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松宮園生です。
むかしむかし。
××県のすみっこにテケテケ村という村がありました。
1億円の「ふるさと創生資金」をもらってサプリメントづくりを始めて以来、サプリメント村とも呼ばれています。
20世紀のおわりごろ、全国の市町村に規模の大小を問わず国からそれぞれ1億円のお金が配られました。
使いみち自由の、1億円です。
これを「ふるさと創生資金」といいます。
思わぬお金を手にした市町村の多くは、なにをしたらいいのかよく分からなかったみたいで、
金塊を購入したところ
宝くじを買ってあっという間に半分以上スッたところ
みたいなところもあったりしました。
(これ実話です)
テケテケ村は、その1億円でサプリメントづくりを始めたのでした。
◆◆◆
テケテケ村いちばんのサプリ職人の長男として生まれたマツオ少年は、衛生に厳しい親父のもとで、全身を消毒し、白衣を着、帽子をかぶり、マスクをかけ、滅菌された部屋でペッタン、ペッタンと「打錠」の修行にあけくれる毎日でした。
「打錠」というのは、さまざまな成分を混ぜあわせたものを、杵(きね)で固め、ひと粒の錠剤を作ることです。
業界では「打つ」といいます。
「今日のマグネシウム、うまく打てたよ」
てな使い方をします。
打錠するまえに、いろんな成分を混ぜあわせる工程がありますが、このとき熱が発生します。
打錠するとさらに熱が発生します。
この熱は商売の敵です。
熱で有効成分の栄養素が部分的に破壊されてしまうのです。
栄養素の破壊を防ぐため、いかに熱を抑えて打錠できるか。
サプリ職人の腕の良し悪しはここで決まります。
成分の混ぜあわせかた、原料の選び方、打錠の技術。
この3つがキーポイントです。
マツオ少年の親父は村一番のサプリ職人です。
でも、どんな腕の良い職人も、発生する熱をじゅうぶんに抑えることはできませんでした。
熱の問題は、長いことテケテケ村の頭痛の種だったのです。
そんなある日。
親父とマツオ少年は村の長老に呼び出されました。
長老はマツオ少年にお茶をだしながらいいました。
「マツオよ。海のむこうにアメリカっちゅう国があるんじゃが、聞いたことはあるかな?」
「はい。坂本竜馬先生から聞きました。茂さんという名前の殿様が治めているデッカイ国ですね」
「そうか。よく勉強しちょるの」
それから、長老はこんどは親父に向かっていいました。
「あんたの息子をアメリカにやりたいんじゃが。熱を出さない打錠技術があるそうじゃ。その技術を持ち帰ってほしいのじゃ」
親父が目を見張りました。「ありえない」
「あるらしいのじゃ」長老はいいました。「じゃが正確な場所がわからん。筆のような野球のような場所じゃと聞いとる」
筆のような野球のような場所…。
「それと、もうひとつじゃが…」と、長老はつづけました。「アメリカにはステマグさんという恐ろしい魔法使いがおるそうじゃ。わがテケテケ村を攻撃しようと計画しちょるらしいが、どうやって防いでいいか分からん。それも調べてきてほしいのじゃ」
筆のような野球のような場所…。
ステマグさんという恐ろしい魔法使い…。
さっぱり何のことやら分かりませんでしたが、
「まあこれも修行だ。行ってこい」
という親父の一言で、話は決まりました。
数日後、マツオ少年は
「筆のような野球のような土地」
を目指して成田空港を飛び立ったのでありました。
(以下次号)
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