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松宮園生です。
常夏のカリブ海に浮かぶキューバ。
キューバ産のマンゴーは食べて美味しく、有機栽培でもあります。
日本のマンゴーファンにもたいへん人気があったのですが、ある日とつぜん、日本に入荷されなくなりました。
輸入国の日本が輸入を禁止したのではありません。
輸出国のキューバが、日本向け輸出を禁止したのです。
これはとっても不思議なことでした。
キューバは外貨を稼ぎたいと思っているので、ドル箱商品であるマンゴーの輸出は続けたいはずです。
しかも日本はナンダカンダ言ってもお金持ちです。
おそらくキューバのマンゴー農家さんたちにとっては一番の上客でしょう。
そんな状態で、
「売りたい立場」
のキューバが輸出を禁止するなんて、わけが分かりません。
日本のマンゴーファンもガッカリです。
その謎を解くために、ある果物屋のオニイサンが立ち上がりました。
オニイサンは僕を無理やり仲間に巻き込み、大和男児2名のキューバ珍道中が始まったのでした。
この珍道中については、
ヘミングウェイ農業 その1
ヘミングウェイ農業 その2
ヘミングウェイ農業 その3
ヘミングウェイ農業 その4
ヘミングウェイ農業 その5
をご覧ください。
珍道中の主目的はマンゴーだったのですが、僕にはもう1つ目的がありました。
このシリーズではその話をします。
◆◆◆
出発する1か月ほど前のこと。
入国ビザを申請するために、在日キューバ大使館に顔を出したところ、キューバ大使館からある会社を紹介されました。
たしか、キューカルとかいう、リゾート地みたいな名前の会社だったと思います。
キューカルは製薬会社でした。
会社案内パンフレットによると、漢方とよく似た、植物素材系の薬を作っているようでした。
大使館がなぜこの会社を紹介したかというと…。
キューバの南海岸部にはヤセノオオグイ(yussen noguai)という名前のついた、メタボリ科の植物があります。
この植物は大人の人間と同じくらいの背丈で、盆栽かと思うほど複雑な形をしています。
ヤセノオオグイの、枝の付け根(節といいます)の部分にはある特殊なフィトケミカル(機能性成分)があり、
ハバナ大学の研究によれば、健康をまったく損なわずに、内臓脂肪を数日間で劇的に減らす効果が発見されたというのです。
キューカル社がこのフィトケミカル(機能性成分)の権利を持っており、商品化して日本に売りたいと考えている。
日本にいいカモがいたら紹介してくれという依頼が、大使館に来ている。
そこで、手近なところでおたく(松宮)を紹介しようと思う。
という理由でした。
「いいカモ」って、あんた…。
しかも、「手近なところ」って…。
果物屋のオニイサンは、このテの話にはまったく反応を示しませんでした。
まるでなにも聞こえていなかったかのように。
というか、大使館の人がなにを言っているのかをそもそも理解できなかったのではないか。
僕はそう疑っているのですが、本人に言うと怒られるので聞けません。
このオニイサン、とりあえずぶらっとキューバに出かけるくらいに行動力は満点なのですけど、
妙に文系ジャパニーズなところがあって、マンゴーのことを「万号」と書くのが癖でした。
どっかの国の怪しげな客船の名前みたいです。
おまけに、J(ジェイ)の発音ができなくて、「ゼー」と言ってます。
日本のプロサッカーは「ゼーリーグ」です。
ジェット機は「ゼット機」です。
そういう人なので、
「フィトケミカル」
「ハバナ大学の研究」
「内臓脂肪」
のようなカタカナ文字や理系ムードの漢字が出てくると、たぶん何かの限界を超えてしまうのでしょう。
かくいう僕は、もともと理系ムードの人間ですので、じつはマンゴーの話よりもこっちの話のほうに興味がありました。
さっそく知り合いの健康食品会社に電話し、商品化に協力してくれるように頼みました。
これでひと山当てたら、大金持ちだな、オレ。
ムフフ。
フロリダのビーチで、キャメロン・ディアスと一緒にマルガリータを飲んでいる自分を、早くも想像する松宮でした。
キューバが一筋縄ではいかない国だということを、このときはまだ知りませんでした。
(以下次号)
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