ホーム > 日本食育大学未来学部 >

2007.06.29 01:37

カリウム・ユニバース 中巻

スポンサードリンク


食育の世界でなにかしてみたい人、活躍してみたい人、必見!
人気「野菜ソムリエ」と「プロダクション・チーフ」が
食育の世界にご案内します。

◆◆◆

チーフの松宮園生です。

前回のあらすじ)
人間の健康維持に欠かせないミネラルのひとつ、カリウム。そのカリウムは、もとをただせばカナダの地下1000メートル深くに眠る巨大なカリウム鉱脈から来ているものだった。
流しの料理人ラザフォードは、そのカリウム採掘キャンプにあるレストランで働きはじめる。そこにはなんと「オーガニックは御法度」という不思議なルールがあった。

◆◆◆

採掘キャンプはちょっとした地下都市のようになっていました。
商店街のようなところもあり、ラザフォードのレストランもそこにあります。
キャンプとはいいながら、普通に商品を売ったり買ったりの「経済活動」が行われていました。

ちなみに使われている通貨はカナダドルです。
カナダドルは、貿易にたずさわる日本人のあいだでは
「キャンドル」
と呼ばれています。
俗称ですね。
アメリカのドルのことを米ドル(ベイドル)と呼んだりするのと同じです。

ろうそくの「キャンドル」とはイントネーションが違っていまして、
ろうそくのほうは「キャン」のところにアクセントを置きます。
これに対し、カナダドルのほうはどこにもアクセントを置かず、平坦な口調で発音します。

カリウムのキャンプ一帯はトンネル状の坑道で結ばれ、人々はクルマで移動しています。
複雑に繋がったり延びたりしている坑道の随所に、採掘マン(文法的に正しくは採掘メン)が住居を構えていました。
キャンプ全体の人口は2200人だったそうです。

太陽に縁のないところです。
最近は少しずつ光ファイバーによる採光システムが導入されつつあるようですが、ラザフォードがいたころは普通の電灯が坑道や商店街を照らしていました。
坑道のところどころに
「もっと光を」
というスプレーの落書きがありましたが、これはゲーテの最期の言葉を借用したものです。

地下は温度の高いところでもあります。
通常、地面を100メートル掘るごとに摂氏で3度、熱くなるそうです。1000メートルの深さにあるカリウム・キャンプは、60度ちかい温度になります。
ですのでエアコンは思い切り動いていますし、地上の空気を取り入れるための空気循環システムもフル稼働です。

圧力の問題も無視できません。
地下に降りれば降りるほど気圧が上がります。
まあこれは人間のほうが慣れるしかないのですが。
エレベーターなどは昇降スピードが速すぎないように配慮されていますし、わざと乗り換えを多くしています。
気圧の変化に体を慣らすためです。

圧力で怖いのは気圧よりも地面そのものの重さです。
もの凄い重量がかかっていますので、いつ坑道が潰れてぺしゃんこになるか分かりません。潰れるのは一瞬です。

坑道が潰れなくても、温泉やら天然ガスなんかが突然噴き出したら、これもキャンプ滅亡です。
だれひとり助からないでしょう。
ま、場所がら温泉だの天然ガスだのが出る確率はゼロに近いですが。

そんなところでラザフォードはレストランを開いていたのでした。
だいぶ稼いだはずです。

◆◆◆

カリウムは農作物の成長に欠かせない要素ですし、クドイですけど人間のカラダにとっても不可欠なものです。
しかしそれとは別に、工業用原料としてのカリウム需要というのがありまして、世界各地の工場で塩化カリウムが大量に消費されています。

錫(すず)や金のようなミネラルは(こいつらもミネラルの仲間です)、単独で存在しているケースがほとんどです。
「水酸化錫」
みたいなもの(化合物)はめったにありません。
「塩化金」
に至っては、まず皆無です。皆無どころか、作ろうとしてもなかなか作れません。

逆にカリウムとかナトリウムとかは、ほとんどの場合、
「塩化ナトリウム(食塩のこと)」
「水酸化カリウム」
みたいに、化合物として存在しています。
錫や金と正反対で、単独で存在することはまずありません。

つまり、カリウム鉱脈と言っているのは、単独のカリウムが固まっているのではなく、
「?化カリウム」
という形(化合物)で固まっているのです。

地下1000メートルの採掘キャンプで掘り出された「?化カリウム」は、そのまま地上に運ばれ、精製されます。
「精製」とは、いろんなものが混ざっているカリウム鉱石から、混じりけ無しの純粋な
「塩化カリウム」

「水酸化カリウム」
などを取り出すことです。

このときうまく精製できたものは、工業用原料になります。
じゅうぶんに精製できず、混ぜ物が残ってしまったものは肥料の材料になるのです。

◆◆◆

またまたアラスカのメトラカトラに場面を移します。

「そこまでは分かったよ」僕は言いました。「で、オーガニック禁止の話はどうなったの」
「慌てんなよ」ラザフォードはまたコーヒーをおかわりしました。「その話をするためにだな、あらかじめ塩化カリウムの精製の話をしとかなくちゃいかんのだ」

というわけで、オーガニック御法度の話は次回に持ち越しです。みなさんごめんなさい。

(以下次号)

人気ブログランキング ← 応援クリックおねがいします。

  • ブックマーク:
  • このエントリーを含むはてなブックマーク
  • BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク
  • この記事をクリップ!
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • この記事をChoix!
スポンサードリンク

関連記事:3件

コメントを投稿