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2007.06.08 07:57

食育三国志 外伝2

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食育の世界にご案内します。

◆◆◆

チーフの松宮園生です。

前回のあらすじ)
食育の勉強をしようと、食育講座の資料請求をした小判大介君。
いくつもの会社や団体が食育講座を開いているため、小判大介君に対する勧誘合戦が始まった…。

◆◆◆

テケテケ村の人たちが「街に出る」といえば、それは隣のS市に出るという意味です。
S市はJRの駅前がもっとも賑わっています。

イチゴ栽培のためにせっせと畝を作っていた小判大介君でしたが、それも一段落し、気分転換にぶらっとS市に出かけました。
奥さんのゆかりさんとは別行動でしたが、夕方に落ち合って居酒屋にでもいこう、という約束になっています。

商店街のアーケードを歩いていると、小柄な女性に声をかけられました。
「あのう、小判さんでは?」
「小判ですけど」
「ああやっぱり小判さん」大げさにうなずく。「ああやっぱり小判さん」
「どこかでお会いしてます?」
「高校の同級生の竹村です。あ、でもあたし今と違って地味だったから、覚えてないかも」
確かに覚えていませんでした。
ちなみに、あんた今も十分に地味なんだけど。

「ほんと久しぶり」竹村さんは言いました。「背、伸びたんじゃない? ちょっとお茶でもしない? 近くにあたしの職場があるからそこで」
「いや、お気遣いなく」すでに小判君は逃げの態勢です。「久しぶりに会えてよかった。ではさいなら」

歩きだす小判君の襟首を、小柄な竹村さんはむんず(←死語)とつかみます。
「うふふふ。なに言ってんの馬鹿な人ねえ」竹村さんは笑いながら言いましたが、目だけは笑っていませんでした。「あなた、食育に興味あるのよね。知ってるんですよ」
「えっ」
「あなた、うちの会社に資料請求したでしょ。小判なんて名前、珍しいし、ピンと来たんだから」
「どひゃー」(←死語)
「このへんで出会えたらいいなあって、網をはって、てゆーか、じゃなくて、期待して待っていたの」妖しく光る、竹村さんの目。「まさかこんなにすぐ会えるなんて。ここで会ったが100年目、てゆーか、じゃなくて、こうやってばったり出会ったのも縁ですし、食育の話でもしながら、昔話をしましょうよ」
「いや、それは」
「さあさあ。さあさあ」

小判君の襟首は竹村さんの手にしっかりと握られています。
あまりにしっかりと握られているため、湯気がたっていました。

こうして、小判君は商店街のはずれにある、看板に「食育▽△アカデミー」と書かれた地味な小柄な建物まで引きずられてしまいました。

建物の入口には、「食事バランスガイド」と呼ばれるコマの、大きな模型が置かれていました。
くるくる回る、コマです。
栄養士さんあたりのあいだでは有名なコマです。
食育マニアのシンボルマークにもなってます。
どうやって回すのかは問わないことにして、形はこんなです(↓)。
 

入口から中に入ると、こんどは大きなペナントに、
「食育をしよう明るい元気な子」
という標語が飾ってありました。

ビミョーな標語です。
なんとなく言いたいことはわからないことはないのですが、
「食育をしよう」
と言われても、で、具体的に明日から何をしろって言いたいの、この標語?

さらに奥には、どうやら教室らしい部屋が。
ここで「食育▽△講座」がとり行われるみたいです。

「食育講師やってるのよ、あたし」竹村さんは誇らしげに言いました。「マクロビオティックの話をしたり、ロハスの話をしたりしてね」

しかし小判君は見逃しませんでした。
教室の壁に
「受講生勧誘成績一覧表」
と書かれた巨大な模造紙が貼られていたのです。
講師の名前が並んでいて、棒グラフになってて。
竹村先生の、長くもなく短くもない棒が…。

大丈夫か小判君。
無事に逃げきれるか?

いやまてよ。
もともと食育講座を受けようと思っていたわけだよね。
なぜ逃げる、小判君?

(以下次号)

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