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食育の世界にご案内します。
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チーフの松宮園生です。
テケテケ商事、覚えていますか?
テケテケ商事の社長はトム・クルーズと喪黒福造(笑ゥせぇるすまん)を42:54で混ぜたような複雑な顔をしていました。
ハンサムなんだかそうでないんだか、よく分からない顔です。
しかも42と54では足して100にならないじゃないか、という指摘も受けています。
年齢は50歳くらい、独身(未婚)の社長でした。
まだ僕がテケテケ商事に勤めていたころの出来事です。
社長の秘書から「社長がお呼びです。すぐ来てください」と電話で呼びだされました。
社長の部屋に入ったところ、ハンサムなんだかそうでないんだか、よく分からない社長からこんなことを言われました。
「松宮君、バナナ、好きかい?」
「バナナですか?」僕はいいました。「お言葉はありがたいのですが、ちょうど昼メシを食べたところです。いまお腹いっぱいで」
「いや、バナナをあげようという話じゃないんだ」社長は辛抱強くいいました。「そんなことでわざわざ呼びだしたりはしない」
「あ、そうか。これは一本とられましたね」
なにが一本とられたのかよく分かりませんが、和気あいあいとした会話は続きます。
「バナナの会社をひとつ、買収しようと思うんだ」と、社長は神妙な表情で言いました。
「企業を、買収するんですね?」と、僕。
「そうだ」社長はうなずきました。「そのための調査を、松宮君、きみにやってほしいんだ。ひそかに、誰にもバレないように、こっそりと、やってほしいんだが」
社長から手渡されたのは、あるバナナ会社のパンフレットでした。
◆◆◆
世界中でもそうですが、日本でもバナナは最も普及している輸入果物のひとつです。
僕が子供のころはまだ珍しいものだったようで、ちょっとした手土産にバナナを持っていったりしてたようですが、普及してしまった今となってはアタリマエすぎて手土産になりません。
いまでは毎年、100万トンが輸入されています。
この数字は、日本に入ってくる輸入フルーツ全体の、なんと6割を占めています。
最近は国産のバナナもちらほら見かけるようになりましたが、ほとんどは輸入バナナです。
フィリピン産が主で、南米のエクアドルからもよく輸入されています。
バナナの取り扱いでいちばん有名な会社はドールです。
ドールは世界最大の果物会社です。
ドールについては、後日「食の世界のスーパーパワー」シリーズで紹介する予定です。
そのほか、バナナといえばチキータやデルモンテが有名ですね。
以上、お勉強コーナーでした。
◆◆◆
そんなわけで僕は社長から
「シークレット・バナナ事業部 ゴクヒ調査課 課長」
に任命され、指定されたバナナ会社の実態調査を始めることになりました。
「ちょっと待った」
辞令を受けとって部屋から出ていこうとする僕を、社長が呼び止めました。
「この調査はたいへん危険だ。注意して行動するように」
「わかりました」
「いや、きみは分かっておらんな。これを見たまえ。見せようかどうしようか迷っていたが、見せることにする」
社長は、自分のデスクトップパソコン(インターネットにつながっている数少ないパソコン)を指差しました。「こんなメールがさっき来た。読んでみなさい」
「どれどれ」
ベタな言葉を口にしながら社長のパソコンをのぞきこんだ僕。
その瞬間、心臓が止まりそうになりました。
社長のデスクトップ画面には、こう書かれてあったのです。
「テケテケ社長よ。バナナから手を引け。さもないと、メキマンが来る」
(以下、次号)