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2007.06.26 00:00

オーガニック欧州かぶれ

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◆◆◆

チーフの松宮園生です。

僕は大和男児ではありますが、しぶしぶとはいえ一時的にアメリカに住んでいるので、どこか
「アメリカかぶれ」
の部分がいろいろあると思います。

世の中には
「ヨーロッパかぶれ」
の人もいます。

ラザフォードではないけど、日本人で「流しの料理人」をしている人と出会ったことがあります。
場所は東京で開かれた、どこかの食関係のパーティだったと思います。細かいところは忘れました。
その人は、世界のあちこちにでかけてさまざまな食材を口にして、帰国すると講演会をしたり出張料理教室をしたりしているのだそうです。
なんだかピリピリしている雰囲気の人でした。
目が怒っているのです。

なんで怒っているのかなー。
恐る恐る会話をしてみると、
「こんなくだらないパーティは不愉快だ」
ということでした。

(じゃあ、無理にいなくても、帰ればいいじゃん)
そう思いましたが、言うと暴れそうだったので言いませんでした。
その人、僕より頭ひとつ背が高かったし。

パーティが不愉快だったら、ふつう帰りますよね。
主催者じゃない限り、居残る義理はないわけだし。
でもその「流しの料理人」、苦虫をかみつぶしたような表情をしながら、いつまでもポツンとそこにいました。

不思議に思って恐る恐る会話を再開してみると、どうやら彼はこのパーティだけが不愉快なわけではないらしく、日本の食環境全体に対して不快感を抱いているらしいことが分かりました。
それを主張したいのに誰も聞いてくれないので、このパーティはくだらない、ということになったようです。
なにを主張したいかというと、たとえば、
「食料を海外から輸入しないと生きられない日本人は、馬鹿だ。もっと地元の食べ物を食え」
てなことを、おっしゃっておりました。
次に、
「自分は世界中の食材を食べた。ヨーロッパの有機農産物は素晴らしい。それに比べて日本の有機農産物のマズイことといったら、腹が立つ。日本では料理をする気にならない」
こんなことも仰せになりました。
同じ有機農産物なのに、どう違うのかと聞くと、
「ヨーロッパの有機野菜は味が濃く、深い。日本のは味が薄く、深みがない」
のだそうです。

その違いはどこから来ているのかと聞くと、
「ヨーロッパの土壌は固い。固い土地で固いまま農業をするので、野菜も鍛えられる。ヨーロッパの農家は野菜を厳しく育てるので、有機肥料をやりすぎたり、水をやりすぎたりしない。だから野菜が鍛えられ、濃く深い味になるのだ」
これに対して、
「日本の土壌は柔らかい。さらに農家がせっせと土壌改良をして柔らかくしている。ふわふわの土が素晴らしいと思っている。そんなところで育てた野菜は甘っちょろい。だから薄味で深みが出ない」
のだそうです。

「ああそうでしたか。よくご存じの方なんですねえ。よい方に出会えて、大変勉強になります」弱気な僕は丁寧にヨイショしました。「日本がヨーロッパのような美味しい有機農産物を作ろうと思ったら、土を固くすることが大事なんですね?」
するとその人はふふんと鼻を鳴らして「無理だよあんた。日本の土ではヨーロッパのような味の農産物はできないね」
「じゃあ、どうしたら?」
「美味しい野菜を食べたかったら、ヨーロッパに食べに行くか、ヨーロッパから輸入しなきゃダメだよ。日本はもっと、ヨーロッパの農産物を輸入するべきだ。そうしたら、自分も日本で料理をしようという気になれる」

「なるほど、日本はもっとヨーロッパの野菜を輸入するべきなんですね」弱気な僕は丁寧に言いました。「でもさっきあなたは、食料を海外から輸入しないと生きられない日本人は馬鹿だ、もっと地元の食べ物を食え、とおっしゃっていましたが…」
するとその人は顔を真っ赤にして、
「自分の言いたいことはそういうことじゃないんだ。分からん奴だな」
と怒りだしました。

◆◆◆

この「流しの料理人」、扱いにくい性格の人だなー、ということは別として、
「ヨーロッパの有機野菜は味が濃い。日本のは味が薄い」
というのはひょっとしたら事実なのかもしれません。

僕自身はヨーロッパの有機野菜を食べたことがないので、何ともいえませんが、
先日、僕を「バウムクーヘン野郎」と名づけた葉竹乃木夫さんからこんな話を聞きました。

レ○ル・マ○リードという有名なプロサッカーチームがスペインにありますね。
彼らがかつて来日したときのこと。

食事中に選手たちが、
「日本の野菜はイマイチおいしくない」
と言い始めました。

レ○ル・マ○リード専属の栄養士がそれを聞き、僕の師匠の葉竹乃木夫さんのところに相談がありました。
葉竹さんはレ○ルの選手が何を不満に思っているか知るために、インタビューをすることにしました。

レ○ルの選手はいいました。「もっと美味しい野菜を食べさせてくれ」
「美味しい野菜って、どんな野菜なわけ?」と、葉竹さん。
「そりゃ、オーガニック(有機)野菜だよ」
「ふーん。でもあんたら、オーガニック野菜とそうでない野菜の区別、つくんかい? 食べて分かるんかい?」

するとレ○ルの選手は目をまるくして言いました。
「えっ? あんたには分からないのかい?」

つまり、オーガニック野菜とそうでない野菜、レ○ルの選手には食べて違いが分かるということです。
しかも、
「えっ? あんたには分からないのかい?」
と驚いたということは、
「ふつう、食べたら誰だって違いがわかるだろ?」
という意味がこめられています。

皆さんはどうですか?
ブラインド・テスト(目隠しをして、テイスティングをする試験)で、有機野菜とそうでない野菜、区別できますか?

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