ配りと街頭演説に精を出すようになります。
ゲタを鳴らし、腰に手ぬぐいという「留年型学生」風貌も板についてきました。

しかしここでも主義主張の対立は相変わらずでした。
片方がビラを配れば、もう片方がそれを妨害せんと同じ場所でビラを配ります。
片方が街頭演説すれば、もう片方も負けじと同じ場所で演説します。
よせばいいのに、わざわざ同じ場所で活動するものですから、いつでも衝突していました。

◆◆◆

そんな彼らにも、大学を卒業する日が近づいてきました。
バリバリに学生運動をしていた学生は、卒業しても就職しないことがほとんどでした。
企業のほうがそういう学生を採用しないというのもありましたし、学生のほうでも
「就職なんかするやつは脱落者だ」
と考えていたようです。

ところが2人とも、農業資材を扱う会社に就職します。
農業系は学生に不人気だったため、
「学生運動してようと遊び呆けていようと、バカでもチョンでもなんでもいいから採用する」
という会社が多かったのと、学生のほうでも、
「農業だったら脱落したことにはならない」
という認識だったようです。

なぜ農業だったら脱落したことにならないのかは僕も不勉強でよく知りませんが、当時の工業(第2次産業)や商業(第3次産業)には「資本主義の悪魔」みたいなイメージがあったみたいで、それに対して農業(第1次産業)には「資本主義に毒されていない純粋なイメージ」があったのかもしれません。

彼らが就職したのは別々の会社です。
「お約束」というかなんというか、お互いライバル企業でした。
今度は「商売敵」としての衝突が始まります。

しかし2人とも数年後には独立していました。
葉竹さんは上司と喧嘩して会社を飛びだし、農業コンサルタントを名乗りました。
多賀安さんは社長と喧嘩して会社を辞め、同じく農業コンサルタントを始めます。
「北の多賀安、南の葉竹」時代が開幕したのでした。

(以下次号)

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2007.07.06 01:09

小判大介の元カノ 前編

 

松宮園生です。

松宮園生にはテケテケ村に舎弟がおります。
小判大介という名前です。
ふだんは結婚しており、イチゴ農業をしてます。
ふだんは結婚してイチゴ農業、とわざわざ書くということは、いざというときにはそうじゃないのか、と思いませんか?
いざというときにも結婚してイチゴ農業です。

(参考記事)
農家の嫁と山羊のメリー 前編
農家の嫁と山羊のメリー 後編

結婚してイチゴ農業を始める前は、東京でふつうのサラリーマンをしていました。
大介はサラリーマンとしての給料は安かったのですが、いくぶん株式投資の才能があったおかげで、暮らしに苦労することはあまりなかったようです。
独身時代は合コンにも行きましたし、ごくたまにはモテたそうです。
勝負パンツとしてちゃんと新しいものを準備するだけの余裕もありました。

いちど履いた勝負パンツは、「勝ち負け」にかかわらず、2度と勝負には使わない。というのが彼の美学だったようです。
それが、パンツに対する彼のこだわりでした。
ただし、「勝負」には2度と使いませんが、もったいないので「ふだん履き」には使っていました。

◆◆◆

これは彼が妻のゆかりさんに出会う前につきあっていた、元カノの話です。

まだ松宮が東京のテケテケ商事でメキマンと闘っていたころ、松宮のアパートにやってきた大介からある相談を受けました。
こんな相談です。

「じつは師匠」大介は顔を赤くして言いました。「恋に落ちまして」

それを聞いて、松宮は大介にも渡そうとしていたテキーラのグラスを、引っこめました。
「そうか。それはよかったな。若いやつは若いだけが取り柄だからな。で、相手は人間か。性別は女か」
持ち帰り作戦(詳細はこちら)に失敗続きの松宮師匠の返事は、冷やかです。

「相手はですね」舞い上がる大介には、師匠の皮肉が通じません。「人間の女っす。5歳下っす。福岡生まれ福岡育ち。スポーツをたしなみホラーを愛でるお嬢さんです」
「ふーん。ホラーね」
「ですが師匠」大介の顔がここで曇りました。「こんど彼女の親父さんに会うんですけど、怖くて怖くて」
「ナヌ、結婚するのか?」
「いちおう、そう思ってます」
「美人か?」
「そりゃあもう。美人です」
「芸能人だと誰に似てる」
「観月ありさに似てます」
「そ、そうなのか。もうちょっとイマドキな名前を出すかと思ったが、まあいい。観月ありさもたいへんな美人だからな。姉か妹はいるのか」
「妹が2人います」

「そうかそうか。まあ飲め」松宮はうれしそうに、いったんひっこめたテキーラのグラスを大介に手渡しました。

それを受けとった大介が心配そうに言いました。「でも師匠、そんなことより彼女の親父さんの話なんですが」
「そんなことより観月ありさの2人の妹はいまどこにいるんだ」
「彼女の親父さんの話を先に聞いてください。じゃないと紹介しませんよ」
「…しょうがねえ。早く話せ」

◆◆◆

大介の話では、彼女の実家はどうやら食育一家のようでした。
それも、まるでブルーチーズやカラスミのような、濃厚な食育一家だというのです。

たとえばまだ観月ありさが家族と九州に住んでいたころ…

(以下次号)

 

 

 

 

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2007.07.05 01:01

不機嫌な食育

 
松宮園生です。

食(育)の世界には「謎の不機嫌な人」が多いです。
先日、「不機嫌な料理人」についてちょっと書きましたが
(詳細はここをクリック)
もう少し書いてみます。

■謎の不機嫌な八百屋

何年か前に、友人Aが大阪で八百屋業を始めました。
それまでそんな仕事をしたことがなかった人なのですが、何を思ったか八百屋を始めました。
経験がないせいで大胆なことができたのかもしれません。
ちょっと新しいタイプの八百屋を始めたわけです。

東京のある老舗の八百屋さんがいまして、そこの3代目は●●大学ラグビー部出身のいかつい人でした。
その3代目が僕に電話をかけてきまして、こう言いました。
「Aさんって、松宮さんの知り合い?」
「知り合いですけど」
「ふーん。で、あの八百屋、うまくいってんの?」
「僕の知るかぎり、まあまあですかねえ」
「ふーん」声のトーンが、みるみる不機嫌になっていきました。

(みるみる、という表現はヘンですね。電話ですから。きくきく、が正しい?)

3代目の不機嫌な声は続きました。「あんなやり方でうまくいくわけ、ないよ」
「うまくいきませんか?」
「いかないよ。世の中そんなに甘くないもん」
「インターネットの注文が、けっこう忙しいって言ってましたが」
すると、声はますます不機嫌になりました。「なに言ってんだよ松宮さん。そんなのウソに決まってるじゃん。あんたも大したこと、ないね」
電話が切れました。

どうやらこの3代目、
「いやー、Aさんも苦労してましてね。自分のやり方は間違ってた、そろそろ廃業するって言ってましたよ」
という答を僕の口から聞きたかったようです。
ところが期待してた答じゃなかったので、不機嫌になったみたいで。

大阪のAの店が繁盛しようと廃業しようと、東京の3代目には関係ないと思うけどなあ…。
ライバルでもないわけだし。

■謎の不機嫌な農家

何年か前に、友人Bが群馬で農業を始めました。
外資系企業に勤めていたのをすっぱり辞め、夫婦で農業を始めたわけです。
イチゴなんかを作ってます。
なかなか元気よくやってまして、遊びにいくのが楽しみでした。

同じく群馬でコンニャク栽培をしている農家さんがいます。
この人は2代目です。50代後半の方です。
ある日、僕に電話をかけてきて、こう言いました。
「Bさんっつーのは、あんたの知ってる人かい?」
「そうですけど」
「どんな奴?」
「どんな奴って、そうですね、頭のいい人だと思います」
「ふーん」声のトーンが、きくきく不機嫌になりました。

2代目の不機嫌な声は続きます。「そいつ、儲かってる?」
「まあまあじゃないでしょうか」
「あんた、おかしいと思わんか」
「は?」
「農業ってのはな。土地を守ることなんだ。儲けたりとか、稼いだりとかは間違ってる」
「間違っていますか」
「あたりまえだ。土地を守る気持ちのないやつに、農業なんかできねえ」
「Bさんも、土地を守る気持ちはあると思いますよ」
「なにを言ってるんだあんたは。儲かってるやつに、土地を守る気持ちなんかあるわけねーだろが」
「はあ、そういうもんですか…」

2代目は電話を切るまえに、はき捨てるようにこう言いました。
「そんなこと言ってるから、農業人口が減ってくんだよ」

■謎の不機嫌な食育オバチャンたち

あるカルチャースクールが、主婦・OL向けの食育講座を開こうとしたそうです。
ふだんから食育活動をしている人を集め、どんな内容の講座にしたらよいかという会議をもちました。
どういう基準で人選したのか分かりませんが、メタボ気味のオバチャンが集まってきました。

こんな会話になったそうです。

司会者「大人向けの食育講座ですから、栄養学の話は欠かせませんよね」
オバチャンA「なによりまず、食育といえば朝ごはんでしょ。朝ごはん食べなきゃ」
司会者「なんで朝ごはんが大事なんですか?」
オバチャンA「そ、それは、朝ごはん食べない子どもはキレやすくなるのよ」
司会者「なんで朝ごはん食べないとキレやすくなるんですか?」
オバチャンA(不機嫌になる)「あんたね。日本人は朝ごはん食べなくていいって言うつもり?」

オバチャンB「土に触れることが大切なんじゃないの。都会の子は土のことを知らなさすぎ」
司会者「農業に触れなさい、ということですね?」
オバチャンB「今の子どもって、ナスは知ってても、ナスの花がどんな形をしているのかを知らない。それって悲しいわよね」
司会者「ナスの花って、どんな形をしてるんですか?」
オバチャンB(不機嫌になる)「た、たとえばの話よ。あたしが言いたいのはナスの形がどうとかじゃないの。理解しなさいよ」

オバチャンC「農業といえばさ、有機野菜のおいしさも伝えなくちゃね。安くておいしい有機野菜」
司会者「有機野菜って、高いんじゃないですか?」
オバチャンC(不機嫌になる)「なに言ってんの。有機野菜はすごいのよ。おいしくて、安いのよ。有機野菜はね、農薬を使ってないから、その分、安いのよ」

オバチャンD「牛乳も飲まなきゃだめよね。カルシウム入ってるんだから」
司会者「牛乳はダメだっていう医者もいるみたいですが…」
オバチャンD(不機嫌になる)「な、何言ってんのよ。温めて飲めば大丈夫よ」

司会者「大人向けの食育講座ですから、もう少し内容を濃くしたいんですけど。栄養学の話は欠かせませんよね」
オバチャンA「子どもにはまだ早いんじゃないの」
オバチャンB「そうよそうよ」
司会者「あのー、食育講座を受けにくるのは大人なんですけど…」
オバチャンC「えーっ、そうなの? 早く言ってよ」
司会者「あのー、最初からそう言ってるんですけど」

でも、みんな聞こえないふりをしました。

オバチャンD「残さずに食べるのって、大事よね」
オバチャンA「家族で会話しながらの食事。これも大事」
オバチャンB「必ずちゃんと、いただきます、ごちそうさまを言う」
オバチャンC「嫌いなものも、料理のしかたでおいしくなるわよね」
司会者「栄養学の話は…」

「いつまで栄養学にこだわってるのよ!」オバチャンDがいっそう不機嫌な口調で言いました。「食育と栄養学は違うのよ」
ほかのオバチャンたちもさらに不機嫌になって同調しました。

(この人たち、食育やってるっていうけど、栄養学とか農業のこととか、じつは知らないんじゃ…)
司会者はそう思いましたが、黙っていました。
口にすると殺されそうだったので言わなかったそうです。

結局、オバチャンたちの圧力で、司会者は食育講座の内容をこんなふうにさせられてしまいました。

1時間目:朝ごはん食べて今日もキレない
2時間目:土に触れようナスの花
3時間目:おいしく安いよ有機野菜
4時間目:牛乳あたためカルシウム
5時間目:残さず食べる家族の会話
6時間目:いただきますと、ごちそうさま
7時間目:嫌いなものも、おいしく料理

これ、主婦とOL向けの食育講座です。

(次号に続きません)

 

 

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やさいのうた


ビミョーにホラー入ってます。

 

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2007.07.03 01:58

カリウム・ユニバース 下巻


食育の世界でなにかしてみたい人、活躍してみたい人、必見!
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食育の世界にご案内します。

◆◆◆

チーフの松宮園生です。

前回までのあらすじ)
健康維持に不可欠なカリウム。その源は地下1000メートルのカリウム鉱脈にあり、その採掘現場はひとつの地下都市になっていた。
そこでレストランを経営していた料理人ラザフォードによると、地下都市には
「オーガニック御法度」
という謎のルールがあった…。

◆◆◆

アメリカに来るまでは知りませんでしたが、「オーガニック」という単語を発音するときは「ガ」にアクセントを置くようです。
僕はずっと「オ」にアクセントを置いてましたが、そうぢゃなかったみたいで。

しかもその「オ」、ラザフォードの発音をよ?く聞いてみると、エとウとオを26:9:52で混ぜたような音でした。
(あれ? 足してぜんぜん100にならないぞ)

それ以来、僕は懸命に「オーガニック」の発音を練習したのです。

「エゥオオ」?「ガァァァ」?ニック。

風呂あがりに鏡の前で発音練習をしてみたのですが、僕の口の形はまるで
「そうとは知らずK1ファイターのプラカーオに喧嘩を売ってしまったヒョットコ」
のようでした。

さて、
「オーガニック禁止」のポスターがあちこちに貼られている地下都市。
ラザフォードのレストラン「過小評価」(←店名です)にも、そのポスターが貼り出されています。
ポスターには、キャメロン・ディアスそっくりの美女。
「オーガニック、ノンノン」
という、いまどきかなり恥ずかしいキャッチフレーズ。

地下都市のキャンプには集会施設があり、そこでたまに採掘マンの研修が行われるそうですが、研修のお題目のなかにも
「恐怖のオーガニック」
「怪奇! オーガニック」
というのがあるそうで。

◆◆◆

ここで掘り出されたカリウム鉱は、精製されてから2000キロ離れた港に運ばれます。
そこで巨大な貨物船に積まれて世界各国に運ばれるわけです。
この貨物船もなんとオーガニック禁止になっています。

ちょっとでもオーガニックが混じっていたら、その貨物船は「失格」です。
船体をきれいに掃除しなければならなくなります。

なぜそこまでオーガニックが嫌われるかというと、オーガニックは爆発するからです。

「爆発?」と、僕は言いました。「どゆこと?」
英語の聞き取りに慣れたわけではないので、ラザフォードが本当に「爆発」と言ったかどうか、自信がありませんでした。

いまはアラスカで木こりのために料理を作っているラザフォードは、ゆっくりと言いました。
「爆発だ。バ・ク・ハ・ツ。カリウムは肥料にも使うが、工業用にも使うっていったろ? 何に使うのかはオレもよく知らんのだが、いろんなものを作るんだろう。とにかく工業用に使う。その工業用というのがクセモノでね。原料のカリウムのなかにオーガニックが混じっていたら、工場が大爆発するらしい」
「オーガニックだったらなんで爆発するわけ?」
「オレは化学者じゃない。爆発のメカニズムは知らんよ。とにかく爆発する。これまでにも悲惨な爆発事故がいくつもあったようだよ」
「いやそういう意味じゃなくて…。オーガニックのカリウムって、なんのこと? オーガニックのカリウムと、オーガニックじゃないカリウムがあるってこと?」

「あー」それまで黙って話を聞いていた(正確にはサンドイッチを口の中いっぱいに押しこんでいた)スケタローが、いきなり声をあげました。「自分は化学の学位を持ってるんでね、あんたのいうオーガニックの意味がわかったよ。有機化合物という意味だな?」
(タクアン航空のメタボ操縦士、スケタローについてはここをクリック)

ああそうか。
やっと意味が分かりました。
僕はずっと、「化学農薬や化学肥料を使わない」という意味のオーガニックを想像していたのですが、そうじゃありませんでした。
「有機化合物」という意味の、オーガニックだったのです。
あの、炭素(C)が複雑に並んでいるやつです。

つまり、生成されたカリウムに、ちょっとでも有機化合物(たとえば髪の毛だってそうだし、かじったハンバーガーからこぼれ落ちたパン屑もそうです)が混じっていたら、工場が大爆発するということです。
ですので、採掘現場でも、港でも、カリウムに有機化合物が混じらないよう、神経を使っているのでした。

だから、
「オーガニック、ノンノン」
なのでした。

(カリウムの話はこのへんで終わりとするかあ)

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