ホーム > マツミヤ倶楽部 >

スポンサードリンク
2007.07.31 23:36

過去船長 前編


松宮園生です。

ふだんはマサチューセッツ州のボストンにいる
ターザン栄養学の大御所、ドクター・チイタッタ。
(チイタッタ先生については以下を参照)
「ターザン栄養学 その1」
「ターザン栄養学 その2」
「ターザン栄養学 その3」
「メタボ最北端 番外編」
「食の世界のスーパーパワー その3」
「農業コンチネンタル その3 風雲編」
「ナチュロパシー」

そのチイタッタ先生からから久しぶりに電話をもらいました。
「フロリダに別荘を買った。最近は激しいハリケーンが多いんでな、安く買えたよ。羨ましいだろう。そのかわり保険料がバカ高くてな、差し引きゼロだ。意味ねえっつーの。わっはっは」
「はあ」
「フロリダはいいぞ。松宮はグレープフルーツ好きだったよな。うちの庭に大きいのが成っているから1個1ドルで食べていいぞ。有機だ」
「はあ」
「広い家だから、泊まる部屋はある。1泊99ドルにしといてやる。朝食つきだ。ただし作るのはおまえだ」
「はあ?」
「察しの悪いやつだな。遊びに来いといっとるんだ。自腹でだぞ。遊びに来い。食事代を払うやつが足りんのでな」
「いやです」
電話を切りました。

するとメールが来ました。
「××を入手したんだが。そうか、来れないとは残念だ。チイタッタ・MD」
(MDというのはメディカル・ドクターの略。ただのドクターではないぞよ、メディカル・ドクターであるぞよ、というのを強調する場合に使います)

えっ、××を入手?
僕はあわてて電話をかけようとしましたが、フロリダの番号を聞いてませんでした。
やむなくメール。
「チイタッタ先生。先ほどは失礼しました。電話が切れてしまいましたねえ。なぜだろう、あはははは。フロリダ、いいですねえ。グレープフルーツ(有機)いいですねえ。照りつける太陽、ビキニのおねえさんたちとおしゃれなゲイの方々。キーウエスト。マイアミ・バイス(死語)にドン・ジョンソン。さっそくお邪魔します」

すると返事。
「現金とクレジットカードは忘れるな。とくに宿泊代は現金オンリーだ。迎えにはいかないので、自分でレンタカーしなさい。こちらの住所はかくかくしかじか(←死語)。ちなみに、グレープフルーツは世間で値上がりしとるらしいから、2ドルにしとく」

◆◆◆

そんなわけでフロリダにむかった松宮です。
フロリダはカリブ海に面しており、カリブ海独特のノーテンキな香りがそこらじゅうに漂っています。

フロリダ行きの飛行機で、妙な乗客を見かけました。
遠くの座席に座っているのでよく見えなかったのですが、ナポレオンみたいな帽子をかぶり、宇宙戦艦ヤマトの沖田艦長のような制服を着ており、背が僕より低く、黒い眼帯をしていました。
なんか昔の海賊みたいです。
マイアミの空港に着陸したらもっと近くで見てやろうと思いましたが、人ごみのせいで思うように動けず、とうとう見失ってしまいました。

その話をチイタッタ先生にしたところ、
「それはキャプテン・パストだろう」
「誰ですか、それ?」
「古くからフロリダに住んでる人でな、ちょっとした有名人だよ。本名は知らんが、みなキャプテン・パストと呼んでいる」
「過去(パスト)ですか?」
「そう、そのパストだ。なぜそう呼ぶかというと、昔のことをやたらよく知っているらしい。本人が言うには、若いころはビクトリア女王に仕えていたそうだ」
「ビクトリア女王って、19世紀のイギリスの女王ですよね?」
「そのビクトリア女王だ。もしそれが本当だったら、いまごろ150歳くらいだぞ」
「そんなバカな。先生は医者なのに、そんなことを信じるんですか?」
「問題はそこだ」チイタッタ先生は人差し指を立てて言いました。「おれの言うとおりの生活をすれば、人間は150歳まで生きることができる。おれが勧めるものを食べ、おれの言うとおりに運動し、おれが処方したサプリメントを飲み、たっぷり眠ることだ」
「じゃあ、キャプテン・パストは先生のクライアント(患者というと叱られるので、クライアントと呼んでいます)ですか?」
「問題はそこだ」チイタッタ先生は溜息をつきました。「おれはここ(フロリダ)では開業しておらん。他に主治医がいるのかもしれん」

「でも先生」僕は言いました。「150歳には見えなかったですよ、その人。ホントは50歳くらいで、ビクトリア女王なんて嘘っぱちで、100年ほどサバを読んでいるんじゃないですか?」
「150歳に見えないことは確かだ。しかしおれの言うとおりの生活をすれば、人間は150歳になっても50歳の見かけでいることはできる。なにしろおれは、アンチエイジングの権威だからな」

アンチエイジングの権威だなんて、まあよくも自分でヌケヌケと。
でもまあ、ある意味それは当っていました。
アメリカにはアンチエイジングの有名な学会が2つあるのですが、チイタッタ先生はそのうち片方(ただし人数の少ない方)の会長を務めたことがあるのです。

ちなみにチイタッタ先生の流儀は「メガビタミン」と呼ばれ、
* 食事をきちんと取る
* その後、日本人がびっくりするほどの大量のサプリメントを飲む
というスタイルを信条としています。

「で、どっちなんですか。チイタッタ先生は、キャプテン・パストが150歳だと思ってるんですか?」
「よく分からん。やたら昔のことに詳しいから、ホントにその頃から生きていたんじゃないかと思うほどだよ」
「とっつかまえて検査とかしたらどうですか?」
「なんでだ? そんなことをしても、カネにはならんぞ」
「不老長寿の秘密が探れるかもしれないじゃないですか。うまくいけば、ノーベル賞ですよセンセ」
「その逆もあるぞ。本人がただ大ボラを吹いているだけで実は見かけどおり50歳だとしたら、骨折り損だね」
「まあ、それはそうですけど…」
「おれはいいよ、ノーベル賞なんて。取りたかったら、おまえ取れ」
そういってチイタッタ先生は寝室に引っ込んでしまいました。

と思ったらひょいと顔を見せ、
「明日の朝食だが…もう分かっていると思うが、おれはおまえと違って上級ベジタリアンだから、そのつもりで」
(上級ベジタリアンて何? と思った方はここをクリック)
「は? 僕が作るんですか?」
「ほかに誰が作るんだ。せっかく日本人が来たんだ、ミソ・スープと、ヒヤヤッコも作ってくれ」
と言ってまた引っ込んでしまいました。
よい子はおねんねの時間でした。

よい子はおねんねなのですが、僕は眠れませんでした。
べつにキャプテン・パストが気になったわけではなくて、時差のせいです。
僕が住んでいるシアトルと、フロリダとでは時差が3時間ありまして。
フロリダで午後10時というと、シアトルではまだ午後7時なのです。
ですので、まだぜんぜん、眠くないわけで。

酒でも飲みにいくか。

フロリダの空気がそうさせたのでしょうか、基本ひきこもりの僕でしたが、なぜか外出したい気分になりました。
近くにマリオット・コートヤードというチェーンホテルがあり、そこのバーがよさげな雰囲気だったので入ってみました。

すると、そこに海賊姿のキャプテン・パストがいました。

(以下次号)

人気ブログランキング ← 応援クリックおねがいします。

  • ブックマーク:
  • このエントリーを含むはてなブックマーク
  • BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク
  • この記事をクリップ!
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • この記事をChoix!
2007.07.29 22:56

ホケンシドー年代記 その3


前回までのあらすじ)
デスラー総統(厚生労働省)から、特定検診・特定保健
指導の実施を命じられた軍人(健康保険組合)たち。
勝手がわからず右往左往する軍人たちに、どっと群がる
武器商人(保健指導プログラムのベンダー)たち。
混沌とした状況から逃げるように、松宮園生は故国
ガミラス星を脱出し、隣国イスカンダル星に向かったの
でした…。

「宇宙戦艦ヤマト」を知らないヤング(←死語)の皆様、
分かりにくくてゴメンネ。

◆◆◆

イスカンダルの人々は早くから保健指導に取り組んできました。
多くのトライ&エラーを経験しています。
その結果、さまざまな経験とノウハウが蓄えられています。

イスカンダルでの、保健指導の歴史について説明しましょう。

イスカンダルは建国230年という若い星ですが、今から100年前にはすでにだいぶ、メタボな人が目立つ国になっていました。
当時、メタボな人のことを「チャンキー」と呼んでいたそうですが、地球の日本語に直すと「ぽっちゃり」とか「ふくよか」という感じのようです。
「ぽっちゃり」って言うと、あまり悪いニュアンスはありませんね。
「ぽっちゃり型のかわいこちゃん(←死語)」が好きな男性はたくさんいます。
「チャンキー」も同様に、わりといい意味で使われていました。
とはいえチャンキーも度を超すと不健康だ、という意識もあったみたいで、
「チャンキー・ゴーホーム」
という「反戦ソング」ならぬ「反肥満ソング」をジェシー・ビブカという人が一生懸命歌っていましたが、ぜんぜんヒットしなかったそうです。

その後、イスカンダルはガミラスと戦争を始めてしまったので、メタボについてはどうでもよいと考える時代が半世紀も続きました。
生活習慣病で亡くなるより、戦争で亡くなる人のほうが圧倒的に多い時期でしたから、ある意味、やむを得なかったのかもしれません。

戦争の時代がようやく終わります。
勝ったイスカンダル星は、ガミラスから戦利品をガバチョ(←死語)と奪い取り、たいへん栄えました。
豊かさにあぐらをかいたイスカンダル人は、今度は遊びはじめました。
食べたいものを食べ、飲みたいものを飲み、行きたいところに行くようになったのです。
すると、肥満が増え、医療費もずるずると増加していきました。
遊びはじめてから10年もたったころ、人々は
「なんだかおかしいぞ、この星は?」
と思うようになります。
肥満が増え、いわゆるガンや心臓病に苦しむ人が増えている事実に、ようやく気がついたのです。

ここで、目ざとい商人たちは「チャンスだ!」と考えました。
メタボを治療したり、予防したりするサービスを売れば、儲かるぞ。

商人たちは、こうも考えました。
メタボの治療は、医者の領域だ。商人が素人頭でやれることじゃねえ。手を出すのはやめとこう。
しかしメタボの予防は、素人でもサービスを作れるんじゃねえか?
だって要するに、
「やたらと食うな」
「運動しろ」
「規則正しく生活しろ」
こんな訓練をする道場でも作って、月謝を取って商売すればいいんだろ?

というわけで、そんな道場がイスカンダル星の随所にオープンしました。

不思議な現象が起こりました。
月謝の高い道場には、会社の社長さんたちがこぞって「入門」してきたのですが、
月謝の安い道場には閑古鳥が鳴いたのです。
つまり、このころ保健指導サービスとして生き残ることができたのは、
「企業の経営者個人を対象としたもの」
つまり、パーソナル・ケアでした。

ガミラスとイスカンダルには大きな違いがあります。
ガミラスでは、
「企業の業績と社長の力量にはあまり関係がない」
とされていました。
むしろ組織の力がものを言う星でした。
その証拠に、ガミラスでは、有名企業の社長の名前はあまり知られていません。
これに対し、イスカンダルでは
「企業の業績は社長の力量に大きく左右される」
と認識されていました。
イスカンダルの大企業の社長はヒーローのように扱われ、有名人が多く、社長としての報酬も莫大なものでした。

つまり、イスカンダルでは「社長の価値」がものすごく高いとされていたのです。
そのため、社長にもしものことがあったら企業業績にマイナスの影響が出る。
したがって、社長個人の健康管理が特別に重要視されました。

当時のイスカンダルの保健指導は、この考え方にもとづいて行われています。
次のような特徴を持っています。
* 企業経営者の健康管理を主な目的としている
* 内容が手厚い
* 価格が高い

しかしこの情勢は、20年ほど前を境に、大きく変わりました。
戦略兵器が生まれてくるのです。
どう変わったかについては、次号にて。

(以下次号)

<追伸>
アメリカの権威ある医学雑誌「New England Journal of Medicine」に、
「肥満は伝染する」
という記事が載りました。
日本でも話題になったかもしれません。
「最近、太っちゃった」
「肥満って、伝染するのよね」
なんて会話はときどき耳にしますが、まさかマジでそれを研究している学者がいたなんてちょっとビックリです。
その学者によると、
あなたの同性の友人に肥満の人がいた場合、あなたもつられて肥満になる確率は60パーセント。
肥満の人と恋に落ちたり結婚したりした場合、あなたもつられて肥満になる確率は40パーセントだそうです。

人気ブログランキング ← 応援クリックおねがいします。

  • ブックマーク:
  • このエントリーを含むはてなブックマーク
  • BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク
  • この記事をクリップ!
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • この記事をChoix!
2007.07.29 00:14

食育三国志 外伝5


チーフの松宮園生です。

前回までのあらすじ)
「食育▽△アカデミー」の魔の手に落ちかけた
小判大介君を、「凸凹プロフェッサー養成講座」
の強力チームが救い出す。
しかしその勢いで、小判君は
「凸凹プロフェッサー養成講座」
に囲い込まれてしまった…。

◆◆◆

オチャラケを始める前にマジメな話。

自分自身もたまに食育講座で講師をしたりすることがあります。
その経験からいうと、ほとんどの食育講座は安全です。
資料請求した人を追いかけ回すようなことはありません。
たいがい上品ですし、言い方を変えれば「あまり営業に向いてない」地味な人々が地味に主催していたりします。
「営業に向いている」人々のなかでも、イメージ作りやブランディングの上手なところは、追っかけ回すような野暮なことはしていません。

しかし一部に「マーケティング下手だけど営業が命」な食育講座がありまして、こういうところが力技で小判君を追い回すわけです。
その「営業命」な食育講座どうしの、まチョット行儀の悪い争いを、オチャラケでレポートしてます。
(数々の証言にもとづき、構成させていただいております)

◆◆◆

小判君を追いかけ回していた、
「食育★★講座」
「食育▽△アカデミー」
この両者は、受講者獲得をめぐって激しく火花を散らす間柄でした。

同じ海域で漁獲高を競う2隻の旧型漁船を想像してみましょう。
船の大きさはだいたい同じ、ともに同程度の魚群探知機(昭和レベル)を持ち、船員(昭和風)の訓練具合も同じくらい。
そんな2隻の漁船が、昭和レベルの投網を繰り返し、漁獲高を争っています。
昭和な船長が、星一徹のように叫んでいます。
「根性だ。根性があれば何でもできる! 根性さえあればなあ、ミンキーモモ(←死語)と結婚だってできるんだぞ」

といいつつ、一応、両者ともベタなりに「基本戦略」というのがありまして。
バスケットボールに例えると、
「食育★★講座」は、「ゾーン・ディフェンス」
「食育▽△アカデミー」は、「マン・ツー・マン・ディフェンス」
でした。

どういうことかというと。

「食育★★講座」は、地域ごとに「受講者集めの責任者」がいます。
この責任者は、地域のあらゆるメディアを狙って広報活動を行い、大量のビラを配ります。
大量にビラを配れば、そのうち何パーセントかは「釣りあげられる」わけです。
下手な鉄砲、数打ちゃ当たる
まさにこれです。
下手な鉄砲を、地域密着型で打つ。
したがって、「ゾーン・ディフェンス」と呼ばれます。

「食育▽△アカデミー」は、下手な鉄砲は打ちません。
その代わり、狙った獲物は逃がさない。
まず、食育の世界の有名人を招き、大都市で講演会をします。
講演会1回につき、たとえば30人の参加申込があったとしましょう。
すると、「食育▽△アカデミー」は31人の社員を動員します。

講演会前日、31人の社員を集めて作戦会議が行われます。
「どの社員が、その講演会参加者(=獲物)を落とすか」
が決められるわけです。
作戦会議の場には、どうやって入手したのか、参加者(=獲物)全員のさまざまな情報が…。
どの参加者(=獲物)にどのような攻め方をするとよいのか、という戦術が練られます。
なお、社員31人?参加者30人=社員1人。
つまり1人余りますね。
この余った1人は何をするかというと、無垢な講師を「黙らせる」役割を担います。
通常は、出世した社員がこの役割をもらいます。

講演会当日、会場には演壇と客席のほかに、30個のブースが設営されます。
時間が迫り、講演会参加者(=獲物)が三々五々、入場し、客席に座ります。
30人が入場しました。
すると、ドアが閉まり、鍵かかけられます。

鍵のかかる「ガチャ」という音に、入場した参加者(=獲物)から不安そうなどよめきが…。
すると社員の1人が演壇に立ち、
「ご安心ください。これは皆さんを外敵から守るためです」
わけのわからない説明をします。

「鍵がかかる」なんて、招かれた有名人(=無垢な講師)も聞いていませんでした。
(ヤバイ組織に関わってしまったのか…)
有名人も不安顔になります。
しかし時間が来てしまい、なしくずし的に有名人の講演会が始まりました。

講演会終了後、「担当の社員」が有名人を会場の外に連れ出します。
「いやー先生、ありがとうございました」社員は言います。「これであなたの役目は終わりました。とっととお帰りください」
「わたしの話を聞きに来てくれた参加者の皆さんはどうなるのですか?」
「先生」社員の目がつりあがります。「好奇心は猫を殺す、というアメリカのことわざをご存知ですか?」

そのころ、閉じ込められた参加者(=獲物)に、前日の作戦会議で決められたとおりに、担当社員が「襲いかかって」1人1人をブースに連れ込みます。
そこには、「食育▽△講座」のパンフレットと、受講申込書と、ボールペンが…。

ある参加者(=獲物)が、担当社員の手を振り切って逃げだしました。
するとどこからか、予備社員が現われて逃亡者を連れ戻します。
泣き出す逃亡未遂者。

以下、省略します。
これが有名な、「食育▽△アカデミー」の「マン・ツー・マン・ディフェンス」です。

有名な、と書きましたが、かつては知られていませんでした。
脱北者、もとい、亡命者が少しずつ増え、その証言によって明るみに出てきたものです。

◆◆◆

これを読んでぞっとした方もいらっしゃると思いますが、初めに書いたように、ほとんどの食育講座はマトモです。
むしろ地味すぎて心配なくらいで、まったく怖くありません。

ただほんの一部、ちょっと困った組織があるようで…。
「このままでは食育講座業界全体のイメージダウンになる」
心配した「穏健派」食育講座の方々は、協議のうえ、傭兵部隊に問題の解決を依頼しました。

依頼されたのが、「凸凹プロフェッサー養成講座」です。
「凸凹プロフェッサー養成講座」は最新兵器を使った巧みな作戦と、業界随一の武闘派「小太りオバチャン」の投入により、「食育▽△アカデミー」に捕らわれた小判大介君を電光石火、救出しました。
(この救出作戦の模様を知りたい人は、ここをクリック)

「さすが、傭兵部隊はすごいなあ」
「穏健派」食育講座の方々は大喜び。

しかし、喜んでばかりもいられませんでした。
傭兵部隊は、両刃の剣です。
昭和風の漁船が争っているところに、「平成レベルの魚群探知機」「平成レベルの船員」を備えた最新の漁船が、「平成風の投網技術」をもって攻めてきたところを想像してみましょう。

そう、食育講座業界は新たな脅威にさらされることになったのでした。

(以下次号)

テレビドラマ風に。

「この物語はフィクションです。登場人物や組織の名前は、現存するいかなる人物・組織の名前とも関係ありません」

人気ブログランキング ← 応援クリックおねがいします。

  • ブックマーク:
  • このエントリーを含むはてなブックマーク
  • BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク
  • この記事をクリップ!
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • この記事をChoix!
2007.07.27 22:30

牛と浮気農家


チーフの松宮園生です。

浮気農家のジョン・ソイビーンはアイダホ州で
トウモロコシを作っています。
もとは大豆を作っていたのですが、このところ
バイオエタノールの需要がすごく、
食用でなくエネルギー用としてトウモロコシが
売れるので、ジョンも去年あたりから
トウモロコシを作り始めました。
それがけっこう儲けになったので、今年から
完全にトウモロコシ栽培に切り替えたの
でした。

しかし、本格的にやってみるとナカナカ
たいへんでした。
なによりトウモロコシ栽培は大量の水を
使うらしく、水を確保するのに設備やら
なにやら、いろいろお金がかかったそうです。

「バイオエタノールはエコっぽいエネルギー源だと思うでござろう、松宮殿?」と、ジョンはあるとき僕に言いました。「しかしでござる。この水の消費量をみたら、貴殿も考えなおすでござろう。ま、作っている拙者が申すセリフではござらんが」

さて、アイダホのこのあたりには牛も多く、なぜか放し飼いにされています。
規模の大きな有機酪農家が、なにか独自の理論、たとえば名づけて「放任無頓着農法」みたいなことでもやっているのかもしれません。
(そんな農法があるかどうかは知りませんが)

よく、散歩している牛と道ですれ違います。
行儀のよい牛ばかりらしく、畑作物を食べられたりすることは全然ないそうで。
で、村の人々はそれぞれの牛にアレキサンダーだのライディーンだのゴルゴーンだの、勇ましい名前や怖い名前を勝手につけて親しんでいました。

◆◆◆

ある旅行者がこの地域を通過している途中、クルマが動かなくなってしまいました。
なんとかしようとこの旅行者、悪戦苦闘しましたが、どこに原因があるのか分かりません。

そこへ、牛が通りかかりました。
牛はフンと鼻を鳴らし、「あらンお兄さん、いい男ね。さしでがましいようだけど…キャブレターをチェックしたほうがいいんじゃないかしら?」

旅行者はびっくり仰天(←死語)。
ひいい、と甲高く叫ぶと、クルマを置いて逃げ出しました。

しばらくすると、彼は道端でビールを飲んでいるジョン・ソイビーンに出会いました。
旅行者はどもりながら、いま起きた出来事をあたふたと説明しました。

するとジョンはニヤニヤしながら「嘘でござる。そんなはずはござらん」
「ほほほ、本当なんです! たしかに牛が、キャブレターをチェックしろと言ったんです」
「どの牛でござる? 今時分に散歩しておるのはチムールか、それともエカテリーナか」
「名前言われたって分かるわけないじゃないですか、僕はここの人間じゃないんだから」
「斑(ぶち)は黒だったでござるか、茶色だったでござるか?」
「そんなこと、覚えていませんよ」
「それはそうでござる。ちょっと待つでござる」
ジョンは携帯電話を取り出し、誰かに電話をかけました。

「…チムールはそちらにいるでござるか? 左様か、かたじけない」
そういって彼は電話を切ると、旅行者に向き直って
「貴殿が出会ったのはエカテリーナでござる」
と言いました。

「だから何なんですか? エカテリーナでもなんでもいいです!」旅行者は両手を広げてわめきました。「いいですか。牛がですよ、キャブレターをチェックしろと僕に言ったんですよ」
「そんなはずはござらぬ。貴殿もしつこい御仁でござるな」
「本当ですったら!」

その真剣な眼差しを見て、ジョンは表情を変えました。「本当でござるか?」
「本当です」
「嘘だったら腹を切るか?」
「切ります」
「そこまで申すなら…」ジョンは腕組みをして言いました。「しかしでござる。エカテリーナは機械が苦手でござる。クルマのことはいつ勉強したのでござろうか?」

人気ブログランキング ← 応援クリックおねがいします。

  • ブックマーク:
  • このエントリーを含むはてなブックマーク
  • BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク
  • この記事をクリップ!
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • この記事をChoix!
2007.07.25 21:58

食育三国志 外伝4


チーフの松宮園生です。

前回までのあらすじ)
真面目なイチゴ農家だったのに、食育の勉強をしてみようとカルク考えたばっかりに、受講生獲得大戦争に巻き込まれた小判大介君。
ミッション・インポシブルか、とツッコミたくなる状況に陥ってしまいました。

◆◆◆

小判大介君が目覚めたのは、地味な小さなオフィスででした。
目覚めたといっても、横になっていたわけではありません。
小さな会議テーブルを囲んで4人の人間が座っており、小判君はその1人でした。
つまり、彼は会議中に突然目覚めたわけです。

しかしそれは会議ではありませんでした。
なぜなら、小判君の前には
「凸凹プロフェッサー養成講座」の申込書

太い4色ボールペン
が置かれていたからです。
4色ボールペンだったのは、好きな色で記入できるように、という配慮だと思われます。

なお、「凸凹」のところには、本来はある食べものの名前が入ります。
何の食べものか、具体的に実名を書くと命が危ないので、伏せ字にさせてもらいます。

目覚めたとき、小判君の向かいに座っていたのは、細身でやや枯れた感じのオバチャンでした。
その隣で、さっきの武闘派・小太りオバチャンが黙って腕組みをしています。

この2人、ともにオバチャンながら対照的でした。
おそらく食生活も違うでしょう。
(服装のセンスは同じようなものでしたが)

さらに、小判君の隣には「いかにも事務員」といった風情のオイチャンが、「こんなところでスミマセンねえ」といったたたずまいでチョコンと座っておりました。

つまり、小判君は
* 枯れた細みオバチャン
* 武闘派・小太りオバチャン
* スミマセンンねえ型オイチャン
に囲まれてチェックメイト寸前だったわけです。

正面の枯れたオバチャンが、猫なで声で言いました。
「あなた危ないところだったわねえ。食育▽△アカデミーは勧誘がえげつないことで有名だから。それに、私たちに言わせると、食育って嘘っぽい、ていうか、薄っぺらいのよね。…どうしたの? それ(申込書)早く書きなさいな」
「これ書くんですか?」
「当たり前じゃない。さっきからあなた、私の話をコックリ、コックリうなずきながら聞いていたじゃないの。ほら、ここに名前を書いて。住所を書いて。ここに電話番号。あなたメールはできるわよね、じゃあ、メールアドレスをここに書いて。そうそう。…へえ、小判さん、字がきれいねえ」

えっ? 小判君、申込書、書いちゃうの?

「字がきれいな人って、心はそれほどじゃないって言うけど、あなたは素直ないい子ねえ。…講座の日程はいくつかあるから、都合のいいのを選んでちょうだいな」
小判君はそのうち1つを選んでマルをつけました。

小判君が書いた申込書にはカーボン紙がはさまっていました。
下の紙にも写るようにです。
枯れたオバチャンは下の紙のほうを抜いて小判君に返しながら、言いました。
「お疲れさま。手続き終わりです。あとは、この講座にこの金額を振り込んでおいてね」

言い終わると、彼女は携帯電話に向かって
「イーグル・ワン、任務終了です」

かくして、難攻不落の小判君も、「凸凹プロフェッサー養成講座」の受講生になってしまいました。
しかも、凸凹エキスパート養成講座は食育の講座じゃないのに…。
いいのか、小判君。

◆◆◆

凸凹プロフェッサー養成講座は、凸凹(ある食べ物の名前)について勉強する講座です。
前述したように、何の食べものか、具体的に実名を書くと命が危ないので、伏せ字にさせてもらいます。

開講当日、小判君が教室に入ると、早くから受講者が集まっていました。
小判君は気がつきませんでしたが、集まった受講者は3つのグループに分かれていました。

<グループA>
いかにも農業をしている感じの、ラフな服装のオニイチャンたち。
小判君はここに属します。
バウムクーヘン野郎の僕としては、もっとも気が休まる人たちです。
この人たちは普通の食育講座にはあまりいません。
なぜなら、彼らは忙しくて街中にはなかなか出てこれないのです。

<グループB>
調理師見習いと思われる、茶髪の女の子たち。
年齢もかなり若い。
若いですが、キヒシイ料理の修行を早くからしているので、キャピキャピ(←死語)した雰囲気はありません。
通常の食育講座には滅多にいないタイプの人たちです。

<グループC>
枯れた感じだが目つきの鋭いオバチャンたち。
このタイプは「薬膳」「全粒紛」「身土不二」あたりの用語が大好きで、
「食育という言葉は明治時代からあった」
みたいなフレーズにシビレます。
このグループの人はたいていカタカナ嫌いですが、
「マクロビ」
という言葉には珍しく好意的です。
また、レベルが高くなると
「ゲルソン」
という言葉にも慣れてくるようです。
しかし、
「食事バランスガイド」
という単語にはいつまでたっても拒絶反応を示しています。
このタイプの人たちも、最近の食育講座では見かけなくなりました。
「いまどき食育講座に行く人なんて、どうせ流行りでやってんでしょ」
「あたしたちはね、何年も前からやっているのよ」
と思っているからです。

以上、3グループにキレイに分かれていました。
まるで三国志のように。

しかしこの三国志は、<グループC> の圧勝で終わりそうな雰囲気です。
というのは、<グループA> や <グループB> は別に他グループに敵対心など持っていなかったのですが、
<グループC> はどうやら違っていたみたいで…。

◆◆◆

しばらくすると定刻になり、凸凹プロフェッサー養成講座が始まりました。

このままでは、小判君は「凸凹プロフェッサー」になってしまいます。
いいのか、小判君。

つーか、いくない理由はなんだっけ?

(以下次号)

人気ブログランキング ← 応援クリックおねがいします。

  • ブックマーク:
  • このエントリーを含むはてなブックマーク
  • BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク
  • この記事をクリップ!
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • この記事をChoix!
2007.07.24 22:43

浮気農家 vs 高校教師


チーフの松宮園生です。

浮気農家のジョン・ソイビーンを覚えていますか?
(関連記事、以下を参照)
男のイヤリング
突撃トウモロコシ
ある食育夫婦の悲劇

そのジョンの話です。

トウモロコシがバカ売れして小遣いを貯めたジョン・ソイビーンの楽しみは、リノというカジノの街に遊びに行くことでした。
アメリカでカジノというと、ネバダ州にあるラスベガスが有名ですね。
リノは同じくネバダ州にあり、ラスベガスよりひと回り小さな街です。

ジョン・ソイビーンに言わせると、
「カジノは銀行と一緒。負けたときは、預金したと思えばいい。また引き出せる」
だそうです。
ただし、銀行とカジノには唯一相違点があり、それは
「銀行は残高さえあればいつでも引き出せるが、カジノはそうではない」

ジョン・ソイビーンがカジノに行くことは奥さんには内緒です。
なぜ内緒なのかはよく分かりません。
理由を聞いても教えてくれないので。

さて、リノ行きの飛行機にジョンが乗ったときのこと…。

機内でジョンの隣に座っていたのは、映画「ジュラシック・パーク」に出てくる数学者とよく似た風貌をしている男でした。
むろん、ジョンとは初対面です。

その男、窓側に座っていたのですが、外の景色を見るのにも飽き、機内誌を読むのにも飽き、音楽を聴くのにも飽き、いささか退屈を覚えていました。
何度もあくびをしたあと、彼は隣のジョンに話しかけました。
「やあ。僕はゲイリー。サンフランシスコで高校教師をしている」
「ジョンでござる。職業は農家でござる」
2人は握手をしました。

「さっそくなんだが」高校教師のゲイリーは言いました。「あんた、ゲームは好きかい?」
「ゲームにもよるでござるが」
「そうか」とゲイリー。「こんなのはどうだい。クイズをするんだ。まず僕があんたにクイズを出す。あんたが答えられなかったら、あんたは僕に5ドル(約600円)払う。で、次にあんたが僕にクイズを出す。僕が正解できなかったら、あんたは僕から5ドル受け取る」

しかし高校教師とクイズ合戦をして勝てるとは思えなかったため、ジョンは丁重にその申し出を断りました。

「そっか、じゃあ、いいや」
ゲイリーは気にしたふうもなく、会話はそこで途切れました。
彼は窓の外を眺めたり、さっき読み終えた機内誌をまたパラパラめくったりしました。

それでも退屈を紛らわすことができません。
耐えられなくなった高校教師は、再びジョンに話しかけました。
「なあジョン。こんなのはどうだい。まず僕があんたにクイズを出す。あんたが答えられなかったら、あんたは僕に5ドル(約600円)払う。で、次にあんたが僕にクイズを出す。僕が正解できなかったら、あんたは僕から50ドル受け取る。つまり10倍だ」

今度はジョンも申し出を受けました。

「オーケー。じゃあ僕からクイズだ」高校教師は言いました。「地球と月との距離は何マイルある?」

ジョンは即座に財布を開き、5ドル札をゲイリーに手渡しました。
ゲイリーは上機嫌でそれを受けとり、自分の財布におさめました。
「じゃ、あんたの番だよ、ジョン」

ジョンは少し考えて、それから言いました。
「まっすぐだと何でもないが、斜めにすると恐ろしくカッコ良くなる農作物は、何でござろう?」

高校教師の顔から、うすら笑いが消えました。
彼は長いこと考えこんだあげく、カバンからノート型パソコンを引っ張り出してエクセルで何やら計算を始めました。
それでも答が出ないので、今度はウィキペディアを懸命に検索し始めました。

リノに近づいたため着陸態勢に入るというアナウンスがあり、高校教師はパソコンを閉じなくてはなりませんでした。
彼は飛行機が着陸するまで必死に考え続けましたが、答が出ません。
「降参だ、くそっ」ゲイリーは悔しそうに言い、財布から50ドル札を1枚取り出し、ジョンに手渡しました。

飛行機は無事にリノ空港に到着し、乗客たちはシートベルトを外して立ち上がりました。
ジョンも、受けとった50ドルを財布にしまうと、立ちあがりました。

「ちょっと待った」高校教師は言いました。「それはないだろう。あんたのクイズの答は何なんだ?」

ジョン・ソイビーンは振り返り、少しのあいだ考えました。
それから静かに財布を開き、5ドルを取り出し、高校教師に手渡しました。

人気ブログランキング ← 応援クリックおねがいします。

  • ブックマーク:
  • このエントリーを含むはてなブックマーク
  • BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク
  • この記事をクリップ!
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • この記事をChoix!
2007.07.23 22:18

食育三国志 外伝3


チーフの松宮園生です。

前回までのあらすじ)
食育の講座を受講しようと思い、あちこちに
資料請求をした小判大介君。
その後、山のように資料が届き、勧誘電話も
じゃんじゃんかかってきました。
気分転換に街に出ると、なんと食育講座のキャッチセールスにつかまってしまう…。
そのセールスレディは、小判君の高校の同級生でした。

◆◆◆

地味な竹村さんに連れてこられた部屋は、教室に使われているところのようでした。
3人がけのテーブルがいくつも並び、正面には教壇と、ホワイトボード。

しかし小判君は見逃しませんでした。
教室の壁に
「受講生勧誘成績一覧表」
と書かれた巨大な模造紙が貼られていたのです。
講師の名前が並んでいて、棒グラフになってて。
竹村先生の、長くもなく短くもない棒が…。

もう1つ、小判君が見逃さなかったことがあります。
教室の壁のあちこちに、さりげなく、
「食育するぞ」
「食育するぞ」
という標語が貼られていたのです。

「修行するぞ」
「修行するぞ」
というキャッチコピー(?)の新興宗教が、たしかあったよな…。

小判君の背後で、ドアの閉まる音がしました。
ギクッとして振り返ると、地味な竹村さんが、教室のドアに鍵をかけていました。
「ちょちょ、ちょっと」
小判君が文句を言おうとすると、地味な竹村さんは「しー、静かに」と鋭く言い、壁際にある社内電話の受話器をとりあげました。

「竹村です。レベル2、完了です」

なんだよレベル2って…。
誰に何を報告してんだ?

地味な竹村さんは、受話器をおくとニッコリ向き直りました。
「安心して。鍵をかけたのは、小判さん、あなたを守るためだから」
「は? 何が攻めてくるわけ?」
「あなた、食育★★講座に資料請求したでしょ。あいつらがね、あなたをここから連れ出そうと狙っているのよ。でも心配はいりません。結界を張ってあるし、食育▽△アカデミーを受講すれば、あなたの食育は安心だから」

は? 結界?

ところが突然、教室の電灯が点滅しはじめました。
同時に、壁際の社内電話が鳴りました。
地味な竹村さんは、受話器をとる余裕がなかったのでしょうか、スピーカーフォンのボタンを押しました。
「緊急事態だ」電話のむこうで男性が言いました。
「ど、どうしました?」と竹村さん。
「食育バリヤーを破られた。知っている食育講座のなかで、あのバリヤーを破れるところはないはずなのだか…」
「食育★★講座のやつらじゃないんですか?」
「たぶん違うと思う。食育★★講座だったら、かんたんに撃退できるんだが…」
「なんとか持ちこたえてください。私のほうは、もう少しで契約できるところなんですから」

契約すんのか、小判君。
つーか、そのバリヤーってなんだ?

しかしそんなことを考える間もなく、地味な竹村さんが鍵をかけたはずのドアが、静かに開きました。
電灯が点滅しているのでよく見えませんが、小太りのオバチャンが、そこに立っていました。
手に合鍵らしきものを持っています。

「小判君、探したわよ」オバチャンが、穏やかな声で言いました。「さあ行きましょう」

地味な竹村さんが小判君の襟首をつかみました。
「あんた誰。他人の獲物を取ろうなんて、そうはいかないよ。この人はウチと契約するんだから。ウチの講座を受けて食育するんだからね」
「食育ふぜいが大きな口をたたくんでない」オバチャンは自分も負けずに小判君の襟首をつかみました。「もらっていくからね」
「渡すもんですか」
双方が、小判君の襟首を引っ張りはじめました。

「ギャー」小判君がお約束の悲鳴をあげています。
しかし無残な綱引きは小判君の悲鳴などおかまいなしに続きました。
テーブルや椅子が次々に倒れました。
しかし綱引きはやみません。

最後に勝ったのは小太りオバチャンのほうでした。
地味な竹村さんは床にうずくまっています。
その姿を一瞥すると、小太りオバチャンは小判君の襟首をつかんだまま、のっしのっしと教室を去っていきました。
気絶している小判君は、そのままずるずると引きずられていきました。

今度はどこに連れていかれるのか、小判君?
そして、このオバチャンは何者?

(以下次号)

人気ブログランキング ← 応援クリックおねがいします。

  • ブックマーク:
  • このエントリーを含むはてなブックマーク
  • BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク
  • この記事をクリップ!
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • この記事をChoix!
2007.07.22 18:06

21世紀神様の悩み その1


プロダクション・チーフの松宮園生です。

地球の人口は20世紀以降、大幅に増えました。
人口が増えると、当然、死亡する人数も増えます。
これは神様にとって頭の痛い問題でした。

まず、天国に行くのか地獄に行くのかを「審判」しなくてはいけませんが、その審判が長蛇の列で忙しくてしかたがありません。
次に、天国の人口も増えますし、地獄の人口も増えます。

人口増加に悩む神様に対し、アメリカ人のマクガバンという人が、自分が生前にものした5000ページもの分厚い報告書を献上しました。
人間世界では「マクガバン・レポート」と呼ばれているものです。
1977年に、マクガバン上院議員がアメリカ議会で発表した、アメリカ人の生活習慣病について調べた報告書のことです。

神様はこのレポートを読んでびっくり仰天。
というのは、人間世界がいかにおかしなことになっているかがその報告書に書いてあったからです。

かたや、毎日の食料にも事欠く国で苦しんでいる人々がいるかと思えば、
かたや、アメリカや日本のような国では、飽食のあまり人々がメタボになっている。

けしからん。
神様は急遽、地獄をもうひとつ増やすことにしました。
名づけて「メタボ地獄」。
親からもらった大事な体なのに、運動不足と飽食にまみれてダメにした罪。
そんな罪人が行くところです。

そこはメタボな人の集まりでした。
メタボな人でひしめきあっているので、不快指数がたいへん高い状態になっています。
メタボ地獄には人語を話すカエルがたくさんいて、毎晩、
「お前の母ちゃん出不精」
「お前の父ちゃんメタボ」
と鳴き続けます。
それに呼応して別の種類のカエルが子どもの泣き声で、
「うちの母ちゃんは出不精なんかじゃないもん」
「うちの父ちゃんはメタボなんかじゃないもん」
と鳴き続けます。
自分のせいで子どもが苛められるのを聞き、罪人たちは涙を流すのです。

しかし地獄を増やすことだけが神様の意図ではありません。
よいことをした人には、よい報いがあるべきです。

人間世界も、メタボが増えるのを黙認していたわけではありません。
アメリカではフード・ピラミッドというものができ、日本では食事バランスガイドというものができました。
アメリカでは「ヘルシーピープル」という総合健康政策が打ちたてられ、日本でも「健康日本21」という総合健康政策が計画されました。
「食育基本法」という法律が日本で誕生しました。
その後すぐに、「食育白書」という本がこれも日本で発行されました。
日本ではさらに、特定保健指導という仕組みが始まろうとしています。
(この一連のストーリーは書くと長くなるのでここでは省略)

人間がこうした努力をしていることを知った神様は、多少感心しまして、人間にご褒美を与えることにしました。
すなわち、メタボ罪人に新しい地獄を用意した代わりに、親からもらった体を大事にして天寿をまっとうした人間には新しい天国を用意することとしました。

名づけて、「ヘルス天国」。

「お、お待ちください」天使があわてて言いました。「その名前では誤解を招いてしまします」

「おおそうか。それもそうだな」
そう考えなおした神様は、「ヘルス天国」という名前をやっぱり却下し、「ウエルネス天国」という名前に変えました。
(神様のネーミングセンスを問うのはやめましょう)

そこはウエルネスな人の集まりでした。
たとえば、雑誌「ターザン」を読む人だけが集まった世界を想像してみてください。
なんか、そういう雰囲気のところです。
よく分かんないけど。

で、「メタボ地獄」「ウエルネス天国」が開店して徐々に賑わいだしたころ…

(以下次号)

人気ブログランキング ← 応援クリックおねがいします。

  • ブックマーク:
  • このエントリーを含むはてなブックマーク
  • BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク
  • この記事をクリップ!
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • この記事をChoix!
2007.07.20 12:29

あの店はどこへ?

チーフの松宮園生です。
アメリカに住んでいますが、やっぱり日本がいいので早く帰国したい
と思っております。

たまに一時帰国したときの楽しみといえば、
昔よく行ったウマイ店で懐かしい味を堪能することです。
でも、無くなってしまった店もありまして。

つーか、無くなってしまった店をいくらほめちぎって紹介したところで、
誰も喜ばないよね。
でも、書きたいので書きます。日米両方で。

<第3位>
東京は中野区沼袋(←ほとんど誰も知らないマイナーな地名ですね)。
名前は忘れましたが、美人夫婦が経営している洋食屋がありました。
(美人夫婦って、ダンナも美人ということか?)
ランチメニューの「白身魚のムニエル」がたいへん僕の口にあったみたいで。
数年のあいだ、ほぼ1日おきに通っておりました。
でも当時の僕は、
「この白身魚、なんて魚?」
という質問をしない人間だったのが悔やまれます。
(しかも写真、赤身だし)

いまはありません。
けっこう人気があったと思うんだけど、なにがどういう星のめぐりになったのか、ある夏の日、美人夫婦は行先も告げずにどこかへ引っ越ししてしまいました。

<第2位>
ロサンゼルスのビバセンの近く。
ビバセンというのは、「ビバリーヒルズ・センター」というショッピングモールを縮めた呼び方です。
地元の日本人がそう呼んでいます。
初めて聞いた時、
「ビバ専」ってなんだ? そういう性的趣向があるのか?
と、いらぬ想像を膨らませたものです。
そのビバセンのちかくにフレンチ風ベトナム料理の店がありました。
いや待てよ、ベトナム風フレンチだったかな?
気軽に行けて、ベトナム料理にしてはちょっと辛めだったところが僕のツボにハマっていたんですけどねー。
ロサンゼルスに行くときは必ず寄ったものですが…
しかし気に入っているのに、名前が思い出せません。

いまはありません。
ちなみに、この店はニューヨークのミッドタウンに姉妹店があり、姉妹店はいまでも営業しています。
(ちなみに、僕はニューヨーク店でデートの待ち合わせをすっぽかされた過去があります)
ニューヨーク店は残っているのに、なぜかロサンゼルス店だけが、なくなってしまいました。

<第1位>
東京は内幸町(新橋の近く)。
オヤヂサラリーマンの湯気たちこめる繁華街のはずれ(←なんかヤな表現だな)、
日比谷通りと外堀通りが交差する近くに、「旭王」というラーメン屋がありました。
僕にとっては、東京でいちばんウマいラーメン屋でした。
となりに古本屋がありました。
その古本屋で50円払ってテキトーな文庫本を買い、となりの「旭王」でその本を読みながら醤油ラーメンをすするのが楽しみでした。
あの濃厚な醤油のスープを飲み続けるために、僕は普段、ストイックに減塩生活をしてました。
ときどき気分転換で塩ラーメンをすすりましたが、塩ラーメンは軽めのスープだったために、コシのある麺の味わいがダイレクトに感じられ、それはそれで非常によかった。

いまはありません。
こないだ帰国したときに、成田空港から「旭王」に直行したのに、忽然となくなっていました。
オヤヂサラリーマンの湯気だけがたちこめていました。
廃業したのでしょうか。
どこか世界の片隅で営業しているのでしょうか?

<番外編>
シアトルの隣町ベルビュー。
ここに目下絶好調のイチローが住んでいるというウワサですが、会ったことはありません。
その、ベルビューという町のショッピングモールに「ニュージェイクス」というシーフードの店があります。
店じたいは今もありまして。
定番のクラムチャウダーはシアトルのクラムチャウダーコンテストでたまに優勝する程度には飲める。
ここのメニューに、昔は「ノースウェスト・シチュー」というのがあって、要はブイヤーベースなんですけど、かなり旨かった。
旨かったのダ。
そのシチューがあるために通っていたのですが…。

いま、そのメニューはありません。
しばらく通うのを忘れてて先日ひさしぶりに行ったら、シチューがメニューから消えておりましたよ。

◆◆◆

松宮園生が通い始めた店は無くなる。

そんなみょーなウワサが流れないように、毎日ぴくぴく、おとおと生きております。

「旭王」の行方を知っている方がいたら、ぜひご一報ください。

(今回はここまで)

人気ブログランキング ← 応援クリックおねがいします。

  • ブックマーク:
  • このエントリーを含むはてなブックマーク
  • BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク
  • この記事をクリップ!
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • この記事をChoix!
2007.07.19 11:22

アゴヒゲ その1


チーフの松宮園生です。

僕がテケテケ商事を退職して自分の事務所を構えたばかりのある日、
アゴヒゲにスーツ姿のオジサンが事務所にやってきました。

オジサンは言いました。
「あんた、独立したのに仕事がなくてヒーヒー言ってるそうじゃないか。情けないのお。じつはオレもそうなんだ。そこでどうだろう、情けない駄目ビジネスマンどうしで組まないか。一緒に傷をなめあおう」

「ししし失礼な」僕は憤激のあまりどもってしまいました。「ここここう見えても、ししし仕事が山積みなんだぞ。ああああまりに忙しくてでででデートもできないくらいなんだぞ」
「それはあんたに相手も金もないからでしょ」アゴヒゲは落ち着いて言いました。「さっきから電話だって鳴らないじゃないか」
「そそそれはだ、さささサイレントモードにしてるからなんだぞ」

すると、電話が鳴りました。

「あはは。何がサイレントモードだ」
「ななな何を。ででで電話が鳴らないと言って笑ったのはそそそそっちだ。電話が鳴ったからぼぼぼ僕の勝ちだぞ」

なにが勝ちなんだか。

しかし久しぶりに鳴った電話は母親からで、
「さみだらのはさご漬けがうまくできたからお前にも送る」
という平和な内容でした。

アゴヒゲがニヤニヤしながら言います。
「なんだあんた、ママに仕送りしてもらってるんかい」
「ちちち、ちがわい(←死語)」
「まあいいさ。いろんな親子がいるからな。でもあんた、母親のことをマミーと呼ぶのはやめといたほうがいいよ」

呼んでません。

アゴヒゲは憐れむような目をして言いました。
「オレはあんたを助けたいんだ。あんたはオレの若いころにそっくりなんでねえ」
「おおお、大きなお世話だい」

しかしアゴヒゲは聞こえないフリをして
「そうかそうか。喜んでくれてオレも嬉しいよ。ではお近づきの印だ」
そう言って、彼は本を一冊、取り出しました。

「食育バンザイ」
そんな題名の本でした。
表紙の写真のなかでは、たすきをかけたオバチャンたちが、たわわに実った田んぼのまわりに集まってバンザイをしています。

「定価3000円だが、著者割引で2500円にしてやる。よかったなあ、あんた」
「に、2500円?」
「あんたね。まともな人間で21世紀に生きてるんだったら、チザイにはちゃんと金を払うもんだぜ」
「ち、チザイ?」
「知的財産のことだよ。とにかく2500円だ。もうあんたに渡すつもりで、ほーら見ろ、サインもしてあるよ」

アゴヒゲが本のカバーをめくると、なんだか安っぽい字で
「松宮園生くんへ。アゴヒゲより」
と書いてありました。

僕から受けとった(奪いとった)3000円を財布にしまいながら、アゴヒゲは言いました。
「いまお釣りがなくてな。明日渡すから勘弁な」
「あ、明日?」
しかしアゴヒゲはまたもや聞こえないフリをして「それにしてもこの本、ぜんぜん売れなくてなあ。役に立たない内容らしいんだ」

役に立たないのに、それ、チザイなのか?

「でも金は返さんぞ」アゴヒゲは言いました。「その代わり、あんたとは仲良くしてやるよ。コンサルタント料金も格安にしておこう。月20万円でいいよ。よかったなあ、あんた」
「ひー」
「契約書も用意しておいたんだ。ほーら見ろ、サインもしておいた」
「ひー」(←ベタな叫び)

さすがに月20万円のコンサルタントは断りました。

不満そうに立ちあがりながら、アゴヒゲは言いました。「ふーんあんた、それでオレから逃げることができたと思うなよ。あんたのマミーの作った、アミダラ姫をはさんだ漬物とやらが届いたころに、また来るよ。じゃな」

だからマミーじゃない、っつーに。

アゴヒゲが去って呆然としていると、またドアが開きました。
アゴヒゲでした。
「ひとつ聞くのを忘れていたよ」アゴヒゲは言いました。「このへんにさ、カモっつーか、あんたみたいな食育好きの駄目ビジネスマン、ほかにいない?」

(以下次号)

人気ブログランキング ← 応援クリックおねがいします。

  • ブックマーク:
  • このエントリーを含むはてなブックマーク
  • BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク
  • この記事をクリップ!
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • この記事をChoix!
2007.07.18 11:03

食育アクトレス & アクターズ 第2回

この記事はこちらに移転しました。

人気ブログランキング ← 応援クリックおねがいします。

  • ブックマーク:
  • このエントリーを含むはてなブックマーク
  • BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク
  • この記事をクリップ!
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • この記事をChoix!
2007.07.17 10:40

日本人ゴーホーム


食育の世界でなにかしてみたい人、活躍してみたい人、必見!
人気「野菜ソムリエ」と「プロダクション・チーフ」が
食育の世界にご案内します。

◆◆◆

プロダクション・チーフの松宮園生です。

ハロー日本の皆様。
最近どうですか?

このあいだほんのちょっと帰国してバタバタと用事を済ませてサッサとアメリカに戻ったのですが、気づいたことというかギモンがいくつかあるのでちょっと書きます。


■バーガーキング

日本に再上陸したらしいじゃん。
過去に一度日本に来て、撤退しましたよね。
再上陸とは、不屈の精神です。

評判、どうですか?
(バーガーキングについての記事を書いたことがあります。ここをクリック


■クリスピークリーム

新宿にお店、あるんですか?
売れてるらしいですね。
やたら行列しているそうですが。

クリスピークリームはアメリカではファーストフード扱いになっています。
新宿ではどうですか?


■名古屋

名古屋の飲食店がどんどん東京進出してると聞きましたが、今でもその勢いは続いていますか?
つか、名古屋のホテルって、料金高くてびっくりしました。
空室もなかなかなくて。


■札幌発スープカレー

まだ流行っていますか?
むかし、東京の下北沢というところにあるナントカという店に連れてってもらいましたが、なかなか旨かったス。
今回は行けなかったけど、まだあるのかな?


■旭王

東京の内幸町というところにあるラーメン屋です。
「ここしかねぇ」と思っていたラーメン屋なんですが、
行ってみたらお店、なかったぞ!
帰国するときの最大の楽しみだったのに。

どこに行ったんだ?

あまりにショックだったため、滞在日数を延ばして旭王のオヤジを探索する旅に出ました。
この話は後日書きます。


■キムチ

漬物業界は売上が落ちてたいへん苦戦しているそうですね。
食べる人の頭の中が
「漬物→塩分→摂りすぎ注意」
になってるためだと思いますが。

そのなかでキムチは逆に売上が増えているみたいで。
知り合いの白菜メーカーは元気よかったです。


■管理栄養士さん

しばらく見ないうちにイケてる管理栄養士さんが増えたと思うんですけど。
「日本酒もガンガンいくよ」という今どきオヤジギャル(←死語)な管理栄養士さんも増えた。

ガミラス星の保健指導バブルと関係あるのかな?
(ガミラス星の保健指導バブルについてはここをクリック)


■農家の数

は今でも減っていますか?
(そんなこと聞かれて、すぐに分かる人はいねーか)


■五感

「こないだ五感のセミナーに行ってきたのよねアタシ」
というセリフを口にする女性と出会いました。
それも1人ではなく、数名の女性です。
(ここでいう「出会い」というのは、仕事でミーティングをしたという意味です)
(わざわざこう書くと、よけい怪しいな)

「五感のセミナー」って、流行ってるんですか?
つーか、何のセミナー?

「五感のビジネスを始めたいのよ。ぜったいヒットするわよ」
と言ってる会社社長にも会いました。
「何のビジネスすか、それ?」と質問したら、
社長さん、ニッコリ笑って
「それを考えるのが松宮さん、あんたの仕事でしょ」

人気ブログランキング ← 応援クリックおねがいします。

  • ブックマーク:
  • このエントリーを含むはてなブックマーク
  • BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク
  • この記事をクリップ!
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • この記事をChoix!
2007.07.16 07:03

サラダ危機一髪


プロダクション・チーフの松宮園生です。

以前、「食の世界のスーパーパワー その1」で、
戦後長いあいだ日本の学校給食がパン食だったのは
カーギルのインボーかも、と書きました。
あくまで噂ですが。

インボーかどうかわかりませんが、日本の農業が化学肥料を使い始めたのはメリケンのせいだという説があります。
ちなみに、メリケンというのは僕がアメリカ人を指すときに使う言葉です。

日本が無条件降伏し、マッカーサー元帥率いるGHQ(ほぼメリケン軍)が進駐してきたとき…。

(以下、食事中の話題にはふさわしくない内容が含まれています)

◆◆◆

マッカーサー「コンコン(ノックの音)。入るぞ」
日本政府「今日は何の用すか? こっちは敗戦処理で忙しいんだから、手短に頼みます」
マッカーサー「それは敗戦国の態度ではないな。まあよい。今日は食糧の話をしにきた」
日本政府「はあ」
マッカーサー「お前は軍隊出身ではないから知らぬかもしれぬが、軍隊にとって最も大切なものは何だか分かるか」
日本政府「そりゃ、ミサイルとか爆弾とかじゃないんですか」
マッカーサー「違う。兵器ではない」
日本政府「じゃあ、軍艦とか戦車とか、戦闘機とか?」
マッカーサー「それも違う。答はな、兵士が食べる、食べものだ」
日本政府「食べものですか」
マッカーサー「戦いを始める前に、兵糧(兵士の食糧)の補給ルートをしっかり確保することが何よりも重要なのだ。古今東西、歴史を通じ、兵糧の確保に失敗して戦闘に勝てた例は少ない」
日本政府「はあなるほど。だからあんたがたは、本国から山のように食糧を運んできているんすね」
マッカーサー「そのとおり。ソ連や中国といつ戦うことになるか分からぬからな。ただし、本国から運んでいるのは缶詰が多いのだが」

(マッカーサーが日本にいたのは今から60年も前ですが、そのころすでに缶詰は一般的なものになっています。ちなみに缶詰は19世紀初頭、つまり今から200年前に発明されたもので、度重なる遠征で兵糧不足に苦しむナポレオン軍が、最初に使用したと言われています)

マッカーサー「それでだ。今日は農村の視察をしたいと思ってやってきた。どこか案内せよ」
日本政府「今からですか」
マッカーサー「今からだ」
日本政府「いいスけど、視察してどうするんすか?」
マッカーサー「野菜を買う」
日本政府「野菜?」
マッカーサー「わが米軍兵士どもに、野菜を食わさねばならぬ」
日本政府「アメリカ人も野菜を食うんですね」
マッカーサー「正直言うとけっこう野菜嫌いが多いのだが、野菜不足は体に悪い。無理にでも食べさせようと考えている」
日本政府「その気持ちは分かります」
マッカーサー「新鮮な野菜を食べさせようと思う。このへんの農家から野菜を買いたいのだ」
日本政府「それ、マジですか?」
マッカーサー「なにか問題でもあるのか?」
日本政府「いや、別に…」
マッカーサー「米軍が金を出して買おうというのだ。日本にとってもドルが手に入るから、よい話ではないか」
日本政府「そうすね。じゃあ案内します。おいら、クルマがないんで、元帥のクルマでいいすか?」

◆◆◆

日本政府「このへんが農村地帯なんですけど」
マッカーサー「我が国の農場とはずいぶん違うな」
日本政府「へえ。そうですか」
マッカーサー「あそこで親しげに手を振っている男は?」
日本政府「やつは日本政府と契約している農家ですよ」
マッカーサー「あそこでなにをやっておるのだ?」
日本政府「肥やしを捲いてます」
マッカーサー「コヤシとは?」
日本政府「肥料のことです」

マッカーサー「なるほど。で、肥料には何を使っておる?」
日本政府「人間のウ●チですね」
マッカーサー「なぬ?」
日本政府「人間のウ●チです、元帥とか、おいらの」
マッカーサー「なんだと。…それを、畑に捲いておるのか?」
日本政府「はあ」
マッカーサー「ああやって、ヒシャクですくって、かけておるのか?」
日本政府「はあ」

マッカーサー「し、しかし、そんなことをしたら、野菜にもかかってしまうではないか」
日本政府「まあ、そうなりますね」
マッカーサー「そんなことしたら、食べれないだろうが?」
日本政府「洗えば?」
マッカーサー「それは理屈ではそうかもしれぬが…」
日本政府「なんか問題あります?」
マッカーサー「たいへん困る。アメリカ人は野菜をサラダで食べるのだぞ」
日本政府「あのねえ、元帥。あんたが飲みたい飲みたいとやかましいから、今日の朝食にお出しした野菜ジュース、材料はあの男から買いましたぜ。うまかったでしょ」

◆◆◆

マッカーサー元帥が気絶しているあいだに、葉竹さんからこんな話を聞いたので紹介します。

その当時、日本の農業は「肥やし」を使うのがふつうでした。
「肥やし」は、たくさんの量を必要としました。
そのため、農家の人たちは人がおおぜい住んでいる住宅地まで、はるばる「それ」を集めに行ったのです。
農村と住宅地はかなり離れていたので、まる1日かかる仕事でした。

彼らは早く起き、荷車に樽を積み、日が昇るより先に出発します。
「汲みとり」をするためです。
東京近郊の農家の場合、青山、赤坂、四谷、といったところ(昔のムード歌謡によく出そうな地名)が目的地だったようです。
農家は「汲ませてもらう立場」だったので、「汲みとり料」を払っていました。

で、汲みとり料を払い、樽を満杯にした帰り道。
重くなった荷車を、疲れたからだで何キロも何キロも曳くのはたいへんでした。
そんな彼らを手伝うために、農家の子どもは学校が終わるとすぐ、その足で父親を迎えにいったといいます。
帰ってくる父と途中で合流し、親子で荷車を曳きました。
もうすぐ太陽が沈みます。

肥料の確保のために、こんな重労働をしていたわけです。

◆◆◆

気絶から目を覚ましたマッカーサー元帥の命令により、進駐メリケン軍は本国アメリカから大量の化学肥料を買いつけ、日本の農家に売り始めましたとさ。

その後、化学肥料が普及した結果、
* 「肥やし」を使わなくなり、日本の生活環境が全体として衛生的になりました。
* 「汲みとり労働」が不要になりました。

化学肥料にも問題はいろいろありますが、この2点は、よかったことの部類に入ると言えるんじゃないかなあ。

人気ブログランキング ← 応援クリックおねがいします。

  • ブックマーク:
  • このエントリーを含むはてなブックマーク
  • BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク
  • この記事をクリップ!