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松宮園生です。
(前回のあらすじ)
キューバに挑んだ目的はマンゴーだけではありませんでした。
ヤセノオオグイという植物に、メタボの特効成分がある、ということをキューカルという会社が発見しました。
僕はそれを使ってひともうけを企んだのです。
しかも、しめしめ、オニイサンにはこの価値が分からないようだったので、僕がすべて独り占めです。
ムフフ。
◆◆◆
キューバへの入国ビザの申請は1ヶ月前から抜かりなくやり、航空チケットも買い、泊まるところの予約も入れ、通訳も予約しました。
しかしそれ以外の準備はなんにもしてませんでした。
仕事に追われてバタバタしているうちに、あっという間に出発の前日になってしまいました。
前日の夜になって、僕は慌てはじめました。
なぬ(←死語)、まじ明日、出発じゃん…。
お金、日本円じゃマズイよな。キューバはドルだっけ?
いくら持ってけばいいのかな。
カード使えるのかな。
ガイドブックも買わないと。
着替え、たくさん必要かな?
ネクタイ、いるのかな?
荷物、あんまり多くしたくないしなあ。
パソコン持ってくなら変圧器も買わないと…電圧、何ボルトかな?
つーか、インターネット使えるの?
待てよ、キューバってどこにあるんだっけ?
こんな状態です。
で、夜中に焦りまくってバタバタと準備をし、一睡もしないで成田エクスプレスに乗ったのでした。
(註:このころ僕は東京にいました)
◆◆◆
アパートを出るとき、まだ開封していない封筒が玄関に落ちていたのを発見しました。
妙に古ぼけたクラフト紙の、地味な封筒です。
「東京都 松宮殿」
それだけ書かれていました。
えっ、これで届いたの?
まさかメキマンか?
ドキドキしながら封筒を手にしましたが、急いでいたのでとりあえず無造作にポケットに入れました。
成田エクスプレスのなかでそれを開封すると…
メキマンではありませんでしたが、英語で書かれた手紙が2通、入っていました。
読んでみます。
<1通目>
古ぼけて黄ばんだ上質紙に、タイプライターで打たれたものでした。
かすれて読みにくい英文を何とか読んでみると…。
日本人が書いた英作文でした。
書き手は、某食品系有名大企業A社の本部長さんのようです。
しかも、僕がコンタクトしようとしているキューカル社あての手紙でした。
こんな内容でした。
「キューカル社カルロス副社長殿。
お世話になります。
ヤミノテイオウから抽出した機能成分が本当に貴社のいうとおりの効果があるならば、大変素晴らしいことです。
日本人の食生活はますます西洋化してきており、それにともない肥満人口も徐々にではありますが増加傾向にあります。
とくに中年男性の腹の出具合には同じ中年男性として大いに危機感を抱いております。
今後、こうした脂肪撲滅型の健康食品が売れるようになると確信しております。
ぜひヤミノテイオウを商品化して日本に輸入したいと考えております。
つきましては、以下の資料をいただきたく、お手配のほどよろしくお願い申上げます。
1)ヤミノテイオウ抽出成分の成分表
2)臨床実験の内容と結果のレポート(論文)
3)抽出方法が分かるもの(製造工程)
これらの資料は、”どのように商品化をするか”の検討に使うとともに、日本で輸入・販売が許されるかどうかを厚生省に確認するためにも必要であります。
むろん、秘密保持には厳重に努めますとともに、秘密保持誓約書を差し入れます。
なにとぞよろしくお願いいたします
1988年6月14日。
A株式会社、商品開発本部長、ナカヤマ」
古ぼけているのも無理はありません。
1988年といえば、まだ昭和の時代です。
そんな古い手紙が、どういうわけか僕のところに送られてきたわけです。
その謎はともかく、2通目を読んでみましょう。
<2通目>
上質紙ではなく、こんどは厚めの普通紙でした。
同じように古ぼけて黄ばんでいます。
ところどころ穴があいており、読むのに時間かかりました。
内容はこうでした。さっきの手紙への、キューカル社からの返事のようです。
「1988年6月23日。
A株式会社、商品開発本部、ヤマナカ本部長殿。
お手紙ありがとございます。
ご主旨よく分かりです。
貴国の政府の認可を得るですね。
情報開示が必要ある、という話はよく分かりです。
わがキューカル社して、日本で市場は非常に魅力的ます(わが国はアメリカに市場考えません)し、わが国の食品技術や医療知識を貴国の国民と健康が寄与されるのであれば、これまで喜ばしいことはございません。
なんでも、秘密保持誓約書もいただけることが、たいへん感謝いたします。
日本は契約文化さえないとしか聞いておりましたが、認識を改めねばならないかも考えておりました。
情報開示にあたりつつ、1点だけご了承いただき条件ございます。
簡単条件でございますので、何とぞよろしくお願いもうし
(ここから先、大穴が空いているのでまったく読めず)。
ホセ・カルロス
副社長
キューカル・カンパニー・リミテッド
追伸。
ヤミノテイオウではなく、正しくはヤセノオオグイです」
(以下次号)
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