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チーフの松宮園生です。
(前回のあらすじ)
サプリメント村として名を馳せたテケテケ村ですが、もともとは農業の村でした。
テケテケ村の村長は、観光農業を推し進めて村の収入アップをはかりたいと思っています。
しかしひとりミスミのジイサンだけは、観光客が増えるのを頑なに嫌がるのでした。
◆◆◆
ミスミのジイサンが畑にロープをはり、立入禁止の立札を立てた話はあっと言うまに村じゅうに広がりました。
テケテケ村では隠し事ができません。
なんでも噂になってしまいます。
「ド田舎の村はこれだからなー」
小判君はあきれたようにつぶやきます。
「口、軽いし」
でも本件、第一発見者は小判君、あんたです。
村に「通報」したのも、あんたです。
噂をきき、村人たちがぞろぞろと、ミスミのジイサンの畑にやってきました。
張り巡らされたロープと、罰金10万円と毛筆で書かれた立札をながめています。
ミスミのジイサンはムッツリした顔で、野次馬を無視して畑仕事を続けています。
しばらくして村長があらわれ、ミスミのジイサンに声をかけました。
「困るよジイサン。こりゃやりすぎだ」
「ワシの畑だ。何をしようと勝手だろ」
「これから村をあげて観光客を呼ぼうってときだ。こないだの寄合で話したろう。それなのにこんなことをされちゃあ、テケテケ村はよそ者に冷たい排他的なところだと思われるじゃないか」
「それのどこが悪い。どうせワシはよそ者嫌いの頑固者じゃ」
「ジイサン…」
ジイサンはついに癇癪をおこしました。「オラオラ! 仕事の邪魔だ。みんな帰れ。帰れ」
まったく、トリツクシマもありません。
村長は辛抱強くミスミのジイサンの説得をつづけましたが、話は平行線のまま、日にちが過ぎていきました。
その間、農業コンサルタントの葉竹さんは何度かテケテケ村にやってきました。
村人たちが観光客を呼ぶための、準備を指導していたのです。
「ようこそテケテケ村へ」という看板を作ったり。
「テケテケ君」という名前のヘンなキャラクターを作ってあちこちに露出したり。
宝探しイベントのために宝を埋めたり。
「農業っぽいアスレチック」という意味で、「アグレチック広場」なんてものも作りました。
屋台なんかも準備しました。
観光客を迎える態勢が整いはじめると、じっさいに観光客がちらほらやってきます。
葉竹さんが全国あちこちでマメに宣伝してくれたのもあり、ふた月もすると、なんとなくニギヤカになってきました。
「テケテケ君」は不評でしたが、都会の子どもたちは宝探しやアグレチック広場には喜んでいました。
屋台も人気でした。ゆかりさん(ミセス小判)が猛烈に料理上手だったのが役に立ったみたいです。
村人は収入が増えて大喜び。
村長も上機嫌です。
その様子を知ってか知らずか、ミスミのジイサンはあい変わらず難しそうな顔で農作業をしていました。
当然、なにもしなかったジイサンの収入は増えません。
実のところミスミのジイサンの畑は村はずれの位置にあったため、観光客がそこまで足をのばすことはほとんどありませんでした。
ジイサンが心配したようなことは起きなかったのです。
◆◆◆
ある日、村長がミスミのジイサンの畑を通りかかったとき、「立入禁止」の立札が変わっていることに気づきました。
毛筆で書かれていたことには違いないのですが、書いてある内容が少し変わっていました。
不思議に思った村長は、雑草取りをしているジイサンに声をかけました。
「ジイサン。立入禁止の罰金が5万円になっとるようだが…。前は10万円じゃなかったか?」
「ああそれか」ミスミのジイサンは不機嫌な口調で答えました。「誰も入らんので、値下げした」